VKとZL by ZL2PGJ鶴田さん

 時々、JAの方とQSOしていて、「いやー赤道直下は暑いでしょう」とか、昼間なのに「いま、真夜中ですか?」とか言われるんですね、意外とニュージーランドがどこにあるか、ご存じない方が多いので。 えー、赤道の下にあるのは、ニューギニアやニューカレドニアです。 ニューが付くから近所だろうと思ってはいけません。 そういう理屈で行くとアメリカのニューヨークまで赤道の下に引っ越さなくてはなりません。 日本との時差はZLが夏のとき4時間冬のときは3時間です。ZLの方が進んでいます。

 先ほど申しましたとおり、NZは日本の4分の3ほどの国土面積の島国です。 オーストラリアの南東、3000Kmほどに浮かんでいまして。 これより南には南極しかありません。 JAのハムもヨーロッパのハムもVK、ZLと、ひとっくくりにしますが、ジェットで飛んで3時間。 日本と台湾くらい離れているのです。  ちなみにZLの人は基本的にVKが嫌いですので、ZLとQSOしていてVKはすばらしい国だネェとか言うと、もう座がしらけるなんてもんじゃありませんので、ご注意ください。 結構居ます、JAのハムでZLがVKの一部だと思っている人。。。。。

 日本人からみたら一緒くたのVK、ZLですが、歴史がちょいと異なります。 イギリス人のキャプテンクックが帆船に乗ってやってきて、地図を作って、ヨーロッパで発表したのが、日本で言うところの江戸時代中ごろ。 そのずーーっと前にオランダ人のタスマンと言う人が来たのですが、人食い人種が恐ろしくて上陸もしないで帰ってしまいまして、おかげでニュージーランド人は難しいオランダ語を話す必要から開放されたわけですが。。。

 ヨーロッパ人が来る前はどうだったか と言うと、マオリ族が石器時代の生活をしていました。 文字も無く、金属も無く、土器も無く。  日本で信玄と謙信が川中島で決戦をしていたころ、ZLでは、石斧と、棍棒でぶん殴りあっていたのです。 ただし、この人たちも昔から居たわけではなく、日本で言うところの鎌倉時代前後にフィジーのほうから、カヌーに乗ってきたようです。 なにしろ文字の無い民族でしたので、言い伝えしか残っていなくて、本当のところは誰も知りません。 確かなことは、聖徳太子が「厚く三法を敬え、三宝とは仏法僧である」とおっしゃった頃、ZLには羽の無いキーウィーバードや巨大ダチョウのモアが闊歩している、野生の大国、無人島だったのです。

 VKの方といいますと、これがだいぶ様子が違います。 40万年前から人が住んでいまして、こちらの民族はアボリジニと呼ばれます。 まぁどちらも文字を持たない原始生活と言う点では大差ないです。 この2つの国の先住民族がたどった道が、見事に異なりまして、それがVKオーストラリアとZLニュージランドの違いを、物語っています。

 白人が新天地にやってきたら、酒と、ガラス玉で、だまくらかして、あるときは鉄砲に物を言わせて、先住民族の土地をぶん取ると言うのは、世界のあちらこちらで起きたことですが、ZLでも1840年、日本では幕末ですね。 ワイタンギ条約という条約をマオリの酋長達と結び、この国はイギリスの女王様の物だ ということにしてしまいました。 まぁ、字も読めない人達相手に詐欺のようなものです。 毎年2月の条約記念日には未だにこの条約をめぐっての論争やデモが起きます。 とりあえず、ZLの人々は平和的に、まぁ詐欺的にともいいますが、マオリを丸め込んだわけです。 まぁ少々戦争も起きましたが。

 VKは違います。 ひたすら鉄砲の力で、根絶やし大作戦です。 明治の頃まで、 VKでは合法的なハンティングツアーの獲物に、カンガルー、ワニ、と共にアボリジニが入っていたそうです。 この精神構造が、1960年代まで続いた白豪主義、オーストラリアには白人しかすまなくていいの! と言う主義を生み出したわけです。 ちなみにアボリジニが人間としての権利を認められたのは、東京オリンピックのちょっと前だそうです。 VKは恐ろしい国ですネェ。

 ZLの人に言わせると、この2つの国の文化の違いは、ご先祖さまの違いだそうです。 VK はイギリスにとって、島流しの国でした。 犯罪者を送り込んで、鉱山を掘らせたりしていたわけです。 その後、普通の人が移民してくるようになったわけです。 ですから、VKでは、先祖がいつごろ移民してきたのか聞くのはタブーだそうです。 年代で殺人犯の子孫かどうかわかってしまいますから。 つまり、ならず者の子孫だからやることが下品だ、というのがVKに対するZLの市民感情です。

 一方ZLは、気候が穏やかで、住みやすいので、新天地へ挑戦したい中産階級が自発的に移民してきました。 もっとも、そんな変わり者はあまり居ないので、人種や性別で差別していたら人が足りなくなってしまう! と言うわけで、世界最初の婦人参政権が認められ、マオリの人も第一次大戦後には、公平な権利をもらったようです。 もっとも、今は過剰なマオリ保護で、逆差別だ! と白人や華僑の人々が文句を言っています。 そりゃそうなんです。 学校から家からみんな無料。 で働かなくても生活保護たっぷり。 ZLの税金は高いですから、まともに働いている人は怒ります。 わたしも怒ってます。

 さて、イギリスをはじめ世界中から、善男善女が移民してきたとはいえ、人口はまだ400万人です。 つまり、ほとんど、がらんどうの様な国です。 私のいるGisborneの東隣の町まで140Km、南隣まで220Km、町と町の間には林か牧場が広がっているばかりです。

 ニュージーランドといえば羊の国です。 人口の何十倍も羊が居る と言われた時代もありましたが、イギリスが、ECに加盟して、イギリスでニュージーランド産の毛糸や肉を優先的に販売できなくなってから、頭数は激減。 いまでは休耕田ならぬ、廃牧場が山奥に多く見られます。 現在の羊の飼育頭数は人口の10倍程度と言ったところです。

 美味しく食べれるのはラムです、マトンは臭くてたべれませんが、北海道のジンギスカン用に輸出しています。 こんなのなんで食べるのかなぁ? とは肉の輸出会社の人の話です。 ラムとマトンの違いは何でしょうか? 実は単に年齢です。 12ヶ月までがラム、それ以降がマトンです。 羊は1歳を超えると肉が臭くなってきますから、食用にはまわさず、5、6年毛糸を取るために放牧します。 年2回刈り取るそうです。 羊は毛が生え変わらないので、毛刈りをしないと、毛糸お化けになってしまうのだそうです。 5,6、才になったところで、潰して、毛皮をとり、肉はドッグフードになります。 と言うわけでZLはドッグフードの輸出でも有名な国です。 ラムは美味しいですよ。 ぜひお試しください。 ZLでは一番高いのがラム、次が豚、一番安いのが牛肉です。 骨を抜く手間は大小あまり関係ないですから、肉の値段は手間賃に比例しています。


(C) Copyright 2003-2004 ZL2PGJ and JA9IFF All right reserved.