§Happiness 第三章:Vergangnheit

 by 暁 十夜様



 秋晴れの中、俺は一人デカイ鞄を持って家々を回って歩く。いや、正確にはポストなのだが。
 俺の名はラムディス=ヴァイスディーン、このダグラムの町でしがない郵便配達員をやっている。人生はいたって平穏、順風満帆。明るい老後が待っている・・・・はずだったのだが。
「・・・・・・・なんで俺はこのただっぴろい町を一人で配達してるんだ」
 ダグラムはあまり大きな町じゃない、近くが海で港もあるのだがそれでも海路があまり発達してない今はもっぱら馬車が移動手段となる。だからと言ってわざわざ王都のような大きな街からこんなヘンピな港町に来る人もいない。だが、しかしだ。それでも人口はゆうに2000人は超えている。家屋の数は5、600。どう考えても一人でやるには多過ぎる・・・しかも徒歩で。
「あ〜・・・あっちぃ・・・・・」
 夏に比べれば格段に涼しくなったとはいえ、さんさんと照りつける太陽の下でくそ重い鞄を持ってひた歩けばそりゃ暑くもなる。
「ヴォゼックさん郵便で〜す」
 なかばヤケクソ気味で手紙やらハガキやらを持って玄関のドアを叩く。
「はいはい、ご苦労さん。相変わらず一人で配達してるの?あんたその内絶対過労死するわよ」
 シャレにならない事を言いながら出てきたのはサーリィ=ヴォゼックだ。彼女は雑貨屋を経営しながらいつかは資産家になることを夢見ているのだが・・・閑古鳥が鳴きまくっている今の状態じゃまず100年経っても無理だろう。
「仕事なんだから仕方ないだろ」
「ふふ、そういう真面目なとこもいいのよねぇ」
 サーリィがうっとりした表情で言う。困ったことに彼女は俺に惚れている。美人に好かれることはいいのだが。
「だから、俺にはその気は無いっていってるだろ?」
「うふふふ、嫌よ嫌よも好きの内ってね〜」
 積極的過ぎるアプローチのはちょっと引いてしまう。
「はぁ、勝手に言ってろ。俺は次の家に周らないといけないからもう行くからな」
「はいは〜い。あ、今日もご飯作っとくからね」
 俺は手を振りながら次の配達先に向かった。なんだかんだ言って結局彼女の世話になっている自分が情けなく思ったりもするのだが。
 空をゆっくりと流れる雲を見上げながらいつまで配っても重い鞄を持ってひた歩く。近所のオバちゃんに会釈をし、犬に吼えられ。それでも俺はひたすら手紙を配って歩く。なんかひっじょうに情けない。だいたい半分も配り終えた頃。このトライアスロンに匹敵する過酷な労働に俺を追い込んだ元凶を発見した。
「ねぇねぇ、カノジョ。今ヒマ?ヒマだったらさオレとお茶でもしなぶっはっ!!」
「おのれは仕事サボってナンパか?コラ?ボケるのもたいがいにしとけよ。殴るぞ」
「それが殴ったあとに言うセリフかよ・・・しくしく」
 などと気色の悪い泣きマネをしながらジェスティ=グランバートが言う。ちなみに俺が入れたのはパンチではなく蹴りであり。本来のんびりと事務仕事をしている時間帯に大汗かきながらクソ重たい鞄を持って数百軒も配達させられれば蹴りの一発も入れたくなるのが人というものである。
「ふ、甘いなラムディス、そこを寛大な心でもって許してくれるのが親友ってもんだ」
「ジェス、もう一回蹴られたいらしいな。今度は手加減無しで」
「冗談だじょ〜だん。まったくジョークも通じないほど老化しげっふぅ・・・」
 とりあえずたわけ者にもう一発蹴りを入れたところで俺はバランスを崩して倒れてしまう。別に蹴りを入れるのに失敗したわけではない。地震が起こったのだ。縦に、横に、激しく揺さぶられ立っていられないほどだった。十数秒揺れが続くとゆっくりと地面は静かになっていった。
「最近多いな」
 元から地面に突っ伏していたジェスが立ちあがって言う。
「ああ、そうだな」
 俺は服についた土を払い落としながらそう答えた。最近ダグラム近辺では原因不明の地震が頻発していた。さっきのような大きなものから揺れているかどうか微妙な小さなものまで。この一週間で十回近く起こっている。過去稀にみない異常事態だった。
「こんだけ頻繁に地震が起きるってのもおかしいな。って、なんだよこれ?」
 ジェスが渡された鞄を見ながら言う。
「なにって、見ての通りの配達鞄だろ」
「いや、だからなんでオレに渡すのかって言ってんだよ」
「ほう、そんな事を言う?ジェス君、誰がキミの給料袋を握ってるんだっけ?」
「不詳ジェスティ=グランバート残りの配達行かしてもらいます!!」
「よろしい、残りは南と東のブロックだからな」
 俺がそういうと涙をだくだく流しながらジェスはクソ重い鞄を持って町の中へと消えていった。自業自得である。
