HIRAO'S HOME PAGE > 世界名作劇場 > ピーターパンの冒険 > ピーターパンの冒険 感想

ピーターパンの冒険  感想

 「ピーターパンの冒険」は世界名作劇場の中で唯一、架空の舞台で魔法や空を飛ぶなど、非現実的な冒険を扱った異色の作品です。冒険物としては「トム・ソーヤの冒険」や「七つの海のティコ」などが挙げられますが、いずれも現実の範囲内です。しかし「ピーターパンの冒険」は、それとは違い、永遠の少年ピーターパンが架空の世界ネバーランドで日夜冒険を続けるという物語となっています。
 物語はロンドンに住むウェンディたちのもとにピーターパンが訪れるところから始まります。ピーターパンと仲良くなったウェンディはジョンやマイケルと一緒にネバーランドに行き、そこでカーリー、トートルズ、スライトリーたちと一緒に暮らす事になったのです。ネバーランドでの生活は海賊に襲われたりと冒険に満ちた生活で決して飽きる事はなく、ウェンディはそこで子供たちのお母さん役として活躍します。物語の前半はピーターパンたちの日常生活と海賊たちとの滑稽な戦いがメインとして進みます。後半はルナと知り合った事からダークネスとの戦いに移り、前半までのドタバタとは違って、少しシリアス路線に変わります。さらにルナがルナが悪魔となるところでクライマックスを迎え、そしてネバーランドに平和が訪れ、冒険が終わったところでウェンディたちは再びロンドンに戻るというストーリーになっています。
 「ピーターパンの冒険」の最大の謎は時間の概念でしょう。ウェンディたちはロンドンからネバーランドに行ってから再び戻ってくるまで、ネバーランドの時間にして数ヶ月間はネバーランドにいたと考えられます。しかし実際にはロンドンでの時間にするとわずか一瞬のように描かれており、とても数ヶ月も家を開け放したとは思えません。そして次にピーターパンが迎えに来るのはロンドンでの時間にしておよそ20年後ですが、ピーターパンたちがネバーランドでそんなに長い時間、ウェンディたちを迎えに行かなかったとは考えにくく、数日か長くても数週間しかたっていなかったと思われます。ネバーランドでは年をとらないようなので時間の流れ方も現実世界とは違うのでしょう。
 「ピーターパンの冒険」で特徴あるキャラクターといえばやはりフック船長でしょう。もちろんピーターパンやウェンディも魅力的ですが、フック船長のように悪役でありながらあそこまで滑稽で笑わせてくれる悪役は珍しい存在です。世界名作劇場には数多くの悪役が存在しましたが、ここまで笑わせてくれる悪役はフック船長だけでしょう。まず設定が笑わせてくれます。悪役なのにおしゃれできれい好き、しかもハープシコードまで弾けるのです。さらに今は亡き母上をこよなく愛し、船長室に母上の大きな肖像画まで飾っており、そして右腕を食われた時計ワニを異常なまでに恐れ、時計の音がするだけで震え上がってしまうという。ここまで個性的なキャラクターは珍しいでしょう。まちがいなくフック船長は「ピーターパンの冒険」を面白い作品にするのに一役買っているといえます。
 この作品はいつまでも夢や冒険を追い求める少年の心を描いた作品となっています。子供の頃に描いていた夢を大人になっても忘れないように… そんな願いがこの作品には込められているようなそんな気がします。逆にいつまでも精神的に大人になれない人の事をピーターパンシンドロームと呼ぶようですが、これはいつまでも大人にならない永遠の少年ピーターパンからとったという事は言うまでもありません。「ピーターパンの冒険」は作品としては面白いのですが、こういった架空世界の物語を世界名作劇場の作品とする必要があるのか、少し疑問に思ってしまいます。やはり世界名作劇場の作品は19世紀の後半、辛さや苦しさを乗り越えて明るく元気に生きるという、本当にあったかもしくは本当にありそうな物語というのが王道でしょう。

評価
 項目 5段階評価 コメント
不幸度 不幸はそれほどなかったかな
ほのぼの度 ☆☆☆ ダークネスが登場するまでの前半はほのぼのしていましたね
お薦め度 ☆☆ 架空の舞台はあまり世界名作劇場にはあわないような
戻る