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トム・ソーヤーの冒険  ストーリー詳細

第1話 トムとハックとブタ騒動
 1840年頃のアメリカ合州国、ミズーリ州のミシシッピ川の畔にあるセント・ピーターズバーグという小さな村にトマス・ソーヤー(通称トム)という名の少年が弟のシッドとお姉さん代わりのいとこのメアリー、母親代わりのポリーおばさん、そして召し使いのジムの5人で暮していました。メアリーはポリーおばさんの実の娘ですが、トムとシッドは両親を亡くし、お母さんの妹であるポリーおばさんに預けられ、そこで暮していました。
 トムは冒険やいたずらが大好きな、とてもやんちゃな少年で、いつもポリーおばさんやドビンズ先生の手を煩わしていました。シッドはトムとは正反対で、おとなしくて大人たちの言う事は何でも聞く素直な少年でした。メアリーは家の手伝いをしっかりとする立派な娘に成長しており、教会の日曜学校の成績を認められ、セントルイスの修道院の研修に1ヵ月間行っており、今は家にはいませんでした。
 6月のある日の事。トムは授業中、石板にドビンズ先生の似顔絵を描いた罰として教室の後ろに立たされてしまいました。ところがそこへ宿なしのハックがやって来て、野ブタを見つけたから一緒に捕まえようと言うのです。トムは教室を抜けだすと、ハックと一緒に野ブタを捕まえる事に成功しましたが、トムはドビンズ先生に見つかってしまい、鞭でお尻を何十回も叩かれてしまうのでした。
 トムとハックは捕まえた野ブタをミシシッピ川をさかのぼってくる蒸気船の乗客に5ドルで売ろうとしますが、誰も買ってくれないばかりか、野ブタは蒸気船の中で暴れて大騒動となり、トムとハックは蒸気船からミシシッピ川に飛び込んで逃げ出してしまうのでした。
第2話 ごきげんなペンキ塗り
 蒸気船での騒動の罰としてトムはポリーおばさんから学校が終わったら塀のペンキ塗りをするよう命じられてしまいました。しかしトムはそんな事はおかまいなく、放課後、学校の友達と野球に明け暮れ、夜になってから帰宅する始末です。業を煮やしたポリーおばさんは翌日、土曜日で学校が休みなので、トムがサボらないようにペンキ塗りを見張ると言いだします。トムは嫌々ながらもペンキ塗りを始めますが、塀はたいそう長く、とても今日中に終わりそうにありません。
 トムは野球のボールを餌に友人のベンにもペンキ塗りを手伝わせていると、名案が閃きました。それはいかにもペンキ塗りを楽しそうにする事で、通りかかる友人たちは次々とペンキ塗りをやりたがるようになり、トムは簡単には友人たちにペンキ塗りをやらせなかった為、友人たちはペンキ塗りをさせてもらうお礼として次々にビー玉やリンゴをトムにあげてペンキ塗りをさせてもらいます。こうしてトムのペンキ塗りを冷やかしに来た友人たちは、みんなトムの罠にはまって、持ち物を差し出してペンキ塗りをさせてもらい、塀は一日で見事に塗り終わり、トムは友人たちからたくさんの物をもらって、またポリーおばさんからペンキを塗り終えた事を誉められるのでした。
第3話 トム一目ぼれをする
 メアリー姉さんがセントルイスから帰って来る事になりました。桟橋でメアリー姉さんが蒸気船から降りて来るのを待っていると、そこにトムと同じ年頃のかわいい少女が家族と一緒に降りて来たのです。少女は家族と一緒にこのセント・ピーターズバーグの村に移り住んできたようでした。トムは少女を一目見た時から好きになり、他の事には手がつかなくなってしまい、将来結婚するのはあの娘だと勝手に決めつけてしまうありさまでした。
 以来トムは少女の気を引こうと少女の家の前でパフォーマンスを繰り返し、トムは少女から花をもらって大喜びです。少女は新しい村に来て初めて友達ができた事に喜びましたが、トムがどこの誰だか、そして顔さえもよく覚えていないのでした。その夜、トムは少女の家に花を持って出かけ、少女の部屋の窓に向かって花を投げますが、飼犬のシーザーに吠えたてられ慌てて逃げ帰ってしまいます。しかしトムは少女がベッキーという名前だとわかっただけでも嬉しくてたまらないのでした。
第4話 サムじいさんのおまじない
 日曜日の朝の礼拝がトムは大嫌いでした。しかし今日ばかりは教会でベッキーと出会えると思うと、朝の礼拝が待ち遠しくてたまりません。自分から進んで教会に行きたがるトムを見ていたポリーおばさんやメアリー姉さんは目を白黒させるばかりです。トムは教会でベッキーの気を引こうとしますが、ベッキーはトムの事などすっかりと忘れており、からかわれていると思ってトムの事を無視してしまうのでした。
 トムはベッキーに相手にしてもらえず、最初は怒り、次に落ち込みました。そんなトムを見ていたハックはトムを慰めようと、夜中にトムと2人でサム爺さんの家を訪れる事にしました。サム爺さんは普段誰とも口を聞きませんでしたが、恐い話をたくさん知っており、トムとハックは恐怖に脅えながらもサム爺さんの話しを聞き入りました。そこでトムは願い事のかなうおまじないを聞いたです。そのおまじないとは願い事を100回唱え、しかもその間は誰とも口を聞いてはいけないというものでした。家に戻ったトムはさっそくベッキーと友達になりたいと願い事を唱え始めますが、その異様な光景をシッドやポリーおばさんに見られてしまい、99回まで唱えたところで口を聞いてしまって、おまじないは失敗してしまうのでした。
第5話 恋は異なもの味なもの
 ハックはこれまで丘の上の樽の中で暮していましたが、森の中のミシシッピ川を見下ろす事のできる木の上に家を作ろうと決心しました。それを知ったトムも学校が終わったら手伝うと協力を約束し、材料や道具の調達をする事にしました。
 学校を遅刻したトムはドビンズ先生から鞭で打たれますが、教室にはベッキーが来ており、トムはベッキーの隣に座る事になるという幸運をつかみ大喜びです。しかもトムの努力の甲斐あってベッキーはトムの事を想い出し、2人は仲良くなるのでした。
 学校が終わったらベッキーの家に遊びに行くと約束したトムはハックの家作りを手伝うのをすっかりと忘れてベッキーの家に遊びに行き、お茶を呼ばれます。こうしてトムは勉強の為ではなくベッキーと逢う為に学校へ行くのが楽しみになるのでした。
第6話 ハックの家づくり
 夜中にハックがトムを訪れました。ハックはトムに鋸と金槌を借りに来たのですが、手伝うと言っていたトムが来なかったので少々おかんむりです。しかしトムは明日こそハックの手伝いをすると言って機嫌を取り、2人は仲直りして別れるのでした。
 翌日の放課後、トムはベッキーにポリーおばさんが病気だから早く家に帰らなければならないと嘘をついてハックの手伝いに向かいました。ところがハックは木の上の家は床しかできていないのに完成したと言うのです。トムはこの家にベッキーを招待しようと考えていたので、どうしても屋根を付けようとハックを説得し、近所の廃屋から材木を持ちよって木の上の家に屋根を付け始めました。しかし子供が2人で家を作ろうとしてもなかなか上手くできませんでした。
 そんな時、召し使いのジムが鋸と金槌のない事に気付き、トムの仕業に間違いないと考え、木の上の家までやって来ました。ジムは鋸と金槌を返すように言いますが、トムとハックは家が完成するまでは返さないと言い張った為、ジムは自分が家作りを手伝って早く完成させるのが鋸と金槌のもっとも早く帰してもらう方法だと考え、木の上の家作りを手伝います。そしてジムの協力のおかげでハックの家は見事に完成するのでした。
第7話 ライバル登場
 ある日の朝、トムが水汲みに出かけた時、トムは1人の少年にぶつかってしまいました。少年は謝りましたがトムは少年の謝り方が気に入らなかったので殴りかかります。しかし少年はボクシングをやっていたのでトムは返り討ちにあってしまいました。その日トムが学校に行くと今朝ケンカした少年が転校生としてトムのクラスに来ていたのです。少年はアルフレドという名前の製材所の息子でした。アルフレドは話しが上手で、すぐにクラスの人気者になります。しかしトムはどうしてもアルフレドの事が気に入らず、アルフレドに決闘を申し込むのでした。
 翌日、3キロ上流の薪置き場で、立会人をそれぞれ1人ずつ用意して決闘が始まりました。勝負は互角で激しい殴り合いが続きましたが、これ以上ケンカを続ければお互いケガをしてしまうと考えた立会人たちは決闘をやめさせ、勝負は引き分けとしてお互い握手して仲直りするのでした。
 決闘場所からの帰り、4人はボートで帰ろうとしますが、ボートは捨ててあったボードで水が漏り始め、川の真ん中で沈んでしまったのです。しかしアルフレドは泳ぐ事ができず、トムに抱えられて岸までたどり着く事ができ、そのままおぶってもらって家まで送られるのでした。
第8話 あこがれの蒸気船
 トムたち仲間は蒸気船が大好きでした。今夜は全長50mの大きなリバークイーン号が船着き場に来るので、夜中にみんなで集まって船に乗ろうとします。しかしみんな夜中に家を抜け出すところを見つかってしまい、船着き場に集まったのはトムとハックだけでした。トムとハックは船に忍び込みパイロットルームに潜り込みますが、そこへ船長たちが戻って来てしまったのです。トムとハックは慌てて隠れますが、船はトムとハックを乗せたまま出港してしまいました。
 トムたちは3年前にセント・ピーターズバーグの村から行方不明になったマイクが見習いとしてこの船に乗っており、3年ぶりの再会を果たしますが、トムとハックは船長たちに見つかってしまい、川に飛び込んで逃げおおせるのでした。
