JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01

60年代初めの渋い2枚のアルバム。

 60年代初めに録音された、J.Hがサイドマンで入っている2枚の渋いアルバムを、紹介してみたいと思う。 最初の1枚は、Jazzアルバムの中の、超有名盤

"Night Light/Gerry Mulligan"(Mercury 1963)

である。

 その昔、民放FM放送で、ジャズ評論家の故油井正一氏が、6年半ホストを努めた”アスペクト・イン・ ジャズ”という番組があった。その、テーマ曲がこのアルバムの"Prelude in E minor" (F.Chopin/arr.G.Mulligan) であった。何故かこの曲を聴くと、条件反射の様に、故油井正一氏の低音の語りが聞こえてきそうな年代 の方たちがいらっしゃる筈です。

 そして、J.Hが地味で目立たないのですが、このアルバムに参加しています。いつの世にも、”声高で ””饒舌で””軽口で”人の迷惑を考えない方たちがいらっしゃいますが、実はそういう方たちが、 帰宅してひっそりとこのアルバムを聞いて反省しているのであれば、許してあげれそうな気も致します。

 ここでひとつ、家主の指示のとおりの聞き方を、試みてください。まず、"Night Light" という曲を、ヘッドフォンで聴きます。この曲は、A(8小節)+A'(8小節)の16小節の曲です。 最初に、Gerry Mulliganがピアノで1コーラステーマ、Art Farmerが1コーラスアドリヴ、Bob Brookmeyer が1コーラスアドリヴ、帰りテーマをまたGerry Mulliganがピアノで1コーラス、そのまま終わります。 J.Hは、アドリヴはなし、バッキングのみ。ヘッドホンで最初のテーマと帰りテーマの9小節目から12小節迄 J.Hのバッキングに集中して、聴いて見て下さい。

 いかがでしたか?ヘッドフォンなしで聴いていたときにちゃんと聴こえていましたか?次回から、ヘッドフォン なしでもJ.Hの目立たない営為が感知できるはずです。J.Hは、一事が万事で、この様な非常に奥ゆかしい 表現を得意とします。そして、この様な奥ゆかしい表現に気付いていない方たちにも、サブミナル(識閾値下) レベルでの働きかけをしているのではないか?と勝手に妄想しています。

 しかし、このアルバムの醸成する独特の雰囲気は、なんと表現したらいいのだろうか?室内楽的ウエスト・ コースト・ジャズの極致!各プレイヤーの当意即妙の事前に譜面に落としていたかのような、これしかない というようなアドリヴ内容。完成度の高いいつまでも楽しめるアルバムである。なんとほぼ40年も前の作品である。

 追記ながら、ベーシストのBill Crow、Dave Bailyも好演、快演している。

 さて、2枚目のアルバムであるが、現在入手不能ではないかと思われる。

"Jimmy Raney/Two Jims & Zoot" (Mainstream 1964)

もし、中古、売れ残り等、見かけたら、J.H.Mとしては即、買いです。小生は西ドイツ盤のCDを16年程 前に入手している。20数年前には、国内盤LPが発売されていた。持っていたが、パクられた。

 アルバム・タイトルで既に3人のメンバーが解かってしまいました。残りは、ベースがSteve Swallow、 ドラムスがOsie Johnsonです。Jimmy Raneyは、J.HがN.Yの生活に慣れるのに随分と力になってくれた 親友であるとJ.Hは、"ジャズ・ギターの探検"(前出 リットー・ミュージック)述解している。 ZootとTwo Jimsがいろんなミュ−ジシャンとのロフトの深夜ジャム・セッションをする内に自然に出てきた レコーディングのアイデアであった。ちなみに、RainyがHallの3歳上、Zootが5歳上である。Hallは当時 34歳。

 全般的に軽快な、ミディアム・ファーストの曲が多く、ZootとTwo Jims の好対照な快演が記録されている。特にRaneyとHallの音色及びラインの構築の相違が対照的で、 キャラが被っているのに、うまく棲み分けしており、ツー・ギターの不自然さは全くない。素晴らしい! Hallは既に、このアルバムで部分的に、ドラムスとギターのデュオになるシチュエーションを設定している。

 また、J.Hはこのアルバムに、"All Across The City"という曲を、提供している。しかも、演奏に際しては テーマ・アドリブはZootとRainyで演奏され、自身は終始バッキングに回っている。何たる奥ゆかしさ! こういった彼の人間性は、当然演奏内容に現れ、また、リスナーも知らず知らずの内にJ.Hに魅了されていくので あろう。まさに、目立たないようにすることが、かえって目立ってしまうという戦略なのかも知れない。

 "All Across The City"は、小生がうろ覚えに覚えているだけで、
    Intermodulation/Bill Evans & Jim Hall(VERVE 1966)
    All Across The City/Jim Hall(CONCORD 1989)
    MasterSessions With Jim Hall/Jim Hall(HAL 1993)  教習Video
    Jim Hall & Pat Metheny/Jim Hall & Pat Metheny(Telarc 1998)
    Grand Slam/Grand Slam(Telarc 2000)で再演されている。

 このアルバムでの”All Across The City”を、このコラムを書くために再度聴いていると、テンポ・雰囲気 が何故か"Night Light"のアルバムによく似ている。”All Across The City”は、J.H流"Night Light"では ないかと、妄想してしまった。上記2枚のアルバムには、いずれも”カーニバルの朝”(黒いオルフェ)が 演奏されている。

 さて、最後におまけです。おまけとゆうか、あれっ!こんなとこにもJ.Hが! ただ、それだけです。左のアルバムは

 Little Big Horn!/Nat Adderey (Riverside 1963)

と言うアルバムです。Nat Addereyはご存知Cannonball Addereyの弟で、全8曲作曲、内4曲に J.Hが加わっている。残り4曲には、Kenny Burrellが参加。リズム隊は、Junior Mance(P), Bob Cranshaw(B),Mickey Roker(d)です。渋さの度合いは相当落ちますが、それでも結構な方、 お金に余裕のある方はどうぞ!OJCの限定盤で1999のクレジットになっていますので、探したら見つかるかも!

(2002,03,09.)