増殖“日記小説”  日記 1 2 3 4 5 6 7 "New"       2016.11.15 19:53 更新


"増殖"日記小説  1. 雨の日の釣り師

 

釣り、とりわけフライフィッシングは、旅である。

その前の夜は、時間感覚がどこかに出かけてしまい、濃密な静かに高揚した甘美な時間が過ぎる。  TV画像や音声は、耳に届かず。  窓の外では、深山萩の下で=(・。.・)= が、交歓の濃密な時刻を謳歌する。  食べ物や、水筒、タックル、装備、フライボックス、地図などを部屋のまん中に広げ、どっかり座り込む。  フライリールやロッド、ライン、バットの感触を確認し、念入りに調子を確かめる。  その途中で投げ出し、手を止めぼんやり放心の愉しみに、漂泊したりする。  森閑とした午後の空白の一瞬、樹林に覆われた明るく広い渓谷にいる。  ヒンヤリする渓風を吸い、サラサラの白い山砂の河原の葦を押し倒し、どっかりと腰を下ろす。  疲れた脚を投げだし、どっしりした砂岩に倒れかかる。  樹木の囁きの中でおにぎりを頬張る。  アルミの水筒から直に『ゴク!、ゴク!』…茶を飲む。  横のキラキラ光輝の反射と、揺らぎの碧の淵底にそよぐものを見る。  俊敏なしなやかな背の黒い生き物を、岩の背後からそっと覗き込んだりした、このあいだのことを思い浮かべてしまう。  

あれやこれや、ポイントやら挑発の研究に企みを巡らし、密かに作戦を固めたり資料を調べたりする。  仲間となにやらヒソヒソと電話し、それを反芻し、現場の情報分析……などの準備だけで、瞬く間に夜は更けてしまう。  肝心な心の準備は整わず、また穏やかならず、いつものようには寝付かれず!?。  長々と暗藍色の恐竜の背が連なり突っ伏している家並の屋根や、その懐にどこかに通じる底知れぬ深い通路を抱える樹木たちは、半覚醒でその吐息が音もなく押し寄せる。  そのきっぱりと真新しいとびきり"パリッ"と糊の効いた真っ白な敷布。   雨上がりの道に日光が閃く瞬間とそっくり、長い影を曳きずる一途な光が射す。  鼻先でしめやか・冷ややかな外気と、挨拶を交わす朝となってしまう。   密やかなな蜜のような眠気をエイッ!とばかり押しやり、弾みを付けて起き上がる。   あたりは薄暗く、淡青色の靄が立ち込める。   広大な静寂が立ちこめているあたりに、なにやら開花するものが潜んでいる。   伐りだしたばかり、減形された樹液のような、新しい紺青の錘心を、ゆるりと飛翔させる。  重くて鈍いまだ覚醒しきっていない頭、外部からの無遠慮な澄明な力の浸透をひしひし感じる、いつもの儀式めいた地球との挨拶、交歓の愉しみがある。

叱られて萎れた少年が、とり憑かれたような物憂げな、くすんだ風体。  きっと拠点に向かってゆっくり急ぐ様子は、そんな風に映ることだろう。  そして気持ちは、真っ新な“ウェンガー・ナイフ”のように 研ぎ澄まされている。  澄み切った超越的意欲と、静謐な自信に満ちている。  なんの根拠もない・本人にも理解出来ない、不思議な余裕がある。   今日こそはきっと充分な敵に出会えるという、気持ちに満たされている。  遠い日に毎日見ていた決まった風景、感じていた風。  田圃のずっと向こうに連なる黒い帯、 この防風林は立てかけたアーチ風・”】”の白いコンクリートの防波堤で強固に守られている。   頂きは車が通れるほどの広さがあり、背後の斜面はイタドリなどの生息する黒松の暴風林。 どんどん行けば何処に行き着くのか、一番の関心事であった。  とても高く感じられ、滑ることもあり、ロープを伝って上り下りすることも出来ない。  いくつかの手作りの梯子か、水門風の”切り通し”まで歩いて行って浜に出入りする。  初めて訪れた時は、この要領が解らず、渺々と拡がる白浪の海洋を、ただただ呆然と眺めていた。  

長々と連なる白いアーチをめざし、沖から絶えず潮風が押し寄せる。   時化た時は、灰色の海が緩やかな斜面を這い上がり、立てかけたアーチに突進し、はじき返され仰向けになり崩れ落ちる。  ズック靴に砂が入り込み、とても歩きにくい緩やかな斜面。   この砂浜を半日ほど歩いたことがあり、ひどく疲れ喉が渇いた。  いつも見ている入り江の海と違い、これが”外洋”なのか!と、納得と驚愕の濃い藍色であった。  きっと沖合では、とても速い潮流に違いないと想わせた。   とても辛い潮風を吸い、碧くて底知れぬ力・執念を見るだけで、とても満足した。   逃げるとこの見あたらぬ、直射の陽射しに打ちのめされ叩きつけられた様な気分。    そして倦まず繰りかえす、渚の侵攻と後退の生業。  励まされている様な不思議な実感、これらの混沌としたものに包まれる。  背後の松林の上空にはきっとトビは滑空しており、僕らを厳しく睥睨しておった。  と ても平和で穏やかな風は流れていた。  浄潔・清浄の世界は静謐とはとても言えず、”ゴーッ!”とも”……!”疲れを知らぬ発表に満たされていた。  活字やサウンドで海を連想させるシーン、碧い海を想像する局面では、きっといつも表れる。  あぁ〜*、なんとうれしいことだろう!。

弛まず浸食を続けつつ、また長い旅路、とてつもない歳月の果て。  河口から吐き出された山砂や砂礫、岩石を岸に沿って潮流で北に押し上げたもの。  驚くほど大きな丸石も混じる砂利、なんと魅惑の形・色であるだろう。  弛まず変貌を止めない固いもの。  それぞれの顔があり風体が備わっており、確固たる自信に満ちておる。  ひとつとして同じものが無いが、 ちょっと目をそらすとけじめが付かない。  ちょっと遠ざかって眺めると、たちまち白い・灰白色の地球の表皮である。  白い砂浜を厖大な清浄で洗う潮、懐かしい優しい斉唱が響き 渡る原点である。  夜明け前の暗闇を伝播する獣の群れの興す発表、憤怒の意思を滴らせる、叫びのようである。  しぶとい嘆きのようであり、野を渡る引き締まった大気に、生気を漲らせる。  背を低く地を這い朝靄を潜り、響音のうねりとなって倦まず襲ってくる。  カラスの野営の森を越え、ムクドリの羽根を掠め、野ねずみの頭上を飛び越え、白いクネクネの道端の板塀を振るわせる。  家路を急ぐ盗人の股を潜り、たくさんの欄干をすり抜けて軽やかに疾走する。  夜遊びに疲れた犬、家路を辿るネコの脇を遠慮がちに迂回して進む。  たくさんの瓦屋根を駆け上がり垣根をすり抜け、直進の意志を貫く。  

100万光年の彼方、第七銀河の惑星の赴任地、参謀本部でてきぱきと作戦を行う。  実に爽やかな満たされた思惟が弾ける毎日。  カラカラの喉で横たわっている、ゆっくり吐き出す重い夢を食い破るものがある。  漁港に集う漁船の機関の身震いの歓声!、風向きでゆっくりとした強弱を伴っている。  別世界からのようなよそよそしさもある、毎日の挨拶のような馴れ合いもある。  底抜けに明るい解放感があるのは。焼き玉エンジンのものだろう。  複雑な2拍のユニゾンが地を這ってやってくる。  たくさんの機関がてんでに・勝手に身震いをしているに違いないのだが、実に不思議である。  絶えず惹きつけて止まない魅力の根源である。  海鳴りと入り交じった、ひとつの総体の発する低くてどす黒い響き。  時空を乗り越えることは叶わず、諦めたか!?、ここには届かない。  同じ夜明けがある、無彩色を浸食する朝焼けがある。   全ての夜明けを待つもの、じっと身じろぎもせず目を凝らし遠くを見つめる影、それぞれ異なった曙がある。  地上の生ある全てのものを目覚めさせる、燦たる太陽風がある。  年上の恋人のところへ出かける前のように、別人の自分がいて、いそいそとして落ち着きがない。  その別人はとっくに棲み家をスルリ抜け出し、そこには姿がない。

ダムの底から吐き出された冷水の流れ、がけ下の速い流れの淵の底深く。  苔生したゴロタ石、山砂と砂礫の点在する水底は、じっと目を凝らしても曖昧である。  光の射さないアクアマリンの濃い水底、潜水艦のように息を潜め、したたかな戦略を推進中。  サラ…*サラ…*、ワラ〜*ワラ〜*、いたずらに・気まぐれに小石を巻き上げる、ふとどきもの達ども。  濃い 暗灰青の背は、すっかり流れに埋没しておるわ。  キラ…*・キラ…*鋭い反射の光輝、水面をサッと撫でていくさざ波。  気まぐれに、腹立たしい程の唐突にスーッと浮上、水生の堕落した煌めきのように、ぼくらを油断させ る。  むしろ銀色の腹を、キラ…*・キラ…*した晴れがましい肢体を、見せるがよい。  礼を失するまま、焦らしながらどんどん淵底の深み、奥の方に疾走するやつめ。  金の目、鰻のように細長くクネクネ、白い星を散りばめ、灰青のヌメヌメした肢体。  申し分ない極上の逃走の後ろ姿、見せかけの親愛や後腐れなど微塵もない。  激しく戦闘・闘争意欲を沸き立たせ・掻き立てながら、ずんずん潜行し遠ざかるがよい。  誰も逃げてるなどと思わないさ、旅人さん。  果たし合いは出逢いの一回限りさ。  忌憚のない憎きありさまこそは、我々の望むものさ。  しなやかなナイフをくねらせる、悪戯な" 弾頭"ども、フフフッ……!、おとなしく待っておれ、すぐに行くから!。

黒い森に覆われ、深いひだを引き寄せている、白い頼りないものが彷徨い這っている。  鏡のようなキラキラしたものに辿り着いている。  よく見ると明らかに自然のものでないものが、横断している、堰堤かダムである。  渓の斜面を削って列車は進む、懸命にへばり付き鈍重な音で進む。  複雑なゆっくりしたリズムに、金属が擦れる耳障りな音が時々混じる。  杉林や梅林、笹さまざまな樹木に覆われた斜面の中を侵攻していく。  渓はとても急な斜面の底にあり、全体はとても深く水面に辿り着くルートは少ない。  大きく湾曲したあたりで少しの間だ視界は大きく変化し、キラ…*・キラ…*したさざ波を浮かべ、ゆったり流れる水面を見ることができる。  仰け反るように見上げると、やっと山の端を見ることができる。  緩やかに湾曲する山の斜面を縫って進む、次第に鬱蒼とした感じが濃くなってくる。  短いトンネルをいくつも抜け、停止する。  視界が開けたような、どこかに辿り着いたという実感がある。  きっと、幾度となく訪れているから、全身を包み込むような歓迎は、ほっとするような不明な唆しがある不可解なもの。  ミルクのような朝靄の中、樹木の向こうに、ちらちら水域が目に入る。  樹木と山の匂いが鼻先を擽る。  頭の奥のほうに巣くっていたネバネバした妄想などは、どこかへきれいに吹き飛んでしまっている。  大げさに言えば、呼吸が少し荒くなり、四肢がむずむずし始める。  いつものことながら、いきなり駆け出したい衝動が沸き起こる。  もっとも楽しい蜜のような、後頭部が“ドーン”と新しい頁に遷移するような、気分に毎度なる。  あれこれ練った作戦・戦略は圧倒的な流れを前に、霞んでしまう。  しかし、確かな手応え、ブル…*・ブル…*震えるロッド、グン!グン!抵抗する力との挌闘の場面はますます確かなものに想えてくる。  心が半ば気化してしまう。

そして、衝突である。

杉林の中のアップダウンのとても狭い小径を侵攻する、考えてることはただひとつ。  ロッドをしなやかに撓らせ、ラインをできるるだけ遠くへ静かに、殆ど羽根のようにフワリッ〜*と着水させる。  追跡の黒い影がフッ!と擬似羽虫を吸い込み、咥え踵を返し疾走する、水面が炸裂したので事態を知る。  すかさずロッドを起て、ラインを素早く手繰るのさ。  水面に立ちいつもの流れを確かめる、水量、濁り、中州の砂礫の変化など。  ややくすんだ灰色を微かに帯び、小石や砂礫を圧して懐に抱き寡黙に流れる。  笹など樹木の緑や白い砂岩を水面に写し、表情は寡黙で寛大である。  その流れの膨大さ・速さに比してとても静謐である。  岩の上からじっと凝視していると、生き物ではあるまいか!?と思うことがある。  一本の流れは、呼吸しないなにも発表しない摂取しない、ダラ…*・ダラ…*、ズン!ズン!推進する抽象体のように錯覚することも。  弾丸のように素早く推進する水棲物、彼らにとって唯一の宇宙である。  しかし、囁いたり一途に恣意に耽ったり、『フーッ!』と溜息をついたり、だだをこねたり、むずかったりするのをよく目にする。  ドンっ!と大きな岩が、転がっているのを見る度に、可笑しくてほのぼのした気持ちにさせられる。  そんなとこで、なにしてるん!?、置いてきぼりくったん!?。  このしなやかに動くアクアマリン自身が拠れたり、射し込んだ光を弄んだり互いに格闘しながら、弛まず動いている。  それがあまりにも徹底して完璧であるためにその“力”が見えない。  全体が推進する力の袂に佇んだり、その中に立ち込み、一本の杭となり、広くて深い寡黙な優しさに覆われた、天晴れなお姿に心を預ける。  精神を澄明に発散させつつ気持ちを解放していると、きっとそれは訪れる。

少し 離れた処から見下ろすと、高い天空や岸辺の草木・を映して碧く不機嫌な押し黙った色。  一陣の風でさざ波が生まれ、キラ…*・キラ…*輝く水面、ゆっくりと滔々と流れて下る。   開けた広い瀬は次第に深くなり、瀬尻はひっきりなしに波音を起てる。  やや流れの緩やかな瀬に黒い影が幾つも並んで静止している、小さな潜水艦。  木陰の平らな岩を見つけてバッグを下ろす。  フライロッドにリールを付け、ラインを通しティペット(ハリス)の尖端に、フライを素早く選び結ぶ。  ウェストバッグの中身、フライボックスやハサミ、ハリス、リーダー、インジケーター(浮遊目印)、シンカー(ガン玉)などを確かめる。  動作は努めてゆっくりと準備は素早く抜かりなく。  表面は落ち着き払った表情、頭の中はたくさんの戦略が渦巻き、気持ちは逸り喉が渇いている。  きっと傍目には、特に釣りの心得のある人には、見られたくないような、可笑しい挙動に違いない。  あちこちに渦巻きのような捩りや、大きな沈み岩に乗り上げ盛り上がりを見せている。  深みのある幾筋かの強い勢いのある流れ、岸辺にぶつかり・掠めて抉り岩石が露わになったあたりは深くて底が見えない。  フォルストキャストでズン!ズン!繰り出し、スルスル伸ばし流れの中心・やや上流に落としたアイボリーのダブルテーパー・フローティングライン。  あっという間に流され弛む、ロッドを煽りループを繰り出し上流にターンさせる。  リズミカルにラインを手繰り、流れのまま流下するフライを引き寄せる。  眼をこらしてみると、興味を持ったのか!?、影のような黒いものが追いかけてくる。  プイッ!と愛想をつかして踵を返して戻っていく。  少し歩き、同じように誘ってみる。  これを半日繰りかえす、立ちっぱなし、気が付くと陽が傾き肌寒い。

“ドンッ!!”と虚を突かれ、からだが勝手にピクッ!と反射。  喉もとが締め付けられるけしからぬ挑戦があり、咄嗟に些か『ムッ!!』とする。  『"……ン!?"。』(ん、なんだぁ?)。  『このっ!』、コルクバットをぐっと握り締め、肘を鋭く小さく煽る。  遠くの水面が弾け炸裂し、ロッドの先が“グイ…*ッ!?”と、ただならぬ見えぬ力で向こうに引っ張られる。  ラインが飛沫を上げ空を切り立ち上がり、直線と化す。  水面を切り裂き静かに疾走し始める。  人物は悲痛に駆られる。  先ほどまでの頭にいっぱい詰まって、はち切れそうになっていた攻撃の気持ちが押しやられ、何時しか自己防衛の心が占めている。  約8.5フィートのロッドは満月となり、ブル!ブル!震え、悲鳴を上げるがその音は聞こえない。  左手でラインを手繰り右の掌で掴む、敵である力の主の横顔がやっと見える、そのとたんに"友人"となる。  "黒い弾丸"の怒りが水面を切り裂き、憤怒の叫びを放つライン、“ギィーン、♪……、♪……”。  アドレナリン(≠あなどれん)が瞬時に堰を切って熱くからだじゅうを奔流し沸騰する。  心臓がとびださぬように懸命になり、膝は“ガクガク”奮え腰砕けに襲われ後頭部が痺れる。  口の中は渇き舌は、貼り付く。  自分が思いのままにならない新しい時間の、"ジンジン"する経過を思い知る。  優しくこちらに呼び寄せる。  んが"友人"はけしからぬ不躾な恣意の"力"に、腹を立てて水中を疾走する。  流れの速い水底に頑として居座る、その潜水艦の寡黙な徹底に、ちょっと嬉しくなる。  もし愛が伝えられば、そこで会話ができれば、『…………来たな!』。  感じやすい初心者の人物は、撃鉄が叩かれて前が濡れたり(チビル……?!。)するな、きっと!。   砂利混じりの砂の上に横たわり、大きく眼を開き、無言である。  上唇に食い込んだフライを外し、そっと清流に。  目の前でキョトン!?としているが、真っ直ぐに還っていく。  恨みのそぶりを吐き捨てる様子は全くない、感じられぬ。  ゆっくりと、チョッピリ慙愧の念が襲う。

胸のポケットから取り出した既にその大役を努めた、“当たり屋”(≠種苗プロ)・“ラッキー・ストライク”を咥える。  腕と体が小刻みに奮え、火が何故かうまく着けられない、ますます混乱をする。  そんなどこかで見たシーンが頭を過ぎる。  例〔イエローウール+ホワイトラビット+がまかつ#12-F113F〕の新しいフライをひとつ選び出す。  このマテリアルは、”渋谷サンスイ”に足繁く通い、見つけ次第一掃し獲得した。  いわゆるファンシーフライ、どのニンフにも似ていない、架空の生き物を想定したもの。  仕上がりは、蜂の幼虫に色と形が似ている。  水棲の気持ちになりきり、捕獲意欲を掻き立てる姿・質感・色合い・動きを創出したもの。  自然界の生き物をけっして真似ない・ある意味超越したイマジネーションを具現化した物で、交流・勝負を挑む。  最も自然な生き物と対極、作為的なものの出逢いであるが、気持ち・情熱は最も生衝動・食餌の根源での対局のつもり。  アイにティペットを通す 、いつものようにすんなりと通せない、アドレナニンの奔流の余韻か!?。  ティペットとフライとの連結は、流れに沿って自在な動きをする”リング”が望ましい。  KMさんに貰った、残りは数個なので重宝!な”S字フック”は無上である。  ややアイボリーがかったニンフ(幼虫)の形、明るい薄黄緑(ホワイトウールのマテリアル)、白いヒゲ(ラビットのマテリアル)がいくつかピンッ!と飛び出している。  これが水中で蠢き水棲に爆発的にアピールする、細めのフック(針)に巻き付けて作る。  活性を高めアピールを高める場合は、フライをパリパリに乾いた熱いジーンズの腿に押しつけ水分を抜く。  ふっくらしたボディーと光沢を取り戻す、生き物のようにとは行かないにしても、それなりに生気を発揮しそう。   『フフッ!、(゜∇゜)』   フィルムのケースに入れ、これだけを持ち歩き一日を過ごすこともある。  飽きられたと感じた時は、金色に輝くφ1.0の◎・リングを眼の位置に付けたヤツを取り出す、目覚ましい卓効がある。  そして飽きられる速さもまた、他のものに引けを取らない、抜きんでている。  意気揚々と河縁、中州に立ちかぜに吹かれる。  口元がほころび目に輝きが射す、これはロッドを振りラインを繰り出している間だは続く、一日中続く。  何時しか陽射しがグーンと傾き、水面はもはや明るさを辛うじて反射、山の上あたりに色彩があるばかり。

陽が傾いた頃ロッドをバラしケースに収め、リールをバッグに。  そして改めて河を眺め天を仰ぎ、気持ちが曇り始める。  枯れ草の寝床で煩悶している姿、眼を背けたくなる。  大人になってもそれなりにしっかり曳きずる、少し滲んだ碧紫のパーマークに少し心が痛む。  見事なデザインは途端に素直さを失い、作り物のような錯覚を覚えてしまう。  海に帰れない恨みの、昇華した表出なのか、!?……+。  ヤマメは陸封魚であり、チャボのように幼年の姿のまま大人になる。  嫌な気分になり、大自然を汚してしまったような・いたたまれない後悔の想い。  我を忘れるような絶頂の遊びの時間、没頭してた至福の時間が過ぎ去った後の凹みはなかなか消えぬ。  たっぷり遊び獲得した成果・捕獲が多いほど、満足な大きさ・量であるほど大きく感じる。  食餌衝動の水棲を翻弄した、しかもありったけの創意工夫を注ぎ込んだのだ。  日頃はめったに発揮しない、集中力と持続力を注ぎ、攻撃しつつけたから、肩・脚・全身にドーンと感じる、心地良い疲労・充足を実感しホク〜*ホク〜*、噛みしめている。  そして、この高揚は、数時間で跡形もなく、あっさり払拭され消えてしまう。  水面から這い上がってくる、冷ややかな風の一陣で夢のように醒めてしまう。  入れ替えに、痛恨の想いがじわじわと沸き起こり・這い上がり、否定しがたい程に膨らみ、頭から降りてくるんだ。  

これを忘れさせ、真に癒やしてくれるものは、見あたらない。  きっと明日の釣行を決した夜、超越的意欲でパンパンになり弾けそうになる朝までは。  勝利の感慨などはもとより皆無、衝動・反射に突き動かされ、嘗ての甘美な記憶に唆された行いなんだ。  戯れなんだ・動機は単純なのだ!と、反省するばかり。  持って帰り、捌き美味しくいただけば、魂は救済される!?、そんな借り物の気持ちはとうてい起こらない。  周到な計画・準備にも、ワク!〜*、ワク!〜*したのだから・確信犯なのだからと。  水棲の王の怒りなのか、祟りなのか!?。  ちょっと“殺戮”の言葉が意識のずっと奥のほうで明滅する、一瞬、小さい畏怖が背筋に襲う。  罪人は決して救済されないことを知っており、夕陽を浴びた肩を落とし、項垂れトボトボと帰還する。  慙愧と高揚、2つの奔流が出現する絵巻、再びアドレナリンの奔流を伴わず、夢の中で繰りかえされるのサ。  黄泉の国を旅する冷やかな夜更け、白河夜船の船上で幾度となく繰り広げられる。  心の奥にどっかりと棲み付いた、何時だって真新しい・甘美な極彩色、静謐な絵巻の中での行いである。  不思議なことに新しいまま色褪せることなく、ふっと・何時しか出現しなくなる。  そして、ますます・きっと、甘美な岸辺に立ちたい、願望はいっそう募るばかり。 

さらに、天文学である。

冬の未だ速い午後、小さな駅に降り立つ。  眩しい冬の陽射しの歓迎を受ける、南の空を横に這い疲れを見せない。  シーンとした静謐に圧倒される、神は空にしろしめし、世はなべて事もなし。  遠慮のない・優しい・寛大な海風の匂い、たちまちザワザワと世界に息遣い。  生き物の気配が濃厚に息を潜め、地を這う静穏の新天地で、“くるっ…!”と目の前の世界が回る。  田圃がそのまま海にズズッ…*と入り込んでいる、なんとも嬉しい光景がある。  枯れ草の海の高台の真ん中で道に迷い、とぼとぼ歩き始める。  艶やかな南方の笹や、水平にゆったり張り出し、腕をたくさん持つ広葉樹の杜があたりに点在する。  曲がりくねった砂利道をずんずん進む。  草いきれの中に、危うい縞のように汗腺が放つ狂おしいものが鼻先をかすめ、脳髄を直撃する。  視界が開け、ずっと遠くのキャベツ畑から、打ち震える微かな虫の羽音が起こる。  静寂がたなびく、人影が全くない野道を彷徨う、どんどん進む。  あてはあるのだが、見たことのない目的地のため不安が過ぎる、いっそう想像が混乱する。  頬を撫でる風が鷹揚であり、時間が止まったようである。  牛がのんびり遊ぶ、がっしりした首を曲げ、潤んだ思慮深い大きな目で『ン……!』侵入者を凝視する。  一瞥でそっぽを向かれる・見捨てられる。  松林の上、トビが碧の天空を流れていく。  田圃の向こうの、生き物の喝采が湧きそうな気配。  傾いだ黒い幹が数え切れないほど屹立、連なる濃い緑の帯を見つける。  これをめざし、揚々と意欲を掻き立て、突き進む。  道から畑に入り、つま先上がりの 土の崖をよじ登り、突っきって真っ直ぐ体を運ぶ。  

心は先に全てが解け合う遙か彼方にある。  傾いだ黒い幹の向こうに、ちらちら・キラキラ光輝が漂う、眩しいたっぷりの水面が視界に飛び込んでくる。  斜上から差し込む光、冬陽が額に眩しい。  妙に明るい松林の中で迷子になり、くるりっ!と地球が一回転。  清冽・清浄なる松葉の匂いの中で、ずんずん遠い距離を歩く。  水際からやっと辿りついた風が群をなし、犇めきあって緑の針に挨拶を交わし。  ”擦り抜け"、山に向かおうと互いに号令を掛け合っている。  “ザザー……”、“シー……”。  鼻先をヒリヒリする潮風が擽る。  『海だぁ!……。』  二人の顔に、燦爛たる歓びと輝きが射す。  潮の香りに全身が包まれる。  沸き立ち、たゆたう銀界の一斉の発表が目に痛い。  ずっと向こうの山まで延びる白い砂原を、大きな手をいっぱいに広げ、『シュル、シュル、……』洗うとても大きな生き物が棲んでいた。  『あぁ……!』  ザクザクと踏みしめる砂は大粒であり、ひどく疲れた。  首筋を掠め、頬を擦る冬の風が南方の温厚、大度を絶えず還元させ倦むことがない。  都会の澱が融けだし、渺々と吹き飛ばされ、ちぎれて霧散する。  重くて塑性をひたすら発揮して、靴をしっかり捉え続けた。  小高い砂山の頂上で真っ赤な陽を浴びた。  優しい鷹揚な風は天上の静謐と、くるりと世界が一回転した茫洋があった。  黄昏に融け込んだ永遠に弧を認めた。  燦たる夕陽を浴びて、とぼとぼと松林を抜けて往くと、真っ暗な大海に棲む生き物の咆吼が追いかけてきた。  果てしない広がりと深淵、充実は圧倒的な寂寥で覆われていた。

星月夜は、何かに唆されいるような、どこかで誰かが待っているような、意味もなく期待が膨らみ落ちつかぬ。  ネコの来ない夜は、いっそう気もそぞろ、心乱れ何時も決まった光景が脳裏に巣くう。  狂おしいものに駆り立てられ、出掛けなければ。  焦燥の想いに焙り出され、憑かれたように立ち上がる。  拡げた本を閉じ、外套を纏い靴の紐をしっかり、帽子も深く。  箱からスルリと抜けだし、白熱光の部屋を後にする。  暗い道を急ぐ、北に向かって一車線のジャリ道を行く、ジャリすらない土が踏み固められた農道を走る。  盗人達も背を丸めて、すばしこく駆け回る時刻。  見上げると、黒い松の枝越し青い月が、雲を突っ切り付いて来ている。  月に照らされた砂利道、白く延び緩やかな湾曲が薄明かりに。  田んぼを突っ切り、広い砂利道を走り、国道を暫く走り左の干拓水田の農道を西へ。  微かに潮の匂い、細いい川からサラ…*サラ…*、チョロ!チョロ!流れの音、ジージーと虫の合奏。  月明かりに照らされた明るい木立・松林を抜け、高台に這い上がる、風が流れている。  風を吸いながら黒い海に続く白い道を進む。  くっきりした黒い影を踏み、明るい松林の中をどんどん行く。  黒い影が追いかけてくる、そんな観念を勝手に膨らます。  微かな潮の吐息を頼りに、月の驟雨を浴び、どんどん侵攻する。  静寂の深夜、とんでもない行いに身を捩って没頭する。  脇にそれるとたちまち 砂の海に車輪を取られる。  ん…*、ここばかりくそ力を込め逃れる。  曲がったのや傾いだのや俯いたのが、『ハッ…!』として顔を上げる。  長きにわたる雨風で根っこが露わになり、泣いている。  毎度この苦難の航路は新しい。  似たような灰褐色の隆起は、何時も新たな出逢い、探険のよろこびに浸る。  木漏れ月明かりがくっきりと模様を描く。  何かに似てるようでもあり、繰り返しのようでもあり、自然の創造力に感心する。  ライトの照らし出す狭く激しく左右に走るスポット、これを頼りに一端踏み込んだ地獄を、制覇せんと全力を吐き出す。

『ステーションで祢。……』。  きっと隔絶の刹那、緩やかな坂道の頂上で、ごく近い将来のことを話した。  知性や狂奔する理性に対しては、どんなささいな実験・駈けなどは、けっしてやってはいけないと知っていたはずなのだが。  一度ほんの気紛れに、『……さよなら。』、と気取って言葉を発してみた。  『………… …*』見えない遠くの方で、何かが凹む・慟哭音がしたのだと思う。  暗がりで一瞬顔が曇ったこと、その時の気持ちに気が付くのは、五月の晴れた日の午後であった。  超越的意欲に突き動かされ、バイシュクルで風を切り、坂道を衝かれたように滑空してた解放のひととき。  ハタ!と、我が浅はかさに虚を付かれて、想わず立ち止まったのは、何年も経ってからなのだから、どうしようもない、やはりエジソンはどうかしている……。   FUJIYA?!の2階できつめの コートを着込み、ガタガタ震えていた。  2日前から引きずっている風邪で熱があった。  『……、食べないの……』、『……、食べちゃうよ……』。  ズキズキする頭痛と戦っていた。  もう一つの優しいものが、ドクドクと蘇り重なりめまぐるしく奔走した、胸がいっぱいだった。  

エジソンは、荒野ではエンジンになる。  激しい往復運動が地面を蹴り、グングン推進させる。  楽しい戦闘は極めて平穏に平静に移行される。  平らな道、ごくまれに石ころ、一カ所だけど真ん中に、車止め風に松の木。  闇にほの白く長いものが浮かぶ、防波堤に長々と体を横たえ る、太陽熱の余韻が背中に心地よい。  深呼吸ちょっとネットリした海洋風を吸う、落ちてくる星を浴びる。  世界がくるりと回転する。  カンラン山の頂上で混沌の晦瞑を背に感じ、錘のようにゆっくり沈んでいく。  地底から這い上がってくる波の砕ける音が時を教えてくれる、『ザザーッ、……ッ』。  タプタプと入り江で遊んだ、暖かくて甘い汐が還っていく。  精緻に組まれた石積みを洗っていたものはもう無い、沖合に退いている。  黒い松林や仄かに白い波間に、夥しい粒子が降り注ぐ。  一切音がない、波動・ゆらぎの気配がない。  頭上に組んだ腕やだるい脚、指にも音もなく刺さる。  膨大な清浄に洗われ、四肢や腑、頭が素粒子で更新され生まれ変わる。  危険な蘇生・魂の入れ替え・符号の一斉並べ替え・系切り替えが進行する。  身じろぎせず成功を祈り目を閉じる。  振り返ると、月下に浮かび上がる宮殿、巨大な鐘の沈んだ深い淵、別世界が出現している。  蒼古に海から陸に這い上がった、薄い皮膜だけに覆われた生命体。  星降る干潟のとろとろの砂の海、彼らが交尾する頃、松林を駆け下りる。  椋鳥が休む杜に白い月がもたれかかる頃、安心してやっと目を閉じる。

見えないほどの星クズを散らかした宇宙の摂理で、地球を覆う海水を、きっと夥しいエネルギーを費やし、静謐な沈黙のなかで完璧な仕事を行なう。  足下に魚とともにひたひたと押し寄せる。   松林に沿って向こうの方までずっと続く葦がびっしり生える塩害回避の川に架かるアーチのコンクリートの橋を渡る。  瓦屋根の何が入っているのか気になる小さな小屋の横を通る、いつも戸が閉ざされている。  松の根っ子がごつごつ背を見せたり、飛び出して暴れたりしている。  鼻先を擽る押しつけがましい、潔い嬉しい爽快のエーテルが浮遊する松葉を踏み締める。  いつもの松の幹に“バイシュクル”を押しつけ、崩れそうな小石混じりの斜面を駆け上がる。  白いコンクリートの向こうをドキドキしながら覗き込む。  『ふ……っ!』アーチ状の波返し防潮堤の上に立ち、遙か下の方から優しく吹き上げる、僅かにねっとりヒリヒリした手荒い抱擁・歓迎を顔と頬で受け止め、口と鼻でお腹いっぱいに貪る。  『フ……ッ!』

トロリ〜とした、甘い・清潔なしなやかに膨らみ、滑り、生き生きと活動する潮の下。  ゆらゆら揺れながら生まれ、白い砂地を這い周り・消えて行く、光の紋を眺め魅入ってしまう。  茶や薄い緑の海藻がひらひら、流されないように黒い足で岩にしがみ付いている。  心と気持ちをゆるゆると解き解し、そっと解放してくれる想い。  防潮堤の基礎を固めるための亀の甲良、天面を見事に面で揃え、夥しい数と徹底した精緻、海岸線に沿ってゆっくり湾曲している。  寸分の狂いのない、狂信的な長い直線の造られた海岸線をしっかり守る、幾何学的な揺るぎない、かっちりした力が漲る土木工事を想い感心する。  この彫ったばかりのやや青味がかった、明るい黄土色のざらざらした肌は、ぼくらに根元的な爽快を与える。  夥しい数の五角や四角などの敷石の上に、たっぷりのアクアマリンが“たぷたぷ”、“滔々”、“ひたひた”と訪れる。  いそいそと押し寄せてくる潮に乗ってやってくる、黒い魚影が岸に沿って群れで遊泳する。  大きいのや小さくて無数の固まり、ゆっくりしたの・無駄に速く目の前を過ぎるもの。  体の透けた妙に長いもの、きっと別世界からの査察。  のびのび寛いでいるのを眺め、気持ちが吸い寄せられ、我を忘れる。  こころが奪われ新しい自分が出現するようだ、清々した爽快が“そよぐ”。

しっかりした程良く撓む松の枝が、海に向かって水平に張り出しており、漁網のロープが垂れていてそれに捕まって、上手い具合に、"亀の甲良"へは降りることが出来る。  夏、バイシュクルで乗り付け、満ち潮時であると居ても立ってもいられず、パンツひとつになり、甘く暖かい満ち潮にザンブ!!と身を投げ出す。  揺らめく波紋が白い砂底にアラベスク模様となって映し出される、無限にたゆたう水中の光景は別世界。  夏の終わり友人と出かけ、秋風の吹き始めた頃、誰もいな居なくなったない大海原を眺め、潮風に吹かれ長いこと話をした。  人生の行方、不安や希望・刹那が交錯した口調で、半日も続けて飽きなかったことがある。  遙か向こう、蒼い山が海に潜り込んでいる辺りに、ちょっと灰青がかった、すらりとした身のこなしの巡視船が見える。  周りの船と比べるとやはり大きいので、きっと10,000トン?は、あるだろうと昨日見た新聞で知ったことを話す。  “今日のことは覚えていて、 将来たぶん思い出し振り返る事が出来るだろう”という尾ひれ付きの大人びた!?話だった。  自分の意識上の存在が大きいのか、小さいのか、このままの意識で良いのか、どう変わればいいのか。  漠とした不安と希望にさまざまな妄想が絡みつき、際限ない時間がどんどん後退するのに焦燥を覚えていた。  やりたいことが山ほどあり、やってるつもりなのに、いっこうに満たされる事がなかった。

白い堤防の上に腰を下ろし、倦まず潮風に吹かれて話したことは、学校のことや世間話、個人的な自慢、誰かの噂やその妄想などではなかった。  今世界で渦巻き・起こっている数々の 覇権争いや憂い、そこから生まれる心配、東西陣営の緊張・戦略の分析予想、宇宙戦争の可能性に関してなど。  半分は映画のような空想・海の向こうの出来事、残りは自分に降りかかる現実への漠然としたものの混沌。  いつものようにごく自然に真摯に、自分の身に降りかかることとして真剣に愉しく述べられ、頷きながら吟味し頷いたりした。  いわゆるイデオロギーの研究!?に、相当の時間を費やしていたのだが。  真摯に手抜きせずに考察に大切な充分な時間と、精神エネルギーを消費したはずである。  例によって、あれほど本質を掴かもうと挑みかかり、真剣にその探求に耽ったはずの動機、経緯、結論、結果、影響などは、ことごとく全て腐食・酸化霧散してしまいその形も痕跡もない。  なにもその本質やその話題が思い出せない、片鱗が何処を探しても出てこない。  人生の短い一端で世界歴史が教えることを、あっけなく知ることとなった。  何かを動議づけたり、変えたりすることなく“そよぐ”ことのない、いわゆるイデオロギーとその派生するものは、風化などせず惜しまれずに腐食する、土に還ることもない。  まして世界を動かすことはなく、すべて熱を放ちながら還元する。  見せかけの平安を貪る混迷と萌芽の時代は、イデオロギーを過信し寄りかかろうとした、悲痛であったのかもしれぬ。

何も変わらない全世界と自分に対し、腹を立て些細な焦燥の火を燃やしていた。  一人で疲れた微熱の風に吹かれて、清潔なざらざらした白い石と砂の固まった堤防の上に長々と寝そべりながら眼を閉じる。  『ザ…、…!』、『ピチャ、ピチャ、……!』鋭い緑の針の壁を一斉に弛まず襲う大気の上陸の挨拶と、上陸出来ず足踏みを余儀なくされた潮の嘆きが大きく聞こえる。  快いノイズのまっただ中に体と気持ちを置き、意識はとろりと優しい大海原をたゆたい推進する小舟である。  断崖の上であることを忘れそうな危険に居たたまれなくなり、起きあがりロープに捕まって嘆き者を訪ねる。  ずるずる降りる途中で足の突っ張りをもがいて焦らしたあげく、外そうとした意欲のまっただ中で、つま先と背筋、後頭部に一斉に電気が走る。   両腕の力が“ガクッ”と抜けちょっと虚脱感を伴い“ピクッ”と痙攣する。  “グーン”と全身を透過する重力波、末端細胞が認める“そよぎ”ともに、何か新しいものが勝手に波状攻撃で押し出される。  前が濡れ少し暖かい。  鼻の粘膜が緩くなり少しちょっと寒気が襲う。  軽い疲労が肩に襲い微かに額の辺りに頭痛を覚え、世界が黄色を帯びて小さく見えるので驚いた自分を発見した。  青匂い獣の新しい匂いが沁み出し潮風で流れた。  新しい喪失感でゆっくりと暖かい潮に浸り、手を下に差し込み押し開き…を下ろした、まだ生暖かいヌルヌルした漂いつつ拡散する透明なものを哀しく見届けた。  きっと眠気が襲うものであることは、実感の後で概念として認識した。  そのロープと松の枝は季節が巡ってもそのままであり、ずいぶん長い間気になることとなった。

いつもは歩いているところであるが、満ち潮がたっぷり敷石を洗っている。  メジナやタカベ!?だろうか?。  濃い碧の“黒い弾丸”が群の形を、ひとつの生き物のように自在に変容させながら、次から次へと力漲って現れ、左あるいは右に遠ざかる。  チューブから絞り出したばかりの、どぎつい緑や黄、赤を散らしたキョロキョロ出目の小魚、彫刻の隙間を尾を盛んにヒラヒラさせ出たり入ったり。  雌雄だらうか、追っかけっこをしたりかくれんぼをしている、一時も静止せず夢中で遊んでいる、何とも忙しい痛快なやつだ。  食べ物やその敵を追ってあるいは追いかけられ、満ち潮に乗り陸に異常接近しているはずなのに、動きに余裕と風格があり(なぜ解る?)、悠々としている。  澄み切った宙は宇宙の重力感に通じているからだらうか、全体が透明な妙に長くて動きも調子はずれにおっとりした、どう見ても"地球"で見たことがない異星生物が出現。  じっくりと静謐にしっかりとした動きであり、中には見得を切って通り過ぎたりする輩も登場してくれる。  ずっと眺めて飽きることがない。  そのあとを追いかけて水中の歩道を進むと、幾つもの黒い精鋭の中距離ランナー群団の自主トレをやっている光景に次々に出会う。

時として強靱な城壁を想わせるコンクリートの陸側、程よい間隔で松が植わっている。  ヒョロヒョロした頼りないのや、斜にドンドン構わず真っ直ぐ幹を延ばすもの、地面に寝そべって思考するもの。  いずれも、天晴れな風体である、なりふり構わない破天荒振りに一遍に魅了される。 妥協をしない我が儘な自意識 過剰の権化である。  真っ直ぐ天に伸びた幹、きれいに整った枝を延ばし、たっぷり陽を浴びているものは見あたらず。  ゴツゴツの灰褐色の樹皮はとても厚く、よじ登るとポロ…*ポロ…*と剥がれる。  深い緑の針状の葉はとても艶やか、気持ち良さそうに潮風を倦まず吸っている。  そして、“吟遊詩人の歌”を歌う、しなやかに・たおやかに、そして悪びれず、叙情たっぷりに、とても清々しい。  “くの字”に曲がった灰褐色の枝が、サラ…*・サラ…*砂の地面に転がっている。  深く旺盛な緑は既に、はっとする鮮やかな茶に変容に地上に。  鮮やかな化学反応を想わせる眼前のありさま、穏やかな自然の生育からほど遠く感じさせる。  己の転生を羨み全身で恨みを表している。  ギラ!ギラ!、ネットリの樹液・脂を弛まず辺りにも分泌、強靱な生きる力の吐息。  そして長い針状の葉をびっしり、なんと個性的な生き様であるだろう。  希な姿に感心するが、とくと感じ入り想いを巡らせたのは、ずっと後になってから。  板にきれいに並んだボタンを、あちこち抑えて回っているとき、ふと思惟が跳躍したとき。  ”記憶の海”をタプ〜*・タプ〜*漂い、言語をまさぐっていた途轍もない・我を忘れた時空の旅の中。  人生の根本原理を探り、表出させる活字を手繰り、更に跳躍・飛翔・変遷・イメージを膨らませ、“ブン…*・ブン…*”頭上を飛翔させていたとき。

遠浅の海を干拓時に、護岸を目的に植林されたと、“社会”の時間に教えられたことをすっかり忘れており、甚だ・皆目・とうてい思い起こすことはなかった。  びっしり覆っていたであろう芝生は、辛うじて片鱗を見せる。  あちこち土を露呈しつつ、所々しぶとく蔓延っておる。  堤防は長い間、風雨に曝され路肩が崩れており、僕らがバイシュクルのタイヤを砂にめり込ませ、ここぞとばかり渾身の力を発揮!。  何かに挑むような超越的意欲・よろこびで這い上がるルートは凹み、土砂や砂礫が露わになっている。  房州の海岸、外房の磯は小高い山が背後に迫り、棚状の浅瀬・岩礁が拡がっていて、沖に向かって幾筋か溝が走っている。  この溝は釣り人にとってエキサイティングなのだ、満ち潮に乗って臆病で好奇心ではち切れる、黒鯛がグッと接近するから。  ちょっと脇に踏み込むと、靴のめり込む真っ新の砂浜。  地面を這う丸い葉の蔓草が蔓延り、実に活き活きしたいい感じ。  荒涼感、爽快感そして侘びしさの吹き抜ける荒野で見つける生命の息遣い。  丸っこい房州竹の群生を見ると沖合を流れる黒潮を連想させる。  海に迫る小高い山には、濃い緑・艶やかな光沢・丸っこく分厚い葉。  水平に・力強く強く・クネクネ・ズンズン枝を延ばす照葉樹、絶えず暖かい海風をたっぷり浴びとても満足そうなのさ。  窓から灰色の空、そして橙の差し始めた水平線の上を眺め、『……!。』  帽子しっかり、靴もしっかり、太い ・バッグを担ぎ外へ。  風のない静謐の覆う早朝、車道を横切り砂浜へ、緩やかな砂山を歩む。  植林されて程ない松の苗木、伸びやかに四方に枝をズンズン延ばし、グイッとばかり上向きに、ズイ・ズイ真っ直ぐに天を突く。  びっしり植わった針の葉、本の中で見たのとそっくり、シンメトリーで素直なのびのびした枝の配置に感心する。  老木は破天荒とも言える、荒涼たる枝振りへの変容を遂げる。  

幾重にも歳月意重ね、ひび割れで覆われガサガサの分厚い皮に苔も。  いずれも目の辺りにすると、乾燥しきって仮死にも似た外皮。  灰茶褐色、荒涼とした感じは、むしろホク〜*ホク〜*した気分が興る。  倦まず潮風に煽られ、サワ…*・サワ、ヒュー…*・ヒュー…*、風切り音を放つ。  総体は優しい・抑揚のない・控えめなユニゾン。  砂を洗う潮の声と混ざり融けあい響き合い、むしろ競っているように聞こえる。  異質の物が海洋と陸で出逢い、驚愕・呆れている。  異形の様相を眺めに、互いに不敵な笑みを浮かべている。  押し殺している感じは皆無、晴々と言い放ち、灰茶褐色の胴を波打たせ仰け反っている。  遠くから眺める者には儘ならぬ黒い帯、夥しい林立・旺盛な枝がたくさん寄り集まった”造形物”、そしてやはりひとつの新生物。  緩やかに湾曲する海岸線を縁取る、ごく自然な振る舞いで執拗に海岸線を辿る。  深い緑の寡黙で思慮深い一本の“黒い帯”の姿を曝す。  天と地のけじめであり、陸と海洋が接するドキ!〜*、ドキ!〜*するところ。  俄雨が上がった午後、大急ぎでミミズを堀り空き缶に入れ、竿を担ぎ黒い帯を目指して出撃する。  この衝動は何ものも止められない 。  俄に雲が晴れ、明るさを取り戻した西の空が笑っている。  タプ!タプ!打ち寄せる潮はとても透明で、海底の海藻の揺らめきが見える、呼んでいる。  堪えられない楽しみである以上に、憬れ・尊敬するもの・憬れ・かけがえのない友人に、逢いに行く約束実行に近い。  

水田を貫く道をまっしぐら、脇の灌漑クリークの底・石は流れを伝って赤錆び色、田螺も赤い。  葦の茎から放つ潮の匂いに、ねっとりした風に鼻をヒクヒクさせる。  満ち潮と一体となり、英気満々・超越的よろこびを全身に通わせ、ワク!〜*、ワク!〜*、押し寄せる夥しい遊泳者達。  きっとメジナやボラ、タカベ、イワシだったのだろう。  這い蹲り半身乗り出した高い堤防の下、次々に眼下に現れ、左右に遠ざかっていった。  今まであれ程の鮮明な、いつまでも色褪せることのない感動・驚きはない!。  何かによく似ていると思ったものさ、そのときは解らなかった。  夕暮れの灯りが点り始めた神社の境内、晴れやかな・満ち足りた顔での、お祭りのそぞろ歩き。  ザワザワとして密かな期待を臭わせておる。  生命の衝動に突き動かされ・超越的意欲を漲らせ、宇宙の力・潮の干満を正確に捉え、結果として異常に陸に近づいた黒い群れ。  壁にぶつかり飛沫をあげる透明なアクアマリン、ゆっくりと揺れる。  曳いてはきっと返す、倦まず果てしなく繰りかえす運動。呼吸に近いのだ。  いそいそと悠然と・抜かりなく眼下を過ぎる水棲、黒い飛翔体。  何かを感じたつもりだが、我を忘れて自然に埋没・融けかかっていたのさ。  天と地のみからなる中央アジアの草原に棲む、額の広い牧童は皆天才であり、友達である幾数千頭の羊などの顔が皆“解る”と聞いた。  頑固な・あれほど頑なに妥協を 退けた、哲学者である松の枝が、けじめがなく皆同じに見える。  海中のしなやかで静謐な自主トレ軍団は、やはり黒い弾丸である。  個として認識捉えられない、異端者であると想ってしまう。

自然の“理解”は容易いが、“認識”は難い。

気持ちだけは充分、今日こそはと侵攻を果たす。  腹這いになり小さな身を乗り出し、黒い弾丸に挑む。  延べ竿を真下に伸ばし、やっと満ち潮に届くぐらいである。  懸命に待ち続け腕と肩が痛くなる頃、やっと針に衝突するチャンスが来る。  しかし一瞥もくれず・さり気なく・ちょっと離れ、慇懃にかすめ過ぎる。  とっくの前から邪魔な進入者の鈎がそこにあったかの如く、“自然”な動きであり悔しい。  障害物・ちん入者の出現にとんと無頓着、煙たがっているようにさえ見えてくる。  挨拶、一瞥まるでなし。  自然界に投入した疚しい行いに、寛大な仕打ちがあった。創意工夫をした試みに対する、本能に赴くままのさり気ない回避行動・条件反射はごく自然で無駄がなく、混乱がない、美しい。  自分が試されている状況に、ちょっと恥ずかしくなる。  ますますこころを捉えて離さない。  失望・絶望の中で気持ちは微熱を帯び始める。  釣り針を降ろしてみたが、“見える魚は釣れない”のである。  懲りずに先回りして口先に針を降ろし、待っていても全く無駄である。  先回りしたつもりがただ後を追っているのではと、意欲がとっくに消沈した、気持ちは途方にくれる。  次第に失意がいっぱいになる、黒い弾丸を微かに尊敬し同時に“ある決心”を、頼りない自分に宣言する。

静謐で慇懃、寛大なる友人達と、さばさばした・はればれした、ちょっと大人になったような思いで訣別する。  松林をすり抜け、駆け下り走り抜ける。  ぎらぎら増殖するなま暖かい水に脚を浸した稲原、南風で大きくうねっている。  格子状に縫っている灌川、底は気になる赤みを帯びた小石混じり。  不思議と水は透き通ってキラキラ輝いて、“シャラ♪”、“シャラ♪”囁いている。  カラス貝が白い吸管を伸ばし、田螺は藻を背負っている。  護岸・暴風林の背後を伝うように川が流れている。  これは水門とポンプ小屋に繋がっていて、引き潮時に解放される水門から海に流れ出る。  時折、強力なポンプで海に吐き出される。  直接見ることはできない、濃い海色がのたうち、憤怒のありさまで押し出される。  一筋のさざ波を起て、いそいそと元気に海洋に還っていく。  水田に格子状に張られた用水から流れ出た水を集め、小さな滝のように落下している。  透明に輝く帯が、グッと張り出し撓み音なく刺さっている。  淵に似た深みは青味を帯び底が定かでない、無数の小さな点が群れている。  そっと覗きこみ影を投げると、“サッ!”と一斉に向きを変えたり、群の形や密度を変える。  不用意な些細な物音・足音で、一瞬にして規律は弾け、散り散りに飛び散る。  やがて、覗き込んでいる神妙な人の顔を映した中に、訝しそうに三々五々集まってくる。  全ての植物・生物、構造物に影がない。  脳天に光線が振り注ぐ。  遠慮なく太陽風が射す、ジリジリと灼かれ喉はカラカラ。  満ち潮に乗って意気揚々と岸に近づき、いくつもの群れとなって回遊するメジナやボラ、タカベなど。  下ろした針をするりと避けていく。  この黒い弾丸を引っかけ鈎で、しゃくる人物を見たことがある。時々歓声をあげる方を見ると、白い腹の魚が宙を跳んでいた。  不意打ち・電光石火に脇腹を引っ掻くような、とても卑怯なその道具と考えが、そのときは羨ましかった。  いつか試そうと思いながら、そのまま果たせないでいる。  カッ!!…*とする光景を今でも想い出す、とてもいやな気分になる。

陽が傾き涼しい風が吹き始める頃、竿を担いで出撃する。  誰かと出合うことがない、虫の鳴き声があちこちで出現する。  だんだん大きくなり、やがて遠ざかるにつれて没する。  人家の無い辺り、薄明かりの闇、こんもりした木立の墓の脇をすり抜ける。  闇が漠然とした無形の想像、不明な物の存在を膨らませ、恐怖・些細な畏怖を滲出させる。  暗闇から覆い被さり押さえつけられるような、根拠の見つからない圧を感じる。  形のない物は払い退けることが叶わぬ。  非科学的なものを排除する気持ちと、無神論者の危うさめいたものを、きっと自問自答する。   見えない・知覚できない・無い・存在しないものを、過大評価すべきでない、神や宗教の類も同じ。  宗教や”神を信じる”ことの意味・価値は、心のありようを素直な・穏やかな状態で、目的に達する・人生を送る手段としては認めたい。  はっきり言ってしまえば、”必要悪”。  これらは目的にあらず手段であり属性であると想う、あるいは科学的に知覚できないものを哲学する行い。  直接認識・知覚できないものや非科学的なものは、すべて苛立ちの対象である、そして憬れる危険を孕んでおる。  既存の無形のものを一方的に・無条件に信じる信仰とは、なんとあやふやで・危険なことだろう。  何事も・すべては、動機の中に既に答え・価値があるという鉄則、これは宇宙・哲学的であり、人間の行いの限界をも、思い起こさせる実に明快な考えだ。

人生の送り方・処世術を学べる確立した系統だったカリキュラムを渇望する。  禁止事項やルールについては、いつでも近くにあり・ずっと囲まれていた、そして人生の手本めいた物も積極的に向こうからやって来た。  ちょっとした偶然で巡り会って読んだ本や、憬れの人物の人生を参考にすることが多い。  学校や職業の選択などがとても大きくし影響してしまう。  振り返ってみると、誰かの敷いた・強いた人生を図らずも、己が選び切り開いたと勘違いしていたような気がする。  人生の切り拓き方・手法・技など、系統だったものを目にすることがなかった。  幼少の頃から全て己の頭で創出・実験をやって来たように想う。  子供の頃は皆、一瞬〃・刹那を全身で受け止め、その都度考え悩み、そして弾けさせる、行動する哲学者であった。  漠然として洋として捉えがたい小さな運命との衝突の連続の日々であり、一日がとても長く、時間が止まっているのではないか!?、と訝しがった。  寒い冬、陽射しが長く辺りがあっという間に日陰に変わる時でさえ、世界はゆっくり動いていた。  サイコロを振った運命のような、手垢で汚れた・ありふれた本に書かれているような人生は、実に寂しい。  細い道を辿り、広い砂利道にでると疎外感と解放感に同時に包まれながら、きっとそんなことを考えた。  

果てしない時空は弛まず倦まず・正確に、時を費やす。  そのことに先ず圧倒され、黙ってしまう。 啓示を受けるべき絶対的対象であろうと、密かに確実に天空を見上げ項垂れる。  天体とはなんと厖大な清浄に洗われた即物であり、気の遠くなるような浪漫であるだろう。  不用意にこの認識を、”絶対矛盾的自己同一”などと、ひとことで片付け終わらせてはならない。  事象の一切は天体にある、相対的危うい存在、生かされていると申す方々もいる。  きっと天体の片隅にひっそり棲んでおるという認識が、違っているように想えてくる。  他力であろうが自力であろうが、相対的存在であるの に変わりはない。  それは、凝視するとこっそり遠ざかって行き、無視すると足音を忍ばせて近寄って来る。  最も”生かされている”とことあるごとに申す御方は、その認識に想いを巡らし自問し、日頃あまり考えないことを”哲学”しなさいと説いておる。  ”哲学”とは大勢がよってたかって論争し・静謐に瞑想し・頭を働かせ研究に勤し み、”宇宙の根本原理を考え解明すること”である。  めいめいが人生を考えることにこそ、動機があり命題がある。  夥しい・数え切れない埃っぽい観念、言葉やたいした意味のない概念を巡らせ、世界・人・物を眺め日々を送る。  哲学は事実・現実から発し、素早くあるいは果てしなき時間を費やし、きっとそこに戻ってくるもの。  ましてや、宗教や芸術、”イデオロギー”に融け込み同化・一体化するはずもない。  独立排他的不変であり、宇宙的広がりの普遍的なもの。  ”すべての芸術に先立って、手仕事がなければならない。- J・W・Goethe”この言葉(箴言)を、どう受け取るか?。  もちろん機械や偶然・自然自体が芸術を作らないし、作れるものではない。  よく見事な自然の造形・奇観を指し、”おぉ〜*、………… 芸術的!”だと形容することが(己を含め)ある。  これはきっと、”芸術的!・芸術風な感銘を受けた。”と理解すべきだろう。  また卓抜な技量を発揮!、見事な作品をたまたま・偶然に作成・披露したとしよう。  これも、偶然などが創造したわけでなく、思惟(≠恣意)・情熱・情念・哲学がそうさせたと感じ取れれば、その人物にとっては芸術であることは間違いないこと。  宇宙は偶然の悪戯の産物といった超宇宙論の指す、”偶然”とはまた別もの。

仕事・生業は生きるため身体(頭も)を動かすこと、その最中あるいは暫く経ってあれこれ考える。  スピノザは研究(非生業)しながら、レンズを磨き哲学書を著した。  箴言の申すのは、現実に立って考え作品を制作しなさいと、いきなり空想・浪漫の世界に入って芸術に向かってはいけないよと。  スタンス(嫌いな言葉)は、身体から放射・分泌する情念・覇気・気概・信念こそが、芸術で不可欠と説いているのだろう。  最も、誰かを崇拝したり箴言をそのまま信奉・受け入れる資質は持っていない。  認識することことでしか、己の実体を感じられぬ存在、蠢き排気する物体、生き物、大勢、人。  土竜は、身体の回りが何かに触れていないと、不安な焦燥で居たたまれず”生きられぬ”、平地に放たれるやいなや、いきなり地面を掘り始めるらしい。  透明のパイプを天井まで縦横に張り巡らせた、生体観察?大道具(システム)を、TVで観たことがある。  手放しで楽しめぬ、雑巾で首筋を撫でられたような想いが過ぎる。  めいめいの形と質、殻のなかで仮死・息を潜めている。  ”人が旅をするのは到着するためでなく、旅行するためである。- J・W・Goethe”  我々の住む・生かされている宇宙・存在を、なんだか理解できそうなお言葉。  時間を無視すると遅かれ早かれ、時間に復仇されるものです。  さらに、”誠実に君の時間を利用せよ!、何かを理解しようと思ったら、遠くを探すな。- J・W・Goethe”、これは今この刹那に地に足をしっかり付け、懸命に生息・人生を愉しめということだろか!?。  

殺生・野生の本能の弄びの限りを尽くし、項垂れながら燦たる落日の中、長い影を曳いて後ろ姿を見せて歩む。  ”思い煩うことはない。人生に意味なぞ、ありはしないのだから。- S・モーム”、パカーン!と突き抜け大気圧から解き放たれような解放の心地、なんと嬉しい・楽しい励ましだろう。  正直な偏屈、毒舌おじさんの人生の要約・要諦・真骨頂を見る爽快〜*。  我々モンスーン地域の人物は、気温の変化にとても影響されるようだ。  挨拶の言葉に形跡が顕著、『お寒うございます』など。  季節が巡り天球が大きく回転、風の向きが変わり日差しが、脳天から地平に移る。  朝夕の冷気にひしひしと畏れを懐く。  灰色の空が低くたれ込めとても寒い、湿度が高いので地を這って浸透してくるようだ。  木々が天空に向かっている時は、さらなり。  ”ああ、…*、復活の前に死があるね。- ロマン・ロラン”  ビッグバンを咄嗟に想起させてくれる好きな極短い文、感嘆詞が多くをかたる、海洋風がやって来そうでさえある。  天体との相対的関わり、あれこれ賢人・文学者の言葉のそれぞれに啓示を見つけたい。  報道は文学でない、なぜなら哲学が欠如している、まさに無用の場所。  紋切り語句愛好・手抜き報道者がよく言う”大気が不安定”というやつ。  NHKがよく使う”いわゆる……”という常套文句ははなはだもって、腹立たしいかぎりだ。  自らを第三者の立場に置いた発言に見せかけつつ、独善的、圧倒的寡占メディアの力を漂わせ、”言葉”を弄ろうとしている背景が見え、ふつふつと不機嫌が頭をもたげてくるから。  未だに、NHKFM番組表を自ら?!の頭、資金でWebに提供していない、もしかしたら全番組を聞いて欲しいのだろうか?!。  湿った風に吹かれ、西方に侵攻、ビルの地底に入る。

泥鰌の入った空き缶を取り出す、昼間捕まえた“キュウ・キュウ”鳴く、できだけだけ小ぶりのヤツを掴む。  カッターで切ったエッジが鋭く、手の甲に浅い切り傷をたくさん作る。  ヌルヌル・クネクネ必死にもがくヤツを掴み、手探りで針を貫き、亀の甲良の向こうへ投げる。  ちょっと間があり“ポッ!”と音がして、下の方に小さい青白い波紋が広がり消える、夜光虫が驚いて波紋を生む。  真夏の夜の潮風は、ねっとりした粘りがあり、ちょっとした風向きの変化などが嬉しい。 陸風が吹くと少しヒンヤリして気持ちがいい。  ここは紀伊水道の西岸、那賀川が排した土砂を海流が倦まず押し流し、北に向かって延びた大きな砂州の西岸の堤防。  砂州の西寄り、場違いとも思えるな堅牢な国道が南北に走り、堅牢な建造物が聳える海軍基地跡の正門で終わる。  遠くから、砂煙を蹴立てて砂利道を走るトラックなどが見えた。  バスの終点でありUターンして暫く停車、時間調整を行って発車する。  よく手入れされた松や芝生があちこちに残っており、当時のありさまを想像させた。  砂州の中央は小高い丘陵、畑が広がり、あちこちに砂を採った凹地があり、最高の遊び場になっていた。  丘陵にはいたるところに、こんもりした”小さな島”があり、松の大木が点在。  碧い山の麓、バケツと網を持って、どこまでも続くと想われる川縁を歩き続ける。  碧い山が無彩色に世界が暗くなりかけた頃、お腹が空いたことに気づく。  疲れが脚に来て帰るとき、振り返えると小高い丘陵に立つ松の巨木、見覚えのある絵のような形が突き抜け真っ先に見えた。  周りに田園が広がり、南西方向に青い山々、砂州の三方は黒い暴風林と強固な堤防、白い”】”が連なる。  

夜明け東の方から海鳴りや漁船の機関音がやって来た。  遙か対岸は赤と青の灯台に守られた港があり、いつもの時刻に貨客船が出現し明るくなる。  尻の下は昼間暖められた余熱で、少しなま暖かいコンクリートである。  脚をぶらぶらさせ、ほんのりと薄明かりの暗闇、だんだん少なくなっていく向こう岸の港の灯りを倦まず眺める。  真っ暗な優しそうな向こう側へ、ふっと身を乗り出す気持ちを考えが静止する。 “グッ!?、ゴン!、ゴン!”手元が、不意に向こうに引っ張られる。  遙か下のほうで微かに白いものが見える。  右太股で抑えていた竿を持ちリールを巻く、上手く事を運ぼうとするが悪い事をやっている最中なので、いつしか鼓動が速くなっている。  真っ暗闇の高い堤防、期待いっぱい・自信とよろこびに満たされ、急いで巻き上げ長い地面に放り投げる。  竿の先の重くくねくね身悶えする・ドキドキさせるものが、空を切ってドサリと落ちる。  掴むと最強の筋力で腕に巻き付き逃れようとする。  枯れ草のくっついたべっとりしたものが、腕にもシャツにもベットリ付く。  これの生命力はしぶとく簡単には落とせない、洗わないで放置すると跡になった。  針は喉の奥にあるので、こいつと格闘しながらナイフで糸を切る。  軍手があれば格闘も愉しかったかな!?、と想う。

遠くの人家の明かりに透かして針を結ぶ。  遙か向こうの港などの明りの数が少なくなっている、少し不安になるが、なにも考えずに何かを感じようと言い聞かせる。  下の方で“……ンザ♪、……ンザ♪”音がするので不思議と安堵する。  月明かりに目を凝らす、すっかり潮は退いてしまって敷石を白い波で洗っている。  上弦の月が松林に銀の驟雨を注ぎ、ハッとするような絵を地面に描く。 風が吐息を休めた夜、薄明かりの白い道を彷徨う。  水門で海と通じた丸い広場のような遊水池?の釣り座に収まる。  切り立った石積の上、日当たりがよく草が生えている。  右前方の向こう側、松の木の下の水門の端、黒い影が突っ伏し、微かに動いているようだ。  目を凝らすと、目が慣れてきて次第に事態が分かってきた。  一カ所だけ引き上げられた水門の流れに、棒のような物を差し込み、息を潜めて一心に何かを待ってるようである。  “サッ!”素速く気迫に充ちて?、音を立てずにその棒を素速く引き上げた……!。  バタバタ”と生き物に違いない弾む苦悩の音がする。  その男は、用意してあった大きな麻袋を“バタン”と翻した。  手慣れた澱みのない・容赦ない・手際の鮮やかな、憎い仕事である。  何だろう!?。  見てはいけない物を見てるのだろうか!?。  ドキ!ドキ!しながら、暫くじっと待ってると、先ほどと全く同じように棒を“すっ”と素早く引き上げ、バサッ!と地面に伏せた。  ほの暗い中に30cm程の銀色の魚が、手網でバタバタ煩悶、踊ってるのがチラッと目に入った。  なんと貪欲な好奇心と探求心の旺盛なひどく臆病な、しばしば『おやっ!』と驚くような、意外な発想を発揮するあの黒鯛様である。

なんだか夢を見てるような、モノクロ映画のシーンとでも言える光景。  幾度もを想い出したから、少しずつ変わっていると想われる。  聞こえるものは、先ほどの“バタ!バタ!”。  想い出したように発する異形の音、生き物特有の鈍い・程よい重さ・柔らかさ・撓みを感じ、ギョッとさせられる。  麻袋越しに地面を叩きもがく音、それも消え波の音も、虫の合奏も失せている。  きっとそうだったと思われる、想い出せない。  月がゆっくりと天空を進み、影絵のような梢の辺りに、凭れ掛かるのを想い出す。  端っこだけ引き上がられた水門、いそいそと潜り好奇心いっぱいで侵攻してきた。  満潮の上げ潮に乗って食べ物を追って甘い淡水の匂いに誘われ、危険な人間の領域まで深く侵攻。  夜更けのこととて、心を緩めてうっかり気づかずに、透明のナイロン製の深い手網に。  その奥にぶつかり動転、急いで帰還しようとしたが、男の機転で道を奪われたのである。  それにしても微かな網に何かが衝突する感触を、感知する鋭い感覚。  間髪を入れずに棒を引き上げるタイミング、瞬発力と集中力にはとても呆れ、そしてなにより羨ましかった。  その秘密の場所とアイデアを持つ男の顔はとうとう解らなかった。  顔見知りだったかもしれないし、ぼくの事を知っていたかも知れない。  聞き覚えのあるようでもある懐かしく、間違えようのない大排気量、ゆったりした暖かいバイクの音。  同じ海岸で闇の中の松林、潜り抜けるのを確かに聴いた。  『(バタッ!、バタッ!、……!、ドドドッ!、ドドドッ!、……!)』。  松林のずっと向こう側に、一途な白い光跡が松林を縫いつつ、遠ざかるのをしっかり見てしまった。  それは蒸し暑い湿り気のある夜風が地面に吸い込まれ、新しいさらさらした風が首に纏わり付く、仄かに明るい別世界。  想い出す度に、『……ハッ!?』と胸を突かれる、忘れ難いことであった。

雨で流され、地面から剥き出しになった根を避けて走る。  松の影で暗いので、月明かりが射す明るい所を探して進む。  うなぎ?を籠に入れ、田圃の中のまっすぐの農道を走る。  ところどころに、水の溜まった窪みがたくさんあり、ハンドルを取られ走りにくい。  闇がしんしんと覆う、虫達の話声も途切れがちな野道を抜け、薄暗い闇を戻る。  生き物の気配は籠の中の“……”だけである。  ところどころの電柱の電球や、屋敷の入り口の白い明りの輪の中に、不意に人物が現れる期待と恐れを抱く。  やはりなんの変わりもなく、ますます恣意は鋭くなり、ズンズン入り込んでいく。  広い砂利道から細道に入る、白い道が消える。  次々に前方に出現・突進してくる、ライトに照らし出された世界、ズン!ズン!侵攻していく。  ワッ!とばかり立ちはだかり!、するりと左右に逃げていく。  『……&∀∠∂、……⌒∝‰、……ΘΣΨ』  すれ違いざまに、何か叫んでるような!?・聞こえたような!?。  『ゾクッ!、(^o^)』背筋を撫でられたような、身震いするヨロコビが駆け抜ける。   往きは夕餉の気配があちこちで感じられ、ポツポツ点灯してた明かり、還りはことごとく失せている。  細道はクネクネと曲がり、畑、田、農家を辿っている土の道。   月夜は最高の舞台、うっすら浮かび上がる木々のシルエットはとても美しい。  左右に揺れる薄明かりに照らし出された、窮屈な流れる城壁・舞台。  昼間何度も走っているのでほぼ知っているが、照らされる世界がとても狭く、前方の予測に忙しくのんびりと走ることが出来ない。  まれに出現する小高い・黒いこんもりした木立、きっと墓石などがある。  虫の合奏が近づき、あっという間に後退する。  盛期の夏の終わり頃から少しずつ少なくなり、気が付くとすっかり途絶えている。  世界を手中に納めたよう錯覚、何かに追われ・次々に逃れるスリルのようなものも飛んでいく。  住み処に帰還、“はぁ……、はぁ……”電灯の下で生匂い籠を覗き込む。  何匹もいない、籠の小さい穴からヌルヌルした力でくねくねと這いだし、棲み家に帰ったのだ?。  窪みの水溜まりや田圃、川に帰れたもの以外は、何処へ!?。  今でも気になるので、“考え”たり“想ったり”しないようにしている。