第9話 ポリーおばさんの子供たち
 夏休みが近づいたある日、トムはハックが釣りの穴場を見つけたと聞き、放課後ベッキーの誘いを断ってまでハックと釣りに出かけようとハックの家に行きました。ところがハックは体の調子が悪いと言って家から出たがらないのです。心配したトムは自分の家から薬として、ひまし油を持って来てハックに飲ませようとしますが、どうしてもハックは飲みたがりません。仕方なくトムは手本として自分でひまし油を飲んでみせますが、あまりの不味さに気分が悪くなり、釣りどころではなくなってそのまま家に帰って寝込んでしまいます。
 ところがポリーおばさんも体調を悪くしておりミッチェル先生が診察に来ました。ミッチェル先生はポリーおばさんが予想以上に重病だと言うのです。しかしそれはポリーおばさんが病気のふりをしているだけで、本当はトムを良い子にしたい為の嘘だったのです。ポリーおばさんはトムをそばに呼ぶと「自分はもうすぐ死んでしまうが、トムが良い子になると誓ってくれないので死ぬに死ねない」と言って嘆き悲しみます。ところがそれを聞いたトムは「じゃあ誓わないよ。僕が誓わなければおばさんが死ねないなら、いつまでも生きていてよ。僕はどんなに叱られてもいいから、おばさんに生きていてもらいたいんだ。おばさんは… おばさんはお母さんだもの」と言って2人は抱き合うのでした。
第10話 村の嫌われ者
 ある日の事、トムとハックがミシシッピ川で魚釣りをしていた時、マフ・ポッターがオールのないボートで上流から流されてきました。マフはトムたちに助けを求め、トムたちは仕方なく泳いでボートのところまで行き、マフを助け出します。マフは助けてもらったお礼に、トムとハックに海賊の宝の場所を教えました。マフはおじいさんが海賊をしており、100年ほど昔、兵隊に追われた海賊たちがこのセント・ピーターズバーグの村に宝を埋めたとおじいさんから聞いていたのです。しかしマフは宝を隠した細かい場所を知らず、カーディフの丘の西側に埋めたとしか知りませんでした。
 ハックはマフの話がデタラメだと思いましたが、トムはどうしても宝を掘り出したくて、明日からカーディフの丘の西側を掘る事にしました。ところがトムたちがカーディフの丘の西側を掘りに行こうとした時、インジャン・ジョーがマフを連れてカーディフの丘に来ていたのです。インジャン・ジョーはマフを脅して海賊の宝を掘り出そうとしたのですが、マフは宝の埋められた場所を思い出す事はできませんでした。
第11話 海賊の宝
 翌日からトムは海賊の宝を掘り出そうとハックと計画を練ります。学校でベッキーとたわむれていたトムは、ドビンズ先生にベッキーをいじめていると勘違いされ、危うく鞭で打たれそうになるところをシッドに助けられました。シッドは助けた事を恩に着せ、トムと一緒に海賊の宝探しについて行こうとしますが、途中でインジャン・ジョーにばったりと出会ってしまい、恐れをなしたシッドはそのまま帰ってしまうのでした。
 トムとハックは昼間に海賊の宝を掘り出すとインジャン・ジョーに見つかってしまうと考え、夜中にこっそりと掘り出す事にしました。2人はとりあえず昼間にカーディフの丘へ下見しに行き、掘る場所を見定めようとしました。しかしカーディフの丘の西側はあまりにも広く、仮に宝が埋められているとしても、とても掘り出す事はできそうにありません。トムは夜中にこっそりと家を抜け出すと、ハックと合流して一生懸命カーディフの丘の西側を掘りましたが、簡単には見つかりそうもありませんでした。
第12話 ベッキー・サッチャー怒る
 夜中に海賊の宝探しをしているトムは朝起きる事ができず、学校でも居眠りをしてしまった為、ドビンズ先生に鞭で打たれてしまうのでした。
 トムは学校からの帰り、ベッキーの家に招待されました。2人は庭でお茶を飲んで楽しいひとときを過ごしますが、飼犬のシーザーがすぐにトムに噛みついてしまうので、2人は場所を変えて川岸に散歩に行く事にしました。そこでトムはベッキーにプロポーズします。ベッキーは突然の事なので迷いましたが、ベッキーは照れながらも嬉しさを隠せず、婚約だけしておこうというトムの言葉に同意します。ところがトムは以前エミーとも婚約していたと口を滑らせてしまい、ベッキーは激怒して泣きながら帰ってしまうのでした。
第13話 海賊になるんだ
 トムはベッキーにふられてしまった事にショックを受け、落ちこむ毎日を過ごします。ベッキーはそれ以来トムと口をきこうともせず、トムは何もかもやる気をなくして海賊の宝探しまでやめてしまいました。さらにベッキーがら「あんたなんか大嫌い、口もききたくないわ、あっち行って」と言われてしまい、トムは家出を決意しました。そんな時、ベンもお父さんから怒られ家出を決意しており、トムとベン、そしてハックの3人は海賊になる事にしました。ミシシッピ川の上流にあるジャクソン島を根拠地として3人だけの自由気ままな生活をしようというのです。3人は夜中にこっそり家を抜けだすと、筏でミシシッピ川をさかのぼり、ジャクソン島へ上陸しました。そこで3人の海賊としての新しい生活が始まったのです。
第14話 海賊に学校はない
 3人は自分の家から持ちだした食べ物を自炊したり、素っ裸になってミシシッピ川を泳いだり、島を探検したりと自由気ままに暮しました。ところがその頃セント・ピーターズバーグの村ではトムとベンがいなくなった事で大騒ぎとなります。
 その日、夕立があり増水した川の水に、乗ってきた筏が流されてしまいました。しかしミシシッピ川の中州にあるジャクソン島からセント・ピーターズバーグ側までは800メートル。対岸のイリノイ州まではわずか250メートルしかなかったので、トムたちは泳いで渡れば何とかなると考え、特に心配はしませんでした。
 その夜、トムたちの乗って来た筏は5キロ下流で発見されましたが、筏はバラバラになって壊れており、セント・ピーターズバーグの村の人たちはトムたちが川で溺れ死んだと思い込んでしまいました。
第15話 冒険、冒険また冒険
 翌日、トムたちはミシシッピ川で蒸気船が空包を撃っているのを目撃しました。それは誰かが川で溺れ死んだ事を意味するのです。トムたちは誰が死んだのか見届けようとしましたが、トムは村の人達が自分たちが死んだと思い込んでいる事に気付いたのです。トムたちは村中の人達が自分たちの事を噂していると思うと嬉しくなってきました。そしてどうしてもその様子をこの目で見てみたいと思ったのです。そこでトム1人が夜中にジャクソン島から泳いでイリノイ州に渡り、そこから渡し舟に忍び込んでセント・ピーターズバーグに渡りました。
 トムはこっそりと自分の家に戻ると、コリンズ保安官が家に来ており、3日後までにトムたちが戻って来なければ、死んだものとみなしてお葬式をすると言うのです。それを聞いたポリーおばさんは号泣してしまいました。陰でこっそり聞いていたトムまで思わず涙を流し「僕は生きています」と言ってポリーおばさんの胸に飛び込んで行きそうになりましたが、それではベンやハックを裏切ることになると考え、そのままトムは誰にも会う事なくセント・ピーターズバーグの村を抜けだすと、ジョンストン島まで戻って来るのでした。
第16話 トム・ソーヤーーの葬式
 翌日、ベンはホームシックにかかり村に帰ると言いだします。さらにハックまでもが村に帰ると言いだした為、トムは2人に提案して、3人ともあと2日だけジョンストン島に残る事にしました。その提案とは3人のお葬式の最中にひょっこり帰るという奇想天外なアイディアでした。
 そして2日後、いよいよ教会でトムとベン、そしてハックのお葬式が行われる事になりました。トムたちは村中の人達が教会に集まったのを見届けると、こっそりと教会に忍び込みました。そして牧師さんの追悼の言葉を聞いているうちに思わず泣いてしまい、みんなの前に姿を現わして喜びの再会を果たします。トムたち3人は村中の注目を浴び、トムの作戦は大成功に終わるのでした。
第17話 運の悪い日
 トムたちがジャクソン島で過ごした4日間、村の人たちを心配させましたが、死んだと思い込んでいたのに生きて帰って来た事から、トムたちは村の人たちから英雄のように扱われました。しかしポリーおばさんとドビンズ先生はトムたちの行動を叱り、トムとベンはドビンズ先生から鞭でお尻を20回も打たれてしまいます。またベッキーもトムが生きていた事を嬉しく思いましたが、婚約の一件から素直になれず、気持ちとは裏腹にトムに冷たくしてしまいます。
 トムは学校でも友達にジャクソン島での出来事を話し、英雄気取りです。ベッキーもトムの話を聞きたかったのですが、素直にはなれませんでした。そんな1人でいるベッキーを見ていたチャーリーはベッキーに取り入ろうとしますが、ベッキーはトムの事が気になって仕方なく、チャーリーは気を悪くしてしまいます。チャーリーは英雄のようにちやほやされるトムが気に入らず、チャーリーはこっそりとトムの教科書にインクを滴らしたのです。しかしその様子をベッキーは一部始終、陰から見ていました。
 トムは自分の教科書にインクを滴らしてあるのをドビンズ先生に見つかり鞭で打たれそうになります。トムはインクを滴らした覚えはなかったのですが、ドビンズ先生には通用しません。ベッキーは本当の犯人がチャーリーだという事を知っていましたが、トムにいじわるしようと考えて本当の事を言わず、トムはさらに30回、鞭でお尻を打たれてしまうのでした。
