§エリオットよ永遠に・・・・?

 by 暁 十夜様



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 俺は布団を跳ね飛ばし飛び起きた。周りを見渡し「あれ」が夢だった事を確かめて安堵の溜息を漏らす。
「いっ嫌な夢だった・・・・・」
 俺はベッド降りて冷蔵庫に向かい中からお茶を取り出す。コップに注いで一気に飲み干す。
「最近疲れてんのかなぁ俺。」
 そんな事を呟いてさっきの「あれ」を思い出す。
 なぜか俺は筋肉ムキムキの覆面レスラーになっていて覆面に「肉」と書いているレスラーと戦っていた。
 どうやらタッグマッチらしく「肉」レスラーはコーナーに戻ってもう一人にタッチした。
 そこに出てきたのはピンクの全身タイツに不敵な笑みを浮かべたアベルだった。
 アベルはなにやらマイクを持って俺の後ろにいる誰かに向かって挑発を始めた。しかもセリフ棒読みで。
 その挑発を受けて俺の後ろから基本色のタイツに身を包んだ五人組が飛んできて会場全体を巻き込んだ大乱闘を始めた。
 さらにその会場の片隅でコブシを効かせた歌声でジュアンが微妙にカッコイイにいちゃんと演歌合戦をしている。
 その周囲には仕事帰りなのか飲んだくれたサラリーマンが「いいぞぉ」とか「いよ大将」などと野次を飛ばしていた。
「ううっ、やめよ頭が腐る。」
 この後さらに乱闘に巻き込まれたかと思うとジュアンに無理矢理ステージに引っ張り上げられ演歌を歌わされた。
「だからやめい!!」
 俺は悪夢を頭から振り払い時計を見る。午前6時半。まだ会社に行くには時間がある。
「久しぶりに朝食作るか。」
 俺は再び冷蔵庫を開け材料を探すが見当たらない。
「おかしいな、おととい見た時はあったような。」
 ほぼ食料が空の冷蔵庫を見ながら。俺はしばし考えた。
(やだねったら、やだね)
「ノオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
 再び脳裏をよぎった「あれ」に俺は絶叫する。
「ああっ、もういい。」
 俺はパジャマ代わりのTシャツとジャージを洗濯カゴに放りこんでいつものワイシャツとズボンをひったくって着る。
 髪型を簡単に整えてアパートの部屋を出て近くの喫茶店に入る。
「いらっしゃいませ。」
 店に入るとウェイトレスの声が聞こえてくる。俺は顔見知りの店長に軽く会釈をして窓際の席に座る。一応俺の指定席だ。
「いらっしゃいませ。ご注文は何にしますか?」
「モーニングセット、それと食後にコーヒーをブラックで。」
 いつもの様に注文をして窓の外に視線を移す。
 ここ商業都市ダグラムはいたって平和である。
 世の中には戦争していたり冒険の日々を送っているヤツもいるが俺はしがない新聞記者だ。 この街から出ない限り平穏な毎日を送れる。
「平穏ねぇ。」
 自分の考えていた事に自分でツッコミをいれる。俺にとってはあんまし平穏では無い毎日を最近送っている様な気がする。
「エリオット〜〜。」
 その原因を作っている一人、レイチェルが店の入り口から俺に走り寄ってくる。ってなにぃ!!
「レイチェル。なんでこんな所に。」
「ん〜、なんでだろ?まぁいいじゃない。」
 そう言って彼女は俺の正面の席に座る。
「すいませ〜んチョコレートパフェくださ〜い。」
 レイチェルがメニュー片手に注文する。どうして女の子は甘いものが好きなんだ?
