ISO/TC210/WG1 Barcelona 会議報告
作成: 2001年11月
1.会議名:
ISO/TC210/WG1 Barcelona 会議2.開催場所:
Barcelona (Spain), at Hotel Rey Juan Carlos I3.開催期間:
2001年 10月13 - 15日4.出席者:
出席者:三浦氏 (GEYMS) & 村山 他 多数5.議長
Mr. Ed Kimmelman (USA)6.議題:
・ 2001年4月 ISO/TC 210/WG 1 東京会議のレビュー7.報告事項
・ ISO/CD 13488 要否に関するブリーフィングペーパーの結果
・ ISO/CD 13485 に関するコメント審査
・ 2001年10月 ISO/TC 176 バーミンガム会議の報告
・ ISO 14969 の作業状況の報告
・ ISO 13485:1996 ⇒ ISO 13485:2003 移行処置について
・ 次回会議について
まず大きなポイントとして、今回の会議が無事開催されたことによりDIS版発行の見通しが立ち、新たな遅延を回避してISO 13485改正版が発行できそうな見通しとなったことが今回の会議の大きな成果として挙げられる。その上でいくつかポイントを挙げると、6.次回会議:1.ISO 13485:1996 ⇒ ISO 13485:2003 移行処置について
ISO 13485: 1996 ⇒ ISO 13485:2003の移行期間の設定をどうするかの検討は TC210/WG1のなかで村山が主に担当しているので、最初にバルセロナ会議での討議の経緯などを報告をする。
Barcelona会議での結論:(ISO 13485:1996 ⇒ ISO 13485:2003の移行処置について)
・ これまでの情報ではISO 13485:1996は、ISO 9001:1994がInvalidになった後も使用可能であると思われる。が、念のためISO中央事務局へ確認する(担当Hillaryさん)
・ ISO 13485:1996 ⇒ ISO 13485:2003への移行処置を決めるプロセスが非常に難しいという共通認識が得られた
・ 移行処置WGより、ISO/TC210/WG1の見解を明確にするためのPosition Paperを出す、ということを提案し承認された(別配布資料参照)
今後、実作業を以下のように進める。
・ Position Paper 案ドラフトを11月中旬までに作成(主にMaria Donawa女史が草稿)
・ Position Paper 案についてISO/TC210/WG1内でコメントを集める
・ Position Paper を関係団体へ送付してコメントを集める解説:ISO/TC210 Position Paper 案で提案すべき「移行期間」としてどう記載するかがポイントだが「認証の切り替えに最低3年を確保すべきである。更に規制に使用されているという特殊事情を考慮すると5年が望ましい」とするのが妥当だと考えている。
2.ISO/TC176 との関係について
前回の東京会議の報告でISO/WD2 13485:200x の改正方針について ISO/TC176 との討議の結果、TC210のISO 13485改定のコンセプトがほぼ認められたと報告した。
しかしその点については訂正が必要で、正確には、東京会議でISO/WD 13485に対してコメントを出し討議をしたISO/TC176/SC2であり、TC176全体としての了解は取れていない状態であったことがわかった。
10月のBirminghamのISO/TC176会議で、特にISO 13485の要求事項に顧客満足&継続的改善を入れない点についての討議があり、紛糾したとの報告があった。結論としてはISO 13485:2003の改正方針はISO/TC176の了解がほぼ得られたと思われる。
3.ISO 13488 を残すか、廃止するか?
