生産管理講座 - IE(Industry Engineering)

IE(Industry Engineering)

生産管理とは


 IEは技術または技法としての性格を持っており、日本では作業研究とも生産工学とも訳されている。 IEは「テーラーの科学的管理法」や「ギルブレスの動作研究」に端を発している。 それぞれの職種で実際に高い業績をあげた者に共通してみられる行動特性に注目し、そこから模範的な行動を導き出そうとするものである。 いわゆる熟練作業の解体と移転を実現させる有効な技法である。 日本人が得意としてきた技術の改良に貢献してきた手法とも言える。

 IEは第一に、動作研究・作業研究として標準作業・時間の設定を行う道具である。 この標準作業・時間がなければ、工場の生産計画が成り立たないばかりか、生産余力があるのか能力オーバーの状況なのかすらわからなくなってしまう。 標準作業・時間は企業の近代的経営には欠かせないものである。

 2つ目が工程分析として改善ツールとしてのIEである。 工場の工程を細分化し、それぞれを改善する手法である。 しかし、現在ではそれらは部分最適しかもたらさず、企業収益に直結しないことから、TOCのような工場全体を改善する手法がとられつつある。 材料から製品までの時間であるスループット時間の短縮や、仕掛品の削減によってコスト削減ができることを経験的に学んだ手法である。

 企業改革でもっと重要な点は、事業や仕事そのものに価値があるかという『事業リストラ』の考えである。 事業や仕事として行なう価値のないものを、IEでいくら『業務リストラ』しても収益の向上は期待できない。 実際には、事業や仕事が価値がないよりは、重複して行なっていたり、関連性の薄い部門で行なったりしている。 工場管理者は、『事業リストラ』を行なわず、『業務リストラ』のみ行なってきた。

 もうひとつの欠点が、事後的な改善を主体にしていることである。 労働集約的な仕事の場合、事後的な改善で効果を上げやすい。 しかし、日本の製造業の実態は設備化が進んでいる。 事後的な改善では、治具や設備の改善が費用面で行なえず、効果らしい効果をあげずらい構造になってきた。


IEの歴史


テーラーの科学的管理
 IE発祥の背景は、19世紀末から20世紀の初頭にかけてである。 従来、作業の実施に際して一定の課業を設定し、それを超えた場合には奨励給を支給する制度をとっていた。 労働者の努力によって一定の標準作業量を消化すると、これを更に上げるといったやり方をとった。 このため労使間に紛争が発生し、やがては労働者の組織的怠業につながっていった。 このような状況下においてテーラー(Frederick Winslow Taylor:1856-1915年)は、これらの労使間紛争は宿命的なものではなく、管理のやり方が悪いことに起因するものであるとの結論し、成り行き管理を廃して科学的管理法を提唱した。 その結果、生産性が増加することを明らかにした。 つまり、従業員の課業を決定するために、作業単位の構成要素である要素作業の遂行に必要な時間を測定し、標準時間を決定しようとするものであった。

 テーラーの科学的管理法の代表的な実験は、シャベルすくいの実験である。 テーラーは自ら勤務していたベスヘルム製鋼会社で、鉄鉱石、石灰、灰などの運搬作業においてシャベルで一回にすくう量いくらにすれば、一日にすくう量が最大になるか研究していた。 その結果、重いものには小型シャベルを、軽いものには大型シャベルを使うことが最適であることがわかった。 次に、すくって投げるまでの距離と高さの関係を調べながら作業時間を測定し、作業方法についても的確な操作法を教育し、一日に終わらせなくてはならない標準作業量を示した。 これらの結果より、1人1日の平均すくい量は3.7倍に増加し、収入も1.69倍に達したという。 したがって、テーラーは作業の能率を上げるためには、能率をよい状態に保つための標準時間の設定、慣れない作業者には的確なすくい方を教える訓練の実施、シャベルの保管、翌日の作業計画の作成、適正配置、 奨励給制度の採用などを工場管理に活用すべきであると提唱した。

