JIM HALL Maniacs

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Jazz for Dancers、ANAMARI他。

 JH翁が参加している、半世紀以上前の最古の音源を入手しました。

 ・Jazz For Dancers/Ken Hanna and His Orchestra/Capitol/1955

 Chico Hamiltonグループでの最古の録音は同年の8月ですが、こちらはその数ヵ月前の 1955年4月30日と5月7日。Guitarで身を立てると発心して、東海岸からキャデラックの搬送の アルバイトで西海岸へ移動、親戚の家に身を置き楽譜屋に勤めて、クラシックギターの教習を 受けてた矢先のことではなかろうか?東海岸のクリーブランドなら、NYの方がJazzのメッカである筈なのに、 何故、西海岸だったのか?という質問に「いやぁ〜、最初からNYと言うのは一寸気が引けたよ!」 とJazz Guitar Bookのインタビューに述懐してました。

 このアルバムは、Kenton(Stan Kenton) Presents Jazzのシリーズ物で、若くて才能があるアーチストに 機会を与え紹介するという企画のものですが、Ken Hanna and His Orchestraのクレジットのアルバムは これ1枚のみなんですね。う〜ん。Ken Hannaはトランペッターでアレンジャー、1921年生まれ、 このアルバムの録音時 34歳、1982年11月にカルフォルニアで逝去。内容は、「スイングビッグバンドジャズ」 、西海岸白人中心の軽快でかつスインギーなダンサブルなアルバムに仕上がってます。3分前後の曲が12曲収録。

 ところで、JH翁はどうか?と気になるところです。フレディ・グリーンの様にリズムギターに 徹しているのかと思いきや、意外にも書き譜も多く、Shirli Sondersが歌う「I can't Believe that You're in Love with me」では、歌に絡むオブリガードの単音弾きがフューチャーされてます。 Jazz Guitarist Jim Hall誕生の記念碑的アルバムです。DrumsにMel Lewisのクレジットがあります、 彼とは、その後も1960年代中頃まで色んなアルバムで競演しています、影の盟友か?

 ところで、前にも書きましたが、JH翁の演奏をしっかり楽しむ為には、入手しやすいリーダー・アルバム や双頭バンド物やDuo盤を、何度も何度も聴き込むのが宜しいかと存じます。小生の場合、 このサイトを立ち上げた行き掛かり上、紹介しなければという勝手な 責任感と、幾許かの楽しみを共存させて、奥の細道へ邁進して、入手の難しい稀少盤に手を出しておりますが、 JHの出番が少なかったり、個人的趣向に照らして愛聴盤には程遠いアルバムもあり、 チェックして其の儘、奥積みになっているものも多少あります。まあ、こんなアルバムに参加していたんだ、 という知識は弊サイトで流し読みする程度で宜しいかと!くれぐれもJH参加のアルバムを全部聴いてやろう などと、発心しないように。奥の細道へ迷い込むのはあくまでも「自己責任」ですぞ!(笑)

 さて、こちらは、今年再発CD化されたJH翁参加のBig Band物。

 ・Swinging Standards/Buddy Bregman/World Pacific/1959

 こちらのアルバムにJHが参加しているという情報は、あるJHMな方からいただいていたのですが、 奇しくも今年になってLonehillJazzから2in1になって初CD化されました。 Buddy Bregmanは、TV、Show、Cinema関係の仕事が多かったのか、Jazz Alubumは50年代に数枚のこしているのみです。 その後、映像表現の才覚が認められ、英国のBBCに外国人として初めて採用されたみたいです。 内容は、文句なしの軽快でスインギーでしっかりとしたアンサンブルが構築されたスイングビッグバンドです。  こちらの、JH翁は、フレディ・グリーンに徹してました。と言うことは、 耳をカッポじって、リズム・ギターを聴く事に集中する訳ですが、 そんな聴き方は不自然でしょう。ハハハ…。ちなみに、DrumsはMel Lewisです。

 Anamariという女性歌手をご存知ですか?