この点については日本をふくめ、多数の国が「ISO 13488は不要」という考えであることがわかり、またISO/TC176もISO 13488を廃止すべきという強い見解を出してきたため、ISO 13488の今後の改正作業は行わないことになった。
但し法規制の適用において、例えばカナダ医療機器規則や、MDDの付属書5に対応するHarmonized Standardが必要というように設計管理を除外した品質システムの規格の需要があるため、ISO 13485の適用を書き換えて、規制により許される場合は設計管理を行っている組織でも除外を許容する道を残すことになった。
4.リスク分析 ⇒ リスクマネジメント による影響
ISO 13485:1996では4.4設計管理にリスク分析の要求事項があった。それに相当する要求事項としてISO/CD 13485:200xでは、7.3の設計・開発の項に「リスクマネジメント」の要求事項が含まれていた。が、リスクマネジメントを設計・開発の項に置くのは不適切という意見が出て7.1製品実現の計画へ移された。
そのため設計管理を適用していない組織が、設計開発を除外してISO 13485の認証を受ける場合も、リスクマネジメントを実施することが要求されることになる。
5.解説&全体の感想など
以下、いくつかのポイントについて補足解説&感想を以下に述べてみたい。
(1) 規格策定の初期段階からの参画の重要性規格の内容について日本、英国など規格ドラフト作成の極めて初期段階から主体的に参加してきた国はWDの段階で本質的な意見は出し尽くしてきており、異議をとなえるような点はほぼなくなってきている状態である。
その一方で、ドラフト作成作業に加わっていなかったフランス、フィンランドなどの国からは、基本コンセプトに関わる部分、例えば顧客満足・継続的改善を含めてISO9001の内容を全て取り入れないこと自体がケシカランというような反対コメントを出すなどの動きがあった。そのようにコメントが両極化したのが今回の特徴であった。
この段階になって基本コンセプトに関わる反対意見を出しても、そのような点は、既に主要メンバー国の間では深く討議された上で合意済の事項であるため、採用されないことがほとんどである。規格策定においては初期の段階から主体的に関わりを持つことが極めて重要であるとあらためて感じた。
(2) リスクマネジメントについて
今回の規格の内容面の変更として影響がありそうなのは、リスクマネジメントの要求事項が7.3(設計・開発)から7.1(製品実現化の計画)へ移ったことである。一見、編集上の変更のようであるが、その変更の及ぼす影響を解説したい。
大きなポイントは、この変更により、設計・開発に全く責任を持たず、従って7.3を適用除外にする組織でも製品のリスクマネジメントを実施することが要求されることになることである。例えば医療機器メーカーの下請負として、100%メーカーから提供される図面や仕様に従って組立製造のみを請け負っているような工場でも、認証を受けるためには製品リスクの管理を要求されることになる。
理論的にはリスクマネジメントは設計だけでなく、製品実現化プロセス全体で適用されるべきものという考え方は正しいが、実務上は設計・開発をしていない下請負組立業者にまで製品のリスクマネジメントを要求するのは(現状では全く要求されていないことを考えると)負荷が大きすぎると思われる。そのためこれは、Raising up the barをしないという基本コンセプトにそぐわないと主張した。が、会議の中では受け入れらなかった。設計を行っていない組織にとって要注意ポイントとなると思われる。
(3) ISO 13488の廃止について
また今回の会議の決定事項のなかで大きな影響があるのは、ISO 13488の廃止である。ISO 13485の適用を書き換えて、規制により許される場合は設計管理を除外する道を残すことになったが、この文面についてはもう少し練り上げる必要性もある印象を受けた。
(4) ISO 13485:1996/ISO 13488:2003の移行期間について
最後に、96年版から2003年版への移行期間をどうするか(ISO 9001認証を別にして)についても感想を述べたい。率直に言って進め方の難しさばかりが浮き彫りにされたという印象となった。
補足すると、まずISO/TC210/WG1 Barcelona会議の会議期間中に ISO 13485 Transition Groupのメンバーを集めてランチョン会議をもち、その結果を受け、Transition Groupの代表的なメンバーとしてKimmelman議長に、WG1としても移行処置のための討議を行うための時間を取るように要請した。
その結果、WG1での討議が実施されたが、結果としてWG1メンバーの討議では「移行期間をどう設定すべきか」に関する前向きな意見がほとんど出てこないという状態になってしまったのは残念であった。即ち、出された意見は「この件については×××も考慮した方が良いのではないか」あるいは「この件については×××とも調整した方が良い」というような主旨であった。
そのため、今回の会議では、「まずはISO/TC210としての考え方を明確にするためのPosition Paper案をつくり審議する」という一点について合意することを第一のステップとした。
この背景としては、ISO 13485の移行処置を決めるにあたって利害関係を持つ団体が多種多様であり、決めるためのプロセスが非常に複雑となりそうなことが挙げられる。それがあるだけにWG1としてもやや「腰が引けている」状態である。ISO 9001と異なり行政との関わり合いも出てくるということも複雑化の要因である。討議の中で「この件については×××とも調整した方が良い」という主旨で出された組織・団体の名称を挙げるだけでもIAF、ISO/CASCO、関連する医療機器の規制を持つ国々の行政当局、欧州各国のノーティファイドボディ、各国の認証機関、各国の製造業者の代表団体となるが、そういう団体全てと調整をして「合意」することは、確かに非常に困難である。
ヨーロッパで何も特別に決まっていない場合、新旧規格の移行処置は6ヶ月とみなすというルールがあるという意見もあったが、ISO 13485の性質上、移行期間6ヶ月というルールを適用することは現実的ではない。少なくとも3年あるいは5年の移行期間を持つことについて、困難は承知の上であっても、議論を進めていくためのアクションは起こす必要があると思われる。
日程: 2002年4月〜5月
場所: Australia or Singapore で GHTF協同開催、または Ottawa で単独開催 (未定)
目的: TS/WD 14969 審議
以 上