夕方、裏の川でザリガニを捕まえる。  夏は川の水かさが増し流れが速い、さらさらの藻の青匂い溶解性が加わる。  尻尾の方を空き缶に入れて持っていく。  極く小型のは、生きたまま泳がせていく。  竹竿を担いで麦藁帽の顎ひもを結わえる。  緩やかな登り下りのある旧道、曲がりくねった松の木が数本脇に立っている。  キラキラした水面、水棲が這いまわる光景を思い浮かべ、ひた走る。  夏休みなのに友達が、……に向かっている光景が黒い木立の影からチラッと目に入ることもあった。  風を切って走るこころは晴々、歌いたい気持ち。  薄暗い木立の脇を通る、ササヤブの微生物が分泌するのか!?、独得の土の匂いが鼻先を刺激する。  ひんやりした木立を幾つも潜り抜け、逸る気持ちと期待にはち切れんばかりで推進する。  秋には、枯れ草や稲の切り株口から流れ出る、ちょっと"ピリッ"とする、"スー、スー"する匂い。  海に近づくにつれ、べっとりした潮の飛沫が混じる気配がする。

直進の推進意欲に満たされた広い旧軍道路?、盛り土をしっかり当時としては、格段の広さ。  これを横断する道路とが出会うあたり、電柱以外何もない見晴らしの開けた、のどかな田圃のまっただ中、まるで遊園地のようにそれはある。   浅い丸いプールのような分水池と、木造の堰で生まれた広い遊水池の間を跨ぐ薄いちょっとアーチになったコンクリートの橋。  行く手を塞がれ脇に飛び出した、陽に焼けた“赤さび”の水道管。  橋よりも高い処に立派な姿を曝す。  ○○ちゃんがその上に、得意そうに跨って釣りをしている。  ちらっとを横目で見る。  足場がしっかりしていて釣りやすいが、たくさんの濃い緑や茶の藻が散らばり、根掛かりしそうでいやだから、通り過ぎ堰に向かう。  この丸い広場に“イナッコ”の群が進入して大騒ぎなったことがある。  そんな“大物”はそこで掛かるはずがないと思っていたから驚き呆気にとられた。  丸い広場をぐるぐる回り逃げ惑う“イナッコ”に往生している大人の姿、懸命にに腰を低く保ち渾身の力で竿を支えていた。  大人の歓喜の叫びに囲まれ自分も、驚きが声にならず、"胸がぎゅっと"押し上げられるような興奮をしたことを、鮮明にいつでも思い出す。  微かに潮の匂いと砂に棲む微生物の分泌液!?が鼻と口を掠める、びっしりと夏草に覆われた堤をしばらく行くと“堰”に到着する。  先の尖った芝生風の意草が堤をびっしり覆い、土が剥き出しになった轍が中央に一本。  バイシュクルを草に倒し、作戦にとりかかる。  下流を(例)の旧海軍省直行道路が横切り、見上げるような高さで強固な石造り風の橋が視界に入る。  橋桁は強固な造りの船のような形の土台に乗っかっており、少し深くて暗い。  大きな鮒が棲んでいることが解っているが、足場が無く竿を振り、仕掛けを投じることが困難。  幾度か試みたが、犇めきあっている姿は見えども一向に掛からなかった、実にはがゆい思いをした場所なんだ。  

たまたま潮回りが干潮の時刻に出掛けると、両側が一面に葦で覆われた広い潮入川の水は、開かれた水門で通じる沖に流れ出ている。  葦の切れ目からズズ…*と立ち込むことが出来る。   砂地は引き締まっており、ずぶずぶと脚を取られない。  引き潮時、防潮提に構築された頑丈な水門は開かれ、海に吐き出され波を蹴立て、いそいそと歓声をあげんばかりに出掛けていく。   剥き出しになった大石にびっしりと牡蠣が付いている。  タプタプと波打っていたあたりは白い砂が剥き出しになり、沖に向かって川が出現する。  海側の潮位が優る時のために、水門の脇に強力な排水ポンプを収めた無人小屋があり、黒い鈍い輝きの巨大な"カタツムリ"が2基並んで突っ伏している。  ガラス戸から覗き込む、何かが全力でブンブン回っている音がする、しかし活躍する動きは見当たらない。  訪ねるたびにそれを確かめずにはいられない。  淡水側の入り口は縦にたくさんの鋼の棒を密に並べられ、ゴミを排除している。  ゆっくりと渦を巻いている。  きっと流れに負けた魚達は強力な吸引の暴力に自由を失い、体のあちこちに打ち身の苦しみを背負ったまま、苦い世界に放り出されるのだろう。  この悪夢の光景はちょっといやな気分を興こさせ、ずっと変わることがない。

赤っぽい土が問題を抱かせる水田と潮入川と、おもちゃのような小型の水門で通じている。  ちょっとした広場に、銀と灰と白の横縞の小さなすばしこい“スミヤキ!?”(シマイサキの子)がたくさん棲んでいる。  そっと覗き込むといちもくさんに“トンネル”に隠れてしまう。  なんとかならないのが大変もどかしい。  たぶん砂底に斜と縦に何本もしっかり木杭を打ち込み造った堰が、真水の壁に"ぎゅうっと"押されて全体が微かに下流に撓んでいる。  堰は川幅が30mほどのところにあり、真水側が1mほど高い。  あちこちの裂け目や隙間から、”シャー!・シャー!”勢い良く噴き出している。  真水側は一面に藻やホテイアオイが繁茂、堰に押し寄せておりひしめき合っていた。  水は緑がかって、澱んでいる風で攻略に意欲は起こらなかった。  棲んでる生き物もきっと違うだろうと思わせた。  台風や大雨などの出水時は、大きくが開かれた。  足を交互に・ソロリソロリ繰り出し、やっと立って渡れるほどの幅。  中程まで進み、下流≒海側に向かって腰を降ろし竿を持つ。  ざりがにが無くなると、注意深くソロリソロリ戻る。  未だえさ箱をベルトに装着することを思いつかなかった、それはまだまだずっと後だった。  ちょっとした集中力と思い切りが必用で、気持ちをまとめておかないと眩暈がしそうで怖い。  

釣り針が無くなると、近所の薬局”ダ○マ堂”で少しずつ買った。  富山のくすりっぽい!?独得の匂いがした。  手が届きそうにない立派な竹竿が、土間にたくさん立てかけてあった。  行くたびに、ズンズン増えていった。  光沢のある竹の薄茶色、繋ぎ目の真鍮の輝き、焼き入れの焦げたような色合いなど、眺めるだけでもワク!〜*、ワク!〜*。  磨かれた板間に座ったまま振り向き手を伸ばし、きっと引き出しの奥から、大きめの茶の”書状風”を取り出した。  大事そうに折りたたんだ書状を上下に更に左右に丁寧に拡げ、更に油紙を取りだし同様に広げ、指で一本づつ寄せて数えた。  広告!?だったかの厚めの紙に、粉末のくすりの時とそっくりの包み方をした。  鉤素(ハリス)は太く、通しの2厘だった。  獲物の逃れる力などで、切れることはなかった。  ただ、釣り鉤を咥えた水棲ども、きっと大きな鰻が、水底の杭や大石の隙間に巻き付け、そのままにされたことは、あったかも知れない。  想い出すことが無かったため、すっかり“記憶の海”の底に沈み、埋もれてしまったようだ。  びっしり葦が繁茂、あちこちで波紋が生まれ、ゆっくり流される。  強い陽射し、水面からの照り返し、逃れる陰は見あたらず。  見上げる強固な・疎ましい、途方もない大きさの石橋、陽の射し込まない下は暗く、何かが潜行し良からぬ企みに耽っている。  目を凝らすと、キラッ!!、偶に銀鱗が鈍く反射した。  誰かの釣り竿が、ピク!ピク!動き、スーッ・スーッ何かに引っ張られ川の真ん中を進んでいた。  ひどく驚き、呆気にとられ、人知れず畏れをなした。  水底に沈んだ杭や、埋もれた葦の根などを引っ掛け、また結び目が緩み失うことが多かった。  予備が無くなると釣りが出来ないので、あっさり諦め帰る。

その堰にへばりつき、緑の手長えびがうんと隠れている。  こいつは、ざりがにのプリプリした身が大好物なんだ。  なぜか、浅い堰の下流海側がよく釣れる。  背丈より深い葦の切れ目、きっと誰かが立ち込み、足下が踏み固められている。  振りかぶり竹竿を撓らせ、勢いよく仕掛けを投げ込む。  足下が冷たいのは何故だろう!?、ズックの靴の先が濡れている。  そろりそろり砂地を曳く、疲れて曳くのを止める。  狙っているのはハゼ、『来るものは拒まず、なんでも来い!、そして去る者は追いかける!。』  体の髄まで潮と葦、藻のエーテルで澄明になり、物音が一切聞こえない。  目線に近い、ややしょっぱい透明な緑の水に、ずいっ!と体を預けたくなる。  なんとかかろうじて思いとどまる。  『……!?コツ!コツ!』。  いつもの川底の岩や石に衝突する反射とは確かに違う、不穏な気配が加わった、挑戦心を呼び起こす、けしからぬ緊張を熾す挨拶である。  疑いと期待と動転の想い、意を決し、『エィッ!』竿をしゃくる。  太平洋高気圧の吐息、遙か南方からねっとりしたしたものが、黄金の稲田を波打ち這ってくる。  一瞬の間があり何かが踵を返し逃走・闘争する気配。  『ブル〜*・ブル〜*・……!!!』、『ン…………!』息が吐けない。  ブル!ブル!、柔らかくてよく撓る竹竿の穂先が引っ張られ、糸が底の何者かによって向こうにもって行かれようとする。  『ビュー〜〜……、ン!!』堤の草の上に放り投げる。  駆け寄ってバタバタ身悶えするのを掴み、ギザギザの小さな歯が無数にある口をこじ開け、少し血が付いた鈎を取り出す。  籠の中に石を入れ川にさらわれないようにして蓋をする。  ドキドキしながら、青匂いプリプリの白肉を鈎に引っかけ、水底の新たなるターゲットに向かって投げ込む。  ひた!ひた!・…*、足下に驚くほどの浸水がある、チチ……、冷たい!。  旧?軍道が走る強固な立派な石造りの橋を潜って、ぼくらの堰の下流は海へ通じている。  この“にわか作り物”の橋に夕陽が映る頃、くたくたに疲れカラカラに喉を渇かして籠を持って帰る。

砂州の東から北、西方に連なる黒き帯、四季を通じて変わらぬ松林が横たわる。  東方は頑丈な白きコンクリートの“】”が聳え連なっている。  頂上は広く、車でどこまでも走ることが出来るのだろう!?。  ずんずん南下すると大きな河口に辿り着くのだろう!?。  その憬れは日増しに募るばかりであったが、それっきりである。  ギラ!…*・ギラ!…*、強い夏の陽射しを照り返す海洋、ゆっくり湾曲する海岸線は視界から埋没しており、先は知れず。  東には水道が拡がる、おそろしく濃い・深い藍色である。  渺々と風が吹き付け、松林が仰け反りヒューヒューと風切り音を起てる。  沖に向かって真っ直ぐ投げ込まれた構造物、海洋にもまれ痩せ細り、崩れて倒れ込んでいる。  年中倦まず、猛々しい波浪が大きな口を開け渚に押し寄せ、砂浜に挑みかかり・浴びせかけ・突っ伏して崩壊し・すごすごと曳き下がっている。  再び沖合から背を低くして忍び寄り、ムクムクと盛り上がり・立ち上がりそして迫る。  シャー…ッ!・シャー…ッ!、サラ〜*サラ〜*、シュワ!シュワ!。  緩やかな斜面を這い上がり、グングン加速、あっと言うまに失速、スル〜*スル〜*と退却。  大方は叶わず、みるみる間に砂に吸い込まれ没する。  這い上がった覇者は、押し上げた砂を巻き上げ、構わず叩きつける。  至るところに吹き付け回り込む砂、おやっ!?と思わせる窪み・凹や、こんもりした盛り上がりをあちこちに作り、素知らぬ顔をしている。  北、突端はとても広い砂浜を作る。  “】”から渚まで辿り着くのに、ひどく時間がかかる。  ズック靴に遠慮無く砂が入り込み、とても難儀させられるんだ。  渚を歩むのが一番!、遠くの景色に見とれる、そして波に舐められる。  沖合に漁船が行き交う、うねりのため沈んでるように見えることがある。  潮は途轍もなく深く藍色。  渺々とした荒涼感は、何度想い出しても色褪せないで、深まるばかり。

砂州は西方に括れ入り江を作る。  漁港があり、遠浅の干潟が拡がり、潮干狩りをやるところ。  旧海軍の遺産である頑丈な見上げるように高くて広い旧?軍道が、砂州に広がる田圃の中央を北に向かって貫いている。  これが西に括れてそのまま進むと海に落ちるが、両側に太いの門柱の入り口らしき処に出くわす。  ゲート跡らしきものがあるが、そのままズンズン進むことが出来る。  直進すると、黒く見える窓が幾つもある、四角の建造物の正面につながっている。  遠くから黒い松の帯の切れ間に覗く、灰白の他を威圧する大きさの直方体。   目にする度に、威圧感がちょっといやな思いにさせる、近づくと何処からでもその位置が知れる。  ぐるっと周りの道路沿いに河が流れ、覆い被さるように程良い配置に松が植わっている。  かってはそこがなにかの玄関らしきものであったのだろう。  端正な抑制が効いた枝の張り具合に、当時の入念な手入れの痕跡を伺うことができる。  きっと、鉄筋の数とその太さ、コンクリートの厚みが解体を遅らせたのだろう!?。  防空壕後や不思議な紫の水を湛え、底が深くて解らない怖いプールのような物があった。   背の高い草木、白い床と壁の一部、荒涼としてとても広い。  似たような景観が広がり、居場所が分からなくような・ちょっとした迷子のような、空間遊離が面白かった。  足下は一面に 、粘りのある藤の蔓がびっしり這っている。  これを見る度に想い出すのは、どうしても手折ることが出来ず、はがゆい想いをしたこと。  初めて遠足に来た春、歩き回ってふとそのエキゾチックな、南方の景色が足下に広がっているのに気付いた。  たちまち蔓に絡みつかれ、動けなくなり目の前がくるっと一回転する“そよぎ”を感じた。  それは色褪せながら藤の薄紫の、むずむずする花弁の匂いの房を伴い、ことある毎に幾度となく甦えった。

きっと司令部の置かれた建物だったのだろう!、見上げるような玄関に立つ、ひんやりとして静謐に包まれる。  今は扉などが一切ない、鏡面の大理石の床やいくつかの部屋?に褐色と深い緑の2種類のガラス浮きがころがっており。  大きな鍋で煮たったコールタールを染み込ませた漁網、麻色と白のバッチ網が綺麗に畳まれて置かれている。  中に踏み込むと不思議な凛とした落ち着きの気持ちが興るので好きである。  その前に広いコンクリート広場が拡がり漁網が干されている。  広い碁盤に曳かれた線、コンクリートの繋ぎ目に草が生える。  自転車でズンズン踏み倒す、暗くなると還る。  太い鉄筋が入った強固なコンクリートの白い広場は、そのまま拡がり緩やかな斜面となって海に潜り込んでいる。  以前何かが海面に着水し、陸に這い上がったり、勢い良く斜面を滑走、着水、空に昇ったのだろうと察しが付く。  その斜面にきっと仲良く対になった、明るい原色を気ままに塗った木造船が何隻も休んでいる。  後部に右から○○丸と立派な文字で描かれ、全体が浅い四角形の見上げる大きさ。  ずらりと並んだ対の漁船をつぶさに見て回る。  搭載されおるエンジンを想像させる煙突や、ペンキの色、手入れのありさま、あっという間に時間が過ぎる。  乗組員の姿は見えず、きっと明日の出撃に備え、腹巻き姿で午睡を貪ってるに違いない。  前から見ると喫水線から首筋、肩の辺りの堂々とした、張りの豊かさの力漲る曲線はいつ見ても感心する。  堂々とした力を秘め、じつに立派でほれぼれする。  重油と潮、コールタールの幾重にも織りあった匂いを吸い込む。  深くて濃い藍色の波頭からあっけらかんと、ギラギラ波間を漂いながら反射する光跡を浴び風に吹かれる。  強固なコントラストの光輝が燦々と舞う。  体力をはなはだ消耗させ、排斥の情熱がむき出しであり、『フ……ッ!』正直で一途な徹底にうちのめされる。  ジリ!ジリ!肌を焼かれ、カラ…*カラ…*喉を乾燥される、嬉しい付き合いである。

この碁盤の線が、倦まず暖かい潮に洗われる。  キラ!キラ!した輝き・光輝が船縁に反射、目眩くテクスチュアーが踊る。  ピタ!ピタ!、ザブン!ザブン!、サラ…*・サラ…*、ユ〜ラ・ユ〜ラ、長〜いうねりが訪れる。  肌理の細かい緑や茶の藻類がびっしり繁茂、緩やかな斜面はとても滑り易い。  辺りの溝の砂礫を棒で掘ると、扁平の管を自在に伸縮させることが出来る、尊敬する赤黒い茶のエイリアンに遭遇する。  “岩イソメ”は、潮の干満の砂礫の中に澄んでいる。  今は、高圧酸素で満たされた、自動販売機などで出合うことも出来る。  圧倒的な充実は釣り戦略の先鋒で飛びきりの仕事をする。  取り返しのつかない存在なのだ。  ぼくらは、星月夜に空から訪れる不躾な嘴で、彼たちが突かれるのを想像しない。  そのヌメヌメ、ざらざら、くねくねした虹色の射す肌理のそよぎを想う。  鈎で貫かれ身悶える恨みは、その下手人の意識の中に入り込み悲痛となって復讐する。

この船溜まりになっているワンドは、弓なりに沖に突き出た防波提で守られている。  遠くから見ると、突先にポンっ!と“トウフ”を置いたようにも見える。  少し外に傾いでいるのが、ちょっと可笑しい。  頑丈な石を砕いて固めた、太い鉄筋の入った頑丈な作り。  小さな部屋が隠されており、要塞であった痕跡を残している。  足がかりが全くない、スリルがいっぱいのその屋根によじ登って竿を持つ。  一度登ると簡単には降りられないので必要な物は全て運び上げる。  足下はストンッ!と落ち込んでおり、深い深藍の潮が流れているのが見える。  潮時はとて速く、じっと見つめると目が回りそう。  垂直の断崖が海中深くから屹立している。  潮がぶつかり捩れて回り込む潮下側、渦が次々に生まれ巻きながら流れておるのさ。  蟹や巻き貝など何でも、”ガシガシ”かみ砕く銀色の幅広縦縞が薄れてしまった奴らが遊んでいる。  じっと覗き込んでいると、眼が慣れてきて、キラッ!!としたものが見える。  眼光鋭くはち切れんばかりの好奇心と猜疑心、超越的突進力を秘めて待ち伏せておる。  しかし危険は、海の中ばかりでない。  この防波堤は潮が満ちると潜水し、子供の腰の高さまで波で洗われる。  台風の時期、『……さんが還れなくなっるぞーい!!。』と、消防隊員が叫びながら、雨の中を駆け抜ける。  あの、”豆腐”の中で必死になっている光景が、ありありと浮かぶ。  要塞側に緩やかな湾曲を持つため、目測で目印に向かって真っ直ぐ歩くと恐ろしいことになる。  太陽風の魔力の世界に夢中になり、心の旅に埋没していて、ふと気が付くと雲行きで突然薄暗くなってしまって退却の時刻を過ぎしまっている。  よく見えない足下を眼を凝らして確認しつつ、擦り足で少しずつ進むのは本当に心細い。

潮風に吹かれ、平らなゴツゴツ屋根の上で足をぶらぶらさせていると、対の腰の張った頼もしいのが静謐な面もちで、嬉しい音で入ってくる。  ひたひたと足下に潮騒を感じるのと同時である。   『ドドドッ…♪、ドドドッ…♪、ゴン・ゴン…♪、ゴン・ゴン…♪』、いつものポイントでこちら向きに仲良く旋回し、船縁から勢いよく一筋の放水を行い、ちょうど目の前でエンジンを止める。  その少し前に『”チン♪”、”チン♪”、……』、鋼の棒を打つ音がきっと聞こえる。  よく陽に焼け赤銅色の体躯、ねじり鉢巻きの直立男がロープで縛ったバケツを勢いよく投げ込み、いっきに引っ張り上げ甲板にぶちまけている。  大きな船体がぐっと傾ぎ、白波を蹴立てて横に滑り移動する。  木造の船体を身震い、いきなりドッ!!と真っ黒い排気煙を吐く、スクリューを反転させ推進を停止させる。  漁を終え次々に帰還する船の様子を眺める。  沖合の点が次々に、見る見る間に接近し、つぶさに接岸作業を見せてくれる。  力強い・活き活きとして、ぶっきらぼうにさえ見える男らしい光景!、きっと気持ちと胸が“ぐっと”満たされる。  “祭りの後”の充足、夕凪の頃、何時しか無彩色が立ちこめ、冷気が降りてくる。  満ち潮時の撤退はスリルに満ちている。  堤防はすっかり海水の中、ひたひたと波が洗っている。  海の中を200mほど足で航海する、右は緑を帯びた碧で引き込まれそうな怖い優しさがある。  左は細かい砂礫に波紋の隆起がきれいな、浅瀬である。  トラックの荷台に乗せられ運ばれ、泳いだことがある。  木箱に詰まった瓶に入ったジュースをめいめいの好みで貰い、あっという間に飲んだ。  無事コールタールの大きな鍋や、ドラム缶に辿り着くと足が地に着く。  振り向くとたくさんの対の雄姿が爽やかな風に揺れ、渇いた夕陽を反射して眩しい。  けっして体に染み込むことのない潮の吐息を吸い、爽快な疲労を曳きずり寡黙な仲間に恨みを込めて遠ざかる。  

夕凪の頃、遠くのこんもりした木立が無彩色に浸食されかかっている。  去りがたい想いを振りきり帰還する。  葦の葉っぱを手折り籠に敷き、心の広い博学、煩悶して背が曲がって固くなってしまったハゼを、さらに上を葉っぱで覆う。  砂よりも綺麗な砂を背に描いた、生き匂いやつ、くりくりした小さい目。  新道路の砂利道のところどころの窪みに、茶の水たまりがある。  よく見ると小さい泡がぶくぶく出ている。  漁師の棲む岬の方に輸送する水道、鉄管のちいさな割れ目か?、穴?から“ジュル・ジュル”漏れ沁み出てる。  黄と緑、橙のバスが追い抜き、砂ぼこりで喉が掠れる。  轍の跡は走り易い、道の端は砂利が寄せられタイヤがめり込み・ハンドルをとられ、危険ですらある。  砂煙を蹴立て近寄ってくる大型のトラックやバスを、認めたときは先ず忌々しい想いで、いっぱいになる。  運良く左の小径に逃げ込む、端がササに覆われ、また松の根っこがところどころ背を見せる。  あまりの平穏に伸び伸びする、しかし油断できないのさ!。  =ΘΘ=ΠΠ〜 が飛び出してくることは無かったが、カーブを過ぎた直後に、>゚〜〜〜  人物が這い出て来ることは、充分考えられる。  砂が踏み固められ曲がりくねった、いつものルートを辿る。  農家の屋敷や防風垣、稲束をぶら下げた群がつぎつぎに出現、仄かに渋い・いがらっぽい・爽やかな藁の匂いが全身に浸みる。  クネクネ道、見通しが少ないので、バイシュクルを走らせるのは緊張がある。  今日の反省などは一切せず、こんどの作戦を忙しい頭で巡らす、取り返しの出来ない愉しみの時である。  その夜は黄泉の国で、夕立の去った薄赤い空に向かって、松林の向こうに焦燥に駆られ、馳せ駆けつける釣り人を発見する。  !……疲れる。

静穏そのものに見えるが、前夜に何度も暦を確かめて、予め“その時刻”を知っている人物、だんだん落ち着かなくなる。  同時に空手形のズッシリした獲得のヨロコビに満たされ、表情に余裕が広がる。  年に幾度か必ず訪れる“大潮”の海は、新大陸の発見の記念日である。  よもぎ餅と真新しい籠を持って出かける。  いつもの絶対的な領域を誇った渚は、ずっとむこう岸の蒼い山に届きさうなところにまで敗北の後退。  じっと目を凝らさないと見えない。  晴れ晴れした額を擦るものは、ヨードとナトリウム、タンパク質の合成物が解け合わずに幾重にも腐食し重なったもの。  些か押しつけがましいねっとりと重く、不思議と被服にもその痕跡を止めず。  総体が脳裏にも明晰に記憶しがたい、憧れのみが頭の奥のほうにくっきりと巣くうものである。   荒野を這いながら、草木を戦がせ吹き抜けるのように、夜更けに活字の荒涼に疲れたねこの窓辺に不意に出現、ますます頭の蜂は喧噪を極める。  懐かしい心休まるノイズの松風の歌を聴きながら、頬をネバネバしたナトリウム風に愛撫されながら、『あぁ……、海だ!』といういつもの優しい安堵が一斉に襲う。  その友達を訪ねてどんどん歩いて航海する。  振り返ると、お互いにほどよく間隔をとった“サワサワ、シーシー”話し声を交わしていた松林は、黒い帯になっている。  

爪先上がりの堤防を這い上がる、ズルズルと砂礫が崩れる。  応えられない・些細なそして回避しがたいヨロコビは、破壊の楽しみ・危険に力ずくで挑み戦う戦慄・歓喜。  踏みしめる草は既に草いきれを吐き出している。  虎杖を手折るのは些か躊躇する。  中空の茎は、きっとそれを想定しておらず、あまりに容易すぎ、美味しいと想い・待ち焦がれていたものとそっくり!。  田植えの前の頃は、きっと東風が吹き、季節外れの砂塵を巻き上げる。  風邪のような症状で、数日病床に伏すのが常だった。  みんな出掛けてしまったガランとした昼、お土産が枕元に置かれていた。  紫がかった青臭い草の茎をポキン!と手折り、スル!スル!皮を剥ぐ。  恐る恐る口に入れる、苦い初めての味。  未だ野菜を“生”で食べることの無かった頃。  酸っぱくて苦い、えぐみもある、シャキシャキした食感はとっても新鮮だった。  美味しいとはとうてい思えないものだった。  そればかりか、たちまちお腹が痛くなったような、嬉しくない気持ち。  ぶっきらぼうなお土産と出合った状況は、多くの謎・不明を秘めたまま、忘れられないこととなった。  田圃いっぱいの蓮花草、ミツバチの羽音が唸り、口に含むと仄かに甘い。  ゴロ…*ゴロ…*をやりたい衝動が募り、誰も見ていないことを確認し、えいっ!とばかり転がった。  ん??、冷たい!!、チョロ…*チョロ…*水が張られていた。  田植えの前に刈り取られ、庭いっぱいに拡げられ干されていた。  通路にも垣根にもそこら中拡げられており、構わず踏んで歩くのが、些か申し訳ない気がした。  みるみる間にあのピンクと白、ぽっくりした花弁が放射状に連なった傘のような花は、萎んでしまう。  独得の枯れ草の匂い、体を透過するほど強烈であるが、どこかピリッ!とするものがあり、類い希なものでもあった。  乾くにつれて曲がりくねった茎ばかりになり、嵩が減り、だんだん通路の脇に積み上げられた。  カラ…*カラ…*になると、納屋の2階に引っ張り上げて、保管した。  時々、梯子で2階に登り、固まりを落とす役目を担っていた。  藁と一緒に専用の箱に入れ、ザク!ザク!小気味よい音を起てて刻み、大きなとても重い木箱に、水やぬかと一緒に入れかき混ぜた。  牛が勢いよく顔を突っ込み、引き寄せワシ!ワシ!食べた。  圧倒的な食欲、大きな潤んだ目、自在に伸びる舌、強い力、頑丈な角。  じっと眺めて飽きなかった。  舌を鼻の穴に入れるのを見たとき、ビックリしたが、とっても頼もしく憧れてさえいた。

誰かが前日に暦か新聞で、大潮の時刻を確認したのだろう。  松林の向こうにいつもの碧い海は無く、理屈で解っていても、些か拍子抜けする!。  どこをどうしたものか!、圧倒的な広さの砂原を前にして、攻略の意欲は一瞬に吹っ飛んでしまう。  ゴム長を穿き、漂白の砂原をずんずん沖に向かう。  あちこちにいくつもの“小さな水溜まり”が点々と散らばり、不安を誘う。  驚くほど澄んでいて、砂の模様が浮き上がって見える。  春風がサァ…*ッと吹き、眩しいさざ波を次々に起こし、キラ…*・キラ…*・揺れている。  透明の水が揺れる、風紋の綺麗な砂地を覗き込み、じっと目を凝らす。  紙に絵の具でさっと描いたように、鮮やかなアオサが揺れる。  藻の生えた石をどけると、生態反応が弾ける!。  眼にも止まらぬ速さのすばしこいものが、四散する。  ヤドカリ!?、もぞもぞ砂に潜り込むものも。  きっとなにやら“ヒゲ!?”らしきものが微かにピリピリ動いている。  息を止め、そう…*っと、影を踏まないように覗き込む。  ちょっと緑の射す透き通った“車エビ”が、『あちゃー!』と叫んで砂を蹴散らし、目にも留まらぬ素速さで砂に潜る。  愕き、ナイフのような閃光に圧倒され、小さな心の奥に ちょっと不安を隠す。  調子のいいはしっこいヤドカリが、『わて、なーーんもしらん!。』とうそぶき、砂を巻き上げつつそっぽを向く。  海であった所に、河が流れているのを発見する。   ズン!ズン!遡ると、石積みの堤防の脇目に進み小さな船たまりに侵入、牡蠣かカラスガイがびっしり付いた水門を潜り、葦の繁茂する広い遊水!?に。  ゆったりしたカーブ、両側は田圃。  『"!?"…………ここらへんや!。』、連れの○○ちゃんが言う。  既に踝辺りに潮がひたひたと。  足先で水底を探る、信じられないほどのとても大きなハマグリが目当て。  じっと俯き見つめたさざ波で目が眩む、頭を上げ世界を見渡す。  右前方には、前のめりに入水中の、黒く見える崩れかかったトウフ石。  海軍硝蹟の砲台跡!?を右目で認める。  左やや前方に、赤い色が唯一の取り柄の浚渫船。  不釣り合いな大きな枠を、不安定に殆ど倒れそうなぐらいに倒している。  恐らく土砂の吸い込み口を支えつつ、海底を嘗めていると想われる。  これはずっと嘆いているようだ、『海はどこかへ行ってしまったか!?、助けてくんろ!。』

黒っぽい赤さびの管をいくつも繋ぎ、緩やかに撓みながら、浮子でプカ!プカ!浮かびあるいは桁で海上を這う。  長々と・堂々とふてくされながらズンズン伸ばし、尻尾を松林に潜り込ませている。  陸上の尻尾はズンズン伸びる、海上の頭の位置もズンズン前へ、全長は日増しに長くなっておる。  初めの殆ど真っ直ぐであった鋼鉄のパイプは、何時しか巨大な蛇のように、のたくっておる。  遠くから松林越し眺めても巨大な蛇が日増しに成長している、ちょっとした土盛りに立って眺めてもやはり間違いない。  いつ見てもずっしりした感触がくっきりとした印象となり、心を満たしてくれる。  こんもりした土盛りに立つ不良ぶった同級生の少女、近所だからきっと、ワン公と一緒に散歩に来たのだろう。  大人びた雰囲気と体、何時も憂いを絶やさないのだが、夕暮れのピーチカラーを受けてとてもピュアーなジャンヌダルクだった。  きっと人生のことを考えていたのだろう!、あるいは超越的な意欲に突き動かされた荒野侵攻!?だったかも。  この光景は申し分のない・くっきりしたイメージ!、黄泉の国へ旅する夜更けに体と心をグングン引っ張ってくれ、向こうに引き込むので好きなんだ。  眼が覚めるときっと、寝床で“番茶”を“グビグビ”飲んだ、『これ以上のものが!?』、とそのときに想った。  『ドォ……・……』とも、『ゴォ……・・……』とも聞こえる音を聞く。  何かの集団がいきり立ち出陣の集まり!?、お祭り騒ぎ!?、きっと憤怒の形相!?、あるいは諦めの嘆きのようにも聞こえた。  押し寄せてくるようなユニゾンは、『ワ…*ン・…』とした尾ひれを伴っている。  田圃の遙か向こう黒い帯・暴風林、白いコンクリートアーチが連なる白い砂浜。  倦まず・背を低くして静かに潜行・忍びより、一気に立ち上がり襲いかかる海洋。  

雨戸を閉ざす日、微熱の東風が吹く。  その狂おしい日に、内陸の方から埋め立て地に踏み込み、探検したことがある。  新しい島が陸に たくさん出現している。  めいめいに気ままに体をくねらせ・突っ伏し、傾いだ信号塔のようである。  総体としては絶妙の関わりに美を発散させ、松林の足下を噛みつき潜り込んでるように見えた。  海の内臓・濃いコバルト色の融けてしまったドロドロ、恐ろしいデタラメな遠慮のない勢いで吐き出していた。  微熱のため思いっきり匂いを吸うことができない 。  圧倒的なエネルギーの発散される行い、荒涼としてる原始的なまごうことない生産の現場でもある。  大工事現場の迫力を、楽しみに出掛けたのだが、ひどく滅入った。   遠浅の破壊と陸地の造成は、とてもワク!〜*、ワク!〜*できるものでなかった。  普通の海であり新大陸である探索地で、裸足の指を砂に潜り込ませて足首を熱心にグリグリしている。  暫くするとびっくりする程大っきな、パッチワーク模様の蛤、足の指先で探り当てて見せるので、しかも5,6コもたて続けなので悔しくて泣き出しそうになる。  気が動転する間もなくその真似にでっちゅう(≒熱中)する。  優しい風が吹きさざ波が流れる。  と風上に航海するような幻覚を見る。  実際は静止しているわけだから、“気持ちとからだの平衡”の葛藤が生まれ、眩暈がする。  尻餅を付きそうになり、哲学者と科学者が同時に出現する。  『"!?"ッ……。』  脚がヒンヤリするので顔を上げぐるっと世界を見渡し、息をのみ胸がはり裂けそうになる。  ”海”が“本当の海”になっているのである。  踝まで潮は上がっている、あっちでもこっちでも才槌頭のボラが景気よさそうに空で遊ぶ。  足がある方も無い方も大挙して笑顔で侵攻してくる、またとない侵攻に心構えを整えて加わり陸に向かう。  一緒に入水した人間の友達は遙か松林の中を歩いている。  『オ……ィ!?』、手を振って呼んでくれる、波頭に呑み込まれて耳に届かない。  思わず応える、『……』声にならない。

大好きな浚渫船の塔、“赤さび”とペンキの赤がけじめの付かない。  憧れの“Д”のてっぺんに旗をはためかせ、黒い煙をたなびかせる。   時々勢いよく吐き出し、『……!!%ΘΣΦΨ 』不可解な音を発する。  塔は太いワイヤーで引っ張られ、垂直から殆ど水平にまで、極めてゆっくり傾斜を変化させる。   想い出したように振り返って見ると変化がわかる。  垂直の時は殆どのんびり休んでる、あるいはとても余裕があり、辺りを睥睨しているように感じられる。  たまたまお昼休みだった のか!?、煙突に煙の気配がない!、風で吹き飛ばされたのはない!。  すっかり停止していた、海上に漂う数100メートルの黒き管も、ゆったりと休んでいるようだった。  きっと動き出すときは、大きな身震い、真っ黒の煙、もしかしたら船縁から放水も!?。  休んでいた管にもピリッ!!と緊張が走り、『やったるでっ!……。』と意欲満々に。  海水混じりの海底の土砂や有象無象はが、小学生の背丈ほどの管を流れる時の音を直に聴いて見たいと想っていたが、とうとう、  水平にまで埋没し懸命に引っ張られてる時は、思わず見入ってしまう。  悲壮感と動物的な粘りを同時に滲ませ放射している。  とても励まされるから、とても好きである。  操縦士や機関士、甲板員に相当する人物の影は見た記憶が無い。  ちらりと視野に飛び込んできたことはあったに違いない、しかし永い時間を経たためか、あるいは意識が消したのか!?。  岸に平行に移動したり、くるりと回ったりしながらも、毎日少しずつ沖合に向かって移動している。   随分前に埋め立てられ、造成された水田を突っ切って海岸に出る。  この水田を盛り土する浚渫が西方から進められている。  澄んだ水をチョロ〜*チョロ〜*流す、水田地帯とは明らかに様相の異なる、川底や石ころが赤茶けた色の灌漑用水。  これを見ながら真っ直ぐに松林に近づき、その隙間から見ると毎日何らかの変化が発見できる。  きっとすぐにでも“ウツボ”や“クラゲ”、“∂♭Θζ£……”懐かしい旧友がぞろぞろ暗くて暖かい寝床からはい上がり、コールタール臭のムカデの自在管から吐き出される。  人物は歓迎の表明を憶し、遠くから眺める。   荒涼たる平地に吐き出された彼らを間近で見たくない気落ちもある。  松風が息を潜める冷たい夜露の降りる星月夜、エイリアンたちは寝床にも帰れず『……あぁ!』口を開いたまま 凝固している。  とうに声を発しない、冷ややかな肢体を曝す。  “赤さび号”の浚渫の塔の光景を思い浮かべ、生き物のような動きに感心しつつ、100万光年の彼方・第七銀河の作戦地に巡航する。

また、忍耐である。

南太平洋の遙か彼方、北回帰線上で生まれ、すぐに北に進路を定め、侵攻態勢をかためながら合体・合流・呼応、陸に這い上がり静かに巡航。  超越的意欲に燃え、丘陵を駆け上がり、ニセアカシアや赤松の枝をすり抜け、くるくる回りながら山の端を回り込み、たくさんの箱を見下ろしグングン加速。  さざ波を起こし水面を飛翔する風、頬を掠め首を撫で回し、『ボォ…ゥ・…*、ボォ…ゥ・…*・♪』耳元で遠慮無く風切り音を起こし、体をくねらせ葦の梢を滑っていく。  岸辺に佇む人物あり、行いを終えたばかりのサッパリした表情、よく見ると超越的意欲を隠した飄々としたもの。  いつになく静謐と思慮深さ・寂寥の混沌とした憂いを秘めている。  またよそ行き風、むしろサバサバした表情を、あからさま持している。  何かを待っておるに違いない!。  他人事のようなそぶりで、気配をひた隠しにしている。  ”もう諦めました!”と投げやりになっている心情さえ、訴えているようにも見える。  不意に訪れる衝撃をドキドキしながら、遠くの直方体の棲み家に、きれいさっぱり置いてきた焦燥や妄想を“チロ!チロ!”明滅させながら待つ。  表情は諸行無常の心もち、飄々とした捨棄を漂わせ、のんびりとしているようである。  けっしてのんびりなどする心・気持ちのゆとりなど、あろうはずがない。  川岸に立ち一本の杭となり、一心に刹那の集積の旅にふける。  ふと水鳥の鳴き声や頬を撫でる風の愛撫で、現世に戻りふと振り返ると、いつしか太陽は西の山に半分喰われている。  燦たる落日のオレンジの照射を浴び、温かい影を真っ直ぐに投げる。  体中の筋肉がジンジンする、血がザワザワそよぐ。  スッ…*、蜻蛉が竿の先に止まる。  『バサッ!』草むらから俄に水鳥が飛び出し、水上を駆け飛翔しグングン上昇、みるみる間に影は小さくなり夕焼けの赤にすっかり融け込んでしまう。    河の下流からグングン上昇した太陽は、脳天をジリ!ジリ!灼く、手の甲や首を痛めつける。  橋の下を潜り水面を渡ってくる風は、口びるをカサカサにする。  一陣の気まぐれな風、さざ波を起こし、木々の梢を翻弄ザワザワとヨロコビの音。  切り立った崖にぶつかり、捩れた水流がわき起こり再び没する流れ、大きく張り出し水面すれすれに枝を拡げる。  崖の至るところに水が染みだし、こけが生している。  突然、>゚〜〜〜が、鎌首を擡げゆっくり横切る。  小魚がピチ!ピチ!弾ける、水を打ったよう。  『サァ …ッ・ …*・ …* ッ』と水面が弾ける、嬉しそうに如雨露で散布した時のように。  整然として規律に満ちた炸裂・驚愕、次々に伝播し移動する。

周りの木々・聳えるもの・風で戦ぐものら緑を映し、灰緑の流れは冷ややかに沈痛な風情。  流れのありさま・表情は季節の移り変わりに呼応、ゆっくり・おもむろに変化する。   とりわけ雨季の嵩と流速を増し、わき上がり渦を巻き捩れて滔々として、英気に満ちていたのは、ほんの一時期の歓喜。  俄雨でドンドン濁りを増すと、俄に鯉がはしゃぎだし、竿を思いっきり湾曲させるんだ。  台風による増水で中堤が壊れ、川底が剥き出しになり、ズンズン歩ける状態を目の辺りにしたときは、凹み・意気消沈・失望し・力が抜け途方にくれる。  程よい水量に安定する時は透明度が増し、たくさんの水棲生物を見ることができる。  緑の生態反応は人物の生理に波及し、目がギラ!ギラ!、思惟が澄んできてやる気がむくむく。  晩秋、俄に雲が湧き北方から疾風が降りて来る。  さざ波を呼び動きがとれず、パーカーの襟を締めじっとやり過ごすことも。  ラッパ状の濃密な朱・南国風の花がたくさん流れてくる。  葉っぱなどの破片など見あたらず、ポツポツとした連らなり。  きっと上手辺りで、風が揺すり落下させたのだろう!?。  おにぎりを頬張り、アルミの水筒を取りだし、グビビッとお茶を飲む。  ほろ苦く・清冽・安堵の提出、一瞬乾きを退けてくれる。  エライ、うれしい、感謝する、┌|・.・|┐。  冷たいお茶がとても美味しく感じられる至福のひととき。  『バシャッ!、ドボン!、……!!、♪└|∵|┐♪└|∵|┘♪┌|∵|┘♪』  大きな魚が跳躍する、空を斬り水面を強打する。  僕らを牽制してるのだろか!?。  川鵜が飛来、とても長く潜水、あっという間に大食漢様は満足げに帰還する。  何処か疲労感の滲んだ・やさぐれた外観であるが、元気で機敏な動きに救いを見つける。  前にチラッと目に入った光景、水面近く張り出した枝にぶら下がり、風にはためく忌まわしいシーンを、一瞬忘れさせてくれる。  どんどん後退していくようであり、曖昧になり・色褪せていく。  ゆっくり周りを見渡すひととき、静かな川縁は驚きに満ちている。  イタチのような細長い獣が走り抜ける。  『……ャッ…*』、野鳥が吐き捨てて通過する。  

右手にあったはずの太陽は、何時しか背後に回り、今や左から斜光を射す。  『ジリ!!・ジリ!!、ギラ…*ギラ…*』、執拗に徹底的に手を緩めず・倦まず、水面を 這って・渡ってくるものもある。  鍔のとても長い帽子(Colunmbia)の額が当たる辺りは、汗の乾いた跡が濃い。   このお気に入りは、鍔の長さと材質・品質、デザインに於いて希有な物、ほかに見たことが無く知らない。  鉢の大きさを調整する部分が壊れ、修理して使っておる。  フライフィッシング用の、首に直射する日光を遮蔽するタイプと使い分けている。  河原に小高い山が連なっている。  重機で掘り起こしたばかりの砂利、雨で石の表面が洗い流されており、材質やきれいな模様が表出している。  清潔感が渺々と吹き荒れ、白日がたちまち食い込んでいる。  一度だけパワーシャベルが、河に降りていくのを見たことがある。  土手の急斜面を前に考え込み、そして意を決し、自在で強固なアームで突っ張ったりしながら、めったに見せない黒い煙を吐き出し、喘ぎながらやり遂げた。  ガラ!ガラ!・ジャブ!ジャブ!、河の中を進む思いのほか速い。  上流の橋を潜り、崩壊した中堤、埋まってしまった取水口の修復に取りかかった。  ガシガシと河原を囓り・噛みつき、土砂を水もろとも掻き上げ、ザァ…*と盛り上げる。  小さな富士山をズンズン連ねていく。  膨大なエネルギーと無駄のない・精緻な行ないが築かれる。  土砂の荒涼とした原っぱ、頭ほどの石がゴロゴロ転がっている、とても歩きにくい。  ザクザク靴がめり込むあたりに踏み込むと、ちょっとしたヨロコビが込み上げる。  小山の斜面が、ザラ…*ザラ…*崩れるのは面白い。  この根源的・単純な楽しみには、精神の浄化と心地よい疲れがある。  この大土木事業、本格的なブルドーザーとパワーシャベル、トラックを投入、10日を費やした造成物。  たった一日の台風で跡形もなく、平らになってしまう。  葦の根っこが剥き出しになったのが、橋桁に引っ掛かり、サァ〜*〜*と、清々しい風が吹き抜ける。  国土を管理する、お国の管理下に置かれている証し!?。

秋の終わりに台風が来襲、著しく減水した半自然の”長い池”、例によって上流が塞がれ、日増しに減水しているのを見た。  棲んでいる魚の背が見える、激しく動き回り、お汁粉のように濁っている。  仕事を終えた夜中に駆けつけ、電池の灯りを照らしスコップで溝を作った。  帰ると、フラフラで俄に吐き気がした。  一週間ほどの工事でやっと、チョロチョロ流れ込むとこまでこぎ着けた。  砂利の河床はとても固く、自然の流れで掘られたり・深くなることはなかった。  後で、『夜、河原でなんかやってたろう。』と近所に住む釣り人に聞かされた。  稲作のシーズンを終えていたため、重機参加の本格的な土木工事は、翌年の田植えの時期まで行われなかった。  横倒しの車輪のような、南京錠のかかった回転ハンドルの付いた立派な水門があり、これからコンクリート造り・オーバーフロー型の取水提は上流に向かって開いている。  水位を稼ぐためこの先端の取水部分は、当初よりもずいぶん上流にある。  造成から暫く経ち、大雨などを幾度か経ると、殆ど崩れ・痩せ、自然に融け込み、ただの瀬のようである。  よく見ると水流のとても速い処があり、激しく河床が削られている。  河原をどんどん、ジャブ!ジャブ!歩いて行くと、思いがけない物が転がっている。  『サラ…*・サラ…*』、『キラ☆☆・キラ!☆』、緩やかな曲線をもった瀬尻の囁き、眩しい光輝の乱舞。  流速と川幅、水深が同じ河は、いずれもよく似た表情を見せてくれる。  緩やかであり・厳然たる変化、驚きと調和に満ちた、自然の摂理・行いは何であれ美しい。  河原は少しずつ変化を遂げる、だんだん浅くなっている。  台風の時期の増水で河川敷は、お汁粉のような濁流で覆われる。  葦が根こそぎ流れてくる。  水が引くと真新しい土砂で覆われた場所が至るところに。  奔流がまともにぶつかり、抉られた岸も。  以前は子供達が堪らず入水してた、泳げるほどの深みや、波を蹴立て渦巻きながら滔々と流れていたあたり。  すっかり水位は後退、大きな石が目立ちサラ!サラ!した流れの瀬に。  晩秋、河原を歩く、ずんずん行く、あれこれ過ぎる想いは無く、白日のようにサッパリしている。  目の辺りにする一切のほか、思惟を占めるものはない。  有象無象は風に吹き飛ばされ、跡形は燦たる陽に曝され浄化の一途。  歩きながらきれいな木片を探し、確保する。  漂白されたような無垢の木目を曝し、角が取れスベスベしており、他にない感触。   永い間倦まず、川底を転がり、太陽光に灼かれ、気まぐれ雷雨やろうにたんと打たれ、風に曝され、砂に揉まれたのだろう。  鮮やかな層を剥き出した、単純な模様に妙に感心する。  手に取ると、気持ちがどんどん浄化されるような、更新されるようないい気持になってくる。  河原で燃やす、焚き付けの小枝や枯れ草は、いい匂い・パチ!パチ!と弾ける 、音が楽しめるヤツを目指す。  熾火に“おーいお茶”やコーヒー缶、お汁粉缶を置き暖める。  きっと、沸騰・噴出する前に、プライヤーを取りだし炉心から救済。  どっかりと 土手に腰を下ろし、肘をつき寝そべり風に吹かれ、マカデミアナッツをガシガシ食らう。  タッパウェアーを取り出す、甘酸っぱい匂いが飛び出す、リンゴの清冽を摂取。  無いのは音楽のみ、むしろ欲しない状況・気分がうれしい。  『チチチッ…*』とびきり奇想天外なサウンドで眼が覚める、 不覚にも午睡に堕ちた不名を恥じ、想わぬ時空の飛翔・獲得に満足しながら帰還。  心は奪われていたためけっして気が付かない。  精神はあまりにも徹底的に、澄明であり続けたため濁りを止めず、皮膚とそれに覆われた水成体は不純物を揮発し続け、"メリメリ"、"ババキ"勝手に弾けてヨロコビを勝手に発表する。  『……フフフッ!』、忍耐って気持ちいいことなのね。

哲学である。

その後ろ姿は、想ったより大きく感じられる。  時として小さく感じられることも、そしてあらぬ方を見る視線は、何かを諦めてるようであり、晴々している。  捨棄した有象無象は有形・無形を問わず影を落とさず、憂いの欠けらもないようだ。  懸命に一途に思惟(∨∂⊥∇∠∀ΓΘΠΣΨ…… ?)に耽って、宇宙の根本原理を探求しているかのようである。  人間としての普遍的な愛や、生の衝動、手仕事を含め何かを作ることに、よろこびを見いだしているのだろう!。  創意工夫を凝らし挑戦し、壁にぶつかたっときはちょっと立ち止まり、きっと発想の転換・閃きのようなものでやっつけてきた。  得られた結果や状況を、柔軟に・素直に受け入れてきたようだ。  そして音楽美の秘密、神髄、根本原理を考えている。   最大の関心ごとは、あのワク!〜*・ワク!〜*昂揚させ、あるいは鎮静・落ちつかせるものは、なんなのか!?。  どこから・どのようにして生まれ・提供されるのか!?。  何をきっかけに、Jazzを聞くようになったのか!?。  これだっ!、と感動したのはなんだったのか!?。  己の内省・記憶の海・時空絵巻、宇宙への探索。  極く初めの頃のことは、いくつか想い出せる。  FMで“ネオロマンティック・クラシックJazz”を聴き、すんなりと感動した。  Yさんにカタログやテープを毎週のように頂いたことや、あちこちのライヴスポットやディスクショップへ足繁く出向いたこと。  何時だって大いなる野望・期待・目的に向かっていた、還りはたいてい失意・不満 ・疎外感に浸食され沈んでいた。   焦燥感と疎外感に絡みつかれ、さらに鼻持ちならない自意識でパンパン!!であったと想う。  教えて貰ったたくさんのこと、本質は理解不可能であり、ことごとく聞き流し状態。  属性や付帯状況に目を奪われ、自身に取り込み・同化し、得意になっていたようにも想う。  ずっと後になって、『……あぁ〜*、そうか!!。』と、臍をかむばかり。  そして、そのことがことあることに、いっそうクッキリと甦るので、情けない。  頂いたレコードをあっさり友人にあげてしまったことを、何かの折りにしゃべった時の、落胆と失望の顔は忘れられない。  最近オリジナルジャケットでの、CDの再発を知り、期待と心配の日々なんだ。  

不快でさえある特異なサウンド、混沌としてとらえどころのない曲想、とうてい理解出来ない・許容できない部類のものであったJazz。  何時しか、不本意な気持ちのまま、挑戦するように、がむしゃらに頭を突っ込み埋没し、摂取してた頃。  白い陽の射す昼、電車に乗りいつもの南口で降り、そそくさとランチを済ませる。  透明な出汁に真っ白のタマゴの白身。  ジーパンショップを覗き、辺りを暫し散策。  銀行の地下への狭い急な階段を降りる。  ちょっとした緊張で重い扉を押し開き、淡い照明の薄暗い奥行きのある空間に身を置いた。  壁に背を押しつけ小さな机で本を開いた。  身じろぎもしないで、コーヒーカップや、持って帰りたくなるような小さな・丸っこい・かわいい・透明ガラス灰皿、壁の染みを虚ろに見ていた。  窮屈な姿勢で小さな椅子に座り、混沌としたJazzのテクスチュアーを追っていた。  とても寛いだ状況、シェードからの淡い光輝に照らされたアイボリーの机、煙草の匂いと立ち上る紫煙。  特殊な方法で煮出した!?コーヒー、ネルのドリップで慇懃に炒れた。  小ぶりの真っ白のカップ、とても濃く、最初のひとくちは圧倒的なキック!。  鼻腔をヒクヒクさせ、体がジン…*ジン…*熱くなり、鎮静と歓喜が降りて来た。  きっと自分だけとても緊張していた。  表情と裏腹に、倦まず混沌としたものに対峙・身構えていた。  とても永い 時間ハイプレッシャーの驟雨を浴び、被爆していた。  時としてにハッ!とさせられる瞬間、楽興の尻尾を捕捉できることがあり、荒野は次第に形・色彩を帯び呼吸しはじめた。  今、ふり返って見ると、混沌とした状態から少しずつ抜けだし、魅力を実感・俯瞰できたように感じるまで、ずいぶん時間を要した。  古典で見られなかった屹立した・アグレッシブなサウンド、のたうつエモーション、解放感と鬱屈感の絶対矛盾的自己同一などに魅力を見いだした。  そして、相変わらず、混沌とした希望感に曳かれることは、今も変わらない。  未知・不明・期待・展望の渦巻く、ワク!〜*、ワク!〜*できる日々でもあった。  やっと音楽美を掴まえ、よろこびを実感出来た時の記憶はクッキリしない。  徐々に、進展と後退、紆余曲折、脇道に入り込みながら変化を遂げ、振り返って見て初めて変化に気が付く、そんなものだった。  当時活躍中のアーチストが、リリースしたばかりのアルバムで感動したものが、数えるほどしかないのが、実に残念。  そして、混沌とした多くの日々は、やはり必要悪だったのか!?、逃れられないプロセスなのか!?、できることなら取り返したいとも想う。  西洋古典音楽に親しんでいたこともあり、先ず関連するアルバムに関心が向き、自然にとっかかりになった。  古典とJazzの一体感のない、逃れられぬ不調和を感じつつも、サウンドとアレンジをとても新鮮に受け止め、感心していた。  アーチストの繋がり・関連で攻略対象が広がっていく。  やがて関連雑誌を読み耽るようになると、完全に誌面に影響を受け一段と範疇が拡大・エスカレートした。  この状態が数年続き、相変わらず混沌感を引きずっていた。  次第にゆっくりと、西洋古典音楽に寄りかからない、真のJazz!?の楽しさを感じはじめた。  すっかり色褪せ・感じることのできなくなってしまった音楽も増えた。

夏、突然のように近所に出現した”不思議の国のアリス”、兎小屋にとても驚いた!。  それは我が目を疑うような外観であり、たちまち・いたく気に入った。  やっつけの大工仕事、正確にはとても確かな職人の意欲満々の自信作!。  ペンキ塗り立てのむせ返る匂いは頗る新鮮。  鉄骨の階段の下に入り口があり、一時的に真っ暗闇の小部屋に身を置き、更に扉を押し開き入城する作り。  飾り気の全くない、呆気にとられるような佇まい、ホク〜*ホク〜*、(^o^)。  シンプルにして充分な防音、打ちっ放しの床。  『コーヒー。 …… ……!』会話は、ほとんど無い!。  充満するJazzサウンドに集中している。  やはり異次元!、超現実・非日常の気分に解きほぐされる。  真夏の灼かれた緩やかな斜面・路面にしっかり水が打たれ、ささやかな涼風が起こり始め、公園からアベリアの濃密な南国の匂いが滲出し漂う。  やがて毎晩、足繁く通うようになり、じわじわと・確実にフリーJazzが体に染みこみ、傾倒しはじめ傾斜を深めた。  看板に灯が点ったことを見極め、馳せ参じた。  希に今日は休みかな!?と想っていると、とても遅い時刻に点った。  いっそう、ワク!〜*、ワク!〜*してしまう。  フリージャズ一辺倒、しかも厳選された逸品ばかり。  粒ぞろいを絵に描いたようだった、と気が付くのはずっと後。  提出されるアルバムは、殆ど当時の現役アーチストの最新版。  いずれも初めて目にし、耳にする作品ばかり。  カーラ・ブレイやドン・チェリー、ジョン・サーマン、ビーバー・ハリス、ソニー・シャーロック、ノー・ハワード、ムハール・リチャード・エイブラムスなど、とても新鮮で強烈!に迫り浸透してきた。  特に、カーラ・ブレイの“トロピック・アペタイト”の不思議な魅力、インテリジェンス!?からきっと醸し出される風なんだが、かつてその例を見いだせない。  ジャケットはくすんだオリーブ色、ロゴのみ。  裏は、胸までサラサラの髪を垂らしたカーラ・ブレイ、ちょっぴり首を傾げ、しっかりした揺るぎない澄明な瞳は明るく澄んでいる。  処女作、瑞々しいアイデアや希望・憧れが詰まったもっとも印象的な作品。  発表時に狭い小屋で聞いた時の驚き・感興はいまだに色褪せない。  忘れられないアルバム。  後の粘着質的な曲づくりの片鱗もあるが、独自の素直なユーモア溢れる曲想はこれ限り。  ふと我に返り、激しくイマジネーションを掻き立てる不思議な・心地好いパワーに酔っている自分に気付く。  僕らは、みーんなどれいだ〜。  システム管理者はカーラ・ブレイ、だからシンガポールの竜巻のように、激しく吸い上げられるぞ……。  朗読、か細いたどたどしい危うい魅力、個にして普遍、別世界に踏み込んでしまい、もう引き返せない、取り返しがつかない。  リズムはほとんど消滅している、こだわりの音列が綺麗なお皿に少し載せられ、良く選ばれた形を露呈する。  独特の曲線・アラベスクが漂泊、乱舞、行進する。  ほとんど無彩色、清潔な白、灰青。  荘厳な沈潜する開放感たっぷりのピアノから急転、ラテンの情熱たっぷりのリードで走り始め、めくるめく展開へと進み打現弦でしめる。  耳に残るエキゾチックな歌。  奇怪な宮殿がジャングルの開けた草原に出現、なにやら面白い遊びが。  いっそう儀式めいたものが行われるようだ、めいめいがてんでに想いのたけを叫ぶ。  ゆっくりした言い含めるような歌、諦観と憧れが歌い上げられる。  とても吹っ切れたサバサバした爽快感を残す。  ドキッとする可愛い短い歌、このアルバムには欠かせないもの。  よりフリーフォームな開始、感動的なメッセージが発表される。 一転速いテンポで一掃、土砂降り夕立の坂を組んずほぐれつ転げ落ちる。  シンプルなテーマが提出され、淡々と語るように詩が詠まれる。  フリーキーなリードのブローイングで繰り替えされ、訴えかけるような・引きずるような歌・アンサンブルで締めくくる。  カウンターを潜り、ふっと息を吸い込みながら慇懃に、冷気で曇ったグラスを置いてくれる。  ちょっとした緊張と安息に包まれる空間は、なくてはならないものになっていった。  壁にもたれかかり、虚を見つめ全身で享受していた。  混沌とした想いを懐き、蹲り・頭を垂れ、大いなる希望・展望を膨らまし、脇目も振らず提出される音楽を摂取した。  ザク!ザク!心地良く体に浸透し、心身を浄化、キックを与えてくれる。  目指すものが定まったようで、まっしぐらに突き進んでいった。  

西洋古典音楽に親しんでいた者が、ジャズそれも前衛・フリージャズの魅力を感じるまでには、きっと常人以上の紆余曲折があるような気がしてならない。  無駄・不毛だったと想う、手垢を弄した混沌とした日々は、もっと少なくできたに違いないと悔やむ。  例えばフリージャズとストラビンスキー、いずれも発明の持つ・放つ興奮がある。  贅肉をそぎ落とした肉体の躍動する爽快感、そして類を見ない新しさ・洒脱が倦まず後退せずひたすら前進する。  野獣的なそして神出鬼没・破天荒ですらある生命感、小股の切れ上がった、髄をそそる魅力、いつでもその時その時にどこかに見いだせる。  ストラビンスキーのパルテノン神殿や大理石の彫刻のような、強靱な構築美を感じさせるJazzは少ない。  睡っていた感覚がムクムク覚醒し屹立、こくのような味わい・立ち上る芳香、心地良い緊張と充実に包まれている実感。  不明な未知なもの、密かに憬れを懐き、解明したいと欲するのカオスに深く侵入しておるのは、間違いない。  いったいなにがこうも、変遷させたのか!?。  驚きとよろこび・新たな興味がわき起こる。  一方で、理解しがたい変遷の危うさは、欺瞞・警戒・不信感をも生じさせる。  絶対安定的な無窮・普遍・不変の強固なものとして、真っ正面に立ちはだかることはないのか!?。  正面から直進の意欲に満たされ、嬉々としてぶつかってくるフリージャズ。  いたって涼しい顔、焦点の定まらぬ視線を投げ、素粒子の飛礫を被爆する。  表情を崩さず、むしろ好ましい笑みで一瞬に頭上を駆け抜ける。  リードの震えがホーンで共鳴、律した響きとなり放射、空を振るわせる。  たちまちテクスチュアーがクッキリと提出される。  熱い血が迸る、脳髄が震える。  感じる前に既に蹂躙されており、強靱な思惟の波動を浴びる填めに、なってしまっておる。  末梢神経がぶるぶる震える、アドレナリンがドク!ドク!駆け巡る。  南国の熱い夜、樹木やシダ類の花弁から絶えず分泌される鎮静エーテル、するりと垣根を乗り越え侵入してくる。  濃密な芳香が縞のように漂い、山から下りてくる風で運ばれる。  明日、きっと大地と屋根を打つ痛快な音を聴き、スコールの巻き上げた砂塵の匂いが鎮静するまでの、絵巻を楽しもう。

音楽は極めて抽象的であり、個人またその音楽体験で向性が大きく異なる。  きっと感動するに違いない!、そう言い聞かせつつ足で探し、求めたアルバム。  紙ジャケットが独得の匂いを発し、いつでも・きっと時空の扉を開き歓迎してくれる。  全容の把握ができた気分、たちまち感動を覚えるものは、きっとすぐに飽きてしまい感動が稀薄。  これは、極めて個人的な・内省の事柄、危険を孕んだ発表。  ハッ!と膝を打つような傑作、それも何年も経ってから、さっと霧が晴れるように、唐突に音楽美を認識できることが、幾度もあった。  そして未だに良さを実感できないものも多く、棚から暗黙のプレッシャーを放射し続けておる。  訪ねていくとローズマリーの薫陶が湿度を食べて降りてくる、天井に近いドライフラワー、。  何度か経験するうちに、この佳境に入り始めると、わざと遠ざけてみたりしたことも幾度か!。  一番の落胆は、恣意が透けてしまい、発想の跳躍が難しく、また形の取り繕いに終始。  エモーションが湧かずに空虚な時間が流れ、空しさが襲ってくるとき。  己の感性を深め、熟成を目指す!ための、実験めいたもの。  フリー・ジャズはたいてい難解でさらに安息の波動を退ける。  容易くその音楽美を見せてくれない、我慢を強いられる。  とりわけ、馴染みのないはじめてのアーチストのアルバムは、意欲・前向きの気持ち、さらに緊張や集中が必要になる。  気が付くと時を忘れ、どっぷりと埋没し音列・テクスチュアーを追い、パルテノン神殿やサグラダ・ファミリア構築している。  こんなはずでなかった、迂闊であった!、してやられてもた!、(−.”−;)。  そんな経験こそ、貴重であり、いつしか憬れてさえいる我がうれしい。  難解な・厚い壁を感じる憬れの文学書に立ち向かう時の、期待にはち切れる気持ちに通ずる昂揚がある。  シェーンベルクの無調音楽やストラビンスキーの破壊と跳躍・宮殿の構築、宇宙ワープの爽快、シェークスピアの洒脱など果てしない時空飛翔を探すよろこびが。  これらは、脳の活動場所がきっと同じなのだろう、フリージャズを聴きながら文学に親しむのは難がある。  屹立する音列の螺旋構造や、咆吼する巨大なホーンが放射する明快と諦めの混沌とした音響。  サウンドを浴びつつ考えている、真剣なのだが軸がない、主題がない。  集中するために考えているが、実態は全身・皮膚・末梢神経を全開にし、空間に満ち飛び交う圧を感じている。  

サウンドは一過性、実に儚くとりとめもない、そしてなにより抽象的な感興、めいめいの資質の反射・跳躍に依存している。  読書感想文のように、評価すらどだい無理なのさ。  作曲家と聴き手の間、演奏者は言ってしまえば、手段であって属性。  そして、手段が目的に変わってしまう危険性もある。  そんなことを考えている、音楽自体は考えようがない、ただ感じるだけであり、よろこびもそこにある。  地底に横たわる広大な“記憶の海”に漂い、イメージの構築・跳躍に耽る。  思案顔で頭を垂れているが、思惟はビュン!ビュン!、ヒュー!ヒュー!跳んでいる。  キラ!キラ!した反射、夏の海のようだ。  偉大なものに闘いを挑みつつ、己の感性・資質をタメさんとしている。  感性の鍛錬・浄化めいたことを実感する。  この対峙するような、何かのトレーニングを想わせるあり方は、よくない・間違っている、もっと素直に聴けばいい、ガンバッテそうしたい。  Charles Mingus /Cumbia & Jazz Fusion/ AMCY-1039  C・ミンガスの作品・曲を、活字で表現しようと立ち向かうと振りかぶった剣はたちまち刃こぼれ、退散を強いられてしまう。  ミンガスの後期の大編成が愉しめる作品はこれしかなく、繰り返し聴きなんとか固定イメージを作り、記憶を強固に・永続化・願わくば普遍化しようとしたが失敗した。  こうして言葉で表現すると、事物や情景、心理・情緒反応・印象での例えを拒絶されてしまう。  めいめいが持つ素養、歳月を費やし培った・鍛錬のすえ獲得獲得したものが、理解・吸収をスムーズにさせる。  あるいは反発し退ける抗体となってしまう。  

それをずっと考えていた、エドゥアルト・ハンスリック(Eduard Hanslick)の“音楽美論”は言う、音楽の美は属性である情緒反応になく、音楽自体にある。  情緒反応や想起する絵巻なぞに目を向けず、サウンドそのものを味わえ、耽美せという教え・啓示。  何のために音楽を聴くか!?、其処に求めるものは何か!?、大げさに言えば、“魂の救済”、“人生の拠り所”を探している。  新しい自分の発見、進化したかも知れない感性を、見つけられるかも知れない期待。  これは、本を読む目的、文学に親しむ動機にも通じる。  安息や鎮静、そして精神の高揚・喚起を呼び起こすだろう。  人生の目的を深く考える時間を提供するかもしれぬ。  感じるよろこびよりも、考えるよろこびを提供するもの。  ”ただ動機だけが、人々の行為の真価を決する。- ラ・ブリュイエール”、”詩の目的は心理や道徳を詠うのではない。  詩はただ詩のための表現である。-ボードレール”、これらの箴言から、音楽美の謎に迫るヒントを見いだそうとした。  ミンガスの音楽を斬ろうとした稚拙を感じ、相変わらず恥多き怠惰な日々を送る。  果たしてそうなのか!?、啓示は間違っていないのか!?。  初期の傑作、きっとミンガス自身これ以上の腹の据わった、過不足なく構築しきった、快心の作品はないと確信してるはず。  大股で歩を進める聳え立ちはだかるモノリスを聴き確かめよう、Charles Mingus /Pithecanthropus Erectus。  井上ひさし/自家製文章読本/ 新潮社が面白い。  読み始めると回り続けているCDが、ドンドンン遠くまで行ってるのに気付きハッと我に返る。  井上ひさしさんは、谷崎読本を引用し、論を進める。  『……文章に対する感覚を研くには、……古来の名文と云われているものを、できるだけ多く読むことです。  そうするうちに次第に感覚が研かれて来て、……夜がほのぼのと明けるように、釈然としてくる。  即ち感覚に導かれて、文章道の奥義に悟入するのであります。  「感覚を研くこと」』と、じつに面白く惹きつけられる。  そして、丸谷才一の文章読本の諧謔を絶賛する。  『……観念するしかない。  作文の極意はただ名文に接し名文に親しむこと、それにつきる。  「文章読本、第2章」』としつつ、井上ひさしさんは、申される。  『よい文章を作る作業は、過去と未来をしっかり結び合わせる仕事にほかならない。  もっといえば文章を綴ることで、わたしたちは歴史に参加するのである、と。』  アランの『芸術論集』で、『詩においては、語と律動との間の応和・不応和、のように究極における応和が階調を確保して、注意力をそこへ惹き付ける。  後戻りのない動きが、聴く者を詩人もろとも運び去るのだ。  真の散文はまったくこれに反し、目で読まれなければならない。   ……のように階調から解放されるのみでなく、階調を排除する 。』  う…*ん、すばらしいぃのだぁ〜*。  そうだったのか!。