「レイチェル金もってんだろうな?」
 ふと怖い予感がしてレイチェルに訊ねる。
「うん持ってるよ。」
 怖い予感はあっさりと裏切られ俺は安心する。彼女は甘い物を食べ出すと歯止めが利かない。特にオゴリとなるとだ。
「ふぅ、それより今日はえらく早起きだな。なんかあったのか?」
 俺は安心しつつ運ばれてきたトーストをかじりながら訊ねる。
 するとレイチェルは恥ずかしそうにモジモジしながら上目遣いで答えた。
「えっと、ちょっとエリオットにお願いがあって。」
「お願い?」
 俺は怪訝そうに眉を上げた。
「うん。あのね交換日記して欲しいの。」
 それを訊いた俺は思いっきり座っている席からずり落ちた。
「だっ大丈夫?」
 レイチェルが心配そうに俺をのぞきこむ。よく見るといつの間にかきた彼女はパフェをたいらげていた。
「そ、そんなことの為にこんなに早起きしたのか。」
 座り直しながら俺はあきれたように言う。
「そんなことじゃないもん。ねぇいいでしょ。」
 目を輝かせながら彼女は訊いてくる。しかし手にはしっかりと交換日記用の蛍光ピンクのノートが握られている。
「〜〜〜〜〜」
 俺はそのノートの色を見てこめかみを押さえた。しばらくその手の色は見たくない。
「ねぇねぇいいでしょ。」
 いつの間に頼んだのか運ばれてきた二つ目のチョコパフェを食べながらレイチェルはしきりに訊いてくる。
「ダメ。却下。」
 よく考えれば彼女が俺にオゴらせようとしない時点で気が付くべきだった。まさかこんな事を言ってくるとは。
「え〜そんなこと言わないでさぁ、しようよ交換日記。」
「ダメなものはダメ。」
 俺は強気で却下する。22ににもなって交換日記なんて恥ずかしくてできるか。
 しかもレイチェルは絶対会社にノートを持ってくるはずだ。そんなのを他の社員に(社員じゃないヤツも若干名居るが)見られると思うと。
「ううっ。」
 想像して背筋が寒くなる。こっこえ〜
「とにかく絶対にダメだ。」
 食後のコーヒーを飲みながらきっぱりと断る。
 それを訊いていたレイチェルがうつむいて小刻みに震える。まさか・・・・・
「うっうっ、うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んエリオットのバカ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 予感的中。レイチェルは大声で泣き始めた。すぐ側の窓ガラスがビリビリ震えている。
 どっかの軍事国家に超音波兵器として売り込んだらマジで売れそうだ。まぁそんな事したらどっかの女勇者に切り刻まれそうだが。
「わ、分った。やるよ、交換日記やるから泣き止んでくれ。」
 耳を塞ぎながらそう答えると泣き声はぴたりと止んで満面の笑みを浮かべたレイチェルがノートを差し出す。
「はい。ちゃんと書いてね。」
 語尾にハートマークが付きそうな声を出して彼女がニコニコしている。
「ふぅ、ただし条件がある。」
「?条件?」
 レイチェルが頭の上に「?」マークを出して不思議そうな顔で訊き返してくる。
「そう条件。まずその蛍光ピンクのノートはやめろ。新しいのを俺が買ってやる。」
 それを訊いた彼女はノートをかばう様に抱きしめる。それを無視して俺は言葉を続ける。
「それから交換日記を書くのは俺だけじゃない。会社のみんなもだ。」
 こうなったらみんな道連れだ。俺だけ不幸になるのは我慢ならない。
 しかしそれを訊いたレイチェルはあからさまに嫌そうな顔をする。
「なんだ、不満なのか。だったらこの話しは無しだな。」
 俺はレシートを持って席を立つ。このままお流れになってくれれば俺的には万万歳だ。
