JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01


Jimmy GiuffreとJ.H。

 Chico Hamiltonのグループを退団後、J.HはJimmy Giuffreの変態的編成のグループに起用される。

 The Jimmy Giuffre 3 / Atlantic / 1956

 Jimmy Giuffreは、テキサス州ダラスに1921年に生まれ、9歳でクラリネットのレッスンを受け、 14歳でテナー・サックスに持ち替え、8年間作曲を学ぶハイ・ブレーンなリード奏者。 第2次世界大戦中は、空軍バンドに在籍、その後バディ・リッチのグループの奏者兼編曲家として 活躍、1949年にWoody Herman楽団に「Four Brothers」を書き一躍脚光を浴びる。その後、Howerd Rumsey, Shorty Rogersらのグループで活躍、1956年にSmall Groupでのコンセプトを具体化する。

 それが、Jimmy Giuffre 3である。1927年生まれのRalph penaは、Tube,Baritone sax から転向してきたベース奏者で、音楽教育を受け編曲も手掛ける、やはりハイ・ブレーンな演奏家である。 このグループの当初のコンセプトをJimmy Giuffreはこう語っている。

That all the members want to play and enjoy playing the same type of music... no instrument is indespensable... this group uses a single reed instrument, one guiter and one double bass, without piano and drums... it is better to have an integrated group rather than soloists with accompaniment... the written and improvised parts are half and half...

 このアルバムには、映画「JAZZ ON A SUMMER'S DAY」(真夏の夜のジャズ/1958)のオープニング・テーマの 「The Train And The River」が、収録されている。reed,gt,bのトリオだけでも相当変態的であるのに、 Ralph penaが退団して更に変態度が増すのである。

 1957年Jimmy Giuffreは、バルブ・トロンボーン奏者のBob Brookmeyerと邂逅する。Ralph pena(b)の 替わりに、バルブ・トロンボーン奏者のBob Brookmeyerを起用する。変態度更にアップである。

Trav'lin' Light / The Jimmy Giuffre 3 / Atlantic / 1958

 Bob Brookmeyerも才人である。ピアノを弾き、編曲も手掛けるハイ・ブレーンな演奏家である。 このアルバムは、3人の緊密度、インター・プレイ、アレンジ部分とアドリブ部分の自由な交錯など 変態的編成ではあるが、素晴らしい出来栄えになっている。このグループに関してJ.Hは、次の様に 語っている。

“Giuffre’s idea - at least after Brookmeyer joined us - was to have three linear instruments improvise collectively. He believed it didn’t make any difference whether or not the group had bass or drums. He said the instruments should be able to keep time themselves. It was damn hard, yet it was one of the most enlarging experiences I’ve had.”(Europe Jazz Network)

 J.Hの脱毛が促進されたのは、この時期であると本人が仰っているらしいが、それは違う、 自然の摂理ではなかったかと小生は妄想しています。 ところで、この時期、東海岸ではハード・バップの真っ盛り、ところが、このグループはJAZZという同じDNAを持っているのに 進化系統樹が少々違うらしい。ブルーノート・フレーズは、使用するのだが、コテコテでダウンツーアース なブルース・フィーリングではなく、様式美として白人式ソフィスティケーションが施されている。 西海岸の気候・風土を反映してか、カラット明るい。ウエスト・コースト・ジャズのひとつの極端形であると 妄想している。収録曲の中に「The Green Country」というのがありまして、これは完全に非ジャズです。 先入観なしにこれだけ聴いてみると、ECMの無国籍FolkSongの様な趣があって大変面白いと妄想しました。

 他にも、同一メンバーで「The Four Brothers Sound」The Jimmy Giuffre 3 / Atlantic / 1958 という のがあって、こちらは、Jimmy Giuffreが多重録音をし、Bob Brookmeyerはピアノを弾いています。 また、同時期にBob Brookmeyer名義の、Traditionalism Revisited (1957)、Kansas City Revisited (1958) というアルバムがありますが、なかなか見つかりません。入手した際には、レポートを入れます。

 国内盤再発定番商品が、

 Western Suite / The Jimmy Giuffre With Bob Brookmeyer & Jim Hall / Atlantic / 1958

です。A面に相当する部分が組曲、B面に相当する部分にJazz Standardの「Topsy」と「Bule Monk」が 収録されている。B面部分は、この変態的編成でやる必要が本当にあったかどうか?はなはだ疑問が あるのですが、その結実は、別の所で花開いてしまうのです。

 B面は、変態的編成で普通のJazzをやろうと試みている。J.Hがaccompanimentの役割を果たす事になり、 リズム・ギター、ベースの役割を果たしている。最初はIn Twoで、途中からBass Lineの単音弾き、 そして次になんとハーモナイズド・ベースラインというものをイノベートしてしまった。ハーモナイズド・ベースライン とは、ベースラインの上に更に、コードを乗せるという奏法で、通常のビッグバンドやコンボのリズム・ギター ではベースがいるので、必要のない奏法である。Jimmy Giuffreの変態的編成の中で初めて必要とされたこと であります。

 Bill EvansとのDuoのUndercurrent (1962)に収録している「My Funny Valentine」でJ.Hが このハーモナイズド・ベースラインを披露して、世間を「あっ!」と言わせたのは 40年も前の話です。必要は発明の母!
 この後、The Jimmy Giuffre 3 は、a single reed instrument, one guiter and one double bassに 戻り、べースがレッド・ミッチェルで「Seven Pieces」 (Verve 1959)、べースがレイ・ブラウンで 「The Easy Way」(Verve 1959)を残している。「The Easy Way」では、J.Hの作曲の「Careful」の 初演が収録されている。この2枚は未チェックであるが、かろうじて「Jimmy Giuffre with Jim Hall」 (Gaiants of Jazz)というコンピレーションで「Careful」を含め1曲づつ確認が取れた。

 Jimmy Giuffreのグループから約20年後、J.HとBob Brookmeyerは、Duoでライブ録音を残している。 発表されたのは、20年後であったが!

 Live At The North Sea Jazz Festival / Jim Hall & Bob Brookmeyer / Challenge 1979

 実は、このアルバムの1年前に二人は、Duoのギグを行っていたらしい。このアルバムが発表された 経緯は詳しく解らないが、Bob BrookmeyerがChallengeと契約している事と関係があるのかも知れない。 Bob Brookmeyerは、このレーベルにピアノ・トリオやオーケストラのアルバムを含め数点発表している。

 全体的にほとんどの曲のテンポが、ミデアム・ファーストであり、も少し工夫ができなかったかと 少々残念だが、このテンポが演りやすく破綻が少ないのかも知れない。J.Hは先ほどのハーモナイズド・ベースライン は、さほど出てこずに、シンコペーションを利かしたリズム・ストロークで伴奏をしている。 J.Hが裸になり、ほとんどSolo状態になると、インテンポからルバート(ノンテンポ)になり、 またインテンポになるというパターンも多い。しかし、JHMとしては、70分ほとんどJ.Hが出ずっぱり である事からすると、大変お徳用なアルバムとも言えよう。「I hear a Rhapsody」の二人のラインの 絡みが大変面白い。

 1984年に、Bob BrookmeyerはJ.Hをフューチャした交響曲を作曲、Stockholm Radio Symphonyと 実演している。1990年には、「Jim Hall Invitational」というイヴェントの一部にDuoで登場し 「Jim Hall And Friends Live At Town Hall」(Musicmaster 1990)に、そのパフォーマンスが 収録されている。

(2002,09,21.)