河の中に堤がある、灌漑用水を取水するために、流れに沿ってパワーシャベルで築いたものである。  毎年流され、構築されるため少し形が異なる。  冬の間 、真っ新な・清潔な砂礫が剥き出しにlなり、ちょっとした探険心を満たしてくれる。  郷愁に似た気分になれる、何一つ回想するものは見あたらず、水面を這ってくる風と陽射しで充分である。  夏は背丈ほどの草に被われる。  陽が傾きかけた頃、釣り竿を持っていそいそと駆けつける。  セイタカアワダチソウやトゲトゲのある蔓草が蔓延っている。  釣り人が踏み込んだ一本の道ができている。  たっぷりの水はゆっくり流れている。  キラ!キラ!輝き、波紋が水底に映っている。  足下まで大きな鯉がやって来る、スポイトのように川底を吸っている。  サンダルの足を河に浸し、風に吹かれる。  すっかり暗くなるまで、川で遊び、目に見えない・無形の充足、そして心地良い疲労と日焼けを感じつつ帰還する。  水鳥の声を頭上に聴きながらの、夏の夕暮れ。  身の丈ほどある草木からちょっと覗かせた、頭がちょうどかくれんぼをしていると勘違いしてしまう。  彼は食物連鎖の衝動を果たしている。  静謐な不安な無抵抗な動物でもあるのである。  この際は脚かっくんは御法度じゃ!。  ごそごそズボンのベルトを改めた彼は、心なしか涼しげな憎い横顔で鼻をピクピクさせている。  あらぬ方に視線を投げつつ、時として口笛なぞあしらいながら 、いそいそと世俗に帰還する。  そんなに素晴らしい真理の発見でも、したのかね!?。  左手で巻くフライリール、100g〜200g、光沢のほとんど無い、”銀粉”と黒。   それと、気負った飾りを排した簡素な外観、超軽量マグネシウム合金(RYOBI 255MG, 〃 355MG)である。  スプールの端のちょっとこころもち反り返ったところ、岩にぶっつけたり砂礫にロッドを置いた時にどうしても付いてしまう細かい無数の傷、外郭部分の塗装がすり切れて剥がれて下地塗装や、地金を曝している痕跡に魅入る。  静物に懐く好み・並ならぬ感情と、生き物ニに対するする愛の違いが俄に定めらねぬ。  ほどよい重さとしなやかさ、滑りがあるライン(≒φ1.0mm)の先端にリーダーが接続され、ティペット(鈎素≒φ0.13mm)に結ばれフライ(毛針)に繋が る。  リーダーはロッドの最後の撓りで空中に放り出され、形となって見える推進波を描きつつ先に進み、無駄なくラインからフライに伝える重要な役割を担う。   最後は先端のフライ(擬餌鉤)を真っ直ぐに延ばし霧散。  フライはふわりと、緩やかに水面に降りる。  

ほぼφ1.0〜0.13mmの緩やかなテーパーに。  "ブレイテッドリーダー(TIEMCO、mainuk UK)"はスチールヘッド用テーパーの7.5〜11フィートと7.5〜18フィートのスタンダードテーパーがあり、ネイルノットあるいはサージェンスノットでラインと接続。   ティペットを7フィートほど繋げます、標準は4フィートですが、太さとともに機転と戦略の閃きで長さは、はなはだ変化。  アクアマリンの透明度や、侵攻速度・深さ、渦流の程度により 、長さとシンカー(≒φ1.0〜3.0mm鉛のガン玉)を打つ位置と数、重さは変えるべき。  しかしこれに寄りかかったり過信は禁物。  明らかに必要悪!?の異形物であり、これの排斥と恩恵は一体。  “理性もまた奔走する一種の情熱”なので、これを御すること自体が、矛盾そのものなので苦悩は深まるばかり。  この"ブレイテッドリーダー(TIEMCO)"は細い繊維を網に編んだ構造であり、いわゆる巻癖が皆無、だから苛立ちから解放してくれます。  巻癖による弛みが皆無、ラインの先端の鮮やかな黄や橙の発砲スチロール蛍光色インジケーターを、てきめんに正直に『ピク!、ピク!』波動させる、その素直さと、しなやかさに感服する。  "艶消しの銀色"と"やや反り返った"ところに実力を隠した、安物っぽさが感じられる大好きなフライリール。  RYOBI 255MG, 〃 355MGは、池袋のICI**スポーツで手に入れた。  しばらくして予備!?を急遽買い足した、手元に4個がころがっている。  気に入ったのは"超軽量"だからでもある(じつははこれがきっかけ)。  フライフィッシングのとって付けたような、自分から剥離した借り物のスタイル全般が、軽薄に感じられ、なじめずにいた。  小気味よいせいせいするこの圧倒的な“パーン!”と突き抜けた皮膚感に、妙に引っかかったからである。  胸のあたりに下げる“前垂れ”型のフライボックスホルダーギアを、カーターさんが忍野のクリークでヤマメと遊んだ時の記事で見て以来、『これだぁ!……』と心に決め探索するがそれっきりである。  シャフトに揺るぎが全くなく吸い付いていて、何時も変わらぬ精巧さに感心させられる。

赤の透き通った○に埋め込まれた“斜のスペード”マークを見るまでは、日本製であることに気が付かない。  これのお陰で脳天を射す真夏の疲労も、2日目からできる右の人指し指と親指の冬のあかぎれも癒やされ、楽しく濃密な我を忘れる時間を過ごせたのだ。  金メッキのマシンカットの冷ややかな光沢の精巧な"Marryat"は外出したことの記憶がない、心曳かれることがない。  HLKT!のシールが貼り付 いて剥がすことができない"Martin"は、大きな誰はばかることのない明るい“カラ!カラ!”の叫び声(ラチット音)が楽しい。  板金の打ち抜きの呆れるほどの徹底したシンプルさ合理性に感心する。  手元のタイプにはドラッグ(逆巻時のブレーキ)機能がないが、むしろ心を開き豊かにしてくれる頼もしいやつだ。  最初に手に入れた物だが、ずいぶん永く書棚に置き去りのままなので、きっとこんどは持って行こう。  ABU社(EF扱い)の"Diplomat156"は、手すりが 白く、ドラッグが徹底的に滑らかで静謐、必用な機能は究極まで高められている。  全体が艶を抑えた重厚な黒であり、静謐な端正さに覆われた、精緻が滲み出た外観である。  類まれな精巧なドラッグメカニズムは静穏であり、不躾な雑音で自然を汚すことが皆無である。  長時間の格闘を待ち望む摩擦機構は、抗力が滑らかに調整ができ、長時間の酷使にへこたれが全くない。  このドラッグ調整つまみは、親指と人差し指に角張った手触りと、ねっとりした思慮深い反射を返してくれる。  これらが全てに行き届いていて、簡素な黒の布袋でも同じであり。  しなやかな黒いポケットに吸い込まれ、たちどころに安堵で大人しくなっちまう。  まさに釣り具の"SUNマシン"を想わせる。  ギアとかボールベアリングがなく、ドラッグが唯一のメカニズムであるフライリールは掌の無二の友人。  バットの後方でロッドの重みと、天秤のバランスを取る重要な役目も。  とびきり頑丈な創り・加工・仕上がりであり。  のめり込んでいた頃の連日の手荒い酷使を潜ってきて、寡黙に書棚で休んでいる。  明るいアイボリーピンクのダブルテーパーのライン(#5-DT-F)が巻かれたまま、バッグに投げ込まれる瞬間まで眠る。  岩に必ずぶっつけるラインローラー部にひびが入って、凹む"(む)"を元気付けるため、…… 友達が地図と独自の感で日本代理店の本店を探し訪ねて、綺麗な袋に入った純正部品を入手、手渡してくれた。  『……!』 今想いだしても体が固まり息を止めてしまう。  ほうれん草のお浸しの赤い根っ子の部分、,仄かな甘みと同じように忘れられない。

大好きなフライリール(RYOBI 255MG, 〃 355MG)は、書棚から憎い"例の銀色"で荒野へと気持ちを曳く。  これを掌にとり指先で挨拶を交歓する。  書棚やレコード、CD棚に囲まれ息を潜めていると、荒野の葦の枯れ葉や砂礫をきらきらそよがせる心地よいノイズ、山奥のせせらぎに突然出現する明るい白い砂地、深い淵を油のようにゆっくりのたうち棲むアクアマリンの自信に満ちた尊厳が、つぎからつぎへと顔を出し消える。  漁から帰ったばかりの漁師のような悠々とした肩つきになり、他人の視線を意識しない憧れを見る眼差しになれるのである。  いつもの表情であるが、心は開かれ気まぐれな朝日のように意欲に溢れている。  フライ(ニンフ=羽虫の幼虫)を巻く。  針先は常に痛みを感じずに指先に刺さり、血が滲むようでなければいけない。  砂礫にもまれた後にこそ、そうでなければならない。  水に濡れても敵に苛立ちや欲望を掻き立て、引きつけるようでなければならない。  ホワイトラビットの“ピン!”としたしなやかな“生きた”弾力が重宝する。  顔や姿を覚えられるその前に変身する機転も、忘れてはならない。  軽くてもいけないし、重さが"不自然"であってもいけない。  "不自然"さはむしろ敵の 苛立ちや欲望、葛藤を救済しつつ弾劾する器量がもっとも肝要であり、しかもつねに刻々と進化させにゃいかん。  難しくて面白いのだぁ!。  

ここで人物は、はたと思い出すだろう。  『(ねこと女はどちらも呼んでも来ないが、呼ばない時にきっとあらわれる)』これなんだよ!。  釣りは哲学なんだ。  人物の顔に余裕と奥行きをじわじわと溢れさせ、“漁から帰ったばかりの漁師のような悠々とした肩つきや、潮風に吹かれた他人の視線を意識しない、憧れを見る眼差し”をもたらし人生を豊かにするだよ。  “GAMAKATU DRY LIGHT #12 F11 3F”に糸を巻き付ける、巻初めを5cm程垂らしておく。  金色の輪、φ2mm・T0.2mmほどの極小をアイまで潜らると、とびきりのスペシャル版ができる。  左右に縫い付けると、いっそうすばらしい!、…*。  固定でなく、ヒラ〜*・ヒラ〜*させると、生き物に強い・深いアピールがあり、釣果に卓効が期待できる。  糸で尻尾を付けるのもいい考えなのさ。  背骨の部分に4重ほど巻く、下巻(≠舌巻)である。  右指で“Stone Yellow”とか“イエローウール+ホワイトラビット”の情熱があるマテリアルを糸と一緒に摘む。  頭(アイ)の方から、少しずつ繰り出し巻き込む、撚りが同時に掛かる。  尻尾まで来たら垂らした糸と結び完了である。  一重に仕上げるときれいになる。  大きさ、膨らみ、バランスを備えた極く自然な形、手触りを感じ得心し大いに満足するのさ。  フライボックスに未練がない達人は、写真フィルムの筒に入れてポケットに忍ばせる。  現場で人目が無いときに“ニシン油”とか“バナナエッセンス”、“∂∠♭Θ∋£”などの妖しい(≠怪しい)添加液をポケットからさり気なく慇懃に取り出し、“資料を収集するための実験”を行なうことは、哲学の原点は経験であるので、いっこうに”だんない”のである。  この実験はエスカレートすることなく、単純なありきたりの薄っぺらい結果に終わり、創意工夫まで至らず、一回で嫌になりやめた。

やはり、ギャンブルである。

名人、巨匠、鬼たちは、そろって激しく口をとがらせあるいは、慇懃に顎髭を撫でながら否定する。  初めての河や渓を、かって知るったる我が庭のように慇懃に物思いに耽り、ズン!ズン!・スタ!スタ!・悠然と歩を進める。  足下を見ることなく、誰かに逢いに行くときのような諦観と寛容、優しさの溢れたもの。  時として超越的意欲を剥き出しにすることも、しかしこれらは全て既に開始された作戦のほんの一面である。  本体は激しく奔流・突き上げる・動物的本能で覆われ忙しく、極めて活発である。  河の底から立ち上った”水棲の弾丸”の吐息、粘膜からの分泌を、ヒクッ!ヒクッ!、鼻先で感じ・深く吸い込んでいる。  水面の波紋や、流れの捩れ・盛り上がり・渦流、水底から立ち上る水泡、小魚の跳躍、目に映るその背後を読んでいる。  歩を進めながら、河の流れを素早く眺め・読み、ちょっとした淵、流れ込みを鋭く察知。  頭を下げ息を潜め忍び足で迫り、きっと”水棲の弾丸”が気が付く前に素早くルアーを撃ち込む。  あるいは優雅なフォレストキャストで昆虫≒フライを、”ふわりっ!〜*”と着水させる。  大きな石の脇のえぐれに潜水艦が潜み、その渦流に暫し休息をとる気まぐれがおり、水面近く元気いっぱいのやんちゃが遊ぶ。  竿の尖端から伸びたラインの先鋒の行いは、全く思い通りであって、全てのターゲットは逃さない。  だから、こうして大自然に融け込み、静かな水面に影を落とす一本の杭になっておるのは、仮の姿でなく実体なんだよ。  

ただ、”水棲の弾丸”の気まぐれや気分、衝動、よんどころない事情は受け流すのさ!。  寛大な心などはない!、大自然の摂理に100%従い、謳歌している王への畏敬。  意に反し、いっこうに水面が一向に炸裂しない。  …… のようにその兆し・気配が甚だ稀薄なのは、天の思し召しなのだ。  これはそのとうりなのだ、受け入れるしかない。  大自然と遊ぶとはそういうことなのだ。  下手な作戦、創意工夫などは、凝らすほど後退・敗北への歩みのような気がして、深夜に這いだしてきて、いたたまれなくなる。  水底に静止・休む”水棲の弾丸”の背後から追い立てたり・唆したり・牽制したり、いらぬ干渉はとんでもないことだ。  ましてやちょっかいや擽りの類、下手な刺激・追い立ては厳に戒めなければならぬ。  先方の闘争意欲を認め時・その兆しを察知したときに、正面から挑む、これしかない。  だから、こうして両足で懸命に流れに抗しているのだ。  偶に、差し出したロッドに、サッ!と蜻蛉が休んで行くことがあるが、今度はきっと帽子に休んでもらうように心掛けを改めなければならない。  しかし、技(わざ)が充分に有り余り、更に“運”が30%程度向いて(≠剥いて)、いい風が吹くと、おもわぬ炸裂が出現する事がある。  自らの技を過大に信じ込み、上手い具合に自らを励ますことができる。  たまたま歓喜が連続したとき〔初心者にあっては、特にビギナーズラックと云う、何故か若い(何故だ?)女性に多く出現する。〕に冷ややかに鼓動を抑えたりしながら自問する機会に恵まれる。  それぞれでっちゅう(≠熱中)しやすく、人生にゆとりを分泌し完成された哲学的スポーツになる。  燦たる夕陽を浴びて、ピーチ色の西方の天空の充足・感謝を受け入れる。  失ったものを感じ、得た物を考え、今日の終焉を噛みしめ、竿を担ぎトボ…*・トボ…*還る。

天空に低くたれ込め、沈痛な悩みを抱え込んだ無彩色の艦隊が緩やかに進行、たいていは気が付かぬとても緩やかな微速。  危うい気まぐれな雲が流れる花冷えの日々。  暗褐色の堂々たる艶やかな豊満の腰、精力はち切れ横に裂け目の幹、ゆったりとうねり天に拡がる精悍な触手。  薄着のピンク・睡たげな白の花が氾濫する。  爛熟のけじめのない、密かに・微かに辺りの空気を呼吸する気配。  暗褐色と白、青い空が謳歌する、危うい大気の行きがかり。  青い天空の下、息詰まる圧迫が降りてくる、『ギャー!・ギャー!・…*』いっそ野鳥でも咥え、喰い散らかして欲しいと思う。  鳩でも、メジロ、雀あるいは尾長でも、いっこうに構わぬ。  匂い立つような白の絢爛の海、贅沢の極み・惜しみない典雅、あっけらかんとした悠久の浪費。  やはり、”桜の木の下には死体が埋まっている”が、ふさわしい、そして得心がいく。  この軽薄な花びらの大集合には、爛熟の芸術が例外なく向かう抽象化への道がない、進化の兆しが見えない。  進展の希望が無い、明朝の良い匂い、パリッ!・しっとり・ふんわか、美味しいパンが無い。  唯一の耽美であるところ、濡れた地面に張り付いた白いもの、☆"☆"☆"☆"☆"。  雨に打たれ地面に潔く発散し、行状をあからさまにすることなのか。 てんでに閃き・サイコロを振り、向きを定め、全く同じものが程よい隔たり、重なりで偶然の模様を見せる。  夥しいテクスチュアーには、どこを切り取っても同じものがない。  起承転結、形ある主題、人生に影響を及ぼす思惟は見あたらず。  疾風が書き遺した、無調・無拍の長大音楽の譜?、人以外の耽美する叙情詩?。  一瞬、荒寥たる平原の出現かと心弾むこととていっそう虚しい、危うい春風の気まぐれやろうめが。  とりとめのない思惟を綴ろうと言語を並べてみる。  やっと出来上がった、散文、イメージ、工夫を撫で回し、こねくり回し展開・伸張・工夫を愉しもうとした。  上空からふっと舞い降りたか、角を勇んですり抜けて来たか、気まぐれ春風があっという間もなく、跡形もなく砕き蹴散らした。  薄ら寒い借り物の饗宴が過ぎた後、トウカエデなどの街路樹がそびえ、ドウダンツツジの植え込みに風で吹き寄せられた夥しい薄い褐色のガク。  サクサクと誇らしげに踏みしめる時、初めて旺盛な樹木を見上げて安堵する。  ICIスポーツで買った果物ナイフの握りそっくり、グイッと反った鞘を”ポン…*”と折り、白い綿にくるまった青匂い薄緑の未熟のそら豆をステンレス鍋に落とす。  茹で上がったポクポクをいただく。  美味しいかどうか?、尋ねるのは不躾、なぜなら彼らは未だ青く天を仰ぎ、精進に励んでいた最中、”ポン…*”と折られ沸騰の煉獄で進化させられたばかり。  きっと、ムッとするものが広がり押し寄せさ、さやかな復讐をするはず。 

んで、力学である。

岩に捉えられあるいは、もてあそばれ撚りを掛けられ、淵の底に緩や かに沈み力を漲らせ、広い瀬で急がされ加速された、澄明で気まぐれで一途な川の流れ。  この流れに、人物の制作によるフライ〔虫などに似せて、あるいは全くの思いつき(ファンシーフライ)の形・色彩・肢体〕をラインの先のティペット(=鉤素)につけ、腕の撓りで発した進行波がこのラインで搬送され自在に飛翔・着水・そよがせる(=真に近い生態波動の放射)精神力と機転が大切なんだ。  逸る気持ち、溢れる自信・傲慢、持てる最高のシューティングはきっと美しいだろう。  この“精神力と機転”は、格闘バレエ通信講座〔格闘家のためのアカデミックなバレエ講座〕のトレーニング講座で身につけた“からだと心のコントロール”の趣旨の理解。  …… のように“気が剥(≠向)いたら欠かさずきっとやる”ところの実践がモノを言うんにゃ!。  殆どの場合は、気まぐれな風がいかんのだが。  耳の後ろに鈎の痕跡を残さないようにするため、人物は寡黙で静謐な優しい(なぜわかる?)心の深くて広い意地悪な大好きな兄ちゃんのような。  ただ、だしぬけに時々“我を忘れる”唯一の弱点をもつSUNマシンと、そのマークがそっくりの"Columbia" の薄土色の鍔の長いキャップをしっかり被るな。

ヤマメを追ってズンズン、深山に分け入る。  岩をよじ登り、流の中をひたすら登りヤブを漕ぎ、堰堤に行く手を阻まれ大きく迂回する。 同じような景観に方向感覚を失う。  ワクワクする期待にはち切れそう、ほかは何も考えられない。  時間感覚もおぼろげになる。  精神はドンドン浄化され、肉体は心地良い大自然にすっかり打ち解けている。  解放されている。  崖を幾つもよじ登り、這い上がる。  滑落の危険が大きく口を開ける急な崖。  頭上に覆い被さる樹木の下、身を屈めて渓流の中を歩いて遡上。  不思議な足下の感触を感じ、何だろうとふと見た。  細かい白や明るい薄茶のサラサラの砂、足がすっかり潜り込んでいく。  くすぐったいような、『ほう!、ほう!、こんな砂が!?』と感心する。  上流の方を仰ぎ見ると、木々の茂みの透かして青い空が見える。  幾度も目を凝らすが、何時しか山のようなものはない。  一切を解け去り、サッパリ払拭しきった、剥き出しの自然との交歓、惚けたような安堵・安息。  この夢のような甘美な経験は、きっといつまでも残るんだ。  山を降り渓を下り、だんだん人間界に入り、帰還するときの嫌な気分。  汚濁の空気や喧噪だけでない。  きっと大自然との打ち解けた交歓で、浄化されたていた精神の解放感が閉ざされていくことへの嫌悪感。  極めて個人的な気持ちの変化。  これは棲み処に持ち帰ることはない。  麓に辿り着き、橋を何本か渡る度に、ツツゥ…*と滑り落ち、サラ〜*・サラ〜*と霧散してしまったのさ。  ねこの来ない夜更け、開いた本と憂愁の視線の間に登場するのさ。  笹をそよがす囁き、樹木の呼吸、天空高く吹き抜ける上層気流。  キラキラの青や銀、ぬめりの緑の光輝で浮かび、常に決まった光景を甦らせる。  この光景はいつの場合でも、不思議と変わることがなく同じ。  飛躍とか展開、細部への沈潜が困難なんだ。  人工灯の下で、硬直し始めた精神。

逸る気持ち・棲み処を出発したときから、ますます強く揺るぎない・抜き差しならない一途なものになり、膨らみ続ける侵攻の野望。  静かに秘やかに待ち構える渓や崖、大岩、ヤブ、淵、ザラ瀬、堰堤。  ひたすら・どんどん遡上し、夥しい樹木をすり抜け、滑りやすい大岩を乗り越え、ピョン!ピョン!跳び渡る。  渓水に踏み入れ、キーンと冷気に締め付けられる。  たくさんの忌々しい堰堤・人工構造物、大小の滝を登っていく・這い上がる。  ヤマメをそっちのけで!?、沢登りに躍起になり埋没しきっておる。  サラサラの砂を踏みしめ、よく滑る白っぽい巨石・花崗岩を乗り越え、苔生した雫の滴る岩壁を伝い、身を屈めて樹木のトンネル潜る、づんづん渓をわけいる。  全く同じようにも思える渓の景観の連続が続く、そして新たな流れの連続である。  ここぞと期待を掻き立てる“ポント”が次々に出現し、ことごとく侵攻者に攻められ汚されていく。  山蛭の話に元気を取り戻す。  醤油味のジャコの炊き込みご飯のおにぎり、海苔の佃煮の香りがうれしい美味しい俵型、前の夜作ったのだ。  竹輪と蒲鉾、じゃがいもの煮付け、ターッパーから摘む、すこぶる美味しい。  水筒に直に口を付け、グビビ・ゴクゴク。  喉に残る茶渋のほろ苦さは、一瞬、奥深い山中にいることを改めて思い知らされる。  左に曲がったとたん、渓の辻に出た。  黒い濡れた岩盤が両側にそびえ、天を仰ぐと高い空が蒼い川となって見える拠点に迷い込んでおる。  清潔な淡いけれど華やかな、澄み切った幾筋もの日光が渓間に漲っている。  明るい林に、ひめやかな生気に溢れた苔の匂い。  この一年間に体内に集積した酸が抜け出す。  明るい空の下の息苦しい程の植生の猛茂、静穏に圧倒される。  微かな風の音が『かさこそ』聞こえるばかりで、『シーン……!』とした森のそれとも、黒い岩盤のそれともつかぬものに、心が奪われ体を捕まれ動けなくなる。  肉体も奥深いはずの気持ちの在処も真っ新に浄化され、新しい知覚が研ぎ澄まされパチパチ弾ける。  断崖の台座に仙人が瞑想していても、驚かない、そんな超現実感に包まれる。

頭上に迫る樹木に身を屈めて遡上する。  足下を覆い、『ズズッ!、……!』と靴が潜り込む感触は、味わったことのない、くすぐったい・笑いが沸き起こるような、痛快・爽快な心地。  脳裏に不思議な感触と"秩序ある無秩序により、救済される主題"を感じさせるもの。  背丈程の砂岩!?や花崗岩がごろごろ転がっている中をズンズン進む、大いなる期待と野望を漲らせて全方位神経を戦がせる。  清潔に仮死の刹那を弛まず集積している石たちは、晴れた天を瞬きせず凝視し続ける。  全てに秘やかな静謐に包まれ、清潔な妖気が弾けている。  宇宙的な時空を形成する一端が露呈している気がしてくる。  末梢神経がピリ!ピリ!打ち震える。  寛容が満ちている、大自然に懐かれているヨロコビが込み上げる。  巨岩に体を預けると手で感じる感触は冷やかであり、大地の寛大な抱擁感に包まれる。  一切が反射するものはそのまま自分である、自らの生体波動がそよぐのを認識する。  狂おしい生の氾濫に翻弄される自分が見える。  むせ返るような植物の繁茂、したたかな植生、夥しい種の混沌として・整然とした様。  極く当たり前のことが、永い年月を経たものであることを改めて思いしる。  侵入者は孤独に苛まれる、排斥の圧に圧倒される。  予期せぬ思惑を押しやり、全身で冷気を吸引する。  荒地願望が呑み込まれてしまい、足下がおぼつかずよろよろと前へ踏みだし進む。  巨岩が発する不思議なおっとりした渇いた大らかさが体を抜け、“ぼうっ…”とする。  薄暗いスギや檜の樹体のひしめくあたりから降りてくる、笹をそよがす優しい樹風で目が覚める。  白い砂礫の隙間から囁く瀬音の楽興が、ひときわ大きく感じられる。  漂白の影となって、彼方まで連続するゴロタ石の覆う歩きにくい原を漂う。  引き裂かれた渓から『バシャ!、バシャ!』活発に清水が本流に注いでいるあたりから奧を覗き込む。  『ザワ・ザワッ!……』岩や草木が一斉にこちらを振り向く。  木陰の羊歯の繁茂する糸蜻蛉の休んでいるあたりから、しなやかな肢体の黒い影男が走り抜けそうである。  四方から見えない力で解体される。  天は意外に明るく、奧に進むと更に明るくなる予感が襲う。  導かれるように、渓の命じるままズンズン遡上する。  ひたすら上流を目指す、出現する大小・とても魅力的な・隠されていた淵をことごとく訪問する。  歩き続けること自体が目的になっている。  立ち止まり、竿を伸ばし、釣り鉤を投入することはヨロコビであり、何にも代え難いほどの期待に満ちたものである。

唐突に上空が開け明るさに満ち渡る、小さな偉大な旅は閉じ・夢は終わった。  すごすごと山を降りる。  突き上げる昂揚、迸る狩猟本能を縛させた精神の躍動があった。  次第に麓に近づき、現世に帰還する、大いなる喪失感に似た嫌な想いで汚濁の街に還る。  何も変わっていない、ただ時間だけが静かに過ぎていったのだ。  たくさんの生き物・水棲との遭遇・衝突、一方的な騙し合い・駆け引き・闘いの押しつけ、鼻持ちならない功名心に浮かれていた。  素早い反応・的確なポイントへの撃ち込み・羽根のようにしなやかな飛翔の出来に得心、大自然に浸ることの錯覚・自己満足を満喫していた。  ふつふつとわき上がる内なる声は至極厳しく穏やかや口調、だからただ黙って頭を垂れるのみ。  前夜、装備を整えあれやこれや作戦を巡らすとき。  今度こそは、足と直感でポイントを探しスタ…*スタ…*歩もう、そして執拗な・粘り強い攻めは控えようと想う。  熱中し・没頭し我を忘れており、きっとまたもや果たせず、冷気が降りてくる還り道で、痛恨の想いに駆られるに違いない。  出掛ける時の横殴りの朝日のようにキラ!キラ!した気持ち、何もかもうまくいき、きっと意外な発見も違いないと思い、全てが前向き・向上心に後押しされている。  心残りの渓に別れを告げ、山を降り住み処に帰還するとき、いかにたくさんの収穫があっても、心は満たされることなく、喪失感がじわじわ込み上げてくる。  目的のない、動機が何かに背いている行いだと確信している。  殺戮にはいかなる理由付けは見あたらず、ましてや周到な準備や抜かりない戦略が成功しても、嬉しくない。  そのくり返しである、そしてひとつとして倦むことがなく、希望と憬れ・戦略に満ちあふれる日々である。  果たして大物を掛けたときに、こんどこそ・想わず周りを見渡しなどしないでおこう。  朝靄の中にポイントが姿を表し、いそいそと馳せる気持ちで駆け付けるとき。  ラインに極く小さな変化を認め、間髪を入れず・反射的にクッ!とロッドを煽る瞬間、これ以外は全て本質にあらず属性。  動物的反射と創意工夫の過程などでの、”ハッ!!”とする閃きめいたものを感じるとき、人生・人間のヨロコビを感じることができる。  まして、体に電気が駆け巡るほどのことは、…… ぐらいしか思いつかない。  日常の生活の一端に過ぎない、朝日を浴びて電車に乗り工場に向かい、夕陽を瀬に受けて何も考えずに家路を急ぐ、米を研ぎ野菜を洗い、魚を焼き食器を洗い、=(・。.・)= 猫を探し本を拡げるのと同じ。

つまり衝動である。

静謐な昼下がり、彼とその友だちは、けだるい濃密な愉しみ、だらだらした過不足ない刹那を満喫していた。  上手から降りてくる真っ新の緑の渓水、岩陰の淵の捩れの中で気持ちよく遊泳していた。  昆虫の幼虫や羽化直前のニンフを見つけようと、懸命になっていた。  のびのびとした自由な時間であった。  多くの侵攻者達は木陰で美味しいランチや、冷たい水を楽しんでいた。  開けた渓、木陰のある乾いた・ささやかな・冷ややかな・白き砂の原を見つけ、足を投げだし、帽子で顔を覆い午睡を貪る。  上空を渡る初秋のささやかな風音、足下の渓河の音、野鳥の声それぞれ鋭く・的確に・余裕たっぷりに・互いに呼応を楽しみながら。  どれひとつ無駄がない・衒いがない・遠慮がない。  見せかけの午睡が恥ずかしい、存在が紛い物。  自然に融け込もうとするほど退けられる、排斥される、無視されあげくに軽蔑の眼差しに射られる。  ずっと前方の鏡が唐突に破れ、空の波紋の中にふいに“不自然に”、“わざとらしく”抗しきれない衝動を呼び起こす事態を認める。  羽虫もしくは、ニンフ(その幼虫)に違いないなどと感じる前に、全身を弓のように湾曲させピリピリ奮わせ、尾ヒレとともにバネを弾けさせる。  石火の瞬きの素早さで推進し“苛立ち”の原因に接近し素速く吟味すると同時に(としか言いようがない)振り向きざまにターゲット・敵を捕捉しUターン、悠然と帰還する。  人物は刹那のまっただ中、ふいに“グイ!”と向こうに引っ張られるから、束の間、悲痛に駆られる。  堰を切って熱くからだじゅうを奔流し沸騰する“なにものか”で、心臓が突進しないように必死に努める。  後頭部が痺れ、喉は締め付けられたよう、口の中は渇き舌は貼り付く。  天体の中枢にあり、目まぐるしい変遷が、ふっと過ぎったように感じ、スローモーションを見る。  感じやすい初心者の人物は、前が濡れる!……、完結する。  一切の戦慄が形を変え、焦燥と緊迫が霧散する頃、いっぱいに詰まった充実は無くなり、光は消え虚ろが侵出する。  人物は魚を釣り一時の昂揚もあった、そして失ったモノがわらわらと、這い上がってくるような気がする。  遥か地平の一点、すうーっと伸びて先を垂れた葦の葉を眺め、目が潤む首筋がヒンヤリする。  あの魚は自分であることを、微かに感じて悲痛になる、肩が震える。  日は没し、また登り、朝露を風が撫で過ぎてゆく。  堂々としてて、自信に満ち、どこか生真面目、内なる激しい情念はキリリとした口元に、常に失わない希望はほっそりした感じの頬の横顔に、優しさを探そうとしてると、『はっ!』とさせられる。  “…… にはだまされないぞ!”。  そして朝早く、その悲痛に逢いに人物は、また出かける。

深い渓を見下ろしゆっくり左手に曲がる。  『ガタンッ!、ゴトンッ!、…!、…!』冷徹とふすぼった欲情を地面に打ち付ける。  よりしっかりと、そして深く、倦まず打ち込む。  不規則な周期性のある振動と音、ぼくらを麻酔し睡の淵に寄せる。  深く切り込んだ渓に木魂する機械音、放たれた途端に脈打ち情念を推し進める。  細長い箱を幾つも連ね、山林をかきわけ縫って推進する。  グングン遠慮なく迫り車窓を掠め風を呼ぶ、みるみる後方に流れる寡黙な痩身の杉群。  流れる杉林のスクリーンに透け、寡黙に必至に追い駆けてくる向こう岸の木立。  遙か下さざ波の銀色をキラキラ反射させ朝靄を沸き起こす。  サラサラと風を誘いながら、渓底に貼り付きながら、寡黙に連鎖を続ける蒼い敷布のような流れ。  石の橋から見下ろすと、蒼い帯が白い砂や砂礫に浸み込まず、ゆっくり縫って行く。  しかし推進のエンジンなどの動きは感じられず、その形は見えない、心地良く惰眠を貪っているようである。  渓底から『ワハハッ、……!』と、歓笑が登ってきそうである。  ゆっくり蛇行する河の北側の急斜面の高いとこ、冷暗の杉林を縫って橙の電車がするすると走っている。  いつもの駅に近づくと、そわそわ落ち着きがなくなる。  電車から押し出され、明るく広々とした渓に向かって、急な石段を転げ落ちる。  くすんだアクアマリンがゆっくり動いているいるように見える。  近寄ってみるといたるところに暗くて濃い淵があり、どっしりした岩石があり渦を巻いているのが見える。

冷ややかな苔生した岩、気持ち良さそうに蹲るように川面に映し、蒼く堂々として・静謐・鷹揚である。  頬を撫でる風が気持ちいい、全身が引き締まる、ヒンヤリと首筋から背中に入り込む。  あちこちで瀬波がはしゃぎ空を引っ掻き、叩きさまざまな音を弛まず起こす。  すぐさま、苔むした岩肌、両岸からびっしり覆い被さる樹木に吸い込まれる。  “潮騒”を聴きながら、杉林の中を縫って侵攻する。  河に沿って水際に小径が造られている。  ゴツゴツした突起は樹木の根。  始めは崖が迫っている、高い位置の木立のトンネルの中を歩く。  両緑の岩盤に覆われた長壁の足下を、ゆっくり揺るぎない眼に感じられない圧倒的な力で推進する。  白熱の中で不動の静寂に落ち込む。  脳天から陽が刺す夏だと、いつもの切り立った危険な崖の岩盤にずっと立つ男がいる。  そのまま水中に屹立する深緑青の淵に向かって、長い竿を真っ直ぐ下に下ろしている上半身裸の痩身がいる。  おそらく安全な澱みに集まり乱舞する、鮎を狙っているのである。  暫く歩くと急に河原が広くなり、背丈ほどの石がごろごろするあたりに出る。  よく見ると砂礫がほとんどである。  白い山砂が夥しくあたりに侵攻している所に出る。  遊歩道!?にまで溢れている、なぜ!?。  おそらく台風などの洪水ほどの出水で上流から流され、川幅の開けたあたりで流速を落とし沈下させたのだろう。  初めて山の中でサラサラの砂を踏み締めて歩くときは、『おおっ!』思わず声を上げてしまう解放された気持ちにしてくれます。

朝、5時に寝床から“ガバッ”と脱出し、ウエストバッグを開き、仕掛けなどを確かめ準備を整える。  ドアが開き、見覚えのある無精髭・KWさんが近づき、煙草臭い低い声でぶっきらぼうに『おぅ…*、行くぞっ!』という。  いつも、不機嫌と快活、突き抜けた大らかさが混沌としている。  煙草を吸わない僕にとっては、親父を想い出す匂いで、たちまち寛ぎを覚え安堵する。  釣行の緊張感さえも、どこかに行ってしまう。  行く先を教えられぬまま、ドリンク剤を渡される。  引き締まった朝の冷気、未だ半覚醒の重い頭、じわじわと・強制的に・自ずと目覚めていく実感、体に暖かい血が行き渡り、精神がピリッ!!としてくる実感は悪くない、むしろ他に得難いヨロコビなのさと、いつも想うんだ。  殆ど無言のまま走り出す、今日こそは下手な会話に陥らぬようと想う。  ラジオを聴きながらどんどん西に向かう。  きっとこれが習慣なんだろう!?、もしかしたら気を利かしたのかも!?。  いまでも解らない、他の多くのことも。  いつもの辺りで、きっと朝陽がサッと射し込み、地平線から明かりが這い上がり、反射で上空が色付きはじめる。  ほんの一時のホレボレする美しさ。  毎度繰りかえされるが、いつでも新鮮なのは何故だろう!?。  寝起きの頭が次第に澄明になり、超越的意欲に満ちてくる。  不思議となんの根拠もなく、今日は釣れる!と言う想いが頭をもたげる。  未だ渓の様相でない、開けた河に止まりスタスタと河原に降りる。  小さなタモを取り出し、大石を次々にめくり川虫を掴まえる。  『少ない!、採られた後だ!。』と吐き捨てるように言う。  再びどんどん西に向かう、軒先を掠めとても狭い山道を行く。  きっと幾度か通ったルートだろう!、だからこんなにスピードを出しても大丈夫なのだろう!?。  前方の見えないカーブはヒヤヒヤする。  やや開けた辺りに着き、虫除けをシュッ!とやられ、山蛭やブヨの注意を聴かされる。  さあヤルゾ!、意欲満々に周到に準備する。  未だ夜が明けたばかりみるみる朝靄が晴れていく。  静寂に包まれ植生の吐息が這っている、小石を敷き詰た河原はサラ…*サラ…*、緑を映しキラ!キラ!輝いている。  とても冷たい澄んだ渓に入り込む、汚すようで侵入を躊躇する気持ちが一瞬掠めるがたちまち霧散してしまう。  “山男”は驚く程のスピードで、渓流の中を歩く。  先行しつつ、大小のポイントにつぶさに竿を伸ばす。  後からついていき、澱みや落ち込み、岩陰を攻める。  次第に深山幽谷の様相を呈し、蜘蛛の巣やとても滑る苔生した岩が続出する。  土砂ですっかり埋まってしまい、その機能を失った堰堤を幾つも迂回し、岩山の木の枝に掴まりよじ登り、明るい開けた広場が出現する。  

俄に赤土色の水に変わる、上流で工事をしているらしい。  『おやっ…!』と驚いたり、ささやかな飛沫に虹の架かる滝壺が、すっかり静かであり、生態反応がないことに慣れっこになっていった。  白くてさらさら滑りやすい石を大股でピョンピョン渡り、ゆらゆら青や緑、紫、銀をそよがせる豊饒の光輝の連続。  気持ちも心も、かさついた脳髄も“パチパチ”帯電し、ずんずん真っ新になってあたりの新緑に融けていった。  背丈の数倍もある岩がごろごろしていて、滑りやすい川の中を山登りする。  『先行の友人が先ほどからずいぶん尺近いイワナを上げている、羨ましく思いながらやっと追いつき魚籠を見せて貰ったら空だった。  何故だ!?……。  あろうことか奴は、食っていたんだ!。』そんな話を交わした。  青く澱む淵に出くわし、足場の殆どない垂直のざらざらした岩肌の20mの壁を見上げ、『この崖を登る。  心配ない!……』と言われた。  躊躇しているとKWさんは蜘蛛のように岩に貼り付き慎重に登ってしまい、上のほうで手を振っている。  『……無理や、……ん!』と叫ぶ。  結局友人は、下りは危険なので大回りしながら下り、入渓場所に近いところまで戻り、遭遇できたことがある。  落胆した彼は、ひとこと『情けない!。』と吐き捨てた。  それから蜘蛛男は、渓流用の地図を手放さなくなり、色鉛筆で道なき沢に制覇した道をどんどん描き込み、休みの度にそれを増やしていった。  時々様子を聞いてみると、ザイルでしか降りられない所しか攻めないとか。  腰の牛革の鞘に入れてぶら下げる山鉈を鍛冶屋で造らせたとか、味噌と米をしっかり持って朝日川連峰へ行く!?……とか、とんでもなく凄いことを言うようになった。  これまでのように、一緒に山へ行くことは、無くなってしまった。

それより何年か前の、ある厳寒の日、『魚らしい魚を釣る(ように…と…から強い要請!?を受けた)、それは“黒鯛”に決まってる』。  などと嬉しいことを宣いつつ、朝早く江ノ島に向かって南下した。  その頃は、やっこさんは未だメゴチとアナゴしか釣ったことがないのだった。  暫くしてコノシロを釣ったと聴かされたりもした。  (近海ものが自慢の鮨ネタばっか!。 )島の西側の磯の岩の上に跨りじっと夜まで粘って、ゴンズイが釣れた。  みそ汁にして食ったら、旨かったらしい。  後で図鑑を見て死んでもなお強力な、大人を悶絶させる痺れの毒バリがあることや魚名を知り、『オレは、悪運が強いんや!』と支離滅裂なことをのたまった。  またある日、夜風があまりに寒く、更に右の長靴の中が濡れていてゾクゾクし始めた。  夜の部を始めて1時間も経たないうちに『……もう帰ろう…、潮が…だめや!』と頼んだ、『黒鯛を釣るんや!、それまでわ……』と、頑として譲らない。  黙って釣り用の長靴、ぱんぱんの防寒具を着込んだまま、泣きながら窓に顔を押しつけて電車(モノレール)で帰って来てしまった。  翌日、夜ドアをドンドン強く叩く者があり、不安を抱えながら顔を出すと『いるか〜……!?。  だ〜〜め、だよぉ〜………、黙って帰ったら……!。』と、陽に焼けた無精ひげでどかどか入り込み、笑顔で車中に置き去りにした釣り道具やらを、部屋に放り込んでくれた。  『……!』

南岸の杉林のなかの上り下りのある小径、スギの落ち葉の匂いを吸いながら、鞄を肩に懸けロッド持って走り抜ける。  ライセンスを獲得して取って返し、『はぁ!、はぁ!』つんのめりそうになりながら林の中を走る。  水面から3m程の岩がせり出した頂上に跨り、『ヒョイッ!』、フライをフワリとできるだけ上流に着水させる。  垂直の岩盤はそのまま水中に没し、最深の淵の水道となって流速と水量を誇っている。  人影から最も離れているため、走るアクアマリンの中に黒い影が居座ったり、閃光のように駆けめぐっている。  少し下流のカーブするあたりに岩盤がえぐれていて、流速の中に一畳半ほどの大きな丸い石が、水没し少し頭を出している。  その石の下流の渦巻きの中に、何かの小魚が無数に、わらわらと流れのまま漂っている。  その中に黒い背や銀の腹を時々“キラッ!”と輝かせる、乱舞しているものたちがいる。  試しにフライやルアーを投じてみる、初回は追っかけてくるが、それっきりである。  しだいに興味!?を捨ててしまう。  だから試しでなく真剣に挑まなければならない。  ”自然に試しはけっして無い”、ことに気付く。  フライがちょうど真下にさしかかる頃、オレンジの発砲スチロールのインジケーターが、ちょっと止まったように感じられる。

ロッドを鋭く程良く煽る(決して煽り過ぎぬこと。  ティペットが切れたり、上唇に鈎を刺したままその仲間の所に返すはめになる。  さらに後ろの木の枝に刺さったり、銀色のピチピチ踊るやつを空高く放り投げたりして不躾だから。 )これは、言うは易すく行い難しなんだ。  どの釣り人も皆本物であるほど、瞬時にアドレナリンがピュッ!と射出される特性を持っている。  しかも電光石火の正確さだ。  従ってこれが身に付いた頃は、衰え始めたことでもあり、第一考えながら脊髄の反射で動くなんて矛盾だから……。  川底に居座る黒い弾丸が自分であると感じられたら、きっと自然と身に付くな。  たちどころにラインが一直線に走り出す、ロッドがゴンゴン軋む。  胸が押しつけられ、喉元が収縮する。  世界が消え、魅惑の時間が静止する。  やっと遊離した心気持ちと体が元に戻り、ティペットが岩でこすれて切れるのではないか!?。  !?……、心配でドキドキする。  岩肌を掠めて疾走する流速、夥しい質量のアクアマリンと一体となった黒い弾丸は、重い潜水艦である。  時として川底をゆっくりと上流に向かい、そのまま直進しいっさいの反射も挨拶もなく、冷徹に尻尾をヒラヒラさせ捕捉から消えることもある。   張りつめた糸と気持ちは、“ふっと!”解放されきみの顔はちょっと暗く歪み、安堵もする。

屋根付き塀の潜り戸の脇、立て掛けた土管に五三竹が生えている。  毎年、秋に皆刈採ってしまう、頼りないヒョロヒョロした筍。  根本の部分は既に釣り竿の握り、申し分のない詰んだ節の配列。  実に頼もしい贅沢である、いいぞ……!!。  2.4m程(=8feet、8尺)は和洋、今昔を越え腕の延長となり、糸を自在に飛翔・励起・波動・引導するに絶妙の長さ。   自然の摂理で心と肉体のバランス活動に損失!?が最小であるのは、無論である。  この長さだと総重量にもよるが総じて、腕の撓りで発した横波動は自己の固有振動波長より長く、反射波が還って来ることがない。  従って重さ、鋼性との折り合いが無用であり、振り続けても腕を痛める心配がない。  憂うべきは、皆が魚を追跡し過ぎたため”沖合い”に退き遠くなったた。  不本意な”下手の長竿”に甘んじる羽目になったばかりか、軽いことしか自慢できるポイントがないカタログを、眺めさせられる手応えのない非充足である。  黒鯛の懸かり釣りや、フライロッド、へらブナ竿などことごとく、感興を感じられるこの長尺で生まれ、このように落ち着いた。  縄で縛って鴨居にぶら下げたのからこれはと想うのを、引っ張り引き抜き、枝の残骸をきれいに削り採る。  一本の極上の正宗(もちろん当時はそうは、想わない、密かに釣り竿になる種類の竹が、生えるのが嬉しい)が出来上がる。

川幅6mほどの農業用水・クリークでは長すぎる竿は、甚だ操作に難儀するのである。  ほどよい長さ、偶然であった。  砂利道に長い影を曳き侵攻し、田圃の”物の怪”の許に馳せ参じる。  ”MCIA”御用達の”極細のゾクゾクするプリプリ、ムッチリのみみず”、この作戦では、役不足であるばかりか、外道が取りつくので有害ですらある。  3本の轍を覆う農道!?の田圃側の端にバイシュクルを停める。  雨の後の土は柔らかく、バイシュクルはすぐ倒れる。  荷台の大きなのに乗かって田の見回り(主に病気や潅漑状況を視る)に付いて行くのが日課だった頃、『じっとしてるんや!』と言われ放置されたことがある。  荷台に跨り開脚してる脚がどうも痛いと確信し、もぞもぞし始め、スタンドが土に潜り傾き始め降りようにも降りられなくなり、ついに念じた効果はなく水田の泥に倒れ込んでしまった。  稲が倒れた跡を見て心が傷んだが双方とも何も申さず、なぜか田圃に隣接している○槻医院(やっと想い出したぁ!)に運び込まれた。  消毒薬の匂いがツンツンする、ヒンヤリする皮張りのベンチに横たわった。  しかし○槻医院など呼んだことは、殆ど無かったのによく想い出したものだ。  畏敬を込めて”藪(さん)”とよび東方の遠くの贔屓の”村○”さんが休みの時しか行かなかったのだ。  しかし掛かってみるとどちらも冷たい感じで、夏でも使わない火鉢を引っ込めてなかった。 

夏、豊饒のクリークは水かさを増し、滔々と流れその速さを増し、はち切れんばかりの静謐のなかにある。  したたかな生体反応で満ちあふれる波動に満ち、絢爛たるさざめきが溢れている。  それは、岸辺の草や灌木に蜘蛛が鷹揚に網を巡らせたり、バシャ!とモグラ!?が落ちたりする水音。  鷭が稲元のトンネルを駆けるらしき足音や擦れ音で分かる(ほんまか!?)。  鷭の卵は、野良仕事から持ち帰ったのを、一度食べたことがある。 夕陽を映し金色に光る流れに、唐辛子浮子を投じる。  轍の両側の夏草を結んだ罠に気を付けながら(自らの制作の地雷は特に!)、大豆の葉っぱがクルクル巻かれた葉を探す。  葉脈を白く残して食べる、巣にいる青虫を採る。  小さいバッタはたくさんいる。  これをサッと手で掴み捕まえ、腹から背に釣り針を刺す。  好ましい彼らはいつでも見事な仕事を果たした。  ”チョン!、チョン!、”ツン!”、”……!”微かな浮子の波紋を見逃さないようにズンズン歩む。  ずっと渇望と期待を混沌と懐き続け、それで判断を乱さないように言い聞かせながら。  少し前に思いついた新しい工夫を投入するヨロコビが、空回りしそうな不安も。  遅すぎず速からずの間合いを図り、『サッ!』と素早く鋭く短くしゃくる。  フワッ〜*と傾く前兆を見逃さず、うまく合わせた時はきっと上唇に刺さっている。  ズイッ…*っと引き込まれたり、止まったり、横に流れる変化に合わせた時は、たいてい喉の奥に。  流されるまま漂流する、深さの変化・水底の変化を想像しながら対処する。  ブル!ブル!、しなやかな弾力の竿先が小刻みに引き込まれる。  微かに碧みが射したプリプリの銀色・ハヤが宙を舞う、ピチピチの銀が乱舞し悶絶する。  虚無の充実で輝き渡る、既に歓喜はどこかに消え失せ、殺戮の下手人の心地が背後から襲う。  それを振りきり、超越的意欲をかき立て作戦を実行する。  恍惚となり夢中で何回も流しながら、ずんずんどこまでも侵攻する。  振り返ると遠くの人家の明かりが、黄色く”ぽっ!”と浮かぶ。  夜露でぐしょ濡れのズック靴がヒンヤリするので、鰓から口に草を射した獲物をぶら下げて帰還する。  充実と虚無、殺戮者の寂寥が風に飛ばされる。  真っ赤であった西空は暗灰が侵食している。  肉体はちょっぴり快い疲労を覚え足の筋肉がバリバリする。  気持ちは浄白の甦生があり、心は真っ新にそよぐが一抹の寂寥がちょっぴり吹き抜ける。  また明日この寂寥をこそ確かめに逢いにこようと想いながら、闇を背負って還る。

出掛けようとしてドアを開けたら、”■”真っ暗の冷気がサッと入り込んできた。  それが白昼であったので、『ドキッ!』とする。  天空をびっしり黒いものが覆っている。   火山の噴火ではないだろうから、急激な寒冷前線の襲来か?!と思いドアを閉める。  出掛けることができなくなり、……とても困る。  長い夢であった、疲れた。  夢の最中に覚醒しつつ、これはそうなんだ、夢だからなーんも心配はいらないんだと。  なんだか命拾いをしたような安堵に包まれつつ、なんか名残惜しいような気がした。  しばらく目的が定まらず、なにもできない……。  時空の渦流を漂白する、根底から何か更新されたような錯覚。  拍手と雷鳴ばかりのイタリア映画の場面と重なる。  背丈ほどある茎がしっかりした夏草がビッシリ茂る中。  誰かが夏草を踏みしだき付けた道を辿る、泡立つような黄の花粉が肩にかかる。  毛のような細かいチクチク痛い棘が茎に一面にある、しぶとい蔓草と共生している。  形としては、蔓草がみさかいなくよじ登りすっかり覆っている。  その日陰にすっぽり入り、そよ風が少しでもあると幸せである。  だから陽が傾きかけた午後3時頃、いそいそ超越的意欲に燃え出撃する。  線路に架かるゆったりした起伏の流れの頂点で蒼い山嶺が見渡せる。  河原を見渡せるルートに入り、ズン!ズン!侵攻する、耳元でビョウビョウ空気が唸る。  見事な桜の植わった堤を進む、幹に瘤があり破裂もある、想うがまま拡げた枝がすばらしい、感心する。  キラキラした水面を眺め、柵のない路肩を走る。

中州の姿は、その成長・変遷・後退にとどまることがない。  自然の力・季節の変遷・雨や風の生業、半年ほど経て、やっとくっきり形として感じ取れる。  同じ季節にはよく似た姿を見せる。  その違いは少なくほとんど見過ごすが多くを語る。  脱落してもなだらかな柔らかい草むらを転がる、といつも想う。  水門から溢れた流れを渡り、暖かい堰堤を歩く、足跡をくっきり。  流れの中程に突き出した堰堤の先端の土台は、台風時の大水で抉られている。  撚れながら流れるアクアの深淵を覗き込み、目を凝らすと銀色の大鮒の黒い背がいくつも見える。  ゴロゴロした大きな石で歩きにくい河原にカバンを転がす。  携帯用の大きめの折り畳みパイプ椅子を据え、ひたひたの流れに腰を降ろす。  くるぶし近くまで足を浸ける。  ササ濁りの透明なアクアマリンは、ピリッとする冷ややかさでなく、サラ〜*サラ〜*くすぐったい涼しさである。  ゆらゆらと光輝が縞となって川底に揺れるのを眺める、柳の葉っぱのような小魚がわらわらと乱舞したり、”サッ…!”と銀色に身を翻したりしているのが見える。  鮎ではないからハヤの子か、クチボソだろうか?!。  黒い影が素早く閃光のように潜行する。  60mほどの向こう岸に欅の大木が連なっていて、川面にその緑の影を映している。  水草の濃い緑で黒っぽく見えるあたりに、ハヤが『ピッ!…、……!』と跳ねる。  茎の赤い節くれ立った草から白い根が伸びゆらゆら揺れている。  イトトンボが、”スーッ、スーッ”と滑るように散策する。  ゆっくり滔々と下る流れは、生体反応に満ちている。  悠々と”ふっ”と足下まで60cmほどの野鯉がやってきて、口ひげをひらひらさせ、大きな下付きの口でスポイトのように石や川底を吸引して行く。  時々、小石とかを”パッ!”と吐き出し、砂塵が煙のように拡がるのでそこにいるのが解る。  悠々と落ち着き払った振る舞い、ドッシリ精悍な勇姿は、潜水艦を想わせる。  尾鰭が赤みがかっているのがいて、有り余る・強靱な下半身のバネを感じる。  30〜40cmの細長い赤や黄、青の段模様が鮮やかな浮子、12m程先で傾いで、ゆったりした流れに抗している。

背筋を伸ばし右手は、膝の上で竿を握ったままである。  竿の重量は、受けが支えるので、涼しい深淵な思索顔で半日その姿勢。  塑像となってそよ風になぶられ、ジリジリと陽に焼かれる。  しかしその飄々とした面と裏腹にねばねばした、嫌らしい人生の澱が浮き沈みしている。  現世の柵から逃れよう!、忘れようとして荒地願望を呼び起こし、脱出してきたのだが。  自ら忘れようと努めることもさらさら無く、いっそ一旦くっきりさせてから捨棄するのさ、と想うほかあるまい。  水棲の生き物からの、好ましい・嬉しい・なによりの連絡・便り。  たいていは、兆しがありその直後に不自然な『ツツッ…!』や『ツンッ!…』、『ゆらっ!…』とした波動。  息を飲んでいると、多彩な段模様が、微かにくっきりと身震いする。  間髪を入れず発止!と、右手を小刻みに煽る。  甚だ何か失礼なものが・不躾なものは何だ!、と自己主義が噴出する。  グイ!グイ!・ギュン!ギュン!・ググーッ!ググーッ!向こうに引っ張る。  生き物の波動・鼓動・憤怒が固まりとなり襲ってくる。  竿先がググッと引き込まれる。  急いで態勢を立て直し戦わなければならい。  ちょっとした気のゆるみ・奢り・油断!、これが取り返しの付かない失態をもたらすのだ。  竿が水面に寝ているのを、『ゴンゴン』引っ張る力に対抗して悲痛な思いで起こす。  『ゴン!、ゴン!、……』、『クイッ!、クイッ!、……”』。  稲妻に首を振り、潜水するのは平らな”真ブナ”か、…鮒である。  クロダイの俊敏さ、パワーをやや欠いた感じである。  『ダーッ、……!』と疾走し『ギューン』と引っ張るのは無粋野鯉である。  竿が立てられると、やっと安堵と全身の充実と興奮が訪れる。  いわゆる”プッツン野郎”に、充実と興奮を発動させるプログラムと、必要な起動スピードの資質が備わっているらしい。  通説であり、事実とよく附合する。  本人はもちろん笑って否定する、隠し切れぬ色好みである属性が、それをはなはだ困難にしている。

三叉陸橋をトントンと降りたところにガラス張りの構え、傘立てのように竹が立てかけられている。  節くれ立った、よく乾燥された砂漠色・光沢、さまざまな太さ・長さが無造作に投げ込まれている。  根元になるにほどに節はびっしり密に、先端はタケノコのように曲がり、太い根を切り取った跡、更に焼いた痕跡も。  よく陽の当たる暖かい斜面で切り出され陰干し、油抜き、焼き入れ、矯め。  きっと厳しい選り分けで弾かれ、暫し片隅に置かれていたに違いない。  いろいろ想像させてくれ、制作意欲を掻き立て・そそられる、興味深い見事な素材ばかり。  これを軸にした”魚のヌルに触れないで鈎を放つ”システムで、優しく放たれる。  ちょっと休んでから、ブルッ!と身震いひとつしたようなキックがあり、潜水し尾鰭を勢いよく振って深みに往ってしまう。  前のめりに傾け、1.5m程、竿の先を水没させている。  風や波でラインが煽られるのを防ぐため。  目線が水面に近く、膝下が水に曝されているので、入水しているような錯覚に襲われる。  『ツン!、ツン!、……』、『コツッ!、コツッ!……』。  小刻みな挨拶がグラファイトパイプに直に送られてくる。  先ほどの小魚のグループが、竿先を突っついているらしい。  小さなさざ波が竿先あたりに弾け、メダカほどの小魚が小さな弧で遊ぶ。  荒野の夕刻はいつも寂しく危うい、風が凪、水面に黄金の淡泊な眩い光燿が沸き満ち渡るひととき。  無慈悲に夢のような光の饗宴は、あえなくうつろう。  あっという間に暗いものが降り、永遠の燦を散らした眩い光燿がことごとく飲み込まれ、青い山裾が暗い無彩色に沈む。   リリアンを一結びしたこぶに、”ヘビクチ”を潜らせただけのラインとの繋ぎ目が、つつかれ解かれる脅迫観念に負けて、撤収する。  

あちこちで、泡や波紋が興っている。  風で水面が騒ぐと大鯉のジャンプがうるさく興る。  そんな日は、たいした期待ができない。  日に一度、増水で10cmほど水位が上がる、絶好の”時合い”である。  ライン切れとかの失策で無為に過ごす羽目にならぬよう、周到さも欠かせない。  ちょっと涼しさの増した川風に吹かれ、まだ暖かい河から上がる。  むせ返る草いきれ、旺盛な夏草を踏んで還る。  河の中に横たわる砂利混じり中州を歩く。  結構な高さ・規模、路肩はザラザラと崩れ落ち、這い上がれない。  台風シーズンの増水で、長城壁が抉られ崩壊が剥き出しに、また一文字に築かれたコンクリートの堰堤の際が抉られ、“深淵な隠れ家”も新たに出現。  ゆっくりと捩れ・渦を巻きながら滔々と流れる深みに目を凝らすと、偶にキラッ!と銀鱗が燦めき、黒い影の群泳を捕捉。  ドキ!ドキ!。  暫く腹ばいになり、乱舞に魅入る。  一度、アクアマリンの宇宙に、釣り糸を投下してみたことがある。  底が見えないほど深く、果たして銀鱗まで到達したかどうか!?。  岸に沿って長く横たわっていた長城は、一度の増水であっさりと消え去り、天晴れな平原が出現!、喪失感と解放感に満たされる。  至るところに清潔な砂山が出現、葦の根っこが剥き出しになり転がっている。  春先に重機が入り、前回以上に高く精緻に造成される。   “深淵な隠れ家”も収まり落ち着きを取り戻す。  総じて荒れた荒野探険は一度で飽きてしまい、落胆・失望の想いが頭を擡げるので我ながらいっそう呆れる。  じわじわと“自然”を取り戻していく、凄いと想わせる。  

何も変わっていないし、大きく変わっている、視点でどちらも真。  橋桁の元は抉られて深みが出現、暫くは夢のような釣りが出来る。  濁流の澱みで難を凌いでいた、そして行く手を封じられた、“陸封”の水棲を攻略する。  潔くない!?、男として項垂れる。  思いっきり弾けた時間は、あっという間に過ぎる。  陽が傾く頃、少し冷気が降りてくる。  手放しで喜べぬ憂いを曳きずり帰還する。  いつも少しの充実感と大いなる喪失感ではち切れそう、面は虚無感と疲労が滲んでいる。  目の前に広がる、精緻とも言える、きれいな・真っ直ぐな直線・平面で仕上げられた仕事に感心する。  重機の滑らかスムーズな・無駄が皆無の働きをつぶさに眺めているので、いっそう感心する。  やがて風雨で泥が流され、砂利が剥き出しになり、さまざまな丸石が顔を現す。  渺々と西風が吹き抜ける・あちこちに小さな花が頭を擡げ、清潔な荒野が出現する。  夏になると、びっしり旺盛な草に被われる。  砂利だらけのとても硬い地面から伸びる夏草、特にすらりとした茎の根元が赤みを帯びている単子葉のは、好みである。  子供頃、噛んでみて仄かに甘を感じた驚きを呼び起こす。  背丈ほどのセイタカアワダチソウやトゲトゲの蔓草が蔓延る。  『”バタバタッ……』、ゴイサギ?!、休息をじゃまされた水鳥が驚いて(憤怒の想いで)飛び立つ。  明日こそ、もっと上手くやろう。  しかし日増しに魚は遠のくのである。  たっぷり滔々と流れる水量、夕陽を浴びて金色に輝く水面、一陣の疾風でさざ波が起こり耳元を過ぎる飛沫、砂嵐のようなカラッ!・カラッ!の南風、季節の移ろいでゆっくりと鮮明に表情を変える。  その厳しさの中で、地から這い上がり頬を撫でる川風。  泥の匂いや草木の吐息、水棲達の体臭、一切が混じった夕凪。  やがて夜露で洗われ明日を迎える。  静謐・澄明な優しさに包まれ、しみじみ幸せ。  遠くに灯り始めた山吹の灯明が、きっぱりと新たなる愉しみの在処を滲み出す。  熱気の余韻が漂う、くすんだ死にかけた・汚濁の街の喧噪・光輝の中に還る。

足下のほうから、長く曳きずるような古典弦楽合奏が聞こえてくる。  『……ン……!』。  今日は、休日であり、すっかり準備が終わっており、弁当を作れば即刻脱出できることにすぐ気がつく。  足をバタバタしたい衝動で躊躇なく、ゆっくり息を吐きながら立ち上がる。  薄緑に白とくすんだピンクの太いストライプが床まで垂れた、東のカーテンをおもいっきり曳く。  目眩く鮮鋭な・真っ新の山吹の光が全身を射る。  家々の屋根やスズカケ、街路樹、白雲がことごとく、”パリ、パリ”音を発てて身震いしている。  すばらしい色・光が、さざめいている。   一切が眩しい斜光に向かって不動の屹立をしている。  その“パリ ッ”とした糊の効いた真っ白の敷布のような、地を這い長い影を曳く光輝が照射され。  何もかもが清潔で、静謐で塑像の中にひっそりこもっている。  夏の朝空は、のびのびろと広がり澄み渡り、雲に淡い光がもたれかかって溶け合っている。  界隈の角を曲がった途端、『ワッ…!ワッ…!』 『…‰、…‰』 歓声や拍手が湧き上がりそうな錯覚が通り過ぎる。  早朝のつかの間は、新聞配達のバイクの音もどこかへ行ってしまって、野鳥の歓びの歌や会話がひとしきり賑やかである。  昨夜泣き疲れたであろう風は、しっとりしていてしかもすっかりサラサラであって、少年の胸の奥深く吸い込まれるのを待っている。  

朝靄の中、一筋の弧が撓み垂れている。  葉先に銀滴が揺れ、そして直立する細いテーパー□柱、錫杖・“‡”かやつり草(カヤツリグサ)。  異彩を放ち、地味なしたたかな夏草、いつでもパワーに満ちている、静かな自信にみちておる。  一面に飛沫を浴びた草、キラキラの全身発光を漲らせ、ゆっくり呼吸する。  窓から差し込む一途な白黄の斜光、望遠中の“プレーリードッグ”あるいは“黒い灯台”を掴み棚から取りだし、ポットの上に置く。  茶筒をポンッ!開け、蓋にザザッ!と豆を入れる。  きっと、煙草そっくりのいがらっぽい匂いがする。  “黒い灯台”の“灯りドーム”をスポッ!と外し、豆を機械室にザザッと投入。  ドームを填め上から押さえる、『キュッ!・ンガッガー…*』、身震いとともにドームの中で金属片が回る・唸る。  この音で、睡っていた =ΘΘ=ΠΠ〜 が驚いて走り出したときの痛快さったら、堪えられぬ。  大きさと立ち姿が、自分と同じヤツが、唸り・身震いを始めた、それも頗るパワフルだ!。  肝を冷やしたのは最初だけ、果たして興味をもつか!?。  キライになったようだ!。  固まりと固いものが激しくぶつかる、破砕音はいつでも胸が透く想いで、いいものだ。  たちまち『ウィー…*ン』何かが抵抗をやめ・果てて温和しくなったようだ。  “黒い灯台”を天地にひっくり返し、コブシでコン!コン!と叩く。  ポンッ!とドームを外し、口をいっぱいに開けた濾紙の上に持って行き、スプーンでコン!コン!と叩く。  焦げ臭い・酸味の匂いが脳髄の愉悦拠点を直撃する。  “ずんぐり”・“むっくり”の携帯用ポットにコーヒーを詰める。  苦さを和らげる少量のコーヒーシュガーを入れる。  ベタつかないサラ…*サラ…*した仄かな甘味とカラメルの香ばしい苦みを目指す。

ふむ!!、これはすばらしい!、(^。^)/、非の打ち所がない、ドンドン行ける。  そんなはずはなく、山で飲むコーヒーは、いつでも苦い、あるいは甘ったるいと感じる。  気まぐれな気持ち、果てしなく常に変化すること自体が、欲求そのものの揺るぎない証し。  カリタを広口に乗っけて直に注ぐ、一人用のカリタにいつもの2倍の粉を入れているから時間がかかる。  焦げ臭い・香ばしい・胃袋が手を延ばし、悦楽の脳髄が歓喜する芳香が鼻先を擽る、否応なくたっぷり吸ッてしまう。  きっと、ごく自然な状況がいっそう好ましい匂いにさせている。  山行きの朝、この上ない歓びのひとときであるのだが、せっかち(≒いらち)な性分が、それに素直に浸るのを妨げる。  矢継ぎ早に目指すターゲットを求める、それは不動とも思える形・信念となり居座る。  やっと平穏が訪れる、安心し拠り所を見いだし活力が生まれる。  リンゴをタッパーに詰める、皮を”OPINEL”で剥き、芯を取ってぴっちりと。  永い間、黄緑がかった砥石でくり返し研がれ、柳の葉を想わせる痩身。  丸っこい・“空豆”の房そっくりの木の柄、軽くて木の温もり、手に馴染み実に使いやすい。  最近手に入れたステンレス製は、錆びないことだけが取り得。  皮剥きと芯取りにそれぞれ役目が定まっている。  リンゴの少なくなる夏以外は、フィールドに出掛ける時はこれを欠かさない。  煎れたてのコーヒーを一杯、出掛ける前に”アチチッ!”・”グビビッ…*”と啜る。  とりとめのない連想連鎖を思い浮かべるゆとりもない。  フンボルト寒流が蒸発し峰の連なりにぶつかり、地に落ちてできた雪を頂くアンデスの青い山並は、早朝には出現しない。  干潟の甘いとろとろから這い出た、火華の豊穣がうごめく。  ほろ苦さの奥に潜む七色の花火の炸裂を想う。  永い間、光波を浴びながら結した果実が隠したアルカロイドを、蒼古に海から陸に這い上がった生命体が、まさぐるのを眼前に見ることもない。  今回も失敗無く煎れられたようだが、山道で揺られ昼頃になると、すっかり別物のような味に変わり果てると解っているが。  