 俺は幾分か晴れやかな気分になり、ゆっくりとした足取りで仕事場に戻る。ジェスの色ボケも今に始まったことじゃないのだが、しかし最近は以前よりも約1.5倍――当社比――忙しい・・・なんでかって・・・あいつだ、あいつが来てからと言うもの俺に安息の日々は無いに等しい。
「ほう、それは誰のことですか?」
「誰って決まって・・うおっ!?」
 突如背後から声と一緒に耳に息が吹きかけられる。俺は振りかえり思いっきり息を吸い込み。
「聞かなくてもわかるだろ!!お前だ!!お・ま・え!!」
 吸い込んだ息を余す所なく使い大声で俺の安息を奪った張本人に叫ぶ。が、耳栓――コルクをでかくしたようなもの――で耳を塞がれていてはたいして意味が無かった・・・マジでムカツクぞこの野郎。
「たく、お前はどっからわいて出た?と言うかもっとまともな登場の仕方はできないのか?」
「私はボウフラですか・・・」
 耳栓をしていても悪口だけはしっかりと聞き取るこいつは、ベルズ=フォートナー。住所不定、年齢不詳、性別不明と言う全てが謎に包まれたヤツである。しかもこいつは魔法と言う非凡な才能を持っているのだが、いかんせん行動が変なので、人様の役に立ったことがまるで無い。名刺にベルのマークを二つ描いて「ベルズ」と呼ばせるところを見てもこいつの行動不審ぶりが丸わかりである。
「だいたい、お前どこいってたんだよ。おかげで俺が配達するはめになったんだぞ」
「いやいや、ちょっとそこまで」
「お前のそこまではいったいどこまでだ。ちょっとそこまでで4日も留守にするやつなんて聞いたことも見た事もないぞ」
 俺が溜息と一緒に吐き出した言葉を聞いて、ベルズは自分を指差してにこにこと笑う。
「なんだよ?」
「ここにいますよ」
 俺はベルズの言葉に思わず頭を抱えてしまう。こいつは・・・
「おや?どうしたんですか?頭抱えて。頭痛薬でしたらありますけど?」
「だぁ〜、そうやって怪しげな薬を勧めるな!!」
「怪しげとは失礼な・・・おや?」
 などと言いながら顔は不気味な微笑を浮かべたままのベルズが何かを見つける。こいつの見つけるものは百害あって一利無し。無視するのが一番なのだが。郵便配達兼町の見回りというどう考えてもおかしい仕事の組み合わせを所長から言いつけられている以上悲しいかな無視を決め込むわけにはいかないというドツボにハマった状態な俺は仕方無しにベルズの見つけたモノに目を向ける。
 それを見た瞬間、俺は息を呑んだ。濃い茶色のマントと淡い金色の髪を風に揺らし、深緑の瞳はただ悠然と町を見ている・・・ただそれだけ。それだけでしかない、それなのに俺は何かに取り憑かれたように魅入られてしまった。凛とした雰囲気は人を遠ざける感じがするのだが、それでいて全てを暖かく包むやさしさを感じる。
「おやおや、ラムディスさんにジェスさんの病気がうつってしまったようですね」
「一緒にするな一緒に。はたくぞ」
「そうですか、それならいいのですか。私はてっきりジェスさんみたいにお茶に誘った後にピーにピーしてピーピーするのかと思いましたよ」
「マテコラ、その「ピー」の部分はいったいなんだよ」
「いやいや、私の上品な口からはとてもじゃないけど言えませんよ」
「誰の口が上品だってだ・れ・の」
 俺はあまりにも無かついてベルズの首を半分本気で絞めた。まぁジェスの名誉はどうでもいいが俺まで同じ目で見られるのは嫌なので一応弁解しておくがジェスは決して「きちく」だとか「げどう」だとか言う類ではない。ベルズはどうか知らないが。
「失礼な。私はいたってノーマルですよ」
 どこをどう見てノーマルだと言い張るのかかなり謎なベルズに俺は再び頭を抱える。俺の周囲にまともな人間はいないのか・・・・
「おや?また頭痛ですか?頭痛薬なら・・・」
「だから、怪しげな薬を勧めるな!!!」
 俺達が二度目のオヤクソクをしていると、クスクスと笑い声が聞えてきた。
「くすくす、あ、いやゴメン。あんまりキミ達が楽しそうだったからさ」
 笑い声の主は先ほどの金髪緑眼の女性――?――だった。なんだか外見に似合わず彼女の声は以外とハスキーである。
「いや、まぁ俺達が楽しいかどうかは今は置いといて。こんなところで何をしてるんだ?名前は?」
 俺は少々職務質問気味な口調で言う。別に緊張してるからだとかそう言うのではなく、あくまで仕事だからである。
「ボクの名前?アレスだよ。アレンシス=ジャスティシア=ティンジェル」
「アレスか・・・アレス?・・・ってもしかして・・・男?」
「え?そうだけど?」
 これには驚いた。てっきり俺はアレスを女性とばかり思っていたが、その実、実際は男だったとは、かなり驚きだ。それほどにアレスは女性と自称しても充分通用するぐらい中性的な顔立ちだった。まぁ、女性だったとしても自分のことを「ボク」とか言う女性は俺の守備範囲外なのだが。
