欧州GPSガリレオ計画 by ZL2PGJ鶴田さん

 欧州連合の全地球測位システム「ガリレオ」計画というものがあるそうで。 合衆国のGPSへの対抗のようですが、なぜ、欧州が自前で重複するシステムを持とうと思ったのか、色々言われておりますが、欧州が農業地域である事を考えると、諾べなるかなです。

 私の会社でも畑の農薬や肥料散布の記録管理にGPSを使っています。 一枚一枚の畑が、どでかいことも有り、GPSベースで畑の区画にIDをつけて管理しているわけです。

 まぁ、この場合1アール毎位の精度での管理ですが、それなりに役立っております。 農薬散布も飛行機で「ドカーン」ですから、パイロットが間違えて隣の畑に撒いちゃったとかの、無駄が無くなって万々歳です。

 まぁ、飛行機でぶちまける訳ですから、メートル単位程度の精度でかまいません。 戦争が始まって、合衆国のGPSの民生用周波数の精度を低下させられても まぁ、大した事ないと言うわけです。

 ところがですね、農業のコスト競争も激しくなってきますとね。 航空燃料もケチるようになります。

 話しは外れますが、農業用飛行機はすごいですねぇ。 単発ターボプロップで、軽量化のために翼は布張りだったりする。 何しろ重たい水に溶かした肥料や農薬を抱えて飛ぶわけですから、軽い機体、高揚力の翼と物凄いパワーのエンジンの組み合わせです。 空荷だと、50mも滑走すると、そのまま垂直に上昇して行く姿は、模型のラジコン飛行機のようです。

 で、けちった航空燃料代の話ですが。 地べたをトラクターで走るほうが、燃料代的には安く付きます。 なぜ、飛行機を使うかと言いますと、密播き作物の場合は、種を播いたら最後、トラクターが走る余地が無い。 麦などの栽培がそうです。 この場合は、飛行機くらいしか手が無いのです。 一方、畝で植える作物。 例えばニンジンや、かぼちゃ等は畝の間にトラクターのタイヤを走らせられるので、トラクターにタンクをつけて、水、肥料、農薬などを撒けます。

 ところが、水気の少ない土地では畝を作ると乾燥が進みすぎるので、まったいらにした畑に作物を植えます。 つまり、植えたら最後、どこに植わっているか検討もつかない訳です。 仮に芽を出した後で、目視できても、昨今のトラクターは大型化の一途で、とても、精密な運転など出来ません。

 そこでGPSが出てきます。 当地の農業会社の中にはGPS搭載のトラクターで種蒔きをしているところがあります。 なんとまぁ12cmの誤差で種がまっすぐに総延長数キロにわたって植えられています(なんで、そこまで高い精度が民生用GPSで出せるかは聞き損なったのですが)。 それだけまっすぐだと、隣の列の 間もぴっちり、タイヤひとつ分だけあけてきっちり植えられます。 つまり非常に効率の良い植え方が出来るのです。 あとから、GPSデータをもとに、肥料やりも水やりも植えた作物を踏みつけにする気遣い無くできます。 いままで飛行機でないと撒けなかった肥料や農薬も、トラクターで出来るようになって、航空燃料代が大幅削減できたと言うお話です。

 欧州の大規模農家もこの手でやっているのでしょう。 ですのでいきなり合衆国政府がGPS精度を落としたりすると、GPSガイドトラクターを使っている農家は大損害。 これもまぁ、欧州連合がガリレオをやりたがっている理由のひとつでしょうね。

 ここまで、効率化しているから、わざわざ日本へまでもって行っても、日本産より安く売れるわけでありました。


(C) Copyright 2003-2004 ZL2PGJ and JA9IFF All right reserved.