忘れものがないよう前の晩に準備、玄関に置いた、一切の装備の詰まった袋を担いで家を飛び出す。  カバンのチャックを開き、”SUN”のマークとそっくりの鍔の長い”Columbia”のキャップを取り出す。  手の込んだ・めんどくさいをするのは、キャップを忘れないためである。  寝起きのキックされない朦朧とした状態の脳髄では、素早く周到に想いを巡らせない。  脳天に光波が降り注ぐ野外では、帽子なしでは危険で過ごせないのだ。  キャップを忘れ途中で引き返した、痛恨は忘れられぬ。  珍しく風があったりするとやはり嬉しくなる。  それだけで、まだ眠ったままの遊び心がキックを浴び。  皮膚のそこかしが希望めいたそそのかしを感じ始め、頭をもたげてくるのをまざまざ実感できる。  だから、本当に充たされた気分になれ、一日が愉しみだぞ……、という気分が膨らむ。  しみじみ・ふつふつ、ムズムズ、愉快なのである。  目の前に岩に当たり迸る飛沫、キラキラ縞模様の光輝を白い水底に反射しながら流れる渓、滔々と悠々と捩れて大きな岩を剔るササ濁りのアクアマリンの深い淵が浮かんで絡みつく。  胸が詰まり苦しくなる。

いまは、その侵攻作戦のまっただ中にいて、決して引き返すことがないと言い聞かせる。  机の前にぼんやり座り幾度も思い描いた山林や庭が”ギシギシ”音を発てて迫ってくる。   人影のない山間の川沿いの曲がりくねった道を急ぎ足で行く。  軒下にタマネギやトウモロコシが干からびて下がっていたり。  白っぽい板塀に農機具が赤錆びを曝して立て掛けてあったりすると、世界がくるっと回ったような、とてもいい気分になれる。  夢のような、どこかで見たような錯覚とも、郷愁ともその双方でもあるような、気が遠くなるような、得難い感覚が興る。  深い渓底のあまり多くない流れを見ながら行く。  もしかしたらと思いながら、つい魚影を探してしまう。  澄み切った水は、情熱の鎮静した静穏そのものの緑の帯水である。  ひんやりした爽快な湿ったものが這い上がってくる。  耳を澄ますと、虫や有象無象の発する生体発表の響音に充ちている。  水は、ゆっくりたゆたい岩に寄りかかり、苔に浸透し、砂礫を転がし無窮の生きざまを曝す。  谷底から湧き上がり、たゆまず興す歓声は、『ザーッ!……』、雨音のような不思議なものである。  

クラブハウス?!が見えてくると、何もかもが霧散し体も気持ちも狂奔する。  思わずからだが引っ張られ、駆け出したい衝動で頭の中は上の空になり地に足が付かない。  玄関の横に用意されたノートに、本日のエントリーを書き込む。  連番が”05”なので、既に人物が”4人”渓に入っているか、土間の大きな机のベンチで番茶を飲んだり、タバコをくわえて超越意欲をもって作戦を巡らしたりしているに違いないので、あたりをそれとなく窺う。  顔見知りの飄々とした痩せた男が、向こう岸で車のトランクに首を突っ込んでいるのが見える。  いつもそのお方には、圧倒的差でいつも負けているので、敵愾心は湧いてこない。  いちばん気になる存在は、それなりのお決まりのギアに身を固めた、若い痩せて背の高い目の鋭いあんちゃんである。  勢いよく息を吸い込み鼻を鳴らしつつ、胸のポケットから小さなプラスチックのボトルを取り出し、なにやら”シュッ!、……!”とフライ(毛鈎)に吹き付ける。  ものの見事に皆の長い沈黙を破るヒットを、鮮やかに目のあたりに見せつけたからである。  あれは、“ニシン油”だろうか!?、あるいはフローティングのためのコーティング!?。  これは、なんとしてもまねをしないで、超越しなければならぬ……。

あれから、……も経つがまだ果たしていない。  何年も出掛けていない。  岩づたいに渓を降りる。  静寂に包まれ、耳に入るのはせせらぎの息遣い、風にそよぐ梢の囁き。  草木の緑、岩肌、空を水面に映し滑らかな滑り。  靄が沸き立ち、波紋があちこちで起こり。  『ピチッ…!』ヤマメが顔半分を出して閃光で跳ねる。  まだ渓底に陽が差し込まない早朝、全世界・なにもかもがしっとり濡れている。  橋の下のアーチの水面がゆっくり流れ、生体反応がキラキラ、ゆらゆら揺れて反射しつつ踊っている。  8.5フィートのロッドからヘビのようにスル、スルッ!と伸びたライン、ふわりと金色に輝く水面に落ちる。  2m先のリーダー、φ0.12mmのハリス(ティペット)の先端に結んだニセものの羽虫、その幼虫(カディス、ニンフの毛鈎)が滑るように走る。  表面張力でポンッ!と浮かび、1cm程の虫が辛うじて没しないで、銀の鏡に黒い影を落とす。  すかさず『パシャッ!』、金の鏡が炸裂、ラインが水底めがけて曳き込まれる。  ラインが水面を切り裂きピンと張り、ロッド全体がブルブル小刻みに震える。  金や赤、青、黄の戦慄が走り抜ける、喉を押し上げるものがあり、全身が発光する。  周りの景観、風音が失せる。  『キラッ!』、銀色に体をくねらせたり、素早く向きを変えて疾走する黒いものを確認する。  ”クイッ!、クッ!、……! ”、”ピクッ!、ピクッ!、……!”ラインを手繰り寄せる間ずっと、その戦いを一時も止めないのは、ヤマメである。  それだけで全てが表れている。  一途さ、俊敏さ、赤みが射した紫青のパーマーク、ことごとくが無二の憧れであり、密かに尊敬するかわいい宝石!。

渓づたいに遡上する。  崖が張り出し遥か上は、たっぷりとしなやかな軽やかな枝が覆っている。  大きな2つの岩で堰き止められその切れ込みから、ささやかな滝となって白い飛沫を弛まず繰り出し、虹を掛けその下に壺を掘っている。  稟として透明な渓水の中は、天を写す鏡であり、波が犇めき泡が止めどなく消えては湧き。  なにか大物が潜んでいるだろう?!深淵を見ることができない。  あっという間に”ニセものの羽虫”は流されてしまう。  昨年の方法で攻める。  影を水面に落とさぬように背を屈め、忍び足でそっと近づき、落ち込みの上流に羽虫鈎をふわりと落下させる。  素早くラインを手繰り弛みをとりつつ、発砲スチロールの毒々しい鮮やかな蛍光色の丸いインジケーターを追う。  止まったり、微かに引き込まれたような”そよぎ”を見逃さず、『ピシッ!!』と恣意が閃き瞬く前にロッドを鋭く煽る。  しかし鬼はロッドを煽らず、握り手でない方でラインをピシッ!!と素早く・鋭く・優しく曳く。  滝のような勢い・盛り上がり・うねりを発揮しつつ流れる。  旺盛な推進力、いささかも疲れを見せたことがない。  木の葉のように揉まれ、”印”が不自然?!な動き、もしくはその兆しを察知、脊髄の反射でセットするのは激しく難しい。  ”ゾクゾク”とする意欲を掻き立ててくれ、鼓舞するから頗る愉しい。  2、3回攻め、反応がないかヒットしない場合、きっと立ち上がり鈎とロッド間のラインが、直線を保つようなイメージでコントロールの基本に戻る。  件のめざすポイントに来たら、息を静かに吸い、『1… 2… 3…?!』 と数える。  神のみが知る偶然の”魔のタイミング”の不意打ちで、『……ヌッ!』、『……ンッ!』とセットする。  幾度かプゼンテーションと”空あわせ”を繰り返していると、ロッドを煽った途端に手首に”グッ!…”と抵抗があり、期待の中の不意のこととて、”ハッ!”とする。  見えないものがだしぬけに力強くラインをひったくる、グングン曳く。  白い飛沫からヤマメが顔を見せる。  結果は、この方法が一番であり、よく釣れる。

……!、んで、いろいろ考えさせられてしまう。  激しく動くアクアマリンの水泡を破り流下した、ニンフ?!が突然去ろうとする。  その不自然さを考える間もなく、反射が尻尾に起こり、咄嗟に胴を翻し煌めきの推進で捕獲するのであろうか?!。   しかし捕獲しつつある刹那、なにやら失礼なものが引っ張るのでアドレナリンが奔流する。  そのときにもう一方の生物も、『グン!、グン!』腕に掛かる力に、とっさの恣意が走る前に、同じくアドレナリンが奔流する。   五感の次で、なにやら激しくスパークする焦げ匂いものが、天空を走っただろうか?!。  鈎が喉の奥深く刺さらないで(セットが遅れた)上顎の中央にがっちり掛かるようになると、やっと安堵する。   淵とか広い瀬でドラッグ中にヒットした場合は、口の頬に近い箇所に刺さる。  獲物もしくは、苛立ちの対象を追跡し追い越し、Uターンしつつ振り向きざまにバネを弾き尻尾を激しく叩き上昇しつつ、ニセ羽虫を捕捉するためであろう。   しかし、興奮はさほどでなくなっている。  魔の隙間に潜入した歓びは、敢えなくうつろう。  丸い影を踏みつつ、ロッドを垂に立ててトボトボ道を往くときに、『ハッ!』と胸を衝かれただろうか?!。  水棲の宝石にとっては、偶然の悪戯であろうはずはない。  子猫のようにターゲットにじゃれていた、生を正しく全うしていた。  これ以上のもの・ひとときがこの世にあるだろうか!?。  己以外の、ここで目に見えるものすべては、生そのの必然であることを感じ入ったのさ。  きっと遠からず、天罰が下るに違いない。  激しい・きついお灸を据えられる時、私は男らしく背筋を伸ばし、身じろぎをせず一点を射ることができるだろうか!?。  そして瞼を閉じたそのとき、脳裏に去来するものはなんだろうか!?。 

垂直に立て掛けられた錆びた梯子を伝って、広い渓に降りる。  澄み切った流れの底に細かい砂礫が金や銀、緑、茶、碧にキラキラ反射している。  ゆらゆら揺れ、葦や小さい花を付けた草がビッシリ岸を覆っている。  ズックが濡れないよう、飛び石づたいに”ピョン!、ピョン!”跳んで行く。  サラ…*サラ…*音を発てている落ち込みがあり、”サッ!”と黒いものが煌めく。  瞬く間に一段と急流になった岩のえぐれに隠れてしまう。  瞬く間に生態反応は退き、静まりかえる。  いっそう入念に・極く自然に努め、フライを飛翔させ着水させる。  いくら攻めても反応がない、水面の炸裂は起こらない。  蝉の斉唱、対位法が潮騒となって覆い被さるだけであり、騒音はなく全くの静穏である。  脳天から光波が降り注ぐ。  とうとう降参、万策尽き掟を破る。  イナゴを捕まえ、鈎に刺し流れに落とす。  渦に揉まれてポイントにさしかかったと思った刹那、黒い影が”サッ!”とよぎり、”ポッ!”と引き込んだ。  あっけなく、ユーモラス、生の感興ならではの興奮が弾ける。  この一瞬だけで存分に心は満たされろ。  しかしすかさずロッドを煽ってしまう、ラインが走り飛沫をあげて水面を離れ、立ち上がり、ピン!と張る。  手元に力が掛かり、ロッドがブルブル震える。  ヤッタ!という充実感はない、恥ずかしい・申し訳ない。  思わず周りを振り返ってみる。  惨たる自然の輝き、青い空の下で心は沈む。  深くない流れの底をゆっくり進行したり、広い瀬に向かい背をちょっと出し、ケネクネ突っ走り飛沫を上げる。  毎年このポイントに来ると、きっとこの”バッタ釣り”を試みる誘惑に勝てない。  その年の緒戦は、この”魔のえぐれ”で占うのが、密かなささやかな愉しみである。  少し遡上すると、『パッ…!』と視野が開けた処に出る。  砂岩にもたれ葦を踏みしだき腰を降ろし、真っ新の白い砂の木陰に寝そべる。  森の囁きとサラサラの水音の中を漂泊する。  『ワーン!』とした青い高い天、真っ白のちぎれ雲が滑空する。

夜更けにねこが騒いだことがあった。  さっそく、”マタタビの木”をあげたいが、見つからないと思って諦めていたら、冷凍庫にあった。  『またたび棒』、《与え方》 小枝を一本そのまま……、とある。  匂いを嗅いでみたら、どこかでたしかに嗅いだことがあるもののようだが、想い出せない、抹香匂い。  食べ物皿に置いた。  薄茶の三毛が仔を連れて来ている、空中テーブルでじゃれあっている。  三毛で腹が白い仔がいる。  先に見た全身が三毛のより、ちょっと体が小さい。  ミルク鉢に頭を突っ込んで、長い尻尾の先を”ふにゅ、ふにゅ”させている。  掴むと柔かくてどうかなりそうで、かわいい。  朝、深山桜の下の壊れた本箱の上で、鼻白チビと仔(茶と黒の斑)が重なって、へそを出して午睡をむさぼっていた。  昼遅く、畑の中を通り白い陽の中を往く。  秋の気配がいっぱいの風が気持ちいい。    気圧の希薄が頭の前あたりを掴んで曳くので、鈍く疼痛が起こる。  気持ちが沈潜し、鼻が敏感になったような淡青色の靄がたちこめ、静謐の中に朦朧としているのに脳髄が鋭い正体の知れない渇望を感じ る。  それが本を読もうというものでもあることに気がつき、妙に安堵する。  本を拡げる。  コーヒー豆を曳く。  嘴の曲がったオームや椰子の木、帆船、明るい夕陽が描かれたライトブルーの箱に詰まっていた 。  壊れたサイコロの砂糖の塊を一個、ビンから摘んでオレンジのカップに ”カキーン!”と投げ入れ る。  左手で棚に剥きだしに重ねて置かれた濾紙を取り、スプーンで”コン、コン”と叩いて砕いた豆を落とす。  ジュワッ!と熱い水で襲撃する。  太陽を浴びた渾身の跳躍、奥深い端正な成熟、熱い吐息の開花、その寡黙だけれどもほのぼのとした縞のような薫りで、”ボーッ”とする。  

適当に開き、懐かしさと文体の苦悩の一服の吸収を終えた、恋愛対位法(オールダス・ハックスリー)を閉じる。  小説の進行は自由に満ちており濃密な2つの関連する場面が入れ替わる。  このチェンジは心地よくて、疲れを緩和するようだ。  ” 魔笛”のようにストーリの混乱と混沌の渦流で、翻弄させてくれるところに惹かれる。  登場人物の人格の唐突な変化は、作り物の真骨頂を改めて感じさせ爽快な一陣の風である。  唐突に永い余韻の雷鳴が壁を破り響きわたり、慄然と巻く煙の中に黒い影が姿を現す。  そびえる濃紺?!の怒り肩のお方は逆光の中に直立、背筋を垂に伸ばし両腕をゆっくり真っ直ぐ両翼に開き、皆を睥睨する。  冷ややかな、圧倒的な力を誇示する。  『若者よ!、怖れるな……。 娘(タミーナ?!)は囚われている……、』、深淵からそびえ立ち天空に響きわたり、優しい憂いで覆う。  ”夜の女王”が、後半では不条理の蔓にとらわれて悪者になっている。  なぜ?!……。  何度、このオペラを聴いてもその謎は深まり、ますますその毅然と悪びれない態度に惹かれるのだ。  ザラストロが深い沈痛に包まれて、大きな机の中央で真っ直ぐ空を見つめる姿も大変好きである。  秘密結社(フリーメーソン)の魅力的な翳を逃れ、ストーリーをさっぱり向こうに追いやって。  そのときの気分で勝手に世界を創りゾクゾクしながら、この場面だけは見たいと思い続けてい る。  季節の節目とか、分析と義務と時間に蝕まれた漠とした寂寥が這い上がる。  紙のように白い横殴りの朝日の射す窓辺で、紙匂い文庫を取り出す。  さらし餡色の”カゲロウの羽の片方?!”が現れる、文字が透けるその向こうに遠い焦燥、一途さが見え る。  永い間、じっと碧紫のパンジーを暗黒で圧していたはずの、文庫の頁に染みが全く見あたらない。  窓を開けると、木陰に潜んでいた?!、黒と茶の斑の仔が目を輝かして、駆けてくる。  意地悪をして、いつもの鉢にミルクを入れないで、部屋に置いた皿に注いでおく。  ガラス戸から半身を乗りだし首をちょっと傾げて、『……?!』 じっとしている。

”カリ、カリ、……!”白いものが目の前を登って往く、薄茶も登って往く。  キビキビした 滲んだ影絵に歓びが溢れかえっている。  ”海ヘビのだんだら模様”のすらりと長い尻尾の先を目まぐるしく、クネクネ動かし縦横にヤモリのように這い回る。  軽やかにスルスルと登る姿は聡明がよぎる。  網戸は、彼らにとってフラストレーションの投げ捨て場なんだ。  手を伸ばして首のあたりを揉んでやる。  僕のほうが癖になってしまった。  柔らかいくすぐったい毛の”そよぎ”が誘う。  雨に降られた夜は、暗鬱で熱っぽい激しいものを深く沈潜させ、忘れかけた憾みがくっきり甦りそうな危険をはらんでいる。  羽虫がたくさん訪れ窓を叩く。  野生の声にそそのかされて、=(・。.・)= が空中テーブルの上でジャンプし、”∴”で押さえたりしてこの訪問者を激しく追い回している。  このときは、一切鳴き声を発てない。  彼らは、爛々と目を輝かせて夜遊びを堪能するようだ。  ひとしきり遊び、クッキーを囓り、ミルクをたっぷり飲み、口の周りに牛のように滴をくっつけて音もなく還っていく。  『リーン、リーン、……!』、『キチッ!、キチッ!、……!』、『ル、ル、ル、ル、……』、『ジー!、ジー!。 …!』、全く疲れのない発表が潮騒となって窓を撲つ。  この”夜歌”を歌として聴いてはならぬ、眠れなくなる。  あれは、砂浜を飽きず洗う潮の戯れなんだ…。  五感のその次にあるもので聴こうとしては、ならぬ。  夜明け方には、ぱったりとこの波音が途絶えることがあるのだろうか?!。  符合パルスのように、耳を強く鋭く圧するが、騒音にない稟としたものがあって眠い恣意が癒される。  空を天が蹴るような、遠い音のような、彼方からのそよぎが充ち渡る、星降る純血の夜空の下、しとどに濡れた草に寝そべり、何を想う……?!。

窓を開き、ミルクを鉢に注ぐ。  たくさんの虫の合奏が迎えてくれる。  互いに響応することなく、混濁もなくそれぞれが煌めきつつ闇に拡散する。  拡散しつつ泡立ち沸き立つ。  のびのびと誰の恣意をも全く気にしないように思える。  ふっと彼方の宇宙の星くずにまで達するのではあるまいか?!、と嬉しい気分が興る。  音もなく目を輝かせて薄茶の三毛の仔が駆け上がってきて、『ンガォ!、ンガォ!、…!』発しながら、いっしんに飲んでいる。  すらりとスレンダーであって腹が白い毛に覆われている。  背骨が堅く、全体は柔軟なもので覆われていて、毛皮がするする伸びたり横にずれたりする。  首の後ろをつまんで持ち上げて部屋に入れようとしたら、必死にカーテンを掴んで離さない。  耳を伏せ首をいっぱいに反り返させ、鼻を激しく震えさせる。  部屋に放つとあっという間に駆け抜け、跳躍して壁の隅をよじ登ったり、カーテンをよじ登ったりして、一時もじっとしていない。  みるみる間にいろんなものが散乱し始めた。  とっさに隣りの部屋へ行けないように引き戸を閉める。  コップとか、机の上の倒されそうなもの、危険なものを片づける。  早く捕まえなければと、気が動転する。  開いていたクローゼットに入った、しめしめとつかみにかかるが、後ずさりし『ハッ!!、…!!』、『フウ…ッ!、……』、『……?!』  大きなピンクの口をいっぱいに開けて威嚇しつつ、爪で引っ掻こうとする。  長引くとよくないと思い、窓を開けて誘い出すが、なんでも高いところに登ろうとする。  山積みのCDの方へ向かうと大変な事態になる…。  駆け上がり、ぶら下がって怒っている方の窓を開けたらなんとか、大いに憤慨なされつつ無事帰還された。  薄緑に白と薄いピンクの太いストライプが色褪せたカーテンに、『……?!』狂おしい濃厚な野獣の匂いがした。  ハナゾノツクバネウツギが発熱し息苦しい懊悩を侵出している……?!。   (^.^ ;)  クローゼットも?!……。  怖いのでしばらく経ってから調べることとしよう。 

夜更けの冷たい雨の中、薄茶の三毛の仔たちが来てくれた。  ”オコジョ”の白との3者が夕闇の茂みから目を輝かせて登ってきた。  『ミャー…、……』鳴き声がかすれている。  背中がちょっと濡れている。  目やにを取ってやりたくてもできない。  台風の雨に降られて”お魚いろいろーかつお味”が切れている。  朝食に買った”ドトール コーヒー”の”Cream Cheeseパイ”をあげたら、匂いを嗅ぐまでもなく一気にモグモグ始めた。  よろしい!。  ミルクは、あっという間に無くなるので、何回かに間を置いて注ぎ全員が遭遇するようになるべくする。  いい方法は、ないか……?!。  薄茶の三毛の仔は、片方がちょっと小柄で腹の白い毛が首を一周している。  残念ながらおとなしいのがどちらか?!、カーテンに、狂おしい濃厚な野獣の匂いを置いていったのがどちらか?!。  一回目の囚われで”長く曳く今まで聴いたことのない、悲しい声で鳴き”で人物に悲痛を浴びせたのがどちらか?!。  確かな自信がない。  ”ハナゾノツクバネウツギの懊悩”のお方は、泣かなかったから一回目の仔と違うと思う。  雨音とガラス戸をドンドン撲つ音で目覚めた。  こんなに早く誰(なんだろう)……?!、と思ったが=(・。.・)=たちが、運動?!か早朝遊び?!をやってるらしい。  本箱の屋根に立ち両手を上げて伸びをして、寝起きの人物を見開いた狐顔で訪れる。  オコジョである。  へその高さあたりから透けたガラスになっているので、こうやって懸命に人物に発表を行うらしい。  ”またたび棒”の端が囓られべっとり湿っていた。  網戸が壊れるかも知れないので、なにか爪研ぎを考えようと思う。

夏キュウリが衰えた、メロンも影を潜めた、もっとも夏を感じるデラウェアーが隅っこにいる、桃や梨はとっくに姿がない。  夏が往ってしまった……。  ミカンが日増しに黄色くなってくる、巨峰が陽に焼けた濃紺紫で元気に登場し今が盛りである。  夏の終焉の否応なしに迫りくる寂寥を慰め力づけてくれるやつだ。  赤みがかったやや尖った甲斐路が颯爽と出現する。  四分割の溝らしきものがついた、押しつぶされた扁平な柿が突然並ぶ。  栗は、とっくに出現ししている、リンゴが大きくなり種類が増える。  紅玉の堅くて緻密なさっくりする果肉、迸る豊饒の果汁、きっぱりした顔が好きだ。  この夏もまたニガウリの旨さを堪能できないままである。  夜風が不思議と遠慮がちになり、その背後の冷ややかなものを予感させる、よそよそしくなり渇いた憂愁と突き抜けた喝采を帯びる。  夕闇になるとコンクリートの原は、一面の草原に一変する。  夜露を震わす羽虫の七色のアレグロの潮騒がいっそう冴え渡り、力強くなる。  『ルル…!、ルル…!。 ……!』、『ジン!、ジン!、ジン!、……!』、『チリッ!、チリッ!、……!』疲れを知らない韻律がロボット音のように規則的に連綿と連なる、その中に終末の充実を響かせる。  決して響和せず響応せず、均一の大きさを維持するパルスなんだ。  だから歌でない。  詩、歌として耳をそばだてると、寄りかかるもの・メローディーの起点が見あたらず、底なしの淵に吸い込まれてしまう。  宇宙の永遠に引っ張られ引き込まれて往く。  沸き立ち、泡立ち、躍動している合奏、強いて申せば風。

鼻白チビの仔、首から腹が白い柔らかい毛に覆われた茶と黒の斑を散らした小さな生き物が出迎えてくれる。  目を輝かせて、『ミャー!、ミャー!……!、』と大変、元気がいい。  てっきり遠くから出掛けてくるのか!?と、かってに思っていたら、窓の下の木立の枯れ葉に丸くなって夢をむさぼり過ごすことも多いらしい。  おかげで水やりが遠慮がちになったため、ササの葉っぱが”くるり”と巻いてしまい、白っぽい葉裏を見せる。  すぐに水をやる、いつものこととて5時間ぐらいでシャキッと元気を取り戻す。  ササは強い、しかしなんと言っても水だ。  遠くからやってくる物音や足音で、親愛を感じ、うたた寝から目覚め、駆けつけるらしい。  歓びが押さえきれないらしく、尻尾をピンと立てて、人物の前を小走りに往く。  まだ足にまとわりつく、ねこ特有の行動はしない。  最近、著しく人物に興味をもって接近しつつあるようだ。  窓を開けたり、外から帰ると、きっと一番に挨拶をくれる。  クロワッサンを出したら、『…ンガォ!、…ンガォ!、……!』発しながら勇んでかぶりついた。  仔の時から人間の食べ物に親しむのは、いい傾向だ?!。

窓を開けたら、鼻白チビの仔が入ってきた。  心配しつつ見ていると、あたりを嗅ぎ回っている。  部屋の中を半周して急に驚いた様子で走り出したが、すぐ自ら入り込んだ窓に飛び上がり、外に逃れた。  試しに、パンの耳を刻んであげてみたら、興味を示しつつかぶりついたが、すぐに飽きたようだ。  オレンジ色の紅鮭の生の輪切りを焼いた。  たくさんの脂が出た。  キツネ色にきれいに上手く焼けた。  なにか足りないと思ったら、レモンか酢橘、ライムだ。  大貫妙子の黄色いピンと張りつめた冷ややかなボイスを想いだした。  近藤等則の新譜を聴いた。  NHKのドラマ、”うでにおぼえあり”のテーマ音楽のドロドロした、暗く熱い生への渇望が渦巻きキッパリとそそり立つサウンドを微かに期待したが外れてしまった。  即物的な響音のその向こうに、絢爛たる壮烈が厳しく炎上しつつ、不思議と情熱が鎮静する音楽を聴きたかったのだが……。

夜風を吸いたくなって窓を開いたら、灯りの中の空中テーブルでへびのようにもつれ合っていた =(・。.・)= がいっせいに振り向き、窓辺に殺到してきた。  6個のかわいいキラキラの目が迫ってきた。  食べ物をあげないでおくと『ゴロゥ〜〜ゥ!、……ゥ!』と曳きずるような、かわいい甘い拗ねた人間匂い声を発する。  牛乳を採りにいって戻ってみると、3匹の薄茶の三毛が窓からから入り込んでいる。  目を輝かせて探検を愉しんでいる?!。  『ゴロニャーン!、……!』  皆、明るい薄茶の三毛の柄、どうやら兄弟らしい。  首から腹にかけて白い艶々した柔らかい毛に覆われている。  その中の一匹はおっとりしてて、既に自我を静かにただよわせておる。  動きも穏やかそう、そっと触っても暴れないし嫌がったりもしない。  なすがまま受け入れてくれる。  毛皮はとても柔らかくて表皮を滑る・心許ない・直に骨格が感じ取れる。  どうにかなってしまいそうで、『グフフッ…*』 笑ってしまう。  案じながら背中を揉んだり、撫で下ろしてやると喜ぶ。  喉を『コキュ!、コキュ!』しても反応がない。  未だ子供なんだ。  そのたっぷりのみごとな襞が垂れた喉を、竹箒で”ゴシ!・ゴシ!”やってやると、黒くて潤んだ大きな目を細めて、顎を精一杯に突きだして圧倒的な筋力と果敢に充ちた情熱で押し返す黒牛を想い出している。  そうっと窓に誘導して平安を願う。  試しに”愛犬元気”(8kg)の袋を切り、ビーフ粒、ほうれん草粒、小魚粒、骨粒を皿に注ぐ。  『カリッ、コリッ!、……!』ゆっくり噛んで少しずつ、順に食べる。  牛乳は、飽きることがなく、全員がとても喜んで飲む。  しばらく経って静かになった。  そっと、覗いてみたらみんな還ってしまったらしい。  一匹だけ円くなって、空中テーブルで眠っていた。  青白い星降る冷気の下、羽虫の潮騒を聴きながら顔を埋めている。  最近、北米のFM放送サイトがいい感じで聴けるようになった。

風のない夜更けに北側のガラス戸が”ガタ!、ガタ!”音を発てて揺れるので、『ハッ……!』とした。  夜遊び好きの =(・。.・)= 達が運動会をやってて”ドンッ!”とぶつかるのでもなく、地震でもないのに……?!。  訝りつつカーテンをそっと曳くと、めったにそんなことをしない、”腹が白く茶と黒の斑”のチビちゃんが、大の字になり網戸に張り付いている。  柔らかい白い腹の毛が靡いている。  『……んなぁ (^ ^) 』いつからムササビになってもうたんだ……!。  『……ドッタノ……?!』 と人物を窘める醒めた視線を見開き見下ろしてきた。  無垢なとっても澄明なお顔を、=(・。.・)=  『……!』  勇気ある登頂を称え、きっと憤慨し昂ぶっておるだろうから、宥めて丁重に中に入っていただき、熱いミルクじゃない、冷ややかなミルクを皿に注ぎ、鯣を焼いて供する。  割り箸で掴んでいたら焦げて燃えだしてしまった。  鯣はいきなりかぶりつくことはせず、『チョン!・チョン!・〜*!』手で幾度か引っ掻いてみたり、猫パンチ攻撃を数回やってかぶりつき、顔を横に傾いで 『クチャクチャ』噛む。  このときの顔だけは好きになれない!、(−”−;)。  お腹がくちると機嫌がよくなり、ふっと『ゴロ!、ゴロ!、……!』、麗歌の一節が聴けたりする。  そのうちに定刻?!になり、3匹の薄茶の三毛が窓からから 、ぞろ〜*ぞろ〜*入り込んいらっしゃる。  三者とも性格や気質が異なり、一回目の囚われで”長く曳く今まで聴いたことのない、悲しい声で鳴き”で人物に悲痛を浴びせたのは、一番距離を置いている。  顔もささくれが滲んでいて、猜疑心?!がキラリと光る目で、みんなの一番背後にいて、不屈の悲傷のビームで人物を刺す。  いっそうそれが胸を衝かれる。  人ごととは思えない。  夜遊びが終わっても還らないで、ゴロリンと丸くなって眠ってしまうのがいて困ってしまう。  首を掴んで外に置いても、『ニャー〜〜ァ!、ゥ〜〜ゥ……』窓を引っ掻いて開けようとする。  しばらく眠ってもらい、再びそとへ。  気持ちが”一回目の囚われ”くんだけに、傾倒してしまっている自分がいる。

気持ちよく晴れ渡った秋空だ。  とぎれとぎれの巻雲が高い天を流れる。  優しい渇いた柔らかい吸い込まれるような光輝に充ちている。  荒涼と限りない呆けたような空の碧、漲る海浜の朗らかさに”ボーッ”となる、体を風が吹き抜ける。  疲れた河が呼んでいる、怠惰な砂浜が待っている。  彼方の黒い帯を目指し水田を突っ切って侵攻する、ねっとりした潮の匂い、濃い緑の松林の連なりに歓迎される。  木陰に入り、ふかふかの落ち葉や剥き出しの砂地を越えると、一段高い草生した径に出る。  高いコンクリートの城壁が連なり、ほぼ垂直に海に落ちている。  海側に向かって腰を下ろし、風に吹かれて足をぶらぶらさせ、また仰向けに長々と寝そべるに格好の造り。  基礎部分は、大きな石が天に向かって平らな面を精緻にびっしり敷き詰められている。  いずれもひとつとして同じものがない。  潮が退いた時にずんずん歩いた、同じような光景が倦むことなく列なり、時間と距離を見失い魔界に入っていた。  現生への帰還時は、疲れと喪失感些細な安堵に包まれた。  満潮時はこの精緻に敷き詰めた石をタプタプと潮が洗っている。  驚くほど澄んでいて、ゆらゆら揺れる水底が見える。  紙のような薄緑のアオサがゆらゆら揺れる。  澄んだ濃い熱い潮がふてくされている。  キラ…*キラ…*と眩しい銀海を見つめ、遠い日のことを思い出している。  静寂がぎっしり詰まっている風と空、松林の吐息が、肩に降りてきてしっかりと包む。  むっちり膨らんだ空中を天が蹴る真昼の”物の怪”に遭えるかも知れない。  懐かしいひめやかだけれども鮮やかな海藻の香り、潮のネットリした皮膚に纏わり付く感触、岩を洗う潮騒のほかなにもない。  黒い緑の松林がささやく、濃密な松ヤニが放つ精妙な静機が騒ぎたてる。  深い碧がうねりつつ、次々に覆い被さる白波となって砕け砂浜を襲う。  その鳴動は、無限の繰り返し憤怒であり咆哮、呻吟であり耳を圧する執拗な攻撃である。  ゆったりした起伏の果てそそり立つ砂の段丘。  向こうの空の色と同じ色の山懐に向かってどこまでも走っている。  長い影を曳いている。  オレンジに浮かんだ朧な滲ん丸い光輝がゆっくりとずいっと海落ちる。  一筋の帯となってユラ〜*ユラ〜*と波間を渡ってくる。  まったく静穏である。  体内に澱んだ毒がことごとく浄化される。  果てしない喪失感と発作的感傷がこみ上げる。  嬉しい。

夜、チビちゃんと遊ぶ、”腹が白く茶と黒の斑”。  窓を少し開けた隙間から、ひんやりした秋風とともにスルリと忍び込んでくる。  コロコロしたしなやかな丸太にくっつけたカボチャ顔で見上げる。  紐に鯣を結わえて空中でブラブラ揺すっていると、目を輝かせて吸い寄せられてくる。  ねこパンチやらジャンプを繰り出し夢中で遊ぶ。  のべつ紐を揺らせていると疲れるので、別の遊びに変える。  YAMAHA印の赤い布を張った椅子の下が居ごごちがよいらしく、どこに行ってしまったのか?!。  いささか心配になり覗き込むと、たいてい背を丸くしてうずくまっている。  『……ここにいたの!!』 億劫がらずにきっと目を細めて返事を返してくれる。  探していた気持ちを察してくれたのか!?。    『……ンニャ〜〜』  構ってやるよ!とばかり、お出ましになりおもいっきり伸びをするのが待ちきれず、這い出てくるので頬から首をグワァシ、グワァシ、……掻いてやる。  とても力を込めて押し返してくる、双方とも嬉しくなってそのまま続ける。  疲れてくるので今度は、あぐらを組んだ足で支えつつ仰向けにし、胸から腹にかけてグリグリやってやる。  ますます背中を床に押し付けて『ゴロ…*・ゴロ…*・……』歌い始める。  横顔から背中をグワァシ!・グワァシ!、やってやるととても悦ぶ。  前足をグーン!とつっぱって、あぐらを組んだ足を押し上げる。  自ら耳の後ろを擦る。  グルグリをやっている手に暖かい毛の感触と、『ゴロ…*・ゴロ…*・……』喉を鳴らす鼓動が直に響く。  これも疲れだしたところで止める。  気のせいか情熱の鎮静した満ち足りた、凛とした涼しいお顔で闇に還って行った。   しばらくは寂しくないだろう。

夜更け、薄茶の三毛の”懊悩くん”が空中テーブルでミルクを飲んでいる。  首のうしろをヒョイ!と掴んで中に入れた。  しっかり口を閉じておとなしい、別に嫌がるような感じでない。  床に降ろすと同時に背を低くしてものすごい勢いで駆け出し、カーテンをよじ登ったりとにかく高い所へ逃れようとする。  もう捕まえられない。  凄いスピードで脱兎のごとく激しく駆け回ったあげく、隣室の高いところにある棚の狭い空間に飛び上がり潜り込んだ。  買って来たまま重ね、紙箱に立て掛けたフライのマテリアルやらフィルムケースに入れたフライフックやシンカー、何種類かのハリスを積み重ねたものなど。  ギッシリいつでも取り出せるように、区分けして陳列?!してある。  それらの上にのっかった格好でもぐり込んでいる。  『ッハッー!、……!』大きくいっぱいに口を開け、恐ろしい形相で威嚇する。  =ΘΘ=ΠΠ〜の気持ちを想うと悲しくなり、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。  そっと手をのばしたら怖い顔であとずさりしながら引っ掻く。  好物を差し出して何とか穏便に脱出を祈る、が頑として動かない。  早くなんとかしようと焦り、とうとう棒で誘い出した。   (^.^ ;)  一瞬、激しく悲痛の声にならない叫びと、けたたましい喧噪が暗い所から発せられた。  フライのマテリアルやらフィルムケースに入れたフライフックやシンカーを蹴散らし、脱兎の如く猛スピードで飛び降りて窓から還っていった。  またやってしまった……、まだ無理だったのだ……。  やはり棚のフライのマテリアルのあたり一面に強烈な、くだんの懊悩がしっかり残されていた。  (−.”−;) (;。;)

朝、白に黒のキツネ顔のオコジョがやって来る。  驚いた顔のそっくりの友達を連れている。  じゃれあって本箱の上に跳び乗り、目を丸くして立ち上がりガラスを叩く。  海へびの2色の地味な段だら模様の長い尻尾が自慢なんだ、この先を激しく動かしてせかす。  着替えるのももどかしく、大急ぎでとって返し、片手鍋を投げ込んである紙袋で”ザクッ!”と!。  ビーフ、ほうれん草、小魚、骨粒などの”クッキー”を掬う、さらに冷蔵庫から牛乳の紙箱を出し、カーテンを曳き眩しい光輝を浴びる。  『ピ……ッ!、ピ……!』口笛を2回やってから、『おいで!……』と自分に言い聞かすように叫ぶ。  茶と黒の斑の三毛の仔、腹が白い薄茶の三毛の仔も”スル!スル!”現れる。  大きな黒目を見開き、雪の上を歩くように、足音を潜めてふんわりと駆けてくる。  めっきり冷え込んだ昨夜、寒さのためか発表の声が掠れている。  皆、鼻のあたりに噛み跡か?!、傷がある、黒っぽく見える跡がある。  腹が白い薄茶の三毛の仔、とりわけ一番痩せの首に白い毛が回っていない”懊悩”くんが来た。  サーモンの切り身を切ってあげた。  いったん遠ざかってから、物陰からゆっくり近づき鼻に力を込めクチャクチャ。  背を低く肩を怒らせ、『……ゥ』何か唸っている。  野生が剥き出しになった姿、言葉を失う。  気持ちが真っ新になり身じろぎしてしまう。  全身が薄茶の大きな三毛、黒と白の鼻白チビも来た。  鼻白チビは、大きくなってしまい、あまり近寄らなくなってしまった。  頻繁に出現するが一定の距離を頑として守る。  夜遊びに窓から進入して来る、好奇心いっぱい!・冒険心ではち切れる仔と違って、昼間の =(・。.・)= はあまり遊んでいかないようだ。

うどんを作った。  仕上がりは、まあまあで研究の余地を感じた。  コンブを鍋に浸ししばらく放っておく、黒い物が水の底で倍ほどに広がったのを見るは好きだ。  花かつをたっぷり加えてひと煮たちする。  上澄みを採って出汁にする。  ”あげ”を湯通しする、出汁に『どうだっ!』という感じで濃いめに調味料を加えて煮る。  落としぶたで押さえ浸けて、煮汁がなくなりそうになるまで弱火で攻撃する、火を止めて馴染ませる。  出汁に調味料を加えて、生うどん、ネギ、あげを入れて茹でる。  もういいだろうと想ったら火を止め、七味とか三つ葉をちょっびり散らす。  このとき『ずずっ…』と汁が飲める温度でないと程良い硬さで食すことができない。  じつは、ここのとこをしくじってしまった。  讃岐うどんは、腰が並大抵でないので、予め茹でておくのがよい。  しばらく口と体がジンジンしていい感じだ。  おろし生姜をいれると趣が一変する、スースーした京都風になる?!。  窓を少し開けると 、夜気とともに声がさっと入り込む。  『ウー〜ゥ』 冷蔵庫に足を運び、牛乳を出しラッパ飲みしつつ、皿に注ぐ。  昼にも飲んだので飽きたのか?!、飲まない。  『ミャー〜、ミャー〜、……ゥ〜〜ゥ』 尻尾をいっぱいにそびえ立たせつつ、まる顔で見上げて足もとにまとわりつく。  ボールを投げてゴロゴロ転がす。  近くまで駆け寄り、前足を揃えた上に顎を擦り付け、背を低くして目を見開き輝かせて鼻をピクピクさせ、獲物をじっと捉える。  目指すターゲットを見つめ、頭と背を低く腰を大きく盛り上げ、柔らかいしなやかなバネを弾き、いっきに飛びつく。  ゴロゴロ転がしたり、自分も転げてじゃれてしばらく熱中していたが、ふと振り返るといない。  裸足の足になにやら柔らかくてホットな物が触る。  堅くてゴツゴツして動く物が触る、擦り付けてくる。  冷たく湿っぽいものが触れる。  足の指をコキコキ動かしていると、 いきなりガブリ!ときた。  ちょっと痛くてくすぐったい。  足の親指と人差し指で、ゴツゴツ骨っぽいものを挟む。  じっと動かないので力を込めてみる。  『…*!!、ミャッ!』 と声がして、またホットなすべすべした毛がぐっと足首を押す。  正統的なねこ科の生き物が 、大いなる交歓を送っているに間違いない。  よろしい!。  両足の裏で挟みグリグリしてやると、『……ゴロゴロ……!!』随喜の歌を送り出し始めた。  親指を冷たく湿ったものや 、チクッ!とする挟み攻撃が入れ替わりに襲う。  両足の指を噛んだり、『ギギィ……!』と引っ掻きながら顔を擦り付け、”チロチロ”舐める、痛くてヒンヤリして暖かい。  ”ゴロ!・…*、ゴロ!・…*”、以外に速い鼓動が素足に大きく響く。  まったく忘れていた、暖かくてコロコロする者の重力、くすぐったい毛先で、『……タハッ!』と思わず声が出そうになる。  すっかり足が“”ホット”になってまった。  『ギギィ……!』が止まったので眠ったのかな?!と思っていると、またもや親指の先を微かに”チロチロ”舐め始めた。  『…… (−.”−;)』   机の下のトウモロコシの皮?!で編んだ座布団がお気に入りらしい。  想い出したようにふっとホットな毛皮がいなくなり、ダイニングの方で”ペチャ!、ペチャ!”ミルクを舐める音がした。  トコ…*・トコ…* 歩く、とても静かなので 、どこいるか解らなくなる。  目指す物を見つけた時、あるいはとっておきの思惟に突き動かされ、嬉々とした・キラ…*・キラ…*した目を見開き、丸顔で駆けるときは、かわいい足音。  しばらくしてオコジョが高窓から進入して来た。  獣の怒声が発せられ、奥の方に作戦を展開しつつ、『オー、オー、……』 と対峙しつつ燃焼し、予定どうり終えて?!引き上げた。  なんであれあらゆる野戦、戦いには、すべからず、『協力するが介入せず』を貫くつもりだ。

朝、北の方の垣根の下の方から、丸顔の小さい生き物が、スルリ〜*這い出てくる。  一切足音がしない。  好ましいターゲットの視線を捉えた途端、『ミャー〜ゥ〜ゥ〜〜!』、『わぁ〜ぉ〜ぉ』発表しつつ駆けてくる。  急いでミルクと……、小魚、骨粒などの”クッキー”を供する。  ひとしきりモグモグ、ペチャペチャやってから、トコ…*・トコ…*跳んで来る。  机の下の”お気に入りトウモロコシ皮座布団”で仰向けになる。  机に向かって白い板に並んだボタンをあちこち押さえていると、きっと足にくすぐったい毛皮が擦り付けられる。  爪を起てて”チクッ!!”、”ギギッ…*”と遠慮のない・手荒い挨拶・ちょっかいを繰り出してくる。  冷たい舌でペロ〜*・ペロ〜*やる 。  たたみかけるように重力を掛け新たな戦法を繰り出す。  チョン!・チョン!と叩いたり、ゴシ!ゴシ!掻いたりする。  ”ジン!、ジン!、……!”、”ブル!、ブル!”する振動を足の裏で感じる。  出し抜けに、“ホットな・チク!チク!・ふんわり〜*”毛皮がスッ!と脱出してしまう。  スースーした寂しさ・虚脱を置いていった。  もう飽きてしま った!?、あるいは、何かいい考えに憑かれ、還っちゃうのかな?!と想っていると、スタ!スタ!とキッチンに行った。  自分のお皿に置いておいた牛乳を飲んだり、クッキーを”カリ!、コリ!、……!”やる。  ふたたび迷わず真っ直ぐに、安息の地・トウモロコシ平原へ……。  何を想ったのか急にそわそわし始める。  面白いことでも思いついたか!?。  素足のゆびなどを噛んだり、ジーンズの裾で爪を研ぐ、これが始まると痛くて足の置き場に困る。  寝そべりながら手を伸ばして、”コチョ!〜*、コチョ!〜*”やる、痛くてくすぐったくて……。  ほんに”食う寝る遊ぶ”だにゃ……!。  どんな顔でやっているか!?、そっと覗くと、至極紳士な面持ちで、むしろ仕事に打ち込んでる威厳があった。  ボールを掴むように、足の裏で顔を挟むと、とても機嫌がいい。  手でトン!トン!と感謝の挨拶 !?を呉れる、程なく自発的にすり抜け、足の甲に頭を置いて眠ってしまった……!。  暖かくて『ジンジン……』と、『グルグル……』の波動が足先から直に、体の芯を次々に波打ちながら這い上がってくる。   重さに感動したのは稀。

深夜、窓を少し開けておくと、『ゥ〜〜*』、『ミャッ!〜*、……』、空中テーブルで組づ解れつ、うみへびのような2色の段だら模様の長い尻尾を激しく縦横に振り回し ながら、夜遊びに耽っていた腹白薄茶の三毛や、灰薄茶の地味な三毛達が乗り込んでくる。  チビちゃんもやはり、うれしそうにやってくる。  白に”茶玉”模様の”オコジョ”の二匹も 、仲良く連れだって乗り込んでくる。  意欲満々で夜の野生が漲っているから、気迫に圧倒される。  ”オコジョ”とチビが出会うと、大きな野生の咆哮が闇を貫く、『ゥ〜〜!!、……!』めったに聞かない 、低いトレモロが微かにかかったボイスで挨拶を交わす。  ひとしきり出会いの挨拶が終わると、『ッハッ!……、ウギャッ!……』と威嚇を投げつけ、惜しみない瞬発力で走り抜ける。  初めは驚いたが、不思議となにものにもぶつかることがないので安心する。  本を拡げてうつらうつらしてしていても、目が覚めてしまう。  魚や肉粉などで作った小魚やチューリップ形の”クッキー”には、飽きてしまったらしく、ともかく生に近い魚を激しく求めているらしい。  なにかいいもんないか考えてみたところ、”うるめ一夜干し”(佐伯市山田水産)が冷蔵庫にあることを思いつき、頭と尻尾を切り落とせばいいことに気がつきこれを供する。  いつも黒く焼けた炭のような物を見ていたためか!?、『……?!』 キョトンとしていたが、やがて『ンガオ、ンガオ、……』悦びを叫びつつやっつけた。  元気にしてるか!?・機嫌良くしてるか!?・いったいどうしてるのだろう!?、気にかかる”懊悩くん”はやはり現れない。  充分食べたであろう”オコジョ”の後ろ首を掴んで窓から退散願う、大きくて重い。  大人しく言うことをきいてくれるので、かえって悪い気がする (^.^ ;)。  食事のために出掛けようとすると、机の下のトウモロコシの皮?!で編んだお気に入り座布団で丸くなってうつらうつらしていたチビちゃんがむっくり起き上がり、ついてきた。  途中で立ち止まりじっと視線を投げる。  ”民芸うどん”でキツネうどんを食べる。  大きな”あげ”が2枚入っている、微かにピリピリしたを刺すものが入っている。  やはり関東よりに、いわゆるちょっと辛目に仕上げているみたいだ。  浅めのたっぷり広口の鉢のつゆが澄んでいる。  ”プチプチ”、”しこしこ”でなく”ギュウギュウ”、”ヌルヌル”でやや不満である。  太い黒光りの柱、高くて広い薄暗い天井、黒っぽい石?!の土間、板張りの背もたれ、装飾が無いように見える。  夜陰が降りてきて湿りをが含んだ夜気に、草の匂いを見つけうれしくなる。  未だ蒼さを残す天空を秋風が流れる。  星がとても高く、目を凝らすと白い雲が浮かんでいる。  はっとする異形、無彩色の中に漂う仄かな色彩。  追ってくるものから逃れる観念に捕らわれ急いで還る。  眠っていたチビちゃんがなぜか、逃げた?!。 クローゼットの再下段に入っていく。  おとなしくちょこんと腰をおろしてこちらを直視する。  呼んでも出てこない。  ハッとする、急に出掛けたから拗ねているのか?!。  今まで、僕のほうが姿を消すことは一度もなかった、 =(・。.・)=の方から気まぐれにふらっと進入し、ふらっと還って往っていたのだ。  少ない共同生活の中での新しいパターンの出現であったが、今度はどうなるか?!、密かな楽しみなのです。  ちっとも深刻でなく、いつもの『……ン!』とした顔で出てきた。  昼間、鼻白チビにくっついてチビが散歩?!していた、『おいでっ!……』と呼ぶが、ほんの微かに頭を振ったきり、親子が体を擦りあわせたり、小走りに跳んだりしつつ往ってしまった……。

朝、出掛ける時に本箱を覗き込んだら、チビちゃんが丸くなり、深い夢の中で遊んでいた。  やがて人物の気配で現生に戻り、『……ン!』 疲れた?!しっかりした顔を上げて、『ミャー!、……』と鳴いた。  掠れて破れ障子のような侘びしい響きであった。  ねこが待っていると想うと還り道がわくわくする。  『……ャ』窓を開けると茂みの中から掠れた小さな声がした。  カサコソ音を発ててやってきた。  前に頭と尻尾を切り落とした”うるめ一夜干し”を冷蔵庫から出し、ミルクと共に供する。  机の下がいつもの交歓の場である。  足の甲に寝転がり『ゴロゴロ……』と『ジンジン……』が混じった波動を送ってくる。  裸足でいるとヒンヤリする舌で”チロチロ”指を舐めたり、”ギギッ”と噛んだり、手で”チョンチョン”と叩いたり、口ひげの横顔を擦り付けるので、『……タハッ……!、(^o^)』くすぐったい。  結局、両者が一番気持ちがいいスタイルになる。  前足を両足で挟み、甲を枕に =(・。.・)= が”いびき?!”をかく形か、ときどき顔を親指で擦るパターン。  いつも裏切って波動の連結機構を解放するのは、ぼくのほうなのでほんに申し分けないのです。  コーヒー豆が切れているが寒いので今日も買いに往かなかった。

大きな蛤があったので、お澄ましを作る。  コンブを鍋に投げ入れしばらく放っておく。  黒いカチカチの薄い板が2倍ほどの大きさになり、ぬめぬめと深い緑を湛えて生き還り思いっきり泳いでいる。  ひと煮たちしたら蛤の殻を外し包丁を入れ、分葱、麩、調味料を入れる。  蛤から青白く濁った体液がじわじわ流れ出す(−.”−;)、体の芯にツーンとする錯覚がよぎる、潮の塩分も吐露するので薄口醤油の分量を加減する。  砂糖を入れるが極ほのかな甘みに押さえるのが肝要でここに唯一、気を使う。  終わりに三つ葉を入れた。  強固な香りとともにアルカロイドが強いので入れすぎないようにする。  『あぁっ……!』 懐かしい、優しい鎮静する深い澄明が溢れる。  五感の中枢?!が静謐に羽ばたく。  紙一重にくどさが透けて見える。  できるだけ簡素で個性がしっかりした食材を器の中で戦わせたい、それをまた確かめようと想う。  松茸の土瓶蒸しは食べたことがない、近いうちにやってみよう。  オーブントースターで切り餅を焼く。  上手く焼くためには、途中で一回裏返さなくちゃならない。  ほのかな甘みと香ばしさ、もちもちした歯ごたえ、旨いのでたくさん食べたいがそうもいかなず、食べ過ぎないようほどほどにするため、いつも不満が残る。  困ったもんだ……。  (^.^ ;)  朝日を浴びてチビちゃん、=(^。 ^)=が広場で仰向けに転がり”ごろごろ”をしている。  背を地面に擦り付けながら激しく体を捻っている。  地面に腹這いになってじわじわ接近して、ポチポチから”ピンッ!”と突出してるおひげをアップにファインダーを覗きシャッターを切る。  キラキラ鮮鋭な横殴りの早朝の真っ新な光輝が燦々と注ぐ。  いいぞぉ……!。  …んが、カウンターが思った処を過ぎても巻き上げられる、終わりの感触が無い!、ん……?!。  なんということ……!、フィルムが入っていなかった。  やってもたぁ〜**。  おひげくんが鉄棒の脇でしゃがみ、くるりと回り砂を引っかけて匂いをくんくんして垣根を潜り北方へ往ってしまった。  陽が西の山に落ちる頃、『ジャワ!、ジャワ!、……!、』 泡立つような、弾けるような、サウンドが頭上で一斉に響く。  頭を押し倒し見上げると、遥か天空を切る高圧線に豆粒程のものが無数に連なっている。  雀の群だ。

近所の屋敷に孟宗竹林があり、夕刻近くを通りかかると、『ザー!、ジャシャワ……!、ブルブル……』 宇宙の彼方からの暗号の洪水に出くわす。  再接近すると『チュン!、チュン!』とも聞こえる。  あまりに徹底した”ホワイトノイズ”のいっこうに衰えない絶叫の海に唖然としてしまう。  夕闇の秩序ある無秩序の力漲る大集会に感心する。  突出した瞠目のみが脳裏に残り、ときどき思い起こす楽しみがあるが、”ホワイトノイズ”が正確に”そよがない”のがもどかしい。  やはり、あの陽がとっぷり暮れた夕闇が這い回る中に、熔解し融合し激しく胎動する炉心が泡立つ竹藪に往かなければ……。  夕闇の窓を曳く。  『ギャーァ〜*』掠れて情けない小さな声がする。  コロコロした元気なものが跳び込んでくる。  キッチンに立つときっと付いて来て、先ず足もとにヒゲがくすぐったい丸顔の頬を擦り付け、挨拶を欠かさない。  白の弁当箱に牛乳を注ぐ。  削り節を差し出す。  『フンッ…!』 近づきすぐに離れる。  すぐ、机の下の大好きな”トウモロコシ皮の座布団”でゴロゴロする。  素足の指を噛んだり、ちょんちょん撲ったり 、ペロペロするのが一番なんだな〜*。  かかとの堅いとこで爪が上手く研げるとは思わないが、こちらがきっぱり『いやだっ!』と足で発表しないと、けっして突き立てた牙は解除しないな。  最近やっと頭が足先で解るようになったので、”パッ!”と捕まえて両足先でグルグリをやってやると、しばらくじっとしてて、我慢できなくなると手で”チョン!、チョン!”と発表をするだな…。  きっと、ひとしきり挨拶を交わしてから、むっくり起き上がり、白の弁当箱の馳走を”もぐもぐ”するだにゃ〜*。  これらの段取りは、決まっているので双方がそれを守ることで交歓が深まる。  ひとしきりお互いに存分にやりたいことをやり遊び疲れるとうとうとする。  足の甲を枕にしたり、両手で爪を発てたまま、”ジンジン……!”、”ドク!、ドク!、…!”柔らかい暖かい毛先越しに波動が芯から這い上がる。  星降る寒空の何処で眠るのだだろう?!。 =(-.-)=  いつも、還りのことが気になる。  急に”ピクッ!”と耳を翻させるのは、七色の夢でも見たのか……?!。 

昨日は、柔らかい朝日が射し込む本箱から、むっくり起き上がり『……ぁ!』と挨拶をくれたチビちゃん =(・。.・)=の姿はなかった。  昼、オーブントースターでこんがり焼いたあつあつの切り餅を、薄口醤油を滲ませたたっぶり大根おろしに『ジュワッ!』とぶち込み、大根おろしの冷たいものと焼き餅の『はふっ!、は…っ!』の”恋愛対位法”を食す。  餅の香ばしさとほのかな甘みと 、大根おろしのみずみずしいシャキシャキと、ピリ辛でお腹が、”キュッ!,キュッ!”鳴る。  足下で、=(・。.・)= が、ブチブチしたくちひげの顔を擦りつけ、爪を起てる。  暖かくて弾力がありそよぐ毛皮がくすぐったくてかつ痛い。  多彩で贅沢な歓迎であり礼であり、不思議と高貴なお方に”道”を教えられる歓びがある。  切り餅4個があっさり収まった。  途中まで =(・。.・)= に見送られて出撃する。  今は、もう粉っぽく感じない”骨太チーズ”を半分チビちゃんに投げて、垣根を乗り越えて幸せな逃避行の背を向ける。  『?!、……ン』とした真っ直ぐな視線が刺さる。

白くてふんわり丸い小さい餃子を10個と切り餅4個、野沢菜、紅玉2個、柿2個、コーヒーが夕食。  野菜中心の餃子で皮が薄く柔らかい、はけでそっとかたくり粉を落とし中火で片側が焼けたところでひっくり返し、熱湯を注ぎ蓋をして蒸し焼きにする、フライパンの中がパリパリ?!音に変わり水がなくなりかけたところで 、オリーブ油を流しまんべんなく行き渡らせる。  弱火でゆっくり焼き上げる。  オーブントースターで2個ずつ切り餅を焼く、途中でひっくり返す、膨らみ始めるとあっという間であるので油断できない、見ていないとたいてい黒い焦げ目が付いてしまう、ナイフでいっきに削り落とす。  上手く焼けるとうれしい。  たっぷりの大根おろしに薄口醤油をほどよく入れた小鉢で受け、『アチッ……!』 と声を上げつつ、”冷たいおろし”と熱くて香ばしいほのかに甘いモチモチしたものを、”ピリ、ピリッ!”とした辛みを中心に楽しむ。  熱い餃子と交互にあっという間に食べ終わる。  口の中が微かにピリピリする。  味が精妙で一途であるため何か甘いものを欲する。  この星の全員にしっかりデザート用の別の”ピット”が用意されている…。  『締め切りはすでに過ぎております……、しかし原稿は2日後で結構でございます。』 これだぁ……!、なんであれすべからず付き合いはこうでなければならない。  金色の焼き海苔の筒の蓋を”ポンッ!”と抜くと、いがらっぽいタバコのような苦い香りが立ち上 る。  ミルに適量の焦げ茶の粒を投げ入れ、激しく打ち砕いてやる、『グァウィーン……!!、ンガガ……!!、ウィーン……!』。  片手にほどよい重さの丸いものが激しく小刻みに全身で身震いする呼応と、唸る ような叫びにいつも胸がすく思いがする。  逆さまにした蓋をスプーンで”コンコンッ!”と叩き、しっとりサラサラの暗褐色の残骸を楔濾紙に丁寧に移す。  きついアルカロイドの芳香の縞が這い上がり揺らめく、すかさず脳髄の何処かでスイッチが”スイッ!”と入る。  すでにいがらっぽい刺激が失せている。  『コロン…!』窓辺に置いたネスカフェの空き瓶からゴツゴツした壊れたサイコロを1コ取り出し、明るい黄とも橙とも見える陶磁器の円筒に投げ入れる。  サイコロは、椰子の葉越しに白黄の眩い陽光がオームに燦々と射す南半球の眠るような入り江の光景が描かれた空色の箱に入っていたものである。  ”南の島の砂糖黍で……ナチュラルシュガー……”とある。  ナチュラル(ミネラル)ソルトを見つけたいと思うが、出かけた時はきっと忘れているので未だ入手できない。  焼き餅をこれで食べたいし、ステーキにも使いたい。  牛の肋一枚を”キ”の字の串に磔て岩塩、胡椒で山のような炭火でじわじわ焼く南米の”アサド”の気分だな。 

窓から顔を出し寒い夜気を吸い込み、『ピピッ……!!』口を鳴らす。  反応がない……。  もう一度、闇に拡散させる。  微かに”ガサガサ”音がする。  何かが起き上がるような気配があり、小さく消え入るような返事がする、 『……ャ』 しばらく待ってると、コロコロしたものが目を輝かせて、灯りに跳び込んでくる。  入り口に出現した背丈ほどの傷害物に躊躇?!している。  乗り越えてやってきて、四肢をいっぱいに伸張させて大きく口を開けて数回伸びをする。  どうやら熟睡してたらしい。  白い弁当箱にミルクを入れるが飲まない。  カマンベールチーズを置くが匂いも嗅がない。  机の下のお気に入りの”トウモロコシの皮の四角”で靴下を脱ぐ、寒い。  暖かいものと”ギギッ…!”と引っ掻く痛みと湿ったヒンヤリするものの歓迎?!、攻撃を受ける。  ときどき丸い頭を抱えている両足にちょっと力を入れてみる。  『ミ……ァ!』と下の方で声がする。  ひとしきり交歓が終わると、弁当箱に出かけて、真っ直ぐ一途に猛烈に飲み始める。  そうだな、挨拶?!か、遊びが先なんだ……。  

濃い藍色の靄にけぶる夕闇を潜り抜けて、無数に舞う粉のような水塵を吸ったり吐きだしたりしながら還る。  すっぽり天を這い触手を増殖させ、空を覆う桜の垂れる枝の洞の中を急ぐ。  なにやら煙霧が降りしきる向こうに点々と橙が滲んで呼吸をはじめる。  潮が満ち海岸線を乗り越え押し寄せてくる時のような、気持ちは蒼空なのに勝手に心が身震いする序幕が開け放たれる。  角を回り、パッ!とホールのロビーが見えたときの昂揚でもあり、買った本を喫茶店で拡げる際の期待めいたものである。  それがなんなのか、永いあいだ解らなかった。  昏れなずむときの濃い藍色が、『ご……よ〜!!。』  声が垣根越しの物陰から発せられた時とそっくりであったのか!?。  短い煙突から揺らめく紫の煙がまっすぐ立ち上らなくて、あたりをますます濃い虹紫のもので覆う時とそっくりであることに、ハタ!と気づいた。  赤、焦げ茶、橙、褐色が冷ややかに濡れそびれて重なる。  地面に吸い込まれる。  いっさいが融けだし風に吹き飛ばされることなく真っ直ぐ地に刺さり溶ける。  全くエネルギーの転換がないように見える。  鼻先のしめやかな夜気は、今日のものに違いないのだが、柔らかく紫にふすぼり息づき這い回るものは、かって遠い日に逢ったようなものとそっくりである。  ”ジー!、ジー!、……!”、遥か頭の上の天空で虫が泣いている。  仄かに青白い光を放ち、弛まず捻れたオゾンを放つ。  遥か高空の天上から波動が降り注ぎ、生あるものめがけ真っ直ぐに突き刺さり、見えない痕跡を残す。  水塵の粉雨と共に燦々と降り注ぐ。  何もかもが眠る空の上に滑空する。  椋鳥やオナガ、カラス、コウモリ、……、賢者はその危険なエリアからとっくに退散している、が気配を感じたり気がついた時は既に手遅れなんだなぁ……!。  鼻から先頭部が鈍い疼痛に襲われる。  星が隠れた闇からひっきりなしに降下するものでなにもかも洗われて、じっと息を潜めて伏している。  灯りの中に辿り着くと、『……ャ』声が近づき、みるみる大きくなる。  流しで手と足を洗ってやる。  足をお湯に浸けた途端、『ワ……ァ』嫌がって悲痛の声をあげる。  頭を前から後ろにかけて、”ゴシ!、ゴシ!、……!”、”グリ!、グリ!、……!”掻いてやる。  思いっきり力を込めて首を反り返えさせ、目を細めて悦ぶ。  床に転がせて背中から腹をなで下ろす。  手と足で人物の足とかを爪を起てたウォーキングで押し返す。  ジーンズを掴む、引っ掻く。  どんな顔なん!?、と屈み込み確かめる。  別段挑戦的・好戦的なそぶりなど見あたらず、いたって平静、真摯にかつ情熱的に打ち込んでおり、ちょっぴり拍子抜け。   クール・涼やかな面持ちであるから、恐縮しそして感心する。  カーペーットの小さな凸凹を引っ掛け、仰向けになったままずって背を擦り付けてずんずん進む。  ”ゴロ♪、ゴロ♪、……♪”、”ドク!、ドク!”した鼓動とも発表とも思える波動が、足の裏から這い上がる。  何かを思い出したか!?、はたまた聞こえない呼び声を察知したか!?。  突如振り返り、そわそわしたしぐさで見上げる。  立ち上がり窓を少し開けるとトコトコ歩いて闇に消えた。  食べ残したチーズが白い皿に転がってる。

寒くなるときっと大地を跳躍し体の芯を激しく這い上がり、脳髄を激しく揺さぶる6/8拍子を渇望する。  それは、薄ら陽のように秘やかに忍び寄るものであったり、”ゴゥッ!”と突き抜けて吸い込まれる赤橙の夕陽の光輝の拡散がそよぐものであったり、暗く熱い生への憧れが”ビョウ!、ビョウ!”とちぎれてくるめいて赤と銀、碧紫を散らして暴れる……であったりする。  全てに秘やかだが大陸的な鷹揚な歓喜がそそり立つ。  ふすぼった欲情、荒々しい情念が土の発熱、草木のいきれ越しに揺らめき厳しく喘ぎつつ、ぐんぐん迫る。  明朗な空虚、堂々として力に満ちたキラキラした発作的感傷がめまぐるしく吹き飛ばされて、体がふっと軽く浮き上がる。  午後の激しい陽が、”カラ!カラ!” と転がる、どんどん転がる。  壁にもたれてじっとしていると、澄み切っている夏の朝空に、僅かに雲に光が射し、空いっぱいに眩い淡い光耀が漲っている水草がぎっしりと水面を被って茂り、無数のエビが草の上でぴょんぴょん跳ねる光景がよぎるである。 肩の力がほぐされ、緑や金、赤、銀、橙に輝く石ころになれるのである。  薄茶の海へびのだんだら模様の憧れ尻尾 =(・。.・)= 達がずいぶんしばらく来ない。  懊悩くんもずっと来ない。 …(¨ ),( ¨)  チビちゃんが待っててくれた。  真っ暗闇から消え入るような小さな嬉しい声で応えてくれる。  『ミ……ャ、……*』互いに駆けより交歓。  背が雨で濡れて冷たい。  玄関で手と足を拭いてやる。  雨にたたられ、大好きなミルクが無いので、花かつおを供す。  傘をさしてミルクを買いに出かける。  『……ン?!』机の下からむっくり顔を上げる。  太い麻編みロープ(ベルト)で遊ぶ。  ズルズル曳きずると、顔を床に擦り付け、目を輝かせ、鋭い眼光で捕捉する。  嬉々とした顔、背を低く捕捉の構えからいっきに飛びつく。  ひとしきり、迷いの欠片もない真っ直ぐな戯れ・運動をやり尽くす。  機嫌が昂揚すると、あっさり次なるターゲットに向かう。  頗る調子がいいように、ご機嫌さんであるように見える。  羨ましい!、あやかりたいと欲す。  トコトコ歩いて隣室に置いたミルクをペチャペチャやる。  机の下、トウモロコシの皮で編んだ敷布にゴロリ〜*。  丸顔のピンッ!!としたおひげを、地上人の素足に擦り付けたり、冷たい舌でチロ〜*チロ〜*舐めたり、爪を起てた手で!ちょん!、ちょん!”叩いたりしていたが、ぎりぎり引っ掻いたまま動きがまばらになり、『グル!、グル!、……』暖かい波動を送り続けてうつらうつらしよった。

井伏鱒二の”たらちね”を広げる。  ”お母さんが現れて中島の云ふのを聞いてゐたが、『健蔵が何を申しますやら。』たった一言云ふと、中島はしゅんとして黙ってしまった。  ……” のあたりで、気持が一杯になったので、読むのを中断して音楽に集中する。  つづきは、気分が向いた時に読むことにしようと思った。  鱒釣り/ カーター,J.(ジミー)・トレーバー,R.(ロバート) 他著/ 朔風社を、何度も図書館で借りて来ては延長を繰り返し、長い間手元に置いていたことがあったので、また読み返したいと思い探してみたら、イギリスの鱒釣りや、アメリカの鱒釣り、鱒釣り師 が一緒に出てきた。  鱒釣りはブルーの装丁でアメリカの香りがいっぱいである。  いい随筆に出会ったときは、いい音楽(以前は西洋の古典音楽、最近はJAZZやワールドミュージック)をかけて、詩を読むように少しずつゆっくり読んで行く。  したがって、感極まるとバタンと閉じて宇宙艇に横たわる。  井伏鱒二の文士の風貌の扉の写真(ねこが頭に乗っている。 )を見ても先に進めなくなる。  第七銀河の旅から帰還してまた読み始める。  天野 礼子/ あまご便りは、最後まで楽しく読めた。  幸田 露伴 著 開高 健 編/ 露伴の釣りは、気になるばかりで未だ手に取ったことがない。  American Method Flyfishing(アメリカン・メソッド・フライフィッシング)や、フライフィッシング讃歌、フライフィッシング・マニュアル、フライフィッシング教書、ウォルトン,I. 著 飯田 操 訳/新訳 釣魚大全、ウォルトン,I. 著 立松 和平 訳・解説/釣魚大全、ウォルトン,I. 著 杉瀬 祐 訳/初版本 釣魚大全、ウォルトン,I. 著 森 秀人 訳・解説 /釣魚大全(完訳)もどれかきっと図書館にあるはずなので忘れないで見つけてみようと思う。