「ラムディスさん。実はガッカリしてるでしょう」
「うっ・・・そんなことあるわけないだろ・・・んんっ、それでアレスはいったい何してたんだ?」
 いつもと変わらぬ笑みを浮かべたベルズに微妙に痛いところをツッコまれたのを誤魔化すために俺は話題を元に戻す。いや、だからと言って決してアレスが男だったのが残念だとか思ってたりはしてない。うん、決して。そうそう、絶対に。
「はは、ホントにおもしろいねキミ達。あ、ボクがなにをしてに来たかってことだよね。う〜ん、ちょっと説明しづらいんだけど。まぁ、この町にとってもボクにとってもとても重要なことだね。この町の存亡がかかったことだよ」
 町の存亡とはまた大袈裟な。それにしては具体的なことが説明しづらいとはまた怪しい。
「なるほど。それでアレスはなんか仕事はしてるのか?見たところ旅をしているみただけど。旅芸人とか吟遊詩人とかか?」
「あ、え〜と・・・」
「ラムディスだ」
「そう。ラムディスさんボクの言ってること信じてないでしょ」
 アレスは少し怒った様な感じで言う。合ったばかりの見ず知らずの他人にいきなりそんなことを言われて信じろというほうが無理な話しである。
「ん〜、そうだな。ぼちぼち信じてる」
 などと自分で言ってて信じてないのが丸わかりの言葉を言う。
「そう、でもボクの職業を聞けば多分信じてくれるよ」
「ほう、で、あなたはいったいどういった職に就いておられるのですか?」
 興味津々といった感じでベルズがアレスに問う。こいつが絡むと面倒な事しか起きないのが少々気がかりだが。今はアレスの職業を聞くのが先だ。
「ボクの職業は勇者なんだ」
「ベルズ、さっさと帰るぞ。遅くなるとまた所長にどやしつけられるからな」
「そうですね。さすがに5日も留守にしてアルバイトをクビになりたくありませんからね」
 俺達が「自称」勇者サマの戯言は綺麗サッパリ聞き流してその場を立ち去ろうとするとアレスが俺達の前に回って立ち塞がる。
「待って、ボクのこと勇者だって信じてくれなくてもいいから話しだけは聞いてほしいんだ」
 アレスは深緑の瞳で真っ直ぐ俺の目を射貫く。真剣そのものの瞳の色に俺は思わずたじろいでしまう。今気付いたがアレスには妙な威圧感があった。
「キミ達は町の巡視員かなんかなんだろ?」
「う〜ん、まぁ当たらずとも遠からずってとこだな。俺達の本業は郵便配達員で、町の巡視はそのついでにやってるんだ。ちなみに昼間だけな。夜はちゃんとした警備がいるからな」
「俺達、と言うと?」
「ジェスとお前だよ、お・ま・え!!」
 クソたわけたことを口走ったベルズの首を絞めながらブンブン前後に激しく揺らす。それでもベルズから微笑が消えないところがひっじょうに不気味なのだが。
「それでもいいよ。教えて欲しいことがあるんだ」
「教えて欲しいこと?なんだ?」
 俺はベルズの首を締め上げなが尋ねる。
「うん、この近くに魔術遺跡かそれに近い建造物があったら教えてほしいんだ」
「魔術遺跡?・・・そんなもんあったかな?まぁいい。局に来ればひょっとしたら資料かなんかあるかもしんないな。案内してもいいけど」
「ホント!!」
「嘘言ってどうするんだよ。んじゃそうと決まったら行くか」
「うん・・・ってそれはいいんだけど。そろそろ離してあげたら?」
 と、苦笑いを浮かべながらアレスが指差した先にはいつもとかわらぬ笑みをたたえながら真っ青な顔で口端をぴくぴく動かしているベルズの顔があった。
「うお!?」
 俺は慌ててその不気味な物体――失礼――から手を離した。
「いや〜、死ぬかと思いましたよ」
 それにしてはまったく緊張感の無い口調で微笑みをたたえたベルズが言う。そして俺の方を向いて。
「ラムディスさん今日のことは日記に書いて未来永劫忘れませんからね」
 などといつもに増して爽やかな笑顔で言う。・・・・・怖い、めっちゃ怖いんですけど。
「ま、まぁ、さっさと帰るか」
 おもいっきり冷や汗をかきながら俺は「自称」勇者サマを連れて局へと足早に向かった。


「遅い!!ラディ、配達にどれだけ時間かけてるの」
 帰り道がてらベルズに散々嫌味、悪口、奇声、掛け声、猫なで声――意味不明――を聞かされて精神的に疲労全開で帰ってきた俺に浴びせられたのは所長、フェルベール=ドライバーの怒鳴り声だった。
「あのな、本来今日は事務仕事やってるはずの俺がなんで配達しなきゃなんないのかとか、全エリア一人で歩きで配ってかわいそうだとか思わないのか?」
「全然まったくかけらもこれっぽちも思わない」
