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学力差を拡大し固定化する恐れがある 松井幹夫 (1)はじめに 1.「発展的学習」として指導要領を越える内容が挿入された。 2.1以外の現行教科書の手直しは非常に少ない。つまり指導要領に起因する 「不合理な教材配置」と著者の責任である「記述の分かり難さ」は温存されたままである。 (2)指導要領に起因する不合理きわまる教材配置は、まったく改訂されていない。(赤字のところをクリックすれば画像がでます) 1.1年では「20までの数」と「20を越える100までの数」の2段階に分けられているため、「十進位取り記数法」が「20までの数」のとき、きちんと学習されない(その実態)。したがって「くり上がりのたし算」「くり下がりのひき算」で縦書きの筆算表記がなされない。これは1年の重大欠陥である。5の缶詰タイルがないことも大きな欠陥で、数えたしや指算を克服する手だてがない。 2.2年で、3桁、4桁の記数法はやるが、それを応用しながら理解を深める加減は3年に分断配置されている。 (かけ算を3年に回してでも、2年で上記に集中した方が効率的である。百を越える加減、3桁ー3桁を2年の発展学習に入れるなど、そのための無駄もしている。) 3.「÷1桁のわり算」が3年、4年と分断されている。3年では、東書、学図をのぞいて横式のわり算しか扱われない。わり算の筆算にとって重要な素過程である「÷1桁で商1位の筆算(これが素過程)」が3、4年をとおして、どの教科書も型分けをしてきちんと扱っていない。上記2社も標準形をちょっと紹介する程度である。したがって誤答しやすい2÷3などの筆算形式がきちんと扱われないうちに、「商2位数のわり算」が登場する。これは、「÷1桁のわり算」が3年に集中して配置されていた前指導要領より重要な後退である。この配置換えもやる気になれば難しくない。×2位数(多位数)を3年から4年に回せばよい。 4.分数も4年では「分数の導入(意味)」だけで、「同分母分数の加減」が5年と分断配置されている(同分母加減が4年の発展学習になっている)。 基本内容として追加されたこと 5年のはじめに小数点以下3位数までの内容が追加された。しかし、小数点以下が2位数以上になる計算は「発展的学習」とされている。 (3)「発展的学習」について どの教科書も「発展的学習」のマークを示して他教材と区別できるようにした上で、目次ページにその趣旨を書いている。よく読むと矛盾を露呈している。 例えば啓林は「児童の興味関心に応じて発展的に学習が広げられるように、学習指導要領に示されていない内容をとり上げています」と書いている。指導要領の枠では、「児童の興味関心に応じた学習が広げられない」と言っていることになる。東書は「算数への興味・関心を広げる内容をとりあげています」と書いている。こういう趣旨の内容ならば、どの子にも学習を保障すべきことではないか。 (3)「発展的学習」の内容はどうか 1.1年では百をこえる数、2年では百をこえるたし算ひき算、3年では。×、4年では21)3456などで、上記の不合理な学年分断配置を手直しして集中的に学習すれば、基本学習としてどの子にも保障できるものが殆どである。集中配置すべきものを分断配置した上で、つぎはぎする非効率な無駄をやっているわけで、このことは世論に訴えて早急の改善を要求すべきことだと考える。理解して貰いやすいことである。 2.5年になると「台形の面積公式」、小数2桁の加減、小数2桁×小数1桁、帯分数の加減と目立つ内容が入っている。 このような内容が「発展的学習」として入ったことは諸刃の刃である。教科書にある内容だからどの子にも大手を振って教えられるという反面、「発展的学習」ということで一部の子どもにしか学習が保障されないということになる可能性もある。 (4)指導要領を手直しするだけで発展的学習をどの子にも保障できる 「発展的な学習」の内容には、それほど重要でないものもあるが、その殆どは、「学年をまたがる教材の合理的な配置換え」によって、重複の無駄が吸収され、基本学習としてどの子にもその内容を保障できるものとなる。これは根本的改善策ではないが「少なくとも前学習指導要領からの後退をなくせ」という緊急提言である(04年5月5日記す)。
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