JIM HALL Maniacs

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1960年代後半のJH

 1966年に発売されたHerbie Hancockが音楽監督をしたサウンドトラックアルバムに、JHが出没しています。

・Blow-Up: Original Motion Picture Soundtrack/Herbie Hancock/Rhino/1966.11

 「Blow-Up」という映画は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の不条理劇の超名作だそうです。 だそうですというのは、話題になった映画らしいのですが、チェックしていないもんで。スイマセン! サウンドトラックの内容は、これが、Folk Rockあり、モーダルなJazzあり、Yardbirds(Jimmy Paze,Jeff Beckがメンバー) の「Stroll On」があり、Jazz Rockあり、そしてJH参加のトラック「Jane's Theme」(5:00)「The Kiss」(4:13) 「The Bed」(2:34)があるというジャンルごちゃ混ぜの当時の新録音コンピレーションなんです。

 このJH参加のトラック3曲がJHの出番も申し分なくなかなか宜しいです。「Jane's Theme」のJaneさんは、JHの 奥さんではなく、女性の登場人物の名前です。多分トラックの題名を見ていただけば、お分かりの様に どうも曲の挿入シーンが「濡れ場」がらみみたいで、大層しっとりしています。曲だけを先入観抜きに 聴く場合と、映像を伴う場合ではまた違う印象を持つのではないかと思いますが!このアルバムの存在は 井上智氏から教えていただきました。情報有難うございました。

 前にも言及していますが、1965年にJHはアルコール性疾患を患い療養を余儀なくされます。 病明けからは、ツアーを避け、USの有名なTVショウ番組の中のマーブ・グリフィン・ショー・オーケストラ にハーブ・エリスの後任で3年半在籍します。時代背景的には、Rockの台頭、USでのジャズクラブの経営困難、 フリー・ジャズの発展、ヨーロッパや日本でのJazzの評価良好、ジャズレコードレーベルの暗中模索、 と言うような状況があったと思われます。そういったことも間接的には影響していると思いますが、JHの 1960年〜1965年の参加アルバム数と、1966年〜1970年のアルバム数をJH DISCOGRAPHYで比べてみてください。 この60年代後半のアルバムとして残っている足跡は、本当に少ないのです。

 1969年録音の2枚目のリーダーアルバム「It's Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin」と、 60年代前半のプレイが、小生にとってはリニアーにつながらないのです。というのも、60年代後半のアルバムとして残っている足跡 が少ないから、情報不足なのでノンリニアーに感じられるのです。実際はツアーに出ずにNYに腰を落ち着けて、充電も含めて、 様様なアイデアの具現とか、Trio Formatでの切磋琢磨とかを精進したに違いないと妄想しています。 1967年には、初来日、同年Berlin Festival Guitar Workshopにも参加しています。 知名度があり実力があっても、リーダーアルバム制作の要請はUSではなく、ドイツの ジャズ評論家のヨアヒム・ベーレントのプッシュで2枚目のリーダーアルバムが出たのも 考えてみれば、皮肉なもんです。

 ところで、60年代後半に何故か3枚のStan Getzのアルバムに参加しているのです。

・Stan Getz and Arthur Fiedler at Tanglewood/Stan Getz/RCA/1966
・Voices/Stan Getz/Verve/1966
・What the World Needs Now/Stan Getz Plays Bacharach and David/Verve/1967

 「Stan Getz and Arthur Fiedler at Tanglewood」はArthur Fiedler率いるBoston Pops Orchestra とのLive盤らしいのですが、未チェックです。「Voices」「What the World Needs Now」は、 いずれもストリングス付のイージーリスニング系の2〜4分のトラックです。JHの出番もほとんど 有りません。

 それにしてもなんでCharlie ByrdやLuiz BonfaやJoan Gilbertoではなくて、JHだったんだろう? 1962年の「Big Band Bossa Nova」の際に、JHはStan Getzのアルバムに参加しています。 その時の印象が良かったから、オファーを出したのだろうか?JHが他のプレイヤーよりもギャラが リーズナブルだったのだろうか?う〜〜ん、何でだろ?

 他に病上がりからセカンドリーダーアルバムまでには、「Intermodulation」(1966)、 「The Lee Konitz Duets」(1967)、「Berlin Festival Guitar Workshop」(1967)、 「1969:All Star Tribute To Duke Ellington」(1969,2002Release)しかなく出番もそう多くないので リニアーな流れが非常に掴み辛いのです。しかしながら、アルバムという足跡がない為にかえって、1965年までの様々な蓄積が60年代後半の現場で 熟成されて、一気に「It's Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin」に結実したかの様に 思えるのです。それまでの、流れから一皮も二皮も剥けた様な印象を感じます。

 余談になりますが、「It's Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin」では、JHの現場で出していた音色を、録音技術の進歩と 相俟って録音技師充分が承知していたような気がします。60年代前半の音色はアルバムによって 様々なのです。録音技術の問題も有ったかもしれませんが、録音技師の感性もあったかもしれません。 もしかしたら60年代前半の生音は、in Berlinの様な音色を出していたのではないかと思いますが、 録音された音はモコモコと輪郭のない仕上がりになっているアルバムがあるのです。

 セカンドアルバム以降リーダーとして活動をしていきますが、アルバムという足跡では、 やはり時々空白期があります。1973〜1974年、1977年、1980年、1983年、1997年、2002年〜。 日常のクラブ演奏、コンサート、イベントは継続的に行なっているのでしょうが、アルバム制作となると 同一フォーマットや同工異曲を好まないのでしょうから、アイデアや創作意欲とのバランスもあり インターバルが空くのは致し方ありませんね!JHMとしては、寂しいですが。 それにしても1990年代のTelarcの8枚は、同工異曲のアルバムがなく還暦を過ぎたJazzPlayerとして お見事というしかありません。

 さて、こちらp-tanさんから教えていただいたアルバムです。

・Color and Light:jazz sketches on sondheim/Various Artists/sony classical/1994

 ミュージカル作家の巨匠スティーヴン・ソンドハイムへのトリビュートアルバムです。 Trence Blanchard、Herbie Hancock、Grover Washington.jr、Nancy Wilsonなどの 新録コンピレーションです。内容的にもよくまとまっています。 JHは、「One More Kiss」(4:04)「What's Can You Lose?」(5:42)2曲を Scott Colley(b)、Jeff Hirshfield(ds)のTrioフォーマットでパフォーマンスしています。 1990年代にこのTrioフォーマットでやっているトラックは、他のアルバムでもなかったんじゃないか と思います。やはり、うまいなぁ!ノビノビと、それでいてミニマルでクールに料理する様は、 さすがです!

   21世紀になってからのサイドメンとしてのアルバム。

・Stardust/Bill Charlap/Blue Note/2001

 Bill Charlapは中堅のピアニスト、確かお母さんがジャズ・シンガーだったそうです。 基本的にはBill Charlapのピアノトリオが中心のアルバムですが、ゲストとして Tony Bennett、Shirley Horn、frank WessとJim Hallが加わっています。 JHは、ピアノトリオに加わってカルテットの演奏1曲のみです。現在アルバムで聴ける直近音源 トラックになります。アルバムとしてもよくまとまっています。宜しかったらどうぞ!

(2003.11.29)