 鬼だ。こやつは鬼だ。いくら前所長の孫だからってこんな横暴が許されるのか。もう泣きの一手かまして転職しようかな、いやここは革命を起こして実権を握った方がいいかもしれないな。
「へぇ、ラディ辞めるんだ。アタシの許可無くやめるんだ。じゃあさ退職金はいらないよね」
「おのれは!!少しは部下の気持ちと言うものを考えろ!!なぜに俺がジェスとベルズの分まで配達せにゃならんのだ!!給料増やせ!!」
「え〜と、ラディの懲戒免職処分の書類はっと・・・」
 俺の魂の叫びも鬼のフェル所長の耳には小鳥のさえずりと同じレベルにしか聞えていないようで、フェルはそのまま奥の所長室へと消えていった。ああ、前の所長の時代が懐かしい・・・かむばっく俺の平穏な日々よ。
「あの、ひょっとして彼女が所長さん?」
 アレスがかなり驚いた様子で聞いてくる。やはり驚いたようだ、なんせフェルの年齢は13歳。普通なら学校へ行って友達と一緒にくだらないお喋りに華を咲かせていてもおかしくはない年だ。
「やっぱ驚くか普通・・・」
「ええ、かなり・・・」
 アレスの普通の反応に俺はなにかしらの安心感を覚えた。前所長が倒れてフェルがかわりに所長をやると言った時。驚いたのは俺だけだった。ジェスは「十年後が楽しみだ」と言ってやってることは相変わらずナンパだし、ベルズにいたっては「おやおやお若い所長さんですね」の一言で終わらせた。もともと正規所員は俺とジェスのみの弱小郵便局の平穏はこの時から終わりを告げ、「ほ〜ほっほっほアタシの言う事を聞かないとクビよ〜」と言う雰囲気が漂う独裁政権の様な日々が始まったのだ。
「よく持ちますねぇ」
「ああ、あいつ頭だけは切れるからな」
 苦笑しながら言ったアレスの言葉に俺は溜息混じりの声でかえす。実質フェルは頭が良かった。所員の健康だの労働時間だのを考えないノルマにしたおかげで作業効率は各段に上がって町民の皆さんからの評判も以前よりも上がった。その分仕事も増えているようだが、やはりさばききれない部分は後回しにしているようだ。彼女は郵便局の所長よりもどっかで商人でもしてた方が百倍は儲かるんじゃないかと常々思う。
「ただいま〜、あ〜・・・疲れた・・・」
 ジェスが気の抜けた声で帰ってきた。どうやらサボらずに配達をしてきたようだ。
「まったく聞いてくれよ、南エリアですっげぇ美人な娘見つけたんだけどさぁ、そいつぢつは男だったんだよなぁ・・・はぁ、オレっちびっくり、世界も仰天ってか」
「お前は〜〜〜、結局ナンパに走るのかこの色ボケがぁ〜〜いっぺんマジで死ぬかコラ」
「お、おぢづげラディムズ・・・は、配達はちゃんとやったって」
「ふ〜む、美女が男だとわかってジェスさんはロ○コン趣味に走ったわけですね。しかし幼児誘拐は重犯罪ですよ」
 俺はベルズの言葉でジェスの後に立っている少女に気付いた。ジェスがついに犯罪に走ったという事よりも、俺は彼女の淡い紫色の髪と瞳に気を取られた。紫の髪をいているだけもかなり珍しいのだが。瞳も紫となると妙な感覚を覚える。
「誰が○リコンだ!!誰が!!」
「いやいや、それはジェスさん以外だれがいるんですか」
 コントに走ったボケ二人をよそにアレスは一人真剣な眼差しでジェスの連れてきた少女を見据えていた。
「紫の髪と瞳・・・見つけた、この子だ」
 そう言ったアレスの雰囲気に俺は呑まれそうになった。最初は威圧感だと思っていたが違う。どうやらアレスには何かしらの力があるみたいだ。
「そう言えばまだ名前聞いてなかったな。お嬢ちゃんお名前は?」
 ジェスが笑顔で少女に尋ねる。
「アオイ」
 そう少女はにこやかに答えた。





「え〜りおっと」
 迷宮と呼んでも差し支えない遺跡を脱出して疲れ果て、惰眠を貪っていた俺の上にボディプレスとおぼしき衝撃がのしかかる。が、いかんせん体重が少ないので衝撃も俺を叩き起こすまでにはいたらなかった。
「う〜、もうちょい寝かしといて・・・お願い・・・」
 俺は布団の中に潜り込んで再び寝ようとするが小さな襲撃者は怯まない。布団の上から俺を激しく揺さぶってくる。
「こら〜起きろ〜遊ぼ遊ぼ」
 激しく揺さぶられ筋肉痛と、数日前にレイチェルに張り倒された痛みがじょじょに復活してくる。
「お〜き〜ろ〜。もう、えい!!」
「ぐあっ!!・・・・・・」
 俺はあまりの痛みに布団の中で短い悲鳴をあげた。マウントポジションをとった襲撃者がレイチェルに殴られた部分を寸分違わず打ちつけたのだ。いたひ・・・痛過ぎる・・・・やっと痛くなくなってきたのに。
「〜〜〜〜〜〜っ」
「え、エリオット大丈夫?」
「・・・だ、大丈夫・・・なわけあるかぁあああ!!!」
「わきゃ!!」