 学校が終わった後、家に帰ったベッキーは部屋で泣きました。本当はチャーリーがインクを滴らしたのに本当の事を言わなかった自分が悲しかったのです。そしてもう意地を張るのはやめて、チャーリーがインクを滴らした事を正直に言おうと決心するのでした。
第18話 痛い仲直り
 ベッキーはチャーリーにあうと、トムに本当の事を話すと宣告しました。仕方なくチャーリーはトムに間違ってインクを滴らしたと謝り、トムは怒ってチャーリーに殴りかかろうとしますが、トムはチャーリーを許してやる事にしました。しかしチャーリーは陰でトムに舌を出していたのです。
 ドビンズ先生は将来お医者さんを目指しており、しばしば授業を自習にして医学の勉強をしていました。いつも教壇の引き出しに医学書を入れており、自習の時間はそれを読んでいたのですが、生徒たちはドビンズ先生が何の本を読んでいるのか知りたくてたまりませんでした。しかしいつも引き出しには鍵がかかっており、生徒たちはドビンズ先生がどんな本を読んでいるのかまったくわかりませんでした。
 ベッキーが教室に戻った時、教室には誰もおらず、教壇の引き出しに鍵が付いている事に気付きました。ベッキーもドビンズ先生がどんな本を読んでいるのか興味あったので、恐る恐る引き出しを開け本を開いたのです。本は医学書でベッキーは人体解剖図に見とれてしまいました。そこへトムが背後から近づいて来たのです。ベッキーは慌てて本をしまおうとしましたが、誤って解剖図のページを破ってしまいました。ベッキーはドビンズ先生に鞭で打たれる恐怖に泣き出してしまいます。
 授業が始まりましたがベッキーは恐怖のあまりに顔は青ざめ、震えていました。そして運の悪い事にドビンズ先生は引き出しを開けてしまい、医学書が破れている事に気付いたのです。ドビンズ先生は犯人探しを始めました。ドビンズ先生は1人1人生徒の名前を呼んで睨みつけるだけで犯人がわかってしまうのです。ベッキーの名前が呼ばれた時、ベッキーは目をそらし、震えていたのでドビンズ先生にはベッキーが犯人だと直感しました。ところがその時、トムはそんなベッキーを見ていられなくなり「先生、僕です。本を破いたのは僕です」と名乗り出たのです。怒りに燃えたドビンズ先生はトムのお尻を鞭で何十回も叩きました。ベッキーはその間、トムに対する今まで自分のしてきた冷たい仕打ちと、身代わりになってくれたトムの優しさに、鞭で打たれるトムの姿を見ている事はできませんでした。
 ベッキーはトムの教科書にインクを滴らしたのがチャーリーだと知っていたのにトムに意地悪しようと考えて、正直に言わずにトムは鞭で打たれました。そして今、トムはベッキーがドビンズ先生の医学書を破った事を知っているのに、ドビンズ先生に告げ口しないばかりか、自分が破ったと名乗り出てベッキーの代わりに鞭で打たれているのです。ベッキーは今までの自分の行いを恥ずかしく思いました。放課後、ベッキーはトムの帰りを待ち続け、トムが学校から出てくるなりトムに抱きついてお礼を言いました。トムはお尻が痛くて身動きできないほどでしたが、ベッキーと仲直りでき、おまけにキスまでしてもらえた事を嬉しく思うのでした。
第19話 蛙の戦い
 トムのクラスでは蛙跳び競争が流行っており、チャーリーの持っている蛙のハッピーが一番よく跳びました。トムは何としても自分が一番になりたくて、沼でよく跳ぶ蛙を見つけてきてチャーリーに勝負を挑もうとしました。ところが授業中にトムの蛙は箱から逃げ出して教室の中を跳びまわり、逃げてしまった揚げ句にトムはドビンズ先生から鞭でお尻を打たれてしまいます。
 トムは放課後、再びハックと一緒に沼で蛙を探し、よく跳ぶ蛙を見つけ、その蛙に天才と名前を付けました。そして翌日の始業前にトムはチャーリーに勝負を挑みましたが、ハッピーも天才も同じくらい跳んだので、勝負は昼休みに再び行われる事になりました。ところが体操の時間にチャーリーはこっそりと抜け出すと、天才の口から小石を詰め込み、跳べなくしてしまったのです。昼休みに勝負は行われましたが、天才は跳ぶ事ができず、トムは負けてしまいました。
 放課後、不信に思ったハックが天才を調べると天才の口から小石が10個も出てきたのでトムは再びチャーリーに勝負を挑みました。今度は蛙の勝負ではなく、トムとチャーリーが小川を飛び越す勝負です。トムは無事に飛び越えましたが、チャーリーは川に落ちてしまいトムとハックはチャーリーに仕返しする事ができたのでした。
第20話 ドビンズ先生の秘密
 夏休みが3日後に迫ったある日の事、今日もトムは授業中に居眠りした罰としてドビンズ先生からお尻を鞭で打たれました。放課後、トムはお尻を冷やす為にお尻を小川につけていると、ドビンズ先生がやって来ました。ドビンズ先生はトムには気付かない様子で、小川にハンカチをひたすとハンカチで顔を拭き、さらに髪の毛をむしり取ってしまったのです。トムは思わず声をあげそうになってしまいました。ドビンズ先生は実はツルツルのハゲ頭で、カツラを被っていたのです。ドビンズ先生は頭に濡らしたハンカチを置くと、そのままカツラを被ってトムには気付かぬまま立ち去ってしまいました。
 トムはドビンズ先生の秘密を知って大喜びでした。トムが言いふらしたおかげでドビンズ先生がハゲ頭だという噂は、またたく間にクラス中に広まりました。ところが誰が見てもドビンズ先生の髪の毛がカツラには見えないので、トムは嘘をついているのではないかと疑われてしまいます。そんな時、自習時間にクラスのみんなが居眠りしていた罰として全員がドビンズ先生からお尻を鞭で打たれてしまいました。トムは自分が鞭で打たれるのには慣れていますが、ベッキーやエミーなど女の子まで鞭で打つトビンズ先生を許す事ができず、ドビンズ先生に復讐を誓います。
 トムとハックは協力して落とし穴を掘り、その中に泥を流し込んでドビンズ先生を落とそうと考えました。そして終業式が終わった後、クラスのみんなはトムの指示通りドビンズ先生を橋の上で待ち構えます。そしてちょうどドビンズ先生が橋を渡り切った場所でクラスのみんなはドビンズ先生にお別れの挨拶をし、花束を贈呈しました。ところがこれはトムとハックの策略で、ハックは猫のピーターを橋の上からつり下げてドビンズ先生の頭の上に置き、ピーターはドビンズ先生のカツラをつかんだまま引き上げられたのです。
 クラスのみんなはドビンズ先生のハゲ頭を間近に見る事ができ大喜びです。そして怒ったドビンズ先生はハックを追いかけるうちに、まんまと落とし穴にはまり、ドロドロになった姿で何も言わずに帰って行きました。トムたちみんなはこうして鞭の恨みを晴らし、待ちに待った夏休みを迎えるのでした。
第21話 夏休みの始まり
 夏休みが始まり、トムは珍しく早起きしました。朝5時に目が覚めて水汲みの手伝いをした後、遊びに出かけようとしましたが、あいにく雨が降り出し、せっかくの夏休みも遊ぶ事ができなくなってしまいます。そんな時シッドがおたふく風邪で高い熱を出して倒れてしまいました。トムもおたふく風邪にかかった事がなかったので、うつる危険性がありましたが、トムはせっかくの夏休みなのにおたふく風邪にかかってはたまらないと思い、何とかしようと考えます。
 そんな時、船着き場に薬売りがやって来ました。薬売りはオーストリアのヘルマン博士が発明したという命の元を持っており、それを毎日2〜3滴、水にたらして飲めば長生きができるだけでなく、病気にもかからないというのです。トムはどうしてもその薬が飲みたくて薬売りに取り入り、特別に2ドルで分けてくれる事になりました。トムはポリーおばさんからおたふく風邪にならない為に2ドルもらおうとしますが、ポリーおばさんやメアリーはインチキだと笑うばかりで相手にしてくれません。
第22話 病気にならない薬
 トムはどうしても病気になりたくなかったので、薬売りのチラシを100枚配ったら命の元をもらえる約束で、仲間を集めてチラシ配りを始めました。ところがなぜかインジャン・ジョーまでがチラシを欲しがるのです。トムは薬を配り終えるとホテルに行って薬売りから命の元を譲りうけました。ところがホテルから出ようとした時、インジャン・ジョーが入って来たのです。何やら薬売りとインジャン・ジョーは悪巧みをしているようでした。
 翌日、トムたちがチラシを配ったおかげで命の元は飛ぶように売れ、午後には売り切れてしまいました。薬売りは1週間はこの村にいると言っていましたが、夕方にはインジャン・ジョーとともに姿を消してしまいます。3人とも蒸気船には乗らなかったので薬売りとジョン老人をインジャン・ジョーが殺したのではないかとの噂が流れました。そして命の元はまったく効かないとの声が村のあちこちから聞こえるようになるのでした。
第23話 ナマズ釣りの日
 夏休みに入ってからトムは日の出とともに目が覚め、水汲みの日課をしてから遊びに出かけるようになりました。トムは友達と遊ぼうとしますが、みんなどこかへ出かけており仕方なくハックとナマズ釣りに出かけます。ところがベッキーも暇を持て余しており3時にお茶とクッキーを食べに来ないかとトムを誘いに来ました。トムはこれからナマズ釣りに出かけると言うとベッキーも行きたいと言いだします。仕方なくトムとハックはベッキーもナマズ釣りにつれて行く事にしました。
 ベッキーは見ているだけでしたが、ナマズはなかなか釣れないのでベッキーは退屈してしまいます。トムはベッキーが話しかけるので気が散ってしょうがないのですが、トムの竿に大きなナマズがかかり、ベッキーは服が汚れるのもかまわずに川の中に入りナマズを釣りあげるのでした。