ギルブレスの動作研究
 また、テーラーと同時代にギルブレス(F. B. Gilbreth)が建設業に従事し、レンガ積み作業で動作のムダ取り実験を行った。 レンガ積み作業には大きく分けて、レンガ取り置き、組立ならびにモルタル塗りの三つの工程がある。
 第一番目のレンガ積み作業において最初に目についたものは、腰をかがめる作業だった。 すなわち、積みはじめは腰をかがめ、いくらか積み上げ、ある高さになると背伸びをしていた。 そこで、足場に調整台のようなものを考案した。
 次に、レンガ積みとモルタル塗りは別の作業台で行い、しかも片手で作業を行っていたので、歩く動作と片手動作が頻繁に目についた。 そこで、レンガ積み作業とモルタル塗り作業を同じ場所に移し、左右同時に取り置きできる作業台を工夫した。
 第二番目の組立工程では、レンガを積む時にきれいな面が出るように一つひとつ検査していたので、貨車からレンガを降ろす時にきれいな面を下に揃えて置くようにして、この検査の手間を省いた。
 第三番目のモルタル塗り工程では、水の配合割合や気温との関係で何回もかき混ぜられていたので、熟練者のなかでかき混ぜる回数の一番少ない人の作業を観察し、それに合わせた。
 その他、段取り作業では足場が高くなるにつれてレンガの運搬やモルタルの準備がやっかいになるので、それぞれの足場ごとにエリアを設けあらかじめ、そこに準備するようにした。 運搬は、貨車からバラに降ろしていたのを専用容器を作り、きれいな面を下にして10個入れることに決まった。 レンガ積みをした後、高さを調整する作業があったが、左右に杭を打ち、目盛りをつけ紐を張って基準を設定した。 これらのムダ取りにより1時間当たりの作業目標が120個から350個に増えた。


標準作業・時間の設定


 IEとは、作業のムリ(overstrain)・ムダ(waste)・ムラ(uneven)をなくして仕事の価値を高めることをいう。 ムリとは、負荷が能力を上回っている状態をいう。ムダは逆に、負荷が能力を下回っている状態をいう。 ムラは、時間の経過とともにムリとムラが交互に出てくる状態をいう。
 IEといえばムダの排除という先入観があるが、未利用資源の有効活用という視点を持ってもよいと考えている。 ただ、その場合には競争の仕方をオペレーション効率追求から、競争ポジションに変える必要がある。  標準作業はリーダーが、それを使って指導するためにある。 標準作業は守るべき最低限を示したものであり、標準作業の上に創意工夫をする心構えが必要である。

標準作業の設定の仕方
  • 現状調査
     人によって、時によって異なっている作業方法を調べる。(作業方法にバラツキのある作業を調べる)
  • 仮の標準書を作成
     現状把握した作業のうち、最も良いと思われる作業を仮の標準作業として作成する。
  • 標準作業の見直し
     仮の標準書の生産方法なり作業方法は、ある程度不安定であるし(ムリ、ムラが含まれている)、ムダも含まれている。 このムダを省いて能率的な方法に改善し、さらに作業条件を調整して方法や時間の安定化を図る。 一般には動作分析を行い、動作経済の原則等を参考に、誰でも一定の訓練を実施すれば行える標準作業を設定する。
  • 標準作業として固定
     見直しを繰返した標準書で、標準的な作業方法や作業条件を定め、標準時間を設定する。 この時、フルプルーフなどを使い、誤りのでにくい標準書にする。
  • 水平展開と定期的なフォロー
     同じ部署で同じような作業に、標準作業の工夫を流用する。また、作業標準を定期的に見直す。
標準書で重要なのは、次の項目である。
  • 標準作業をなぜこのように設定したかの理由を記入する。
  • 例外の状況が発生した時に、どのようにするかを記入する。
  • 標準書を実際に作業する人に書かせ、教え方が正しいかどうかを考える

動作分析
 動作分析は作業の中に含まれる動作のムリ、ムダ、ムラを排除し、楽に効率良く作業できる方法を見つけ出すのが狙いである。 つまり、優れた技能を発見し、この技能を標準化し、定着させるのが動作分析の目的である。 動作分析の代表的な手法にサブリッグ分析がある。 サブリッグ分析とは作業を構成する動作をサブリック記号で分析することによって、より効率的な作業方法を研究する手法である。ギルブレスによって考案された。 彼は、人間の行う全ての動作は18種類の基本的な動作に分解できることを発見し、分析のための記号を考えだした。 この分析記号はギルブレス(Gilbreth)の名前を反対つづりにしてサーブリッグ(Therblig)と名づけられた。 その後“見出す”は“探す”または“選ぶ”とほぼ同じとの理由から除外され、現在サブリッグ記号は17種類の記号から成り立っている。 17種類のサブリックは、その性質によって次の3分類に分けることができる。

