2009年11月〜12月


Author Title Start Finish Point
Sara Waters Fingersmith Dec. 22, 2009 Jan. 1, 2010 ★★★

 1862年のロンドン生まれながらの孤児Susan TrinderはSuckby婦人と「家族たち」のスリの仲間の中で育った。孤児たちが盗んできたものを転売するのはIbbs親方でSuckby夫人は子供を生んだが育てられない女から赤ん坊を預かって、欲しい夫婦が入ればこれまた転売するという商売をしている。17才になったSusanのところに「紳士(原文でもGentlemanとなっている)」が訪ねてきて、田舎の城に幽閉されている令嬢Maudを騙して大金を手に入れようという計画を話し、Susanの役目は令嬢の侍女になることだった。Susanと「紳士」のたくらみは成功するか?
 Susanの母親は彼女を生んで直ぐ殺人の罪で絞首刑になったため、それを哀れんだSuckby夫人に愛情をかけて育てられたので、泥棒たちの間にいてもどこか純粋なところがある。Maudの侍女になることに成功したSusanだったが、Maudもまた両親を知らずに伯父の下で特殊に育っていて、この二人の運命が交錯するのだが、そこに至る物語が長くて読んでいるこちらがちょっと疲れてくるのが残念。ディケンズを意識して書いているようだから、こちらもそのつもりで読んだらもっと楽しめたか。

2004年11月高田馬場の洋書古本屋The Blue Parrotで

Author Title Start Finish Point
Alex Berenson The Faithful Spy Dec. 16, 2009 Dec. 21, 2009 ★★★★★


The Faithful Spy (A John Wells Novel)

  CIAのエージェントJohn Wellsは長い間アルカイダに潜入していたため、すっかりイスラムの習慣が身に付いている。9.11を上回る新たなテロ準備のため、ひげをそり、アメリカに送り込まれる。CIAと接触したJohnは9.11の警告を出さなかったし、あまりにアルカイダに同化していたために2重スパイではないかと疑われる。アルカイダ側からも疑われはじめたJohnはどちら側とも信頼を取り戻して、且つ新たな殺戮を防ぐため孤独な戦いをはじめる。
 作戦の内容は全く知らされず、次のアクションだけ指示されてアメリカに戻ってきたJohnは、CIAと接触しても伝えるべき情報を持っていない。この接触の仕方が、アルカイダの工作員であり、監視されているかもしれないものにしてはちょっと安易な気がするのと、CIA側もJohnがイスラムの習慣に染まっていることとで、Johnを疑い、9.11情報を知らされなかったので伝えられなかったという説明を聞こうとせずに疑う、というところがこれまた簡単すぎる気がする。ウーン、ちょっと安易かと思って読み進むと、途中からそんな感想を吹き飛ばす戦いに突入して、手に汗握って読むことになったのだった。

2009年8月八重洲ブックセンター洋書バーゲンで

Author Title Start Finish Point
Dan Simmons Darwin's Blade Dec. 4, 2009 Dec. 11, 2009 ★★★★

Darwin's Blade

 ハイウェイで次々と起こる自動車事故で、事故調査の専門家Darwin Minorが調査に乗りだすと、仕組まれた事故の可能性が浮かび上がってくる。Darwinが働くのは友達の会社のためで、保険金詐欺を暴くのを専門としている。調査の途中Darwinは高速道路でベンツに追われ、時速250kmのチェースの挙句、ベンツは事故を起こし、中にいたロシアのヒットマン2人が死んだ。どんな組織が絡んでいるのか?
 事故を原因を調査する専門家が主人公という設定が魅力的で、ロジカルに構築していくところがスリリング。ロシアのヒットマンがロシアマフィアの一員で背後に大きな組織が絡んでいるらしいことがわかり、話が大きくなるとDarwinにも強力な助っ人とロマンチックな関係になる相手も登場する。そこがちょっと書割的な感じがしてしまうのが惜しいところだ。それにしても名前がDarwinだからといって愛称がDarというのはそういうものかな。英語の台詞の中で落ち着かない気がしてしまうのだが。

2002年8月久美堂町田本店洋書バーゲンで

Author Title Start Finish Point
John Saul Brain Child Dec. 1, 2009 Dec. 4, 2009 ★★★★★


Brain Child

 カリフォルニア、ラ・パロマに住むAlex Lonsdaleは地元の人気者だったが、ひどい自動車事故で助かるのは難しいと思われた。しかし奇跡的な手術で一命を取りとめ、驚異的な回復を見せた。表面的には以前と全く変わらなく見えるAlexだが、彼の目は虚ろで、心の中は冷たくなっている。100年前、スペイン系原住民がこの地で大虐殺に会い、その恨みを抱いた邪悪な魂がまだ存在し、Alexを使って復讐しようとしていた。
 手術をした医者はAlexの回復の秘密を全く明かそうとしないが、その回復は異常といえるほどだ。その説明は特に無くてSF的展開かと思ったが、どちらかというとオカルト的展開になっていく。これは取り残されるかなと思ったけど、話を引っ張る筆力は大したもので、ぐいぐい引き込まれて読んでしまった。

2003年1月国立の洋書古本屋西書房で

Author Title Start Finish Point
Lisa Unger Beautiful Lies Nov. 25, 2009 Nov. 30, 2009 ★★★★★