第24話 ネクタイをしたハック
 ある日の事、セントルイスからベッキーの家にベッキーのお母さんのおばさん、すなわちベッキーの大叔母様であるケイト夫人が来ました。ケイト夫人は教会の慈善パーティーの準備の為に1週間ほど滞在するので、その間ベッキーにセント・ピーターズバーグの村を案内してもらいます。ケイト夫人は大金持ちで慈善活動に興味があり、ベッキーが自分の友達を説明するうちに、どうしてもハックに会いたいと言いだします。ケイト夫人にとって父親に捨てられ宿なしで生活しているハックは見捨てておけない存在だったのです。さらにケイト夫人は子供を小さい時に亡くしてしまっていたので、ハックを養子にしたいと言いだしてしまいます。
 ベッキーはそれをハックに説明すればきっと断られると思い、トムに相談してハックをケーキで釣ってベッキーの家まで行かせ、ケイト夫人に会わせる事にしました。ハックは服も体も汚かったので、ケイト夫人に会わせる前にトムの家で何年ぶりかの風呂に入らせ、トムの持っている、よそ行きの服とネクタイをハックに着せてベッキーの家に向かいます。ハックはこんな事までしてケーキを食べたいとは思いませんでしたが、トムの強引さに渋々ついて行かざるをえませんでした。
 何も知らないハックはケイト夫人の前でケーキをむさぼり食べますが、ケイト夫人がハックを養子にしようとしている事を知った途端にハックは怒ってベッキーの家を出ていってしまいます。宿なしの生活をしているハックが大金持ちの養子になるのはハックにとって幸せな事だと誰もが考えていましたが、ハックには学校に行って勉強するような生活よりも、今のままの自由気ままな生活の方が好きだったのです。ハックは「俺は窮屈な事は大嫌いなんだ、このネクタイもな」と言ってネクタイを投げ捨てるのでした。
第25話 意地っぱりやろう
 7月に入りましたが、夏休みでトムは暇を持て余し始め、珍しく薪割りや水汲み、草むしりの仕事に精を出したので体中が痛くて階段も登れなくなってしまいます。そんな時、アルフレドの誕生日パーティーが開かれる事になり、トムも招待されました。アルフレドのパーティーは一風変わっており、食事やダンスの他に、かけっこや幅跳び、ボクシングまであるのです。これらの競技に1種目でもアルフレドに勝てば豪華な本をプレゼントされるというものでした。
 負けず嫌いなトムはさっそく競技にチャレンジしますが、体中が痛いせいもあり、いずれの種目にもアルフレドには勝てません。アルフレドに挑戦する種目は何でもいいと聞いたトムはアルフレドの苦手な水泳で勝負を挑みますが、アルフレドはこの1ヵ月の間に水泳を特訓しており、またしてもトムは勝つ事ができず完敗でした。
 トムはどうしてもアルフレドに勝ちたくて今度は水の中に何秒潜っていられるかを競います。最初にトムが潜り44秒潜っていました。次にアルフレドが潜りますが56秒数えても浮いて来ないのでトムとハックが飛び込み、水中で意識を失っていたアルフレドを助けます。トムとハックの介抱の甲斐あってアルフレドは意識を取り戻しますが、アルフレドは助けてもらったお礼を言うどころか、自分が何秒潜っていたか尋ねると、勝負は自分の勝ちだと言いだし、トムは呆れて「勝手にしろ!」と言うのでした。
 一部始終を見ていたベッキーも命の危険を冒してまで勝負にこだわるアルフレドに呆れました。しかしトムはそんなアルフレドを弁護すると、ベッキーは「トム、好きよ。優しいから好きよ」と言って駆け出してしまうのでした。
第26話 子役のリゼット
 トムは毎月20セントもらうお小遣いをキャンディーを買ってすべて使い切ってしまいました。仕方なく釣り針と釣り糸を買う為のお金5セントをポリーおばさんにねだりますが、ポリーおばさんは頑としてお小遣いをくれません。トムはメアリーにお金を借りに行き、最初は断られますが結局5セント借りる事ができました。トムはそのお金でキャンデーを2セント分4本買って友達と分けて食べていると港に蒸気船がやって来ました。
 蒸気船にはお芝居の一座、デビット一座が乗っており、夏休みを退屈に過ごしていたトムたちにとってお芝居は、またとない楽しみでした。デビット一座にはトムと同じくらいの年頃の少し陰のあるリゼットという名の美少女がおり、トムたちはひと目で好きになってしまいます。明日の昼、子供たちの為のお芝居が開かれる事になり、トムは絶対に見に行こうと決心しますが、見る為には15セントの入場料が必要だと聞いてトムはガッカリしてしまいます。
 ガッカリしたのはトムだけではありません。ハックもリゼットに一目惚れしてしまいますが、風来坊で家を持たないハックは15セントのお金を持ち合わせていません。ハックはトムにお金を借りようとしますが、トムもメアリーから借りたお金の残り3セントしか持っていませんでした。それでもトムはハックを元気づける為「俺に任せとけ」と言ってハックの入場料も出してやると約束するのでした。
第27話 お芝居の始まるまで
 翌日、トムはどうにか2人分の入場料30セントのお金を用意する為、シッドから27セントを借りようとしました。シッドは32セント持ち合わせていましたが、自分もお芝居を見に行くと言いだしたので、17セントしか貸してくれず、トムはどうしても10セントお金が足りません。再びトムはポリーおばさんに10セントを借りようとしますが、ポリーおばさんは貸してくれません。しかしポリーおばさんはトムに、いらなくなった家具をファーガスンさんの家まで運ぶ仕事をしたら10セントあげると言います。
 トムはジムと一緒にファーガスンさんの家まで馬車で家具を運びますが、ファーガスンさんの家までは5キロも離れており、帰って来るのはお芝居が始まる直前になりそうなのが心配の種でした。ファーガスンさんの家に家具を届けた後、ジムはトムにせかされて馬車を全力で走らせますが、途中で馬車の車輪が外れてしまい馬車は立ち往生してしまいます。馬車の修理は手間取りそうだったのでトムはセント・ピーターズバーグまでの残り2キロ以上の道のりを走る事にしました。その頃、お芝居は幕を上げようとしていましたが、ハックやシッド、そしてリゼットまでトムが来るのを待ち望んでおり、トムが来るまでお芝居の始まりを延ばす事にしました。しかしこれ以上延ばすと夜の公演に差し支えるので、デビット座長がお芝居を始めようとしたその時、トムはフラフラになりながらようやく戻って来るのでした。
第28話 リゼットを助けろ!
 いよいよ「さすらいの少女リゼット」が幕を上げました。芝居の内容は、両親を亡くし親戚の家に預けられたリゼットが奴隷のようにこき使われ、おじさんから鞭で打たれ徹底的にいじめられます。子供たちはすっかりと芝居に夢中になりリゼットに同情しました。なかでもハックはリゼットが自分と同じように、父親の手によってこの一座に売り飛ばされたと聞き、すっかりと芝居の中のリゼットに感情移入して涙を流す始末です。
 芝居は進みリゼットはおじさんたちから悪人に高い値段で売り飛ばされるに至り、ハックはとうとう見境がつかなくなって舞台にあがって悪人に飛びかかってしまいます。それを見ていた子供たちも舞台にあがってリゼットをいじめていたおじさんたちを懲らしめ、芝居はめちゃめちゃになってしまうのでした。
 芝居は途中で中止されましたが子供たちはリゼットを助けた事で大満足でした。しかしハックは芝居を壊した張本人なので、リゼットが怒っているのではないかと後悔してしまいます。しかし子供たちがあまりに感動した様子だったので、芝居が上手なのではないかと村中の噂となり、夜の芝居は立ち見が出るほどの大盛況となりました。
 芝居の間にハックはこっそりと舞台の下に忍び込むと、出番のないリゼットに話しかけました。リゼットは昼の芝居を壊された事を怒ってはおらず、それどころか自分を助けようとしてくれたハックに感謝さえしていたのです。リゼットもまた自分と同じように父親に捨てられたハックの事が気になっていたのです。2人はすっかりと意気投合し、リゼットとまた逢う約束をしてハックは大喜びで帰るのでした。
第29話 突然のさようなら
 次の日、リゼットは約束通りハックの家、というより木の上の小屋を訪ねました。2人は仲良く話をした後、リゼットは帰り際に明日も来ると言うと、ハックはご馳走を用意して待ってると言います。しかし宿なしの風来坊のハックにご馳走など用意できるはずもありません。リゼットは明後日には次の町に旅立ってしまうと聞いたハックは、何とかリゼットにご馳走を用意しようと牛小屋からミルクと卵をもらい、畑からスイカを盗んで来るのでした。
 その頃、ホテルに滞在していたデビット一座は大騒ぎになっていました。というのは役者のエドモンドロザリン、そしてリゼットが逃げ出したのです。残った座長のデビットとサミュエルは付近を探し回りましたが見つかりません。リゼットはすぐに帰って来ましたが、エドモンドとロザリンは朝一番の船でイリノイ州に行ってしまった後でした。3人では芝居が続けられないので、午後の船でニューオリンズに向かい、そこで座員を集める事になったのです。
 リゼットはハックの小屋を訪れる事ができなかったばかりではなく、今日にもセント・ピーターズバーグを旅立たなければならなくなった事を悲しみました。そしてリゼットはハックに謝ってきて欲しいとトムに伝えます。リゼットは必ずハックに会いに来ると約束したので、ハックは見送りには来ませんでした。でもハックが見送りに来なかった本当の理由は、リゼットを見送りに来ると絶対に泣いてしまうとわかっていたので、それをみんなに見られたくなかったのです。ハックはリゼットの事が好きでした。そしてリゼットもハックの事が好きでした。2人とも父親に捨てられた境遇が同じ事から仲良くなっていたのです。
