JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01


リズム・ギター奏者としてのJ.H。

 「もしもリズム・プレイを時代遅れだと思ってしまったら、ギター弾きならではの面白さを一つ損して しまう事になるんじゃないかな。いいリズム・セクションの中に入って一小節に4つ四分音符を 刻みながらご機嫌な夜を過ごせたら、まるで、いいパートナーとダンスを楽しんだようなものなんだ。」 ……前出 ジャズ・ギターの探検

 ・The Swingers! /Lambert,Hendoricks&Ross /World Pacific /1958,1959

 という訳で、J.Hがリズム・ギター奏者として、縁の下の力持ち的役割に徹しているアルバムが結構 あるのだ。上記のアルバムでは、全篇J.Hのリズム・ギター奏者としてパフォーマンスが見られる。 曲によって、録音バランスからか、リズム・ギターの音量が大小あるのだが、アドリヴは一切出てきません。 J.Hのリズム・ギターのパフォーマンスだけの為に、投資するのもなぁと迷っているあなた、このアルバムは Lambert,Hendoricks&Rossのヴォカリーズ・アルバムとして充分楽しめるものですから、是非チェックしても 損にはなりません。

 同じくJ.Hが、縁の下の力持ち的役割に徹しているアルバム、J.Hのアドリヴ一切なし。

 ・Herb Ellis Meets Jimmy Giuffre /Verve /1959

 中編成のバンドで、Giuffreのアレンジ、リズム隊でJ.Hのリズム・プレイが聴ける。但し、耳の穴を かっぽじって、集中しなければ聞き取れないぞ!大音量で再生するか、ヘッドホーンで聴くとよい。 Herb Ellisも、中後期のプレイみたいに、まだステレオタイプ化してなくて新鮮なラインを紡ぎだしている。

 「20代の頃の僕は、フレディ・グリーンみたいになりたいと思っていたんだ。”どうやったら彼みたいに ドライブできるんだろう”とJimmy Giuffre3のツアー用のフォルクスワーゲン製バンの後部座席で考えたものだ。」 ……前出 ジャズ・ギターの探検

 フレディ・グリーンは、言わずと知れたカウント・ベーシー楽団のリズム・ギター奏者、生涯ノーアンプ でパフォーマンスした。シンプルで空間があり、ギターを効果的に鳴らすコード・ヴォイシングで、他の リズム・セクションの邪魔にならないリズム・ギターの先駆的人物である。1930年代のスイング全盛時代 には、電気ギターもなければ、PAなんかない、アコーステックな音量のみでの勝負である。 27〜8年前だったか、カウント・ベーシー楽団のLiveを広い会場で聴いたことがある。ノーアンプの フレディ・グリーンのリズム・プレイが、ちゃんと棲み分けが効いて、客席まで聴こえてきていた。 魔法か魔術であるとその時思った。

 「ジャズ・ギターの探検」には、George Van Eps,Carl Kress,Allan Reuss,Barry Gallbraith, Billy Bauer,Mundell Lowe,Oscar Moore,Herb Ellis,Barney Kesselらのリズム・プレイに関して J.H自身のコメントが書いてある。興味のある方は、是非どうぞ!

 J.Hのリズム・プレイと、アドリブが楽しめるアルバムもある。

 ・At The Renaissanse /Ben Webster /Contemporary /1960

 このアルバムは、1960年にLive録音され、永い間発売が見送られていた。1972年にLPで4曲入りで発売され 、2001年にCD化と共に8曲入りでこの日の全容がかいま見られることとなった。Ben WebsterとJ.Hが 一緒にパフォーマンスしている記録としては、唯一無二ではないか?Live録音ということで、少々 ラフでアバウトな部分もあるのだが、観客の反応もあり、それはそれで楽しいものとなっている。 "Mop Mop"では、J.Hのホットなソロが聴けるぞ!"What is This Thing Called Love"では、スインぎーに一小節に4つ四分音符 を刻む、地味なJimに徹している。

 こちらも、J.Hのリズム・プレイと、アドリブが楽しめるアルバム。

 ・Stitt Plays Bird /Sonny Stitt /Atlantic /1963

 Sonny Stittがチャーリー・パーカー関連曲を中心に、創ったアルバムで、John Lewis(p),Richard Davis(b), Connie Kay(ds)とJ.Hからなる編成。John LewisつながりでJ.Hも参加したのかなぁと妄想している。 LP40分の制約で、9曲と少々詰め込みすぎのきらいがあり、おはちがJ.Hにきてショート・アドリブ なのですが、そこはそれ、ミニマルな表現が得意なJ.Hは上手にかわしています。Stittのドライブ感、 パーカーにはない陽気さがあって、好感の持てるアルバムですが、J.Hはどちらかというとミス・マッチ ではなかろうか?と妄想しております。

 さて、もう1枚おまけです。

 ・After The Lights Go Down Low And Much More!!! /Freda Payne /Impulse /1963

 A面は、Manny Albam編曲の中編成のバンドで、B面はJ.Hを含むスモール・コンボをバックに 当時弱冠21歳のFreda Payneが歌う、ボーカル・アルバムです。"'Round Midnighi"での J.Hのサビだけの1/4コーラスのアドリヴが、なかなかの聞き物です。お金に余裕のある方是非どうぞ!

 それにしても、1960〜1965年の間のJ.Hのサイドメンとしてのクレジットは多岐にわたる。知名度はあがり、 ミュージシャン仲間からも一目置かれているのだが、リーダーとしてバンドを運営していくことにはならず、 しのぎを削っていくのは、大変であったのではと思われる。その足跡を多少なりともたどっていくと 、少しだけ理解が深まったのではと勝手に思っている。この時期の演奏で、迷いや乱れをふと感じる時 があるのだ。どれがどうだこうだというのではないのだが!家主の勝手な思い入れ、妄想に過ぎぬかもしれない。 但し、この時期をしのぎ越した事が、その後の発展に少なからず影響しているのではと考えているのだが、 どの様に思われますか?皆さん方は!

(2002,11,17.)