Beautiful Lies

 ニューヨークの30過ぎの女性フリーライターRidley Jonesは車に轢かれそうになった子供を助けたことから、マスコミで有名になった。その彼女にある日手紙が届き、その中には男とどこかで見たことがある女性と少女が写った写真と、「あなたは私の娘?」と書かれたメモが入っていた。動揺した彼女は両親を問いただすが、間違いなく彼らの娘だという。その日近くに住むJakeという男と知り合いになり、この話をして一緒に調査を始める。そこから2人は驚愕の事実に翻弄されていく。
 30過ぎてからあなたは別人だといわれ、足元の床が抜けたようなショックを受けるというのがすごい。更にRidleyを取り巻く登場人物がRidleyの兄で麻薬中毒のAce、Ridleyの元彼ででしゃばりの小児科医Zack、不動産王で虐待を受けた女性や子供たちの避難所に資金を出している叔父のMax。両親だけでなく一癖もふた癖もある彼等がRedleyに何か隠していて、何が本当で何が嘘かがどんどんわからなくなるから読んでいるこちらも右に左にコースターのように振り回されるという快感を味わえるのだ。

2009年8月八重洲ブックセンタ本店洋書バーゲンで

Author Title Start Finish Point
Stephen Dobyns The Church of Dead Girls Nov. 16, 2009 Nov. 25, 2009 ★★★★

The Church of Dead Girls

  アメリカの田舎町で一人又一人と少女が誘拐され、着ていた衣服が洗濯されアイロンがかけられ綺麗に畳まれて送られてきた。その箱にはマネキンの手首が入っていた。失踪のたびに町の異端者たち、大学のマルクス主義者グループやゲイのコミュニティーなどに疑いがかけられたが、それでは不十分で友達や近所の人々も捜査の対象になる。町はパニック状態で昔の怨念や欲望なども表面に浮かび上がってくるのだった。
 最初から3人の犠牲者とその殺され方が登場するが、物語は一人ひとりの失踪をゆっくり辿っていく。まだ犠牲者が出ることがわかっていて、犯人の見当も付かないまま進んでいくので、ぞくぞくしながら読むことになるが、まだあと犠牲者が出ることがわかっているというのも、逆にそこで終わりということも示しているようでそれが欠点にもなる気がする。

2002年7月紀伊国屋新宿南店洋書バーゲンで

Author Title Start Finish Point
Harlan Coben No Second Chance Nov. 11, 2009 Nov. 16, 2009 ★★★★★


No Second Chance

 形成外科医Dr. Marc Seidmanは自宅で何者かに2発打たれ重傷を負った。病院で目を覚ましたMarcは妻が殺され、生後6ヶ月の娘Taraも行方不明であることを知った。身代金要求の手紙を受け取ったMarcは義理の父親から資金を調達してもらったが、警察への通報をしないことでこの1回限りのチャンス(これがタイトル)という犯人側の条件を裏切って警察が張り込んだため、金を渡したにも拘らず娘は取り戻せなかった。それから1年半、再び身代金の要求がMarcの元に届いた。娘は生きているのか?
 Marcを取り巻くキャストは昔のガールフレンドで元FBIエージェント、親友でMarcの弁護士、この事件がMarcが仕組んだものではないかと疑う警察とFBI。途中犯人側の視点も登場しこちらも特徴ある人物だが、この視点は無くても良かったか。でもぐいぐい引っ張られ、どんでんでひっくり返される楽しさがたまらない。

2004年7月東京ランダムウォーク赤坂店バーゲン台で

Author Title Start Finish Point
Christopher Priest The Prestige Nov. 5, 2009 Nov. 10, 2009 ★★★★
  The Prestige

 育ての父親から魔術師に関する本を郵送で受け取ったジャーナリストのAndrew Westleyは、この本と自分との関係がわからなかったのだが、女性Kate Angierに呼ばれ北イングランドの家に出かけていくと、それぞれの先祖が奇術師のライバルで、どちらも瞬間移動を得意技としていたことを聞かされた。お互いに強いライバル意識があって、なんとかして相手のトリックを暴こうと必死になり、観客のいる前でバラすことまで発展してしまう。その確執が子孫のAndrew達にも影響しているというのだが。
 時は1878年2人の天才奇術師が相手のトリックに嫉妬して引きずり下ろそうと画策し大変な事態まで発展するまで、やめたほうがいいぞと思っても彼等の勢いは止まらない。その展開がスリリングでぐいぐい引っ張られるのだが、それが現在に影響してというところから、もうひとつ納得できないところが出てしまって乗り切れない。惜しいところだったが、この著者はSF畑で有名らしく、ミステリの作家を調べても出てこない。これは1995年の作品でその後も3冊出ていて評判もいいようだから、探してみよう。

2009年8月八重洲ブックセンタ洋書バーゲンで

Author Title Start Finish Point
Dan Brown Deception Point Oct. 29, 2009 Nov. 4, 2009 ★★★★
Deception Point

Amazonのリンクは文字にしてみた。

  ホワイトハウスの情報分析官Rachel Sextonは上司に緊急で呼び出され、大統領の指示に従って欲しいといわれる。指定場所に出かけたRachelはあれよあれよと北極圏まで連れて行かれる。そこには著名な科学者が集まっていて、テレビ番組で科学の番組を持つカリスマ科学者Michael Tollandもいる。実はNASAの衛星が北極圏で驚くべき物質を発見したので大統領が世界に向けて発表する前に科学者たちに確認して欲しいというのだ。大統領の対立候補Sedgewick SextonはRachelの父親でもあるのだが、NASAの予算削減削減を訴えている。そこへ大統領はNASAの大発見を公表し、NASAを守ろうというのだ。
 再選をもくろむ大統領と、NASAの予算の無駄遣いを訴え、大統領になろうというSedgewick。父親とクールに見て大統領側で仕事をするRachel。裏で工作をもくろむやつらもいて、役者に事欠かないのだが、ちょっと判断が軽すぎはしないか。そんなところで決め付けてしまうから後で困る目になるんだろう、というところがいくつか出てくるのが難点。話を面白く展開するためには仕方ないのだろうし、それで最後までつるつると読めてしまうのだから。

2004年4月リブロ青山店洋書バーゲンで