 リゼットたちを乗せた蒸気船は桟橋を離れました。そしてハックはミシシッピ川を走る蒸気船を小屋から見おろしながら「リゼットさようなら、また逢おうぜリゼット」と叫び、涙するのでした。
第30話 ハックの父親
 リゼットがセント・ピーターズバーグの村を離れて以来、雨が降り続けました。トムは雨が降ると外に遊びに行けないので、せっかくの夏休みが暇でたまりません。やがて空が明るくなり雨がやむとトムは、さっそくハックの小屋を訪れ、トムとハックは長雨でミシシッピ川に金目の物が流れ着いていないか探しに行く事にしました。ところがトムはそこで水死体を発見したのです。トムにはその水死体がハックの父親のような気がしました。
 トムとハックはすぐに保安官に連絡し、コリンズ保安官は水死体を回収しました。しかし水死体は長い間水に浸かっていたらしく、顔が識別できないほどになっており、ハックですら水死体が自分の父親かどうかはわかりませんでした。ハックは村の墓地の片隅に埋められた水死体を自分の父親だと思う事にして、昔の恨みを忘れて冥福を祈りました。しかしハックの生活は父親が死んでも何の変化もありませんでした。
 ところが数日後、ハックの父親が蒸気船に乗ってセント・ピーターズバーグの村に帰って来たのです。トムは大慌てでハックに知らせ、それを聞いたハックは小屋を飛び出し身を隠す事にしました。ハックの父親はハックをクインシーまで連れて行って、そこで仕事を手伝わせようとハックを探しに来たのです。しかしハックは父親に今まで散々ひどい目にあわされてきたので、父親には会いたくなく身を隠し続けました。ハックの父親はハックを探し続けましたがハックを見つける事はできず、1週間ほどして再びクインシーに戻って行くのでした。
第31話 数を数えろ
 ハックの父親が村を出て行ったと聞いてハックはようやく小屋に戻って来ました。ところがハックの父親はマフにハックへの伝言を残しており、それは近いうちに再び探しに来るというものでした。ハックは二度と父親とは一緒に暮したくないので村を出て行こうかと考えますがハックには行くあてがありませんでした。
 ハックは父親は嫌いでしたが母親は大好きでした。ハックは母親を幼い時に亡くしており、ほとんど記憶に残っていませんでしたが、それでもハックは母親が大好きでした。今日はハックの母親の命日だったので、燭台にロウソクを燈してお祈りをしようとしましたが、ハックは燭台を持っていません。その話を聞いたトムはポリーおばさんの家から銀の燭台を拝借する事を思いつきました。
 ポリーおばさんの家には銀の燭台が12本ありました。しかしポリーおばさんは銀の燭台をとても大切にしており、ポリーおばさんはハックを嫌っている事もあってとても貸してくれそうにはありません。しかもポリーおばさんは毎日、銀の燭台の数を数えて磨いているのでこっそりと持ち出すこともできません。しかしトムは名案を思いつきました。トムはメアリーとシッド、そしてジムに訳を話し3人の協力を得てポリーおばさんが数を数えたくなくなるように仕組んで、まんまと銀の燭台を拝借する事に成功したのです。トムはハックに銀の燭台を渡し、その夜ハックは母親への祈りを捧げるのでした。
第32話 黄金を見つけた!
 ある日の事、トムとハックが魚釣りをしていた時、トムはロンリー川の中で黄金に輝く石を見つけました。2人とも本物の金は見た事がなかったのですが、どうもそれが金塊らしいと悟り、2人は他に金塊がないか川の中を探し回りましたが、見つけたのはトムが見つけた最初の1つだけでした。トムはそれが本物の金塊かどうかを確かめる為に、ベンのお父さんのロジャースさんに見てもらう事にしました。するとロジャースさんはそれは金塊だと言いだし、これをどこで見つけたのかを尋ねるのです。ロジャースさんはもっと金があるのではないかと思い、シャベルと鍋を持ってトムが金塊を見つけた場所へ2人に案内してもらいました。
 ところが途中でインジャン・ジョーに出くわしてしまい、シャベルと鍋を持っているところから金を探しに行くのではないかと疑われてしまいます。トムとロジャースさんの会話をヒラー夫人も盗み聞きしており、ヒラー夫人も夫を連れてシャベルと鍋を持ってトムが金塊を見つけた場所へ行く途中、インジャン・ジョーに出くわしてしまいました。インジャン・ジョーはヒラー夫人を脅してシャベルと鍋を奪い取り、金塊を見つけた場所を聞き出しました。
 その頃、ロジャースさんたち3人はトムが金塊を見つけた場所で金を探し、ようやくわずかばかりの砂金を見つけて大喜びです。ところがそこへインジャン・ジョーがやって来ました。さらに村中の人がシャベルと鍋を持ってやって来たのです。インジャン・ジョーに脅されたヒラー夫人は悔しさのあまりに金が出た話しを村中の人に話しまわり、村中の人が総出で川をさらい始めるのでした。
 セント・ピーターズバーグの村で巻き起こったゴールドラッシュはそれから3日間続きました。その間に見つかった金はトムが見つけた5ドル分の金塊と、村中の人が川をさらって見つけた砂金約15グラム、金額にして10ドル分だけでした。やがて人々は熱が冷めたかのように金探しから手を引き、村は再び元のように戻るのでした。
第33話 自由に向かって逃げろ
 ある夜、ピーターの鳴き声がするのでトムはハックが来たと思って庭に出てみると、庭にいたのはハックではなく見知らぬ黒人男性で、トムは捕まってしまいましたが、すぐに解放されました。黒人男性はモーリスという名前で、奴隷としてハットイルド大佐の農場で働いていたのを逃げ出して来たのです。モーリスは銃で腕を撃たれて幼なじみのジムを頼ってポリーおばさんの家までやって来たのでした。
 事情を聞いたジムはモーリスを助けようと考えました。逃げ出した奴隷が捕まると殺されてしまうのです。ジムは奴隷が自由に暮す事ができるという、イリノイ州の外れのミシシッピ川の下流にあるケアルの町にモーリスを逃がそうと考えました。そこでジムは黒人の奴隷仲間に声をかけ、見知らぬ黒人男性の死体を見つけた事にして、ひっそりとお葬式をあげる事にしました。
 ちょうどお葬式が終わった時、追っ手がやって来ましたが、死んでいた黒人男性のお葬式をあげていた事を知ると、あきらめて帰って行きました。その頃、トムはジムに頼まれてハックとベンとともに筏を作りました。その夜モーリスはジムとトムに別れを告げ、トムたちの作った筏に乗ってセント・ピーターズバーグの村を離れケアルの町目指して筏を漕ぎ続けるのでした。
第34話 天から降ってきた男
 ある日の事、ミッチェル先生がポリーおばさんを訪ねてやって来ました。ミッチェル先生は昔、メアリーが看護婦になりたいと言っていたのを覚えており、自分の診療所で看護婦の見習いをしてみないかと相談に来たのです。ポリーおばさんはメアリーが望むなら構わないと言い、メアリーは2つ返事でOKします。
 翌日からメアリーの看護婦見習いが始まりました。しかしミッチェル先生は酒飲みで、しかも多少頑固なところがあり、またセント・ピーターズバーグの村には最近ロビンソン先生という優れた名医が診療所を開き、患者はみんなロビンソン先生の方に行ってしまっていたので、ミッチェル先生の診療所には閑古鳥が鳴き、朝から誰一人として患者はやって来ませんでした。
 そんな時、セント・ピーターズバーグの村に気球が飛んで来ました。村の人たちは気球など見た事もなかったので大騒ぎとなり、悪魔がやって来たと言って逃げ出す始末です。しかしトムだけは気球の存在を本を読んで知っていました。トムは気球を追いかけてカーディフの丘に行き、気球が不時着する現場に出くわしました。
 気球にはアーサー・オコーナーという青年が乗っており、気球はアメリカ陸軍がシカゴから飛ばしたものでした。アーサーはトムたちにコリンズ保安官を呼んでもらおうとしますが、村の騒ぎを知ったコリンズ保安官はカーディフの丘に化け物を退治しようと駆けつけてきました。コリンズ保安官は化け物が空からやって来たと聞いて保安官をやめようかと思ったほど恐れましたが、人間が乗っていたと知って一安心するのでした。
第35話 空を飛びたい
 アーサーは保安官事務所に行き、シカゴの陸軍兵器研究所への手紙を書くと、保安官のパットが徹夜で馬を走らせて手紙を届ける事になりました。アーサーは気球が不時着した時に頭にケガをしており、ミッチェル先生の診療所を訪れます。アーサーはメアリーにとって初めての患者となりました。アーサーは傷の手当てをしてもらった後、メアリーと一緒に気球まで戻ります。アーサーとメアリーは2人で会話を続けるうちにすっかりと仲良くなってしまうのでした。
 アーサーは今朝、気球を点検中に突風で飛ばされてセント・ピーターズバーグまで飛ばされて来たので、お金を一銭も持っていませんでした。それを聞いたメアリーはアーサーを家に招待します。食事の間、気球の様子を語るアーサーの話はトムとシッドの興味をそそりましたが、メアリーは話しに加わる事ができずに少々おかんむりでした。そしてアーサーはトムのベッドで眠り、トムはシッドと一緒にベッドで眠るのでした。
第36話 気球を直そう