  • 第一類
    作業を行う上で直接有効な動作で、価値を生む作業であり、排除することはできないが、順序や方法を変えることで楽に、早く作業することができる。
  • 第二類
    直接有効で価値を生む作業ではないが、必要な作業であり、作業を進めるのを遅らせるので、できるだけ減らす。
  • 第三類
    仕事が行われていない状態を示す。この類の動作は排除すべきである。

動作経済の原則(Principle of Motion Economy)

 ギルブレスは動作改善の研究を整理して、動作経済の原則を発表した。 今日では人間工学(エルゴミックス)として発展してきている。 動作経済の原則とは疲労を最も少なくして、有効な仕事量を増すため、人間のエネルギーを効率的に活用するための経験的な法則である。

(1) 身体使用の原則

  1. 両手は同時に動作を始め、同時に動作を終える。
  2. 両手は休憩時を除いて、同時に遊ばせないようにする。
  3. 両腕の動作はお互いに対称かつ反対方向に、そして同時に行うようにする。
  4. 手指や身体の動作はできるだけ末梢部位で行えるようにする。末梢部位の順位は指、手指、手指と前腕、上前腕と手指、および胴体と上前腕手指の5種類あり、それぞれの動作支点は順番にこぶし、手首、肘、肩、胴体が基点となる。指だけの動作が最末梢であり、上半身動作が5種類のうち最中枢となる。
  5. 作業者の動作を支援するための物理的慣性(重力)を利用する。ただし、慣性を制御するために筋力を使用する場合は慣性を最小とすべきである。
  6. 滑らかな曲線を描く動作は直線ジグザグ軌道を描く動作より良い。
  7. 制約のある動作や他の制御をうける動作より、弾道的(自由な曲線的)の動作の方が速いし、容易だし、正確でもある。
  8. 反復操作における自発的で滑らかな動作にはリズムが不可欠である。作業は可能な限り容易な自然なリズムがとれるような設計とすべきである。
  9. 作業は視線を頻繁に動かす必要のないように、視線を自然な領域に置いておけるように設計されるべきである。

(2) 設備及び配置の原則
  1. 治工具や材料は作業習慣が形成されるように特定の固定位置に置く。
  2. 治工具や材料は“さがす”ことを省くことができるように前もって決められた姿勢に配置されるようにする。
  3. 材料は使用される位置の近くまで供給されるように、フィーダー、部品箱、コンテナなどを利用すべきである。
  4. 治工具、材料、操作具は作業者にできるだけ近い位置に、また作業者の最大作業域内に配置すべきである。最大作業域とは胴体を動かさずに肩関節を軸として、左右・上下方向に手が届く距離で構成される作業領域をさす。
  5. 治工具や材料は動作順序を最適とするように配置すべきである。
  6. 作業終了時に、作業者が完了品の取り出しに手を使用しなくてもよいように移出器、または自然落下方式を利用する。
  7. 作業に適正な照明を与える。適正な作業姿勢がとれるための適切なデザインと高さのイスを与える。作業場所の高さとイスの高さは立位と椅子位が交互にとりやすい高さとすべきである。照明は今日では明るさよりも陰影、グレア、色光、視野に配慮すべきことが多い。とくに作業域の配色と作業物との対比は作業性能と眼精疲労との観点を考慮して選ぶ。

(3) 機械機器、設計の原則
  1. 手指で“保持する”、“固定している”という動作をなくす。物の固定には治具、固定器、ペタル式の固定具などを工夫すべきである。人間を保持することに使わない。
  2. 複数の工具機能とする。単一機能の工具動作は工具と工具の取り替えなどムダが多い。複数の機能を合わせて1回の扱いで作業がすむようにする。
  3. タイプ打ち作業のように指を使用する作業の場合には、各指の特性を考慮した作業とする。親指は人差し指より筋力は弱いが持久力はよい。小指は筋力は弱いが即応性がよいことなどを考慮する。
  4. 治工具の柄(グリップ)の設計は手掌面との接触面積が多いものとする。現実の製品には細すぎる柄が多い。細い柄は筋力が伝えられにくく不安定である。
  5. レバーやハンドルなどの操作具の配置はあまり作業姿勢を変えることなく操作できる位置と大きさにする。しかし、操作具の大きさは生体的力学的利点を考慮し、小さ過ぎないことが大切である。