 勢い良く起き上がった俺は布団と襲撃者、アオイを一緒に跳ね飛ばす。
「手加減を覚えろ手加減を!!」
「う〜、ゴメンナサイ」
 俺がアオイを連れてきてから3日経った。最初は大人しかったアオイだがどんどんと元気になり今では見ての通りのお転婆ぶりを超発揮しているのだ。しかもレイチェルに負けず劣らずバカ力ときたもんだ。まいったねこりゃ。
「今何時だ?・・・・げっ」
 時計を見た俺は一瞬硬直した。9時25分・・・遅刻ギリギリだ。
「やべぇ!!遅刻だぁあああ!!!」
 俺はパジャマを脱いで放り投げると干してあったワイシャツをズボンを引っ掴み慌てて着る。
「え〜と、靴下靴下」
「はい」
「あ、サンキュ・・・だぁあああああ!!!間に合え〜〜!!」
 アオイから受け取った靴下を履き。俺は寝癖の髪もそのままにぶち破るぐらいの勢いで玄関のドアを開けて飛び出す。もう靴を履いている時間も無いから手に持ったまま階段を3段飛ばしで駆け降りる。
「しゃああ!!セーフ・・・」
 事務所のドアを開けて俺は安堵の溜息を漏らすが。
「遅い、32秒の遅刻よ」
 と、鬼社長の言葉が俺に突き刺さる。ああ、減俸・・・・
「って、32秒くらい多めに見てくださいよぉ」
「ふっ、ダメだな。俺より遅い時点で減俸処分だ」
 と、ものすっごく珍しく俺よりも早く来ていたジュアンが言う。おのれ遅刻大魔王のくせに。
「あらあら、ジュアン君に言われちゃお仕舞いね」
「そうでしょそうでしょ、それで俺の給料・・・」
「あら?80%カットじゃ不満?じゃあ全額カットで」
「いや、いいです。なんでもないっす」
 サーシャの秘蔵の酒を飲んで半年の減俸処分をくらったジュアンの無駄なあがきは約5分で終了したのであった。だから無理だっつの。それ以前に9時半出勤でそれから10秒遅れるごとに2%づつの減俸なんて・・・横暴過ぎるぞマジで・・・
「あらぁ?エリオット君なにか言いたいことでもあるのかなぁ?」
「うっ、いやなんにもないです。さ、仕事仕事」
 サーシャの微笑み――かなり怖い――を受けて俺は何も言わずデスクに向かう。ああ、鬼・・・・
「はい、ご苦労様」
 俺がげんなりしてデスクに座るとクリスが苦笑しながらコーヒーを差し出してくれた。出勤してきたばかりなのにご苦労様ってなぁ。
 俺はコーヒーを受け取るとまじまじとクリスの顔を見る。
「なに?私の顔になにか付いてる?」
「あ、いや。なんでもない」
 そう言うとクリスは変なのとクスクス笑いながらいつの間にか応接セットのソファに座っていたアオイに近づく。なんだ、何か引っかかる。
「アオイちゃんも何か飲む?」
「ううん、いい」
「そう」
 クリスの申し出をあっさり断ったアオイはソファから立つと小走りでジュアンにじゃれつきに行く。ほとんど全員に懐いているアオイだが、どう言うわけかクリスにだけには懐かないでいる。
「まぁ、なんだ。アイツにも色々あるんだろ。あんまり気にすんなよ」
「うん、わかってる」
 俺はおざなりだが一応励ますような言葉を言う。色々ってなに?と、聞かれると困るのだが。俺はなぜかアオイがクリスに懐かないのが自然な気がしていた。やっぱり何か引っかかる。
「ぐぇ・・・ぐ、ぐるぢい・・・ぎ、ギブギブ」
 ジュアンにチョークスイーパーを極めているアオイを見ながら何がこんなに心の隅っこの方に引っかかるのかがむしょうに気になった。
 そもそも、なんで俺があの遺跡に吸い込まれたのか。そこから考えていく必要がありそうだ。近くにいたから?いや、それならジュアンでもいいはずだ。じゃあ、昔からあそこで遊んでいたから?いや、それでも俺じゃなくてもいいし。もっと前にこんな事件が起きていてもいいはずだ。
「あ〜〜、もうぜんっぜんわかんねぇ」
 もう完全に最初から手詰まりである。考えるだけ無駄かも・・・・
「ほら、そこ。サボらない」
 サーシャの声がすると同時にデスクに置いていたコーヒーカップがカタカタと音をたてて揺れる。サーシャの声があまりに恐ろしいのでコーヒーカップがビビって震えている・・・と言うわけででは無い。地震が起こったのだ。まぁ、サーシャの声で無機質な物が震えあがらないとも言いきれないけど。
「エリオット、そんなにタダ働きしたいの?」
「いえ、滅相もございませんです、はい」
 落ちない様にとコーヒーカップをデスクの奥に置くと地震は静かにおさまった。
「なんか最近異常に多いよな」
 アオイを背中に背負ったジュアンが言う。確かにここ数日で体に感じるものだけでも数十回の地震が起きている。人が感じ取れないものを入れれば百回以上は起きている、と言うことが役所から昨日発表されている。同時に極力家から出ないようにということも。地震が怖いのか事務所の駄犬、スパイクもソファの下で丸まっている。