 翌日、トムはどうしても気球に乗りたくなりました。そこでアーサーに気球を飛べるようにしてほしいとお願いしますが、アーサーにも気球が再び飛ぶようになるのかわかりません。それでもトムがあまりに熱心に気球を直してほしいとお願いするので、アーサーは陸軍が迎えに来るまでに気球を直してみる事にしました。村の子供たちの協力で、風に飛ばされないように地面に縛りつけられていた気球を釣り上げ、薪をたいて気球の中の空気を暖めていつでも飛べるような状態にして地面にロープで固定されました。
 気球にはどこも異状はなく、このまま火をたき続ければ明日の朝には気球は飛ぶ事ができそうな雰囲気でした。ところがアーサーはコリンズ保安官に呼び出され、気球を飛ばす事をやめるように言われてしまいます。セント・ピーターズバーグの村人たちの中には空からやって来たアーサーを悪魔だと思い込んでいる人たちもおり、陸軍が迎えに来るまでは気球を飛ばしてほしくないと言うのです。
 それを聞いたアーサーは憤慨しましたが、従わないわけにもいかず、気球の下でたいていた火を消してしまいました。それを聞いたトムは気球に乗る事ができなくなりとてもガッカリしてしまいます。そしてその夜、トムは気球に乗れなくなった悲しみで思わず泣いてしまうのでした。
第37話 空からの眺め
 トムはどうしても気球に乗りたくて、翌日ハックに相談して、アーサーには内緒で夜のうちに気球の下で薪をたき、朝になったらトムとハックの2人で気球を飛ばそうと計画しました。明日になればきっと軍隊が迎えに来るだろうから、決行は明日の朝しかありません。この頃になるとアーサーとメアリーはすっかりと仲良くなり、まるで恋人のようでした。
 その夜、トムはコッソリと家を抜けだすとハックと一緒に夜中じゅう薪をたき続け、朝にはベッキーも駆けつけ気球は飛びたてる状態になりました。シッドが目覚めた時、横にトムがいなかったのでシッドはトムが1人で気球を飛ばすつもりだという事に気付き、慌ててアーサーを起こして気球のところに駆けつけました。するとちょうどその時、トムとハックの乗った気球が飛び上がろうとしていたのです。アーサーは地面を離れた気球にぶらさがってようやくゴンドラの中に潜り込む事ができました。トムとハック、そしてアーサーを乗せた気球は空に舞いあがり、トムとハックは初めて見下ろすミシシッピ川やセント・ピーターズバーグの村に感動し、見とれました。
 3人を乗せた気球は再びカーディフの丘に舞い戻り、そしてアメリカ陸軍の軍隊が気球を回収にやって来ました。気球は飛びたてる状態だったので空を飛んでミシシッピ川を渡りイリノイ州側に戻る事になり、アーサーは再び空に舞い上がります。そこへメアリーも駆けつけ、さよならを告げると、アーサーは「また必ず逢いに来るからね」と約束して向こう岸へと飛び立っていくのでした。
第38話 恐ろしい出来事
 ある日の事、トムはベッキーと一緒にセント・ピーターズバーグの村外れにある、化け物屋敷と呼ばれる建物に行きました。ベッキーが恐がったので、その日は中に入りませんでしたが、トムはベッキーに今夜、化け物屋敷の中に入って本当に化け物がいるかどうかを確認すると約束してしまいます。その日、ウィリアムスさんのお葬式が行われ、化け物屋敷のそばのお墓に埋められました。
 トムは1人で化け物屋敷に行くのが恐かったのでハックを誘って2人で夜中に化け物屋敷へ行く事にしました。2人がお墓の前を通りかかった時、驚いた事にひとだまが見えたので、2人は恐怖で立ちすくんでしまいます。トムとハックは何とか茂みに隠れてひとだまを見ると、それはどうやらたいまつを持った3人の人間のようで、話し声も聞こえてきました。トムとハックが様子をうかがっていると、3人はインジャン・ジョーとマフとロビンソン先生のようで、驚くべき事にインジャン・ジョーとマフは今日埋葬されたばかりのウィリアムスさんのお墓を掘り始めたのです。
 インジャン・ジョーとマフはとうとう棺桶を掘り出し、死体を棺桶に乗せようとした時、2人はロビンソン先生にお金を要求し始めました。しかしロビンソン先生は報酬は前払いで渡してあると言って応じません。痺れを切らしたマフはロビンソン先生に殴りかかりましたが、酒に酔っていたせいもあり、逆にロビンソン先生に殴り飛ばされて意識を失ってしまいます。しかしインジャン・ジョーはマフの落としたナイフを拾い上げると、ロビンソン先生の胸をナイフで一突きにして殺してしまうのでした。
 ロビンソン先生の呻きにも似た悲鳴をトムとハックは恐怖に震えながら聞きました。そしてインジャン・ジョーが意識を失ったマフにナイフを握らせ、あたかもマフが殺したかのように偽装したのを一部始終見ていたのです。意識を取り戻したマフは自分の上にロビンソン先生の死体が覆い被さり、自分の手にはナイフが握られているのに気付いてびっくりしました。そしてインジャン・ジョーはマフがロビンソン先生を殺したと言うのを聞き、マフにはそんな覚えはありませんでしたが、酒に酔っていた事もあり、自分が殺してしまったのではないかと考え始めたのです。
 トムとハックはあまりに恐ろしい光景を見てしまった為に、恐怖に震えながらめくらめっぽうに走り続けました。そしてふとたどり着いた、なめし革工場の跡地でトムとハックはどうしようかと話し合います。このままではマフが殺した事になってマフは絞首刑になってしまいます。トムは保安官に本当の事を言おうかと考えましたが、もしインジャン・ジョーが絞首刑にならなければ、インジャン・ジョーはトムとハックを復讐して殺すだろうと思い、絶対に喋らないと誓いの儀式を行うのでした。
第39話 良心の痛み
 トムとハックは恐ろしい出来事を目撃しました。しかしそのすべてを忘れる事にしたのです。しかしそれ以来トムは毎夜、悪夢にうなされるようになりました。そして食事も喉を通らなくなってしまったのです。
 翌日、墓場でロビンソン先生の死体が発見され、そばに落ちていたナイフがマフの物だった事からマフが犯人と疑われてしまいます。マフはロビンソン先生が死んだ時の事をよく覚えていなかったので、インジャン・ジョーが「マフがロビンソン先生を殺した」と保安官事務所で証言した為、マフ自身も自分が殺したと思い込んでいました。ロビンソン先生は原因不明の病気で亡くなったウィリアムスさんの病気をはっきりさせる為に2人にお墓から死体を掘り出させて解剖しようとしていたのです。しかもこれが初めてではなく4〜5回は繰り返されていました。
 マフは裁判の日まで牢屋に入れられ、そして裁判では絞首刑になりそうな気配でした。トムとハックは無実の罪で牢屋に入っているマフを不憫に思い、保安官に隠れてタバコやハムの差し入れをし、マフは大喜びです。本当の事を知っているトムとハックは良心が痛み、本当の事を言おうかと考えますが、インジャン・ジョーが恐ろしくて、とても言う勇気はありませんでした。
 マフにはフィッシャー弁護士が弁護にあたる事になりましたが、どんなに優秀な弁護士でもマフを無罪にする事はできそうにありませんでした。トムとハックは殺人現場を見た事を誰にも喋らないと誓いましたが、マフが可哀想でなりません。そしてトムもハックも毎夜、悪夢にうなされ、眠れない日々を過ごします。
第40話 マフ・ポッターの裁判
 村人たちや保安官はもちろんの事、マフ自身でさえ自分が殺したと思い込んでいるので、もしトムが本当の事を言ってもすぐには信じてもらえず、その間にインジャン・ジョーに殺される恐れがありました。しかしトムはあまりにマフが可哀想なので、とうとう勇気を出してフィッシャー弁護士に本当の事を伝えに行ったのです。
 そして裁判の日、裁判所には大勢の人が集まり傍聴席は満員になりました。裁判では一方的にマフに不利な証言ばかり飛び出しましたが、フィッシャー弁護士の唯一の証人であるトムの登場により形勢は逆転しました。トムはインジャン・ジョーを目の前にして恐怖に脅えながらも一部始終を証言したのです。トムの「インジャン、お前だ、お前がロビンソン先生を殺したんだ!」の叫びにインジャン・ジョーは怒り狂い、そして押さえつけようとする警備や傍聴人を殴り飛ばして窓を破って逃げ去ってしまったのです。
 みんなは逃げ去ったインジャン・ジョーの後を追いました。マフは涙を流して喜び、トムに抱きつきました。トムは再び村の英雄になりましたが、トムはインジャン・ジョーの影に脅える生活をする事になったのです。
第41話 インジャン・ジョーの行方
 インジャン・ジョーの行方はまったくわからず、保安官はセントルイスから偉い探偵を雇う事にしました。ところが蒸気船でやって来た探偵はピンカートンという名前の小太りで背が低く、うだつのあがらない、とても探偵には見えないような人でした。しかもピンカートンは翌日の捜査ではインジャン・ジョーの家を訪れた時に階段で足を滑らせ転げ落ちて捜査を打ち切り、その次の日は酒場を聞き込みするうちに酔っぱらって気分が悪くなって寝込んでしまうありさまで、とてもインジャン・ジョーを探し出せそうにありませんでした。
 ピンカートンはインジャン・ジョーを探し出せないと悟り、インジャン・ジョーの方から現れるのを待つ事にしました。それはインジャン・ジョーがしつこい性格をしていると村の人たちから聞いたので、必ずトムに仕返しにやってくると考えたのです。それ以来、ピンカートンはトムのまわりに張り付き、ベッキーとのデートの時にもつきまとうので、すっかりとトムに煙たがられてしまうのでした。
