JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01


2004年1月、JHを見にNYに行ってみた。

 1月24日〜25日の2日間、NY BlueNoteでJHとCharlie Haden(b)のDuoが催行されるのは昨年から 承知していた。まさか、小生がそのパフォーマンスを見にNYまで行く事になろうとは、毛頭考えていなかった。 ところが、年末に「そうだ、行けるもんなら、行ってみよう。」と急に意を決してしまったのだ。 幸いな事に、オフ・シーズンだったからか、航空券、ホテルの空きもあったので、 年始からパスポートの手配、NY関連の情報等を収集しはじめた。英語は多少読めるものの ヒアリング、スピーキングは全く駄目、海外単独洋行は始めての経験、「ええい儘よ!なんとかなるだろう」 と高をくくって無鉄砲ないい年をしたオッサンが行動を開始したのである。

 結果は、こうやって無事帰国でき、レポートを書いているのであるからして、 結果オーライなのであるが、NYトホホ体験だけでもコンテンツになりそうである。(笑)  という訳で、2泊4日NYトンボ帰りの強行スケジュールの中の「Charlie Haden Duets A Week of Guitar Greats featuring Bill Frisell(1/20-21);John Scofield(1/22-23);Jim Hall(1/24-25);」の1月24日の開演前のJHとの接見と8:00pmと10:30pmの2Setの報告をします。 お待たせしました。ちなみに左の写真は、BNの店頭のポスターです。

 JHとCharlie Haden(b)のDuoであるが、今回が初めてではない。2002年9月にイタリアで、2003年5月には サンフランシスコでパフォーマンスが行なわれている。しかしそれより前のJHの現時点での最近作 「Jim Hall & Basses/2001/Telarc」ではCharlie Haden(b)とのDuoが2つのトラックに記録されている。 この時のレコーディングが契機となって、以後Charlie HadenからのオファーでDuoが実現していると 妄想しています。

 Charlie Hadenは、1937年生まれでJHより7歳年下。 オーネット・コールマンのグループの縁の下の力持ちとして1950年代の末に登場した。 半音進行を多用するアトーナルな(無調)ベースラインを持ち味として、従来のバップ系のベーシストとは 違うフリー・ジャズ系の元祖ベーシストである。子供の頃は、ミズーリーでカントリー・ウエスタン に親しんでいたのにである。その後の共演者としては、Keith Jarrett、Gato Barbieri、Michael Brecker、 Jan Garbarek、Paul Motian、Gonzalo Rubalcaba、John Scofield、Geri Allen、変わった所では、小野ヨーコ、矢野顕子 などがいる。政治的なメッセージを持った「LIBERATION MUSIC ORCHESTRA」も運営しながら、 Pat Methenyとの牧歌的な「Beyond The Missouri Sky」ではグラミー賞を受賞している。 1990年代からは、Hank JonesやKenny BarronとのDuoやQuartet Westとしての活動など オーソドックスなJazzへと回帰しているかのように思われる。今年の1月2週目には、Kenny Barronとの DuoでBlue Note Tokyoに出現してたのを観覧された方もいらっしゃるかも。

 前置きが長くなってしまったが、いよいよ本題。1月24日7:20PMにNY在住ジャズ・ギタリスト井上智氏と NY BlueNoteの前で待ち合わせ。予約は入れてあったものの既にほぼフルハウス状態。 席に着きオーダーを入れ一息入れ、7:35PM頃に、井上氏と2階の楽屋に突入。 事前に井上氏の方からJH氏に「日本でファンサイトを運営している人を楽屋に連れて行きます。」 との根回しが済んでたので、Charlie Hadenの楽屋にいたJHは、「こっちこっち」と別室に案内してくれ、 「一寸、手を洗ってくるからね。」と又出て行って、すぐ戻ってきた。

 そそくさと再度挨拶をし直し、「Nice to Meet You」と言って握手した。 このサイトのプリントアウトをファイルにしてあったのを謹呈する。「お〜素晴らしい。」 といってくれたような気がしたが、何といったのかヒアリング不能。 「I first met You 1976 OSAKA KOSEINENKIN Backstage。」といったら、「???... その時誰と行ったんだっけ?」と返答。「Don Thompson、Terry Clarke。」「おーそうかそうか、うんうん。」

 「Can I Take a Picture?」といって撮らしていただいたのが、この写真。 どうです皆さん、JHの表情がそこら辺に流通しているのと違うと思いませんか? どちらかといえば、素のリラックスしたいい感じで上がってくれて大変嬉しいです。 「フラッシュは焚かないでくれよ!」とJH。後で井上氏に聴いたのだが、眼の手術をしたとかしないとか。 「今度6月に来日しますが、日本のファンにメッセージをいただけますか?」ということで 書いていただいたのが、「Peace and Love to All of my Friend in Japan,Jim Hall 2004」 というメッセージでした。これは、家宝にしよう。ということで、開演時間も近づいてきているので もう一度握手してもらって失礼した。正味15分ぐらいの接見であったが、充分大満足。