「わかった。あたしそれでもいい。よく考えてみればみんながどんなこと書くか楽しみだもん。」
 どうやらお流れにはならないようだ。しかし、楽しみ・・・ねぇ。すっごく怖いような気がするんだが。
「はぁ〜〜〜〜〜、とりあえず会社行こう。」
 俺は会計を済ましてレイチェルを連れて会社に向かった。
(やだねったら、やだね。)

「もうええちゅうんじゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」

 俺は再びよぎった今朝の悪夢に絶叫しながら会社へと向かった。




 会社に着いた頃にはもう10時を回っていた。
「エリオット〜遅刻だぞ〜。」
 会社に着いた俺を迎えた言葉はそれだった。しかし遅刻常習犯のジュアンだけには言われたくない。
「悪かったな。遅刻常習犯で。」
 どうやら口に出てしまったらしいが本当の事なので弁解はしない。
「レイチェルちゃ〜ん。エリオットがイジメる〜。」
 俺の考えている事が分ったのか、ジュアンはレイチェルに助けを求める。
「ホントのことじゃん。」
 ジュアンは止めを刺され一人デスクに突っ伏してシクシク泣き始めた。
 はぁ〜、とため息をついてベーターベンの首を外し中に交換日記用のノートを入れる。
「おや、それはなんですか?」
 それを目ざとく見つけたのはアベルだった。こいつ・・・失礼、彼はここの社員でもないのになぜかここに居ついている。
「ああ、これは交換日記用のノートだ。」
 俺はこれに至るまでの経緯を簡単に説明した。
「ほうほう、なるほど。じゃあ私もこれに何か書きこんでいいんですね。」
 説明を訊いたアベルは不気味な笑みを浮かべて何かを思案し始めた。めちゃめちゃ怖いんですけど。
「ねぇ、これなに?」
 奥のドアを開けて出てきたのは自称「勇者」のクライティスもといクリスだ。
 クリスは手になにかピンク色の物体を持っている。
「あっ、それは全身タイツですよ。」
 思案を一旦止めたアベルが答える。ん?全身タイツ。
「それは分ってるわよ、なんで全身タイツが給湯室に落ちてるの?しかもピンク色の。」
 ピンク色の全身タイツ・・・・・・俺の脳裏に今朝の「あれ」がありありとよみがえる。まさか、正夢?
「どうしたんですかエリオットさん。顔が真っ青ですよ。」
「あれ」のため思考が完全にフリーズしていた俺ははっと我に返る。
「いや、なんでもない。」
 まさか・・・・現実?そんな怖い考えを振り払いながら自分のデスクに座る。
「とにかく、これはアベルのなのね。こういうのはちゃんと自分で管理してよ。」
 クリスはタイ・・いやピンク色の物体をアベルに渡す。アベルはそれをいそいそとコートのポケットに丸めてしまう。
「まったく、そんなスケート選手が着るようなの変な所においとかないでよね。」
 クリスはそうぼやきながら給湯室に入っていく。少なくともスケート選手はピンク色のは着ないと思うんだが。
「ねぇアベルそんなのなんに使うの?」
 不意にレイチェルが怖い事を訊いた。極力訊きたくないのだが俺もそれは気になっている。
「これですか?」
 アベルはコートにしまったピンク色の物体を取り出しレイチェルに見せる。
「うん、それ。」
「これはですね明後日にある仮装パーティに着ていく衣装ですよ。」
 仮装パーティにそんなの着ていった日にゃ来た客は驚くだろうな。
「へぇ〜そうなんだ。あっ。」
 俺が心の中でパーティに来るであろうお客様方に心の中で合掌しつつ仕事をしようとした時レイチェルがベーターベンの中から持ってきたノートを俺のデスクに置く。
「なに?」
「なにって、書いて。」
 俺の横でニコニコしながらレイチェルが答える。
「いま?」
「そっ、いま。」
 顔を押さえながら溜息をもらしてレイチェルに向き直る。
