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雇用のあり方と要員管理

Q 雇用環境が激変していますが、これからの雇用のあり方について教えてください。

A 雇用のあるべき姿と、それを実現するための要員管理の手法について説明します。
               

1.雇用不安の背景

まず、今回の雇用不安が起きた背景を考えてみましょう。

 経営環境の急激な変化による雇用不安を、日本の社会は過去何回か体験してきました。

 特に大きかったのは、70年代のオイルショックと90年代のバブル崩壊でした。この二つのときと比べて、今回の雇用情勢の悪化はどの程度のものなのでしょうか。

上図は、オイルショックから今年前半までの、完全失業率と有効求人倍率の推移です。

オイルショック後は、両指標の悪化はそれほど急激ではなく、バブル崩壊後は悪化が急激で、長く続いたことが分ります。

この差は、二つの時代の日本のおかれた経済環境の違いもありますが、国や企業・団体の雇用政策の違いが大きく影響しました。

オイルショック後は、終身雇用制を維持しつつ、年功主義から能力主義に転換していったのに対し、バブル崩壊後は、終身雇用を見直し、人材流動化・多様化を促進し、能力主義から成果主義に転換していきました。

この結果、バブル崩壊後は、非正規雇用が増大し、特に規制緩和により、派遣労働者が製造業を中心に増えていったのです。その派遣期限が切れる派遣労働者が、今年大量に発生することになっていたため、「2009問題」として対応を迫られていました。

そこで起きたのが、昨年の世界同時不況です。「2009年問題」を抱えていた企業は、派遣契約を解除し、この問題の回避と雇用調整を同時にできましたが、このことが今回の雇用不安を引き起こす大きな要因になったのではないかというのが、筆者の見解です。

2.これからの雇用環境

 今年に入ってから、雇用の状況は急速に悪化し、7月の完全失業率は5・7%と、バブル崩壊後の最悪時を越えてしまいました。まだ悪化するかもしれませんが、バブル崩壊後のように長期にわたってこの状況が続くことはないだろうと、筆者は予測しています。

 少子高齢・人口減少社会になり、労働力人口は今後ずっと減り続けます。中長期的には、超人材不足時代になることは間違いありません。バブル崩壊から立ち直ってからは、大手企業を中心に、行き過ぎた非正規化により技術伝承が困難になり、コア人材の確保という雇用政策に転換し、前図で見るように、有効求人倍率も1・0を超える状態が続いていたのです。景気回復とともに、再びこのような雇用状況が訪れると考えられます。

 雇用の多様化についは、今後はどう推移するでしょうか。大手企業の多くは、派遣労働の規制が厳しくなり、直接雇用に切り替える方針を打ち出しています。しかし、かつての労働力が豊富な時代の、正規従業員中心の雇用維持は難しく、女性や高齢者、パートタイマーを働きやすい就業形態で契約して活用する、柔軟な雇用に転換していくことでしょう。

3.雇用のあるべき姿と要員管理  

 非営利法人も、そのミッションを実現していくためには、中長期的に前述の大手企業が転換しようとしているような雇用のあり方を目指すべきであり、むしろ大手企業より、ミッションが明確で、小回りのきく非営利法人のほうが実現の可能性が高いのではないでしょうか。それを実現するために、次のような要員管理を行うことをお勧めします。

(1)最適雇用ミックスの確定 

 

ミッションを実現するために必要な仕事とその要員を、右図のように、要求される知識・専門性の高さと、仕事のサイクルの長さで、4象限に分類してみて、最適雇用ミックスを確定します。

A要員計画 

 今後5年間で、あるべき雇用の姿を実現するための要員計画を、右図のように、部門別、雇用形態別に作成してください。

 現状と5年後のあるべき雇用の姿の差が、今後5年間で実現しなければならない、採用・異動・退職の計画になります。

 ミッションを達成するために、中長期的な雇用環境を予測しながら、要員計画を立て、雇用のあるべき姿の実現を目指してください。

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