 席に戻ってそうこうしていると、場内アナウンスがあって、2人が入場、セッティングが済んでおもむろに 1曲目が始まった。「Bent Blue」という12小節のJH作曲のブルース、「Jazzpar Quartet + 4」に入っている 「Mr.Blues」という曲に酷似している。同一曲のタイトルを変えたのかもしくは、同工異曲の別の曲か? Charlie Hadenのベースは重厚という言い方が其の儘、当て嵌まる。少しだけタメが利いてて、手数も 多くない、ラインもオーソドックス、緊密なインタープレイの手口は使わず、独特のグルーブでサポート していく。いい感じだ。2曲目は、「All the Things You are」、JHのルバートからインテンポに入る。 手垢のついた数百回以上やった曲であろう。都度、初心に戻って、パフォーマンスしているので ステレオタイプ化しないのだろう。何故か、この曲が始まった時から、眼がウルウルしてしまった。 何だか説明できないのだけれども、感動というわけでもないんだよなぁ。一体何なんでしょう? 曲が終わる頃には収まってました。席はCharlie Hadenを真横から見るような場所で、JHは影に隠れて 見えない。音だけが、PAを通してやってくる。その方が集中できて良かったみたい。 HadenはSoloになると、左足が爪先立ってくる。場合によっては、両足とも爪先立っている。 微妙に可笑しいのだが、笑うわけにはいかない。フルハウスの会場は水を打った様に、静寂になっている。

曲間のスピーチで、「今日のお客は、シリアス過ぎないかい」と会場をなごませる。2人の掛け合い漫才 みたいなトークもあり爆笑をさそうのだが、曲が始まると、本当に会場が静寂になるのだ。 不思議な心地よさ!。3曲目は、Haden作曲の「Night For」もしくは「Night 4」。(後で判明しましたが、「Night Fall」という曲でした。) 4曲目は「How Deep is The Ocean」、JHの流儀炸裂、うまい!。5曲目は、Joe Lovanoの作曲の「Blackwell's Message」。 Charlie Hadenの爪弾くペダルポイントが揺らぐ、心地好い。そして、最後の6曲目は、Ornette Colemanのブルース「Turn Around」。 JHはハーモナイザー、コーラスを一切使用したかった。アンコールもなく正味1時間10分。 ここで井上氏とはお別れ、小生は2ndSet迄、バー・カウンターで休息、2ndSetはJH側のかぶりつきに 陣取った。

 この器材の写真は、2ndSetの席から未だ客が10%ぐらいしか着席してないときに フラッシュを焚いてそそくさと撮った写真である。ギターはサドウスキーらしいです。 (2月の初めに、Mr.Sadowskyから、是非リンクを張ってくれないか? との直メールがありまして、TOPにリンクを入れました。このGigが初披露目だったようです。) ギターのサイドに白く見えるのは、多分Tシャツに「Jane is #1」と書いたシールです。 アンプは、Polytone。アンプの上の白い容器は指と指盤やフレットのすべり を良くする為の、ベビーパウダーが入っています。2ndSetの席の真向かいに、盲目の男性と 妙齢の女性のカップルが座った。サングラスを掛けた男性は、ジョージ・シアリング似。 ウイスキーのダブルのストレートを、タンブラーに入った炭酸系のカクテルをチェイサーにして 美味しそうに飲んでました。う〜ん、いいねぇ! 斜め後ろの席には、「やぁ、君はさっきもいたよねぇ、お互いすきだよねぇ。」 「僕は、日本からJHを見るために来たんだ。」と片言のお喋りに付き合ってくれた若い白人男性。 奇妙な連帯感と安堵感。トホホな事もあったけど、まあいいかあ、などと一人でごちました。

   さてさて、2ndSetの最初の曲は、Pat Methenyの「Farmer's Trust」。JHの音色、フレーズすべてが耽美的に完璧に美しい。 決して弾きすぎず、ミニマルな音で、静寂をコントロールしている、素晴らしい。Charlie Hadenもミニマルな ベースに徹してサポートしている、いい感じだ。曲間のトークは掛け合い漫才だ。場内爆笑。 2曲目は、ジャズスタンダードの「Durn That Dream」、またJHの流儀が炸裂、いやぁ、ワンアンドオンリー な世界です。ここでJHからCharlie Hadenの略歴があって、3曲目はオーネット・コールマンの 「Lonely Woman」が演奏される。後で気付いたのだが、この時のCharlie HadenのSoloが異様に長かった。 1stは6曲、2ndは残り2曲を入れて5曲、時間はいずれも1時間10分程度。「Lonely Woman」にCharlie Haden の思い入れが爆発したのかもしれない。聴いている時には、全然長く感じなかった。

 5曲目は、ジャズスタンダードのバップチューン、聴いたことのあるテーマ、帰ってから調べないと なんという曲か思いつかない。脳髄のRAMにインプットしといてと思ったら、テーマのメロを失念してしまった。(これも後から判りましたが、Chalie Parkerの「Segment」というマイナーチューンでした。) そして、最後の曲は「Body and Soul」、又々JHのワンアンドオンリーな世界が現出する。 以上で本日のパフォーマンス終了。JHが「Charlie Haden」とコールする。Hadenは「Jim Hall Wooooo!」 と逆コール。この「Wooooo!」の中にHadenのJHに対する尊敬と畏怖が凝縮されているんではないかと妄想した。 「Jim Hall、Great Beautiful Artist Human Beings........」と続いて、アートをみんなと共有できて 幸せだとか、平和についてとか少々長ったらしい御高説に嵌まり込んでしまった。(後半は、ブッシュ批判と今年の大統領選挙の話になったようだ。) JHはそそくさと、楽譜を片付け帰り支度、絶妙のタイミングで「I vote」(僕は大統領選挙に投票に行くよ!てな意味か?)。 チョーンとこの一声で、幕が閉まった。以上が、一部始終である。

 4月27日から5月2日まで、今度はビレッジ・バンガードでJim Hall Trioがスケジュールに掲載されてました。 う〜〜ん、悩むなぁ!ど〜しょうかなぁ?と考える今日この頃です。6月にはこのTrioで来日です。 こちらも楽しみです。 

(2004.02.01)