厳寒の凍てついた星降る夜、ネズミ男の灰色のフードをすっぽりかぶりN(誠一?!)君がやって来る。  鯰のような小さなまん丸な優しい目で、チャーリー・ミンガス讃を発表する。  柔らかいひげをそよがせてピーター君(オスカー・ピーターソン)をこき下ろす。  皆うなだれてそれを聞く。  ジョン・サーマン(バリトン・サックス)の渾身の燦爛たる炸裂、不屈の闘志が『♪、ドド……ッ、……』と頭上を滑空する、剥きだしの床を這う。  テニスコートの脇を通り、黒い影を投げる楢やニセアカシヤ、ヒマラヤ杉、赤松、銀杏が吐き出す柔らかい放射能を深く吸いながら、港をめざして進んでいく上げ潮のように、青白い夜光虫を滲ませて浸透してくる。  テロリスト達は、赤い電球の下で額を付き合わせて、松ヤニが溶けだした褐色の透き通ったものを嗅ぐ。  濃いコーヒーを口に運ぶ。  真っ直ぐ立ち上がり拡散しつつ、たゆたう紫煙を眺め、ため息をつく。  壁に打ちつけた”」”釘に掛けた30cm□の絵をチラッと見やり、壁に頭を押し当てる。  発表が飛び交う頃、セロニアス・モンクの訥々とした俳句の世界を漂う。  これが吐息と発熱、沈殿を洗い流してくれた。  中2階から目の大きな、髪の長い額の秀でた子が、足音を忍ばせ・息をひそめ・音もなく降りてくる。  振り向くと階段の下に、キラキラする潤んだ光の瞳の横顔があった。  『……寒い』と小さな肩で吐露した。  不思議の国のアリスであった。  アリスは、ときどきささやかなカウンターを潜り、中に潜り込みポップコーンを作る。  ”シェップ”の弟子?!らはストーブで餅を焼きながら、言葉少なに密談?!を重ねる。  ”作戦”は発展的に、全員の歓びの微笑で決しられた。  なぜ?!、如何に?!、何のために?!、何を?!、誰が?!。  ことごとく・充分論を尽くし、なんの問題もなく無類の完璧を見せた。  頭からつま先まで全身に火薬がみっちり詰め込んであって、不屈の闘志、悲観的楽観主義に磨きを掛け、物憂げに目を細める。  しかし、いったい何時?!……。  風の吐息が失せ静穏に覆われた。  カンカンと足音が還る星降る闇の下、背を丸め”マリオン・ブラウン讃”君が往ってしまう。  閉店の発表の曲を想い出せない。

昼間のチビちゃんは、落ちつきがない。  昨日の夜更け、大好きな机の下で丸くなって顎を床に置き突きだしてうつらうつら。  目を丸くしてゴロゴロをしたり、机の足置きバーにぶら下がったり、トウモロコシの皮で編んだ座布団を引っ掻いたり。  実に得意そうに・周りを制圧する気迫・唯我独尊・神々しいまでの充足の時間の流れる空間で爪を研いでいた。  が、ふっと想い出したように窓際で上を見上げる。  高窓を8cm程曳いてやると、音もなくヒョイっ!と跳び上がり、”ブルッ!”と全身を起動させてから、闇の冷気に吸い込まれる。  しばらくしてから突然、北の窓が『ガタ!、ガタ!、……!』身震いする。  毎度のことながら、『……ッ!』 として拡げた本から顔を上げる。  American Method Fly Fishing(アメリカン・メソッド・フライフィッシング)を置く。  チビちゃんが網戸によじ登り爪を研いでいる?!、激しく揺すっている。  『……ッ、( ¨)』 少し開けると入ってくる。  自分のお皿でちょっと食べて、やがてまた南の窓から還っていく。  朝、目が覚めると、いそいそとカーテンを引き外を見る。  澄明な冷気、横殴りの眩しい光輝を浴び、ササの中で丸くなって寝そべっている生き物を探す。  上から挨拶すると、顔を上げて『……〜ャ』掠れ声が反射する。  ”ケンウッド! カピバラレストラン UA(うーあ)”(CAPYBARA RESTAURANT)を聴いた。  危うさと奔放、タイトな観察・発表、真摯、図太く感じさせる?!潤いのある太い芯のあるボイス。  ちょっと鼻に抜ける青臭さが混沌とし、パチパチ弾ける闊達に曳かれる。  タラバガニを焼いた。  ぶつ切りのパックから焼きごたえのあるボリウムの足を選び、グリルで焼く。  青白い体液が流れ出している。  包丁で削いだ、ムッチリした奥深い淡泊の豪華の部分に、焦げ目が付いた付き始めた時が食べ頃のようだ。  パリパリとした身をフォークで外す。  淡泊なカマスと同じく、焼くよりは、焙るようであらねばならぬ。  パリパリした歯ごたえ、カルシウムの焦げた香ばしい薫りを食す。  外すのに疲れた。  一方は鍋にする。  ジンジンした爛熟、豊満、喚起、滋味が精妙に浸みわたり、行き渡りさざめく瞬間があり、しばらく体中がホクホクと饗宴する。  外殻の惨憺に、心がいささか荒む。

轟々と、『ビョ…!、ビョ…!、……!』と天空が駆け抜け、大気が叫ぶ。  『ドォ…ォ!』、地が軋み地鳴りが這い上がるようである。  激しく憤怒の肩をそびえさせて闇が走る、光るものが冷たい筋となって闇を切る。  パタパタとはためき転がる音がある。  『ヒュー!、ヒュー!、ドドーゥ』と地を駆け抜ける。  横殴りの小さな滴が顔を撲つ、手足を撲つ。  赤、朱、橙、褐色の葉っぱがパラパラ走る、滑空する。  黒い木影が全身をくねらせ、むずかり発狂しつつ踏ん張る。  こんな雨風の疾走する闇の奥で待ってるものがいる。  『ミャー……〜、ウゥー……〜ゥ』投げつけるような引き裂くような声がする。  暫くすると、灯りの中に茶と黒の斑が現れる。  声から想像する荒涼は微塵もなく、尻尾をピンッ!と起てている。  いつもの丸顔でコロ…*コロ…*のボディーに精気が満ちている。  大気の憤怒、格闘で血が騒ぐのか?!、野生が呼び起こされるのか?!。  やはり顔を上げて大きく口を開け、『……〜ャ!、……ゥ〜ゥ!』 全身を引き絞り激しく言葉を投げつける。  玄関までついてくるが、入らない、待っていても足を突っ伏し、口を開いてなにやら叫ぶだけだ。  窓を少し開けておくと、いつもはすぐ闇から跳び込んでくるのだが、声がするが現れない。  ドタドタ……、ギャ……!、フー……ッ!、格闘の勇ましい気配、なにやら噛みあい走り抜けるものがあり。  しばらくしてまったく穏やかな、先ほどの声は?!、とあっけにとられてると。  『ミャー……(゜∇゜)』とコロコロしたものが駆けてくる。  不思議と手と足はきれいなので、拭いてやろうと待ちかまえていたががっかりだ。  やはり自分の皿に向かうことなく、大好きないつもの場所でごろりと寝そべる。  シンディー・クリフォードに似た、鰓と肩のはった目筋が涼しい人物がいるテレビを見ながら、膝に乗っけてゴロゴロをやる。  ほどよい重さ、”ドク!、ドク!”と”ドロ!、ドロ!”が混沌と混じった波動と音が直に響いて気持ちがいい。  ぬめぬめサラサラ、暖かい白い腹を撫でると極小さな乳首があった。  ザラザラの舌で指をゴシゴシやられたので、顔の骨をつかんでやったら、それが気に入ったらしく、いっそうゴロゴロのパワーを上げやがったので、しばらくそうしていた。  ひとしきり遊ぶと皿に向かった後、外に行きたいらしい発表があったので窓を開けると、ゴーゴーと夜が叫ぶ雨の中に出かけ、しばらくして戻ってきた。  何処いってたん?!。  教えろや、チビちゃん……。  伊藤君子のA NATUAL WOMAN/ ESCA 5089を聴く。  からっとしたややハスキー、ストイックなボイスがひしひしと押し寄せ、背筋がそびえ立ち無窮の悠々たる水の流れが”そよぐ”。

Jacques LoussierのPlays Bach を聴く。  ポップスであった、”そよぐ”ものが皆無である、音波動がするする通り抜ける。  寒い玄関に立つ書棚から文庫を取り出す。  全てカバーが掛かってるので探すのに時間がかかる。  カバーは、8種類ほどであり、ずいぶん古いものもある。  嫌いな柄、大好きな柄がまったく勝手に整列している、ごく近所で買ったものや、北や南、東に出かけた折りに買ったものである。  ほとんど鉋掛けしてない日曜大工の定尺の材木をそのまま使い、高さ1.8m、幅0.6mの文庫本とぴったりの奥行きの棚が10段ある。  玄関の壁にぴったり沿って立っている。  下駄箱の上には、縦横0.9mのものがあり、同じく文庫専用のぴったりサイズの5段の棚は、とっくにビッシリ埋まっている、その上に300冊近く平積みになっている。  また本棚を作ろうと、日記を書いていて想う。  これらの文庫本と最下段のハードカバーを無造作に抜き取り、タイトルを見ていく。  ”全国食えばわかる図鑑/椎名誠/集英社文庫”と、”小さな島からの手紙/田村隆一/集英社文庫”、”もう一度オクラホマミクサを踊ろう/森瑤子・亀海昌次/集英社文庫”を見つけて取り出す。  別に特定の本をさがしていたのでなく、『なんか無いかな……?!』と思い、寒い廊下?!に佇んでいたのである。  全国食えば……の巻尾あたりの『タマネギは一番エライ!……、キャベツはよくできたヒトだ……、トウガラシに強姦をみた……、ナスもキュウリも実力不足……』をパラパラめくり好きなところを読み返した。  ザ・ベスト・オブ・サキ I…… II/中西 秀男 訳/筑摩書房や、サキ傑作集/河田 智雄 訳/岩波書店、サキ短篇集/中村 能三 訳/新潮社などの文庫もきっとどこかにあるはずなので、見つけだして正月にゆっくり拡げようと思う。  サキは前者のように、文体に少なからず曳かれるところがあるわけでないが、多彩な発想が意表を衝いていておもしろく、無駄がなく見晴らしがとてもいい、ドライブ感でないがアレグロで侵攻(≠進行)する。  個にして普遍であり模倣を激しく拒む。  いっそカバーを外してしまえば見つけやすいのだが、活字の延長線の先端にある人生混沌の秘密の情熱としての、理性が漂流する場の構築をめざしたいので、ずっとそのままにしてある。  チクリとピンで心を刺されるそのことを先刻承知であるので、むしろ醒めた心を『ポ〜…ンッ!』と、どこかに放り投げて立ち向かえる爽快がある。  読んだあとできっと、映画館から出て白昼の痛い光輝を浴びてくらくらするような、午睡から醒めた時のような、『ゴゥ……ッ!』と気圧が希薄になるような裏切りがあり、前頭葉が鈍い疼痛を覚えるので手放しで嬉しくなれないのだ。  だから手元の本棚に置かない。

=(・。.・)=チビちゃんが横殴りに降り注ぐ、燦たるカラカラの朝陽のシャワーの中で遊んでいる。  いそいそと近寄ってカメラを向けた。  本を拡げていると、いつのまにか勉強部屋に入り込み、爪が上手く架かるレースのカーテンによじ登ったり、『ワッ……!!、∞∽∝』ヨロコビの英気はためかせ立ち泳ぎ?!をしたりして遊んでいる。  耳をピンッ!と起て目を輝かせている。  白の尻尾が長い口元にワンポイントがあるキツネ顔のオコジョがやってきて首を長くして覗き込む=(¨ )=。  ゼイ!、ゼイ!喉を鳴らしていた大きな茶の三毛が鷹揚に訪ねてくる。  『?!……ンッ!、……』顔を近付けてくる。  たっぷりのミルクを空中テーブルの鉢に注ぐ、またもや白いものが頭にかかってしまった。  『ミャー…… **』 喉が回復したようだ。  ”海へびのだんだら”模様の長い巻き付き尻尾が大好きな薄茶の三毛は、やはり来ない。 (−.”−;)   夕刻に食したもの。  サーロインステーキを強火のフライパンで片側に焼きを入れる、裏返してオリーブ油、ニンニクの薄切り、しめじらを投げ込み、きっちり蓋で封印してから弱火で全てをじっくり火炎地獄で攻撃する。  ニンニクから香ばしい匂いが飛び出したら大きな皿に移し、包丁で切り、薄口醤油をかける。  この密室煉獄攻撃は、肉などのエキスが上手く回収出来るので、壮烈がそびえ炎上する。  こんどタラバガニで応用しよう。  形のいい大きな焼きナス、熱いままフォークで引っかけ皮を剥く、七味をちょっぴり。  小松菜のお浸し、炒りごまを叩いてパラリッ!。  大根おろし。  スープの類は、今日は(…も?!)なし。 

机に向かったまま頭を上げて焦点を外し大きく息を吸い、淡くてキラキラした夕方の漂泊に出る。  息苦しい植生の猛茂に絡みつかれて、バタバタとはためくものに精気が吸引される。  地から生え屹立する竹のようにかっちりした構造物を吹き抜ける笹風がそよぐ。  精緻、澄明、、発熱、鎮静、が混沌と慄然と弾けてたゆたう精妙なホーンの饗宴に身ぐるみ絡み摂られて身動き出来なくなる。  観念的な危うい魅力的な正体の知れない火薬が詰まった蜜壺が仮死のなかで揺らめく。  ゆったり椅子に体を伸ばしテレビを見ながら胸のうえに (^ ^) チビちゃんを乗っけて、ゴロゴロをやりながら頭のうしろから背を撫で下ろしていたら、ぐっと首を伸ばしつつ身を乗りだし人物の顔に激しく登ってきた。  両手でしっかり捕まえて阻止する、力を込めなければならなかった。  もう少しで鼻を舐められるところであった。  =(・。.・)=専用の玄関”∩”と寝床を作れば、寒い夜空の元へ還らなくてもいいのだが……。  還るところは、まだあるのだろうか?!……。

ひんやりする玄関に佇んで、本を探す。  結果的に分類して棚に分けたり嫌いになった作家の本を捨てることになってしまう。  眉村卓や村上春樹、半村良、五木寛之、筒井康隆、星新一、阿刀田高、その他いわゆる大衆文学の類の作家ものを捨てる、迷いつつ踏みとどまったのが立原正秋、井上靖、山下洋輔、群ようこなど。  ずいぶん前のことです、山下洋輔の”ピアニストを笑え”などのスピード感(≠ドライブ感)とドタバタ文体に、ホホウッ!と感心したことがあった。  後から実に”嫌な気分”が、ふつふつと湧いてくることがたびたびあり、すっかり嫌になってしまった。  筒井康隆にもまったく同じことを感じた。  いわゆるエンターテイメントであって文学でない、面白いがささやかな幸せすらもたらすことがない。  もっといえば文学に必須な、哲学・人生に役立つ啓示がない。  別人になり切って立ち向かう機転が必要であるのは、そのジャズでもまったく同じである。  そして読んで始めてそれが解る、人生ままならぬ。  正月に読み返そうと企んだのが、読書巷談縦横無尽/谷沢永一/講談社文庫、名著ゼミナール 今夜も眠れない/開高健/角川書店、スーパーガイドサンフランシスコがいちばん美しいとき/丸元淑生/文春文庫ビジュアル版、来訪者/ロアルド・ダール/ハヤカワ・ミステリー、飛行士たちの話/ロアルド・ダール/ハヤカワ・ミステリー、悪魔の辞典/A・ビアス/角川文庫、ぼくの性的経験/田村隆一/徳間文庫、丸元淑生のシステム料理学/文春文庫、料理のお手本/辻嘉一/中央文庫、新檀流クッキング/檀太郎/集英社文庫、ぼくの美味求新/三国清三/PHP文庫、これらを棚から引っぱり出し机の近くの手を伸ばせば届く書棚に移した。  サイズが同じなので、ずいぶん前から手元にそびえる棚にCDが侵出している。  何とかしなければ。  CDの一掃は、電車に乗ってディスクユニオンまで運ばなければならない。  大きなカバンがいるなぁ……。

すっきりした気分が欲しくなり、本やファイルの整理をした。  いわゆる5cmキングファイルを約30冊、雑誌やハードカバーを約4m高を捨てた。  中味を見たり、ビニール紐で結わえたり、束ねやすくするため分類したり昼前に始めて終わったのが日没前。  本は抱えて運べる60cm高ずつに束ねる。  ゴミ箱までひたすら往復を繰り返し腰が痛くなった、明日はきっともっと痛くなるだろう。  本棚が空いたり、床が広くなったのは気分がいい。  もっと早くやればよかった。  また文庫本の探索をした。  軽くていい。  パリの料亭(レストラン)/辻静雄/新潮文庫、よい匂いのする一夜/池波正太郎/講談社文庫、辻留のコツ 家庭料理/辻嘉一/新潮文庫、料理人の休日/辻静雄/新潮文庫、魯山人味道/北大路魯山人・平野雅章編/中央文庫、日本料理のコツ 関西風おかず/谷口博之/新潮文庫、真空の海に帆をあげて/アイザック・アシモフ/ハヤカワ文庫NFを抜きだし暖かい部屋に移した。  ”ずいぶん前、真空の海に帆をあげて”を開いたとき、何時かホームペイジを持つことがあればこんな広大なエントロピーがはためくイメージのタイトルにしようと密かにぼんやり想っていたんだぁ……。  やっぱり”太陽風ДζΨΠ∀”より”真空の海に帆をあげて”のほうがインパクトがあり清々してて幸せになれそうでいいなぁ……。

お昼は、切り餅2こをオーブントースターでこんがり焼いた、今回はタイマーで上手く焦げ目が付いた。  中がトロトロの玉子焼き、カフェオレ。  チビちゃん=(^。 ^)=が来た、玄関にトコトコついてくるしばらく待っててやると意を決して跳び込んでくる。  時間になったので大急ぎで濃密な”ゴロゴロ”をたっぷりやる。  直しの毛づくろいの猶予が無い。  雪印毎日骨太ベビチーズを囓りながら外風を吸う。  振り返ると『……!』追いかけるのをあきらめてちょこんと座っている姿が小さく見える。  引き返したら……?!。  音楽は、SALIF KEITA/ "FOLON" THE PAST/ CIDM 1187/(アフロポップ)優しくたゆたう”6/8拍”が地から這い上がる。  脊髄を、目眩く燦たる爽快がそよぐ。  ”カラ!、カラ!”転がり”グン!、グン!”のた打ち、”ヒュウ!、ヒュウ!”駆け抜ける。  しなやかな、のびのびした西アフリカ(Mali)の蒼く高い天が、青や金、赤を散らして飛翔する。  乾いた寂寥と無垢な優しさ、剽悍な憂愁に圧倒され形を失う。  空気のようにありがたくて、水のように大切なのに存在を忘れる。  ウー……茶のように、哀しく沈殿し澄明になる。 

西の空が黒々としたもので覆われる頃、天空は澄み渡り仄かに碧く眼を凝らすと白い雲がポッカリ取り残され浮かんでいる。  シンシンと冷気と全的寂寥に覆われる頃、どこからか小さな呼びかけがある。  『ミャ〜〜……!!』 腹と足がしなやかな白い毛に覆われたコロコロした暖かそうなものが灯りの中に跳び込んでくる。  尻尾をピンッ!と起て、足音を一切たてないで駆けてくる。  突然、玄関の前で地面に転がりゴロゴロをやって見せる。  鉄のドアを開けると人物より先に勢いよく真っ暗闇に吸い込まれた。  =(・。.・)=は、散歩の時でもなんでも人物より先に、あるいは平行に塀とかに跳び乗り随行、先導する生きものなので、嬉しい限りである。  やっと遠慮も警戒もなくなり、まったく自然の赴くまま優雅としなやかな不羈の王たる尊厳が滲み出している。  よろしい!。  声が少し掠れている。  鼻面をしきりに足に擦り付けてくる、ミルクを注いでも飲まない。  やはり触れ合いを渇望しているのだ……。  急いでいつものゴロゴロに取りかかる、頭から背を撫で下ろす。  指にひんやりした鼻面を強く擦り付けて首に力を込めてグングン押してくるので、顔を片手で掴んで仰向けにして腹をグリグリする。  暖かい体温とふかふかの毛が指先を滑る。  仰向けになって足をグーンと伸ばして眼を細めて『ゴロ♪、ゴロ♪、……♪』喉を鳴らす。  疲れたので止めると、竹の穂先にぶら下げたロープに跳びついたり、顎と全身を床にぴったり擦り付けて尻尾をピクピク動かし目を輝かせて、じっと跳びつく間合いを取ったりして跳びつき、”ドタン!、ドタン!”暴れている。  遊び疲れると真っ直ぐミルクに向かう。  壁に寄り添ったり窓を見上げたりするので、きっと外に行きたい衝動が起きたのだろうと察して立ち上がり南の高窓を少し曳いてやると、跳び上がって闇に消えた。  しばらくすると、北の網戸が突然、『ガタ!、ガタ!、……!』激しく音を起てた。  『カリ!、カリ!、……!』網戸に爪を起て1mほどよじ登った白い毛の腹がぶら下がっている。  大きく口を開け目が大きく見開いている。  激しい息づかいがガラス越しに迫る。  野獣だ!。  静かな寒い夜に澄明で暖かいキラキラ輝く潮が渺々と襲ってきて、全身にアークが弾け、肩からのびのびと発散するものを求めて立ち上がり、ねこの棚からジャズを引っぱり出す。   なんという悦び。  チビちゃん =(・。.・)= が、赤いオレンジのホットカーペットでへびのように体をくねらせる。  声の掠れが未だよくないようだ。  

風の凪いだ曇った星月夜、ウバメガシの葉陰で『カリ!、コリ!、……』密かに生き物が活動する音がする。  全身が白く茶の大きな模様のキツネ顔のオコジョが『ン……?!』、眼を大きく見開き近寄ってくる。  まん丸の眼に驚くほどたくさんの透明な光が射している。  たっぷり太くて長い薄茶の段だら模様の尻尾に、微塵の火華がほとばしる意志が詰まっているらしき気配に嬉しくなる。  窓を開いても首を伸ばし鼻を”フム、フム”するだけで入っていらっしゃらない。  ミルクを鉢に注ぐ、しっかりした音を起てて飲む。  =(・。.・)= によりこの悦びの発表音は、さまざまでその大きさや音色も異なり、ハッ!とするほど明瞭なものもいる。  ずっと懊悩君とその同胞がお姿を見せない。  今頃、何処でどうしてるんだろう?!……。  例によって”ねこの棚”から取り出し、 淨潔の砂丘を渡るしなやかな松風を吸い。  沖からやってくるキラキラの光輝の反射を浴びつつ、怪奇小説傑作集 2/ジョン・コリアー他/宇野利泰・中村能三訳/創元推理文庫と、年刊SF傑作選 1/ジュデス・メリル編/中村保男訳/創元推理文庫を寒い玄関の本棚から探し出して拡げる。  大根とシジミの赤だし、”うるめ一夜干し”(佐伯市山田水産)、焼き海苔、シャキシャキの小松菜のお浸し、ピリ!ピリ!大根おろし、蜜入りリンゴの遅い夕食。  うるめ一夜干しは、新鮮が保たれてて焼くと”パチン!”と弾けた、ホロ苦い峻烈、幽遂に精神が開く。

昨日は一日中、=(・。.・)=チビちゃんと一緒にいた。  ジャズをずっと聴いていた。  掃除機を引っぱり出し窓を開け放ち北風を通しながら吸引を始めると、机の下でうつらうつらしていたチビちゃんがそわそわし始め窓から急いで跳び出して行っ た。  一太郎8で年賀はがきの”表書き”をやってみたら郵便番号が枠に収まらない、印刷位置調整でもあかんので、Word97の”宛名書き”でやってみたらグーンと上手くいっ た。  横書きの行書体といった調和を欠いた仕上がりにしたが、フレキシブルな表現ということとした。  ”Hello Kitty”のはがきが余ってしまった。   (^.^ ;)  夜、いつもの生餃子を仕入れにスーパーマーケットに行く。  いつか無性に”ぎょ……”を渇望した時に、脇目をふらず真っ直ぐにこれ一本に全身で戦いを挑もうと想ってたので、それをやるつもりであった。  ギアを着込み札をポケットにねじ込み玄関に降り靴に足を押し込んでいると、風のように =(・。.・)= が起き出して心配?!そうに見上げて『ミャー〜〜!!』と小さな発声を浴びせる。  妙に明るく雀の会話のみがうるさい遠い日、槇囲い越しに西の蒼い山を見上げてしゃくり上げていた心情がかすめる。  鉄の扉を『ガタン…!』と閉ざす。  きっぱりした冷気が降りてくる夜気を深く吸いながら広い道路を縫って進む。  室温で暖められた顔が冷気を切り裂き『ビョウ!、ビョウ!、……!』と渦を巻きながらずんずんちぎれていく。  天が高く仄かに蒼い、青白い点光が淡く明滅する。  蛍光が滲み広い道が蒼白で佇む。  冷気のトンネルをずんずん潜り抜ける。  品物が山のように積み上げられ、正月の垂れ紙で満艦飾になったいつも見慣れた棚は、いささかかってが違っておりいつもの場所にいつものブツがいないので困ったりもした。  が総体的には、日頃見られない大きな鮭やタラバガニがドーンと溢れかえっていたのでそわそわした。  両手にぶら下げた食料をぶちまけ冷蔵庫や棚に移していると、先ほどの置き去りの小さなコロコロしたお方が悦びいっぱいの顔と体で走り寄ってくる。  『……!』『……おくれ!!』 ”うるめ一夜干し”(佐伯市山田水産)をパックから取り出し、頭と尻尾をナイフで切り落とす。  暗赤の血がドロリと見える。  『ウワァ〜ゥ、ウワァ〜ゥ』全身に好感を漲らせてあっという間にやっつけてしまう。  尻尾を確認するとすっかり食しているので親密がたちこめる。  白くて薄い危うい皮の片面を焼き薄く焦げ目が付いたところでひっくり返し、熱湯をたっぷり注ぎ蓋をしっかり閉じ火力を最強にする。  注意深く蒸し焼きを見守り、”パリ、パリ”音がする気配でオリーブ油などをタラリと落とし、カラリッ!と焼き上げる。  ラー油はなし、皿に盛った熱いやつを、『ハフ〜ッ!、……!』とやっつける。  よい付け合わせが思いつかない。  蛤と三つ葉、分葱のお澄まし、塩梅が精妙で危うく難しい。  デザートは、コロネットと甘いコーヒー。  ”POMPADOUR”のシナモン”ホッコリさん”を明日は、きっと買うて来よう。

すっかり暗くなった頃、中に入る前に口笛を吹く。  『……ャ』小さな声がして丸顔の暖かそうなものが駆けてくる。  灯りの中に入ると尻尾を起ててその先を激しくくねくね動かしているのが解る。  入り口の前で地面に背中を擦り付けうれしそうにゴロゴロをやってから、素早く暗闇の中に駆け込む。  未だ暖かくない机の下のお気に入りの毛皮の座布団にもぐり込む。  急いで着替えてエアコンやらホットパネル、オーディオ、パソコンの電源を入れる。  顔と手を洗って米を洗いコンブを入れる。  コンブが水を吸うのでその分水を増やす。  マーケットには、食べ物がドーンと溢れかえっていてうれしくなる。  しかしいつもの生餃子と”うるめ一夜干し”は、すっかり正月ものに占拠され姿がなかった。  すっかり意欲が失せてしまった。  独特の青の大きなクワイが出現している、やはり”Internet Explorer 3.x”のアイコンとそっくりであった。  締め鯖は、ほんのり甘くてナトリウムのくどさを突き抜けた滋味が立ちのぼり、端麗がたっぷり拡がり想ったとうりであったのでうれしい。  冷却棚に並べられたばかりの虹を帯びた青とくっきりした赤に違いがなかった。  しかし時間が経ち塩と酸が回り切るとくどさを越えられないで泣いてしまう。  深夜、”クノール ポタージュスープ”を作った。  水量を計量カップで計る、うまく出来た。  今度、生クリームを入れてみたい。  ポンカンを食べた、瑞々しくてホクホク淡い甘さを確かめる、そうでなくちょっぴり苦いものが混じっている。  本物の熊笹のお茶を渇望する。  大きな笹の葉っぱを茶の湯に眺め、きっと白樺林を渡る涼しい悠々たる澄明な風で心が晴れ晴れ気化するようなもんだだろう。

木/幸田 文/新潮文庫を開く。  瑞々しい静謐な奥行きが拡がる、大理石のように精緻な文体に吸い寄せられる。  確かな日本語が放つ、しなやかな活力に感じ入ってしまう。  きわめて無理のない超自然文体に安心しきって、メリメリと起き上がり聳える活字にすっかり心奪われる。  見晴らしのいい広角展開にずんずん踏みこんでしまう。  驚いたことに真っ先に最も興味を抱いた文体であるのに、くっきりと痕跡をとどめない、さらりと嚥下したちまち体内に溶け込んでしまう、後に曳かない。  無理がないこの文体にますます傾斜していく。  見事な文が媒体であって、その人物に心奪われていたことに、ハタと気づく。  量が質に転化するように、媒体である文体が本質になることは、かなわないのか?!。  手段が目的に転化することもそうなのか……!。 

懐かしい景色・気配を感じる。  意識が目覚め、激しく駆けめぐる幸せな冥界から還ったのだと気付く。  と同時に、足が何ものかに押さえつけられているらしい気配にむっとする。  =(・。.・)= が顔を埋めて丸くなり熱線を放射しているらしいので、地下から不意打ちに襲撃してやった。  いっこうに驚くことなく、むっくり目覚め、ゆっくりと・まったりと伸びと爪研ぎを同時に始めた。  気が抜けてしまう仕打ち、あっぱれなシェークスピア演劇を被り、朝の張りつめた気分がすっかり吹っ飛んでしまった。  不本意なくっきりした覚醒で起き上がる。  新しい朝、前の日に買っておいたフランスパンを、おどろおどろしいパン切り包丁で斜に切る。  オレンジっぽい黄のマグカップに牛乳を注ぎ、鉄とガラスの箱に閉じ込め、電磁波をたっぷり浴びせる。  白い棚から黒っぽい“灯台”を掴みポットに乗っける、灯台の頭をスポッ!と外す。  灯台の奧に隠れていた“小田急特選焼き海苔”の筒の蓋をスポッ!と抜く。  ザザッ!と褐色の豆を灯台に注ぐ、灯台の頭をスポッ!と填め、後頭部の突起を押さえる。  キッチンに立ったり冷蔵庫を開けに立つと、丸くなって顔を抱えてうつらうつらしていたお方が、いつの間にやら眼を輝かせて尻尾をピンッ!と起てて足下に纏わり付き離れないので踏んづけそうになる。  誰かがまったく同じことをしていたようだ……、と想うがすぐに消える。  チーズかハムを切り取って投げてやる。  この一日の句読点、共同儀式を決して裏切ることがないので妙に感心する。  ブルッ!と身震いし、『ガリッ!、ガリッ!、……!、ガガ……!、グィ……ン!』』微かに豆の匂いがする、タバコの匂いそっくりだ!。  ミルの音が嫌いで、『……パッ!』と跳び上がり走り去る。  角の取れた白いものを2個投げ入れ、逆さまにした蓋を同じ明るい黄色のカップのカリタの上で『コン!、コン!』、スプーンで叩く。  いい色の粉が後頭部のスイッチをカチリと入れる。  ポットの鼻から濛々と立ちのぼる透明の筋を濾紙に注ぐ、やっといつもの匂いが立ち上る。  日比谷公会堂の長いアプローチをゆっくり登って行くような不透明の期待がいつも興る。  粉っぽさがホクホクした触発に感じる雪印”毎日骨太”とスルリと滑らかな開花の森永”アロエ ヨーグルトケーキ”の対比としっかりしたたかな粘り越し腰のパンをガシガシ噛む。  夜、食す。  コンブ、蛤、牡蠣、大根、タマネギ、三つ葉のお澄まし、”うるめ一夜干し”3尾、大根おろし、野沢菜。

『ピッ…!、ピッ…!、…!』、遥か……万光年の彼方、第七銀河の暗黒から送られてくる非情の発信音で、”狂気の文明からの偉大な逃走” から唐突に引き離される。  真空の放心の楽しみから有酸素の ”認識が現実を食い破ると呼ばれるある褪めた狂気の状況、地上の現実” に立つ。  無重力で無音の目にも止まらぬスピードで狂奔する世界から、重力に支えられ半身が疲れに覆われた時間の静止した時空に飛び出す。  暗闇の冷ややかな砂浜を這い、小さいのや古いのが群れそびえる松林を乗り越え、微かに海鳴りが伝わってくる。  小さな携帯目覚ましで覚醒する。  すっかりスチーム暖房が冷えてしまった真っ暗のベッドから起き上がり、重い頭のまま防寒具を着込む。  この沖に向かって幾筋もの深い溝が走っている暖かい海の砂浜に、満ち潮に乗って鱸やクロダイ、ワカシ(鰤の幼年)が接近してくる。  昼間、波打ち際に立ち白い波が崩壊するあたりにじっと眼を凝らすと、立ち上がった波頭 ”)” に小石がわらわらと巻き上げられるのがアクアマリンに透けて見える、さらに凝視していると黒い影が一瞬すばやく横切るのが見える、ワカシである。  大きな重いリールの付いた投げ竿と、重りやルアーの入った袋を持って薄暗い廊下を通り、吹き抜けがあるよく磨かれた階段を降りていく。  壁に精細な生物が描かれた絵が掛かっている。  ”ミシッ!、ミシッ!”木作りの階段が音を起てるのでそっと降りる。  一面の松林の中を歩く、真っ暗闇の中を懐中電灯で進む、照らされた松の木の幹の色彩が覆い被さる。  『ドー……ゥ!、ゴー……!』 夜の海が憤怒の咆哮を弛まず上げている。  一頭のとてつもない巨大な生き物の息遣いのようであり、悲嘆の叫びのように思える。  無数の生き物のはためくユニゾンとも思える。  灰色の滔々とうねりうち寄せるものが暴れている。  とてつもないエネルギーの変異を目の前にして畏怖とも憧れとも思えるものに襲われる。  甘い潮風の引き締まったヒリヒリするキックですっかり目が覚めてくる。  はやる気持ちで冷気でこわばった指で竿を繋ぎ、ラインの先に遊動式の紡錘形の重い浮きと、1.5mのリーダー付きの”ラパラCD9RT”(ニジマスを模したカウントダウンフローティングルアー)を結ぶ。  怒涛の飛沫の向こうを目指して5、6歩駆け出し、思いっ切り振りかぶり白い浮きを飛ばす。

『ゴー……ゥ!、……ゥ!』彼方から湧き起こり暗鬱な籠もった、全世界を構わず平等に呪詛し続ける、荒涼たる襲来で着水音は解らない。  たいていゆっくり、たまに速くハンドルを回す。  還る波でググッ!と重くなる度に『ン……ッ!!』心臓と気持ちがはためく。  波先がうっすら白く見え始める。  潮が浜に沿って流れているため北か南にラインが曳きづられる。  しかしこれは、好ましいことなのだ。  東の地平がするすると白くなりやがて山吹の橙に染まり、だんだん拡がり東の空いっぱいに溢れる。  体の芯、指先、頬がジンジンしてくる。  くの字に羽を手折ったたくさんの鳥が低く波打ち際に沿って空を自在に切って翔ていく。  振り向くとなだらかな低い山の端が黄金に輝いている。  傾いだ松林もキラキラ輝いている。  歩きにくい砂浜をずんずん歩いて、砂丘が盛り上がり海に向かってせり出している場所を訪ねる。  丘と言うよりは山と言う隆起が繋がりあっている。  きっとそのまま海に潜りこみ底に続いているだろうと想像して、白波が起こり陸に向かって推進しつつ、周りより波頭の崩壊が速く始まるポイントを探す。  それらの下の海底は、きっと山と窪みからなっていて海流に変化があり、澱みつつ渦海流を起こし、海藻が繁りゴツゴツした岩があって小魚がたくさん遊んでいるに違いない。  だだっ広い砂の海底に稀に出現した棲家、さまざまな類が集っているに違いない。  清潔感に覆われた広い砂浜はゆっくりした起伏が連なる。  笹のようなものが蔓延っていて、風に揺れているのを見るのは楽しみ。  海風に倦まず撫でられる松の緑、砂丘に揺れる丸い葉っぱのハマゴウなどの草木の全てが、とろりとした鷹揚さ・伸びやかな自由に溢れている。  たちまち身ぐるみ包囲され・蹂躙され、思惟の一切が氷解、千切れ、風に紛れてしまう。  なにやら濛々としたものが立ち上る、遠くの山に向かってゆっくり弧を描く波頭を辿って往く。  犇めく清々する松林の群列に付けた”ヤマ”を振り返り、ゆっくりきびすを返し、金色が眩しい波頭に向かって砲弾を打ち込む。  幾つも息を切らして投げ込む。  肩から背が突っ張り、腕がパンパンになっても繰り返す。  最後の遠投も最初のひと振りも、昂揚と虚脱でへとへとになっても、朦朧として鋭いキラキラ輝く潮が俄にざわざわ騒ぐ点に違いがない。  ヒットしなければそれが継続する。  体が熱くバラバラに瓦解しそうになっても、見せかけの動機の背後につきまとう殺戮の懊悩、つま先から砂浜にもぐり込んでしまい、気持ちはますます透明になっていく。  オレンジに映える砂丘を眺めて、こんがり焼けた厚く切ったパンやマーマレードと小さな四角板のバター、ベーコンエッグ、カウンターの端に置いた球形ガラスに充たされた赤茶の熱いコーヒーを想いだし、竿を担いでトボトボ北に向かって還り始める。  白い砂に足がのめり込みひどく疲労する。  黄金の輝きが射した海は、優しくたゆたっている。

何も釣れなかった。  きっと潮がよくないのだろう。  海流が沸きたちざわめきプランクトンが狂奔乱舞しないのだ。  星周りを逸したのだ。  こればかりは、天を恨むしかない。  小魚や甲殻動物、砂の中に棲む生き物などを獲得せんとてギラギラと意欲を滲ませ沿岸を回遊する鱸やフッコ、ワカシ、クロダイがいなかったのか?!。  その数が少なかったため遭遇する機会に巡り逢わなかっただけなのか?!。  プラスチックで作った9cmの小魚の光彩と遊泳が不自然で襲いかかり捕獲する衝動が湧かなかったのか?!。  先が青い山に融け込みけじめがよく見えない砂山のまっただ中で、真っ新でキラキラの光が飛び散る早朝の紺青の天空の下で、うなだれる。  すばやく拡げられた砂の上の黄金の敷布に長い黒い影が走り、なにやら戯けて見せる。  ザワザワと歓びの囁きが湧き起こりひょうひょうと斉唱が聞こえる満ち潮がいい。  海鳥がいそいそと低く飛び交い、気ままに闊達に翻る光景に出くわすと食事中であれ友人と歓談中であれ、交歓の山場であれ。  グラビア叙事詩を開き原色の生き物の微塵の火華に放心していても、いっさい何もかも投げ出し。  フックの先をきっちり研ぎ上げたルアーをしっかり確かめる。  『ピンッ!……。』ときた数個をポケットに入れ、竿を担ぎ転げるように、馳せ参じなければならない。  でないときっと痛恨の日々が訪れる、しかもそれはすっかり忘れた南風が、君の頬を撫でる憂愁の西空に釘付けになった一瞬を衝いて。  背をすっと伸びやかに屹立させ、力のこもった頬をそびやかし。  いつも以上に引き締まった口元を、弾けてカラカラと笑う君の眩しい眼に、燦たる西日が射したのをけっしてぼくは忘れない。  肘まであるにくい銀が眩しい”フッコ(鱸の青年)”の『ゴン!、ゴン!、……!』、『グーン!、グーン!、……!』逞しく激しく格闘する、美しい張り切った戦慄が走った。  その具体的感動と見えない敵との衝突の混沌、記憶はいまでも色褪せないのでせうか?!。  よく晴れた冬の日、銀界のひたひたの砂浜で、俄作りの枯れ木のスタンドにロッドを立て掛けて、ヒラメを渇望していた。  沖合に点々と黒い影が静止していた。  風上に常に艫を置くため、白い帆を船尾に梶のように起てていた。  釣りの船団であった。

ずんずん這い上がってくる海の勢いに圧されて、何度も後退しつつスタンドも移動した。  『何かかかったみたい……。 重い……。』  潮の流れでラインは南にずいぶん流されていた。  そのときも海鳥が激しく低く慌ただしく飛び交っていた。  紺青の中から青と銀のピチピチ跳ねる生き物が這って上がってきた。  ふくよかな頬がいっそうゆるみ紅潮していた。  しかし今日も”グッ……?!”と引き込む無礼な力はなかった。  殺戮の危険もなかった。  優しく浜辺を洗う平穏な潮そっくりに、暗鬱で熱っぽい激しい血を深く沈潜させて、バリバリ重い肩が狂奔する気持ちを芯からほぐしてくれる。  渋谷の”SANSUI”で超越的意欲に満ちて獲得した”レインボー”ルアーは、囓られることなく無事であった。  その危険に支えられた意欲が脹らんだまま、のめり込むように帰還する。  重い足を曳きずるように白い砂浜を歩く。  なにやら声を発したような気がするが想い出せない。  渺々とした松林を控えた砂の隆起が連なる原野を歩く、時の移ろいも目に映る全てのものがまったく変わらない。  静謐に伸びやかにきっぱりと呼吸している。  丸い葉っぱの蔓草が砂に埋もれつつ、しっかりと伸びやかに天を仰いでいるのを見るのが好きである。  広大な砂浜にシンメトリーの枝を四方に拡げた小さな松が、点々と夥しい数、植えられている。  自生したのもあるのだろうか?!。  その遥か南方の彼方の海洋のまっただ中で幅数10km?!もある黒潮が高く屹立する海嶺を乗り越えて猛烈な速さで、静謐に推進するありさまを思い浮かべると、ホクホクと嬉しくなる。  その衝立に衝突し夥しいエネルギーの変遷を行い軋み音を放ち岩盤をメリメリと削るのであろう?!。  激しく摩擦熱を起こし静電気を発動するのだろう?!。  紺碧のナトリウム溶液が打ち震え、悲嘆の嗚咽を吐くのだろう?!。  波は岩や砂礫の原をめざして自信に満ち押し寄せて、崩壊しつつそれらを洗うがそれは実体でない、それは発表である。  あるいはそっと耳打ちをしているのである?!。  激しい上下運動のうねりの主は、姿を明かさぬ風である。  一瞬ごとに姿態を変えて格闘しあいたわむれあい無言の斉唱がわき上がる。  伸びやかな笹の葉に止まり、松の腕にぶら下がり、梢で遊んでいったのだろう……。  松ヤニの褐色の風が鼻を擽る。  また明日も……。  菊地雅章/ TETHERED MOON/ KICJ93 の ”So in Love/ Cole Porter” で肩に打ち込まれた斧が腐食して、めいめいの形と質の殻に籠もって仮死する。  深い紺青の海にそっと鐘を降ろすようにまどろみつつ落ちていく。  そうやって息を潜めて無機物の真似に耽る。  背後からおそらく明晰を極めた混沌の渦動とでも呼ぶしかないものに襲われる。

コンクリートのたたきで防寒靴を脱ぎ土を落として、よく磨かれた階段をそっと登り二階の部屋へ持って上がった。  なにやら美味しいものが焼ける暖かい匂いが鼻と恣意を鼓舞する。  砂漠の徒歩で火照った体と、連日のロッドを投げ降ろす酷使のため強ばった右肩と腕でベッドに倒れ込み固まる。  何故かほとんど使わなかった左腕と背の筋肉痛がある。  ベーコンが焼かれパンが焦げる匂い、ジンジンするコーヒーの匂いにつられて玄関と一体となっているダイニングルームに降りて行き、立派な髭のオーナーが炒れてくれるコーヒーを頂く。  ドーンとした一枚板?!の真新しいテーブルに就く。  花瓶に菜の花があったような気がするが想い出せない。  三角屋根の頂上に突出した採光屋根から柔らかい眩い朝日が充ち渡る。  始めてこの”アトリエ”を訪ねて来たとき閉まっていて、トボトボ歩き出したことがあった。  真冬なのに笹や竹がいたるところに生い茂り、眠ったように静かであった。  厚くて艶のある葉影から長い柄を出しその先に、赤く熟し3〜4分裂して中から朱色の種が見える。  まさきが至るところの見られ、懐かしいものを間近に見つけて、じつに嬉しくなっ た。  =(・。.・)= が高い所に行きたがって困る。  最近は、ミルクが嫌いらしい。  寒いからなのか?!、知り合った頃あんなに好きだったのに。  生魚や狭いところ高いところによじ登るのが大好きなんだ。

?!、『■、……ン?!』微かな音がして世界が真っ暗闇になり、静穏が戻った。  停電だ!、しばらくじっとしていた、昔の習慣だ!。  しかしそうでないな?!と思い目を凝らすとエアコンの赤や橙、青の点が見える、近所の窓もその気配がない。  東京の停電は年間に0.x回くらいで極めて稀であるらしいことが脳裏をかすめる。  窓の外は真っ新の雪どもの襲来だ!!。  デンバーの山奥の陸の孤島のシャイニングだぞ。  焦らず机の下から非常灯を取り出し、嬉しがって小さな蛍光灯を点灯した。  =(・。.・)=と目が合った、『……ドッタノ?!』と丸顔を上げて迷惑そうに振り向く。  ブレーカーを見ると1箇所レバーが降りている。  20A/系統を越えるとダウンするらしい。  レバーを上げる、パッと明るくなった、んがまたもや”■”に。  ホットカーペットを切ってみた、いいらしい。  (^.^ ;)  『@∋∂……ャ〜!、∽∝‰…ャ〜!』 丸くなって安息をむさぼっていた =(・。.・)= が、むっくり起きだしそわそわして見上げてなにやら言うので、”外の空気が吸いたい”のだろう?!と窓を開けたら、急いで飛び出して行った。  少し白いものが暗闇の天からシンシンと下降していた、2時間も経ってから還ってきた。  いつも網戸によじ登り、『カリ!、カリ!、……!、カシャ!、カシャ!』 合図をする。  しかし真冬でも羽虫を見つけた時は、意気込みと溌剌に情熱があり、どこまでもずんずん登っていく、耳を傾けると違いが解る。  (;_;) 『……心配をかける君に感謝!……。』 焼いた鰯を丸々一匹ふるまった。  コロコロした全身をゆっくりと推進させ、エネルギーを発散させつつ、『……ゥ、…ワ…!!、……ゥ!!』くぐもった唸り?!を漏らしつつあっという間にやっつけた。  ちょこんとすわり右手をちょっと持ち上げ舐めたり、首から耳、顔にかけてこすりはじめた。  とってもふくよかな顔で親愛の波動を返した。  停電で製作が中断した夕食は、シジミ(=しみじみ)とだいこん、カボチャ、とうふの赤だし、焼き紅鮭の切り身、大根おろし、野沢菜。  カボチャの仄かな甘みと赤だしの奥深い沈潜が饗応し、ふくよかな平安が立ち上る。  紅鮭の切り身は、4角柱に近く4面焼きが出来そうな見事なもので、深紅のエビや蟹を多食した本物であった。  旨い。  忘れないでまた入手しよう。  シジミを出汁用の網駕籠に加護してみよう、たぶん後かたづけが…… (^.^ ;)、でもやってみよう。  手を動かすことは万事、”幸”に繋がるのだ。

先日とほぼ同じ材料で、赤だしのみそ汁を作った。  シジミを網加護で分離するのは、グッドであった。  カボチャの堅さが上手くでけただろうか?!。  =(・。.・)= に先ず魚をあげておかないと、キラキラした顔でうれしそうに脚からよじ登ってくる、爪を起ててしまうので痛い。   (^.^ ;)  一日中 =(・。.・)=と一緒であった。  鮭の切り身¥0.1Kをたくさん冷蔵庫に入れているのを知っていて、キッチンに立つと、きっとむっくり起きあがり、首をいっぱい後ろに倒して嬉々とした溌剌で見上げて足元に纏わり付く。  『……ャ、……ァ、……ゥ、……』 『……おくれ!! 。』 まな板でトントンやっていると、立ち上がりジャージに爪を引っ掻け、よじ登って何を作っているのか?!見ようとする。  時々忘れて踏みだし引っ掻けそうになる。  『〜**、ミャッ!』 驚く。  2cmづつに切った専用の皿から一個づつ供する。  好物の焼き魚、生魚以外の”ねこクッキー”などは、すぐには食べない。  ちょっと近づき匂いをクンクンして、『フッ…!』となぜか暗くて寒い玄関のほうに歩いていって姿を隠してしまう。  つき合いきれないので、放うっておくと、いつの間にか『カリッ!、コリッ!、……!』やっている。  ソーセージは、音もなくきれいに無くなっている。  ミルクだけは、時間がかかるので、その元気な小さな水音が、気まぐれな主の生態と習慣を露呈させる。  人物の冷え切る宿命を持つ足の置き場と、コロコロした肢体をのびのびと横たえる縄張りとが、机の下のホットパネルに羊毛の座布団を掛けた空間で出会う。  人物は決して挑発はしない、ただ退屈してるだろう想い、頭を足先で探し出し、両足の裏で・絶妙の圧で挟み、グリグリしてやるんだ、(^o^)。  体が芯まで暖まると、”=ΘΘ=ΠΠ〜”四肢を『ピンッ…*…*!』と突っ張って、顔は覚醒の闊達で挑みかかる。  

瞳がキラリと光 る。  また、おとなしくうつらうつらしてた野獣が、突然人物の足で爪を研ぎ始める。  靴下を『チョンッ!、チョンッ!』と引っ掻いたり、ジャージを引っ掻く。  はじめは、からかってるか!?、ちょっかいを出してるのか!?、と想ってひどくびっくりしたんだ。  今は、儀式か種族伝来の、正統的な慇懃な挨拶だと想っている。  情熱いっぱいの画面を見入っている時に、唐突に”種族伝……”を頂くと、『……  (^.^ ;)』視線を返せない。  動けない。  『ガガッ!……』と指を噛んだりで、くすぐったくて痛い、じっと我慢する、嬉しい!。  雪の原で覆われたので野鳥が訪ねて来るだろうと思っていたら、やはり来た。  待ちあぐんだ狩りの時がやってきた。  壁に掛けた銃や弓矢を取り出し、ゲートルを巻きウサギの耳当て帽子を被り、ドキドキする落ち合い場に馳せ参じなければいかんのだが…。  森羅万象の有象無象が首を長くして待っててくれるだ。  カメラで獲得せんと、窓ガラスを磨いたので飛び立ってしまった。  雀でなかった、ハッとするひと刷毛の玉虫光沢の羽根、丸くて尾が短い。  じっとPCに向かって、カシャカシャやりつつ待つ。  昼は、(生)荻窪ラーメン(…タチバナ製麺)を作った。  あの藁のような?! 匂いがする麺であった、ちょっと嬉しい。  たくさんあったが味を確かめつつ食べてたら、あっという間に平らげていた。  可もなく不可もなく、これが”荻窪ラーメン”の骨頂なのだろう?!。  なぜか、デザートのコーヒーが飲みたくなるところが、にゃんとも奥ゆかしくて素晴らしい。  夜は、蛤と大根、分葱のお澄まし、〆鯖。  蛤から滲出した青白いものにある塩分で塩梅が微かにしょっぱい、またやってしまった。  〆鯖のくどさは、微妙なところで突出せず旨みが破壊されずに助かっていた、新鮮で未だ酸が回っていないのを見つけるとつい手が出る。  関サバの”〆…”を賞味してみたいなぁ……!。  SONNY SHARROCK  1 BAND/ Highlife/ EMY119-2/ JAZZ JAZZ を聴く。  『……もう、…どうでもいいのよ!……。』と、小声で泣きながら、破れかぶれに疾走する電気弦の重力、憂愁からの離脱が素晴らしい。  きっとレッドツェッペリンが聴きたくなる。  『おいでっ!』、『 =(・。.・)=、……ン?!』 首根っこを掴んで胸に乗っける。  おとなしくぶら下げられてる神妙な顔に……  (^.^ ;)。  微かに甘ったるい、野獣の匂いがする。  後頭部から背を撫で下ろすと、目を細めて頭をふんぞり返りつつ、ヤスリのようにザラザラの薄い舌で指や掌を舐める、絶妙の重さと暖かさに感謝。

朝方、6時ごろ物音で目が覚めた。  『チリンッ!、チリンッ!、……ッ!』、『トコ!、トコ!、……!』、『ドタン!、ドタン!、……!』  (−.”−;)だ!。  φ1cm、L10cmのマタタビ棒を1.5mのロープで、水平に突きだしたよく撓る竹竿に吊している、小さな鈴が付けられている。  たいてい一日に1〜2回跳びついて遊ぶ。  早朝のねこは、すばしこくて闊達で溌剌としている。  瞳が大きく光りが溢れている。  机の下で”ドタッ……!”と横倒しになってるお姿とは、はなはだかけ離れている。  床から0.5mほどにある褐色の棒は、愛好者に囓られて白くその痕が剥かれている。  おかげでちょっと寝不足だ。  夕方、何処からか『ミャ〜〜……』小さな声がして、駐車場の壁伝いに”ピョン!、ピョン!、……!”、”タッタカ!、タッタカ!、……!”跳んでくる。  きっと真っ先に足下で仰向けになってゴロゴロをやって見せてから、斜めにした尻尾を付け根から全体を懸命に左右に激しく振って挨拶する。  このとき尻尾は、撓らず太い棒のようだ。  『パタ!、パタ!、……!』 思わず吹き出したくなる。 (^ ^)  昼間、風を通していたので、インターラックから揮発していた有毒ガスは感知できない。  いいぞ!。  ネギを斜めに切ってかごに入れてテレビの上に置いている、稀薄な揮発成分がたれこめる。  3日でカラカラになってしまい、ありがたい分泌も停止する、新しくする。  鼻がスースーして気分がいい。  室温は17℃、湿度 50%くらい。  日曜の夜11時30分から0時30分にJ-WAVEでやっている”UA”の”カピバラ・レストラン”の録音テープを聴く、フェラ・クティの”ビーツ・オブ・ノーネイション”が選曲されていた。  城戸真亜子とよく似た黄色と褐色が混沌とした暖かい、一見ぶっきらぼうに見える投げやりなボイスを聴く。  『……佐藤明さん、と言うカメラマンが撮った写真をたくさん送ってくれました、……なんとカピバラ載りまくってます、……この〜カピバラなんて書いてるかな?!、……あとなんかねぇ〜、パカラナというのが載ってて、これーなにぃ……、かわいい!!。  皆さん、タマリン?!という猿知ってます?!……、カピバラ……気にして欲しいんですけど。  ……こんなにいっぱいいてるんやぁ〜……!!、私も未だ生で見たことないんやけど……、……だけどさっきのあれ何んて言ったけ、私もパカラナっての見たいなぁ……、こんどハワイでハワイアンやろう思ってて……、あの…… くればやしかずえ さんと言う方が写真を撮っていて、CGで綺麗に色を……、鳥山ちかおさんと言うウクレレの上手いおっちゃんやそうです。  ”神風タクシー” と言う映画見たことありますか?!、邦題が ”復讐の天使” ……、 寒竹 さん… 』 いつも終わりが切ない、”祭りのあと”とそっくりの置き去りにされたちょっとうれしい感じがする。 

牡蠣鍋を作った。  好みの材料ばかりをぶち込んでしまったので、いささか出来上がりが不安である。  水を張った鍋に、予め5〜7cmに切った利尻昆布か羅臼昆布(最近入手し難い)を缶から一枚取り出し放り込む。  広口の茶筒一杯(300cc)の米を袋から掬って、木の柄付きの円筒金網かごで受け、蛇口の迸りで力一杯揺すって濯ぐ。  『……この〜っ!!』と、敵のように左右に力を込めているので研いでるのに近いかもしれないが、伝来のそれは掌で器の底に擦り付ける。  決まってこのとき、薄暗い早朝、大きな石?!の流しで『ンザッ!、ンザッ!、……! 。』と正しい研ぎを見ている幼い自分の光景が浮かぶ。  研ぎ汁を、牛にあげる役目を担っていた気もするが……。  バケツに顔を突っ込み、『……ゴーッ!』、あっけなく一気に飲んでしまう天晴れさにいたく感心し満足した。  潤んだ大きな黒目に見入っていると、ポチポチ髭のある口からいきなり赤い舌を出し、スルスルと鼻の中に入れた。  ますます気に入ってすっかり満たされた一日が開かれていった。  しばらく揺すっていると米が水を吸って  重くなる。  炊飯器のスイッチを入れ、材料の調達に出る。  だいこん、分葱、カボチャ、春菊、木綿とうふ、生食牡蠣、酢橘。  魚肉の練り物。  ”京木綿”を冷却棚で見かけなくなった、だいこんは子供の頃食べてた青首大根しか見かけない、春菊の強烈な”えぐみ”に、つい最近まで太刀打ちできなくて避けていた。  春菊は、毒(=アルカロイド)に満ちてると今でも思ってる。  還ってくるとご飯が炊けていて蒸らしにかかっている。  何回かスイッチを入れ忘れたり、保温と間違えたりしたことがあって、外からかえるとついつい”釜”が活動しているか一番に確かめてしまう。  削り鰹ぶしでも出汁を取ることにした、牡蠣の出汁と格闘しているのが解り釈然としないが、やはり旨い。  だいこんの尻尾の辛い方を、だいこんおろしにする。  みそ仕立てにした、灰汁を丁寧に採ったつもりなのに若干くどさが出てる。  こんどこそは……と、なんか意欲が湧いてきた。  しかしどうすればいいのか?!、料理の本を読んでも、文体とその跳躍に関心が往ってるのであまり料理の技を覚えていない。  性欲と食欲は、ごく近いところに棲んでいて作家がその渦流に挑みかかり、蔓に絡まれて退散するのもあるし、うまくやり過ごしているのもある。 

不安のない平安は、なぜか満たされない、甘みにまじない程の塩を添加すると甘みが際だつように。  突然何を思ったか?!、感じたか?!、=(・。.・)= が足が入っている靴下で爪を研ぐので痛い、……嬉しい。  『チョン!、チョン!』、『モシ!、モ…〜…シッ!』返事をしたものか?!、しかしなんと返すか?!。  じっとなすがままにしておく、ちょっと血が滲む程度だろう。  気まぐれな王の昼間の活動を応援しないと、ねこの早朝(5時頃)にあばれるから、つき合うことにする。  嬉々とした悦び一杯の顔を床に擦り付けんばかりにして背を低くして、尻尾をさも”……行くぞ!”とばかり不穏に振り回す。  憑かれたようにダッシュを繰り返す。  野生の声に誘われた狩猟の自主トレなのかね?!……。  朝、黄泉の国にいた自分が後退し、やはり重力の支配する窒素界に倒れていることを知る。  グーッ!と何者かに足下が押さえつけられている、『……ン?!』。  それが =(・。.・)=だと解ったとき、ドーンとした安堵と幸せを感じてしまう。  丸くなってドーンと乗っかるだけじゃなく、体の隆起の丘陵を闊歩して欲しいのだす、気まぐれな指圧にきっと地下に横たわる人物が悦びの呻きを洩らすだよ。

雪で間が空いてしまっていたCDの物色に新宿に出かけた。  鞄の中に電車で読む本を一冊放うり込み、適当に開いたところから読み始める。  何回か読んだ本である、レトリックやその展開にあまり興味がないので、SFやミステリーは全く読まない、もっぱら詩や散文のように活字が起き上がり文体がそよぐものを選ぶ。  田村隆一や小松左京の”女シリーズ?!”の時もあるが、何年もずっと決まった小説家のものが圧倒的に多い。  東口を出て見上げた”K3ビル”の5Fの”かぶらや”に入りうどんを食べる。  夏も冬も”松花堂 一段弁当”にたいてい決まっている、ただ”うどん”が暖かいか?!、冷たいか?!の違いがある。  きっと訊かれるので『暖かいの!』と返す。  いわゆる関西うどんなのだが、『プチ!、プチ!』している。  刻んだあげと細ネギが入っている。  きっと柴漬けと野沢菜があるので、『……紫蘇の色よ!。』と不安がる(む)にそっと耳打ちしてくれたことを想い出してしまう、それが規則正しく繰り返されるから、条件反射になりつつある。  200H?!サイクルだかで、記憶は上書き更新されていくらしい。  だから嫌なことは、すぐ失せる。  野猿街道の”四五九”のうどんと歯ごたえがよく似ている、ちじれている。  ディスクユニオンのJAZZ館でジャズを物色する。  新しくなってから棚の勝手が変わってしまい、新譜からフリー系、目当てのアーチスト、中古へと探索していくが、やたら汚い字でキャッチコピーのギザギザ黄紙が張ってある。  ジャケットを覆っているため肝心のタイトルやメンバー、録音日がほとんど見えないので面白くない。  それをめくったり剥がしたり、中味を取りだして基本情報を確かめる。  何年か前までは、このキャッチコピーを楽しみに読み大いに役だったりした、当然文字も怒り狂ったうねりなど全くなかった、その几帳面なJAZZに不似合いな?!丸文字は、清楚ですらあったのだ。  目当てのCDは、やはりみつからなかった。  フリー系以外やその他の探索にいつものように、背後から丸井の地下の”Virgin MAGASTORE”に降りていく。  インデックスが見やすいゴシック体なのでホッとする。  果たして新譜の棚で何点か良さそうなものが見つかるのか?!、誰かが考えた発表(=陳列)なのだが、その戦略を想像したり、たゆまぬ新作の大行進にワクワクする。  

伊勢丹の西側の狭い”┏”字路地にあるジャズのライブスポット”ピット・イン”の上に乗っている”SANSUI”での、フライのマテリアルやルアーの物色は歩き疲れたんで止めた。  すれ違うのに声を掛けそうになる狭い通路の上に覆い被さるギアの数々や通路の隅に積み上げられた箱などが居心地のいい場を作っている。  一歩足を踏み入れるとなかなか立ち去りがたい。  渋谷SANSUIの”ルアー・フライ本店”は”海洋館(トローリング)”に乗っ取られたため、スクランブル空中遊歩道からは、ちょっと遠くなり広くなったが、ガラスと木の箱は冷ややかな空気が満ちている。  マテリアルのような消耗品で素材にこだわるものは、種類が多くて品揃えが大変なのだが、人気商品の入荷まもなくたちまち在庫がなくなることもなく、しかも客が少なく,おかげで探しやすい。  渋谷の谷底には、上州屋(エッ!、カミスヤって?!、それはいったい何処にあるんじゃ……?!(^o^)、と思わず身を乗りださんばかりに、ついつい語気を荒立てて聞き返してしまったよなぁ……、金(かな)ちゃん。 )やSANSUIの”海釣り館”、”川釣り館”がスクランブル空中遊歩道の近道によって目と鼻の先に陣取っている。  インド孔雀の極太羽根を丸々一本使った浮力抜群の見事な浮子(ウキ)や木製のリールに見入ったり、精悍な”エイリアン”である懐かしい岩イソメが組んずほぐれつ、水槽に沈み闘争を始めてしまっているドキドキする光景を抱えて、谷から脱出する。

夜更けに空中テーブルで『カリッ!、コリッ!、…!、…!』生き物の起てる音がする。  先ほどふらっと夜の散歩に出かけて往ったチビちゃんかな?!、と思って窓を開けたら、大きな白に茶と黒の丸模様を絶妙の塩梅で散らした”オコジョ”であった。  丸い目をキラキラさせ口を突き出し、中に身を乗り出してきた。  首と背を揉んであげた。  澄明な目を瞬き『ミャ〜ァ』と小さく言った。  大好きな太くて長い海へびのだんだら模様の尻尾を振っ た。  さらにオコジョとそっくりの”白と茶と黒の丸模様を絶妙”がやってきて木の枝に乗かって優しい顔で見る。  兄弟だろうか?!、そっくりだから親密の発表でどちらか認識する。  今まで全く気が付かなかったが、視線に距離があったので不思議に感じたあの時人物が嫌いになったのでなく、”これから”だったのかもしれない。  無礼がなかったのが嬉しい。   (^.^ ;) 白に灰の模様のささくれた顔のも来た、痩せている。  元気にミルクを飲み、『カリッ!、コリッ!、…!、…!』、動物用クッキーを噛む。  部屋の温度19℃、相対湿度41%、夕方還って来たときは、9℃、50%。  キリリと引き締まった気持ちのいい夜気を吸いながら、”MOS BURGER”へ歩く。  明るい三角屋根の春靄の中に、異星人が数人いた。  ガラスと石、白木の柱が剥き出しの高い天井の別世界である、深夜のせいか音楽がない。  アメリカのフラットなバーガーショップに入ったような、気持ちがはればれ、のびのびする異空間の空気を吸う。  物静かな優しい男達は、皆憑かれたように放心したり、書類を広げて盛んにペンを走らせたり、木のベンチに横たわっている。  フードを被ったままのや、何かの獣のキャップを着けている痩せた面長丸顔のお方もきっと一人二人いる。  真新しい大きなストーブが静かに燃え、青いジェット噴射を『ゴーーゥーー』と吐いている。  天面を試しにさわってみたらひんやりしていたので感心する。  ほかのと違った丸い座の椅子が三つ近くにある。  最適のものを調達しているのがすぐ解る。  里芋の緑の葉っぱを頭に乗っけた子が描かれた紙袋を持って還り、楽しみに開ける。  それなりのバランスから溢れる肉汁とトマト、タマネギ、マヨネーズ、スパイスの”対位法”を急ぎつつゆっくり頂く。  やはり別世界、タマネギが暴れないようにマヨネーズがなだめつつ青匂い精気を吸い出している。  オコジョとその友人も還ったみたいだ。

”チリッ!〜、チリンッ!〜、……!”澄んだ音が不自然な割り込みで混じる。  いささかムッ!とする。  どうやらそれが現世であり、つい先ほどまで激しく駆け巡っていた研ぎ澄まされた超自然は、脳が暴走しつつ映したものらしいと気づく。  その中へ戻ろうと体をくねらせてみる。  そろり〜*そろり〜*、足下にほどよい重さ大きさの、暖かいものが上がり、極めて遠慮無く・慇懃なそぶりで、どっかりと居座る。  今度、覚醒した時は9時を少し回っていた、目が醒めてしまうと交感神経系・体温の調節機能を開始し、風邪を引き易いのですぐ跳び起きる。  昨夜  =(・。.・)= にふるまったのでミルクがない。  『グィ〜……ン』、金色の”小田急特選 焼き海苔”の筒を開け、味付け海苔”極”にあった乾燥材と一緒の残り少ないコーヒー豆をミルに移し粉砕する。  濾紙の上でキャップをコンコンと叩く時、 =(・。.・)= が背を低くし耳を倒してちょっと警戒する。  蓋が落下して当たったことがあったのだ、自分と同じ大きさのミルが怖いのだろうか?!。  (゜∇゜)="エビちゅ"も一度なんかの拍子に自分の重みがかかり、『ピャーゥ!』と鳴いたことがあり、ハッと1mばかり跳んだ。  オーブントースターで2個くっつけた餅を焼く。  ほどよく膨らんでうまく出来上がるものを探したので、前みたいに中味が外にドロリと流出することがない。  (インターネットマガジン3月号)の付録のCD−ROMの2枚両方に大きなひびが入っていた。  書店で新しいのを貰う、2度目である。  いったい何時この損傷が発生するのだろうか?!、不思議だ。  洋食亭”ブラームス”で遅い昼食、元気な若者が嬉々としてきびきび活動している。  初めて入ったが、いい感じであった。  まさにブラームスであったので、すっかり気に入った。  不揃いなほどよい大きさ(小ぶり)の牡蠣フライは、当然ながら外殻はパリッと潔く、核心はおつゆたっぷりに揚がっており、野菜もパリッ!と元気がいい。  何より閉塞感が皆無で、その対極の淡いキラキラした優しい光輝が溢れている空間がとても気分がいい。  ジャズが静かに漂う南フランスの田舎を想わせる空間。  デザートのコーヒーが実に香ばしく優しい深みが拡散する、あっぱれな逸品であったので、やはり”ブラームス”なのだと感じ入った。  ひとくち味わい、おお!!これはどこかで憶えがあるぞ!と思った。  新宿の靖国通り南側の”DUG”の、ふくよかな洗練に『おっ…!』と感心した、あの驚きであった。  きっとプロのコツがあるのだろう。  

黒っぽい服の痩せたお方は、誰かに似ているな……と思ったら、『……さんは先ほど、タクシーでPCと一緒に還りました。』、『……いえ私も始めて会った時、そう想ったですよ…、……は女ですよ。』、『……!』のずいぶん前の会話が想い出される。  すっと突っ立って遙か遠くをぼんやり醒め、いっさいをサラリとした捨棄の眼差しで凝視する印象、いっこうに色褪せないでくっきりした象徴化の傾性を増すばかりの”SY”だった。  サンジェルマンでパン菓子(リンゴパイ、カスター ドクリーム デニッシュパイ、チョコケーキ、……)とクロワッサンを買って還る。  明日の朝は、クロワッサンとカフェオレ、リンゴだ。  初夏から初冬に向かって、プラム、水蜜桃、キュウーイ、メロン、瓜、デラウェアー、巨峰、甲斐路、柿、紅玉、その他のリンゴへと巡る。  トマトがメインに入ることなく価格でしか季節感が味わえなく、野菜なのか果実なのか実感としてのけじめが失せたのが哀しい。  皮がごっつい、剥くと”バリッ”と叫ぶ台湾バナナも少なくなってしまった。  サンマの開きを焼き、タラバガニと牡蠣の赤だしで遅い夕食。