標準時間の設定


(1) ストップ・ウォッチ法(時間観測法)
 ストップ・ウォッチ法では時間研究で図った観測時間にレイティング(Rating)を施し、正常ベースの時間に修正する必要がある。観測時間を観測者の持っている標準作業ペース(正常ペース)の概念で比較して正味時間に修正することをレイティングという。正常ペースとは作業の遂行度(performance)と関連づけられた速度であり、単なる物理的な速度によって決定されるものではない。作業の難易度、動作の有効度、取り扱い重量、要求される注意力などを考慮したものでなければならない。 その作業にある程度の適正と熟練を持つ作業者なら、普通の努力で達成できる時間値に修正する必要がでてくる、それがレイティングである。観測者が正常な作業速度(正常ペースといい、レイティング係数100であるという)を基準に持ち、この正常ペースと実際の作業者のペースを作業速度のみを基準に比較評価する方法である。レイティングの方法としては次のようなものがある。
(2) 標準資料法(standard data system)
 過去において収集した要素作業ごとの正味時間や標準時間を分類・整理し、加工または取扱われる品物の特性(大きさ、重さ、形状、材質、個数など)と時間との関係を明らかにする。品物の特性によって時間が変動する要素作業には(変数要素)には図、表、計算式などによる時間を、また変動しない要素作業(常数要素)には一定時間を用意しておき、これらを組み合わせて新しい作業の正味時間や標準時間を見積もる方法である。標準時間資料法(standard time data system)とも呼ばれる。
(3) 実績資料法
 過去の作業実績資料を整理し、生産量と所要時間を同一作業または類似作業毎に集めて時間を見積もる方法で、精度は低いが簡易に算出できる。
(4) 経験見積り法
 仕事に精通した人の経験や判断によって、標準時間や正味時間の見積りを行い、それを標準とする方法。
(5) PTS法
 PTS法は既定時間標準法といわれ、人間の行う作業を基本動作(basic motion)に分解し、各基本動作に、予め定めておいた時間値をあてはめることで標準的作業時間(standard operation time)を算出する手法である。 『一定の条件下では熟練した作業者の行う基本動作は一定の時間値である』というシーガーの原則(Segur's principle)によって成り立っている。 この手法によると作業を構成する基本動作と基本動作の性質と条件さえ前もって分析できれば時間算出が可能であり、次の利点がある。
  • 実際の作業を見なくても机上で時間設定できる。
  • 生産開始前に図面や作業方法が決まれば時間算出できる。
  • ストップウォッチを使わなくても時間算出できる。
  • レイティングをしなくてもよい。
  • 作業間にバラツキがなく、一貫した標準時間が設定できる。
 PTS法は1920年代から研究され、様々な手法が開発された。現在、日本ではMTM法とWF法が主流をなしている。

(a)MTM法
 MTM法は1948年にメイナード(H. Maynard)によって発表された。早稲田大学システム科学研究所がアメリカより導入した。作業を下記の基本動作にわけ、その基本動作の大きさとなる移動距離、動作の難易度などによって、時間値表を用い作業時間を設定する方法である。方法と時間の両方について同時に設定することからMTM(Method-Time Measurement:動作時間測定法)と名づけられた。 MTMの時間値の単位はTMU(Time Measurement Unit)で表し、1TMUは0.00001時間である。

(b) WF法(Work Factor plan)
 WF法は作業因子法とも呼ばれ、1935年にクイック(J.H. Quik)によって発表された。日本能率協会がアメリカより導入した。WF法では、基本的な条件として、人間か仕事をする場合、“同じ作業は誰がいつどこで行っても同じ時間でできる”という考えのもとに、動作時間に影響を及ぼす主な要因として、次の4つを挙げている。
  1. 身体の各部位 指(F)、手(H)、前腕(FS)、腕(A)、胴(T)、脚(L)、足(Ft)
  2. 運動距離
  3. 重量または抵抗(W)
  4. 人為的な調節 一定の停止(D)、方向の調節(S)、注意(P)、方向の変更(U)
 これらの4つの要因の組合せによって動作時間を決める。このうち、@とAは基礎動作を示すが、BとCは共に動作を遅らせる要因となり、動作の困難性を意味する。これらをワークファクターと呼ぶ。 時間単位はWFU(work factor unit)を用い、1WF=0.0001分である。 なお、日本においてWF研究会、日本MTM協会などが、それぞれ普及活動を行なっている。



