JIM HALL Maniacs

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Chico HamiltonとJ.H。

 Chico HamiltonとJ.Hは5枚のアルバムでその消息が確認できます。

 ・Chico Hamilton Quintet featuring Buddy Collette/Chico Hamilton Quintet/Pacific/1955

 Chico Hamiltonは1921年ロサンゼルスに生まれた黒人ドラマーです。1940年代の初めから、活動を始め、 52年にはジェリー・マリガン・ピアノレス・カルテットに抜擢され、脚光を浴びた。55年に自己のカルテットを 結成、編成の妙(fl or reeds,cello,b,g,ds)とユニークな音楽性で高い評価と人気を得る事になった。そして、このオリジナル・クインテット の初代メンバーにJ.Hが参加している。

 1955年にJ.Hがクリーブランドから西海岸に、キャデラックの搬送のバイトにあやかって旅立ってから、 LAに在住1年を経る前に採用になっていること、そして、The Chico Hamilton Quintet featuring Buddy Collette でのギター・プレイに耳を傾けてみると、既にJazz Guiter Playerとしての充分な下地が出来上がっていた と考えられます。

 しかし、何で西海岸だったんだろうねぇ?N.Yの方が近いし、Jazzのメッカであったことは、充分情報が あったと思うのですが!これは、本人に聞いてみないとわからないし、そんなに深く考えていなかった かも知れない。結果的には、西海岸にいったからJimmy Giuffreとも遭遇する事になる訳だし。 (この疑問は、後の雑誌のインタヴューで解消されました。「最初からNYというのも、気が引けたしねぇ!」 だって、傍若無人にシャシャリ出るタイプでないJHの人柄が出てて微笑ましいですね。)

 「真夏の夜のジャズ」でおなじみの「Blue Sands」の初出がこのアルバムです。J.Hの作曲になる 「Spectacular」という小品も入っています。西海岸でクラシック・ギターを習っていたとのことで、 その成果も部分的に感じられます。まだまだ、発展途上のJ.Hです。

 ・The Original Chico Hamilton Quintet/Chico Hamilton/World Pacific/1955

 こちらのアルバムは、発売されたのが1960年、下に紹介している「Ellington Suite」の後でのことです。 1958年にRichard Bock氏がPacificというレーベルをWorld Pacificに改名。 時系列的に上と下のアルバムの間に録音された、初代メンバーでのThe Strollersでの1955年11月11日のLive録音盤。 「Caravan」(Duke Ellington)が収録されていることもありますが、 1960年まで未発表で、「Ellington Suite」の後に発売された経緯は謎です。 Richard Bock氏に聞いてみないと判りません。(笑) 全体的な内容や収録曲の構成から、上下のアルバムはCD化され、再発アイテムとして ロングセラー的に引っ張り出されますが、こちらは、コレクターズ・アイテムということか? JHの出番もまあまあで、「Tea for Two」では急速調でのアドリブを一所懸命やってます。 そういった、1955年のJHの足跡が垣間見れるということでは興味深いと思われます。

 余談ですが、Chico Hamilton Quintet featuring Buddy ColletteにもLive Trackが5曲 収録されてまして、録音日は1955年8月4日のThe Strollersでの録音。 1955年8月4日か1955年11月11日か、いずれか不明ですが、Chico Hamilton Quintetから Buddy ColletteとChico Hamiltonが抜けた、Carson Smith(Bass)とFred Katz(Cello)とJH の弦楽三重奏での「Stella by Starlight」が、コンピレーションアルバム「Ballads for Backgrounds」 というアルバムで発表されてます。JHはコードのアルペジオのみでFred Katzがメロを取ってますが LoneHill Jazzから発表されている「The Original Chico Hamilton Quintet Complete Studio Recordinds」 のおまけに収録されてます。ちょっと紛らわしいですが、こちらのベースのアルバムは 「Chico Hamilton Quintet featuring Buddy Collette」ですので、お間違いなく!

 ・Chico Hamilton Quintet in Hi Fi/Chico Hamilton/Pacific/1955-1956

 The Chico Hamilton Quintet In Hi-Fiは、初アルバムと数ヶ月しか差がないのですが、 アレンジの密度が濃くなっており、バンドの緊密度も増しており、中身のある出来栄えです。 アレンジ部分とアドリブ部分の交錯が不思議と調和されており、半世紀弱前の作品であるのですが、 充分聴き応えのある、ウエスト・コースト・ジャズに仕上がっています。

 ここでも、J.Hは「Chrissie」という対位法をこなした作・編曲を提供している。さすが、 アカデミックな音楽理論を勉学し、Jazzだけに視点を置かずに、クリーブランド 音楽学院で作曲を学んだだけはある訳です。そういった部分が、Chico Hamilton Quintetにおいては 必要であった訳で、Chico Hamiltonから直接Telでの誘いがあったそうです。celloのFred Katzもしかり。

 この時期、J.Hはギブソンのレス・ポール・モデルを使用しています。 「Jazz Guiter」(1957)のジャケ写は、ES-175ですので2年間ぐらいは、レス・ポールを使用していたわけです。 ジャケ写や、Grand Encounterの裏ジャケにレス・ポールを持っているJ.Hが写っています。 実は、「Jazz Guiter」はES-175での演奏ではなく、レス・ポールでの演奏ではないか?と密かな疑念を 持っているのです。ハイ!

