JIM HALL Maniacs

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2009年5月、JHを見にシンフォニーホールに行ってみた。

 2009年、5月22日(金)ザ・シンフォニーホールへ「アランフェス協奏曲 By Jim Hall Quintet With Strings」の 大阪公演に行ってきました。5年ほど来日のブランクがありましたが、2004年から今年で6年連続の来日です。 1930年12月4日生まれの、御歳78歳。
 昨年、2月に脊椎損傷により、脊椎切除と脊椎固定の手術をニューヨーク大学メディカルセンターで受ける。 順調に快癒し、9月にはBill Frisellとの新譜の追加Quartet分(Hemispheres・Disk2)の録音も収録して 「アランフェス協奏曲 By Jim Hall Quintet With Strings」の日本公演を、11月に催行予定でした。 しかしながら、9月下旬 手術の感染症?が原因と思われる突然激痛と高熱に襲われ、再入院・治療・自宅療養、 半年のドクター・ストップが掛かり、今年の5月に延期になっていたイヴェントが、やっと陽の目を見たわけです。

 おりしも、関西圏は「新型インフルエンザ」の発症者が出始め、約1週間経過した時期で 正確な情報の共有・検証が出来ず、政府の暫定的な方針に基づき自治体が対応しているさなか、数件のコンサートが中止 されてました。「う〜ん、これはヤバイ!」と思考してましたが、何とか中止にならずメデタシ、メデタシ。

 Jim Hall=アランフェス、アランフェス=Jim Hallという図式が、いまもって通用しているのは全世界の中で 日本だけなのか、そうでないのかは知る術がないのだが、一時期、御大自身そういった図式について 辟易としていたらしいとの風評は聴いた事がある。しかし、このイヴェントのオファーを受け、日本という ローカルな場所での実現に、居合わせられたのは、ラッキーかもしれない。諸外国では、発生しえない オファーでは、なかろうか?と、ふと考えるのですが…

 ザ・シンフォニーホールに到着したのは、開演10分前。クラシック専門のハコで、天井が高く 演奏者の後ろにも座席があり、パイプオルガンが設置してある。恥ずかしながら、この手のコンサート・ホール は、初めて。客の入りは、1階席が8〜9割、残念ながら、2階席は全部空席であった。中高年のカップルや 、小生もだがピンのオッサンが若い人たちより多いようだ。皆さん、Jim Hall=アランフェスの図式に引き寄せられて 参集したのだろうか?CTIの「Concieto (1975)」は間違いなくチェックしている皆さん方々であろう。

 場内が、非常灯も含め暗転し、なんと御大は、薄闇の中 随行者を伴い、車椅子で登場してきた。 杖を使いながら、椅子に着席。で、ふと疑問が湧く。これは、本人の意思なのか?、主催者側の配慮なのか? はたまた、それ以外の提案でそうなったのか?少々、演出にしても大仰すぎないか?。在るがままで、いいのではなかろうか? と思考するのだが、真相は如何? ま、どうでもいいっちゃ、いいんですがね。(笑)  昨年の再入院以降、もしくは春の手術以降、日常でも通常歩行が厳しくなっているのだろうと憶測する。もう 、立った演奏は見れないのかもと思うと、多少、悲しいかな。

 場内が明るくなり、1曲目は、Guitar Soloで「All The Things You Are」。 耳に残る自家製のセカンドメロを随所に出しながら、テーマを匂わせてはセカンドメロと行ったり来たりする。 インテンポ部分は、定番の三拍子。途中、オクターバー、ハーモナイザーを駆使しながら色調を 替えてゆく。独特の大胆な、リハーモナイズ。ルバートになり、やはり、セカンドメロとテーマを 行きつ戻りつエンディング。手垢の付いた曲、今までに、何回演奏したのだろうか?

 続いて、1937年生まれの御歳72歳のRon Carter氏 登場。1960年代末頃からのJHの盟友。 オスカー・ペティフォードの「Laverne Walk」を、Duoでご披露。一昨年、14年ぶりに再結成、来日。 超高齢Guitar-Bass-Duo、演奏者より高齢な聴衆の方が圧倒的に少ないだろう。何たることか!(笑) Ron氏特別追加参戦ということで半年延期になってなかったら、見れなかった「おまけ」です。

 Ron氏、Duoが終わると袖に引き上げ、Quintetのメンバーが登場。 DrumsのTerry Clarkeは1975年頃からのJHの御用達であり盟友、1944年生まれ御歳65歳。 BassのSteve LaSpinaは、Don Tompsonの後釜的に1980年代中頃からのJHの御用達、1954年生まれ55歳。 この二人は、昨年のJim Hall Trioで来日。 Alto SaxのGreg Osbyは、1990年代半ばよりJHの御用達の一員になる、1960年生まれの48歳、JHの欧州ツアー やUS国内ギグによく参加しているが、JHのグループとしての来日は初めて、Osby名義のアルバム「The Invisible Hand(1999)」 にJHも参加している。 PianoのGeoffrey Keezerも、1990年代半ばよりJHの御用達の一員になる、1970年生まれの38歳、JHとの 来日は過去2回、欧州ツアーやUS国内ギグによく参加しており、JHとのDuoのCD「Free Association(2005)」あり。