 ベッキーは夏休みの後半を大叔母さんの家で過ごす為、セントルイスに戻る事になりました。トムも一緒にセントルイスまで蒸気船で旅をしたかったのですが、とてもポリーおばさんが許してくれそうにありません。そんな時、ポリーおばさんの親戚であるサリーおばさんの経営するアーカンソー州のヘルプス農場まで債権や証券などの大切な荷物を届けなければならなくなり、メアリーは看護婦の仕事があるのでトムが行く事になりました。アーカンソー州はセントルイスの先にあり、ベッキーと一緒にセントルイスまで蒸気船の旅ができると思うと、嬉しくて飛び回ってしまうのでした。
第42話 楽しい船の旅
 ピンカートンは探偵としてまったく役に立たなかったので、すぐに首になってしまい、代わりにインジャン・ジョーには100ドルの懸賞金がかけられました。ところがセント・ピーターズバーグの村にインジャン・ジョーではなくハックの父親が再び帰って来たのです。ハックはトムが牧場に行くと聞いてたいそううらやましがりましたが、自分の父親が帰って来たことを知ると大慌てで逃げだしてしまうのでした。
 トムとベッキーを乗せた蒸気船はセント・ピーターズバーグを後にして、一路セントルイス目指して出港しました。船旅は2日もかかり、夜には2人はいい雰囲気でした。ところが同じ船にハックまでが乗っていたのです。ハックは父親に見つかってしまうのではないかという恐怖のあまりに、蒸気船の救命ボートにこっそりと忍び込んでいたのです。ハックは父親から逃れたい一心で後先考えずに船に忍び込み、セントルイスで1人暮らしすると言いますが、トムとベッキーは今後のハックの行き先について案じます。そしてトムの発案でトムと一緒にヘルプス農場まで行く事にしたのです。
第43話 白い馬を見つけた
 蒸気船はセントルイスに着き、ベッキーはそこで別れ、トムとハックの2人の船旅が始まりました。2人はセントルイスからヘレンまでミシシッピ川を下り、そこから馬車で半日かけてサリーおばさんの農場に行くのです。セントルイスからの船旅は航行する船も多く、2人は通りすぎる船を見て楽しい旅を続けました。ところがハックはすれちがった船にインジャン・ジョーの姿を見たのです。トムも見ましたが後ろ姿だけだったのでよく見えず、それが本当にインジャン・ジョーだったのかはわかりませんでした。
 船はヘレンに到着し、トムとハックは駅馬車でパイクスビルにあるヘルプス農場に向かいます。駅馬車の中で一緒に乗り合わせたおじさんから、ヘルプス農場は牛が病気で半数以上死んでしまい、立ち直れないかもしれないと言うのです。トムはポリーおばさんから預かった債権や証券をサリーおばさんに渡し、サリーおばさんはそれを担保にしてお金を借り、ヘルプス農場を立て直そうとしている事を知っていました。
 駅馬車はパイクスビルに着きました。サリーおばさんとは一度も逢った事がなかったので、トムはハックと一緒にサリーおばさんに厄介になる為、ハックを弟のシッドとする事にしました。サリーおばさんは親切な人で、トムとシッドになりすましたハックに優しくしてくれます。サリーおばさんの娘のベニーはメアリーと一度会った事があり、その時の家族の説明として、シッドはとてもおとなしくて勉強熱心でポリーおばさんの自慢の子供だと聞いていたのですが、シッドになりすましたハックを見る限り、とてもそんな風には見えず、ベニーに疑われてしまうのでした。
 トムは一度馬に乗ってみたかったので、ベニーにお願いして馬に乗せてもらいます。ところがトムを乗せた馬は暴れだし、トムを乗せたまま暴走して柵を飛び越えてどこかへ行ってしまいました。トムは必死に馬をとめようとしましたが馬は言う事を聞いてくれず、ずいぶん走った後、ようやく小川で馬はとまりました。トムはここがどこだかまったくわからず、馬にヘルプス農場まで案内してもらおうとしていたその時、トムは野生の白い馬を見かけます。白い馬はトムの乗ってきた馬と仲良くした後、どこかに走り去ってしまいました。そして偶然にも馬に乗った人達が通りかかったのです。トムは迷子になったのでヘルプス農場まで案内してほしいと言うと、その人たちはサリーおばさんの旦那のサイラスおじさんと、その息子のオスカーでした。2人は野生の白い馬を追ってここまできた時に偶然トムを見かけたのです。トムはサイラスおじさんとオスカーに案内されて無事にヘルプス農場まで戻って来るのでした。
第44話 稲妻をつかまえろ
 サイラスおじさんはこの1ヵ月間、オスカーと一緒に白い馬を捕まえようとしていました。白い馬を捕まえて調教すれば高くで売れるので、農場の経営が立て直せると思ったのです。インディアンたちも白い馬を捕まえようとしていましたが白い馬はとても頭が良く、誰も捕まえる事ができませんでした。サイラスおじさんは昨日トムの乗っていた馬が白い馬と仲良くしていた事を知ると、その馬を囮として白い馬を捕まえようと考えるのでした。
 ベニーはトムとハックがとても兄弟には見えず、トムとハックの不自然さが気になったので2人を問いつめますが、トムは何とかごまかしてその場を乗り切る事ができました。そして2人はベニーに乗馬を教わる事にしたのです。1日練習したおかげでトムもハックもずいぶん上手に馬に乗る事ができるようになりました。
 サリーおばさんは町へお金を借りに行ったついでにポリーおばさんに手紙を出しました。その手紙にトムとシッドが無事に着いたと書いた事を知ったトムとハックは悩みました。手紙を読んだポリーおばさんはびっくりするだろう、そしてトムがポリーおばさんの家に帰ったら間違いなく怒られてしまう。ハックは正直に自分がトムの弟のシッドではなく友人のハックだと言おうと考えました。トムもサリーおばさんがこんなに親切な人なら、何もハックを弟のシッドだと言わずに友人のハックだと言ったとしても、同じように親切にしてくれただろうと思いましたが、今さら本当のことは言えず、最後まで嘘をつきとおす事にするのでした。
 トムとハックはサイラスおじさんたちと一緒に稲妻と名付けた白い馬を捕まえに行く事にしました。2人はオスカーから投げ縄を習い、白い馬が来るのを待ちます。そして夕方になり囮に釣られてやって来た白い馬をサイラスおじさんとオスカーは見事に捕まえる事ができました。しかしトムはなぜか捕まえてはいけないものを捕まえてしまったような気がしてなりませんでした。
第45話 さらば白馬よ
 翌日から稲妻の調教が始まりましたが、稲妻はなかなか人を乗せようとしません。ベニーは稲妻が他の馬とは違ってどこか気品があり、人に飼い馴らされる事がプライドを傷つけているのではないかと考えます。そんな時、インディアンの集団がヘルプス農場に押しかけ、白い馬をたくさんの黒い馬と交換してほしいと言いだします。インディアンも酋長の乗馬にする為、稲妻をどうしても欲しかったのです。しかしサイラスおじさんはインディアンを追い返してしまい、インディアンは怒って何かを叫んで帰ってしまいました。
 ペニーはインディアンが必ず稲妻を奪いに来ると言っていたのを聞き、近いうちにインディアンの襲撃があると思ってヘルプス農場では厳戒体制がとられました。しかし夜になってもインディアンは襲って来ませんでした。トムたちはインディアンが襲って来るといけないからと言って外に出て行く事ができず、部屋の中で退屈な時を過ごしていると、ベニーがやって来ました。ベニーは昔、メアリーからもらった手紙にトムとシッドは3つ違いだと書いてあるのを読み返しており、トムとハックがどう見ても3つ違いに見えない事から、トムとハックが兄弟ではない事がバレてしまいます。トムは事情を説明しサリーおばさんやサイラスおじさんには内緒にしてもらいますが、その代わりにベニーの頼みを聞く事になってしまいました。その頼み事とは稲妻を逃がしてほしいと言うのです。
 トムとハック、そしてベニーは夜中に馬小屋に忍び寄り、見張りの目を欺いて稲妻を逃がす事に成功しました。せっかく捕まえた稲妻が逃げて、オスカーは残念がりましたが、サイラスおじさんは、これで良かったんだと思わずにはいられないのでした。それから3日後、トムとハックはヘルプス農場を後にして馬車でヘレンに向かう途中、再び稲妻を見かけます。草原を駆け回る稲妻を見ていると2人は稲妻を逃がしてやって良かったと心から思うのでした。
第46話 化物屋敷で
 トムとハックは2週間ぶりにセント・ピーターズバーグの村に帰って来ました。しかしこの2週間でハックの小屋はかなり傷みがひどくなり、夏の間しか持ちそうにありませんでした。そこでトムはハックの住む家として化け物屋敷を提案します。先日行こうとした時にはインジャン・ジョーの殺人現場に出くわしてしまったので、トムもハックも化け物屋敷の中は入った事がなく、中の様子を調べに行く事にしました。
 化け物屋敷は名前の通り昼間から薄気味悪く、ハックはとてもこんな場所に住む気にはなれませんでしたが、トムにそそのかされて屋敷の中に入っていきました。屋敷の中は朽ち果てており、トムとハックは何か宝物がないかと探し回っている時、2人の男が屋敷の中に入って来ました。トムとハックは隠れて様子を見ていると、何とそのうちの1人はあのインジャン・ジョーだったのです。トムとハックは震えながら2階に隠れて2人の様子をうかがいました。
 インジャン・ジョーはテキサスに逃亡する予定だったのですが、この化け物屋敷にお金を隠していたので、どうしても逃亡する前に、この化け物屋敷を訪れる必要があったのです。もう1人の男はビルという名前のインジャン・ジョーの手下でした。インジャン・ジョーはお金を取り出すと、別の場所に隠そうと部屋の隅の地面を掘り始めました。ところがしばらく掘っていたところで土の中から箱が掘り出され、中を開けると何万ドルという金貨が入っていたのです。これにはインジャン・ジョーやビルもびっくりでした。
