1997年海上自衛隊観艦式に行ってきた 漂流旅記


 
・発端
先日、昔撮影したビデオの整理をしていたところ、「1997年10月海上自衛隊観艦式」と書かれたDVテープが3本出てきた。そして手元にはiLINKなるDV入力端子のあるパソコンがあり、手軽にキャプチャーすることが出来る。
ということで、すでに3年近くが経ってしまった過去のお話であるが、記憶とテープに入っている音声を頼りにhtmlでも書いてみることにした。
 
・出港
その日はこういうときはいつもいっしょのおかちん氏と未明に落ち合い、横須賀に向かう。指定された横須賀の海上自衛隊の岸壁に向かう。愛想の良い自衛官の方に受付をしてもらい、さっそく乗艦。我々のフネは「はつゆき」型護衛艦「みねゆき(DD124)」である。なにしろ本物の軍艦に乗艦するのは初めてなもので何を見ても物珍しい。前回の観艦式にも参加しているおかちん氏と、装備品についての薀蓄披露合戦をするうち、出航の時間が近づく。乗りこんでいる陸上自衛隊の楽隊の「軍艦マーチ」が演奏される中、出航のラッパが鳴り響く。
まずは岸壁に「みねゆき」をはさんで停泊していた同型艦「あさゆき(DD132)」が出航していく。「あさゆき」にも我々のような見学者が鈴なりである。「軍艦マーチを聞きながらの出航シーン」を目の当たりにしてはやくも感動の嵐である。「はつゆき」型護衛艦は排水量が約3,000トンと、かつての帝国海軍巡洋艦「夕張」とほぼ同じである。きっとかつての巡洋艦の出航風景もこんな感じだったんだろうと勝手に感慨にふける。
いよいよわが「みねゆき」が出航する。岸壁には受付や案内をしていただいた海上自衛隊の方々が一列に並び見送ってくれる。
うぉ〜、盛り上がってきたぁ!


 
・砲塔ぐりんぐりん
観艦式は相模湾で行われるため、その海域まで移動する時間にいろいろなアトラクションが行われる。まずは76ミリ速射砲の実演である。砲塔・砲身を動かしてくれるのだが、思ったよりすばやい動きで文字通りぐりんぐりん動く。ちなみにこの76ミリ速射砲はイタリアのオットーメラー社製(実際は日本鋼管でライセンス生産)で80発/分の発射能力があるという。世界40カ国で採用されているベストセラーである。76ミリ砲といえば、第二時大戦中の主力戦車の主砲級の口径である。それが1分間に80発。そう考えるとすごいものである。ちなみに1発の砲弾が13キロあり、レーダーシステムと完全連動で、艦橋の指揮所から操作するため、砲塔内は無人だそうだ。砲殻はFRPで、説明の自衛官の方は「漁船とかとおんなじですよ、ははは」と説明していた。そのほか砲身が2重構造になっていてその間を海水で冷却しているというようなことも説明していた。
同様にアスロック対潜ミサイル発射装置などもぐりぐり動かして実演してくれた。

76ミリ速射砲

アスロック対潜ミサイル発射装置
 ・艦隊集合
そうこうするうちに、気がつくと後方から自衛艦がぐんぐん迫ってくる。しかも1隻だけではなく、あちこちからから自衛艦が波を蹴立ててこちらに向かってくるのである。うひ〜っ!である。
今回の観艦式は横須賀のほか、横浜や木更津からの乗艦組もあることから、おそらくそちらからのフネであろう。かっこい〜!
しかも前方を見ると、いつのまにか1列縦隊の艦隊行動を取っているではないか!
もやの向こうにまでずっと艦隊が続いているのである。もちろん後方にも追いついてきた艦艇が続き、わが「みねゆき」もその隊列の中ほどに位置していたのである。どわわっ、いまわたしは艦隊行動のまんなかにっ! もーれつにかんどー!!←言語中枢が壊れてきたらしい
 
・ミサイル護衛艦「きりしま」
12時25分、いよいよ観艦式の開始である。
観閲部隊であるわが艦隊に対して、2〜300m先を受閲艦艇部隊がお互い左舷側で反航する形ですれちがう。
そしてその受閲艦艇部隊を率いて先頭に立つのは海上自衛隊が誇るこんごう型ミサイル護衛艦「きりしま(DDG174)」である。このこんごう型ミサイル護衛艦は、海上自衛隊としてははじめて(※1)イージスシステムを搭載し、排水量も7,250トンと護衛艦の中では最大を誇り(※2)はるな型とともに旧帝国海軍の高速巡洋戦艦の名を受け継いでいる。4つある各護衛艦隊に1隻づつ配備され、それらの艦隊の中でも中心的役割を果たしている(※3)。ステルス性を考慮したといわれる上部構造物とフェイズド・アレイ・レーダー(SPY-1D)が外見上の特徴となっている。
その最新鋭こんごう型の「きりしま」がわれわれの眼前を悠然と進んで行く。排水量7,250トンといえば旧帝国海軍重巡洋艦「古鷹」型と変わらない大きさである。見た目も後続の艦艇に比べ明らかに一回り大きい。 日本海軍 海上自衛隊もいよいよ重巡洋艦クラスの艦艇を運用するようになったことを実感する。
「くぅ〜っっ!」←実感してる声
※1 世界ではアメリカ海軍に次いで2カ国目。