「もう信じらんな〜い」
 来て早々にそんな愚痴を言ったのはレイチェルである。昨日の夜に学校があると言って同じような事を言っていたけど。
「学校はどうした?サボリは進級に響くぞ?」
「違うって。今日さぁ、学校いったらやっぱり危険だから休校とか言われたぁ。どう思う?絶対生徒バカにしてない?」
 なるほど。そう言うことか。と言うかそれで家に帰らずに新聞社に来るとは。なんか間違っているような気もしないでもないけど。
「それで?家には帰らないのか?」
「え〜、帰ってもヒマなだけだし。ここに来ればエリオットもいるし〜」
 と言ってレイチェルは俺に抱きついてくる。結局それかい。
「やめれ、仕事ができん」
 やんわりとレイチェルを振りほどいてコーヒーを口に運んで原稿に目を落す。
「も〜、エリオットのいけずぅ」
 こいつホントに学生してんのか?どこでそんな言葉を覚えてくるんだか。と、不意に事務所のドアをノックする音が響く。俺は顔を上げて周囲を見まわす。サーシャは、社長室にこもってる。ジュアンは、アオイと格闘中。クリスも姿が見えない。って結局出るの俺かい。
「はぁ、はい、どちらさん」
 溜息を吐き出しながらドアを開けると誰もいない。イタズラかと思った時、俺の足をつついてくる物が。目線を落すとアオイと同年代の子供が4人。
「アオイちゃんいますか?」
「ん?ああ、いるよ。どうぞ」
 俺が子供達を事務所内に招き入れるとジュアンの背中に引っ付いていたアオイが目を輝かせながらすっとんでくる。
「ウェイちゃん、ミィーちゃん、レウ君いらっしゃい。あ、キース君も来てくれたんだ」
 アオイは嬉しくてたまらないと言う表情で全員を応接セットのソファに案内する。やっぱり同年代の友人といる時は楽しいのだろう。ちなみに座った順に奥からウェイファ、ミィーフィ、レウル、キースと言う名前だ。レイチェルの通うアカデミーの初等学院に通っている子供達で。昨日レイチェルが朝学校に連れていって出来たアオイの友達だ。
 この子達も学校が休校で遊びに来たのだろうが・・・今更ながら、いいのだろうかと思ってしまう。
「はい、ゆっくりしていってね」
「ありがとうございます」
 オレンジジュースを出したクリスに子供達はお行儀良くお礼を言う。若干一名を除いてだが。キースだ。彼は一人ブスっとした顔でそっぽを向いている。
「どうしたの?オレンジジュース嫌い?」
 クリスが目線を合わせてキースの顔を覗き込む。
「う、うるせぇ、嫌いじゃねぇよ」
 キースは照れたのか、赤い顔をしてオレンジジュースを一気に飲み干す。う〜ん、いつの時代もいるもんだな、ひねくれたガキというのは。
「アーちゃんそう言えばアーちゃんのお父さんってここで働いてるの?」
 ウェイファが何気ない質問をアオイにぶつける。子供だからこそ掛け値無しの本音が言えるのだろうが。少々酷な質問かもしれない。しかしアオイは少しも迷わず。
「いるよ」
 俺はアオイのその一言で原稿を勧める手が止まる。いるって、おい
「え?だれだれ?」
 子供達は面白がってさらに聞いてくる。俺は落ちつこうとコーヒーを口に運ぶ。
「え〜とね。エリオット。あそこでお仕事してる人」
「ぶっ!!」
 この追い討ちにも等しいアオイの一言で俺は思わず口に含んだ茶色い液体を吹き出してしまった。ああ〜、原稿がぁ。ってそれよりも俺はいったいいくつに見えてるんだ。
「あ〜、わかる。なんとなく似てるもんねぇ、いいなぁ、若いお父さんがいて」
 子供達の無邪気な発言にジュアンは机に突っ伏して体を小刻みに揺らしている。こいつ笑ってやがる。
「じゅ〜あ〜ん」
 俺の恨みがましい声を聞いて顔を上げたジュアンは俺を見ながら大笑いしている。
「は〜っはっは、どうしたエリオットぱぱ・・・ははははは、ひぃ・・腹イテェ」
「そうか、ジュアン。お前はこれから半年間俺からのオゴリは無しでいいんだな」
「え!?いや、ジョークだって。そんなマジで怒るなよ」
 大人達のコントはほったらかしで子供達の会話はまだ続いている。が、なにやら雲行きがおかしい。
「嘘だ!!」
 そう叫んだのはキースだった。
「あんな若いにぃちゃんがオヤジなわけない!!」
 おお、こいつひねくれてる割には頭がいいぞ。しかし、これではアオイが「嘘つき」のレッテルを貼られてしまう。自業自得と言えばそうなんだが。どうしたものか。
「おやおや、数日留守にしていた間にずいぶんと平均年齢が下がりましたね」
 考え込んでいた俺の耳に聞きなれた声が飛び込んでくる。この人を小バカにした口調は・・・・
「アベル、お前ジャガイモ買いに行くのに・・・でぇえ?」