 インジャン・ジョーは2階に誰かいるのではないかと考え、階段を登り始めました。トムとハックは慌てて逃げようとしますが恐怖で体が思うように動きません。あと一歩でインジャン・ジョーに見つかってしまうというその時、インジャン・ジョーは腐った階段の踏み板を踏み抜いて1階に落ちてしまい、それ以来2階に上がるのをあきらめてしまうのでした。
 インジャン・ジョーは化け物屋敷に金貨を置いておくと危ないので、自分の秘密の隠し場所に持っていく事にして、化け物屋敷を出て行ってしまいました。トムとハックはどうしても金貨を手に入れたかったのでインジャン・ジョーの後を追おうとしますが、2人とも腰が抜けてうまく歩けず、見失ってしまいます。トムとハックは相談して金貨の事は内緒にしてインジャン・ジョーが化け物屋敷にいたとコリンズ保安官に連絡しますが、コリンズ保安官はあまり本気にせず、重い腰を上げてやっと化け物屋敷を捜索に行きましたがインジャン・ジョーの姿は見つかりませんでした。
第47話 マクドウガルの洞窟
 夏休みも終わりに近づき、引率の大人3人と一緒に学校の生徒たちで夏休み最後のピクニックに行く事になりました。子供たちは遊んだりダンスをしたりと大喜びです。午後からは自由時間になったので、トムはベッキーと一緒にマクドウガルの洞窟に入る事にしました。マクドウガルの洞窟は自然が作り出した鍾乳洞で中はとても美しく、トムもベッキーも見とれてしまいます。
 その頃、ピクニックに行けなかったハックが1人で魚釣りをしていた時、川岸に死体を見つけました。ハックはすぐにコリンズ保安官に知らせに行き死体を調べると、それはインジャン・ジョーと一緒にいたギルだったのです。コリンズ保安官はインジャン・ジョーが仲間割れをして殺したと考えました。さらにギルの死体は殺されてから長い時間たっていなかった事から、まだこの近くにインジャン・ジョーがいるに違いないと考えました。ハックはインジャン・ジョーが穴に身を隠すという言葉を聞いており、コリンズ保安官に穴に隠れたに違いないと言います。
 トムとベッキーは洞窟を奥へ奥へと進んで行きました。大自然の作り出した美しい彫刻に見とれているうちにトムとベッキーはコウモリに襲われてしまい、やみくもに洞窟の中を逃げ回った揚げ句にロウソクの火まで消えてしまい真っ暗になってしまいます。何とかコウモリの襲撃から逃れ、ロウソクの明かりも取り戻しましたが、トムとベッキーは洞窟の迷路の中で迷子になってしまい、洞窟の中をやみくもに歩き続けました。しかしいくら歩いても外には出られず、とうとうベッキーは泣き出してしまいます。
 ベッキーは誰かが捜索に来てくれるまで歩かない方がいいと言うので、ベッキーをその場に残し、トムは凧糸の端をベッキーに持たせ、反対側の端を持って凧糸の届く範囲内で歩き回る事にしました。しかしトムもだんだんと心細くなり、ベッキーのいないところで泣き出してしまいます。するとその時、ベッキーのいる方向とは反対の方向から明かりを持った人影が近づいて来たのです。トムは喜びのあまり声をあげそうになったその瞬間、近づいてくる人影がインジャン・ジョーである事に気付いたのです。
第48話 インジャン・ジョーの最後
 トムは恐怖で振るえあがりました。どこにも逃げ隠れする事のできない洞窟の中で最悪の人物に出くわしてしまったのです。トムは何とかインジャン・ジョーに気付かれずにやり過ごす事ができました。インジャン・ジョーは洞窟で何かを始めました。しばらくトムはインジャン・ジョーの様子を見ていましたが、気付かれそうになったのでトムはベッキーに合流してインジャン・ジョーとは反対の方向に洞窟の中を逃げるのでした。
 その頃、地上ではトムとベッキーの姿がいなくなり、洞窟に入ったのではないかと考え、コリンズ保安官をはじめとして18人もの捜索隊が洞窟の中に入って行きました。捜索隊の叫び声に気付いたインジャン・ジョーは逃げようとしますが、叫び声から洞窟の中にトムがいる事を知ります。インジャン・ジョーは自分を真犯人だと裁判所で宣言したトムの顔を一目見ようと、トムの叫び声を頼りに近づいていきました。
 トムはロウソクの明かりが近づいて来たので、てっきり捜索隊が来てくれたものだと思っていましたが、よく見るとそれはインジャン・ジョーでした。ベッキーは恐怖のあまりに気を失って倒れてしまい、トムも震えがとまりません。トムはインジャン・ジョーに殺されると思い込んでいましたが、インジャン・ジョーにはそんな気持ちはありませんでした。
 そこへコリンズ保安官がやって来ました。インジャン・ジョーはコリンズ保安官はトムたちを探しに来たのだから丸腰だと思って安心していましたが、コリンズ保安官はインジャン・ジョーが近くにいるかもしれないと用心して拳銃を持っていたのです。それを知ったインジャン・ジョーはコリンズ保安官めがけてナイフを投げると一目散に洞窟の中を逃げ出しました。コリンズ保安官も拳銃で応戦してインジャン・ジョーを追いかけます。そしてインジャン・ジョーは逃げる途中で足を踏みはずし、洞窟の中の深い谷に落ちて死んでしまうのでした。
 洞窟の入口には村人たちが集まっており、トムとベッキーが救出されると拍手が沸き起こりました。そしてコリンズ保安官はインジャン・ジョーが死んだ事を告げるとさらに拍手が沸き起こり、トムはこれで3度、村の英雄になります。しかしトムもベッキーも恐怖で疲れ切っており、2人とも夜になってから熱を出して寝込んでしまうのでした。
 翌日、元気を取り戻したトムはハックと一緒に再びマクドウガルの洞窟に行きました。2人はインジャン・ジョーが洞窟に金貨を隠したに違いないと思ったのです。しかもインジャン・ジョーとギルが死んでしまった今、金貨の事を知っているのはトムとハックだけでした。トムはインジャン・ジョーが洞窟の中で何かをしていた場所を探しましたが、昨日は洞窟の中で迷っていたので正確な場所がわかりません。それでも記憶を頼りに洞窟の中を歩き続け、ようやくインジャン・ジョーが何かをしていた場所にたどりつきました。
 トムとハックはその場所を掘ると、予想通り箱が埋められており、中には金貨がたくさん詰まっていました。2人は飛び上がらんばかりに大喜びし、袋に詰めて誰にも見つからないようにこっそりと持ち出しました。見つけたのは古い金貨ばかりでしたが、約12000ドル分あり、一夜のうちにトムとハックは大金持ちになるのでした。
第49話 格好の悪い終わりかた
 トムとハックは夜中にこっそりと金貨をセント・ピーターズバーグの村まで持ち帰り、どこかに隠そうとしますが、金貨の詰まった袋はとても重く、隠すのはあきらめてポリーおばさんの家に持っていく事にしました。その頃、ポリーおばさんはトムの帰りが遅いので、とても機嫌が悪く、トムが帰って来るなり鞭でトムを叩こうとしますが、トムはおかまいなしに金貨を数える為にテーブルの上に広げました。テーブルの上は数千枚の金貨で山のようになり、金貨が本物だと知ったポリーおばさんはショックで倒れてしまうのでした。
 次の日、セント・ピーターズバーグの村は大騒ぎになり、コリンズ保安官からこの金貨の半分がトムの物だと認められます。しかしハックには身寄りがいないので、コリンズ保安官は大金を子供には渡せないと言って、ハックの為に後見人を探して来たのです。子供のいないダグラス夫人にハックを養子として育ててほしいとお願いしました。しかしトムには自由気ままに暮しているハックが素直に養子になるとは思えませんでしたが、トムとコリンズ保安官の説得によりハックはダグラス夫人に養子として引き取られる事になったのです。
 トムはハックを心配して、昼間にダグラス夫人の家を訪れますが、召し使いに追い返されてしまいました。そこで夜中に家を抜け出し、ハックにこっそりと逢いに行ったのです。ダグラス夫人の家は召し使いが何人もいるとても大きな家で、ハックはきちんとした服を着せられ、食事の時には慣れないナイフとフォークを使い、おまけに勉強までさせられ息が詰まりそうだと言います。他の子供たちにとっては当たり前の事ですが、今まで自由気ままに暮してきたハックにとっては耐えられない事でした。
 ハックは自分がこんな生活をしなければならなくなったのは、あの金貨のせいだと言い、あの金貨をトムに全部あげるから元の生活に戻りたいと言い出しますが、トムにとってもそれはできない相談でした。そして今日で夏休みが終わり、明日から学校に行かなければならないと知ったハックは行きたくないと泣き出してしまいます。トムは「子供はどうしてだか学校に入れられる運命にあるんだ。ほら、この俺でさえ学校に行ってるんだもんな」と言って慰めるのでした。
 翌日から学校が始まりました。トムはいつものように寝坊してポリーおばさんに怒られ、学校にも遅刻しました。トムはドビンズ先生に叱られると思っていましたが、学校にはドビンズ先生に代わって新任のローズ先生という女の先生が来ていたのです。トムはドビンズ先生の顔を見ずに済んだと安心しましたが、新学期の1日目から算数の問題を解かせようとするローズ先生にトムとハックが文句を言うと、ローズ先生は2人を教壇に立たせ、トムとハックはいつものように鞭で叩かれるのでした。
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