「俺はこれから仕事なの。わかる?」
「うん、わかるよ。」
 だめだ分ってない。仕事するからと言うより書きたくないから書かせるなという俺の心は彼女に伝わらなかったようだ。
「とにかく今はダメ。」
 そう断ってデスクに視線を戻した瞬間。すぐ横から強烈な超音波もといレイチェルの泣き声が俺の脳を揺さぶる。
「うえ〜〜〜〜〜〜〜〜ん書いてよ〜〜〜〜〜〜〜〜」
 その泣き声にオフィスにいた全員が耳を塞ぐ。アベルにいたってはちゃっかり耳栓などして涼しい顔をして雑誌を読んでいる。
「わかった、書く、書くから泣くな。」
 それを訊いてピタっとレイチェルは泣き止んで再びニコニコ顔に戻る。
 おのれはダダッ子の幼稚園児か、とツッコミを入れたかったがまた泣かれるとやっかいなのでやめた。
「あのな、そんなに見られると書き難いだろうが。あっち行って課題でもやってろ。」
「は〜い♪」
 レイチェルを別のデスクに追い払う。彼女も一応学生だ。学校から出る課題をきっちりしないと留年する。
「レイチェルちゃん、手伝おうか?」
 ジュアンがレイチェルの課題を手伝おうと声をかける。
「いい、だって前にジュアンにやってもらった課題Cマイナーだったもん。あんなのなら自分でやった方がいいよ。」
「あうっ!!」
 あっさりと断られジュアンは再びデスクに突っ伏して今度はデスクに「の」の字を書き始める。
「ええ〜い。お前はさっさと仕事しろ!!仕事!!!!」
「どうせオレは留年ぎりぎりでしたよ。ぐすん。」
 わけのわからない事をつぶやきながらジュアンはしぶしぶ仕事を始めた。
「いや〜青春ですねぇ。」
「Go House!!」
 意味不明の言葉を発しはじめたアベルに俺は消えろの合図を送る。
「私は犬ですか。」
 抗議の声を上げたアベルにキッと殺意のこもった視線を向ける。しかしアベルは涼しい顔で雑誌に目を落とす。
 なぜここにはまともな人間がいないんだ、などと本気で思いつつレイチェルに渡された交換日記にペンを走らす。
 まがいなりのも新聞記者だ。日記ぐらい書ける文章力はある。しかしこの後書くヤツ等の事を思うと目眩がする。
 おそらく書くのはレイチェル、ジュアン、アベルだろう。クリスはなんとなく書かない気がする。頼むクリスよ書いてくれ。
 微かな希望をつかむ様にクリスを見る。クリスは怪訝そうな顔して「なに?」と訊いてくる。
 俺はなんでもないと首を振って日記に視線を戻す。とりあえずなにを書こう。
「あああ?なんだこりゃ?」
 日記に愚痴と他の連中への注意を書いてペンを置こうとした時、給湯室からジュアンの声が聞こえてきた。
「おい、これなんだ?」
 給湯室から出てきたジュアンが持っていたのはキラキラのラメがはいった男物の着物だった。
 それを見た瞬間、俺の脳は再びフリーズを起こし体が石化した様にピシッと音を発てて固まった。
「ああ、それはジュアンさんの衣装です。」
「俺の衣装?なんの?」
 ジュアンは興味津々でアベルに訊ねる。お願い、もうやめてくれ。
「なにって仮装パーティのですよ。」
 俺は石化した体とフリーズした脳を無理矢理覚醒させてアベルに詰め寄る。
「どうしてお前の行く仮装大会にジュアンの衣装があるんだよ!!」
「仮装大会ではありません。パーティです。ちなみに他の皆さんの分の衣装もありますよ。」
 いけしゃあしゃあと言い放ったアベルの言葉に俺の脳は「ピー」という音を発てて完全にフリーズしてしまった。
「え、じゃあじゃあ、あたしの衣装もあるの?」
 レイチェルが嬉しそうに訊ねる。
「はい、もちろんです。レイチェルさんとクリスさんのは特に気合を入れて作らせてもらいました。」
 お、お前が作ったんかい。
「わ〜い、クリス仮装パーティだって。」