 俺はアベルを見て思わずおかしな悲鳴を上げてしまった。やられた。こういう事態を予測しておくべきだった。完全に不意打ちを食らった気分だ。
「エリオットさんどうしたんですか?人を見ていきなり変な悲鳴をあげて。失礼でしょう」
 と、いつもと同じ、何を考えてるのか全くわからない微笑みを浮かべてアベルが言う。口調と微笑みが変わらないのはいつも通りだがその格好が異常におかしいのだ。ニッカポッカを履いて手には軍手、頭にねじり鉢巻をしてデカイ麻袋を背中に担いでいる。しかも靴はいつものブーツというどう考えてもミスマッチな格好をしている。コイツが来てからもうそこそこの時間が経つが未だに何を考えてるんだか皆目検討もつかない。
「お前なんでそんなカッコをしてるんだ?」
 俺は頭を抱えながら聞く。まぁ、聞けば更に頭が痛くなることうけあいなのだが。
「いやぁ、新鮮なジャガイモを買おうと農家の方まで行ってたんですが。いやはやそこの方々に感激して少々お手伝いをしてきまして。そのお礼に貰ってきたんですよ」
 にこやかに語っているアベルだが、なんか答えになって無い上にいったいなんの手伝いをしてきたんだか・・・その格好じゃ農家というよりも土方かとび職だっつの。
「お?頭痛ですか?それならイイ薬がありますよ」
「だぁ〜〜!!ドサクサ紛れに怪しげな薬を勧めるな!!・・・っ!?」
 何気に久しぶりなオヤクソクをしていて俺はまた何か引っかかるモノを感じた。なんだ?いったい・・・
「エ、エリオット。その人誰?」
 アオイが怯えて俺に聞いてくる。ウェイファ達も同様に少々ビビっている。そうだよなぁ、いたいけな少年少女にこの世紀の不審者はちょ〜っとキツイよなぁ。よし、ここは子供達の精神衛生上のためにアベルをとっとと排除するか。
「オラオラ、不審者はとっとと出て行く。と言うかさっさと部屋に行って着替えてこい」
「あうち、すた〜○らちなで攻撃されるとは・・・仕方ないですね。あ、ジャガイモはここに置いておきますから」
 意味不明なことを口走りながらアベルは麻袋を事務所の隅っこに置くとしぶしぶ自分の部屋へと戻って行った。と言うかあのデカイ麻袋、ジャガイモが入ってたのか。
「ジャガイモねぇ、こんな大量に貰ってきてどうすんだよ・・・八百屋か市場に持ってって売るか?」
 ジュアンが麻袋を開け、中に入っているジャガイモを一つ手にとって言う。
「いや、それは止めといた方がいいだろ。アベルが貰ってきたやつだぞ?」
「そ、それもそうだな・・・しかし、どうするよ、コレ?」
「やっぱり、しばらくジャガイモ料理にするしかないかも」
 困り果てている俺とジュアンの後からやはり同じ様に困っているクリスが言う。ちっとは限度と言うものを考え・・・られないのがアベルだ・・・
「あの〜」
 ジャガイモの処遇を本気で考え込んでいる俺達にミィーフィが声をかけてくる。
「ん?どうしたの?」
「えっと、私達そろそろ帰らないと。お母さん達心配するから」
「あ、もうそんな時間か」
 壁にかかっている時計を見上げてみるともうすぐお昼時だ。学校が休校と言う情報が家族にはもう届いているだろう。規模は小さいといっても地震が多い、さすがに早く帰っておいた方がいいだろう。
「それじゃあ」
「おう、気を付けて帰るんだぞ」
 ジュアンがお約束のセリフを言って4人を送り出す。アオイは少々残念そうにしてるが。それも仕方ない。
「ほらほら、アオイちゃん。また明日遊べばいいじゃん」
 お姉ちゃんになった気分なのか残念そうにしているアオイをレイチェルが励ます。う〜ん、実は年下想いとは。まぁ、アオイはレイチェルに任せていいか。
「しかし、ホントにどうするか」
 ジュアンがやる気なさそうに言う。 「あら?どうしたのその大量のジャガイモ。ちょうどいいわ。お昼はジャガイモ料理よ。残すと後々面倒だから全部使っちゃってね」
 サーシャはそう言ってそそくさと社長室に舞い戻る。出てきたと思ったら・・・・この大量のジャガイモを全部使えって、また無茶な。
「どうするよ?」
「どうするって、やるしか無いだろ。社長命令なんだから」
 ああ、なんて俺ってば不幸なんだろ・・・・しばらくジャガイモ見るのもイヤになるかも・・・・かくて、大量のジャガイモとの格闘が始まった。


「・・・・・もぉ〜やだ、絶対もう二度とジャガイモなんて食べない」
「コラ、まだちょっとしか食べてないだろうが。ちゃんとノルマ分食えよ」
「え〜、じゅあ〜んお願いワタシの分食べて〜」
「待って、レイチェルちゃんさっきからほとんどオレに回して無い?」
「あ、マヨネーズとって」
「いやはや、労働した後の食事は美味しいですね」
「ぱくぱく」
「このマッシュドポテト味がイマイチね」
