JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01


Quincy JonesとJ.H。

 1962年から1971年迄のQuincy JonesのアルバムにJ.Hがスタジオ・ミュージシャンとしてクレジット されている。

 ・Big Band Bossa Nova/Quincy Jones and his Orchestra/Mercury/1962

 このアルバムが、Quincy JonesがJ.Hを起用した最初のアルバムだと思われる。 やはりJ.Hが参加しているBig Band Bossa Nova/Stan Getz (Verve 1962)という同名のアルバムがあるが、 全く別物である。そしてライナーに次の様に記されていた。
Jim Hall----who has been in forefront of bossa nova experimentation in this country---joins the band on guiter.
「EllaとBossaとJ.Hと。」で、Big Band Bossa Nova/Stan Getz にJ.Hが起用された事について ”1962年に既にBossa NovaがUSで注目を浴び、クリード・テイラーはJazzとのクロス・オーバーの絵を描き、 J.Hは創成期の”Bossa Nova”の事情通ということがあっての採用ではないか?と妄想する。”と書いたのは あながち妄想ではなかったのである。この時期J.Hは、「創成期の”Bossa Nova”の事情通」で名が通っていたのであろう。 録音日は、Stan Getzの方が62年の8月末、Quincy Jonesの方が9月初めとニアミス状態である。

 Quincy Jonesは、1933年にシカゴで生まれ、10代からTpを吹く"熱心な子供"としてクラーク・テリーや カウント・ベイシーらに知られていたらしい。その後、ライオネル・ハンプトン楽団で働き、1953年に フリー・ランサーとなる。ヘレン・メリルとクリフォード・ブラウンの「You'd be so nice to come Home to」 の、イントロのヘンリーマンシーニを匂わせるアレンジは、Quincy Jonesによるものである。 編曲者、プロデューサー、バンド・リーダーであり映画・TV音楽も手掛け、近年ではマイケル・ジャクソン 等のブラック・コンテンポラリーや、「We are the world」に関与した事でもご存知であろう。

 さて、このアルバムであるが、やや軽めではあるが、J.Hも随所にフューチャーされており、良質な BGMとしてよくまとまったアルバムであり、JHMとしてはお薦めです。J.Hの他に、Clark Terry(tp)、 Phil Woods(as)、Roland Kirk(fl)等、著名な方々が参加しています。

 翌年の録音にもJ.Hがクレジットされている。GuiterにはJ.H以外にもKenny Burrell,Sam Harman,Wayne Wraight  がクレジットされている。

 ・Quincy Jones Plays Hip Hits/Quincy Jones/Mercury/1963

 J.Hは、最初の曲「Comin' Home Baby」と最後の曲「Bossa Nova U.S.A」にフューチャーされているのだが、「Desafinado」にも出てくる。 というのは、「Desafinado」はBig Band Bossa Novaのそれと全く同じで、新録のみでなくどうもコンピレーション・ アルバムのような部分が一部ある。ライナーを何回も読んだのだが、それぞれの曲の出自が明記されてない。 1963年の4月に、モノラルからステレオにやり変えたとしか書いてない。平明で堅苦しくない 気楽だが内容はしっかりしているというQuincy Jonesのポリシーが貫かれている。 ポピュラリティにあふれた選曲、「Comin' Home Baby」「Back At The Chicken Shack」「Take Five」「Watermelon Man」 等。その後、もっと大衆受けする方に転向したのも、金銭・名声への志向が強かったからであろう。 まあ、その件については、とやかく「ああだこうだこうだああだ」各論あろうがこれ以上踏み込まない。

 1997年に、「The Jazz'round Midnight Series」として、VerveとMercuryの9枚のアルバムから 14曲のQuincy Jonesのコンピレーション・アルバムが発売された。

 ・Jazz'round Midnight/Quincy Jones/Verve/1997

 上記2枚のアルバムからも選出されているのだが、「Golden Boy」Mercury/1964からJ.H含みで、 「Django」と「The Witching Hour」が収録されている。「Golden Boy」が入手不能であるから このアルバムのJ.Hの1964年の「Django」(ストリングセッション付き)1コーラス半のアドリブは、小生にとっては大変興味深く 楽しませてもらった。この1曲の為に、このアルバムを入手するのはどうだかなぁ! と思っている方、このコンピレーション・アルバムはよく創ってあります。Quincy Jonesの Big Band Jazz (1958−1964)の良質なエッセンスが詰まっています。Ellington Medlleyなんかもありなかなか良いですよ! ただ、同一曲が被ってしまいますが!(笑)

 そういえば、アルバムの出だしの曲「A Change of Pace」は、NHKのFMJazz番組のテーマにつかわれていたのだが、 何という番組であったか思い出せません。聴いたらああこの曲かと、聴いた事のある方はうなづくはずです。

 Quincy JonesがJazzフェーバーを残しながら、少しづつ非Jazzへと転向しつつある時期のアルバムに またJ.Hにお呼びが掛かっている。

 Smackwater Jack/Quincy Jones/A&M/1971

 J.Hは「What's Going On?」「Brown Ballad」でフューチャーされています。「What's Going On?」 ではToots Thielmansのギター・口笛のユニゾン・ソロ、Milt Jackson(Vib)の後に、モーダルなアプローチで登場し ウエス・モンゴメリーを意識したようなオクターブ奏法を見せてくれます。それにしても、このアルバムの 参加ミュージシャンを列記してみますと、Hubert Laws(fl),Freddie Hubbard(Flugelhorn),Larry Bunker(per), Eric Gayle(g),Joe Beck(g),最近逝去されたRay Brown(b)などの豪華メンバーです。

 少々話が変わりますが、このアルバムに「Ironside」というTV番組「鬼警部アイアンサイド」のテーマ が入っています。この曲はその昔、「ウイーク・エンダー」という漫画家の加藤芳郎が司会をし、 桂ざこばや泉ピン子らのレポーターが三面記事のテロップを見せながら、面白可笑しくレポートすると いうTV番組に使用されていました。この曲に関しては、J.Hは関与しておりませんのでご心配なく(笑)

 あれれ、これは日本の日野皓正氏ではありませんか?

 ・Trans-Blue/日野皓正/CBSSONY/1985

 そうなんです、ここにもJ.Hが神出鬼没にも登場しているのです。佐藤允彦氏の 編曲によるストリングス付きのゴージャスなアルバムです。J.Hの出番はあまりありませんが、「Black Orpheus」で J.Hらしいミニマルなアドリブを聞かせてくれています。J.Hと「Black Orpheus」は、リーダー・アルバムでの 録音はないのですが、サイドメンとしての演奏は結構あるのです。漏れがあるかもしれませんが、 確認しただけで、

     ・Big Band Bossa Nova/Stan Getz/Verve/1962
     ・Big Band Bossa Nova/Quincy Jones and his Orchestra/Mercury/1962
     ・Night Light/Gerry Mulligan/Mercury/1963
     ・Two Jims & Zoot/Jimmy Raney/Mainstream/1964
     ・Trans-Blue/日野皓正/CBSSONY/1985

 これはこれでどの様に解釈したら宜しいのやら!まあ、兎に角J.Hは「創成期の”Bossa Nova”の事情通」 である事だけは、押さえて置いてください。

(2002,10,20.)