朝早く目覚まし(藤原真理/バッハ/無伴奏チェロ組曲)で呼ばれる。  人物の声に近いスペクトラム(≠フォルマント)を持つ”語り”がない音は、遙か100万光年の彼方、第七銀河のその向こうの黄泉の国から唐突に帰還する合図として最適である。  人の声、ヴォーカルだと暴走中に映像にすっぽりはまって登場なさるので具合が悪い。  打弦(PIANO)だと、不躾で無機的すぎて冷水を浴びたようにショックが伴う。  弦のアンサンブルだと荒野をわたる風と勘違いして目が醒めない。  一番望ましいのは、旅先で物憂げに窓辺に寄り、そぼ降る雨音が川のせせらぎと渾然と体位する、恣意が鎮静しつつ覚醒する楽である。  それを今でも探している、竹藪を”ド……ゥ”と吹き抜ける風音でもいい、これでいかなる映像が駆け巡ろうとて、その音が癒してくれそうな気がするから……。  風薬を飲んだ後は、きっと怖くて楽しい夢(=脳の暴走が映し出す映像)が見られれるので楽しみなのである、さらに色が付くと大いに満足する。  しかし後ろめたい雑念があるので、発病していないときっと駄目である。  まだ外は真っ暗である、部屋の気温は10℃。  真っ先にコーヒーを炒れ、ミルクを電炉で温めかけてから顔を洗う。  未だ暖かさを曳きずっている顔や頭、手足がだんだん冷気に触れ体が引き締まる。  ポットに直に楔濾紙(カリタ)を乗っけてお湯を注ぐ。  生き物との遭遇の際しては、ボイスコイルの発熱を伴う音楽への渇望が興らないのだ。  だから荒野に向かい、釣りに行く神聖な朝は音楽がない。  オーブントースターで餅を焼きながら、リンゴを剥く。  バッグにポット、おにぎり、タッパのリンゴ、釣り道具などを詰めて出撃する。  すでに明るく広い道路は、一瞬静かである。  東の山の端が黄金に輝き、横殴りの光彩を発射する。  ふっと力が抜けた世界が広がる。  天空は、抜けるように穏やかに澄み切って掃いたように清々している。  河原を歩く、ゴロゴロした大きな石と砂礫の連続で歩きにくい。  懊悩や懈怠、酸化が弾き出され拡散しつつ霧散する、体に引っ張られて脳裏が澄明になっていく。  四肢がすっかり自分のでなく、勝手に力を込つつ踏みだし侵攻し、その反射をひたすら受けているだけなのだと言う、ふつふつと嬉しい気分がわき上がる。  ゴツゴツした河原が変わらぬ優しさで押し返してくれる。  静寂に覆われた平原に黒点となって侵攻していく、しかし染みが這っているようにも見える。  ときどききれいな砂地が出現する、水辺際をとぼとぼ辿る。  水鳥が驚いて飛び立つ、鷺だろうか?!。

夕方、玄関で口笛を吹く。  いつもは、『ミャ…*…*…』小さい打ち振るえる声が還ってくる。  跳び上がるようにコロコロした茶と黒、白の毛に覆われた溌剌としたお方が駆けてくる。  北の垣根の向こうの駐車場の方からであったり、西の近所の植木鉢の棚の下から這い出て来ることも、西の道路の向こうの垣根を潜り広い道を横切って来ることもある。  少し間を置いて力を込めて口笛を吹く。  何かがゴソゴソ這い出て来ることも、転げてくることもない。  いっぺんに重い気持ちに沈む、昨夜のことを振り返ってみる。  ゴロゴロを少し力を入れ過ぎて念入りにやったのがいかんかったのか?!。  内股をぐりぐりしたときの歓声は、実は悲痛であったのか?!。  友達が引き止めているのか?!、一緒に大好きなゴロゴロをやっているのか?!。  夜遊びが過ぎて午睡が長引いているのか?!。  机の下を覗いたり、窓から笛を吹いてみたりする。  窓を少し空けておく、寒い。  しばらくして、『スッ……!スッ……!』聞き覚えのある、優しい音がしたと想ったら、インターラックの上段のゲートを潜るお姿があった。  (;_;)……。  『トンッ!』と軽やかに床に飛び降り、見上げて『……ャ』掠れた声でなんか言った。  いつもと何ら変わるところがない。  ゴロゴロをしながら体中を診る。  左右に突出した白い弾力に跳んだお髭がいっそう精悍になったぐらいで微かな野獣の匂いも大丈夫であった。  さわった瞬間、毛先がヒンヤリした。  頬をゴシゴシされると歓ぶが、必ずグイッ!とふんぞり返って人物の手を舐めようとするのでずっと続けるのは骨が折れる。  後ろ首から背、腹を順に揉んでやる。  挨拶が終わると真っ先にミルクをペチャペチャやる。  ホットパネルの上で人物の足の甲に頭を乗っけて眠る、ゴロゴロした鼓動がくすぐったくこの上なく快感である。  靴下を繕ったり、ゆっくり引っ掻いたり、押しやったりする。  広げた本から焦点がずれたまま、『……ぁ』、動けない。

しかしどうやら、前からあるメイルアプリに”吸い込まれた”らしく、自分に出したメイルをもったまま、”しばらくお隠れ”になってしまった。  嫌いなおやつだとがんとして首を横に激しく振る、コロちゃんがいないと火が消えたみたいだぁ。  (;_;)  (^.^ ;)。  夕方、 =(・。.・)= が『…∽…∝…‰…*…、( ¨) 』見上げて催促するので窓を開けたら、どこへやらふっと行っちまった。  『ピュー!、ピュー!』、窓を開けて闇に向かって口笛で呼んでも還ってこない、5時間ほども経ってから南の窓を茶の影が動くので窓を曳く。  [[ =(・。.・)=]] 『……カサッ、……トンッ!』と音を伴い冷気の降る闇から戻ってきて、インターラックの上段を潜りタオルケットで足のクッションを綺麗にしてから飛び降り る。  (;_;)  いつか、それっきりっということになるんだろうか……、?!。  (;_;) 鼻を舐められないようにしっかり抱きかかえて、頬ずりをしてやった。  いつもの狂おしい野獣の証しが微かに拡散する。 

早朝(5時頃だろうか?!)夢うつつで、『ポト!、ポト!、……、トン!』なる床を直伝する音を聴く。  第七銀河の100万光年の拠点、何時もの作戦を鋭意実行中・活躍の真っ最中に、故郷から呼ばれ引き戻される。  真っ暗闇の中、なにやら活動を始めた・そわそわしたお方がいらっしゃる。  =(・。.・)= が外に往きたいらしいので、手を延ばし隙間を開けたる。  『……ササッ!』と、躊躇することなく発進して闇に吸い込まれて往った。  ふて寝をする、隙間を開けていたので、しめやかな・しっとり・キリリッ!とした寂寥がそっと忍び込んで来た。  惜しみつつ閉める。  かぜ薬の卓効だろう、ふて寝で長編の疲れる夢を疾走する、感心するほどの鮮明さ。  昼頃に目が醒めた。  斜光を浴びて眩しいい陽に向かって西方へ向かう。  春の気配を吸いながらゆっくりした坂道を下り、橋を渡り喧噪の密集に溶け込む。  古典ジャズが静かにさらさら吹き抜けるブラームスで買ったばかりの”MUSIC MAGAZINE”の2月号を広げる。  レモンをチュッ!とやり広島牡蠣フライを食す、苦いコーヒーを堪能する。  すばらしい午後だ!。  今度は、やはり”ぽってりジュワッ”の和風ハンバーグにしよう。  ’97年間のベストアルバムが15ジャンルに分けて特集されている。  例によって評するものが評される構造が透けて見える。  上期と下期くらいが情報が新鮮でいいと想ってしまう。”BOB DYLAN/TIME OUT OF MIND”とか”AJAVA”、”ROBERT WYATT/SHLEEP”に目がいくが欲しいものが無い。  八○○駅北口のビルの5階のTOWER RECORDS でCDを物色しブルースを3枚、AFRO POP を一枚獲得し、”サンジェルマン”で”デニッシュクリームパフ”2個とアンドーナツ、ボールドーナツ、チョココロネット、ナン、アップルパイを獲得。  遅い夕食は、紅シャケの(塩)焼き。  オレンジとコーヒー、デニッシュクリームパフ。  CDの列を物色し活きの良さそうなのを引き抜く。  SENEGAL FLASH/ DAKAR/ 38907-2と、SENEGAL FLASH/ZIGUIUCHOR/ 38908-2 を回す。  たちまち土を蹴立てて跳躍する寂寥と闊達、澄明、優しさに圧倒され打ちのめされる。  なにより西洋音階なぞの重い鎖や無機的な構築が皆無だからして、ほんに根元的な安息が息も付かせぬ壮烈で駆け抜けるのです。  ポリリズムと目眩く荒々しい絢爛に息を飲んでしまう。  繰り返し聴くたびに精神が鎮静され屹立する。

いつものチェロのまったりとした響音で現世に出る。  ぐずぐずできると分かり切ってると有り難みがないので跳び起きる。  『∝∽……∝∽!!』窓を開けて =(・。.・)= を呼んでみる、静かだ!、反射がない。  外に出て呼んでみる。  昼間は、人影があるのでちょっと恥ずかしい。  コロコロしたものが転がるように駆けてくる姿は、目を凝らしてもない。  昼過ぎ出かけようと玄関に立ったら、ドアの向こうで声がする、『……ャ』。  開けるとちょっと後ずさって、きっとドアにくっついていたのだろう、スルリと入りトコトコ走る。  冷蔵庫から生シャケを出し、3cmくらいづつに切って供する。  冷蔵庫の前に立つと足下に纏わり付き、蹴躓きそうになる。  ジーンズによじ登ってなにやら発しながら、何があるのか?!、なにをやっているのか?!、懸命に見ようとする。  背中を頭から尻尾までなで下ろしてやる、尻尾をピンッ!と起てて前屈みになり、なにやら言いながら掌に横顔を擦り付ける。  強い力で押すので同じ力で支える。  右のお髭が2本切れていてチクチク痛いぞ!。  ひっくり返して床にゴロリンさせ柔らかい毛に覆われた白い腹をなでてやる、思いっきり四肢をピンッ!と伸ばしてピリピリさせる。  『そうか!、これなのかぁ…、(^ ^)、…*、』いつもの挨拶が終わると、床に置いた新聞紙に載った皿のミルクを”ペチャペチャ”飲み、”ガリガリッ!”魚を囓る。  机の下の暖かい座布団で丸くなる。  すっかり安心して西方に向かう。  風が顔だけにヒリヒリと擦り気持ちがいい。  まだ南を這っている光彩を見ながら、ヒューヒュー駆ける。  知らない人のひしめく荒涼とした石とガラス、鋼鉄の構造物を探索する。  心を捉えるものがなにもない。  時々親密を持った表情が突然出現するが、なにもなかったように過ぎ去る。  天空が澄み渡り風が柔らかい、シャンと冷ややかだがどこかムズムズしたそそのかしが隠れている。

西方の低気圧に向かって南風が吹きこんだのだろう、風に春の気配がたなびいている。  こんな日は気もそぞろ落ち着きを失う。  部屋の中で本を広げていても活字が起きあがらない。  ぼんやり外界の光を写す淡く滲んだ燦たる絢爛の光輝の潮騒の静謐なノックを眺めるうちにもぞもぞしてくる。  外に飛び出す、緩やかな坂の途中で上着を脱ぎながら西方に向かう。  欄干に足を掛け川面を渡る柔らかいキリッと新しい風を眺める。  川原を覆う草や葦、灌木、ニセアカシアは枯れたように見える。  瀬でざわめく白い流れをいつまでも眺めていたくなる。  いつもの洋食亭に座る、子牛のカツレツは今まで知ってる肉とはずいぶん違った新しい物であった。  YORUBA STREET PERCUSSION/ OMCD 016/ AFRO POPを聴く。  しわがれたコーラス、ボーカルとトーキングドラムの”ブン!、ブン!”と籠もった独特の語りが浸み渡る。  風邪気味で鈍く鬱陶しい脳が洗われ、ちょっと元気になる。 =(・。.・)=チビちゃんが来ない。  近くの駐車場に探しに行くと、何匹かの野良猫が遊んでいた、何度か遊びに来た灰の三毛もいた。  空中テーブルにダンダラ模様の尻尾のオコジョが登場する。  鼻先がちょっと汚れている、スルリと部屋に滑り込み、隣の部屋のチビちゃんの皿まで行き、ゆっくり一回りして退散していった。  =(・。.・)=チビちゃんが来ない。  呼んでも無駄だろうと思い、どうすることもできない。

夕方、もしやと思いながら、垣根を跨いで乗り越え笹の植え込みの脇を通りかかると、『……ャッ!』と優しい声がした。  あぁ、……、何という歓び、=(・。.・)=チビちゃんがいた。  ガサガサ這い出てきた。  灯りの下でゴロゴロをやって見せてくれる。  急きながらドアの鍵を開ける、『……ャ』=(^。 ^)= と叫んで走り込む。  明るい部屋で見るが何処も別状が無いようだ。  空っぽの皿と空色のプラスチック容器に牛乳と花鰹とイリコを入れる。  まず牛乳から勢いよく飲み始め、花鰹、イリコを食べはじめた。  足下にぶつかるので頭から尻尾にかけて撫で下ろしてやる。  尻尾をピンッ!と立てゴロゴロ歓喜の波動を発しながら横顔をゴシゴシ掌に擦り付ける。  考えただけでもオヒゲがくすぐったくてくらくらする、カボチャ顔のとっても静かに歩を進める君。  ザラザラした猫舌で舐められると、くすぐったくて、思わず『∝……∽……、ッ!』声を挙げる。  ズンズンよじ登って顔を舐めようとした、今日はいつも以上に油断していたのでちょっと舐められた。  思いっきりのびをしてついでに爪を研ぐ。  たっぷり再会の交歓式を野獣のしきたりで交わし、すっかり満足する。  ポケットに札を入れてパワーラークスへ駆けつけて、生食鰯を2パック調達する。  すぐにとって返し”よく切れる包丁”で輪切りにして供する。  ドロリとした血が流れる、ビタミンがたっぷりありそうだ。  四肢をズンと突っ立て『ンガ!、ンガ!』喰った、舌なめずりをして体をよじって毛繕いを始めた。  昼休みにオコジョを見かけた、なんと逃げ出したので、とっさに木片を投げつけてしまったところを、脱兎のように道に飛び出し疾走するねこに振り向いた”……”に見られてしまった。 (−.”−;)  4日も=(・。.・)=チビちゃんが来ない訳が、オコジョとの縄張り争いであるらしいと察しを付けていたのだ。  4日間も近寄れないチビが可哀想だとその刹那感じたのだぁ……。  10cmほど外した。  子どもの頃、野……を……したことが想い出される。  大きな黒いいたずら?!猫が垣根から出ようとしたとき、異常な集中力で狙いを定めて放った……が頭に当たり、ポトリと落ちた。  脱兎の如く地を蹴立てて5m程走って道路に出た。  ぐるっと回って裏の道路に出たとき大きな黒いものは、口から泡を吹き横たわっていた。  一対一の殺戮の世界にいると全身がふるえながら思い知った。  道路の真ん中に横たわる黒くて大きいものは、重くて持ち上げられなかった。  川に落とした、しばらく臭かった。  誰にも話さなかった。  

今日は、チビちゃんが待っててくれなかった、部屋に入るのを止めて駐車場の方に探しに行く。  砂利を敷き詰めた広い駐車場を歩いて行くうちに、車の影に動くものを見つけた。  =(・。.・)=『……ャ』 掠れた反射があった。  付かず離れず2人?!で還る、隷属を種の伝統で頑として拒むコロコロした方が先導する。  この暖ったかさ、柔らかさ、しなやかさ、徹底した自由賛美、耽美信奉の不羈の王は人物を蹂躙する。  先々日、夕方棲み家に帰って例によって部屋に入る前に、すぐチビちゃんを駐車場の方に探しに行ったが見つからなかった。  ジャリに膝を付き車の下を見渡してみる、声がちぎれて飛ばされて来ないか?!、息を止めてみる。  何か反省することでもあればいいのだが……、重い足を曳きずり、うなだれてすごすごと部屋に帰り、机に向かってぼんやりしていると、少し開けた窓から『カタッ!、……、トン!!』と入ってきた。  コロコロした顔で『……〜*、〜ャ!』と叫びながら、そこらじゅうを闊歩する。  しっぽを激しく振りコロコロしたボディーを足に擦り付ける。  カーペットに腰を下ろしぐるぐる回る =(・。.・)= 股でそっと挟んで捕まえる。  掌にごわごわした顔を擦り付けて挨拶をくれる。  いつものようにゆっくり頭、背中、腹を撫でる、横顔をゴシゴシ掻いてやると目を細めて思いっきり首を伸ばして、『……もっと!』と言う。  机の下のホットパネルにのっかった、羊の毛がそっくり残っている、皮の座布団。  これに=(・。.・)= がのびのびと四肢を伸ばしている。  人物が机から離れるとむっくり起きあがり、大きく伸びをやってから、『……ャ』と言う。  冷蔵庫を開ける気配できっと近寄ってきて催促する。  でもまだ空色の"○"には、花鰹やイリコ、”フリスキー お魚いろいろ まぐろ味”があるのだ。  気まぐれやさん!……。  先日も夕方棲み家にたどり着き、 =(・。.・)= がいなかったので近所に探しに行った。  あきらめて帰りかけると、道路を横断するように2つの黒い影が突然飛び出した。  駐車場に敷き詰めたバラス(≒ジャリ)を蹴散らし矢のように縦横にすばやく疾走し駆け回った。  チビちゃんと灰の斑で同じくらいの大きさである。  じゃれ合うように、春を謳歌するカップルのように見えた。  人物の姿を認めてチビちゃんが近寄って来た、誘導するように棲み家に向かう。  先回りしてドアを少し開けて待ってると、激しく牽制しながらアタックする灰を引き離し、いつものように無事ドアに吸い込まれて着艦した。  ちょっと羨ましいあれは、何だったのだろう?!。  兄弟だろうか?!、燃えるような恋の対象なのか?!。  所帯?!を持つとあるいはその前提のランデブー?!を行うと、同棲は終わりになるかも知れない?!。 

輪切りの魚、ミルク、雪印 ”毎日骨太ベビーチーズ”、イリコ、花鰹を空色の”○”に入れる。  今日は、駐車場に姿が無かった、仲良し駆けっこのすばやく地面を疾走する野獣はいなかった。  車の下に寝そべったりもしてないようだ。  口笛で呼んでみる、『∝……、∽……*、 ……♪』。  『……ャ』小さな消え入るような発表があり、近所のアパートの縁の下から茶と黒の頭が覗いた。  人物を認めて駆け出す。  『 …………* 』 =(・。.・)=  傘の影に決して入ることなく、平行して建物に沿った野獣の轍を駆ける。  開けたドアにスルリと駆け込む、全く音がしない。  いつも机の下から背伸びをして、人物が何をやっているか調べようとする。  とうとうH90cmの机の上に”パッ!”と音もなくしなやかな身のこなしでやってきて、両手を人物の胸のセーターに架けたり、種伝来の挨拶であるところの顔を舐めようとする。  不思議とキーボードを手で押さえたりしないから安心する。  顎を背に乗っけていると、暖かくて『ゴロ〜∝∽!、∝∽……!』と、『ドドド!、……! 』の混じった、船に乗ったようなエンジン音と、体全体の息づかいが顎の骨に直に伝わり波動がズンズン伝わる、『あぁ*……*』。 

日曜日の早朝、とてつもなく早く目が醒めた、熱帯のむせ返るような情熱がたれ込める美味しいコーヒーがあるので、サンジェルマンの”クリームデニッシュパイ”とシナモンドーナツ、それにカリカリのベーコンエッグですばらしい朝食をしたいと思って布団に潜り込んでまだ数時間しか経っていない。  しばらくうとうとして、『トコッ!、トコッ!、……!』という音と、ズンズン足下を押さえる何者かの気配で、100万光年の第七銀河の向こうの遙か彼方の作戦地から突然任を解かれ呼び戻される。  しばらくなんとも天国的なほどよい重みを感じ、朦朧とした半覚醒の無重力をさまよいつつ、見えない生き物の挙動を察知しようと耳をそば起てる。  やがて =(・。.・)= が『……ャ!、……ゥ!』掠れてしまった声で合図をくれる。  掃き出し窓のほうに顔を向けていつもの発表を行う。  布団から手を伸ばして10cmほど窓を曳く。  すかさず、しっとりキリリとしたひっそりしたものが忍び込んでくる。  カーテンがフワリと揺れて音もなく何かが滑り出す。  一切音を起てない。  窓を締めて一切の意欲を失い仰向けになったまま、そっと鐘を下ろすように深淵にずんずん落ちていく。 

珍しくチビちゃんが待っててくれた。  絹のような雨に打たれ棲み家に近づくと、『……ミャー…ッ!』消え入るような声が投げられる。  紅葉の下の本箱の上にちょこんと両手を揃えた正座のその姿があった。  小走りに走りつつ一緒に還る、『わぁ〜ぁ……ん!』、尻尾を起てて”パタ!、パタ!”振る。  冷蔵庫を開けると、きっと駆け寄ってきて纏わり付く。  冷凍の専用の魚をレンジで解凍する間、ゴロゴロをやる。  気が付くと・いつの間にか =(・。.・)= が机の上にいる。  『ゴロ〜*・ゴロ〜*』喉を鳴らしながら近寄り、顔を舐めようとするので背後に回り顎を乗っける。  そのうち腕の上に乗っかり寝そべってしまう。  結構な力で押しやったり、重量が腕に掛かるので疲れる。  丸顔の頭をグリ!グリ!してやる、頗るヨロコビの表情。  交歓を交わすときっとトコトコ自分のお皿に向かい”グァシグァシ”と魚を噛んだり、ミルクを”ペチャペチャ”やる。  決まってこの順序であり逆順になったことは、かってない。  しかしつき合ってやっているといった実感は無い、どうも人物が励まされている実感と恣意しか興らない。  やはり不羈の王は人物を蹂躙する。  ”UA”の”カピバラ・レストラン”のテープを聴く。  誰かの詩のようなものをたどたどしい難波の抑揚で読む。  歌手独特の力のある芯のある太い地声が心地よい。  ちょっと鼻が詰まっている。  (^.^) 伸びやかで次から次ぎへと”狂気の文明からの偉大な逃走”が繰り広げられる。  どっしりとした気品から好ましい放射能がパチパチ放電する。

金曜日の夕方、ウィルソンのシューズを履き、心地よいフィット感と揉縛を踏みしめながら、春の気配が縞のように漂い流れる風を切って日没の寂寥の雲がなびく西方に下る。  下界は無彩色に侵され、点々と非清浄の明かりを灯す。  天空は色彩を帯び明るさを残している。  『オー……イ、…*』誰かが、叫ぶ気がする。  少し顔が火照り汗ばむ。  ○○子のヨドバシ○○○に正面から侵攻する。  ”ブラームス”に入り”和風ハンバーグ”と”DUGコーヒー”を所望する。  アースカラーの木壁、床、柱、アイボリーの壁、パステルピンクのテーブルクロスの中で、若者が闊達に颯爽と闊歩したり、カウンターにちょっと腰を寄り掛けてなにやら言葉を交わしているのを遠望する。  ハード・バップ(’50〜’60年頃のマイルスや、ソニー・ロリンズ、ミンガス、ジャキー・マクリーン、モンク、ハービー・ハンコック、……が残したジャズの古典?!スタイル。)が白い壁の間を滑空する。   浅井慎平だかの『勝手に聞こえてくるのが一番……!。』との一番感激した時はどんな時ですか?!の反射を想い出す。  それが懐かしさのあるかって知った曲で演奏である場合はことさらである。  選曲と埋没・没頭してるときとは、それぞれ全く違った脳が作動してるんだろうと思う。  胸の下の回りをやや逆末広がりにキュッ!と包んだ濃紺?!のスカートとオイスターホワイトのシャツが所在なさそうに佇む姿をちらっと見やる。  菱の目の飾り仕切が床から天井にそびえる部屋があり、床が青石?!、椅子が藤で落ち着いた静謐が伸びやかに覆っている。  それを眺めながらプロバンスのミストラル、ラテン気質、渇いたなだらかにうねりつつどこまでも続く丘陵、しっとり濡れたようなラベンダー、静謐な川の流れ(チョークストリーム)に棲む鱒、陽に赤く焼けた顔、……とりとめもなく脳裏を掠める。

”怪しい探検隊”、”気ままにいい夜”、”うでにおぼえあり”、”新日本紀行”、”ワーズワースの庭”、”……冒険”、”愛はどうだ”……、忘れがたいビデオテープを想いだしてみる。  きっと毎日でもその渇望が倦むことがないであろうと感心しきりの、”和風ハンバーグ”の味は、精妙にコンスタントであるが、シェフの違いが見える形で現れた時は、思わず『クスリッ!』としてしまった。  この日は、菱型(≒山○○)であった。  まごうことなく熱が過不足なく行き渡り、ナイフを入れると、たらたら、キラキラ黄金の輝きを放つ肉汁が流れるのを見るのが楽しく、息も付かずやっつけてしまった。  小さく切り大根おろしと透明な赤茶のソースをうまく乗っけて運ぶ。  たぶん複数工程を経て、カリッ!と焼けたジャガイモの完璧を試したいと思いつつ、おそらく炒りたての”DUGコーヒー”で円を閉じる。  射す物が皆無で覆うものと浸透するもの、開花するもの、唆すものばかりである。  ”サンジェルマン”で、”シナモンドーナツ”、”バターロール”、”リンゴパイ”を獲得して暗雲たれ込める西空に追い駆けられながら、汗をかきながら喘ぎつつ坂を登る。  西の空が黒く沈潜する頃、朝方にふっと散歩に出掛けたきりの =(・。.・)= を呼んでみる。  音もなく丸顔のお方が垣根の下から現れる。  頗る元気そうであり、臆したようであるが、晴天のような天晴れな表情。  なぜかちょっと佇んでから、いちもくさんに駆けてくる。  『……ャ〜ァ…、……〜*、…!』 『ガガッ…!、…!』いきなり伸びをしてカーペットで爪を研ぐ。  ホットパネルで丸くなり、うつらうつらしたり、仰向けになって四肢をピンッ!と伸ばし、『……?!』大きな丸い目で暗がりの空を凝視する。  気まぐれに見えるが、きっと真剣な遊びに倦むと、”ふわりっ”と1mばかり跳躍し机に着艦。  畳んだタオルケットに腕を置いている人物の顔に近づき、何をしているか?!視察する。 『”ドク!、ドク!”、”ドゥル!、ドゥル!”』  柔からくて暖かい鼓動を送り続けるものを、顎で押さえ両腕と胸の間に捕捉する。  少しむせ返るスープに似た、獣の匂いがする。  強い力を前足に掛け、人物を押し返す。  どうも顔を舐めたくてしかたがないらしい。  その都度背後に回ってかわす。  種伝来の交歓の正しい方法だと解っているので、大自然からの逃走に思えてしかたがない。

未だ西方の空が”ドーン”と明るい何やら開花する夕刻、真新しいジャリを敷き詰めた広い駐車場の方に =(・。.・)=を探しに行く。  遠くに前と同じ灰の三毛と一緒に遊んでいるのが見えた。  呼ぶとなにやら返事を返し、跳ぶように駆けてきた。  置き去りになった車の影の灰の三毛は、なぜか追いかけなかった……。  (.. )  夕方帰宅、チビちゃんを探しに行く、渺々とした暗がりからなにも現れなかった。  民芸うどんを食べに出掛ける。  まだ所々に畑があり、しめやかな土の匂いがたれ込めているあたりを過ぎる。  パッと開けたあたりにさしかかり、遠くに灯りが『ポッ!』と浮かぶのを見ると、一瞬どこかとんでもないところに迷い込んだような、ちょっとわくわくする気分がそよぐ。  解り切っているのだがきっと興る、そう願っているからなのだろうか?!。  見上げると、冬枯れた木々が月の光を浴び、生き生きと甦り天に伸び、触手の黒い影となり浮かぶのを見るのが、この上なく好きである。  『……ワーン!』静謐の流れる天空が優しく降りてくる。  茶碗蒸しをいつも最後に食べていたが、どうもこれは最初に食べるもんではないかと思いつき、そうしてみたら熱々の出汁がたっぷり入った精妙なぷりぷりの按配が、ちょうど呼び水のように食欲をかき立てることになった。  口の中にピリピリするものと、スースーするものを漂わせつつ、黒い土に降る月夜の中を還る。  夜更けにもう一度 =(・。.・)= を探しに行く。  『ピュッ…!、……*』 口笛で呼ぶ。  うなだれて、とぼとぼ還る。  ぴよちゃんが『すぐおいしい、すごくおいしい』と言っている、”nissin チキンラーメン”を沸騰した小ぶりの寸胴片手鍋に投げ込む。  怯むことなく噴流が復活する、『いいぞっ!』 ”ヨード卵光”を割って落とす。  褐色の液体が憤怒のうねりを止めない。  白身と黄身が拡散せず、うまく固まった、よろしい!。  ネギが無いのが無念であった。  すばらしい!。  今度、タマネギのスライスで実験してみよう。  傘をさして、 =(・。.・)= を探しに行く。  ジャリを敷き詰めた駐車場を探すが、『……』何も還ってこない。  何時もよりちょっぴり遠くまで行く。  更に進み、宇宙船のシェルのような、立方体の集合物でできた建物の縁の下?!から、『……〜ャ』 とても小さな、まごうことなき声がした。  近寄ってのぞき込むと、茶と黒のコロコロしたものがトコトコ出てきた、踵を返し歩み帰還を促す、双方ともいい感じ・親愛の同士の気分で一緒に還る。  んが、けっして傘に入らず・道の真ん中を進まず、建物とかコンクリート塀、石の壁面や構造物に沿って進む。  全く足音がしないので不安になり、丸顔の行いを確かめる。  心配する喜びをくれることに感謝、(;。;)。  雨で背が濡れ、毛が強ばっている、タオルで拭いてやる。  ちょっぴり嫌がるので、力が入る。  机に跳び乗ってるので、白い板に並んだボタンが押さえづらい、いつも以上にゆっくり推敲しながらになってまう。

少し湿った風を切って西方に馳せ参じる、夕闇を縫って汚れた光輝の点滅するなかに浸透する。  すっぽりと汚れちまった喧噪に吸い込まれる。  ○井の地下に降下して、黒い服のほっそりした人物がカウンターで何かやっている、”Vergin”の広いフロアーを歩く。  ”PAUL SIMON”/Rhythm of the Saints/ WB 9 26098-2と Eric Clapton1のPilgrim(ピルグリム)/ r 9362-46577-2 、BRIAN ENO-DAVID BYRNE/MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS/ SIRE WPCR-1182を獲得する。  還ってこれらを聴きながら眠ってしまった。  目が醒めたときの、朦朧とした頭で”今が何曜日で、何時なのか?!”懸命に考え時刻を獲得するまでの半覚醒の”狂気の状況トンネルの疾走と時空からの剥離、帰還”は、魂が奪われそうな危険や未知の万象、ゾーンが実感出来てハッピーエンドの着艦が約束されててすばらしい。  夕食後の散歩にふらっと出かけてしもうた =(・。.・)= を探したが、見つけられなかった。  どこでなにしてるんねん、……?!。  夜更け、南の高窓の外で 『……ャッ!!』 声がする。  あぁ……、還ってきた。  [[ =(・。.・)= ]]   インターラックの最上段からのゲートイン、プルプルした肢体・ムッチリ!充電・野生の跳躍・存分の疾走を満喫、満ち足りた風情で侵入していらっしゃる。  でも、いくら丸顔を見てもこれらの形跡は微塵もない。  ちっとも変わらない・いささか拍子抜けする平常心で・躊躇なく真っ直ぐに突進してくる。  『ヒラリッ!、…*』と音もなく机に着艦する。  毛に覆われた華奢な手を、胸に掛けたり、顔を人物の顔に異常に接近させてくる。  いつものように背後に顔をかわすのを止め、歓迎してみた。  顔をチロッ!と、ヒンヤリ、ザラストロ(≠魔笛)したもので舐められた、一瞬の接触であった。  ピンッ!としたお髭の横顔を、人物の顎と頬に擦り付ける。  『ゴロ!ゴロ!、…!…!』 、『ドゥル!、ドゥル!、…!』暖かい波動エンジンを間近に感じ、静かに余計な動きを慎み、暫し没頭する。  間近のモニターを見入っている。  波状的な野獣との交歓は続く、“あちこちボタン押さえ込み”が、はかどらない事態であるから、なかなか完遂しそうもなく、全く絶望のありさま。  まだ、白いボタンが並んだ・じっとしているものには、とんと興味がないやうだ。  主の交歓≒儀式が終わると、きっと自分のお皿までトコトコ向かい、四肢を突っ張って頭を振りりつつ没頭する。  頭を傾げ、クチャ・クチャやるのはやめて欲しい。  朝方、『ミヤッ……!』という声で、遙か100万光年の第七銀河のその向こう・特殊任務のための赴任先から呼び戻される。  帰還すると、足下や胸のあたりに重いものが覆い被さっている・重苦しい圧を感じ、いささか、『むっ!』とする。  やがて攻撃拠点が移動していく。  ドーンと重い頭と虚脱体を屹立させ、トイレに向かいタンクを開いてから、部屋に戻る。  王の無言の・慇懃な要請≒命令に従って、窓を少し曳き風を入れる。  ランランと瞳を輝かせ、今まで昼間はあまり見せない俊敏な身のこなしで、反対側の玄関のたたきの方に消えた。  うつらうつらして、また重圧の攻撃を受ける、『うふっ……』(^ ^) 笑っちゃう程の重圧である。  耳元にゴソゴソ近づくので手を伸ばして窓を少し曳く。  もう明るくなりかけた淡青色の空が差し込み、すかさずそっとヒンヤリした新しい空気が忍び込む。  しかし闊達な野獣は通過しない。  仕方なく起きあがり反対側の障害物(人物のシェルがある宇宙船)の置かれていないほうを開ける。  ツツッ……!、スル!スル!と影が滑り出していく。  遙か100万光年の第七銀河のその向こうの作戦部隊に、果たして無事帰還できるか心配になりつつ、艇に乗り込み水平飛行に入る。  

秋葉原へやってもうたに出掛けた。  『ミャ〜ァ〜、ワァ〜、ワァ〜』、出掛けに=(・。.・)= が散歩?!先から転がるように何やら叫びつつ駆けて、還って来るのとはち合った。  とって返しドアを開けて中に飛び込むのを待ってからお皿にミルクやら”いりこ”、”フリスキー お魚いろいろ”を入れ、南窓を8cmほど開けておく。  こんな時でも真っ直ぐドアには進まず、構造物に沿った定まりの道を進み、ドアの脇で背を地に擦り付け大急ぎでゴロゴロをする。  電車の中で小松左京の”旅する女”の入った文庫を適当に開く、何度も読んでいるので文体しか吸収するものがない。  絢爛たる豊穣が開く見通しのいい博識の広がる文体に浸り、生き生きした活字を愉しむ。  春風が舞う雑踏に侵攻し、モグラの穴の迷路に入り、迷わず神和電気でメモリーを2個。  駅ビルの築地寿司でバレンに乗っかった”おまかせ”とイカ、コハダ、タラバガニの遅い昼食を食す。  部屋に入るといつもの物陰に =(・。.・)= がわざわざ体を寄せて待っていた。  角で待ち受け出会いがしらに『わっ!』と脅かすやり方とそっくりなので、感心したりいつものことなので呆れたり。

南窓の空中テーブルに何やら柔らかそうな影が動く、窓を開けて見るとささくれた感じの薄茶と灰、腹が白い野獣が顔を真正面に向けていた。  『ワォ〜ァ!、ワォ〜ァ!』 腹の底から吐息を吐く ような、よく響く胸を突き上げ人物を深い悲痛に陥れるような、全世界を抹殺するような浪々とした声である。  =(・。.・)= が顔を近づけてくる。  なつっこさと俊敏さがあってじっと人物を見る。  チビちゃんの兄弟のように思えて、たくさんのミルクやらふるまった。  きっと明日も、また来るのだよ。  今夜も待ち人?!、来たる。  南窓の空中テーブルに薄茶と灰、腹が白い痩せた =(・。.・)= が穏やかな顔で首を伸ばして中を覗き込む。  『ワァ〜ォ!、ワァ〜ォ!、……!』 浪々と響く淡青色のビロードヴォイス。  世界を睥睨するような、尊厳の背後に一抹の恨みが漂っている。  その顔から想像出来ない、狡猾な嫌らしい重苦しい声である。  ずいぶん待たせた末、フワリッ…*音無く着艦、いきなり顔を近づけてくる。  なつっこさと俊敏さがあってじっと人物を見る。  慣れない物を買ったのですっかり忘れていて、ちょっと痛んでしまった生ハムを冷蔵庫から出して供する。  ミルクが大好きで躊躇なく飲む。  チビちゃんが机に上がり人物の胸に前足を掛けて寄りかかったり、ズンズン登って肩に上がる。  高くて見通しのいいところが好きなんだ、正座してモニターの前で落ち着いてしまう。  構わないでおくと無精髭の顎を噛む、ちょっぴり痛くてくすぐったい。  ”お魚いろいろ”や花鰹、イリコに飽きたらしく匂いを嗅いだだけで、つまらなさそうに離れていく。  しかし人物がいない時は食べるらしい。  空中テーブルにいらっしゃるゲスト用の”愛犬元気”を試しに供すると、『ガリッ!、コリッ!、……!』嬉々として噛み始めた。  ブラームスからの還り夕闇が降りてくる未だ昼間の暖かさが残っている夜道を東へ向かう。  燦々と赤いオレンジの光輝を放つ月が”ドーン”と登ってくるのが目に飛び込んできた。  キラキラした波動を優しくまんべんなく全世界に煌々と放射し続けている。  東の空にしっかり浮かぶ大きなオレンジのお盆は月でも夜の太陽でもなく、やはりお盆である。  世界中の大いなる苦悩や悲痛、恨み、懊悩、殺戮、諦観、憧れ、……、森羅万象を一切かまわず鈍く控え目な照射で覆い尽くす。  ぼくらは誘われるに任せて燦たる光の照射を浴びて道を辿る。  緩やかな坂道をゆっくり登り社の横を抜けて大きな楠の下に辿り着く、樟の香りが音もなく降りしきる高台で安息を得る。  そっと冷ややかな石のベッドに体を延べる。  黒い茂みが何かを叫びそうであるが、一切の沈黙が張りつめている。  『……!』声がでない、燦たる光輝を浴びた瞬間に、たちどころに時空を越えた遙かなその世界を想わずにいられない。  きっとあの下には置き去りにした遠い日の自分がいるに違いない。  狂気のような一途で信じるものがあった頃の不安は何だったのか?!。  漠とした往く末であったような気がする。  月夜の散歩は狂乱に満ちている、廃墟となってそびえる樹木や建造物の背後に拡がる深い影に飲み込まれ、振り返り後戻りすることを拒む。  いったい何が……。  アメリカの夜のような明と暗のコントラストが描く世界は精神をはなはだ吸い上げ、潮の曳いた砂州に棲む蛤のように消耗させてくれる。  体内の時を刻むものが微熱を吸い取られ、白い遮光に照らされた静謐の恐竜が伏して微動だにせず青匂い息を吐く。

日曜の夜の愉しみな”UA”の”カピバラ・レストラン”を聞き逃してしまった。  昨日は =(・。.・)=チビちゃんが来なかった。  夜、駐車場の方に探しに行く、呼んでみるが反射がまったく無い、むなしい呼び口笛が千切れて飛ばされる。  キリリッとした北風が、激しく転がり回り駆け抜ける。  一昨日は、薄暗い闇を縦横に駆け抜ける、優しい3つの影に出会った。  ジャリを蹴散らしチーターのように軽やかにもつれ合って交歓し合っていた。  先頭を走っているのがチビちゃんだと解ったので、物陰に潜り込み疾走を休止した時に呼んだ。  『 =(゜。  ゜)= ……?!』  『……ャ〜』 掠れた声で反射して還り方向の誘導に乗ってくれた。  追っ手を何とか振り切りドアに滑り込んだ。  いつもの大ぶりの一夜干しの”うるめ鰯”の頭と尻尾を専用ナイフ(OPINEL)で切り落とし供する。  ドロリと暗赤の血が流れる生匂い物を、歓びに体をうち振るわせつつあっという間にたいらげた。  すっかり満足して 、机の下のホットパネルの羊の毛皮の座布団で四肢をピンッ!と伸ばして ”=ΘΘ=ΠΠ〜” うつらうつらしていた。  あまりの堕落ぶりにちょっかいを出すと、『……ゴロ!ゴロ!、"♪"……!』喉と体を振動させて、フワリッ!と机に着艦した。  顔を舐められないようにかわしていると、セーターの胸でボクシングのように押したり、引っ掻いたりの運動を規則正しく始め、長いことやっていた。  何かの儀式か種伝来の親愛の挨拶か?!。  運動の後のミルクをしっかり元気に真っ直ぐ突っ立って、ピンクの舌で跳ね上げるように懸命に飲んでいる。  蛍光色の黄のテニスボールで遊んだりしていたが、人物の顔を見上げ 『……ャ〜ァ!、……!』 何やら訴えるので、いつものように窓を曳くと真っ直ぐに寒空の下へ抜け出していった。  =(・。.・)= がいるなと、いつも錯覚する毛皮に、足先をそっと置く。  今日も、 =(・。.・)=を探しに出掛けたが、車の影から梟のように大きな顔の茶の三毛が顔を上げたきりで、会えなかった。  BILL EVANS/ EVERYBODY DIGS/ OJCCD-068-2 を引っぱり出して聴く。  20枚近いビル・エバンスのCDに埋没した極めて短時間の夢のような日があったが、HYさんに貰い最初にじっくり親しんだこれが一番である。  厭世的な影とリズムセクションの挑発的・情熱的な追い立てに急かされ、鍋を煮立てにかかられ平穏な空気を否応なし屹立させる。  喝采を叫び走り出す円盤打楽器や鼓、跳躍する長太弦が闊達なのに、近視眼の孤高の打弦は燃焼出来ずに、それらに背を向けてたらたらと白いシジミの体液を浸み出すばかりである。  冷ややかな、煮え切らずそそり立たない青白い炎がちらちら瞬くのは、それほど好きではないが、気になってしようがないのでこうやって発作的に取り出すのである。  全く解け合わないことがむしろ自然であり爽快なのだが、やはりその対比とそれなりの構築物を見る愉しみがある。  John Coltrane/ Dear Old Stockholm / GRD-120や、John Coltrane/ Ole Coltrane 、John Coltrane/ My Favorite Things (Rhino)も別の感傷で取り出す。  が冷ややかにも、熱くにもなれない。  ほうれん草のお浸しが旨い。  でもしばらく経つと味が一変する、不思議だ。  面倒がらずに毎回茹でることにする。  メバルを甘辛く煮たがショウがを入れるのを忘れてしまった。  しかし分葱が美味しい。

Sonny Rollins/ ALFIE/ AD-39107 が好きである、それも大変(相当)なのである。  堂々としてて繊細、寂寥が隠れていてしかも新しくて、なんといってもカラリとしたナミブ砂漠のような突き抜けた開放感が溢れているのが嬉しいのだ。  闊達にのびのびと全く”無理なく自然にインプロヴィゼーション”が出現し、ぐずったりパラパラ展開され飄々と気持ちよく飛翔し、跳躍したりして、鮮やかな転結がすばらしいぃのだぁ〜*。  それが何時でもそよぐところがやはり無常に好きなのだ。  燦たる白昼の白い熱い光線が頭上から射す頃、外から還ったばかりの慣れない目に妙に暗く見える、奇麗に片づけた部屋で冷ややかな風が音もなく渡るのを感じるようである。  木立からの南風が通り抜けていく、微かに楠のアルカロイドが吹き飛ばされて往く。  ”小さな死”、何かの後のような気だるい疲れた気分に無理やり自分を引き込みつつ浸り、冷ややかな床に長々と寝そべりながら、黴匂い印象の暗緑の広いフロアーを想い出すのがとても好きだ。  大きなブロンズの振り子がゆっくり時を繰り出す広々した地下は、たくさんのアンティーク時計を愉しみに訪れる者たちを静謐に迎えてくれる。  きちんと整頓されたガラス戸のある棚やガラスケースの向こう側に銀色や赤、金、緑の鈍い光を放つ。  大きな金属の玉を肩に担ぎ上げて立ち、ゆっくり左右にメトロノームの形で振り子が揺れているブロンズの像や、地球儀のような見上げるほどの大きな物から、懐中時計のような小さなものまで見事なコレクションの中を縫って奧に進む。  シェードに覆われた白熱灯が、”ポッ!”と照らす机で、穏やかな人物がファイル穴のある厚いノート紙に、ゆっくりタイプを打っているのを横に見ながら奥に入る。  いつも、『あぁ……〜*、ザラストロさんが……』と想ってしまう。  濃い緑の壁にもたれて高い天井を眺める。  無数の点が穏やかに光っている、星であるが天空にあるものでない。  本を拡げるにはやや暗い、無数の小さな白熱灯からの光輝が森閑としたシャワーで降り注ぐ、それを妨げるものは何もない。  奥の壁から少し離れて置いた大きな大理石?!が使われたスピーカーシステムから、硬質・無機質・砂を噛むくようなサウンドが床を這って渡って来る。  高い天井や大きな壁で反射した音は、星降る星の基地に息づく叫びのやうだ。  その叫びに逢いにコンクリートの構造物にうがった穴の階段を降りていくひとときは、一切が惚けた虚無の時空に向かう期待でいっぱいだった。  

昨日はブラームスでスープを食した。  カボチャスープで精妙な奥深いボリウムのあるシンフォニーが開花していて満足した。  昨日の夕方、チビちゃんを探しに近くを散歩する。  いつもの薄茶とオコジョがいたきりで発見出来なかった。  あきらめて机に向かっていると、ガラス戸をカタカタ打つ音があり、『……ははぁ〜*〜*!』と想って、窓を曳くと『……ャ!!』と叫んで =(・。.・)=チビちゃんが走り込んできた。  どこで誰と何をしてるのかさっぱり分からん。  それから2度ばかり出掛けて還ってきた。  そわそわしながら見上げて『……ゃぁ、……!ぁ』 発表するので、交流を交わすことが出来る。  今日も、カマス(一夜干し)を焼き、ほうれん草をゆで、ゴマを炒って小さなすり鉢であたり、みそ汁を作った。  カマスは焼き上がったらちょっと置いておくと、みるみる間に身が堅くなっていくので頃合いを見計らって食す。  焼き加減とこの放置加減が精妙なので難しいが成功すると、サカナ臭くてとても旨い。  みそ汁は赤だしを少し加えて甘さと奥行きを作る。  ほうれん草は仄かに甘くてあっという間に一束やっつけた。  心と体ともども満足しました。  (^.^ ;)  シジミのみそ汁を作った、イリコ出汁を使いいわゆる赤だし多め八丁味噌少な目にした、夏だと冷えたのも出汁が際だち旨いのだ。  夏よ早く来い!。  チビちゃんが机の下のホットパネルに敷いた羊の毛皮の座布団に仰向けに寝ている。  普段は丸くなって、顔と足をくっつけるようにうつむいているが、ピンッ!と四肢を伸ばして暗がりで目をラン!、ラン!と輝かした、引き締まった顔があったりすることがあり、『ほほ〜ぅ!』と感心したりする。

偶然好きな曲が聴ける時の、衝突に似た細胞が振るえるような歓びは得難いものである。  番組が終わってからCDやらLPを引っぱり出して気ままに選曲して聴く。  Bob Marley & The Wailers/ Kaya ILS-81030 とか、ExodusLive!: Live At The Lyceum、Uprising を取りだした。  突き抜ける明るさのアフタービートは細胞直撃ですばらしいぃのだぁ〜*。  森閑とした午後の空白の一瞬、古酒をやりながら壁にドーンともたれ、気怠い昼下がりに風に吹かれて聴くのも、積極的で精神の解放が出来、いいと想ったのだ。  夕方チビちゃん =(・。.・)= を探しに行くが、姿も声も遊び?!仲間もいない、いったいどこで何をやってるのか?!。  夜、小さな声がする、『……ミャ……ッ!、……!』窓に茶の影が見える。  窓を開けると、『……ワァ・……ワァ』声を上げながら、スルスルと走り込んでくる。  =(・。.・)= チビちゃんがほうれん草とかパンが入っている買い物ビニール袋を”ガサ!、ガサ!”覗いている音がする。  だいぶ経って、隣の部屋を覗くと、『トンッ!』と高い棚から飛び降りて悪びれることなく『……みゃ〜ぁ〜*』と不満を発表した。  大好きな生サカナが切れているので、いつもの”お魚いろいろ”とミルクをお皿に注ぐが、『……フンッ!』といった態?!で自分の皿から離れる。  放って置くと、いつもそうするように、肩を怒らせ前のめりで、力強く皿に向かっていた。  しかし案の定、机にフワリと音もなく着艦し、顔舐めにかかり、いまや待望になっている顎噛み攻撃と腕乗りゲリラ作戦をやられた。  しなやかで柔らかい暖かいものが”ブル!、ブル!”、”ゴロ!ゴロ!……!”波動エンジンの息づかいを直接送ってくる。  深いほのぼのしたした感触、肌触りの優雅に圧倒される。  ほとんど野獣の匂いがしなかった、なぜだろう?!。

まだ開けやらぬ朝、チビちゃんが出入りの度に網戸に”カリ!、カリ!”登ったり、『……ァ、……ァ』希望を発表したり、胸の上を”トコ!、トコ!”通過する。  眠ったまま手を伸ばして窓を曳く。  カーテンをユラッ!と揺らせてスルスルと淡青色の冷気界へ往ってしまう。  うっかりそのまま眠ってしまい少し開けた隙間からしめやかなキリリとしたものが忍び込んで来ている。  シンプルなモチーフがアンサンブルとホーンで何回も燦たる夕陽に映える長い影を曳く広場か裏庭、公園に消えていく。  決して涙する惜別でないが、かってどこかで耳にしたような律である。  机の下のホットパネルの羊の毛皮の座布団で四肢をピンッ!と伸ばして ”=ΘΘ=ΠΠ〜” うつらうつらしていたチビちゃんを呼んでみると、きっと頭をもたげ口を大きく開け『ミャ……ァ!』と返事をする。  ほうれん草のお浸し、カレイの煮付けを作る、一緒に煮たネギとタマネギが旨い。   =(・。.・)=チビちゃんが腕に乗っかるとずっしり重みを感じる。  首根っこを掴んで降ろすと『……=(゜。.゜)=』キョトンとした顔である。  何か嬉しいことが始まる予感があると、尻尾を下げて”パタ!、パタ!”横に振ってみたりする。  昼は広口ビン入りの発酵バター(KOIWAI PURE BUTTER)をアイスクリームスプーンで削り取ってフランスパンに乗っけて食す。  カレイとタマネギの煮付け、小松菜のお浸しの夕食。  小松菜はややシャキシャキ不足、煮付けは酒、醤油、砂糖、昆布のやや濃いめの味付けになってしまった。  薄味の生臭ささの全くないのを作りたいものだ。  いつものサンジェルマンのシナモンドーナツとコーヒーで満足しました。  どれもこれも気に入っている大好きなアフロポップである。  パブリカと菜っぱ(巻いたチシャのような)を程良い大きさに切り水でしばらくさらした後、マヨネーズをボールでなじませたサラダを思いつき早速作って、わしわしと食べる。  暖かい風が飛び込んでくる頃は、”シャキ!シャキ!”葉っぱ、”ピリ!ピリ!”パブリカのサラダが旨い。  夕方まだ碧が侵食されつつ吸い込まれるころ、『……♪、ピー♪……ッ!』、『オーイ……!』とチビちゃんを呼ぶ。  しばらくしてから南の方から、『……ャ!』小さな声がして、みるみる間に大きくなり、茶とくろ、白のコロコロした丸顔のお方が駆けてくる。  『みゃ〜*ぁ!〜*ぁ!』声がたなびく。  元気いっぱいである。  いつものこととて、机にフワリと着艦し、ゴロゴロ言いながら顔を後ろに反らして人物の顎をザラザラした感触の薄い舌で舐める。  ひととおり交歓の儀式が終わると人物の腕に顎を乗っけてくつろぐ。  これが不思議と重い、きっと日頃感じない場所の圧だからだろう。  

チビちゃんが顎のあたりを突き上げるように横顔を擦り付けて、交歓を求める、人物が本を拡げたりタイプをしていると、机の下から起きあがり机に着艦して近寄ってくる『……ャ〜*』。  ”ゴロ!、ゴロ!、……!”暖かいしなやかなエンジン波動が最接近する。  チロチロとひんやりした舌で舐めにかかる、念入りに波状攻撃的に満足するまで顎を噛み噛みする。  ほど良い牙の食い込みで実に気持ちがいい。  この調子で肩を揉んでくれると天上の歓び、極楽浄土の至福なんだが、とうていかなえられない夢の話やぁ〜*。  =(・。.・)= を脱艦させおもちゃ、安息の場を提供して大人しくしてもらう。  最初の澄明な白黒のBIOS画面時に、左上に新しく書き変わったバージョンが確認出来た。  『……ホッ!』  =(・。.・)=は、ホットパネルでひっくり返っていた。  これで安定性が獲得出来ることを祈る。  CHARLES IVES/ SYMPHONY NO.1/ MICHAEL TILSON THOMAS/ SRCR8519♪ “ヒューヒュー”と渇きに満たされた不思議な安心感と寂寥感の大気に覆われた、奇妙な優しい懐かしいさまざまな想いの遠い日にワープする。  いつでも……。  MAURICE RAVEL/ INTRODUCTION AND ALLEGRO/ POCG-7149  五月の晴れた風の強い日、楠の匂いや土の匂いを吸い、水草の浮かぶ菖蒲の根っこに手を差し込み“キュル、キュル、……”とエビを掴む。  真っ新の体液に電気が走る。  IGOR STRAVINSKY/ SYMPHONIE DE PSAUMES, POUR CHOUR ET ORCHEESTRE/ ECD 75494 取り返しの付かない事態になっても、むしろ冷ややかにそりを愉しんでいる。  アドレナリン(≠侮れん)が地を這い、灰色の構造物(“Д”)が迫る。  

Talking HeadsやFlying Lizards、DAVID BYRNE、BRIAN ENOが好きである。  雨の後の松林の中は、鼻腔がヒリヒリと爽快な苔?!の匂いが地を這い薄暗い。  ところどころ気まぐれに夥しい光輝が降っており、足の踏み場がない。  夢のような新しい世界が拡がる。  背に燦たる零れ陽を浴びて、植生の囁きに誘われて新しい地図に浸透する。  ひとつとして同じものがないゴツゴツした根っこがくねくねと隆起している道をどんどん往くと、何時しかなんだかあたりは渺々と開けた、ポッカリと開けた光に満ちた草原というかだだっ広いところに出る。  ざわざわとさんざめく清々した生への喝采にうたれて密やかな、さまざまな秘めやかな波動が沸き立っているようである。  白昼の白い光の中で眠るようにそびえ立つ。  狂おしい生の氾濫でなく全てに密やかだが、全世界的な歓びが満ちている。  空を渡るような遠い風音と置き去りにされたような一瞬の真空状態、植生の中に突然起きた奇跡の舞台である。  何もかも清潔で、乾いて、黙り込み、大気の圧にうちひしがれて仮死している。  全てが新しい。  

最近見つけて気に入っているハーツロメインレタスとパプリカ、トマト(よく研いだナイフで皮を必ず剥いたやつ)を適当に切り、赤いタマネギをスライスして、ボールに張った水に浸し灰汁を抜く。  水を切りマヨネーズを和える、それだけのサラダである。  いつものとおり茶筒擦り切りの米を網籠に入れ、蛇口のシャワーを最強に浴びせながら力を込めて激しく揺する。  しばらくすると米が吸水してグット手首に反動がかかり重く感じる、水分を吸ったのである。  炊飯器のスイッチを入れ、2つの鍋に水を張り”梅の香巻(亀田製菓)”の缶にヨーグルトや味海苔の乾燥剤といっしょに入れてある9cmに切った昆布(利尻、羅臼)を二枚取り出し旨味の独特のヨードと多重アミノ酸の 匂いを嗅ぎ満足して投げ入れる。  食材の調達に出る。  メバルと分葱、玉葱、たまたま絹ごし豆腐などを獲得する。  還ると『ミャー……!、……ャ』チビちゃんが起きだして玄関に立っている。  出会いがしらに『……ワッ!!』と脅かすやり方そっくりに物陰に身を寄せて待ち伏せする時もあるが、その傾向が未だ把握できない、不思議な野獣だ。  浅広の鍋にひたひたの水と醤油、日本酒(辛口)、砂糖、生姜、分葱、玉葱を入れて最強の火力を注ぐ。  沸騰したところで切れ目を3つ入れたメバルをそのまま横たえる。  木の落とし蓋で覆う、少し煮詰めて残り汁の量を見て落火する、しばらく放うって置き煮汁が還る猶予を与える。  分葱と豆腐の赤だしみそ汁を一緒に作る、天候や気分で八丁味噌を入れるかその分量を決める。  

出汁は、鰹削り節と昆布、なぜか慣れ親しんだイリコでない、一度失敗したからか?!、舌が欲しないからか?!。  明日は、ひさしぶりに鯨のお造りだ。  遅いお昼のブラームスの和風ハンバーグは、外はカリッ!と、中はおつゆたっぷり歯ごたえ絶妙、総じて焼き加減精妙でシャキシャキ、『ムイビエン!』でした。  やはり”菱形”(≠山○組)を作るシェフは、完璧主義者らしい。  満足しました。  いつも同じ席に案内されてしまう、天井から垂れる木の仕切で囲まれた部屋に案内されたのは、一度だけ。  夜、Francoise Hardy を聴く、”もう森へなんか行かない”、なんと興味をそそるタイトルなのだろう……。  タイプをしてると着艦したチビちゃんに思いっきり頬摺り攻撃を受けた。  ときどき牙を当てる、これが感心する絶妙の圧なので恐れ入る。  のけ反るような力で顎を突き上げる、その後で胸元でたっぷり爪を研いでいた。  セーターが解れてまうがな。  一心に種の命に従ってる横顔に向かって、『なんなんだぁ…!!』と叫んでみると、『……、=(゜。 ゜)=、ン……?!』、顔を挙げ一瞬ウオーキング運動を止めるが、変わらぬ真摯さでずっと続ける。  5分?!くらいやってからゴロリと横になる。  満足するとたいてい頭を人物の腕に乗っけて横になるか、両手を掛けて顎を乗っけて〔≒三越のライオンをやる〕うつらうつらする。  これが結構重い、『ドドドド……』とした波動が直に送られてくる、『んぁ……(^ ^)』。  昼間は、H1.8mの床窓で羽虫を見つけてレースのカーテンで懸崖クライミングを披露した。  キッチンの高窓から出入りできる仕掛けを造ったら、日に4〜7回も散歩に出るようになった。  10分以内に戻るか何時間も戻らないかのパターンである。  いったい何処で何をしてるのだろうか?!。  最近チビちゃんを迎えに出ることがほとんどない。  机に向かっていると、『トンッ!』と音を起ててシンクから飛び降りるので、『ははぁ……***』還って来たなぁ……!、と解る。  きっと『ンニャ……ァ』と嬉々としたリフレッシュ?!した新しい顔を上げて挨拶をくれる。  ”春眠暁を覚えず”の頃、木の芽が堅い殻を破り、野獣は野生の声を聴き落ち着つきがない。  人物は、寝覚めがつらい。  季節の変わり目で生ある全ての生きものが活き活きしてるのだろうか?!。

春雷でないが春の嵐である。  湿った南風が顔や首に纏わり付き鬱陶しい。  しかし何であれ風が吹き荒れるのは、好きである。  よどんだ目に見えない恣意までもが吹き飛ばされ、ちぎれて霧散する想いがする。  新しいことが始められそうな気がする、しかし、心かき乱されて物事に没頭できない、聴く音楽すらも定まらない。  ラテン系のジャズってどうしてもその血の騒ぎがブルーノートと融合・格闘・対峙・調和・葛藤することが稀で、どうしても遊離した川・潮目が気になってしかたがない。  聴くごとにその川幅が広くなって行くのが否応なく明瞭になり、嫌になってしまう。  玄関に置いているH1.8m×W90×D12cmの定尺材で造った10段の文庫本用(最下2段はハードカバー用)の本棚の文庫本を整理して半分ほどをCD用にした。  天面と底面が2cmほど掴めるので抜き取り・挿入がしっくりいく。  分類は、フリージャズ、その他ジャズ、アフロポップス、ワールドミュージック、クラシック、ロック、その他として見出しは未だない、ずっと無いかも知れない。  だからCDを聴きたいと欲した時は、何もない狭いダイニングキッチンを抜けて玄関のCD屋さんに借り行く格好になる。  なぜこんなことに、音響部屋兼寝室兼書斎の壁面は、レコードとカセットテープ、ビデオテープの棚で覆われていて、後からやって来たCDはそれらのちょっとした空間などに、数珠繋ぎになって乗っかっていた。  それもいっぱいなり、LPのプレイヤーの上に平積みになっていた。

あまりにも静謐さに欠ける様相なので、奮起して文庫本を追いやりそこに移動したのである。  しかし好きなものは、身近に置くのが一番なので何とかしようと考えている。  ナマリ節を焙ったのと、ハーツロメインレタスとパプリカのマヨネーズサラダ、白い粉の吹いている昆布のかけらを入れて炊いたご飯の遅い夕食。  ナマリ節はサカナ臭くて旨い、きっと脂が無くて健康にも良さそうだ、ただ脂が皆無なので焙り加減が肝要で難しい、いわゆる強火の遠火で一気にやっつけなければならぬ。  うっすら焦げ目が付いたくらいがいい、カマスの一夜干しの焙り加減と同じだ。  =(・。.・)=チビちゃんは、暖かいからだろうかインターラックの最上段でじっと顎を前足に乗っけて恣意にふけっている[[ =(・。.・)=]]、何を考え感じているのだろうか?!……。  四肢をピーンッ!と伸ばしてうつらうつら[[=ΘΘ=ΠΠ〜]] していた、が目をさました途端早速机の上にフワリッとやってきて顎舐め、頬摺り攻撃をやる。  暖かいゴロゴロした波動を発するものが腕に乗っかり重い。  その後で例によって胸元でたっぷり爪を研いでいた。  ゴロリと横になって爪を研ぐどんな顔でやってるのかと覗き込んでみると”ピンッ!”とした髭穴に力を込めた極真面目なものであった。  笑ってるねこは、いない。  しかしセーターを着ていないんで爪が痛いでわないか……(−”−;)。 

『トンッ!』何やらひとつ床を打つ音がする。  『ピヤー〜*……!、〜*……ァ!』 毛むくじゃらのコロコロした生き物がトコトコ近寄ってくる。  =(゜。.゜)=チビちゃんがキッチンの窓から還って来た。  先日、オコジョ(チビちゃんの宿敵?!)ともう一匹がこの窓から入って来て、チビちゃんのお皿に顔を突っ込んでいた。  驚いて目にも止まらぬすばしこさで還っていった。  こちらは、驚いたがエキストラゲストは、ゲリラ作戦を完遂した後を残して颯爽と退却した。  これはいかんと思い、突っ張りでチビちゃんの頭が通れるだけ以上に開かないようにした。  日曜日、西方に出かけ、本屋に寄る。  EeddieBauerを散策、暫しアメリカの空気を吸う、ブラームスでヒレステーキを食す。  かなり長めのスラックスの、大陸的面立ちの人物がいたが、直ぐ交代でいなくなった。  きっとアルバイトなんだろう?!とか、いろいろ想像をするのが楽しい、華奢な体でありながらを大地にどっしりと、すっくと立っている印象が残ってしまう、不思議な……だ。  ドーンとした厚みがあった、熱の通りが精妙で感心する。  おろしの和風ドレシングでじっくりやっつけた、満足しました。  お昼を摂っていると、 『トンッ!、…*』、何かしっかりしなやかな物体が着地に成功したらしい音があって、=(・。.・)= チビちゃんが還ってきた、声が掠れているが動きに隙がない。  この生き物は、早朝出かけるらしく朝は姿がない。  専用の出入り口を造ったので、未だ暗い朝方に”ドーン”とした重圧で起こされたり、すたすた動く見えない生き物の気配で覚醒することがない。  100万光年の彼方の基地での作戦中や、フライフィッシングの佳境にどっぷり埋没中に、両手にほどよい重さの生き物から呼び戻されるのはひどく疲れる。  サンジェルマン のフランスパンをよく研いだ包丁で斜に切り、竹で編んだ丸浅の笊に入れて卓に持っていく。  ”KOIWAI PURE BUTTER”をアイスクリームスプーンで削って乗っける。  ハーツロメインレタスと皮を剥いたトマトを切り、カップに入れたマヨネーズちょっと引っかけて食す。  チチヤスヨーグルトを食べる、ITONの”Carrot100%” を飲む。  水分は、果たしてどれくらい、"?!"%、あるのだろうかといつも想う。  チチヤスヨーグルトのハッとするような淡い冷ややかな崩壊が好きだ。  何処か朝露を踏んで出かける時のような”そよぎ”が一瞬吹き抜ける。  スルリと喉に滑り落ちる。  ……食で未だ明るい夕暮れの夕食、やや薄く切った牛肉のソテー二枚、焼き加減が絶妙で焦げ目がないが充分熱が通っている、たぶん焼く前に何かの液体に浸してあったに違いない。  細いスパゲティーと、トマトのスライスのサラダがやはり旨い。  小鉢に入った、キュウリとニラ、タカの爪の破片の漬け物、これがことのほか旨い。  きっと作りかたを調べて挑戦しようと想った。  さすがプロだ。  

昼、垣根を跨いで出かけようとしてると、『ミャ〜*、…ァ、ワ…ァ、〜…ァ、!』か細い張りつめた声がして、物陰やら道路の向こうからコロコロした生き物が出現し、転がるように近寄って来る。  チビちゃん =(・。.・)= が声を上げながら追いかけてくる。  先ほど外に行きたいらしいそぶりを見せたので、窓を曳いてやったばかりなのに……。  しかたがない?!ので食べかけの”骨太ベビーチーズ”を半分ちぎって投げてやる。  すぐには食べないでちょっと立ち止まり、一瞬思慮にふける。  道行きにずっと付いてこられたら困るので、ひと安心する。  振り返ってみたら”ビクターの犬”のように地面にちょこんと座ってる、茶と黒の生き物がの枝の向こうに見えた。  ずいぶん小さいようだった。  いつかそのまま引き返してみたら新しい交歓ができるかも知れない。  休みの日にでも試してみようと想いつつ果たせないでいる。  先日スーパーで”しこ鰯”を冷却ケースで見かけたので、2パック獲得した。  格安であった。  一個は冷凍し、冷蔵庫から出して毎日4尾づつあげている。  あっという間にやっつける。  銀と金に鈍い光輝を放つ堅い殻や鱗に覆われた頭だけを綺麗に残す。  ドロリとした血や体液が多重栄養たっぷりであることを剥き出しにしている。  いつの間にかミルクも無くなっている。  ミルクは濃厚なものを好むようだ、濃度は味感にダイレクトに関わるのだ。  外から還って部屋に入ると、たいてい、『ニャー、ミ……、……ャ、〜〜*!』と声を出しつつ、玄関に顔を出し、撓らない先っぽがくびれた軟骨がある尻尾を左右に振る。  ゴロゴロをしたり麻のマットで爪を研ぎつつ伸びをする。  ある日、その声が小さく、姿がない。  中に進み、前に懊悩君が狂乱しつつ潜り込んだ、H1.5ほどの狭い棚から這い出すところを見た。  やはりきれいに並べてあったフライのマテリアルやらフィルムケースに入れたフックとかインジケーターのケースの陳列が崩壊していた。  =(・。.・)= はみんな狭くて高いところの空間”[  ]”が好きなんだ。  別に本箱を一段開けて敷き物を置いた、しかし押しつけの広い空間は気に入らないらしい。  シンクの窓の隙間を、 =(・。.・)=の頭が通り抜けられるところでストッパーがあってそれ以上開かないようにしている。  出入りを自由にやっていることを確認しているが、出る時は、『ミ…ャ…!〜*』声をあげ人物にそれを発表してインターラックのゲートから出たがる。  わがままな生き物だ。  