 サーシャの無茶な命令から2時間半・・・・全員壊れかけていた。と言うかさすがに10k近くあるジャガイモを一気に食おうと言うのが無理なのである。
「社長。もう無理っすよぉ。残りは晩飯に回しましょうよ」
 ついに誰もが言おうとしていたセリフをジュアンが言う。偉い、偉いぞジュアン。
「そうね、さすがにアタシも食べ飽きてきたし・・・」
「よし、そういうことなら早速かたづけよう。さぁ、ぱっぱと、今すぐに」
 俺ははやくこの忌々しいイモ料理を片付けるために高速で片付けに入る。
「オラ、ジュアン寝転ぶな。お前も手伝え」
「すまん・・・オレはもうダメだ・・・オレの死体は火葬場で燃やしてくれ・・」
「だぁああ!!誰でも死んだら火葬場行きだっつーの!!コラそこ、食後のコーヒー飲んでないで手伝え。誰のせいでこうなったと思ってるんだ!!」
「さぁ?誰のせいでしょうねぇ?」
 こ、こいつらは・・・・マジでムカツクぞ・・・ジャガイモでもたれまくった胃が俺のイライラに更に拍車をかけてくる。
「はぁ・・・もうヤだ」
「はぐはぐ・・・・元気だしてエリオット」
 まだ食べつづけているアオイに慰められてなんだか俺は情けない気分になる。もういい、このまま夜まで放置してやるぅ〜〜〜!!
「・・・・はぁ、今日の夢はジャガイモしか出てこなさそう」
 全員にお茶を出して、自分も一息いれていたクリスがぼやく。
「そうだな・・今日の夢は・・・夢?そうだ、夢だ!!」
 いきなり大声を出した俺に全員の視線が集まる。
「なんだよエリオット。急に大声出して」
「わりぃ、でも思い出したんだよ」
「何をですか?」
「夢だよ夢。俺の今日見た夢」
「え?どんなのどんなの?ワタシ出てくる?もしかしてエリオットとあんなことをきゃ〜」
 もう完全に壊れている。ヤツ等はシカトして。俺はクリスを見る。
「クリス。お前の知り合いかなんかにアレスとか言うヤツいないか?」
「ア・・レス・・」
「そうアレス。知らないか?」
「・・・・契約の・・・我が・・・奇跡を持って・・・」
 俺の質問に答えているのかなにかぶつぶつ言いながらクリスはゆっくりと立ち上がる。
「お〜い、完全に壊れたか?」
 そう言ってクリスに近づいたジュアンの鼻先を銀色の軌跡がかすめていく。
「く、クリス?」
 鼻の頭から薄っすらと血を流しながら掠れた声でジュアンが剣を構えたクリスに問いかける。
「その子を渡せ!!」


■あとがき万歳(何)

 誰もまってなさげな気もしないでもありませんが。おまっとさんです♪はぴねす第三話。いかがでしたでしょうか?ああ、やっぱり俺はダメダメっすね。最後までシリアスで通そうと思ってたのにもういつものノリだし(笑)
今回のタイトル、何気に見た事ある人少なそうな単語ですが。実はドイツ語です(何)いや〜、最近ドイツ語にハマってまして。何気にいれて見ました♪(迷惑千番なヤツ)意味は「過去」と言う意味です。はっはっは、まんまですね(笑)
さてさて、出てきました郵便配達のお兄さんラムディス。なんか時代が過去になってエリオットの職業が郵便配達に変わっただけと言う感じもしないでもないですが。まぁ、カエルの子はカエル。苦労人の先祖は苦労人だったということで(ぉ)何を隠そう何気に俺はびふぉ〜、あふた〜話し、つまりその作品の過去や未来の話しが大好きだったりします。ゲームでもなんでもエンディングの後が知りたかったり。こいつの過去にはいったいなにがあったんだ的な話しはめっちゃ好きです。と言う事で何気に今後もラディの話しやエリやんの子孫の話しとか書きたいなぁとか思ってたりもします。(それ以前に今後も書く気かい)
前の話しのあとがきでもったいつけたアオイちゃんの誕生秘話、なにを隠そう字数制限に引っかかってメモ帳に入らなかっただけですばい(爆死)なおどうしても気になると言う方は俺のHPに載せてますのでそちらをご覧下さいな♪(宣伝宣伝)
しかし、俺ホントにネーミングセンスないなぁ。ラムディスの話し部分に出てくる某方々の先祖もそうだし、アオイちゃんのお友達の名前も少々あれ?ってな感じだし・・・葵さん気に入らなくて面倒じゃ無い場合は変えてもらっても・・・・んんっ、いやいやなんでもないですよ(微笑)
さてさて、次でいよいよラストでございます。何気に話しがモロバレくさい上に俺っちが何気にサボってた(ぇ)おかげでえらく長くなってしまいましたが。少なくとも葵さんの期待を裏切らない物にしたいなぁとか思いますのでもうしばらくお付き合いください。絶対3月までには書き上げたいと思います(嘘くせぇ)

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