JIM HALL Maniacs

since 2001/12/01


「Hemispheres」 Jim Hall&Bill Frisell。

 Jim Hall御大、21世紀になって6枚目のリーダー・アルバムはBill FrisellとのDuoとQuartetの 「Hemispheres」。Hemisphereとは、「半球」といった意味。複数形であるので、拡大解釈すれば 右脳と左脳の対で大脳の全球の事を暗喩しているのか?そうであれば、JHが左脳で、BF(=Bill Frisell)が右脳でしょうね、 間違いなく。

 このアルバムが企画されたのは、2007年夏、当初JHとBFのDuoだけの目論見であった。ArtistShareのNet販売のみで、録音され出荷されるのは 2008年1月15日の予定であった。録音は2007年7月に5日に渡って催行され、1月15日出荷に向け 選曲・トラックダウンが進行していた。ところが、問題発生。2008年4月に、Joshua RedmanやBrad Mehldau Pat Methenyのアルバムを上梓しているNonesuch/weaというレーベルから、2006年に録音済みのBFの2枚組 の「History Mystery」が発売予定だと発覚した。

 これはいけない、深謀遠慮したのか圧力が掛かったのか真相は定かではないが、発売日が2008年10月15日に 延期になった。それでは、心待ちにしていたFanの皆様に申し訳ない、大盤振舞! Scott Colley(B) Joey Baron(Ds) を加えたQuartetもおまけしようと相成ったのではないか?とは小生の妄想。 Quartetバージョンの録音は、2008年の9月9日。

 で、11月末に発送され12月初めに到着した。今回は、Net販売だけでなく一般市中にも同時に公開販売された模様です。 Net上では、全曲が到着前にトラックダウン可能になっていたのでパッケージとライナーの確認になったのでは あるが、めでたし、めでたし。長い一年半でした、ヤレヤレ。

 BFについてのアレコレは、Bill Frisell Maniacsな方に譲るとしてJHとの関わりについて多少まとめてみたい。 BFは1951年3月18日にボルチモアで生誕、デンバーやコロラドでの幼少期にはクラリネットをず〜っと(Througout)吹いていたそうだ。 1969年(18歳)にDale Bruning氏にギターを師事。JHがDale BruningとのGigでデンバーへ数週間来訪していた時が JHとの初邂逅である。1972年21歳の頃に、NYでJHに8週間のレッスン受講、この時の講義内容が今でも 大変役に立っていると述懐している。その後、80年代には、JHとBFのTwin GuitarのGigを数度ならず 共演している。

 ちなみに、1954年生まれのパットメセニーは、1969年アッチラーゾラを介して15歳の時にJHと初邂逅。 初共演は1982年。よくJHがインタビューで、「僕たちは、家族(Family)みたいなもんだ。」と 解答しているが、BFやPMの事を息子みたいに想っているのではないだろうか?1969年は、JHが39歳。ご子息に男系はいません。 JHと親交の深いGuitarist粟沢博幸さんと、話していた時に、「JHは、PMよりBFの方が可愛いんじゃないだろうか?」 と仰っていた。「PMもBFもJazzというカテゴリーだけに納まりきらない音楽性なのだが、 アメリカンミュージックという範疇にはBFの方が多少優位性があるかも。で、JHもJazzというカテゴリー だけに納まりきらない現代音楽・クラシック・Free Improvisationと引き出しが広いのだが、13歳でBand活動を 始めた音楽大好き少年の頃は、アメリカンミュージックから入ったわけで、その後クリスチャンや ジャンゴを聴いてJazz志向になった訳やね。そう言った意味では音楽性・人間性も含めてBFのの方が可愛いやろうなぁ!」 (何故か、関西弁になってる、粟沢氏はチャキチャキの関東人です。ガハハ…)

 CDの1枚目、Duoの掴みは「Througout」で始まる。反復ミニマルなBFの音列のキャンバスにJHのLineが 絡む。Netでのトラックダウン可能な時の掴みは、Bob Dylanの「Master of War」でしたが、配曲が 変わってましたね。JHは、Dylanの「Master of War」は聴いたことがなかったみたいですが、「歌詞は好きだね。」 だそうです。事前取決のないFree Pieceから「Migration」「Beijing Blues」、特に前者のBFの ループを使った摩訶不思議なキャンバスは聴き応えあり、但し、ギタリストを放棄して、マニュピレーターに なってるな、これは。JHのオリジナル、「All Across The City」「Bimini」。BFのオリジナル「Family」 「Monica Jane」、アメリカンミュージックですな。いずれも、このトラックを聴いたことのない人に ブラインドフォールドテストをしたら、JHの名前はまず出てこないでしょうね。ちなみに、「Monica Jane」 はBFの娘さんの名前です。5日間のSessionのTune Listが、ライナーに掲載されてますが、Monkの「Pannonica」が 選曲で落とされてますが、大層気になりますな。Free Piece-Guitar detunedも落選ですが、 メセニーとのDuoでは採用されてましたね。メセニーとのDuoと比較しても仕様がないんですが、 PMの完璧性の追求と、BFの「ゆるさ」が対照的な感じがします。

 CDの2枚目、Quartetの掴みは「I'll remember April」で始まり、BFのカントリーぽいLineのAdlibから JH御大お得意のパターンへ切り替わる、Adlibが1コーラスなのが、ちと、物足りない、Bass SoloのあとDrum とTwo Guitarの絡み。Free Pieceと思われる「Barbaro」「Card Tricks」、4名の即興コラボ。 Standardから、「Chelsea Bridge」「My Funny Valentine」「In a Semtimental Mood」、ロリンズの 「Sonnymoon For Two」、知る人は知っている「Beija Flor」、JH御大はいつものJH御大です。 「Beija Flor」のJHとBFのアカペラの二人Lineの絡み面白い。JHのオリジナルの コミカルでブルージーな「Owed to Freddie Green」、ノイズ・ミュージック「Hear and Now」 いずれも初出か?。BFの持込曲はないのだが、サウンド的にBF色に引きずられてるのか? JH単独では出てこないBF寄りの空気が漂っていると感じて仕様がない。BFオーラ侮る無かれ!

 ご存知の通り2008年11月の末に、「アランフェス」を目玉にJHが再来日(2008年2度目)する 事になってましたが、体調不調により来年の5月へ延期になりました。消息筋によりますと、大層元気であると 聞いております。この12月4日には、満78歳になった筈です。まだまだ、元気で活躍していただけるように 皆さんと一緒に祈念しています。

(2008.12.12)