JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01


2つのMosaic Box。

 Mosaic Recordsが創業して、20年になる。新録を行なうのではなく、もっぱらPacific,Atlantic,Columbia, RCA,Blue Noteなどの過去の音源から、アーチストを選定しコンセプトをまとめ、再発されないアルバムや未発表テイク を発掘して、3〜10枚のCDセットにして限定発売している、ユニークなレーベルである。昨年末と、今春に JHがらみのBox Setが発売されたので、紹介しておこう。最初は、

 The Complete Verve Gerry Mulligan Concert Band Sessions/4CD/Mosaic

 1960〜1962年のGerry MulliganのConcert Bandの足跡の集大成が、5枚のアルバム(The Concert Jazz Band, The Concert Jazz Band At The Village Vanguard,Gerry Mulligan Presents A Cocert in Jazz,The Concert Jazz Band On Tour, Gerry Mulligan '63 )と未発表音源とで4枚のCDに収められている。1960年代初めは、40年代からの Big Bandも、ダンス音楽御用達としての機能が既に終了して、大人数を運営していくだけの余裕も なくなり、ベーシーとエリントン楽団しか生き残れてない状況にあった。そういった中で、Gerry Mulligan は、鑑賞用のConcertに幾分Big Bandより少人数の中編成のConcert Bandをスポット的に召集して 興行していたのだと思う。召集に預かっている常連はBob Brookmeyer,Gene Quill,Clark Terry,Bill Crow, Mel Lewisらがいる。JHは常連ではないが、「Gerry Mulligan '63/Verve/1962,12,18-21」の中に召集されている。

 多分JHは、Bob Brookmeyerの口利きで採用されたのではないかと勝手に妄想している。アルバムの中での JHの出番は今ひとつなのであるが、MulliganはJHを気にいったと見えて、1963年の「Night Lights」にも 抜擢、名脇役としての好演を残している。Mulliganは同じく1963年の「Butterfly with Hiccups」にも採用、 1990年のJHの「Live at Town Hall Vols.1-2.」にはMulliganが客演で参加するという、アルバムとしての 接触は少なかったのかもしれないが、同世代同時代の同志としての精神的結びつきがあったに違いない。 このSetは、いわゆるスルメ盤であって、一気に4枚続けて聴くような通な方を除いて、 ゆっくりすこしづつ楽〜に聴き込んでいけば宜しいかと......。「Jazz Band At The Village Vanguard」の ビビッドさは、なかなか結構なお手前です。興味のある方、是非どうぞ!

 さて、もう1枚の方は、

 Mosaic Select #9 Bob Brookmeyer/3CD/Mosaic

 こちらは、5枚のアルバム(The Bob Brookmeyer Quartet,Traditionalism Revisited,The Street Swingers,Kansas City Revisited,Stretching Out ) を主に、3CDに纏めてある。うち、3枚にJHが参加、出番もまあまあでお薦めです。JH参加は1957〜1958年の録音で ですが、特に興味深いのは、「The Street Swingers/1957」というアルバムに相当する部分です。この時期、モダン・スイング 的な、少々おっとりとしたスタイルの持ち主のJHが、もう一人のGuitarのJimmy Raneyに触発されてか その当時とは違う別のアプローチを見せているのです。音色やスタイル的には、「Two Jims And Zoot/1964」ほど 対照的ではありませんが......。音色が似ているのでどちらがどちらなんだろうという部分があります。 JHが2曲、JRが2曲、曲を提供しています。

 添付のブックレットに「The Street Swingers」のオリジナル・ジャケ写がありました。Webでは、小さくて 見えにくいですが、向かって左がJH、真ん中がBB、右がJRです。レンガ造りのくすんだ建物の前で、根雪が 残る極寒のNY。40数年前の3ショット。今年の1月にNYに行った時も、ダウン・タウンにこんな場所が あったよなぁ!

 JHが、NYのウエスト・ビレッジに居を構える頃、JRに大変お世話になったとか......。この「The Street Swingers」 と「Two Jims And Zoot」のメンバーは、後者がフロントがBob BrookmeyerからZoot Simsに替わり、 BassがBill CrowからSteve Swallowに替わっただけで、ドラムスはOsie Johnsonの儘、3人が居残った 形で7年の隔たりがあるのですが、JHの進化状況は聴き比べると隔世の感があります。 JRの旬は、やっぱ50年代でしょうかねぇ?晩年も頑張ってましたけど、一寸ステレオタイプに 嵌っているなぁ、けど、まあいいやって思ってましたけど。 50年代のJHは、トッポクてショボくて、少し遠慮していたんですけど、 こうやって、つつがなく、つぶさにチェックする様になって、 JHは、その時その時が旬なんだって段々思えるようになってきたんですけどね。(笑)

 さて、こちらは、p-tanさんから教えていただいたアルバムです。

 The Jazz Album/Itzhak Perlman Andre Previn/EMI/1981

 もともとは、Angelというレーベルからクラシックで活躍する Itzhak Perlman(vl)、Andre Previn(p)が、Shelly Manne(ds)、 Red Mitchell(b)とJHを擁してJazzに挑戦している、「A Different Kind of Blues」 「It's a Breeze」の2枚に分けて発売されていたアルバムが、2002年に2in 1になって再発されたもの。 Scott Joplinの曲をItzhak Perlman(vl)、Andre Previn(p)のDuoでやっている10トラック付。 JHの出番は、随所にあり。ダキストの弦がライト・ゲージなのか、録音のせいか、一寸芯がなくて フニャフニャした音色である。丁度ポスト・アランフェスの頃、「アランフェスのJH」のレッテルを 取りたかったのだろうか?内容が悪い訳ではないのですが、何故か演奏に迷いを感じてしまうのですが、 思い過ごしかもしれない。

   さて、こちらも、p-tanさんから教えていただいたアルバムです。

 A Shade of Difference/Helen Merrill・Dick Katz/Milestone/1968

 「ボーカルアルバムとJ.H その2。」で紹介していたHelen Merrillの「The Feeling is Mutual」 に3年後の続編がありました。1960年代の後半のJHがらみのアルバムが少ないことは、前にも言及してましたが、 ここでのJHのPlayは、非常に貴重でお宝ものです。「Live in London」が、発売中止になったみたいですから、 これを聴いて妄想するしかないでしょ!内容は時代の変化が、随所に取り込まれ、なかなかアバンガルドな 部分もあって楽しませてもらいました。オーネット・コールマンの「Lonely Woman」や、JHはからんでないのですが、 Ron Carter(b)とMerrillのDuoの「My Funny Valentine」とか、Dick Katzのアレンジメントも冴えてます。

 ところで、Dick KatzはOrrin Keepnewsと共にMilestoneの共同設立者であります。「It's Nice to Be with You/MPS/1969」 の後、Milestoneから「Where Would I Be?/1971」「Alone Together/1972」とアルバムを上梓してますが、 なんとプロデューサーは、Dick Katz氏なのです。ここにも、JHのシンパサイザーがいたのです。 この情報もp-tanさんからです。いつも有難う御座います。

(2004.05.04)