”メバルの尾頭つきお造り”と分葱と玉葱の”赤だし”、で遅い土曜日の夕食。  トレトレ、ギトギトのメバルは、ねっとり柔らかい端麗な滋味があって、見つけた時は思わず獲得してしまう。  今日の昼、このよく出汁の利いた冷たい”赤だし”が旨かった、夏の愉しみが確認できてうれしい。  尾頭は=(・。.・)= に切ってあげた。  後で顔を洗っていた。(〜0〜)  発作的に” Koday Sonata for cello solo/ Yoko Hasegawa/ VICC-161”を聴く。  世界に覆い被さり神経を腐らす鉛の天空から振ってくる湿ったものがある窓辺で、”しっくり”と”ざっくり”と部屋の空気を切っていく。  精神が鎮静されつつ何やら憂愁が立ちこめる。  チビちゃん =(・。.・)= が気まぐれにふらっと机に着艦して交歓を始めるので、ボタンが並んだ”白い板”に覆い被さっていた顔を挙げて背筋を伸ばす、これで顔を舐められることがない。  姿勢もよくなる。  せいぜい顎にほどよい圧で牙を押し当てられるのみだ。  でもほどよい大きさの生き物から発せられるエンジン音”ゴロゴロ、∝∽∝∽"♪"”波動は、『んわぁ〜*、……!』なんと深い安息を与えてくれることか。  昆布と鰹節削り節の出汁を取り、小松菜と牛肉の切り落とし(スライス)で”ハリハリ鍋”をつくる。  ショップにたまたま出ていた”あんきも”の煮付けも作る。  遅い夕食。  小松菜の独特の淡くてキラキラしたほろ苦さ(アルカロイド)で精神が果敢を取り戻す。  体の芯からジンジンする、眠くなった。  子供の頃はきっとここでちゃぶ台の横で……の膝枕で眠ってしまったことを想い出す。  素潜りで疲れた”夏祭り”の夜、勉強机がひとつきりあるだけの部屋の畳に直にゴロリと横になり、深い睡魔であっという間に夜舟の冥界を彷徨い続け、ハッとした動悸とともに覚醒したとき、真っ暗闇の中にたくさんの青白く光る光輝の点が向こうにあった。  なんだか戦慄が襲いかかり気が遠くなるような不安の中で、必死にそれがなんであるか?!未だ朦朧とした目覚めたばかりの方向感覚を喪失している脳を巡らせた。  正体は、小鰺の姿寿司の放つ燐光であった。  眠ってしまったので部屋の灯りを消したのであろう。  再び見ることが無かった。  夏が近づき気怠い睡魔と戦う時によく想い出す。

梅雨のような冷たい霧雨の鬱陶しい天気が続き、ことさらままならない季節感を思い知りちょっと小気味よい思いもする。  気分まで左右され激しく揺れ動き沈潜する。  朝夕に歩く歩道に続く植え込みの”どうだんツツジ”が”ワァーッ”と咲き誇っている。  陽がよく当たる木は葉っぱが真っ白の花に埋もれてしまってチラ!ホラ!と浮上する。  サクラの大木が覆い被さっているところものは、花がまばらである。  サッと花をむしり取って付け根の方を噛んでみる、ホンの微かに甘い。  今夜の夕食も小松菜と牛肉の切り落としでハリハリ鍋?!を作るつもりで、小松菜を仕入れに行ったら、小松菜が切れてた。  代わりにセリを獲得したが、果たしてうまく行くのだろうか?!。  グリーンアスパラ(ちょっと日が経っている大ぶりおおよそ50本が、ドーン!!と籠に山盛り、¥0.3K円であったので思わず買ってしまった。  きっと定休日前なのだろう……?!。  ベーコンとのソテーのほか知らないので、ちょっと困ったぞと……。  料理の基本をしっかり心得ていらっしゃる”Web”のさるお方に固ゆでにしてからソテーするとパサパサしないことや、程良く茹でてマヨネーズを付けていただくとよろしいっ!と、教えていただく。  ありがたいっ!(^ ^)、直ぐ実行したら大成功であった。  お米(5Kg)を買って前の袋を捨てようとしたら、『チリン〜*、”♪”』と、涼やかないい音がした。  バイシュクルのキーであった。  見失ってからずいぶん探したんだがもう諦めていたので、あっけに取られつつちょっと嬉しい出来事でありました。  部屋に入る時に買い物袋を両手に持ったまま部屋のキーを回した時に、手放したことをすっかり忘れていたのだと想う。  なぜそんなことに?!、 たぶん、=(・。.・)=チビちゃんが”動物的感”で気配を鋭く察知し、『ニャ、……おくれっ!、……』と激しく足元に付きまとったので気を取られていたと想われる。

チビちゃん =(゜。.゜)=に”刺身用”とパックに書かれた小鰺をぶつ切りにしてあげた、しばらくこれが続く。  ドロリッとした血がビタミンたっぷりを否応なく想像させる。  流石にまるまる一尾だと手で引っ掻いたり考えたりしててなかなか”がぶり”とやらないので、人物が痺れを切らしたのである。  今度、果たして食べられないのか試して見よう。  羽虫や蛾が大好きで、レースのカーテンをよじ登ったりして、追っかけ回している。  ポストペットのネコは成長すると、きっと”シャリッ!、シャリッ!”と”バッタばった”を食べるのだろうなぁ〜*、きっと”ゴキブリ”も『バリ!、バリ!』と……。  Tower Records の新譜コーナーでSun Raの新譜を見た、ちょっと嬉しい。  この圧倒的自信に満ちたおっさんがふんぞり返ってキーボードに向かってる姿は、何処か心の広い頑固なチベットの高僧の風格が感じられて大好きなのである。  しかも永きに渡ってフリージャズを一筋に探求に打ち込む真摯な姿勢だけで、ありがたく黙ってその創作に触れたい気が起こってくる。  出来上がった音楽を聴くには理論や詮索の類は無用、むしろ有害ですらあることを思い知るお方であると思っている。  ぼんやり抱いていた既成概念なぞは、あっさりと気持ちよく打ち砕いてくれる歓びをこそ味わうのが筋だろう。

小雨で寒いので、ねこ(チビちゃん =(・。.・)=)を抱く、『ゴロゴロ*〜〜*〜〜』エンジン音が呼吸音に重なって伝わって来る。  シンクの上の曇ガラス窓に=(・。.・)=の影が写っている。  頭の大きさだけ開けるとスルリと侵入してきた。  掠れた声で『……ャッ!』と叫んで、『トンッ!』と着地する。  ”お魚いろいろ”が無くなったので”にぼし”(由比町)を一掴みお皿に入れる。  頭だけきれいに残して食べる。  机の上にひと跳びでやってきて、顎をガシガシ囓られる、ちっとも痛くないほど良い絶妙の圧で快い、なにものにも勝る。  ねこと遊んでいて激しい睡魔に襲われ、深々と宇宙船に体を横たえてしまった、くすぐったいものが頭上を通る気配がしたが、『……ャ、……ぁ』という声がだんだん遠くなり、気がついたときは3時間ばかり”Warp”した艇に乗り込んだままの、水平飛行姿勢だった。  ねこを探したが姿がない……(−.”−;)。  ハングアップした脳で冷蔵庫まで往き、”ぐいっと飲める 充実野菜 ITOEN”を取り出す、口の中の粒々感がちょっと気になるが、きっと病みつきになりそうな予感。  しかしなぜか純なトマトジュースが欲しい衝動が同時に起こる。  やはり対決にはソロが一番なのだろうか?!。  五月晴れで、ぐんぐん気温が上昇する、紫外線もじゃんじゃん降り注ぐ。  夕方になったら風が巻いていた、黒い雲がどんどん飛ばされていってた。  玄関の”たたき”に近くの…ですくってきた極小粒の砂礫を敷き詰めた、 =(・。.・)=のために。  玄関の鉄の扉を開けようとしたら、小さな声がする、『……ャ、……ワァ、……ゥ』、窓から還ってきたチビちゃん =(・。.・)= が尻尾を下げて棒のように激しく振っていた、決して撓らないのである。

アンナ・モッフォのやや暗いときとして男っぽく感じるボイスを確認する。  アリアはいわば別の旋律のアンサンブルを突っ切って自由に語ったり、叫ぶところが好きである。  アルトの声域で語るように詠唱されると、微かに青ざめたような気がしたある日のことを、つつい想い出してしまうのだ。  むしろストーリーなどをすっかり忘れて勝手に、向こうの見える鳥が騒ぐ松林をめざして、麦風の中をどんどん何処までも往きたいのである。  チビちゃんは最近は、テレビ台を兼ねた手作りのビデオデッキが2台収まったラックの右か、キッチンの本箱のへこみ”[ ]”に置いたムートンの座布団の上がお気に入りである。  夜はこのムートンの上で寝るが、とても朝早く”ガサ!、ゴソ!”動き始める。  シンクに跳び上がり、=(・。.・)= 専用の ”[ ]” から、薄暗い淡青色の朝霧の荒野へ探索に出かける。 チビちゃん、 =(・。.・)=のくぐもった発表で、激しくWarpしていた宇宙基地にある、作戦地から呼び戻される。  どうやら未だ朝と呼べる陽が登り切らない、鳥たちがのびのびと発表を交わしあっている、すっかり明るい静謐と発表が激しく競り合う時刻らしい。  激しく理性をすててロボットになったつもりで、水平飛行から可搬式発射台に跳び乗る。  昨夕は雨模様だったので、何時もサンジェルマンで獲得するパンがない。  チチヤスヨーグルトと常備のナビスコクラッカー”プレミアム”、この粉っぽさが激しく惹き付けてやまないのだ、特濃牛乳、グレイプフルーツ、雪印”骨太チーズ”、コーヒーの朝食を始める。  酸味と仄かな甘みがなめらかな舌触りで瞬時に崩壊するこのヨーグルトは、子供の頃飲んだ自家用の甘酒の匂いがする瞬間があって楽しみなのだ。  グレイプフルーツがブドウのように房となって枝にぶら下がってる光景を想像する、たくさんの実で相当の重量になるが、それでも木はごく普通に佇んでいるのだろうなぁ〜、という結論になる。  ツルツルした灰褐色樹皮の夏みかんの木を巨大にしたものしか浮かばない。 

外出から還ったら いつもの=(・。.・)=のお迎えがない、さては…?!と思って例の特異点に眼をやったらどうやって潜り込んだか、狭い空間”[ ]”から『……ャ〜*、!』と声があり、顔を覗かせた。  フライのマテリアルなどの大切なものが入ったフィルムケースがたくさん転がっていた。   (−.”−;)  シッタカを塩茹でにする。  今頃は果物が夏物に変わる谷間で八百屋にむっとする旬の昂揚がない。  =(・。.・)= がキッチンの高窓の専用の”[ ]”から帰ってくる気配がする。  背中が少し濡れているコロコロした腹の白い生き物がシンクに乗かって口を開く、『……ャ』。  首根っこを掴んでぶら下げて、何時もその上で眠る斜のコンクリートの天井の下の木箱に乗かってる四角のタオルで足と手を拭く。  『……ン、ニャァ〜*……ァ』、足にまとわりつく。  冷蔵庫を開けると、激しく尻尾をパタパタ振りつつ、大きな声で何やら叫く。  すっかりきれいになっているお皿に濃厚ミルクを入れる、人物も紙ケースから直にゴクゴクやる。  濃厚ミルクを飲みつけると普通のものが物足りなくなる。  カーペットにゴロリンしてるのでマサージをしてやると、『 *〜〜*〜〜*〜、∝∽∝∽』喉と体からエンジン音というか激しい波動を発する。  音もなく背後から忍び寄り、人物がボタンがたくさんある板のあちこちを押さえているところにやってくる。  『……!、=( ゚ 。. ゚ )=』音もなく机に着艦し、腕に顎から首にかけてうまく乗っけて気持良さそうに眼を閉じる。  丸くなって歓びの波動を送ってくる、愕くほど腕に重圧がかかる。  またもや棚から取り出し立てかけたままにまなっている、オペラ・アリア集を聴く。

朝早く キッチンの方から聞こえる声で目が覚める。  『…ミ…ャ〜ッ!、……!』 =(・。.・)= が、引き戸の.向こうで座って上を仰いでいる。  冷蔵庫を開けて”明治 特濃4.3”をついでにゴクゴク飲み、 =(・。.・)=のお皿に注ぐ。  棒のような全く撓らない尻尾を”パタパタ”で振りながら元気に飲む。  蔦が垂れる窓の外に”鼻白チビちゃん”がやって来たので、ネコクッキー”お魚いろいろ”とミルクをそれぞれの皿に入れる。  眼に深淵と静謐な鋭い光がある、背の黒い毛が輝いている。  口ひげに精悍と鎮静がはち切れている。  焼き海苔の缶からコーヒー豆(ブルーマウンテンブレンド)を出しミルで粉砕する、 いつものように、=(・。.・)= が愕いて?!、玄関に置いたお気に入りの木箱の上に置いた敷布の方に駆け出す。  サンジェルマンのフランスパンを包丁で切り、発酵バターと”甘さの少ない”ブルーベリージャムをスプーンで乗っけてかぶりつく。  粘りのあるパンを楽しむ、スライスハムをひと切れ食す。  チチヤスヨーグルトを2コ、台湾バナナを一本食す。  今日のヨーグルトはちょっと気のせいか何時ものと味が違う。  なめらかさと酸味が少ない。  遅い昼もパンとハム、ヨーグルト。  寒い雲がたれこめた天気で外出する気がしない。  背筋を伸ばさずに白い板のボタンをあちこち押さえていると、『ミャー……ァ!』、=(・。.・)= がやって来てフワリ!と着艦し、真剣な顔でウォーキング(寝そべって両手で衣服を押して引っ掻く)をやったり、嬉々としてヤスリのようなザラザラの舌で顎を舐めたり〔面の皮が薄くなるぅ〜*、  (^.^ ;)〕顎に牙を当てる、腕に両手を乗っけて眠る。  凄く重いのでそうっと腕を外すと眠そうな顔で起きあがる。  

外から還ると、ちょうど相方と同時であった、どっかで遊んでいた =(・。.・)= が声を上げながら近寄ってくる。  コロコロした茶と黒の丸顔の生き物が、地上近くをトコトコ近寄ってくる。  『ワァァ〜*ァ、ワァ……!』掠れた親密な静謐がたちこめている。  玄関から真っ直ぐに入ることがないので、嬉々とした顔で地面に背を擦り付けゴロゴロをするのを、しばらく待つ。  下げた尻尾を激しく振りながら”ミャッ!”と叫んで走り込む。  玄関の麻のマットで大きく伸びをして”カリ!、カリ!”爪を起てて研ぐ。  朝起き出しすぐ冷蔵庫に向かい、”濃厚4.3牛乳”をゴク!ゴク!飲む、もう薄い牛乳は飲めない。  果てがないから欲なのか?!。  =(・。.・)= は、どんどん美味しい食物を求めて、声を上げる。  表で掴もうとするが、部屋の中とは違って、何やら叫びながら悠々とした自信を漲らせ、スルリとゆっくりと遠ざかる。  昨日買ったコーヒー豆を曳き、山吹色のマグカップに褐色の岩砂糖を投げ入れてから、カリタを乗っけてポットに持っていく、いつもの炒れ方。  ドロリッ!とした生クリームを注ぐ。  先日、ボールで”∪”の針金がたくさんあるモンで懸命にかき混ぜホイップしたら、真っ白の個体が開花した。  しかし、狂気したのも少しの猶予であって、脂が分離して個体に近づいたものが浮かんだので、滅入ってしまった。  よくわからん、 (−.”−;)。  イースト菌を使わない、麹菌?!で発酵させたパンをトーストしないで食す、しかりとしっとりとサクサクした深みがあってうまい!。  涼しい乾いた空気を感じつつ部屋にこもってマイルスを聴く。  相対湿度が何時のまにやら50%になっている、乾燥しすぎると風邪を引き易くなると解っていても、止められない。

如雨露を差し上げ降雨をやる、深山萩が元気に梢を揺らす。  この梢は決して下を向かないので、全ての枝はゆったりとした弧を描く。  豆科?!特有の紫の花芯には、涼しい気体が流れ始め、静謐な闇を白い冷たい月光がゆっくり開く。   =(・。.・)= が物陰に駆け込んだりしながら牽制しつつ近づき、『ミャーァ!、ミャーァ!』大きな口を開け牙を剥きだして叫ぶ。  どうやら昼間は近くの駐車場とか、キイチゴなどの木立のひんやりした日陰の土に寝そべって過ごしているらしい。  外で遊んでいる場合は、何かの気まぐれでゴロゴロを見せてくれる時など以外は、めったに触れない。  手が届く距離まで接近するとスルリと遠ざかる。   枕もとの床窓の曇りガラスに影が写る。  ちょうど両手に程良い大きさであり、重さも片手で持てる生き物らしく影が丸い。  木立の中にある本箱の上に乗かって丸くなっていて、引き戸を曳いた音で物憂げに顔を上げ眼を瞠る。  『……?!』 鼻白チビちゃん=(・。.・)=である。  警戒しつつ食べ物を催促してるようでもあり、決して視線を反らさない。  都会に棲む小さな野獣だ。  精悍な口元に余裕がある。  泣いた ような目元でプチプチの口髭の生え際が盛り上がっている。  食べ物をくれる人物を待っていてくれたらしい。  冷蔵庫からミルクのパックを取り出し、”フリスキー、お魚いろいろ・まぐろ味”の袋と一緒に持って薄茶と空色のプラスチックのお皿に注ぐ。  食べかけのハムのスライスをあげる。  鼻先に力を込めて頭を振って食べるのを、暫く眺める。  暫くしてチビちゃん =(・。.・)=もやって来て、仲良く親子でもぐもぐやる。  あっというまに皿はきれいになり、端に噛み痕があるマタタビ棒だけが残る。  

雨が大嫌いらしく夕立が地面を叩く夜はやってこない。  何度も立ち上がってカーテンの影から外を伺ってみるが姿が無い。  酒種で作った食パンとミルクで朝食、耳までしっとりねっとりして美味しい。  コーヒー豆をミルに投げ込み、『ンガガァァ……!、∝∽∝∽……、ウィ〜ンッ!!』とやる。  先ほどまで唸りを発していたものを逆さにして拳で叩いてから、半球のヘッドをそっと外す。  アルカロイドの豊饒が立ち上りあたりに拡散する  山吹色の円柱器の濾紙の上に持っていき『コン!、コン!』とスプーンで叩くとしっとりサラサラ、ふんわりしたものが移る。  ”Ala PERRUCHE”1 と書かれた、オームや椰子の木、入り江で休む帆船が燦たる南半球の落日に佇む絵がある箱から、壊れた土色のサイコロを一個取り出し山吹色の磁器に投げ込む。  ポットの刑場に運び、そろりそろりと沸騰するものを浴びせ、狂乱で満たす。  濃い褐色の粉が『……じゅわぁ〜*』と小さな叫びをもらしつつ蘇生し沈殿する。  奔走が収まった頃、冷蔵庫からミルクを出してちょっと注ぐ。  バイシュクルで風を切り、西方に向かい、エディバウアーを散策アメリカの空気を吸い、ブラームスでヒレステーキを食す。  オ-ストラリアの砂漠に赤茶けた孤高の一枚岩の岩山があるが、それとそっくりの形でたっぷりのボリウムであった。  焼き加減がにくい、きっとオーブンで仕上げているに違いない。  ササとか雑木の植え込みに空の植木鉢が転がっている。  柔らかい白と黒のビロードのような毛に覆われた小さな生き物が、頭を出して鼻をひくひくさせていた。  眠そうな顔でじっと視線を投げて返す。  レンズを近づけると、『……ハッ!、……ッ!』と息を吐く。   込み上げるものがあり、胸がいっぱいになる。  己の遠い日が脳裏を過ぎる。  眼と口をいっぱいに開いて後ずさりしながら、大蛇のそれとそっくりの牙を剥く。  退却しないので感心した。  お皿にミルクをたっぷり入れて挨拶をした。

『ミー〜*、……ャ*』、『∝∽∝∽〜*、ゴロニャ〜*〜*ン』消え入るような、草木が打ち震えるような、か細い透明な発声が頭の直ぐ横で起こっていることを知ると同時に覚醒する。  瞬時に100万光年の彼方の第七銀河の作戦地から”Warp”(帰還)する。  ガサ!、コソ!!という音の正体は極く近い処にいるらしい。  重力に逆らい艇から体を離し直立する。  紺野美沙子がずんぐりむっくりのペンギンを肩で抱いている絵、小さな切り抜きが貼ってある本棚の横の白い扉を開け、牛乳の入った紙の四角柱を取りだす。  直に口を付けて”ゴクッリ!”とやり、”ねこクッキー”の袋を掴んで掃きだし窓を開ける。  ライトブルーと薄い黄土色の皿に、ザザッ!、トットッ……!と注ぐ。  引き締まった静謐な顔の=(・ 。 ・)= がやって来て”ペチャ!、ペチャ!”、音を発てる。  フラフラした歩みの 、モグラより少し大きい白と黒の毛に覆われた生き物、=(゜。.゜)= が巣穴から這い出てくる。  しばらくして覗いてみたら、皿に入り頭を振り夢中になって”ねこクッキー”を噛んでいる。  腹這いになりそうっと掃きだし窓を開け、レンズを近づけると、『!…カ…ッ!』大きく口を開け牙を剥き迫ってくる。  後ずさりはしない。  耳をペタッ!と倒し、鼻をピクピクさせている。  もう一度見たら、皿は何もなく清められていた。  青匂いリンゴを剥き、牛乳、”プレミアム”クラッカー、”チチヤス”ヨーグルト、無塩発酵バターなどで遅い朝食。  陽が落ちて木立に棲む憂愁が忍び寄る夕凪の頃、バイシュクルに跨り西方に向かう。  草木の分泌する精気を吸いながら、ゆっくり湾曲する緩やかな坂道を転げ落ちる。  

薄いピンクの豆科特有のそそり立つ小さな花芯、薄くて丸い葉っぱを、しゃきっとやや上向きかげんに張り出している。  しなやかな枝をたくさん付けた深山萩が、夢見るように風に吹かれ、微かに揺れている。  その下でちびちゃん =(・。.・)= と、仔がじゃれあっている。  直射の陽が南に回った頃、冷ややかな地面にゴロリ!と寝そべる。  うっとりと夢を見たり、ヘビのようにくんずほぐれず 、のたうち回っている尻尾で、仔を挑発する。  『ちょん…*、ちょん…*』  ふわふわした柔らかい光沢をそよがせ、素早く駆け込み背を大きく盛り上げ、両手で押さえ込む。  ひとしきり活動し、休むことなく新たな遊びを始める。  木や網戸によじ登ったりすることも、大好きらしい。  ヤモリ。  嬉々として大きく目を見開き、懸崖をよじ登る。  『カリ・…*・カリ・…*、カシャ…*・カシャ…*』発した音で、白い板に並んだボタンのあちこちを、ぎこちなく押さえている人物と視線が合う。  『=(^。^)=・…*、…*』  ひるむことなく、カリ・…*・カリ・…* を、充分に行い、満足?したのか、フイッ!、と降下する。

窓を開け、真っ暗なあたりに口笛を投げる。  いつもはすぐ、『 ミャ〜〜*・ァ〜〜*〜〜』 と返ってきて、コロコロした丸顔の、真面目な顔 =(゜。.゜)= が灯りの中に現れるのが、ちょっと遅れたので親仔の拠点を離れた処に移したのかと想った。   昨日の夜、けたたましい喧噪、咆哮、威嚇、牽制の叫びがあり、しばらく姿を見なかったので、仔がやられたのかと気になっていた処だったので、一瞬さまざまな想像が激しく巡った。  尻尾が海へびのように長い、白と茶に違いない。  またお茶を掛けるてやろう、2度目からはほとんど成功しない。  マグカップを持って外から大回りして物陰から忍び足で接近して角を回ったら、てっきりそこでクッキーを食べてるはずの”海へび”は音もなく消えていた。  ん…*、敵?!ながら狡猾ですばやいやつだ。  ちょっとしてから。  なんと、ごく近くの本箱から真面目な、静謐な引き締まった顔 =(゜。.゜)= が出てきた。  箱に横腹を擦り付けて、『………*、……ャ! 』 小さく鳴(≠泣)いた。  2つのお皿を洗ったら、いつも牛乳を入れる方は側がヌルヌルしてた。  米を研ぎ炊飯器のスイッチを入れてから、制作の材料を入手に出かける。  トマト、セロリ、丸干しイワシ、アイスモナカ(バニラ)、”岩手葛巻低温殺菌”牛乳、”立山山麓のおいしい水”、元祖”とうがらしの種”、……を入手。  ”たい焼きアイスモナカ”のあるスーパーはお休みだぁ。

朝、ねこクッキーと牛乳を持って窓を開けたら、『あぁ、…*』=(゜。.゜)= チビちゃんの仔がいた。  本箱の上の籠?!の上、寝そべったチビちゃんに寄り添っていた。  雨が激しく降った?!ので、戻ってきたのだろうか……。  白くて柔らかい毛 、小さな生き物が動いている。  『ゴロニャーン*〜〜*〜〜*〜〜』 甘ったるい声で会話している声がガラス越しに微かに聞こえる。  『……ャ、…*』  透明な小さな声を、更に小さく消え入る ようにするのが判る。  前にも雨が激しく降り始めた夜、還って来たのでじっと待っていたのだ。  もしかしたら……?!、という期待が叶えられて嬉しい。    =(゜。.゜)= チビちゃんの仔、C・Cちゃんが籠の上で眠っていた。  そうっと手を伸ばしてみたら、柔らかくて暖かいものものを触ることができた。  驚くほど軽く柔らかい、ビックリした。  直ぐ離して驚かないように窓を閉めた。  時々畑の方に遊びに行ってるようである。  跳ねるようにチビちゃんにまとわりつきながら、里芋の葉っぱの影から出てくるのや、垣根を潜っているのに出会ったことがある。  サンダルをくわえたり、引っ張ったりして遊んでいるらしく、いつもの処にない。 

『あぁ……!』   窓の外で優しい声がする。  『ゴロニャ〜ン、∝∽∝∽!、ゴロゴロ!、………*』 『…*、…ャ、!』  全身白と黒の毛に覆われた、軽やかな肢体が飛び跳ねている。  空色の容器に前足から入り込み、ネコクッキーを食べる。  『カリ!、コリ!』と体を揺すって一心に没頭する。 笹の茂み方からガサゴソ!音がして、『……ミャッ*、……ャッ*』。  掠れた声が移動しながら、茶と黒の小形の獣が走り出てくる。  深山萩の細い枝が垂れ、上下に、横に、円を描いてゆっくり揺れる。  ついこの間までは、左右にふらふら、足の裏に付いてもいない砂を落とすように、おぼつかない歩みを見せていたのだが。   濃密にして明快、新しい発明の語が散りばめられ、鋳型のように精緻に埋め込まれたている。  憂愁を探ろうとすると、活字がめりめり・ザワザワ音を立て、立ち上がり倦むことなく新鮮な感慨・祝祭をもらえる本を、押しやる。  揺れる細い枝の下、ヒンヤリとした快感を白い毛がそよぐ腹に押し当てる地表を覗き込む。  たちまち午睡をむさぼっていた親子が、組んず解れつ軽やかに走り出す。  『ワ〜ァ……ゥ』、『ワ〜ァ……ォ』  よく転がり響く声を上げながら駆け出す。  きっと追い抜いて立ち止まり、あらぬ方を遠望しつつ、棒のような尻尾を微妙に揺すっている。  腰を下ろし屈んでいるとやって来て、引き締まった丸顔を歓びで満たし、人物をぐるりとひと回りしてから、丸顔を傾げ柔らかい横腹を擦り寄せる。  絶妙の圧を呉れてたことに気がつくのは何日も経った日、欄干に足を架け河面を渡ってくる西風を交わしていた時。  エジソンはやはりどうかしている。  頬から喉、のように背中をガシガシ掻いてやると、ゴロリと寝そべってしまう。  ゴロゴロと地鳴りを発動している。  タイヤの陰で顎を地にくっつけて背を低くして、目を大きく見開いて、=(゜。.゜)= がじっと見ている。  昼休みにあげた残りのサンマを切り、お皿にいれる。  =(゜。.゜)=が一心に取り組んでいる。  チビちゃんは、ちょっと匂いを嗅いでから、ヒョイッ!と箱の上に跳び上がりじっと見下ろしている。  =(゜。.゜)= が迎えてくれる。  なにやら叫びながら、牽制するように近寄ってくる。  一回りしてからちょっと横腹を人物の側面に擦りつけ、『……ャ!、…*』小さく叫んで、ゴロリとひっくり返る。  グリグリと交歓を交わす。  なにからなにまで、親そっくりである。  いささか情熱がこもっていない一点を除いては。  紅玉を食す。  リンゴらしいリンゴである。  ミネラルウォターで炊飯する。  旨い。  ずいぶん永い間忘れていた味を噛みしめる。

=(・。.・)=と出逢う。  塀の向こうから尻尾をピン!と立て、スタスタと足早に出現する。  真面目な丸顔、音を発てないで優雅にしなやかに体躯を撓らせ歩く。  人物を 心持ちやり過ごし、歩行を不意に止め、ゴロリン!と乾いた地面に転がり仰向けの姿勢、背を地面に擦るつけゴロゴロ揺すっている。  引き締まった胴体をくるりとしなやかに捻り、丸顔を上げてこちらを見る。  『あんたさんは、ご機嫌いかが?、〜*』  少し離れしゃがんで待っていると、『ミャー〜*、〜**』と発しつつ近より、人物の周りをぐるりと右回りに回りながら、下げたしっぽをパタパタと振る。  きっと一回旋回してから 、膝の辺りに頭付きをくれる。  『アハッ!!、…*。』  よろこびに貫かれ圧倒され、蹌踉めきそうになる。  ピン!としたヒゲ、毛に覆われた顔のゴリゴリしたくすぐったい 接触!、念入りで丁重な挨拶である。  ヤスリのような、薄くてヒンヤリした小さな舌で手を舐め始める、丸顔を傾け噛んだりする。  ちっとも痛くない。  そして、プイッ!と往ってしまう。  決して振り向くことがない、俄に発した使命に導かれ、邁進している。  諦めて、椅子にもたれ、あれこれとりとめのないことに想いを巡らせ、うとうとしてたようだ。  くっきりした音で呼び戻される、100万光年の彼方、第7銀河の拠点で作戦に耽っていのだが、あっけなく翻し帰還する。  窓の外で『カリッ!、……!、コリッ!』、ネコクッキーを噛んでいる。  朝早く、横殴りの清冽な朝陽の差し込む南部屋、白い板に並んだボタンをあちこち押さえたり、思索に耽っていてその気配に脇目を振る。  逆光の中に古い木箱に乗っかり立ち上が り、網戸に爪を立て、ヤモリのようにガサガサと登る君は、大きく口を開け牙を見せて目を瞠りなにやら訴えていたので、やはり野獣だと想ったよ。

先日、山へ往った、週末毎に雨が続いていたから、ずいぶん久しぶりとなる。  南斜面を覆うブナ(山毛欅)や楢、ニセアカシヤ、……は尽くメリメリと新緑色を解放させ、旺盛であり静謐を湛えている。  天空が呆れ果て退いてしまっている、雲がとても高い。  『お……い!』  北から南へ真っ直ぐに白い線が一本、高いところを貫いている。  見上げた目を凝らしてみると、山林の上空、南の方に豆粒ほどの銀色のものが懸命に逃走しており、それを白い線が追撃している。  燦たる西日を浴び、豆粒ほどの銀色が最後の光輝を放っている。  時間がゆったりと流れる満ち足りたひととき。  とある棚田だけチョロチョロと弛まず湧き水が吹き出し、流れ出している。  曲がりくねった坂道をトボトボ歩きながら見下ろす、その湧き水が田圃一面に広がった浅いプールは翠・緑・碧を湛えており、『ゲロゲロ……、"♪"、……』蛙のソロが、小さく凛とした正調を送っていた。  遠くの友人に届くといいのだが……。  その日も激しく大気が移動していた。  銀に輝く高い送電塔、4筋対の電線がブンブン唸っていた。  竹林が静かに波打ち、体を捩り騒いでいた。  太陽風が南に横たわる丘陵を乗り越え、田んぼや雑木林を吹き荒れていた。  じわじわと万障を灼き始めている。  紫外線の攻撃を受けた唇と顔、カサカサ、ヒリヒリする。  大ぶりのナスをグリルで焼く。  4面に焦げ目が付くよう間合いを図り、ひっくり返す。  さっと表面を水で冷やし、へたを切り落として皮を剥ぐ。  面倒!で難しい、そして面白い!、うまく出来ると前途までが開けたような嬉しい気分。  焼け具合に応じた剥きかたをする。  そっと・優しく・大胆に、やり直しの出来ないのも、空想しそのままになってしまった、恋の手管と同じ。  これは、向上のための工夫はたやすく報われ、確認も出来る。  パリパリに焼けた皮の下から、よろこびの薄茶や薄黄緑が表れる。  七味をパラリッ!、皿に滲み出たおつゆがたまる。  カマスの一夜干しを、程よい長さに切り焙る。  どうやら鱗の厚いのとそうでないものあるらしい、美味しいのは新鮮な物、若干の赤みを帯びた物。  アサリの新鮮なのを見かけたときは、ジャガイモ、ネギのお澄ましを作る。  アサリが吐く塩分を考慮した、塩梅を忘れてはいかん。  

『甘すぎるトマトはこれだ!』と書かれた木札が知らせる、”静岡JA遠州夢咲”桃太郎(トマト)は、パリパリした皮も旺盛な果肉もうまい。  これはなんといっても、起き抜けに”焼き塩”と”特選有機醤油”でバリバリ食べたい。 いい一日が始められそうだから。 鉛色の天空が低い薄暗い雨降り、目覚めが遅れる、昼近くまで宇宙艇で旅をしていた。  100万光年の彼方、第七銀河の拠点から一瞬に帰還する。  重力の世界は一気に元気を出す、大変な任務を忘れてきたような、心残りな気分で光輝の中で時間を過ごす。  現世では食べることが生きている証でもある。  ”静岡JA遠州夢咲”桃太郎(トマト)を放射状に切り皿に盛り、フォークで突き刺し口に運ぶ。  清冽な淡い酸っぱさと仄かな甘さ、いつも美味しいと思う。  山羊の乳で作ったナチュラルチーズ(CHEVRE、de Bellay)、酒種発酵?!のパンに乗っけていただくのさ。  動物の匂い清冽な酸味、もちもちしたパンと混然となり頗る美味い。  酸特有の浸食感がなくサッ!と霧散して、清々とした余韻を残す。  ルビーのグレープフルーツ、ギザギザ付きのスプーンで一房ずつ掬って食す。  えぐみが全くないようだ。  どっしりした大きめ・シンプルなマグカップに褐色の砂礫状の砂糖を少し、褐色の脱色ペーパーの端を折り、3穴楔に嵌める。  筒の蓋をポン!…*、吸い付くような嵌め合いに感心しながらカップを外し、縦に筋が貫く艶やかな褐色の半球の豆をザラザラと粉砕器に注ぐ。  親指で頭を押さえ、グイィ〜*ン、=(・。.・)= がいると、ここで一気に外へ駆け出す。  粉砕器を掴み逆さに、拳の側面でコン!コン!、半球のカップを外し”V字”の上でコンコン!・…*。  刑場に移し沸騰をそっと注ぐ、初めは周りの濾紙に、ゆっくり旋回させこんもりした盛り上がりを作る、土竜の噴火を連想させてくれる。  苦くて気持を昂揚させてくれる、アルカロイドの心地よい匂いが立ちこめるのを確かめる。  紙のボックスから牛乳をカップに注ぎ、気分でコーヒーにも少し。  窓を開け =(・。.・)= のお皿に入れようとするが、お皿に突進してくるので毎度のように頭や耳にかかってしまう。

凄いという言葉を活字として書き付けた記憶がない、たぶん一回も使っていないと思う。  両手で掴むとしたらその大きさといい、ほどよい重さ、形といい堅くて柔らかい自在さも、確固たる態様としてはお誂えむきである。  =(・。.・)=さんと、=(゜。.゜)=ちゃんが木陰から這い出し、思い切り伸びやかに四肢を伸ばし、午睡からのお目覚め。  朝は横殴りの真っ新の光線を横腹に浴び 、物憂げに頭を回し心持ち挙げ、ちらっと人物を見た。  =ΘΘ=ΠΠ。  小さく『……ャ〜*』と挨拶をくれた、ひどく掠れていた。  奔放不羈の王は頬を撫でてやるから、『おいでっ!』と呼んでも、気が向かなければその声の主の手元に決して近づかな ぬ。  距離を保って自己の存在を優雅にさりげなく提示する。  あんなに親しく足下に頭突きをくれていたとしても、一切 =(・。.・)=の、気ままな?!気分の思し召しのままなのだ。  玄関で見た紙には、『中国大使館を誤爆』の大きなゴシック文字。  『凄い』と声に出さずに叫んでしまった。  ”かしわ餅”、と入れ替わりに”水ようかん”が出現する食料品の棚。  夏は先ずさまざまなメロンの類から始まる、次いで白桃が姿を見せ始めると、なし崩しに夏に突入。  西瓜や、無花果、プラム、梨、デラウェアー、青リンゴ、巨峰、マスカット、栗、柿、林檎、蜜柑と秋から冬へと旬が流れる。  いつも覗いているスーパーの果物や野菜の一部分に季節はプイッ!と顔を出す。  今にも降りそうな空で肌寒い、一枚だけ薄手のセーターを残してあったので着る。  外出の意欲は全く起こらず、山へも西方への侵攻も無し。  コーヒー豆を挽き濾紙で炒れる、酒種食パンに山羊の乳で作ったナチュラルチーズ(CHEVRE、de Bellay)を乗っける。  高原か峰を渡る朝霧のようなしっとり、清々した峻烈がだんだん重い頭を覚醒させてくれる。  しばらくリンクが不明になっていた、辻学園グルメ・レシピ集 辻調理師専門  関西風のおかず炊き込みご飯・汁プロの家庭料理 に遭遇できてうれしい。  遅いお昼は、蛤と新じゃが、三つ葉のお澄まし、ムロアジの干物を焙る。  夜はざる蕎麦、終わりにつゆに蕎麦湯を注ぎいただく、うまい。  デザートは、”雪印・カマンベール・切れてるタイプ”、もう粉っぽい”骨太チーズは食べない。

あちこちの樹木がヒンヤリした夜気を分泌し始めた頃、鼻先で湿気を吸い、首筋で冷気を感じながら気持ちのいい推進をする。  住宅街をジグサグに縫って”パルテノン神殿”に向かう。  赤白青のスパイラルが光輝を放っている。  それはまさに白いドーリア式のエンタシス円柱がそびえる白亜の建築体である。  ガランとしたエントランスは石が敷き詰められている。  ふかふかの真っ白の毛のネコが、窓際で蹲っている、一瞥も呉れぬ。  お顔を見ようと近づいても動じない、もっと近づくと鷹揚に一瞥を呉れ『ンもぉ…*…*』と慇懃に遠ざかる。  ジャブジャブと頭を洗われる。  鼻の上にタオルが投げられ、眉毛がトリミングされる。  床に散乱した分身を一瞥、高い扉をゆっくり手放し暗闇に出る。  首筋にいっそう冷気が増した夜気を感じつつ還る。  酒種・酵母のムッチリした濃密なイギリス食パン風。  潔いむっちり・もっちり、噛みしめる毎にしみだす仄かな甘み、こく。  トーストすることはとても考えられぬ。  明日の朝、これに山羊の乳で作ったナチュラルチーズ(CHEVRE、de Bellay)を乗っけ、清冽な酸味がもちもちしたパンと、混然となる幸せを愉しむのだ。  酸特有の浸食感がなくサッ!と霧散し、清々した余韻を残す。  爽やかのひとことである、声が出ない。  真っ新の横殴りの朝陽を浴びて食す、無上の歓び。  大ぶり蛤と新じゃが、タマネギ、三つ葉のお澄まし、大ぶりのカマスの一夜干しを焙る。  尖った頭、鋭い砲弾状の歯を毎度一瞥、感心・得心する。  バラクーダ(鬼梭子魚)が仲間、淡泊だけれども魚匂い 旨味があり、一夜干しが上手い。  骨がとても硬い、頭と尻尾を断ちさらに2分する、仄かに赤みの射した非冷凍もん、天日干しが美味しい。  焙るといい飴色を帯び、『んぁ〜*』と、思いっきり反り返る。  高価でもあり、入荷も稀な手に入りにくい、旬の甘鯛の次ぎに美味しい。  対照的な旨味、ナマリ節の血合いのポクポクしたほろ苦さを想い出 す。  脂分が少なく焦げ目ができにくい、焼き加減が難しい、上手く焼けると嬉しい・美味しい。  シャキシャキの野沢菜、噛みしめると仄かに苦さが染み渡りくうまい。

夜風を浴びにバイシュクルに跨り、淡くてキラキラした夕方の散歩に出る。  天空の仄かな碧み、あちこちの星の瞬きを認める。  何かが潜み、音もなく駆けめぐっている、背丈を蹴るほどの視界に立ちはだかる、トウモロコシ畑。  夜風を吸いながら畑に囲まれた道を往くと、初夏の匂いが流れてくる。  懐かしいような、遠い日に吸った匂いであるという感慨が毎度のように興る。  相対湿度が増した、涼しい夜気は鼻を気持ちよく擽る。  妖しくそそのかしが隠れていて、何かにかき立てられる狂おしい激越が頬を撫でていく。  昼間の白く揺らめく炎暑がすっかり嘘のように、祭りの後のような喪失感と懈怠を運んでくる。  肩に寂寥が取り付くのを払い、耳を掠め渺々と叫ぶ首筋の風。  恨み辛みが綺麗に露呈しクッキリする清々しさがある。  今度こそきっと……。  全世界を敵に回しているような快感、脳裏を痺れさせる。  モザレラ・バッファロー(ナチュラルチーズ)イタリア産/MOZZARELLA DI BUFALA CAMPANAを試す。  花咲く草原に静かに佇みこちらを凝視するバッファローが描かれている、袋に水と一緒に入っていた。  酒種発酵のムッチリ食パンに載っけて、サラミスライス、”荒れ地栽培”の濃厚トマトなどと交互に口に運ぶ。  パサパサ、しっとりとした真っ白、口に入れた暫くはほとんど味がせず、好感が興る。  CHATEAU VIEUX CEDRE MONTAGNE ST-EMILION 1994は、渋くて懐が広くかつ深くてうまい。  サラミが深い味わいがありとてもうまい。

たぶん低気圧のせいだろう、頭がガンガンする。  垂れ込めた雲間から『サッ……!!』と白い光輝が射し、みるみる間に灰色と対比する明るい島を作る。  寒と暖の前線が数千メートルの上空ですばらしい速度で上昇と下降を繰り出し、螺旋状の旋回と摩擦を行ってるに相違ない。  白や灰色が膨らみ浸食する、凝視すると驚くほどの速度で巨大化する。  地上では激しく風が流れ、窓の外の木々が嘆き・揺れ傾いでいる。  ツバメが短い発声を投げ、胸の透くような見事な飛翔を見せる。  白く波打つ稲穂を掠め、低空をとんでもない速さで滑空する。  昆虫は捕獲から逃げられない。  こんなワクワクする陽気の日は、竿を担いで出掛けなければならない。  汽水域の潮入河では意欲満々の底魚や表層魚が、わんさかのっこんで来るのだ。  ワンドのポイントで待ちかまえ、浮子を流さなければならない。  澄み切った甘い潮に満たされたワンドは、さざ波が走り、スラリと尖った芦の葉がそよぎ柔らかい擦れ音を囁く。  きれいな砂模様を背に描いた小さな目の底魚が、砂煙を巻き上げて真っ直ぐに沖に向かって、素早く遠ざかるのが見える。  むせ返る草いきれとねばねばしたナトリウム、ヨードを孕んだ風を吸う。  陽の射さないあらぬ方向からの風の巻く真夏の日は、心乱れる。  ねこの棚の前に佇み、蕩々と流れる風の音楽を探す。

風が吹いている。  陽が西方に退却し始めた頃、淡くてキラキラした黄昏の散歩に出る。  雲が高い、巻雲だろうか。  壮大な空の海に吸い込まれ視界と胸が透く。  オレンジと白が混じり合い、刷毛でサッ!と掃いたようにさっぱりした雲が生を終える。  燦たる広大と光輝、スピードを実感させない見事な精緻で生を謳歌してるようである。  天空を仰いで圧倒される。  何時まで観ていても倦むことがない。  きっとゴツゴツした砂礫や大きな砂岩が一面にゴロゴロしてひどく歩きにくい中州に築いた堤には、背丈を越える夏草がゆっくり揺れているだろう。  荒野願望を存分に期待させ、満たしてくれる。  田畑に灌漑する用水を取るため北に向かって川幅の1/3ほど屈強な鉄筋コンクリート堰堤が突く出している、更に”」”状に土砂を積み上げ上流に向かって伸びている、夏草がびっしり茂っていいるが、抱えられないほどの岩石、砂利、混じりである。  台風などの増水で決壊する度に、減水を待って重機が河に乗り込み修復する。  何年も繰り返される。  流れに沿って河中央に横たわる全長約100m、幅10m、高さ3mほどのエンタープライズは夏の歓びである。  陽がやや傾き始めた頃に出撃する。  水面からやってくる風が少しでもあり、大きな草木が作る日影が獲得できると凌げる。  帰化植物だろうか、旺盛な精力を発揮する草木が背丈を少し越えるジャングルを作る。  蔓草の微細棘や茎草の黄の花粉の歓迎に挨拶し、どんどん踏み込んでいく。  カラカラに乾いた大小の石混じりの土壌、しっかりと夏草が根を食い込んでいるのを見るのが好きだ。  人一人が通れる幅で草木を避け、道らしきものが途切れつつ曲がりくねりながら貫いている。  ジャングルが開け砂礫が露出し水際に降りることができるポイントがいくつかある。  不躾な悲痛であろう。  その悲痛に腰を下ろすと、ワーンとした静寂を風が巻いている。  緑を映すたっぷりした流れの水面には、ピチピチ・ワクワクした生体反応が満ちている。  水底でキラリ、なにやら銀鱗を煌めかせ、反転するものがいる。 つつっ…*と水泡が浮かび、向こうのほうでバシャン!と音がする。  立ち草に隠れており、跳躍と波紋を確かめられなかった。  アクアマリンの海は弛まず東に向かう。  裸足を流れに入れる、ぞくっとする程冷たい。  髭があって鰭にやや朱を射した大きな魚雷、泥を吸い込み、ポッ!と吐き出している。  少しづつ場所を移し、悠々と上流に向かっている。  悠然とした進行に圧倒され感心して暫し眺める。  夕凪の頃、部屋に灯りをともしてかわいい”メバルの開き”を焙る。  ジャガイモ、三つ葉、ワケギ、蛤のお澄まし。  枝豆がおいしい。  白玉ぜんざいとキューイフルーツ、射すような清冽な酸味の饗宴を楽しむ。

サンマの丸干し、ウナギの肝焼き、小茄子、トマトで遅い夕食。  サンマの丸干しはいつも見かけるわけではなく、ごくたまに棚に出現する、出会ったときはきっと入手する。  黒と青、銀の長身は綺麗で見事である。  焙るとぐっと反り返る、『フフッ!……』うまそうだ、焼けた皮がパチンッ…*!、とはち切れる。  スダチをチュッ!とやり、朝陽のようにやさしく朝露の清冽なキックを確かめる。  あえかな高雅なホロ苦みがすばらしい。  あんなにあった脂がきれいに消え去って おり、”ホクホク”、”ホッコリ”、”しっかり”した食感がありがたい。  よく研いだナイフで冷えたトマトの皮を剥き、縦に8つ等分皿に盛る。  先日、マゴチの切り身を見かけた。  透明で細長いものであった。  本物の砂地よりも綺麗な砂地を背に描いて、明るい砂地に揺れる波紋で微睡んでいる。  嫌なものの気配を察し、とても俊敏な動き、小さなまん丸の目のまばたきを惜しんで、一瞬の砂煙を残してみるみる間にずっと沖に遠ざか 様を思いうかべる。  作り物のように真っ青なアオサやテングサのような形の海藻が 、大きな石に食いついている。  その堂々とした生に感心しきりであった。  あのときわくわくさせてくれたコチは、”ノドクサリ”とみんなが呼んでいた。  その10倍以上の巨体であったのだろう。  扁平な頭に真っ直ぐに伸びた胴は先細りながら、バネがあり引き締まっている尻尾になる。  しなやかに揺れる茶や褐色、緑の海藻の森を探険した。  めくるめく絢爛たる光彩の満ちた別世界は時間と方角を忘れさせ、クラクラしほとほと疲れた。  冷え切った血液をもとに戻すため、牡蠣が付いた防波堤に注意深く登った。  ベットリまつわりつく風に吹かれていると、寂寥が襲い言いしれぬ歓びに酔うことができた。  深い碧や白っぽく見える帯が大きく湾曲し蛇行し、沖の方に流れていた。  ずいぶん明るい砂地にくっつきそうに接近し眼下に見下ろし、時間と方角を見失って行進を続けていると。  びっくりするほど冷たいものが全身を圧することがあり、不意の恐怖が襲うことがあった。  酸素が覆う世界では熱射が渦巻き、渺々と吹き荒れているのだが。

ねめねめした光沢を放つ薄いピンクがかった白い身、シンメトリーを保って開かれている。  アマダイである。  焙ると皮がパリパリになり、偏って黒く焼け焦げる。  こんがりとした色には、なかなかならない。  柔らかい白身は懐かしい魚らしい香り、うま味がムッチリと侵出し、歓びに浸ることができた。  スダチを摘んでキリリ!とした発作を拡散する。  『チュッ!、…*!!』  あえかな青臭さを確かめる。  =(・。.・)= の発表に一抹の怨みが籠もっている。  窓を放つと宇宙線の合唱やソロ、カデンツァが、放った窓の全面から一斉に押し寄せてくる。  それが羽音であり、摩擦から発するものであると解っている。  が、沸き立つような、連鎖を伴う、多彩な響音の色彩に感心してしまう。  『リーン…*、リーン…*、……』  混然と混ざり融け合い、ユニゾンの波となり、弛まず地から湧き起こり、天空に響き渡る。  ”CHATEAU Ch, Lyonnat 1995  LUSSAC-SAINT-EMILION”の、渋みを楽しむ。

窓を放ち、からりとした・サラサラ秋風を通す。  100万光年の彼方、第7銀河で繰り広げられた光彩は色褪せ、定かでない時空に収束してしまう。  あっというまに、起き抜けの思惟がうつろい崩れ、異次元の有酸素の汚れた現実を引きずり始める。  山に出かけるか、止めるか決める。  まだまだ秋色を楽しむには、時期早であるので止めにする。  冷蔵庫から4角柱の紙箱を抜き出し、マグカップに注ぐ。  ゴクリと喉がなる。  真っ新の日差しが南の窓からキッパリと優しく進入する。  ウバメガシの枝を伝って、 =(・。.・)= たちが降りてくる。  目が輝いている、鼻の先に少し朱が差している。  ”POMPADOUR”と縦に書かれた深紅の紙袋から、丸くて長い薄茶の皮が気持ちよく裂け、もっと薄い茶、柔らかい新しい皮が出現しているパン 、を取り出し包丁で切る。  山羊の乳で作ったナチュラルチーズを載っけ、口に運ぶ。  野趣が籠もった濃厚な匂いがある、毎回感心する。  スライスされた円盤のソフトサラミは、プチプチ、ガシガシ、意外な歯ごたえが楽しい。  滋味のある全方向全成分的溶解が”結晶?”化してて、それはそれとして自我があってなかなかよろしい。  フランスパンは、小ぶりなのも、上腕ほどの大きいのも、いつもその炸裂音を想像させてくれるので好きである。  遅いお昼は、半透明な白に仄かに赤みがかった、一夜干し”柳カレイ”天然塩使用を焙る。  鰭が焦げる、鱗のない皮がピリリと張りつめる。  パチ!パチ!と皮が弾ける。  チュッ!、…*!、スダチを絞る。  清冽な風が吹き抜ける。  夜はカボチャ、丹沢豆腐、タマネギ、蜆、仙台味噌、赤味噌の汁。  ”砂干し鮎”(一夜干し)を焙る。  藻類の香りが開花して仄かに甘い。  小気味よい粉砕音を楽しみ、ブルーマウンテンブレンド#1を挽く。  透き通った褐色の角の尖った粒の光彩は、濃く黒みがかったのや白っぽいのや、大小の個性が混然として表情がある。  小さじ山盛りで苦みと、絶妙の対位法を奏でる。  ひっかかりのあるCDをネコの棚で探し出し聴く。  なんとかその、”ひっかかり”の正体を確かめたいと想った。

エディー・バウアー は、西方の街にある。  フラットなフロアーを散策すると、アメリカの風を吸うことができる。  たっぷりしたボリウムのチェック柄のシャツを買った。  菜種の黄と忘れな草の白の細やかなステッチが深紺の深淵を覆い、サッ…!と干し草のようないい薫りが流れた。  全く新しいそれに懐かしさを覚えた。  10年ほど前に買ったウィンドブレイカーは、いまでも愛用している。  しなやかな黒のシンプルは、手首がパチッ!と閉まりたっぷりした精悍を覆う。  身につけるもので長く使えることができ、それがお気に入りであったりすると、とても幸せを感じることができる。 

紅玉を見つけると嬉しくなり、きっと籠に入れる。  たいてい小ぶりで張りつめた表皮が緻密ですばらしい。  いつも昼前か、黄昏の前にでかけるマーケットには、溢れんばかりに野菜や果物、海の幸が登場するが、敏感に季節や季候を映し出す。  気紛れがあるので目の楽しみであり、賭けもあるのである。  シャキシャキした清冽と、圧倒的な自己が健在で嬉しいのである。  たちまち口の中で芳香と繊細が崩壊し、雪のように融ける。  『……は、紅玉でないとうまく造れないのよ。』  紅玉を見るたびに、10年も前の思惟が頭をもたげる。  無漂白の濾紙は大きくて半円の耳が付いている。  存分の沸騰を注ぐことができ、満足である。  演奏の途中で水を挿す不躾をやらないで済む幸せ。  富裕柿の赤色が深まっている。  水っぽいと思ってしまったので、その呪詛から逃れられない。  西方の街の駅前で買う甘栗は大きい。  独特の炉で焼いているあたりに広がる匂いは、遠慮がなく強烈であり、その総体の色合いもあきれるというか非の打ちどころがない。  その南方の鷹揚に敬意を密かに抱く。  酒種発酵のパンはムッチリとしっとりと、たおやかで立派である。  立ち上る匂いが遠い日の映像を過ぎらせる。  『カッ!』とも『タッ!』、『ハッ!』『 ……! 』とも感じる威嚇の挨拶を出し抜けに頂くことがある。  窓を開けて夜気を吸おうと思った静穏の時間であったりすると、驚きと嬉しさが同時に発散する。  首を引き、耳をペッタリと寝かせて、背を低く保ち、瞳をいっぱいに広げて正面から圧で圧倒する。  牙が全容をさらけ出している。  虚を突かれて息を飲んでしまう。  椅子にどっかりとすわり息を吐き、一点を見つめる。  沈痛な寂寥の灰色の冥界に墜ちていく。  闇でじっと不条理を食べ、倦むことなく夜露を背で受けている生き物は、己であろう。

狂奔する七色が飛び交う旅からの帰還・Warp、何故か疲労を帯びている。  努めてなにも考えないような意識で、艇から脱出する。  途端に先ほどの疲労感は、覚醒時の意識・思惟の”おっくう”の仕業だと知る。  これは、納得の前に経験が教えてくれる。  常に魂の後に思惟、その後に肉体行動があると言う錯覚、あっさりと捨棄してしまう時は明快な爽快でもある。  窓を放ち更新されたできたての風を吸う、小さな鼻の生き物が駆け上がってくる。  未だ現世に存在していない人物に激しく突進してくる。  とって返し牛乳をゴクゴクやり、”フリスキー、お魚いろいろ”の袋を掴んで、4つの目が狂乱する皿にサザッ!と空ける。  その上から白いものを注ぐ、頭に少し被っかかる。  なまり色の空を見上げ 、たちまち気が滅入る。  顔を洗い口を濯ぐ、やっと現世に時間を感じ始める。  紅玉を剥き、自然酵母発酵パンを切り、山羊の絵があるナチュラルチーズを切って載っける。  金色の小田急の海苔缶を掴み 、気分を取り出す。  完全主義者を貫く粉砕器が歓びの身震いをひとしきり、そして押し黙る。  薄茶の楔に歓びの末路を投下する。  発射台にカップを連れて行き、ロック解除の丸を押さえ、発熱を照射するキックを見舞う。  焦げ匂い、酸がいささか混じった断末魔の発表があり、果てる。  円墳に摂理があるか?!、変異は認められるか?!。  その関心は一瞬で失せる、そしてこれは毎度のように繰り返される愉しみであるのだ。  コーヒーブレイク!。  ふつふつと体が熱くなり、思惟は冷ややかに澄明を深める。  よもぎか春菊のアルカロイドの妖しい魔力が滲出し、エーテルとなっておそってくる、その発熱に蹂躙される。

緩やかに反り、真っ直ぐ放射状に突き出し、筋張ったゴツゴツ感の細い枝。  東西に連なる丘陵を乗り越え、南方からやってくる高気圧風、迷惑げに上下左右に避けて揺れる。  丸みのある薄い葉が3枚ずつ、天空をしっかっり受け止めん、深山。  初夏から秋まで、3枚の葉と同じ付け根から伸ばした細い茎に、豆科特有の白と紫の小さな花を絶やさない。  ぼってりした鞘状、紫の蕾が開花、赤紫の鍔が明るく仰ぎかわいい”クリオネ”が登場。  秋、黄に透けるまばらな薄く葉が美しい。  地面から数本、節くれた暗褐色の堅い枝。  盛夏、数センチの軸に泡のような白い花。  晩秋、葉の落ちた暗褐色の枝に、赤い小さな実が一際目立つ、深山桜。  初夏、雨の後、旺盛な勢いであちこちに筍を林立させる、。  節々でクネクネと曲がり、皺のあり先が枯れ白い、南風に煽られサラサラ優しく囁く。  信州の高原で見た、クマザサはとても大きく白い縁取りがあった。  サルトリイバラクロモジツタの連なる樹木の下。  形と色がぼんやりとなってしまう曇りガラス戸に、野生の気配。  白に黒斑点の毛に覆われ、口元に気まぐれで付いた黒い斑点、鼻がくすぐったいのでは、……?。  しなやかな四肢を延ばし後ろ足で跳ねたり、素速く突進し両手で宝物を押さえ込んだり首を振ったり、木によじ登ぼる真似をして、愉しみな無限の時間を呼吸。  ごく近くまで来る、きちんと距離を保ちひげを“ピリピリ”振るわせ、親が食べ終わるまで大人しく待つ。  きっと親が終わってから、”ひとり”で食べ始める、いつもそうである。

何日か前に親が魚をくわえ、“クロネコ大和”でどこか?……へ 失せたことがあったので、仔が生まれたと知る。  謎の多い不思議な生き物の前にはなかなか姿を見せてくれない、駆けたり木によじ登ったり、迷子にならないまでに長じないと。  目が開く頃に子を撫でてやることが出来れば、暖かい毛に被われた野獣は、あたたかくて自分にぶつかる手の主を仲間として扱ってくれるが、それはムリなのさ。  『そうっ 〜*、と』ガラス戸を開け、”鼻の黒”に、”こんにちは”をしようとしたら一瞬、水を浴びたように“キョトン!?”と大きな目を瞠った。  石火に一瞥を叩きつけ枯れ枝や落ち葉、石ころを蹴散らしたちまち遠ざかった。  『ん ぁ……!!』。  夜更けにかわいい野獣は耳元で『カリッ、カリッ、……*』音を発て網戸で爪を研ぐ。  黄泉の世界の底に冷ややかに横たわる人物を、呼び戻してくれる。  生きていることを知るのと同時に、呼んだのは野生がのびのびくつろぎ、遊びに耽り愉しんでいて発した“音”と知る。  すっかり安心しとろりとした泥のように、深い冥海の底に落ちていった。  屏などに沿って作られている“航路”を守りつつ、どこからともなく“ふらっ”と気まぐれに現れる。  ライオンとそっくりの“まる顔”の“野獣”が『んにゃ 〜*!』と発しながら遊びに訪れるが、話し込んで行くはずはない。  ……ピリピリとひげを左右いっぱいに伸ばし振るわせる。  鼻に焦点を絞り食べ物を頬張ったまま、威嚇であり満足の“ヨロコビ”の発表を行なう。  『……ングワァル、ル。……∠∂∇ΨΘ⊥∋Π∨∀∃』   まったく……!、背筋がのびのび、脳裏でさまざまな爽快が出現し、失せる。  

雲の裂けめからあちこちに、パリパリ糊の効いた真っ白の敷布のようなどこか不安げなしっかりした一途な朝日が射す。  静穏な峻烈な爽快な風が朝靄を侵すのを深く吸う。  無限の愉しみをうっちゃった、世界が没する夕暮れは、不安な希望に満たされる。 『フ〜*ッ、食った!!。』、食後の呻き、深呼吸ともけじめのつかぬ気分の発散はなさらず。  きっと慇懃に約束を思いだしたかのように、“そそくさ ……”、“フッ!”とご帰還いたす。  人物との付き合いという情念・衝動は微塵もなし。  ほんの気まぐれ偶然のいたずら、ちょっとした質の悪い出来心で、『ポンッ!…』とキュウリを投げた。  背を低くして牙をかざし、『ハ…*ッ!!』と威嚇の発声を放ち、野菜を顎にしっかり固定し闇を疾走。  『なんとしたことを!、…*、(−.”−;)』。  翌朝、朝日の射すしっとり湿った土の上に、緑が投げ出されていた。  陽が沈み寂寥が降りてくる頃、”本能を試した”憾みはくっきりと甦る。  気持ちは酸に侵され空しい、暫く自失。  西方の峰々に陽と昼が収斂され、無彩色に侵される頃、塀や木立の影から這い上がり、音もなく駆けめぐる。

作曲家で言えばラベルのような……と、いつも想う。  それが嬉しい。  今日も =(・。.・)=チビちゃんの仔の姿が見えない。  チビちゃんがげっそり痩せている。  ”粒あん入り”あずきもなか(岡山市、オハヨー乳業)と、”たい焼きモナカ”(山梨、江南乳業)、シュガーコーン(前同)を買い込む。 バイシュクルに跨り、広い道路を走ると秋風がまとわり付き、くすぐりながら千切れて飛び散る。  とっくに陽は山嶺の向こうに、没し深く沈み込んでいる。  しかし天空は、仄かに青い、白い雲が高い処を飛んでいく。  『オーィ、………*』  鰹を味噌焼きにすると、ホクホクと魚らしい旨味が際だつことを知った。  八百屋で青匂いリンゴが次第に大きくなり、紅顔になっていくのを見るのが、ささやかな愉しみである。  この世の生物とは信じ難い色の、アケビには驚く。  灰色がかったパステルブルー、ツルツルした歪んだ球体、毎年ドキリッ!とさせられる。  四万十川の沈下橋(潜水橋)を見ると、『カラ…*ン』と踏み外し、降下する爽快のイメージから逃れられない。  淡くキラキラ反射するものや、橋の下を潜るさざ波から発するする音楽、サラサラの光輝に充ちた大気の清冽、空を渡るような遠い風音と乾いた寂寥が巡る。  なんといってもタプタプと豊かな清冽の真水が、甘い潮に侵される河口の静謐極まる嘆息はすばらしい。  風に揺れるかやつり草の傍ら、黄金の稲穂が頭を垂れている。  砂とそっくりの絵を背に書いた生き物が、眼にも止まらぬ速さで消え去る。  四万十生姜(生姜せんべい)をポリポリやりながら、今日も先日入手した 、”JACO PASTORIUS 1/ Who Loves You? A Tribute To Jaco Pastorius/ VICJ-60185   紫たなびく荒野、なんだかあたりは薄暗く、淡青色の靄が立ちこめているようだった。  朦朧としているのに鋭い、あの、正体の知れない不安や焦燥に、侵食されている気配。  飄々と、堂々たる、構造体が出現、壮大で澄明で精妙な光景である。  軽々と、優雅に波打って跳んでいく。  緩やかに盛り上がりなだらかに落ちる草原、誰かが鳴らす、……ッ、…*。  河面を渡る気嵐、全世界を飲み込み、全てにひそやかだが全身的な悦びがこめられている。  森閑とした午後の空白の一瞬、明朗な空虚。  なにやらかやら、ももうとあたりにたちこめ、にわかに空気が透明さを失 う。  線が消えて深淵があらわれ、闇と光輝が一瞬ごとに姿態を変え、格闘しあいたわむれあい、無言の祝歌が澎湃とわきあがる  ハタ!、ハタ!、はためき、ぐんぐん上昇し、駆け上がり、仰け反り成就する。  気遠い憧れが形を表し、聳える。”を聴く。

今日もチビちゃんの仔を見かけなかった。  引き締まった外気を期待しながら、ねこクッキーの袋を掴み、牛乳パックを取り出し窓を開ける。  『あぁ、…*』=(゜。.゜)= チビちゃんの仔が顔を上げる。  何時ものように、本箱の上の籠?!の中、寝そべったチビちゃんに寄り添っていた。  やはり昨夜、雨が激しく降った?!ので、戻ってきたのだろうか……。  白くて柔らかい毛、小さな生き物が お腹で呼吸している。  『ゴロニャーン*〜〜*〜〜*〜〜』 甘ったるい声で交歓している声がガラス越しに解る。  『……ャ、…*』  透明な小さな声が、更に小さく消え入る ようになる。  前にも雨が激しく降り始めた夜、還って来たのでじっと待っていたのだ。  もしかしたら……?!、という期待が叶えられて嬉しい。  そおっ…* とガラス戸越しに外を見ると、籠の上で =(^。^)= チビちゃんが丸く体を横たえ、眠っている。  =(゜。.゜)= チビちゃんの仔(シンディー・C、?!)がピンクの足の裏(∴)を見せ、お腹に顔を埋めている。  昼近くに覗いてみたら、ネコクッキーと牛乳のお皿はすっかり空になっていた。  C・Cちゃんは独りで籠の真ん中で丸くなっていた。  イサキの”さかなやさん”の鮨、真っ青の小なすで昼食。  イサキは淡白で鯛なぞよりもうまい。  お造りにすると鯛のように堅過ぎず絶妙の噛みごたえ、ねっとりぐあいだ。  これはいつもあるわけでなく、しかも新鮮さを要求するので見つけたら、たいてい迷わず入手する。  夜は、イワシの丸干しを焼き、先の方が丸くなって来はじめた大ぶりの茄子もグリルで焼く。  白い板にたくさん並んだボタンをあちこち押さえていたら、『ドンッ!!……。』大きな音で跳び上がってしまった。  \ ^.^ ;/  一瞬なんのことか解らず、ドキドキした。  茄子が憤怒し炸裂していた。  ワゴンに山盛りの秋茄子はグイッ!と弓に撓み、むっちり豊饒に充ちている。  鈍く光沢を放ちつつ、焼き茄子にしてくれ〜!!と、開き直っている。  激しく体を突き上げられて覚醒し、いっきに100万光年の彼方の第七銀河の作戦地から帰還した。  あわてて衣服を身につけた頃には、大地の激怒は収まっていた。  物理現象に驚くことが多い日だ。  =(・。.・)= と、、=(゜。.゜)= はいっこうに驚いた様子がない。  夜更けに突然、”ガタ!ガタ!”と網戸が激しく音を起てる。  朝方、『ドン!、ドン!』、何かが窓に激しくぶつかる、一瞬  (^.^ ;) く。  =(・。.・)= である。  

星月夜は、心乱れる。  拡げた本を閉じ、箱からスルリと抜けだし、白熱光の部屋を後にする。  暗い道を急ぐ。  見上げると、天空に手を延ばす黒い枝越しに、青い月が付いて来ている。  月に照らされた砂利道が白く延びている。  木立を抜け高台に出る、風が流れている。  風を吸いながら黒い海に続く白い道を進む。  くっきりした黒い影を踏んで、明るい松林の中をどんどん行く。  黒い影が追いかけてくる。  微かな潮の吐息を頼りに、月の驟雨を浴びてどんどん行く。  曲がったのや傾いだのや俯いたのが、『ハッ…!』として顔を上げる。  防砂林の黒松、サンドポンプで浅瀬から海底をここに持ってくる前に植えられた。  下草の生えない、砂地は雨で持って行かれ、ゴツゴツした暗褐色を突き上げた。  ほの白く長く浮かぶ防波堤に長々と体を横たえ、落ちてくる星を浴びる。  昼間の太陽熱の余韻を背に受け、世界がくるりと回転する。  カンラン山の頂上で混沌の晦瞑を背に感じ、錘のようにゆっくり沈んでいく。  地底から這い上がってくる波砕の声が時を教える。  『ザザー、……』  タプタプと入り江で遊んだ、暖かくて甘い汐が還っていく。  精緻に組まれた石積みを洗っていたものは、もう無い。  黒い松林や仄かに白い波間に夥しい粒子が降り注ぐ。  一切音がしない。  頭上に組んだ腕やだるい脚、指にも音もなく刺さる。  膨大な清浄に洗われる。  振り返ると、月下に浮かび上がる宮殿、巨大な鐘の沈んだ深い淵、戦慄の世界が出現している。  ビョウ、ビョウたる流体が過ぎる。  倉古に海から陸に這い上がった薄い皮膜だけに覆われた生命体が、星降る干潟のとろとろの砂の海で、交尾する頃、松林を駆け下りる。  椋鳥が休む杜に白い月がもたれかかる頃、安心してやっと目を閉じる。  また、=(゜。.゜)= チビちゃんの仔、C・Cちゃんの姿が見えない。  昨日の昼間、南窓の空中テーブルから『……?!』お出ましになり、ウバメガシによじ登ったり、嬉々とした真面目なお顔を覗かせていたのだが……。  のびのびとした細心大胆な精気が迸る無垢な野生のくつろいでいる姿を、そう…*っと覗き見る歓びは無類である。