 ・Chico Hamilton Trio/Chico Hamilton/Pacific/1956

 さて、こちらのアルバムでは、10トラックの内にJHが3トラックが参加しています。 実は、10インチ盤で既に発表されていた1953年と1954年に録音されたハワード・ロバーツ(Gt)を含むTrioのトラックが6曲と 、ハミルトンとジョージ・デュヴィヴィエ(B)のDuo 「Skinned Strings」とJH参加の3トラックを1956年に 追録して17インチ盤にリメイクしたもの。

 Pianoなしでギターに、ReedとCelloを加えたオリジナル・クインテットは このロバーツを含むTrioが原型であったそうな。JHは、オリジナル・クインテットに参加してから の録音であります。内容は、まだまだ、Trioを仕切るには力量不足でオボコイJHであります。 2005年に「Jim Hall Trio/Blues on the Rocks」として、上記の3曲と「Modest Jazz Trio/Good Friday Blues」 をコンピレーションにして初CD化されてます。興味のおありの方どうぞ!

 Ellington Suite/Chico Hamilton Quintet with Paul Horn/World Pacific/1959

 1957年頃より、JHはChico Hamiltonのグループを離れて、Jimmy Giuffreのグループで 活躍することが多くなってきます。Jimmy Giuffre 3の初録音は1956年の11月です。 こちらのアルバムは、1959年の初めで、「アレ〜?」と思われますが、それには 訳があるのです。

 実は、この企画は1958年のChico Hamiltonのメンバーで既に録音されておったのです。 そのメンバーは、 John Pisanoのギター、Eric DolphyのReed Fluteを含む「真夏の夜のJazz」に 出演していたメンバーなのです。当時のWorldPacificのプロデューサー Richard Bockは Eric Dolphyの演奏が気に入らず、テストプレスまでして、「没」にしてしまった。 其の儘、陽の目を得ずに歴史の闇に埋もれてたのを、引っ張り出してきたのが、MosicRecordを 主宰している Michael Cuscuna氏なのです。WorldPacificの録音リストを精査し 、マスターテープ不在の中、上のテストプレス盤をUKの中古レコード店で発掘し、 「The Original Ellington Suite」として2000年にCD化してしまったのです。

 で、話は戻りますが、Chico HamiltonはJH、Buddy Collette(Ts)、Paul Horn (Fl)、 Carson Smith(B)、Fred Katz(Cello)、を再召集して「Ellington Suite」を編曲も新に仕上げたのです。 そしてお洒落な、ウエストコーストジャズが残されました。JHは3年の内に腕前を格段の上げたのが よ〜く判ります。「The Original Ellington Suite」は、又、それなりに興味深いものですが、 Richard Bock氏がOriginalを「没」にしなかったら、JHを含む「Ellington Suite」が 反対に陽の目を見なかったかもしれない。う〜ん、色々あるもんですねぇ!(笑) あ、ジャケットの油絵は日本人で残念ながら、2004年に鬼籍に入られましたが、Sueo Serisawa氏です。 Pacific、World Pacificのカバーでよく採用されてます。ハイ!

 J.HがChico Hamilton Quintet在団時に、MJQが西海岸に演奏旅行でLAを訪れ、その際に西海岸のプレーヤー と東海岸のプレーヤーのセッションがアルバムとして残された。

 ・Grand Encounter 2°East 3°West /John Lewis /1956/Pacific

 西海岸側からBill Perkins(ts) Chico Hamilton(ds) Jim Hall(g)、東海岸からJohn Lewis(p)  Percy Heath(b)の5人によるセッションである。2°East 3°Westを「2度東3度西」と邦題がつけてあるが、 2人が東海岸、3人が西海岸からのセッションだよというもじりが充分伝わってこないが、まあ致し方ないか! 2°East 3°はJohn Lewis作曲のブルース。

 J.Hは、「Skylark」でフューチャーされている。その後、フェイバリット・チューンとして よく取り上げている。ところで、実は、このアルバムをその昔、入手しておったのだが 何回聴いても物足りずに、結局リサイクルに回してしまった。最入手して聞いてみるのだが、やっぱり 前ほど我慢できないことはないのだが、何か物足りないという思いが残る。何なんだろう?地味なJim。 アルバム全体として大人のムードなのかしれないが、覇気というか、Jazz Spiritsというか何か物足りない。 ついでといっては何だが、ジャケ写の女性の目がヒンガラ目(寄り目)になっているぞ! 小生の持っている版のジャケ写だけなのか非常に気になる。

 その後、J.Hは1957年にJohn Lewisから活動拠点を東海岸に移さないかと勧められ、1960年に実行している。 親交は続き、全出の「A Life in Progress」にも、ゲストとしてJohn Lewisが出演している。 おっと、「A Life in Progress」にはChico Hamiltonもゲストとして出演している。お二方は、J.H としては、思い入れのある方なのであろう。

 Grand Encounterの9ヶ月後に、Hampton HawesのアルバムにJ.Hが客演している。

 ・All Nighi Session/Hampton Hawes Quartet/1956 Contemporary

 Red Mitchel(b)、Bruz Freeman(ds)とのQuartetである、Red MitchelとはこのSessionが初遭遇か? 何といっても、Hampton Hawesのヴィヴィッドでブルース・フィーリングの溢れるドライブ感、独特の リズムのユラギ感、少々冗長だがゴリゴリ押してくる所が素晴らしい。

 J.Hのミニマルで、エッセンシャルでクールな短めのアドリブが好対照になっている。実は、このアルバム を初めて聴いたのは、30年とちょっと前で、しかも友人所有のオープン・リールにダヴィングしたものであったわけで、 パーソネルなど頭に入っていなかったのだ。Hampton Hawesのピアノに惹かれて、誰か知らないけど しょぼいギターが入っているなぁという印象しか残っていなかったのである。 この時がJ.Hとの初遭遇だったのですが、小生にとってJ.Hが認識されだしたのは その後数年経ってからAlone Togetherに出会ってからということでして、ホントニ永い付き合いです。

(2002,09,08.)(2006,12,22.-2007,01,05-13.増補改訂)