IE手法による改善


 工場の生産活動の状況を正しく掴み、合理的な改善案を導くためには、何といっても生産実態の分析調査が必要である。この分析手法は工場の性格や研究目的によって、手法の形式や適用方法が変わることになるが、代表的IE手法の使用手順を書く。
  1. 課題の選択
  2. 現状の把握
  3. 重点の発見と分析
  4. 改善案の作成
  5. 効果の確立
  6. 水平展開と標準化


課題の選択
 企業経営の中で主力製品としていくために、コストを下げ、価格競争力をつけさせたい等の経営上の観点から決定するのが一般的である。 課題の選択とは何に優先順位を置くかということである。 現在の主力商品か、これから主力商品に成長させたいと思っている商品に優先順位を付け、生産工程の改善を行うかである。


現状の把握
 工場内をいかに整流化したといえども、課題となっている生産工程をすぐに理解できるものではない。 その理解を早めるための行う手法が数々ある。

(1) 工程分析
 工程分析では、材料から製品に至る一連の流れを記号を使い、分析することで問題点を抽出し、工程全体の改善設計を図ることに主眼がおかれている。生産に伴う物の変化の経過を調べるのが工程分析で、変化の状況を工程という単位で分割し、一定の記号で表示するとともに加工条件などを記述する。これによって生産の状況を大まかに掴むことができる。 工程分析では、原料から製品に至るまでの過程を、加工、検査、運搬、停滞に分け、それぞれの工程図示記号(graphical symbols for process chart)を使用し簡潔に表現する。すなわち、加工(○)、運搬(○)、検査(□)、停滞(工程内の停滞▽:素材の保管△)という記号で表し、おおまる、こまる、四角、三角と呼ぶ。

(2) ワーク・サンプリング
 ワーク・サンプリングにより、対象職場の稼働率を算出し不稼動の要因分析を行い、稼働率を下げている不稼動項目の洗い出しを行います。
  1. 稼動(主作業)、付随作業、段取り作業、作業余裕、職場余裕、用達余裕、除外に分類する。
  2. 全体に占める不稼動要因を分析する。すなわち、不稼動要因に大きく影響すると思われる項目を絞り込む。
  3. 不稼動要因の中で一番多い項目を細項目に展開する。
  4. 問題点を明らかにし、改善方向を検討する。

(3)工程流れ線図(process frow chart;process flow diagram)
 製造工程における物の流れを工場の配置図上に示したものであり、広範囲に使用されている。

重点の発見と分析
 全工程を通じて生産能力の不足していたり、不良品の多い工程をボトルネック工程と考え、ここに重点を置く。 実行可能な真の原因を突き止め改善を行う。「なぜ?を5回繰返して考える」というのは、回数に意味があるのではなく、真の原因を探るためのものである。

改善案の検討
 上記のの分析によって、課題とした製造ライン等のどの工程がボトルネックであるかがはっきりとする。

(1)工程改善
 この工程に対して次のような改善を行う。
  • 第一に作業の割当てや準備を計画的に実施して、手待ち(無作業)の発生を防ぐこと、
  • 第二に運搬や工具の手入れなどの間接作業を専門工に担当させることである。
  • 準備作業時間減少には、管理面の対策として材料や治工具を事前に取り揃えておくこと、専門の段取り工をおき段取り作業迅速化することである。
  • 最近では技術的な対策(いわゆるシングル段取り)として、取付具・金型の構造や取付方法を標準化するとともに、外段取りを行うことにより、段取り時間が大幅に減少されるようになった。
  • 付随作業は現状では必要不可欠であるが、これを減らすには作業改善や治工具取付具の利用、さらには簡易な自動装置設置等により、作業の簡易化を図ることが必要である。

 この結果工程の稼働率の低さが部品待ちの時や、工程間在庫(仕掛品)を減らしたい時には次の2つの在庫を減らす。
  • 工程待ち在庫
  • ロット待ち在庫
 工程待ち在庫は生産計画作成の善し悪しによって大きく左右される。 そのため、最近ではコンピュータ技術を十二分に活用して、計画から進捗まで行うことが主流になっている。 また、ロット待ち在庫はロット分割を行うことによってロット数を減らすことが多い。