「か、火葬パーティ?たっ、楽しそうね。」
 今の反応はクリス、仮装の意味がわかってないな。さすが田舎者。世の中知らない方が幸せという事もあるぞ。
「もちろんエリオットさんの分も。」
 にこやかに俺の方を振り向きながらアベルが告げる、「地獄の晩餐会にようこそ」と。い〜や〜だ〜〜〜〜〜
「俺は行かないからな!!!!!!!」
 俺は全身の力をこめて叫んだ。下を通っていた人は何事かと見上げるだろうがそんなのは今は気にしない。
「え〜、なんで〜行こうよ〜」
 レイチェルが俺の腕にぶら下がりながら駄々をこねる。
「いこ〜よ〜、ね〜エリオット〜」
 もう片方の腕にぶら下がってきたジュアンの首を締め上げながらブンブン振る。
「お前はいいよなぁそう楽観的で。」
「おぢづけ・・・・エリオッド・・・・・グッ」
 セリフの後半でグッタリし始めたジュアンを放り投げきっぱりと言い放つ。
「俺は行かない。泣いてもダメ。」
 泣き出す前にレイチェルにクギを刺す。
「しかたないですね。じゃあ今回はエリオットさんは参加しないという事で。」
 やけにあっさりとアベルは引き下がった。どういうことだ?
「なぁなぁ、女の子は来るのか?」
 いつのまにか復活したジュアンがアベルに訊ねる。うう〜んタフなやつだ。
「ええ、もちろん来ますよ。」
「よっしゃぁ気合いれるぞ。」
 女の子が来るという事で女好きのジュアンは思いっきり張りきっている。
 レイチェルはクリスとなにやら楽しそうに話し合いをしている。
「俺は絶対行かないからな。」
 ちょっと寂しさを感じながらそうつぶやく。




 プルルルルルル・・・・・プルルルルルル・・・・・
 ちょうど時計が午後7時を指したところで俺の部屋の電話が鳴る。
「はい、もしもし。」
「あっ、エリオット助けて!!変なヤツに追いかけられてるの。」
 受話器からは切迫したレイチェルの声が訊こえる。声だけでもただ事ではない事が分る。
「いまどこだ!!」
「ダグラム武道館に向かってるの。早く来て。あっ!!」
 そこで電話は切れてしまった。
「レイチェル!!チッ。」
 俺は大急ぎで部屋を出て走り出す。着替えないでよかったとちょっと思う。
 武道館までは走って15分ぐらいだ。間に合うか微妙だった。
 武道館に着いた俺は必死でレイチェルを探す。
「レイチェール!!どこだー!!」
 不意に後ろに人の気配を感じるが振りかえる前に後頭部に衝撃が走り気絶させられる。
「レイ・・・チェ・・ル・・」
 薄くなる意識の中でレイチェルの名前を呼ぶ。彼女だけでも無事でいてくれ。
 気が付いた俺はどこかの控え室に倒れていた。
「ここは?・・・・おおっ!?」
 俺は正面の鏡に写った自分の姿に驚いた、全身ムキムキの覆面レスラー。
「俺はいったいいつの間にこんな・・・・・」
 などとボケをかましている場合ではない。この状況から察するに俺はハメられた。誰かって詮索するまでもない。
「あ〜い〜つ〜ら〜」
 ふつふつと沸いてきた怒りに体を震わせていた時、出入り口のドアが開いて一人の男が入ってくる。
「ライターマスクさん出番ですよ。」
「はぁ?」
 いきなりそんな事を言われ俺は間抜けな返事で答える。
「はぁ?じゃないですよ。出番押してんですから早くしてください。あとこちら今回タッグを組むゴレ○ジャーさんです。」
 紹介されて廊下に出るとそこにはそれぞれ基本色のタイツに微妙に違うブーツと手袋、それとこれまた微妙に違うヘルメットを被った五人組がいた。
 タッグなのになぜ五人組。しかもなぜ微妙に名前の一部が伏字・・・・・・・
「大人の都合と言うヤツですよ。さぁさぁ早くリングに向かってください。」
 なにか意味不明の言葉を言いながら俺を出口に押しやって行く。