※2 海上自衛隊所属の最大の艦艇は砕氷艦「しらせ(AGB5002)」が排水量11,600トン。いわゆる「灰色」艦艇の中では輸送艦「おおすみ(LST4001)」が排水量8,900トン。

※3 護衛艦隊の旗艦はヘリコプター巡洋艦(DDH)が担う。

・潜水艦登場
「きりしま」ほか十数隻の護衛艦に続いて潜水艦の登場である。
普段航行中の潜水艦などなかなかお目にかかれるものではないので、われわれは大きな収穫だと大喜びである。しかしわれわれはこの後もっとすごいものを見ることになるのだが、この時は知る由もなかった。もらったプログラムには書いてあったけど(笑)
この潜水艦に続き、掃海母艦、掃海艦艇、補給艦、潜水艦救難母艦、輸送艦が続々と観閲部隊の前を航行していったのである。
 
・航空部隊飛来
海上で艦艇の観閲を行っている間にも、上空では航空機部隊の観閲が行われる。
観閲部隊である我々の艦隊の後方から追い越すように低空で航空機が飛来するのである。
P-3C型哨戒機を先頭にSH-60J型哨戒ヘリコプター2個編隊、MH-53E型掃海ヘリコプターTC-90型練習機US-1A型救難飛行艇P-3C型哨戒機3個編隊、航空自衛隊F-1、F-4EJF-15Jなどの航空機が我々のすぐ頭上を飛び去っていった。
特に今回個人的にPS-1の頃からのお気に入りであったUS-1A型救難飛行艇の飛行が間近で見られたのは大きな収穫であり大喜びであった。しかしわれわれはこの後もっとすごいものを見ることになるのだが、この時は知る由もなかった。もらったプログラムには書いてあったけど(笑)

午後1時頃には観閲も終わり、観閲艦隊が180度反転する。
同一地点で整然と旋回する様は旧帝国海軍から受け継がれたお家芸の艦隊行動の片鱗を見せたものだが、前後の艦の刻々と変わるアングルに必死にビデオカメラを向けるのであった。
 

・一斉射撃
反転を終えるといよいよ「展示」の開始である。この場合の「展示」はいわゆるデモンストレーションであり、われわれの目の前であんなことやこんなことをやっちゃうのである。
観閲の時と同様、展示部隊はわれわれの艦隊と左舷側で反航する形ですれ違いつつデモンストレーションを行う。

まずは護衛艦4隻による5インチ砲の祝砲一斉射撃である。ごらんのとおり4隻の発射タイミングはぴたりと合っている。

しかも数発撃つ間にだんだんわが「みねゆき」に近づいてくるではないか!
そして眼前で「ドン!」
ちなみに画像の艦艇はしらね型護衛艦「くらま(DD144)」であるが、この艦にも「みねゆき」と同様、観覧の一般人と思われる人々が多数乗船しているのが確認できた。てことは一般人を甲板に載せたまま大砲撃っちゃってるのね。もちろん砲塔付近は立ち入りさせていないのだろうが。ちょっと目からウロコが。
 

 

こちらはたちかぜ型ミサイル護衛艦「さわかぜ(DDG170)」。後部甲板には射撃を間近でみようと鈴なりの人々。
いいなぁ、5インチ砲体感できて。
 

・ボフォースも発射
つづいて対潜ミサイルボフォース発射。「ばしゅっ」という固体ロケット特有の燃焼音と共に右舷前方へと飛んでいき海中で爆発、海面から大きな水柱を立てる。着弾地点が良く分からずカメラの視線は右往左往する。
画像は練習艦隊所属のみねぐも型練習艦「なつぐも」。
 
・イルカじゃないんだから
と、目の前では潜水艦がざば〜ん!
おいおい、航行シーンだけでも満足だったのに、こんなシーン、現実に見られるとは思わなかったぜ! うひ〜満腹満腹。
しかし、こんなことやったら、中の乗組員はたまんないだろうなぁと思いつつも拍手喝采。もっとやれ〜!
声が通じたのか2度、3度と急速潜行・急速浮上を繰り返す。中の人、ありがとう!中の人、ゴメン!
 
・ああもうおなかいっぱい
気が付くと後方からゆっくりとUS-1Aが近づいてくる。向かい風とはいえこちらと大して変わらない速度で飛んできて……なんと着水態勢に!
目の前で飛行艇が、飛行艇が着水する〜っ、うわ〜っ!←悶絶状態
で、で、目の前で、うわ、うわ、飛行艇が、飛行艇が離水する〜っ、どわ〜〜っ!!←卒倒状態
……来て良かった(じ〜ん)。
 
そのほかSH-60J型哨戒ヘリコプターの発艦や、P-3C型哨戒機の対潜爆弾投下などお楽しみどころは盛りだくさんであった。しかし楽しい時間はあっという間に終わりを告げてしまった。展示終了は午後1時30分過ぎ。わずか30分のつかの間の夢であった。
この後、この日休みを取るために(実は平日)無理をしたせいか、それとも日ごろの不摂生か、帰路の甲板では時折意識を失う二人がいたという。しかしその寝顔は不健康ながらも実に幸せそうだったそうな。
 
なお、観艦式は陸上自衛隊の総合火力演習のように毎年行われるものではなく、2〜3年おきくらいに実施され、次回は2000年10月。そう、今年である。さあ、あなたも護衛艦の上でどわわな体験をしてみないかっ!  詳細はこちらに。

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漂流旅記
2000.08.11 (c)おりじゃ