(2)運搬改善
 運搬とは英語でマテリアル・ハンドリング(materials handling)といい、日本でもマテハンという言葉は良く使われる。 運搬には広く考えると2種類の動作がある。
  • 顕在的運搬 目に見える運搬(普通に考えられる運搬)
  • 顕在的運搬 目に見えない運搬(作業中における加工品の取り置き動作等)
 運搬管理にはいろいろな方法を適用しなければならないが、基本的には次の3つの方向がある。
  1. レイアウトの改善
  2. 運搬方法の改善
  3. 運搬制度の改善

(3)動作改善による改善
 ボトルネックとなる工程を主に、ギルブレスの動作研究等の動作研究や動作経済の原則による動作研究を行って、動作改善を行う。

(4)小改善による改善
 動作改善によってもボトルネックを解消できないときは、治具等の小改善を行う事によって改善を行う。

(5)部品の共通化等
 部品の共通化、モジュール化等による改善をおこなう。

効果の確立
 改善案で計画した改善がきっちり行われ、計画した効果が上がっているかを検証行う。

水平展開と標準化
 同様の改善を行える可能性のある個所に同様に改善を行えるようにするのが水平展開である。 それには2つの内容が含まれる。
  • 改善を行った経緯について第三者にもわかりやすい文書にし、ノウハウが移転できる形にする。
  • 上記のノウハウを多くの人に共有できるデータベース等の形にする。

 標準化とは改善の結果、獲得されたノウハウや知識が属人化してしまうのを防ぎ、標準書を見れば多くの人が行える形にすることをいう。

 また、標準化は作業者の技能のバラツキをなくする意味でも非常に重要である。標準化ができてこそ多能工化が可能になる。
なお、現場からのたたきあげの作業者が管理者になっている場合、経験に基づいた行動をする傾向にある。 標準作業や標準時間の設定という基本的な管理ができていないことが多い。 また、生産現場におけるIT(情報技術)の活用が進み、モジュール化といった新しい事に対して知識がない。 そのこともあって、改善自体に反対の立場をとることも少なくない。 あくまでも三現主義(現物、現場、現実)、五現主義(現物、現場、現実、原理、原則)をよく見極め、あくまでも科学的な改善に徹することが必要である。


最近のIEの傾向


 生産管理概論 でも書いたが、最近のIEの傾向としても源流管理がある。 従来のIEは、設計された製品を生産するについて、設備や機械をいかに効率よく運用するかが問題であった。 以前は生産部門が生産効率の悪い設計について、設計に苦情をいって改良してもらっていた。 しかし、現在の超競争時代においては、製品開発時にいかにIEの原則に則った効率の良い設計を行うことが重要になった。 設計部門が設計に織り込んだIEの工夫を、生産部門が実行しているかを把握し、指導や改善を行っていかなければ競争に生き残れない時代になった。 デジタル・モックアップ技術等のIT技術が進化し、それらの実行を可能にしている。
 また、工場の生産シュミレーションのできるロボキャド(現在名前が変わっている)等のコンピュータ・ソフトが日進月歩で進化している。 工場レイアウトの検討、自動化のシュミレーションも開発部門で行える環境が整ってきている。

 最近では、パソコンを使用した作業分析や標準作業書作成ソフトウェアやシミュレーションソフトウェアが発売されている。
 また、“生産性は良いのに、利益がでない”という言葉にあるように、ただ生産を効率的に行っても利益には結びつかない。 販売と密接に連携のとれた生産を行うことが必要になっている。
 さらに、生産コストに占める開発費の比率も年々上昇する傾向にあり、開発からスムーズに生産に移れる体制も重要視される。 その意味から考えれば、IEは工程設計の時点で活用されることが多くなりつつある。

参考ホームページ

参考文献

  • 『コストダウンのためのIE入門』  岩坪友義著  日本経済新聞社
  • 『おはなしIE』          古川光著   日本規格協会
  • 『生産工学』            泉英明著   日刊工業新聞社
  • 『作業研究』    通商産業省産業構造審議会編  日刊工業新聞社
  • 『運搬管理便覧』  日本運搬管理協会編      日刊工業新聞社