 この5人がステージで定位置に立ったときの風景は、なんとも「絵」になってるなぁ! 30、40、50、60、70代の5人、JHの人選には年代は関係なし。「ロイヤル・ストレート・フラッシュ」か!(笑)

 で、3曲目は、Greg Osbyのアカペラから始まる「Chelsea Bridge」、イン・テンポになりテーマのBメロはJH、 Greg Osby 1コーラス、Geoffrey Keezer 1コーラス、JH 半コーラス、帰りテーマ Greg Osby カデンツァ付き。 これが素晴らしいコラボでした、多少ユーモラスだが取りとめもなく浮遊感のあるOsbyのアドリブライン、 アウトの概念を更に進化させたKeezerの取り付く島のないようなリハモナイズとライン、 帰りテーマでは、JHはGuitarを弾かずに、二人の変態コラボをニヤニヤと見ながら観客に徹している。 Osbyのカデンツァで曲が終わると、二人に拍手を送ってた。いいなぁ!

 4曲目もQuintetで「Careful」、OsbyはKeyのせいか、曲に不慣れなのか、やや不完全燃焼に思われた。 で、5曲目は、変態2人が抜けて、Trioでの「Beija-Flor」。昨年の、来日時のパフォーマンスの方が 出来は良かったかな。6曲目は、Quintetで「Furnished Flats」、JHのアドリブの途中から完全アカペラ状態、2コーラスほどインテンポのアカペラ があり、Keezerがちょっかいを入れてくる、このコラボが秀逸、圧巻、Keezerの異能の才が炸裂する。お見事!天晴れ!  で、1Set終了、正味1時間。

 2Set目は、ジョン・ルイスの「Django」。Osby抜きのQuartet+Viola×5+Cello×5。 18〜19日に先行催行された東京公演とStringsメンバーは違い、大阪現地調達メンバー。 Terry ClarkeのCue出しで、タンゴを意識した、Stringsのピチカートとスネアの掛け合いから 始まり、JHの半テーマ、Keezerの半テーマから、アドリブコーラスへ。アドリブが終わり、ルバート。 StringsとGuitarの掛け合いでテーマの提示、最後に4小節程度のインテンポがあり。

 2Set2曲目は、JHのオリジナル「October Song」。Guitar+Viola×5+Cello×5の弦のみでのパフォーマンス。 「October Song」は、「By Arrangement(1998)」というアルバムに JH+Viola×6+Cello×6という編成で収録されてます。「Django」はパット・メセニー+リズム隊付き。 お手持ちの方は、要再チェックですぞ!「Life in Progress」というDVDには、収録風景がFullではないですが映像で 収めてあります。
 東京公演でのStrings隊には、Jazz Guitaristの田辺充邦氏の奥さんの平山織絵さんがCelloで参加 、ご主人もリハから公演2日間に付き合い、「夢のような3日間だった。」と述懐されてます。 気のせいかもしれないが、比較しようもないのだが、東京チームでのStrigs隊で聞いてみたかったかなぁ、と 少しだけ思ってます。内緒ですけどね。(笑)

 で、Osbyもどりーの、Carterももどりーので、「Adagio from 'Concierto de Aranjuez'」。 CarterのBassのトレモロに、JHのテーマが乗る。Strings隊は、ピチカートとアルコで交互にリズム出し、 (本編では、後半部分のモチーフか?)テーマの提示へ、更にアルトのテーマの提示、Bassも絡んできて Carterのカデンツァへ。Clarkeが引継ぎ、5拍子のリズムが提示され、アドリブへ流れ込む。 AdlibはDm一発、Osbyの浮遊感ある変態ライン炸裂、Keezerの破壊力抜群の変態アウトも炸裂、 JHは変態コードワークでお返し、愉快・痛快、笑っちゃいますね。いい年をした大人が何で普通に出来ないの? でも、普通でそつなくやられると面白くも可笑しくもないんですけどね。(笑)  無事に、帰りテーマに着地して帰還終了。やんやの拍手・喝采。1975年度版ドン・セべスキー編曲の 「アランフェス」を期待していた御仁にとっては、いい意味で期待を裏切られたのではなかろうか? 進化し続けるJHに拍手!

 で、お約束のアンコールは、「St.Thomas」。2Set目 約1時間。  会場が暗転して、車椅子で退場、鳴り続けていた拍手は袖に入る前に更に大きくなった。  今回の企画は、「アランフェス」以降の JHのショウケース、盟友や若手を人選しての大世帯、Strings隊までついててんこ盛り、会場も音響の良い ハコ、飲食しながら聴くクラブ・ギグとは一線を引く。スモール・コンボで ジックリとじわじわと盛り上がって行くパターンとは異なった味わい深いものであったかもしれない。 どう考えても、余程の事がない限り、今回のような企画は暫くはなさそうですな。目撃できて良かった良かった。

 さて、来年も来日があるのでしょうか?JHの健康と長寿を皆さんと祈念して楽しみに吉報を待ってましょう。

(2009.05.24)