・Anamari/Anamari/Atlantic/1964

 Anamariという女性歌手ですが、後にも先にもこの1枚のアルバムのみです。 NYのグリニッジ・ヴィレッジの小さなクラブで歌っていた彼女を、AtlanticのプロデューサーNesuhi Ertegun に紹介した男がいました。Nesuhi ErtegunはMJQやオーネット・コールマンなどのアルバムをプロデュース した人物です。すると、トントン拍子で、レコーディングの運びとなりました。但し、先ほども書きましたように 、後にも先にもこの1枚のアルバムのみです。彼女の風貌はジャケ写の肖像画のみ、その後の消息は不明。

 このアルバムも、あるJHMな方からJHの参加の情報は得ていたのですが、AMG(All Music Guide)で 調べても、詳細は不明、ジャンルはRockに分類されてました。BBSで新潟のさいとおさんから、 詳細を教示いただいて、Art Farmer Quartetのバックで3曲やっている事が判明。早速、入手。

 一聴、あ、これは素人、遺憾遺憾、ちょっと言い方を変えます。ソフィスティケートされた熟練の技 より、プリミティヴな朴訥とした独特の歌い口が魅力的な非Jazzアルバムです。 「Alone Together」「Don't Explane」「The More I See You」などのJazz Tuneが収録はされてますが、 伝統的なJazzの香りは不思議なことに漂ってないんですね。そこいら辺が、逆説的に面白いと感じる方も いらっしゃるのでは。聴けば聴くほどエキセントリック、妙に嵌る「ヘタウマ」の世界とでも言いましょうか。 声質も違い、表現力、歌唱力は格段に違うのですが、聴き込めば聴き込むほどに何故かニーナー・シモン を想起してしまうんです。何なんだろう? 編成は、Clark Terry(Tp)、Ben Tucker(b)、Osie Johnson(Ds)にHarpとPianoというSetが3曲、 Flute、Harp、Strings、PianoにBen Tucker(b)、Grady Tate(Ds)が入ったSetが4曲、 Art Farmer、JH、Steve Swallow(b)、Pete LaRocca(ds)のSetが3曲。

 で、JHはというと「Blame it on my Youth」という曲で、最初AnamariとDuoで絡みます。 いい味出してます。他の2曲を含めて、3曲とも3分前後ですので出番は少ないのですが、 1964年のArt Farmer Quartetのコラボの流れが垣間見れて大変興味深いです。 この当時、Art Farmer QuartetはAtlanticからアルバムを出しており、専属契約だったのか、 そういった繋がりからオファーが来たのだろうと思われます。

 NY在住の中堅どころのPianist Fred Herschが12人の異なるアーチストとノーリハーサル、ノー アレンジメントで挑んだ「一期一会ガチンコDuoアルバム」に、JH翁が出没してました。

・The Duo Album /Fred Hersch & Friend /Classical Action /1997

 このCDは、Classical Actionという団体へTel(212-997-7717 NY US)する事によってしか入手できず、一般の 音楽産業の流通では販売されていません。あ、中古盤は流通してますけど! で、このCDの販売益の一部は、HIV/AIDS患者へのサービスや市民への啓蒙活動にあてられると言う事です。

 志は高いですが、内容は割りとポピュラーなJazz Tuneを取り上げて、よく纏まった質の高いコンピ・アルバムに なってます。Fred Herschと対峙する12人は、Gary Burton、Joe Lovano、Diana Krall、Tommy Flanagan、 Andy Bey(Vo)、Tom Rainey(ds)、Lee Konitz、Jim Hall、Drew Gress(b)、Kenny Barron、Tom Harrell、 Janis Siegel(Vo)です。

 JH翁は、「In A Sentimental Mood」を八分の六拍子(ワルツ)でやってまして、なかなか リラックスの中に緊張感があるメロウな演奏をしています。「All the things you are」のワルツバージョン は近年定番になってますが、「In A Sentimental Mood」のワルツバージョンはこれだけかな? どこかで、見掛けたら、即入手ですよ!お薦めします。

(2006.07.17)