 出口から放り出された俺はライトの眩しさに手で顔を覆う。
「ワーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
『お待たせしました。これよりキン○マン&ピンキーアベルVSライターマスク&ゴ○ンジャーのスペシャルマッチを行います!!!』
 大歓声となにやらわけのわからんナレーションが会場に響く。
「いやぁエリオットさん、どうですか私の作ったマッチョスーツの着心地は。」
 呆気に取られていた俺の所にピンクの全身タイツに身を包んだアベルが現れた。
「この騒動はやっぱりお前の仕業か!!!」
 タイツの首下をフン掴みブンブン振る。
「いや〜どうしてもエリオットさんに仮装パーティに参加していただきたくて。」
 よく会場を見渡してみるとレイチェルとクリスがバニーガールの格好をして観客にトレーに乗せたお酒を配っている。
『おおっとライターマスク、ピンキーアベルに早くも攻撃している!!え〜、なお会場の東側では氷○き○し&男道ジュアンによる演歌合戦をお送りしております。』
『はこ〜〜〜ね〜はち〜〜り〜の〜〜はん〜〜じ〜〜ろ〜〜〜お〜〜〜』
 確かに会場の東側からはド演歌が聞こえてくる。
 レイチェルもクリスもジュアンもなにかやらされている。という事は全員こいつ(アベル)にハメられたのか。
「さぁライターマスクさん早くリングに上がってきなさい。それと○レンジャーさん、そんなタイツの着こなしでは時代遅れですよ。」
 いつのまにかリングに上がっていたアベルが棒読み口調で挑発をかます。その後ろにはキ○肉マンらしき人物が陣取っている。
「なんだと!!私達の着こなしが時代遅れだと!!」
 全身タイツに着こなしがあるのかどうか聞きたいがゴレン○ャーの皆さんは相当お怒りの様子だった。
 そしてほどなく「それ」は始まった。アベルの挑発にキレたゴレ○ジャーとアベルと交代したキ○肉マンが大乱闘を始めた。
 観客席でもレイチェルとクリスが何か騒動を起こし始めた。
 俺は引きつり笑いを浮かべながらそっとその場を立ち去ろうとしたが後ろから恨めしい声に呼び止められた。
「一人だけ逃げられると思うなよ〜〜〜」
「ノォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
 まるで幽霊のようなジュアンにステージに引きずり上げられ演歌を熱唱しろと脅される。
 あの日の朝みた悪夢は正夢ではなかった。そう予知夢だったのだ。
 きっと神様がこの地獄を回避せよとのお告げだったに違いない。しかし巻き込まれてしまった今となってはもう遅い。
 会場の安全地帯でいつの間に着替えたのか普段着のアベルがその惨劇をいつものようなスマイルで眺めていた。
(あいつ絶対明日コロス・・・・・・・)
 俺は密かな殺意を胸に秘めながら延々を演歌を熱唱したのであった。


- 終 -

■あとがき

6666HITの記念に書かせていただいた短編ですが。もはや壊れまくっていてほぼ原型をとどめていません(汗
ギャグオンリーになって真面目なシーンがまったくありません。なぜこんなになってしまったのか自分でも分らないデフ。(爆
と言うのは冗談でこれを見て腹底から、もう口から内臓出ちゃうってなぐらいに笑って欲しかったというのが本音です。 ああっ、これをみて「全然笑えんはドアホウ」とか「おのれはなめとんのか!?」とか「クリスの出番が少ない!!」とか「アベルはそんな変態じゃない」etc,etc,ect
などの苦情、ダメ出し等は家のHPまでお願いしマフ。
最後に藤馬さんこんな変なの書いてすいません。もしよろしかったらまたキリ番踏んだ時にでもまた書かしてください。
でわでわ、この辺で。

TOP