朝早く、肩から斜に背負う鞄にミュージックマガジンを放り込み、電車に乗り込む。  新宿に出かけた、楽しみにしていた東口”かぶらや”のランチ - プチプチ、くねくね関西うどんは、『日曜日はお休みします。』の張り紙であっけなくどうでもよくなり、”しゃぶ通”も準備中の張り紙を見せられ、新たに探すのさえめんどくさくなって 、帰りに”いなかや”の急な階段を登り”刺し定”を食す。  ”きんきの煮付け”は、『お時間かかりますが…。』とのことで諦める。  丸井地下の”Vergin”でCDを探す。  ワールドミュージックとJAZZの棚を見て回る。  '98/4/18〜のスタンプカードがいっぱいになったらしく、2枚返してよこした。  漆喰壁の階段を降り、黄昏がたなびく”らんぶる”でコーヒーを飲む。  自分で炒れるのにない豊潤がある。  木馬やDUGが未だ存在するか、確かめるのは今度にした。  サンラは新鮮で、淡くてキラキラした夕方の散歩に出て、草の香を嗅いだ時のような、耳の後ろに漂い続けていたためらいが氷解したような、爽快と壮大があってすばらしい。  じゃがいもと奥多摩の豆腐でシジミの赤だしを作り、鰹のタタキに酢橘をチュッ!とやって遅い夕食。  =(・。.・)= と、=( ゚。.゚ )= に、ネコクッキーと牛乳をあげる。  外に出ると、=( ゚。.゚ )= が素足の指を舐める。  明かりの下でしゃがんでいると、スタ!スタ!とやって来てぐるりと回りながら横腹を擦り付ける。  =(・。.・)= が呼び戻そうと、声を上げつつ接触する。  『チョンッ!、チョンッ!』と、叩いてからいきなりがぶりとやるが、くすぐったい圧なので笑いがこみ上げる。  =(・。.・)= と同じことをするのが、ちょっとうれしくもあり失望でもある。  両手で持ち上げると、柔らかい毛先の下に暖かいブルブル、ゴツゴツした躍動がある。  軽い、そしてちょびっと野獣が臭う、あぁ〜*、別世界。

沸騰するものが西の山嶺に没し、余熱の緩やかな斜面に水が打たれ、こんもりしたハナゾノツクバネウツギから甘い憂愁が流れ出し、新しい方向・高台・街道・連山から足音しのばせ降りてくる沈静と煽情の風、絶対矛盾的自己同一。  超越の知性に頬・首筋をサッと撫でられ、ドキッ!、…*、思わず歩を進め、鉄の階段を潜り、扉を曳き暗闇にするりと潜り込む。  もう一つ扉を推し不思議の国のアリスのうさぎ室へ。  鋭い眼光を見事な黒ひげに秘めた、シェップ青年・マルチリード奏者が黙って受け入れてくれる。  ふうっ…*、そっと息をゆっくり吸いながら、柑橘の断片をさり気なく散らした、清冽な一杯を特殊コースターに置いてくれる。  提供される音楽は、観たことのない瞠目の連続、己の100枚足らずのコレクションとは別世界、沿線の いくつかの地下部屋でも目にしたこ とのない数々。  さっそく DiskUnion へ週末を待ちわび足を運び、黒に赤ロゴ、許し難い色の袋を抱え、たくさん持ち帰った。  フリージャズ系のマガジンを持ち歩き隅々に目を凝らした。  更に夜が更け、頼まないのにそっと置いてくれる一杯を、黙って・話を遮らず ごく自然に頂いた。  何日か経ち、一瞬それに気が付いた、なにもできなかった。  店の経営のことなど、これっぽちも気にせず・考えたことがなく、今でも後悔の無念が続く。  己自身のしぶとい復讐を、じわじわ受け入れている。  音楽が途絶え、盤を取り替えに猫の棚に歩き、ラベンダーの沈静・花芯の悲嘆を吸うとき、雨のそぼ降る夜は宜なるかな。  深夜、肩と首をすぼめ辛うじて静謐を装い、胴を振るわせ瞼で嗚咽している。  だから、非フリージャズとの差別の傾斜を深め、見せかけの平安、栄華繁栄をむさぼる世界を厳しく弾劾・復讐している。  個人で遊ぶ趣味の世界で妥協・迎合・偽善は、自体を滅ぼし兼ねない。  不思議の国のアリスのうさぎ室では、徹底してフリージャズ一辺倒の方ばかりであったので、この点での心配は皆無、充実した満足の夜であった。  N君はサラサラ髪、つぶらな黒目、信長口髭の顔をあげ、憐憫のほくそ笑み、嬉々として断言する。  『”見せかけの安定”をむさぼる現状下、あえて世に問う、”混迷と萌芽の60年代再現……。”の……。』  正確には、『……”こっ・こっ・こんーっめい!……』、と熱意・情熱が込められている。

大根おろしを作り、こんぶとシジミ、鰹節削り節で出汁を取り、赤だしも作る。  ”カンパチ”のお造りに、スダチをチュッとやって夕食。  ゴツゴツ緑の不釣り合いな大きさ、黄緑・白の種子を毎度のことに一瞥、指に付いた匂い、えぐみと清冽の危うい鬩ぎ合いを鼻に付ける。  仕立屋風に、深赤や緑の海藻、茗荷、大葉、大根の千切りを添えられれば、ぐっと美味しさも増すのに。  せめて茗荷だけでもと想うが、日持ちしない萎れ・縮んだのを見たくなく、躊躇してしまう。  一度にたくさん食べると、アルカロイドにやられそうだし。  おひるは、タマネギと赤カレイのシンプル、滋味がいっぱいの煮付け。  これは仕上がり時の、煮汁の濃さと量に最大の関心が起こり、実験の愉しみが空腹と独立排他的に混然一体化する、哲学を具現化する現場の興奮があり、愉快で愉しいひととき。  昨夜は、冷凍でない鮮血が滴るタチウオを焼いた。  白くて柔らかい、零れる韲えかなむっちり、狐色・透明のパリッとした極薄の皮。  絶妙の美味い縁側をたっぷり持っているので愉しみ。  注意深く上手く外した縁側と背びれ、さらに幅広フォーク状を使い片刃櫛状の骨を引き抜く。  太刀魚は生を食べて育ったので、遠海冷凍のパサパサ、銀の誇りを破棄したやつは焼く気が興らない。  いずれもスダチが欠かせない。  きれいに残した骨を眺め、お茶をぐびっと。  濃いコーヒーを炒れて、SUN RA/ Sound Sun Pleasure! /EVIDEACE ECD 22014-2 を聴く。  ずいぶん端正で抑制された響きに覆われているが、ゆったりとした豊麗なサウンドの進行であり、屈託のない新天地が開けて気分がいい。  またしても甘栗を入手するのを忘れた。  これは、ちょっと出かけたときに、忘れないようにしないと手に入らない。

富有柿、紅玉の皮を剥き、8つに縦割りしたのを、…に頂いた木の盆に盛って、フォークで運ぶ。  富有は新種の柿を食べた後では水っぽく感じてしまう、しかしこのジューシーこそが他の柿にない魅力、紅玉はきっぱりした清冽な攻撃がある。  紅玉はだんだん見かけることが少なく、棚にも特別扱いで並べられている。  遅い朝の真っ新の横殴り、キラキラの日差しを受けて、=( ゚。.゚ )= と遊ぶ。  紐のようなものを見つけると満面の好奇心を浮かべ、跳躍しながらやってきて、きっと噛んだり、『チョン!チョン!』と叩いてみる。  地面に座り込んでゴロゴロをやったり、指の噛み噛みをやっていたが、暫くして飽きられてしまった。  プイッ!、と遠ざかる。  背を丸くして跳び上がって嬉々として、里芋が旺盛な畑に出かけた。  バッタでも見つけるのだろうか?。

ドトールコーヒーで先日入手したブルーマウンテンブレンドを挽き、カリタで炒れる。  これは直ぐに売り切れるので入手出来た日は、新鮮な香りの期待と、獲得の歓びが余計にあるのでうれしい。  いわゆるミネラルウォーターで炒れようと想っていたのだが、習慣がないので後で気が付く、それはそれで愉しみを先に追いやった感じで悪くない。  一番旨いブランドを探そうと想う。  硬度だけでもてんでバラバラだから、大いに挑戦の張り合いがありそうだ。  ”Festina Lente!”(悠々として急げ!)と刻まれたマグカップ・磁器を眺め、ひたひたとうち寄せる潮でズック靴がひんやりしてきた感触で思わず我に返った一番堰を想い出す。  中ぶりのマグカップ 薄褐色にポチポチの茶砂を散らした磁器は、なにかで貰ったもの。  さらに、読書家の城戸真亜子似が悪戯ぽい目で、『これっ…*』と言って渡してくれた箱入りの計2個がある。  暫く使っていたが、ロゴをいつも眺めていたくなり、手作りの飾り棚に置き眺めている。  従って、くるぶし上をしっかり・キュッと覆う、全体の丸みがかわいい黒革靴を、机越しに振り上げて見せてくれた、小ジョコンダさんのことを想い出す愉しみももっらた。  『グット来るものは、……』と唐突に切り出し、……さんの靴、と積極自白を装った不躾に、陽気・愉快に返してくれたことに驚き・感嘆・感心・感謝。  動揺のせいか、黒靴の元がスラックスであったか?、落ち着いたLightBlueの巻スカートだったか?、どう頭を捻っても見えてこないのですん。  下流の汽水域はもう一つの堅牢な水門と特殊建物に棲む、黒色カタツムリ・強力な動力排水ポンプで水道・海に繋がっている。  潮の干満の影響を緩やかに受けている。  葦をかき分け踏み倒し水辺に立つことができ、長い間に砂が剥き出しになっている足場が幾つかできている。  このポイントに順に立ち込み、川に澄むすばしこく・狡猾・どん欲なのを誘う。  磁器の色と模様が、愉しみの詰まった水辺の砂を想い出させる。  麦わら帽子を被り、竹竿を担いで足繁く駆けつけた。  裏の川で採ったザリガニの尻尾の白い身を鈎に刺し、そっと遠くへ着水させた。  少しずつ引きずる、錘が石などにぶつかり、ゴツッ!、……!。 コン!、……!。  フッ〜*、と引っ張るような微かな伝達・お知らせを見逃さず、グィ!と竿先を煽る。  ブル~*・ブル~*した生き物のもだえる・逆らう震動を受け入れる。  一瞬で発火しアドレナリンが奔流する、緑波打つ草の世界、キラキラ光を反射し輝く水面、一切が祝祭・絶叫の声を上げる。  エイッ!、〜*と夏草に放り投げる。  ハゼ、背に砂、腹に海藻混じりの川底模様、クルッ~*とした目、慇懃に閉じた大きな口、吸盤のような腹びれ。  ネバネバ、クネクネを葦の葉を敷き詰めた竹籠に入れ水際に浸ける。  あたりは、誰も祝祭など行っておらず、遠くの案山子が両手を拡げ首を傾げている。  葦の岸に30mほどの丸太を渡し、砂底に打ち込んだ杭と、筋交いで押しとどめた甘い真水が、あちこちで迸る。  堰の上は平らで突起などなく、立って歩くことが出来る幅が充分あり、ずさって向きを変え戻ってくることが出来る。  それは、できる・可能ということで、数回ほどしか挑戦したことはない。  迸りには、びっしり手長海老がへばり付いておることは判っていたが、釣り方・掴まえる方法が解らなかった。  上流の真水側は、ホテイアオイがびっしり押し寄せている。  小島のように点在するこんもりした松林を通り抜け、川岸に猛繁する葦をサラサラ撫で、遥か南方からやってくる太陽風。  ニュース堤防・投げ釣り場 の情報を持って○田メカニカルに寄ったら居なかった。

=(・。.・)=と、=(゜。.゜)=、たちにあげている”ネコクッキー”に好き嫌いがあるらしい。  フリスキー・お魚いろいろ・”まぐろ味”のほうが”ミックス味”より 食いつきがすばらしい。  申し訳ないので使い切るのを待たずに、”まぐ……”を買ってきた。  これで途方に暮れたような顔が、なくなるのだろうか?!。  魚とかをあげた後は、クッキーを出しても真っ直ぐ立ち向かうことはなく、何か探しものをしているようなそぶりをする。  魚屋を覗くのがささやかな愉しみである、特に本物より綺麗な砂を背に描いた鰈や、泥鰌が忙しく動き回っているのとか、脳天を割られたオコゼ、絵のような夢の色のイトヨリなど。  珍しいコチの鮨を魚屋さんで入手、丹沢名水の豆腐で冷や奴、チチヤス低糖ヨーグルト、次郎柿でちょっと遅いお昼。  大勢のネコが遊びに来た。 オコジョとそっくりの長い立派な尾を持った顔。  ボディーがトラ模様の精悍な肢体の、新顔さんが堂々としてて圧倒された。  山に行った、木々は黄ばんでもいず、紅葉も見あたらなかった、静寂と落葉があった。 旧友と会った。  車高の高い藍青の箱が山林に停まっていた。  山間に長い影が這い上がり黄金の陽が当たらなくなるころ、旧友は『ま…………!』一言吐いて、青い箱を駆って南に遠ざかって往った。  2年前とちっとも変わっていなかった。

先日、再び山へ行った。  真っ新の冷気を吸い耳もとでビョウビョウ叫ぶヨロコビの声を聴き、南方へ向かう。  陸橋の頂上で天空を見渡し、今日の天気を占う、楽しみがヒシヒシ込み上げてくる。  ジグザクに長い道を辿る、北側の山肌を削って開かれた住宅地は静寂であり、人影がなく眠ったようである。  毎度のこととて、人物それに犬・猫とも見えることなく、ちょっと寂しく進む。  垣根越しに見える庭木が息づいていて、かろうじて生息が確かめられる。  東に走る広い道を横切り、駐車場に登り人家の庭を掠め、緩やかな坂道を漕ぐ。  汗ばみ息荒く頂上にたどり着く、切り取った竹藪の吐き出す吐息を吸い、あぁ〜*。  一息つくのももどかしく、ジャケットのボタンをはめる。  直進とS字の緩やかな一車線を滑空する。  ビョウビョウと耳元でヨロコビの喝采、熱き肉体を激しく冷却しにかかる。  最後のS字で、拠点の気配を探る。  南の斜面の畑に……島さんの姿があった。  『おっ!、……』嗄れた声を発しながら巨体が近づき、青い缶に入ったコーヒーをくれた。  うこんなど、珍しい野菜をたくさん作っている。  中腹の民家から耕耘機を持ってきたときは、びっくりした。  野菜作りにとても詳しく、土の中の細菌や虫を駆除する薬は、根から吸収されること、その安全猶予期間など。  迷いや気負いなど全くなく、ゆっくり自分のペースで手入れをしながら、話してくれた。  安易な話題注入など耳も貸さず、さらりと一蹴。  後で思い起こし、それがとても楽しく・嬉しかった。  『……は、……だな。』  半分独り言のように、ぶっきらぼうに言葉少なに、太い声で噛みつくような口で話した。  ブナやニレの雑木林の頂点から赤い陽が隠れると、あたりの景色は一変する。  灰色の寂寥が降りてきて、あたり一面を侵し始める。  みるみる間に光彩が影を潜め、冷気が背後から被さってくる。  ゆったりした勾配、半反ほどの段々畑の稲刈りは、終わっていた。  切りかぶはまだ灰茶のままで、なくなった上身の諦めはとっくに過ぎているようだ。  トボトボと南の斜面を登り、竹藪の切り通しまで汗をかく。  ビュンビュン風を切り、迫る夕暮れ具合を追いかけ、斜面を一気に下る。  夕刻でも人物、犬、猫に遭遇しない。  いま振り返っても、異空間。  箱がたくさんひしめくあたりに還る。  河面を過ぎる夜風は気持ちよく、愉しい一日の大半が終わったことを思い知らせてくれる。  西の山嶺の後方、編み笠のシルエットは黒く、天空は仄かに青い。  汚れた人工光輝の奔流を躱し、最後の斜面を遡上する。  目が覚めると=(゜。.゜)=の声がする、重い頭をもたげ這い上がり、牛乳とねこクッキーをもって窓を開ける。  白と黒の毛に覆われたコロコロした生き物が、嬉々としてウバメガシをよじ登ってくる。  『……ャ、……ァ、…*』、艶めかしい澄んだ発声を浴びる。  大きな茶の三毛も下までやってくる。 

翌朝早く、横殴りの朝陽を目指し、コンクリートの箱を脱出、人影のない住宅地の碁盤目道を縫い、緩やかな陸橋を漕いで上がる。  頂上で山の端を眺め朝陽の放射雲のたれ込みを眺め、暫し今日の空模様を予想。  一気に風を斬り下り、ビョウビョウとしたはためきを振りきる。  朝の斜光は長い尾を引き連れ、遠慮がなくキラキラ・清潔で、はにかんでいてどこかよそよそしい。  澄み切った南東の空にギラギラ沸騰するものがある。  静かなまばゆい優しい光彩が山の端から立ち上る。  彫塑の施された橋の欄干をすり抜け、コンビニでおにぎり・海苔の佃煮・おかか、大福、お〜いお茶を入手、ゆるやな長い勾配に立ち向かう。  丘陵の北の斜面、人影の全くない住宅地の碁盤目道を縫い、バイシュクルを漕ぎ這い登る。  宅地はずれの雑木林沿いを歩き登る、笹の匂い・腐葉土の発酵と腐食の飛沫が通りに侵出し続けている。  剥き出しのU字溝は前日の雨を反映している、抜け道らしく次々に箱が通る。  当然、釣友のも通るので合図を送ったり忙しい。  東に走る広い車道の信号を足早にを横切り、ドウダンツツジの歩道を登り、下る。  狭い歩道の最後の下り途中にバス停があり、注意深く縫っていく。  けっしてここだけは、往き還りバイシュクルから降りることはない、手と足をのばしガードを擦り、努めて涼しい面持ちでやり過ごす。  還りに道を塞ぐ傍若無人の、遊園地帰りの群衆がとても邪魔。  急な坂を這い上がり民家の庭先を掠め、俄に白線を引き大型バスが屯する駐車場を突っ切り、笹の藪に匂いたなびく切り通しへ。  上り詰める頃に汗ばんでいる。  笹藪特有の匂いがするあたりにさしかかると、全身が心も気持ちも体液も、ことごとくが更新される。  ほどよく葉を落とし、梢が天に刺さり夕陽が通り抜け、風が通り抜ける、静謐に充ちた雑木林はすばらしい。  末端神経や指先、皮膚全体がざわざわとはち切れる。  体内に巣くった焦燥、懊悩、錆、酸がことごとく浄化される。  山間の畑で芋煮会をやっていた、歓声が引き締まった青い天空に吸い込まれる。  いろり茶、”なごみ”香ばしいほうじ茶に、くこ葉と熊笹、ぽかぽか、ふんわり暖かい。  ”お〜いお茶は充分だ、玄米茶” を今度持っていこう。  山の端に白黄の慈愛が没する頃、山を降りる。  顔がバリバリと弾ける。  紫がたなびく薄汚れた箱が犇めく沈潜に戻っていく。  真っ赤に妬けた鎌のような月が削がれて、一抹の怨みを放射している。  荒地願望は叶えられた。  夜更け、粒コショウソーセージをフライパンで灼き、生醤油を少し。  カップヌードル、Hautes Cotes de Nuits Rouge(オー・コート・ド・ニュイ ルージュ)を愉しむ。  ねこの棚から、”ENRICO RAVA/ ITARIAN BALLADS/ TKCV-35002/ JAZZ  抜き出し、聴き慣れた哀愁を確かめる。  Barbara Casini のあきらめの絶壁から放たれるサラサラと絡みつく感嘆もすばらしい。  タイムキーパー不在の渇いた硬質のラテンのリリシズム、メロディーが進行させている。  躍動は、四肢からでなく脳天から降ってくる。  粘りつくアコーデオンが不思議な色香を醸す。  遥かな遠方に連なり立ちはだかる、山の端の薄橙の輝きを全身で浴び、牛の背によじ乗り優しい夕風に頬を撫でられ、夏草の夜露を踏みしめてひとり帰る。  『!?……。 ∨∃∂⊥∇∠♪∀∧ΓΨζ……』誰かが遠くで呼ぶ……!?。” を抜き出し、聴き慣れた哀愁を確かめる。

先日、山で陽を浴び、足をぶらぶらさせながらお話。  例によって黄金の光輝が山の向こうに後退し始め、帰る時間になった、そこで旧友は太い声を発した。  『大根、持ってくか、……?!』、と言うが早いか山間の畑にトコトコ向かい、ひっこ抜いてきたドロひげの大きな”青首”をドンと置いた。  山を降りながらその料理が楽しみであった。  買ったばかりのステンレス鍋(26cm)で、昆布、鰹節削り節の出汁で、高野豆腐、……などの煮物を作った。  鈍い白と黒の光沢を放つ熱い金属のカプセルの中で、春菊とタマネギが崩壊していた。  先っぽは大根おろしにしたら、予想以上の清冽な辛さで激しく舌を攻撃され、満足しました。  Ch. Saint Florent 1997(シャトー サン フローラン)”熟したブルーベリーの香が強く、力強い果実味がスムーズな口当たりの赤。”は、あっけない程サラリ!と喉を滑り落ちる。  それを確かめるために、もういっかい、……!。

目が覚め手を伸ばし、カーテンを引き空を見る。  曇っていて陽が射さず寒そうであったので、冷蔵庫の水をグビッ!とやって艇に横たわる。  今度目が覚めたら、昼近い。  『しまった…*』  =(゜。.゜)= の声がする、空中テーブルのあるお皿にネコクッキー、”お魚いろいろ”をザザッ!と入れ、牛乳を注ぐ。  ピンッ!とした髭の顔で手を押され、”グリグリ”頭突き、噛み噛みの挨拶をもらう。  ずっと大きくなり重くて力も強い。  天を覆っていた灰色が消え去り陽が射してきた。  顔を洗い防寒ギアーを着込む。  近くの”Mini Stop”でペットボトルの、”お〜いお茶・玄米茶”、甘酒、草餅、イクラの軍艦巻き+とろ巻きの鮨弁当、丸ごとトマトジュースなどを買う。  リンゴを剥き、タッパウェアーに詰め山へ出かける。  気が遠くなるほどの長い坂道を登り、南斜面を中腹まで下る。  『おはよう……。』、『遅いんじゃない!?、…*』、すでに桟橋にあぐらを組み、推敲にふけっている先駆者が振り向きもせず返す。  陽当たりのいい桟橋に置いた椅子に腰を下ろし、雑木林を眺める。  カサコソと藪を気紛れな風が吹き抜ける。  すっかり葉を落とした雑木林に真っ赤な太陽が入っていく頃、風を切って山を駆け下りる。  橋の上から、赤々と燃える陽が暗淡青色の伏せた箕笠に吸い込まれて行くのを眺めつつ北へ還る。  夕陽がキラキラと川面に映えるのを見下ろす。  ネギをたっぷりの牡蠣鍋を作る。  青首大根の大根おろしが美味い。  ”浅川マキ/ 闇の中に置き去りにして、-BLACKにGOODLUCK-/ TOCT-24004 を聴く。  熱っぽいボイスが気分がいい。  荒野の空気を吸い、燦たる陽を浴びた後はパリパリと顔が弾けているので、恣意が拡散出来ない音楽は聴けない。 

陽当たりのいいデッキでパイプ椅子に腰をおろし、森閑とした冬枯れの山を眺める。  さざ波で息づくキラ!・キラ!、水面からの照り返しが天井に映える。  柱の釘に引っかけたモンベルの紺のポケットから 、コバルトブルーの銀紙に覆われた”三角”の5面体を取り出す。  直視出来ない太陽が、枯れ木とけじめがつかない雑木林の上にあり、斜光で左の頬と面、手の甲が焼かれる、逃げようがない。  高菜?!でくるんだ扁平球の緑の”おにぎり”を 頬張り、”おーいお茶”をぐびりとやる。  雑木林に囲まれた南斜面の畑を、気紛れな南風が這い上がり、水面にさざ波を走らせる。  地面に向かって伸びていた夥しい枯れ木の梢が消え、眩しい瞠目も威光を休む。  風が止みさざ波が消えると再び水面に眩しい球体と枯れ木の群が出現する。  『もっと蜜が入っていると、うまいんだけどな。』  四角のプラスチックの箱 、剥かれたリンゴに手を伸ばす。  『今日は水を汲みに行って来たんだ。  丹沢の向こうは雪が降ってたよ。  反対側に来ると、がらっと変わるな。 ……消石灰、堆肥、化成もな!。  花菖蒲を植える。  明日はキューを買いに行くんだ。』  カマンベール(ナチュラルチーズ)は、頼りない歯ごたえさえ我慢すれば、飽きの来ない深淵があり、気遠い晦冥に落ちていくようでホクホクとうれしい。  陽が陰ったので逃げるように、満足しきってめいめい南北に別れて、山を降り始める。  『またな…*』  西の方から水銀のような 、たっぷり水滴を持った重い雲が登って来た。  今度、おいしい甘露な滴を欲しいんだけどと言ってみよう。  夕闇が滲みだし、キリリとした風が気持ちいい頃、ワインを見に行く。  天井までの壁一面に産地、種類で きれいに分けられた瓶を見て歩く。  トンネルのように細長い回廊の反対側には 、ケースを開けたままの木箱が床にゴロリと転がっている。  ガラス張りのパーテーションに沿って山積みになっている。  何回も回廊を行ったり来たり。  ”雪印 北海道 カマンベール 切れてる”ナチュラルチーズがうまいと感じる絶頂にあるので、いわゆる”フルボディー”を探す。  ”CHATEAU PERON LA GOURDINE BORDEAUX 1996”(CH ペロンラゴールデ)は、当たりだった。  『ムイ・ビェン』  渋くてなにやらいい明日が予感できる。

東の空が明るくなりオレンジに輝き始め、あれよあれよという間に、煌々と光彩を放ちはじめるものが、盛り上がり競り登ってくる。  松林や鉄塔、電柱、空中線は黒い影を露わに聳える。  天空高く、渺々たる風が君臨、”バーン!”とした光輝との遭遇をよろこぶ。  未だ碧さを残す天空、ゆっくりさまよう白雲は激しく照射され、戸惑い尻込み・後退する。  長い艦隊は分断され・断ち切られ、端から破綻・霧散する。   大きなお盆・山吹色の月、いっそう照射を惜しまず、ぐんぐん悪びれず登る。  優しいコロナのような、淡く滲んだオレンジの絹の光彩を放っている。  ワーァーン、…*、と東方が朦朧と華やかに、明るい歓喜に満ち溢れているようだ。  眩しくないがありがたい慈悲が、あたりいっぱいに溢れている。  黒い屋根や木立のシルエットに、煌々と冷ややかな波光を照射し続ける。  =(゜。.゜)=、 =(・。.・)= が徘徊に疲れてだろうか?!、枯れ葉に潜り、途切れがちなうたた寝をする。  小さな丸い背に銀光がゆっくり降り注がれる。  押し黙った黒い森や、天空を切り裂く送電線の燐光も色あせる。  月明かりの晴れた夜更け、緩やかな起伏の頂上が連なる尾根を散歩できたら、どれほど気分が良いだろうかと想う。  青鰺の干物を焙り、『パチン!』と弾ける音と裂けめを愉しみ、野沢菜を洗いよく切れる包丁で切り、”六甲のおいしい水”で炊いたご飯で遅い夕食。  青鰺はムロアジとそっくりであった、しつこさとの危うい競りに勝ったホクホクした歯応え、潔い味わい。  画像機械に映るソルジェニーツィンの風貌はいたく気に入った。  文学は読者の人生に影響を与えなければ、そうとは言えぬ。  埴谷雄高、独白「死霊の世界」をNHKで見たときも、やはり身動きできないほどの感動があった。  部屋のなかで音楽も耳に入らず、身じろぎもせず脳味噌が激しくそそり立ち、はためくような澄明な無窮の激情と安堵に浸っていた。  アメリカに亡命した先での夏用と冬用の仕事部屋には本当に感心して、思わず唸ってしまった。 

きっぱりとして穏やかに一切を断ち切った横殴りの光線、燦々を浴びる。  窓を開け放ち、外界の吹き抜け街道を作り、柔らかい南風を吸う。  壁にぶら下げた静謐な円い温湿度時計が息づき、たちまち湿度が40%近くに 黒い棒が移る。  ふつふつと荒野願望が覚醒し、いっぱいになる。  風邪ぎみなのでぐっと堪える。  噴出、弾けるほどに至らず、昼食を作る。  皮を剥いた蜜柑を薄く輪切り、さらに細かい賽の目に。  竹で編んだ小さい皿を木に架けてあり、これに入れる。  きっと、オナガかムクドリと思う番がやってきて、口いっぱいに銜え、頭を仰け反らせおいしそうに食べる。  くすんだ黒っぽい羽、羽毛に覆われて 鈍い光沢を放つ、倦まず眺める。  一回り小柄な、嘴の黄色い、眼の後ろあたりに白い刷毛を掃いたのも、珠にやってくる。  これも番が仲良く、皿の縁に掴まり順についばむ。  ウグイスも見ることがある。  クマゲラのことを想う、うっとり。  あの一切を捨棄した高僧の明瞭な眼には驚くばかりである。  ほうれん草を茹でる、キャベツを千切りに刻みボールに張った水に浸す。  菠薐草は赤くて仄かに甘い茎が好きだ。  これをカンカンに灼いた中華鍋でやってみたいと思う。  豆板醤をパラリ!、…*。  (^ ^)  大ぶりの蛤、じゃがいも、浅葱のお澄まし。  じゃがいもの微かなえぐみ 、歯ごたえを愉しむ。  ニンニクを剥き房を縦に切り、両面をオリーブ油、胡麻油でこんがり炒めて皿に空け、胡椒を擦り込んだ肉を灼く。  小さめのフライパンに大きめのフライパンを乗っける。  ……小百合さんの、”CAMEMBERT HOKKAIDO” を多めに買い込んだ。  絶妙の塩梅、ねっとりとろり、形状崩壊の危機、生地がやや見えそうで見えないエーゲ海クレタ島の白壁、真っ青の海洋が浮かぶ。  高台や階上の窓から松林越しに見る海原の静謐。  南窓を覆うラベンダーにボール一杯の水をやる。  紅茶殻を敷き詰めた鉢が気持ちよく受け入れる。  グーンと伸びた軸に白い花がほころび始めた。  未だ淡い紫、ラベンダー彩色はない。  外から還ると、ローズマリーのラテンの誘惑とこれの清冽が迎えてくれる。  夜、ふと眼を上げ、この蕾がことごとく、ぐったり頭を垂れたありさまを眼に、甚だ動転におよんだ。  試しに水を あげると一時間も経たぬ間に、真っ直ぐに天井に向かったので、安堵した。  定期的な、コンスタントな水やりが大事なのだが、それができないでいる。

木漏れ日の平穏の午睡から解き放たれ、冷水をごくごく、深く吸気をひとつ、夢想していた夏。  甘い菓子の砕けた粒や粉の匂いに誘われ、チューブ(ケブル)をよじ登り、プラスチックに覆われた扁平の空間に迷い込み、狭い隙間に閉じ込められ還れなくなり屍を晒した昆虫。  羽根のない勤勉の勇士。  一瞬、極微量の電流、あるいは圧が全身を貫いた。  同じ頃、人物は 突然思い通りにならぬようになってもた、白い板に並んだボタンを押さえ途方にくれ、暴走を停止させねばと焦り、アイボリーの直立箱に手を伸ばし、電源オン/オフボタン を押さえ続け、やっと静穏を回復した。  このとき硬質円盤に残した疵が長い時間をかけて、別の形で増大しファイル探索を阻害、その都度悲痛な音を放つことに。  1mmに満たない 勇士の不慮の殉死は、この後長きに渡り、しばしば人物を苦悩 ・不安・焦燥・苛立ちの淵に誘い込んだのさ。  Wilsonのしっかりした緊締を穿き背筋をピン!、襟元を閉め、夕陽に向かってバイシュクルを漕ぎ、いつもとちょっと違う優しい南風を吸いながら黄金に輝く西方に向かった。   一切の澱を捨棄してくれる蒼い丹沢嶺を射る。

中華鍋をカンカンに焼き紫煙を認め、オリーブオイル、胡麻油、大きいもの1/2に輪切の大蒜、ほうれん草の茎の方、松の実、先の尖った嘴形の大きな赤ピーマンのざく切りを投げ込みむ。  ひとしきり手返しを行い、往生を認め、ほうれん草の葉っぱの方を煉獄に、蓋をしたり手返しをしたり。  豆板醤をちょっぴり、胡椒をパラ…*パラ…*、とっておきの岩塩とかも塩梅しっかりとな。  ポパイ!。  胡椒、塩を擦り込んだ肉を焼く。   切り取った脂はきっと刻んで、野鳥のプラットホームに。  ねぎのピリ辛スープ が旨い。  毎度ご飯を炊飯器で炊くと、残さず食べるためダイエットを阻害する、最近やっと3回分を炊くようにした。  後の2回は、 ラップにくるみ電磁波炉で暖める。  固茹で具合が信条のブロッコリーは、マヨネーズ以外のなんかを考え中。  暖房、日当たりの良い場所に置かれたラベンダーは、たくさん水を飲む。  開花し始めた色は白っぽい淡い紫。  慣れたからだろうか、 匂いがしない、(;。;)。  暖かくなって外に出したらどうなるか心配。  湿気ってしまった煎餅やクッキーを砕いて、空中テーブルに入れる。  くすんだ深い静謐の暗灰色、椋鳥やヒヨドリ、名前のわからないのなどが 、やってきて啄み立ち去る、鶯も。  焼き梅。  白い箱に大蒜とハーブのイラストが描かれたナチュラルチーズ - ブルサン アイユ(boursin)-(ガーリック・ハーブ味)がおしい。  ほっぺたが落ちるぐらい〜*。  吹き抜ける清冽、シャキシャキの合奏の風雅、相寄る寂寥の魂が融合した淡い崩壊に驚く、 ……・シュペトレーゼ- ドイツワインをやる。  潔く溶け合い流れる屹立と受容、個と天体。  互いに饗宴を繰りひろげたちまち氷解し昇華、爽快を行き渡らせる。  Debussy, Claude を聴こうと思いすぐ気が変わり、Ravel, Maurice を取り出す。  きっぱりした、直立の広大と理知にまた感心。

玉筋魚を見かけた、ちょっと思案して通りすぎる。  塩茹でしか調理方法が思いつかない。  白黄の沙のかかり眠ったような薄日が差す、意欲に満ちて遅い昼食を作る。  天板に転がっている巨大な嘴状の野菜、大 ぶり赤 唐辛子を認めた途端食欲と同時に調理意欲が頭 をもたげ思惟が加速する。  中華鍋を焼きオリーブ油、ザクザク切ったキャベツ、大きな赤ピーマン、輪切り大蒜を煉獄に投入、胡椒、塩、味の素をパラパラ、好ましい匂いと色をしっかり確かめる。  コーンスープに牛乳を足し電磁波炉で波動を照射、ベーコン入りのパンを千切り精妙な調和・溶解・遷移を吟味。  ガーリックの入ったフランスパン風も、舌と脳髄を小気味よく鼓舞してくれる。  とてもおいしい。  多くもなくかといって物足りない想いもない。  実にすばらしい。  ゆっくりとコーヒーを炒れる。  Brahms, Johannes を聴き、遠い日々を思い起こす。  本の整理をした、IBM OS/2(Warp3、4)関連のマガジンを三山ひもで縛り、玄関に積み上げる。  とうとうほとんど厚みを増さずに廃刊になってしまった無念があり、ずっと捨てないで おいたんだ。  Windows95、Office関連の分厚い本も片付けたら、ちょっぴり腰が疲れてもた。  赤や黄、薄黄の葉がきれいな蔓の木を見つけ、にんじんの蔕の枝の隣に。  深くて鮮やかな静謐をまき散らす、紫の小さな花がたくさんの植木を見た。  ちょっとエキゾチックな気配、ハーデンベルギア というもんらしい。  蔓なので、支えかガイドが必要、垣根にすることも可能らしい。

Sel Marin de Guerande - フランス・ゲランド産天然海塩 を使ってみた。  とれとれの背黒鰯の目刺し、ピカピカ光沢を放つ、柔らかくて鱗も剥がれそう!。  頭からガブリ!と、やっつけることが出来る種類。  『ジー…*・ジー…*、パチ!パチ!』焦げる音、匂い、煙がたちまち脳裏を過ぎる。  鍋に水を張り、缶から白い粉を吹いた昆布を一枚投げ入れ、夕食の材料を仕入れに出掛ける。  横になって 、”プカ〜*・プカ〜*”浮かぶだけのブリキの金魚のおもちゃ、細川ふみえ、ベティちゃん、淡いピンクが濡れた光沢を放つ、頭でっかちの一夜干し、甘鯛を一尾。  鱗の付いた側は、きっと黒く焦げる、むっちり仄かに甘い、柔らかくしっかりした組織、しっかりした魚臭。  茗荷、フルーツトマト、絹ごし豆腐、菠薐草、ブルーマウンテンブレンド、ダージリン、オリーブ油、新ジャガ、大型赤唐辛子、シジミ、大粒の大蒜。  大蒜は房が大きく、皮も少なく分離しているやつは簡単に皮が剥ける、これの輪切り、オリーブ油、大ぶりの赤唐辛子、肉片を中華鍋に、最強の火気で 一気呵成に煉獄攻め。  海塩、胡椒をパラパラ、豆板醤も、菠薐草の茎部分を投入。  後で葉っぱの部分を投入、水が出て温度が低下。  玉葱、蜆、八丁と赤を適当に合わせた味噌汁がうまくできた。  フジ子・ヘミングの無窮、壮大、典雅、峻烈を聴く。   想わず演奏者の、壮絶な人生を想ってしまう、サウンドの端々にその片鱗を探してしまう、希有なひとり。  即興のオリジナルをとても聴きたい気にさせる、お方である。   練習をしない、ウォルター・ギーゼキングを想った。   明日、CDを探そう、そしてミルクティーを炒れて酩酊。  サキ/ ザ・ベスト・オブ・サキ/ サンリオSF文庫と、ロアルド・ダール/ あなたに似た人/ 早川書房を取り出す。  気にかかっていたあたりをめくり、新しい発見に似た喜びを得た。  文体ではなく、レトリックを楽しむ。  しかし、田村隆一の文体がひたひたと浸食、浸透するのを防ぎようがない。  狂おしい春雷、とても激しく気まぐれな大気の移動の頃は、ラテンが聴きたくなる。  徒労、鬱屈した ・無用のエモーションの燻るジャズは避け、レゲエを取り出す。  Bob Marley & The Wailers。  乾いた光輝の照射、松林を抜ける風を想う。

定刻の帰還、100万光年の彼方の第七銀河の作戦地からの速やかにして、唐突の極み。  失礼千万の仕打ち、納得やら感謝の記憶が皆無!の行い。  もっぱら、繰り返されることに於いて、これほどの普遍的なものは、見あたらず。  飽きもせず、ひたすら憧れの想いは、倦むことがない。  事態を知り、世界の一員であることの重責、重力と体のあちこちの筋肉痛を感じるだけの行い、なんとダイナミックなことに想うにもかかわらず、客観的にはばつの悪い様子であるだろう。  目覚めのサウンド、CDは 未だに定まらず、あれこれ試している。  打弦は脳天に響くし、和声はいっこうに朝陽が射してこず、弦楽はキックが不足。  Ives,Charles/ SYMPHONY NO.1/ MICHAEL TILSON THOMAS/ SRCR8519  “ヒューヒュー”と渇きに満たされた不思議な安心感と寂寥感の大気に覆われた、奇妙な優しい懐かしいさまざまな想いの遠い日にワープする、いつでも……、を試す。  ところが、 微熱や悪夢の発症の際はとてつもなく、ぴったりの寂寥の荒野が出現する。  普段は、100光万年の彼方、第7銀河からの帰還は平成になされ、なかなかすばらしい。  休みの朝食は楽しみである、前の日に準備しておいたフランスパンを斜に切り、柔らかい ガーリックマーガリン をサッと押し付け、オーブントースターに。  ポットにダージリンを山盛り2杯、頃合いを逃さずよろこびのカップへ。  フルーツトマト を三日月に切り木の器に、フライパンで焼きサラサラにし詰め直した Sel Marin de Guerande - フランス ゲランド産天然海塩 をぱらり〜*。  未だ活動が半ば、起き抜けの真っ新の頭が少しずつ 、ゆっくりしっかり覚醒するのを愉しむ。  パンの耳を刻み、空中テーブルの竹で編んだ皿に入れる。  きっと椋鳥の番がやってきて、縁に掴まり順についばむ。  弾き飛ばした破片は、雀が乱舞して追いかける。  不思議な光沢の、くすんだ羽根の色を飽きずに眺める。   椅子に寄りかかり、努めて遠い日のことを想い、Jaco Pastorius/ Who Loves You? A Tribute To Jaco Pastorius/ VICJ-60185 を聴く。  鬱屈感が皆無で憂愁が覆う。  たなびく紫のもやの中で、誰かが草原にたち呼んでいるようでもある。  風切りと呼吸の音が奏でる。  正直な切ない想いがわき起こる。  が、全世界への不条理への闘争心がふつふつと頭をもたげる。  こんな気分の時は、バイシュクルで風を切る。  しっかりした捕捉、外殻、対地のウィルソンの靴を履き、Eddie Bouer のブレーカーを着込む。

砂浜にうち寄せる潮騒、飛沫の音で始まるゆったりした沖縄島唄で、目覚める。  堤防の上に並び、腰を降ろし、またあぐらをかき、のんびりと潮風に吹かれ、日没を見ている。  多くを語らず陽に焼けた頬に 、鋭気が満ち・自信が滲んでいる。  寂しい雲が緩慢に光彩を脱ぎ、体をよじりながら無彩色に囚われるのを、じっと眺めている。  風の中で、キラキラした光の眼が語る、『 …*、 ………* だったそうじゃ。』  嘉手刈 林昌/ 失われた海への挽歌 / TECX-28062  長い休暇の ガーリックマーガリン が焼ける匂いの朝は、島田璃里/ サティ・ファンタジー第2集 ♪ で目覚めたい。  一切を断ち切る想いが、個々の一音に込められているようだ。  深い紺藍の海底に、ゆっくり錘を降ろすような静謐と明晰に覆われている。  春先の閑静な住宅地の路地、濡れた石畳をコツコと寂寥を背負って辿る古人の吐く息のようでもある。

菠薐草を食べたいと思い、2束求めた。  産地の書かれた好ましい蜆も。  暗褐色、灰色、黒の泥鰌、ぬめぬめした光沢に感心。  賞味期限の短いブルーベリージャムの瓶も。  存分に、たっぶりお浸しを主菜と心に決めてかかり、しっかり堪能しました。  茹でてからどんどん味が落ちる 、この不思議な食べもの。  おいしくいただくには、毎回作るのが一番。  削り節、シラス、甘辛いソースなどいっさい遠ざけや、ソロに立ち向かう。  火を止めてしばらく蒸らした柳川鍋は、汁が溶き卵とささがきゴボウにきれいに染みこみ、絶妙の歯ごたえでありました。  果汁がひたひたのジャムは、フランスパンに乗っけて、朝いただく。  ナチュラルチーズ - ブルサン アイユ(boursin) - (ガーリック・ハーブ味)も、入れ替わりに乗っけていただく。  対位法的に風雅を愉しむ。  ガーリックパンの焼けた匂いで朝が起動し始める。  ホクホクした感触、清冽の酸の風が吹き抜ける、爽快!。  煮沸の煉獄に落とされ、侵出した灰青の体液で濁った蜆汁に、赤みそと仙台味噌をそれぞれ適当に投下。  これからが旬の新じゃが、玉葱のみにとどめてソロを味わう心がけ。  これもしばらく火を落としてから猶予をはかる。  壁にもたれて風に吹かれ、ちょっとふくらんだ腹を突き出す女優 - 中国緑茶 - 凛。  柔らかくてすべすべした白い腹。  FMでたまたま聴いたToni Braxton に心奪われる。  少年がチョッピリぐずるような声のようなピン!と張りつめた緑のよく響くボイス、余韻が魅力。

アルミの鍋を入手。  φ220mmの一般的なサイズ、厚底、高級?でないがとても軽い、よく見ると寸胴であり括れがある。  蒸し器として使うときに、ぴったりサイズの中底板を嵌める。  華奢なので大事に使うんだ。  蒸しものは未だ考えがない。  煮炊きするに最も適した 、充分な対流を起こす鉄の丸底鍋も欲しいんだけど、重いのでいつも躊躇する。  筍を炊いてみた。  蕗と牛蒡、莢隠元、蛤を入れてみたんだ。  昆布の侵出も鰹粒子も灰汁に粉砕されちまった、別の攻略が必要らしい。  胡麻を炒り、ばちであたり、パラパラ。  1日経ちよく冷え、煮汁をたっぷり吸った褐色は、よい歯ごたえとえぐみを楽しめる。  中底板は、蒸気穴もあり落とし蓋としてとても見事に具合がいい。  盛夏の頃に失せるのでとても残念な、濃厚トマト。  過酷な荒れた土壌での栽培の賜らしい。   この新しい?発想は、手放しにて歓迎・享受・受け入れられぬ。  枷を突き破り激しい思惟で人物の心に迫る、芸術!。  Sel Marin de Guerande - フランス ゲランド産天然海塩 をパラパラ!。  紀州の鮎を、2尾焙る。  銀のパリパリの皮をかみ切りほろ苦い腑に至る。  捨棄しきった高雅、深淵、寂寥がある。  イトヨリのパリパリの皮や、魚くさいむっちり淡麗の白もうまい。  ひと筋の黄の放物 線は、煉獄からの帰還でも痕跡をとどめ、とても偉い。  トマトにも、純白を拒絶した海塩を。  蓼酢で頭からがぶり…*。  ホタテ、エビ、ピーマン、半月馬鈴薯、……を炒めた中華を、バーミャンでまた食べたいのサ。  よく響くラテン 系語、イタリア語、フランス語は風でもあり、音楽でもある。  とりわけ木漏れ日の明るい石畳のポーチの椅子にもたれ、乾いた風に吹かれながら、遠くに視線を投げかけ言葉を吐く光景は、映画を見ているような満ち足りた気分を味わえる。

Angelique Kidjo / Black Ivory Soul/ SICP 120、SalifF Keita / Mouffou/  016 906-2  を入手。  コロコロと転がり、明晰に跳躍する拍、少し掠れた優しい甘いボイス、寂寥が侵出する。  心を奪われ、時間が止まる。  乾いた弦が弾け、鼓が絶妙に打たれる。  全身に電気が走り、ピリピリとそよぐ。  精神が、研ぎ澄まされ、一切が後退し賛歌にあふれた、地平に遊ぶことができる。  感謝の魂が目覚め、生きていることに充足するの さ。  ”とちおとめ”を一箱、4個のパックが収まっている。  \500-。  細長くプッチリした小さな果実が沢山。  皿に盛りゆっくり平らげる、とても甘く清冽な優しさに包まれる。  はかない華やかな香りが吹き抜ける。  Angelique Kidjo の淀みのない、飄々たる快活、天上的受容の余裕、新鮮が迸るエモーションに浸る。  乾いた気持ちが解きほぐされ、憂愁と澄明のキラキラした昂揚にずんずん満たされる。  個にして普遍、希なる新星、いつか失う日々を憂う。  まくわ瓜(キョンシーメロン)が旬である。  これは盛夏を待たず姿を消すことが解っている。  きっと田植えの作付けと入れ替わるのだろう。  もうすぐ日本のさくらんぼが出回るだろう。  菖蒲湯のための深緑を買いそびれた。  赤い茎の 匂いは、一途の悩みの遠い日々の様々なことがらを呼び起こす。  むっとする泥の匂い、懐かしい優しさに覆われた不滅の時間。

”フーガの技法”の執拗な反芻、 ゆったりとしたテンポ、曳きずるような弦楽が治まるのを確かめてから、どれ程経ったろうか!。  起きあがる気分がいっぱいになっところで立ち上がり、南東のカーテンを引く。   白い陽が射している。  深山萩、 やや上向きに反りながら真っ直ぐ伸びた枝。  丸い葉はシンメトリー風の調和を保ち、ニセアカシアを想わせる。  スイトピーに似たピンクの小花が風に ゆっくり揺れている。  冷蔵庫まで歩き、”フランスパン風+ガーリック”パンを取り牛刀でザクザク切る。  オーブントースターからいい匂いが流れだし、テーブルを伝い鼻を擽る、腑を煽る。  大きめの漉し網、 精緻な勘合、揺るぎない蓋の常滑焼き急須にダージリンを山盛り2杯 。  待つのももどかしく、いそいそと、目の高さから大ぶりのマグカップに褐色の熱きものを滴下、少し泡立つので空気が溶け込み美味しくなるのだと思い込む。  おつゆたっぷりの珍しいブルーベリー ジャムを掬い、香ばしくて熱いパンに乗っけ、”がぶり”と頬張る。  Rondele - ガーリックとハーブ入りチーズを乗っけ、またがぶり。  卵を直にフライパンに落とす、胡麻油のいい匂いが飛び散る。  白と黄が混ざらず沿線を描き領分を競う。  黄の濃厚と白の淡白を愉しむ。  海塩と砂糖の粒をパラパラ〜*。  醤油で少しばかりのコク?を。  固茹でしたブロッコリーは、マヨネーズではいささか不満があり、さらなる味付けを考え中。  4つ割りの茎の歯ごたえがよい発見だった。  ブラームスの和食ハンバーグ的のソースがあれば最高!。  サワラを焙る 、またしても堅く締まったものになる。  これは、なんとかしたい。  雨続きで木イチゴの甘みが薄い。  笹が一斉に。シュッ…*とした薄黄緑の頭を林立させたので少し驚く。  夜は、蜆たっぷり、大きな玉葱、豆腐の味噌汁。  和歌山の鮎を焙りほろ苦い腑を愉しむ。  1999 CHATEAU HAUT MEDOC、明日、ねっとり気分昂揚のいいにおいのローズマリーを買おう。  日曜日の昼下がり 、寝転がっていたらインターフォンに呼ばれた、くろねこヤマト便で大きな包みが届きました。  大きなスイカは、とても甘くて美味しい、郷里からの励ましはありがたくてお腹も、心も満たされる。  3/4は、冷蔵庫へ。  『スイカ着いたよ〜*』の便を 、年賀はがきで書いた。

100万光年の彼方、第七銀河の小さな星の拠点での作戦を終え、帰還したばかりで未だ挺身している己を認め、すぐさま立ち上がり、地上に立つ。  日曜日の朝は特別である、まず天候のこと を気にかけ、食べたいものを考える。  朝、ご飯を食べなくなって久しい、20年以上は経つような気がする。  きっかけはあやふや、山に釣りに出かけるようになった頃は 、既にパンやコーヒーであった。  その頃、地平線を這ってくる白黄の光は、そのまま窓をすり抜け部屋の奥深くを照射した。  寒気が満ちた静謐の床に、清潔な目映い帯が長く延びた。  今は初夏なので、昆虫の合奏やユニゾンの波が窓を打つことも 、小さな吟遊詩人達が詠唱することもない。  野鳥の来訪、囀りや跳躍も、新緑の頃から陰を潜めた。  パン屑よりもすばらしいものがたくさんある、山野に出かけているのだろう。  前の日に、美味しい気に入ったパンを準備した朝はすばらしい。   幸せなよろこびの朝は、音楽を聞く余裕も出てくる。  森永-アロエヨーグルトや、ガーリックフランスパン、Rondele-ガーリックとハーブ入りチーズ、おつゆたっぷり無添加-ブルーベリージャム、ダージリンを炒れたポット、2つに輪切りにしたキューイフルーツ、冷たいリピュア、グレープフルーツを2つ輪切りにし 、両掌でギュ…*!と押さえて絞ったジュースを入れた、大きなマグカップなどを机に並べる。  うまく焼けたガーリックパンのすばらしい歯ごたえをサクサク!、バリバリ! 、湛える。  冷ややかと熱きもの、峻烈と甘美、ホクホクとねっとりを確かめる。  キューイフルーツは皮を 剥いて食べていたが、グレープフルーツ用のギザギザスプーンで掬って、あんみつのサイコロ 寒天と一緒に口に運ぶと清冽と甘美を楽しめる。  夜はプチプチの讃岐うどんの冷たいの、若狭の小鯛の笹漬け、金目鯛の開き、小ナス漬け、冷や奴。  金目鯛の開きは焼きすぎぬようにし、腹びれの部分のほろ苦い宝石を愉しむ。  カワハギのお造り、肝付きを激しく欲した。

カナブンが飛び立つところに遭遇した。  垣根の頂きで定型の堅い羽根を2枚ゆっくり広げ、その下の褐色の薄い羽根を激しく羽ばたき、勇ましい羽音を立てゆっくりふわりと離陸する。  滑らかなエンジンでもあり、何かの発表のようでもある。  思いがけないゆっくり、堂々とした落ち着きはギャラクシーの離陸を想わせる。   子供の頃ならきっと我慢できなかったであろう!、叩き落とす爽快を堪えて、羨望の気持ちであれこれ想いを巡らし眺める。  充足、安堵の紫の空に飛び立って往くのを見届けたが、懸命に持ち上げた定型の殻がシルエットになり西の空に溶け込んでいった。  全体が方形であり同様の小さいのが頭である。  ペンペン 草のような触覚が前屈みに垂れていて、全世界を憐憫の思惟で睥睨していると想われる。  オリエントの光沢を放つ堅い殻は、重圧を担っている。  乾いた澄明の浸透を保ち、一切を弾劾するようでもある。  とても不思議な感興を残していく。   圧倒的に想えた揺るぎない存在感は跡形もなく失せてしまう。  柳や林檎、水楢の幹に穴を穿つ縦縞のかみ切り虫も、固い触角をピンと立てて滑空する。  かれらは、 巡る季節の衝動と生殖の輪廻の中をまっしぐらに突き進んでいる、自信と悲壮、諦観に充ちている。  自由な飛翔を軽々と自在にやらかす dragonfly(蜻蛉)は、時間とともに徘徊し、停止、急旋回、滑空を見せるが、どこか信用できず好きでない。  どこか辻斬り、掏摸、置き引きを想わせるところがある。  特に、スー……ッ、スー……ッと 、スライド・ワープするところが気に食わない。  傍若無人というよりこれ見よがしに・確信犯の風体で、目ばかりの頭を360°回す場面などに出くわすと、腹立たしさがこみ上げる。   その動機が理解の遠くにあることが、悔しいのかも知れぬ。  蓮池で見たアメンボの超越的水上散歩 、全世界を鼻にも引っ掛けない悠々たる・伸びやかな自然体に、感じた苛立ちと似ている。  蜻蜒は、トンボでなく超高層を義務と哲学、計画で巡航する重爆撃機、B52である。   鬼、金、銀の王が棲んでいるあたりは、大理石の宮殿があり直方体がたくさん鎮座していた、静謐の孟宗竹が細い道に覆い被さり繁茂していた。  羨望でもって見上げるばかりであ り、手にした手網では届かなかった。  ヒラリッ…*、ヒュンッ…*と弧を描き、飄々と何事も無かったように、決して手の届かぬところを、悲痛に充ちた影を帯び 飛翔し、往ってしまう。  断ち切られた想いを残して往ってしまう。  うす皮・にら入り・充実野菜餃子 はいろんな野菜がたくさん入っていて、さくさくした歯ごたえ、さっぱりとそして豊饒で奥深い味わいが楽しめる。  アンサンブルの和声・調和が弾ける。  ピンクのグレープフルーツを 真っ二つに、両掌で挟みゆっくり押しつぶし、はみ出た房は切り取る、獲得した果汁と房をゆっくり飲み干す。  喚起力と密やかな生活の喜びがある。

角の”MINI STOP”でカルビクッパと赤飯を、駅前スーパーの地底で”金目鯛のお造り”、茄子の漬け物、野菜餃子、ざる豆腐などを準備する。  クッパと赤飯に電磁波を浴びせる。  プルプルした半透明のものが溶解し、クッパの器になみなみと汁が出現している。  コチジャンが辛くて華麗、果敢、精妙、大陸の奥深さ懐の深淵、寛大など、さまざまが溶け合い混じり合い、新しい饗宴が繰りひろげられる。  おおいに感心、得心、満足する。   満たされたものがきっと併せ持つ、再びこれほど満たされることのない予感・絶望が既に芽生える。  新たなる野望めいたものも!。  野菜餃子の焼き完成時の音 ・『チリチリ……。…*』にはいつも気を付ける、滅多に成功しない。  絶妙の成就時間は極めて限られている。  金目は、とろりとして淡麗、ねっとりとした情熱が通りすぎる。  青じそ(大葉)、茗荷、千切り大根などいろいろと味わう。  大きな碧紫と白の茄子は斜に切り、薄黄土色に明るい灰白を刷毛でサッと描いた萩焼き皿に盛り、パクパク口に放り込む。  何時でも懐かしい旨み、サクサク、キシキシした歯ごたえを噛みしめる。  リピュアでどん欲を漱ぎ、草原を渡る清風を飲む。   ピンクのグレープフルーツを、真っ二つに断ち、掌に挟み力と思惟を込めてジュワッ…*と、果汁を取り出す。  キューイも真っ二つに断ち、グレープフルーツやうのギザギザスプーンで掬って、 思惟のこもった清冽の淵にどんどん参加させる。  青磁風の薄い広口器から、グビ…*グピ…*いただく。  たちまち車山のカラ…*・カラ…*・涼しい風が背後から吹き抜ける。  体が芯 から冷えたようなので、ダージリンを炒れる。  この褐色、赤みがかった澄明は、魔力があり自らは近寄ってこないが、白い棚の高いところの固く蓋を閉ざした缶から、見えないアルカロイドを放ち、怪しく高潔に誘う、猫と同じである。  いつも人物を睥睨し支配する王であり、うっかり道で会ってもちらりと認め 、ちょっとばかり立ち止まり見届け、スタ!スタ!旅をお続けになられる。  あるいは気が向いたときは、塀の上を軽い身のこなしで先導してくれることもある。  食事時以外に、呼んでも来るようなことはさらさらなく、 世界の王として人物を変幻自在の声色・見えない力で操り、鼓舞する。  指導さえするから油断ならぬ、日頃のこちらの心構えが実に肝要なのだ。  暫く疎遠になった と安堵した平穏の日々をむさぼっていると、想いも掛けず外壁に沿ってゆっくり現れ、体を擦りつけて寂しい目で真っ直ぐに視線を送る。  訴えかけるような目で人物を見ることは希であるが、咄嗟にちょっと拗ねたような後ずさりした構え、瞠った大きな光の丸いものから真っ直ぐに発した視線は忘れられない。

炎上する丸いもの、直視でいない眩しいものが激しい働きを終え、穏やかに西方の山端に溶け込む頃、気もそぞろになる。  きっちりとした軽やかな底の頑丈な靴を穿き、バイシュクルに跨り西方に向かう。  蔓をずんずん伸ばし 樹木に巻き付き、ぐんぐん勢力を広げる夏草、細かい棘がびっしり纏っているものもある。  植込みを覆うが、晩秋にはきっとカラカラに乾き、変色した葉を落とし赤い実を際だたせる。   憂愁・寂寥を感じさせない朽ちていく蔓草、我々を掴まえ荒野への誘いの情熱を放射する。  夕暮れの頃はすばらしい 、今日の充実・終焉・諦め、明日へのささやかな期待を天空に満ち渡らせる。  旺盛なものはすっかり色褪せ、熱きものは冷ややかに、全ての動物体は動きを緩やかに、盛んであったものは大人しく、刺客や殺戮人、強姦者は安息を貪る。  超越的懊悩、動機、反射、疾走、衝突は躊躇する。   総体は無彩色に蝕まれ、沈黙・沈痛に沈む、山端に映え炎上する宮殿は、緩慢に変化を遂げ天空に吸い込まれていく。  台地の西斜面を緩やかに縫って降りる道、ニセアカシアの大木が覆い被さっている。  ヒュー〜*・ヒュー〜*、ボォ…*・ボォ…*、シャー…*・、シャー…*、エンジン停止、ゆっくり加速しつつ下る。  風斬り音、耳元の渦流音、車輪の回る音、通学の楽しい会話がすり抜けることも。  『おうっ …* (^ ^) 寒いか?。  元気か、おまえ!、…*。  どうしたんだよ *〜〜 ちゃんと……ってんのか?。  あんたんち …… あるんだろう?。  無いよ、…… マンだもん。 (^.^ ;)  だるいっしょ〜〜*。  どうよっ!、家庭教師?。  …… 学だって。  いい奴なの?。  ……って言うか、わりと面白い話で …* ♪└|∵|┐♪┌|・.・|┐♪ ……!。 』  ゆっくり弧を描き降下する楽しい静謐の旅は、喧噪の街道 にぶつかり、あっけなく終わる。  欄干に脚を停め 、澄んだ水量の少ない流れを見下ろす。  ピーチ色に覆われた川面はキラキラ眩しいものを反射し、満足げに見える。  ふと涼しく感じる風があると、体の露出部分から季節が浸透しスリ抜ける。  CDショップ、TOWER RECORD は駅ビルの5階にあり、ゆったりした少し高めの長いカウンターを構え、軽い身のこなし落ちついた物静かなスタッフ達が働いている。  表情が豊かな人物を見ると、気持ちのリフレッシュが起こる。  思わぬいいディスクに出会えそうな気が起こる。   還りは、たいてい真っ暗、人工照明の氾濫・疾走・洪水。  斜面をゆっくり漕いで登る、頂上できっと汗ばんでいる。  つんのめるそうになり、ハッ!…*、とする。  出掛けに一瞥を呉れ、納得とも憐憫とも、なんとも思慮深いお顔ですれ違った、ΘΘΠΠ〜は、もうそこにはいない。  = (^。^)=や、=(・。.・)= が,精力的に超越的意欲にはち切れんばかりに、駐車場の砂利を蹴散らせ、路面を引っ掻き疾走する辺りは、とても静か。  彼らの夜会は、白い三日月が西空に傾き、新聞配達のバイクが、ドコ!ドコ!走り抜ける頃なのサ。

小雨降る朝は、なによりも静謐なのがよい、きらきらしたものが無く、精神が収斂していくのが解る。  沸き立つような擾乱、思惟は湿った地面に懐抱され、世界は押し黙っていく。  ネコたちは足先が濡れるからじっと蹲り、思索にふける。  遠くのゆっくり曲がったトラックを過ぎる車輪が 地面を打ち付け、ユニゾンと化したサウンドで幾筋かの軌跡を残して北方に走り去る。  何も考えない空白の時間、ブルーマウンテンを挽き、リピュアをカップに注ぎ、ガーリックパンを切りオーブントースターへ。  輪切りのグレープフルーツを掌で強く押し絞りジュースに。  青磁風のコップには末広がりの脚があり、すっくと聳える。  体の内から外へジンジン熱くなる、いい目覚め。  Rondele - ガーリックとハーブ入りチーズとひろさきや - 山葡萄&ブルーベリー、牛乳、アロエヨーグルトを冷蔵庫から取り出す。  いいにおい、歯触りのパンをゆっくりと口に運ぶ。  苦くていいにおいで気持ちが昂揚、充足させてくれるコーヒーはすばらしい〜*。  ブロッコリーの固茹でがうまくできて嬉しい。  沈潜、 鬱屈、内攻、摩擦、燃焼するジャズは朝には聞かない。  跳躍、推進、拡散、躍動するアフロポップを聴く。  リピュアの2リットルサイズを箱で入手できた。   お昼は蜆の赤だしを作り、鶏魚・イサクのお造りにライムをたっぷり、茗荷を刻んでシャキシャキを愉しむ。  赤だしに固茹でのブロッコリーの短冊茎をトッピング風に加える。  いい歯応えの鮮やかな緑と赤だしは、口の中で解け合って新しい納得のいく味。  冷奴は特別の醤油を冷蔵庫から出し、茗荷を乗っける。  飽きることのない変わらぬ精妙にいつも感心する。  ねっとりしつこい白は珍しく清冽な表情を発揮、晴れ晴れ解放がありすばらしい。  ダージリンを炒れ、ワンポントロゴのマグカップを机に運び、本を開いて 活字の森を散策する、そしてたちまち眠くなり、ふと気が付くと午睡に墜ちておった。  ビル・エバンスを聴くといつもこうだ。  エバンスはたいてい、急に思い立って聞くことがほとんど、好きではない ・食わず嫌いでもないが、たまに聞きたくなる。  気持ちとしては試しに聴いてみよう、きょうは気持ちに余裕があるから。  好きになれない己の感性を確かめ・見つけるためでもある。  こんどこそは、片鱗でも感じよう・掴まえようと、前向きに向かうんだ!。  たいてい成就しない不感症のサウンド、青白いエモーションに辟易するのだが。 

恐らくCDを手に取り、懐き期待し・求めているものと、サウンドから生成・提供されるものが、大きく隔たっておるのだろう!。  それは間違い無く・論を待たないが、その”違い・隔たり”自体が明白でないところに、引っ掛かり・悩みがあり・興味が生まれる。  ”?”、への興味・惹きつけてやまない情念は、全世界の普遍。  おっ!、(゜∇゜)これはこれは、いいじゃないか!。  という、衝突の衝撃から生まれる、”ヨロコビ・快感”、あるは”アドレナリンの噴出”、思いがけない思考回路の近道発見に似た感動を探している。  耳慣れず”不可解・不思議な音楽Jazz”、おやっ〜*、なんかいいぞっ!、と初めて感じたのは、ずいぶん前・何十年も、であるがつい最近のようでもある。  チャーリー・パーカーやアート・ペッパー、ソニー・ロリンズで もなく、あれは、なんだったんだろう!、今でも悔しいのはJazz風Bachからであった気がすること。  即ち、未だJazzの面白さをサウンドからしか受け止めていなかった。  そのあとは、よく解らず混沌とした気持ちで、ジャッキー・マクリーンを聴き、……があり、そして”Donte”に毎夜通い全身でフリー・フォームJazzにズッポリ!。  客観に満ちた抽象体、サウンドが個々に受容され、めいめいの思惟で形を持ち、何時しか主観を帯び感動を呼ぶ、音楽。   活字などの情報でこれは良いかもしれぬ、いやそうに違いないと想った・感じたものは、”我慢して”聴き込む姿勢もまた大事であるとつくづく想う。  敗北のようであるが、挑戦だとも・実験だとも言えるんじゃないか!。  もちろん俄に、いわゆる”名盤”だったとしても、あぁ〜*グッと来た、なんとすばらしい!、と感じることはない。  きっとその類は、すぐにつまらないと感じ・自己嫌悪にさえ、そして遠ざけるんだ!。  飽きないようにわざと、遠ざけるこ ともあるんだが。  ある日突然それはやってくる、だから面白い、実に魅惑に満ちておる。  この個人や気分による違いは、直視出来る映像・客観とは、少し様子が異なる。  違いを生む一番大きなものは、個々のこれまでの音楽体験 やそのときの気分・調子。  良い結果が得られなくて、なんだか、がっかり…*。  夜はメバルの一夜干しを焙り、ライムをチュッ!、…*。  高菜のわさび漬け、キュウリの糠漬け。  トマト。

OFRA HARNOY を聴く。  ”昼下がりの情事”では、少ししかチェロを弾く場面は無かったが、あれこれ想いを巡らせる。  アートシアターのそそり立つ急勾配の席で、白い昼間に観た気がする。  新聞社と同じビルに出来た新しい映画館は、ロビーからすぐ横の急な階段を搭乗する。  清潔な空調が行き渡った、静謐な空気に充ちていた。  去年マリエンバードでや、逃亡者、天井桟敷の人々、誰がために鐘は鳴る、魚が出てきた日、博士の異常な愛情 - または私は如何にして心配するのを止めて水爆を・愛する・ようになったか 、……、モノクロがほとんどだった。  還りも急な階段を降下、白日の乾いた道路をとぼとぼ往く。  日陰との対比は激しく目にすこし痛い。  思い出せる映画はそこで観たもの がほとんど。  映画は、出来るだけ多感な若い時期に観るものである。  味わいのある映画が多いこともあるが、きっと後で、幾度となく楽しく想い出すことが出来る。  理解出来なく、しかもとても印象的な場面を、ずっと後になって想い出し、”?”がハラ…*ハラ…*、プイッ!と解けることがあり。  ホク!ホク!と嬉しさに包まれることや、勘違いに恥じ入ることもある。  とても長い時空を経ていると、ずいぶん美化されていて、面はゆいこともある。  『またなっ!…*』  ころころした肢体をゆったりの上下につつみ、砂浜を駆けだす。  白い砂浜の草が生えたあたりに広げられた生活を認め、きっと 思惟がかき乱される。  くるりと体を交わし渚に向かって、ポン!と獲得したサッカーボールを蹴ってしまう。  走り去る車の後塵を拝し、大きな元気な声を投げかける。  あっと いうまに終わってしまう、TVCF。  鮟鱇を見つけられなかったから、牡蠣にする。  小松菜、深層水絹ごし、ライム、馬鈴薯。  昆布、ザラメ、薄口醤油、料理酒など目分量。  小松菜は茎を断ち丸ごと、大きめの浅鍋で。  澄んだ琥珀色のスープは精妙・淡麗な塩梅でうまくでけたようで得心。  朝は、Rondele - ガーリックとハーブ入りチーズがたのしみ。  手作り無添加天然水使用のバターロールは、丸くてふんわり、もっちり。  オーブントースターで少し灼く。  褐色の豆を小気味よいサウンドを聴き粉砕する。  褐色の紙の端をきちんと織り込む。  沸騰で攻撃し周囲から浮遊させ、アルカロイド?を抽出する。  広口瓶の蓋を回し、透けた固まり 数個、取り出す。  ほど良い苦みと鬩ぎ合う甘味の調和を目指す。  重厚洒脱な芳香が侵攻し、酩酊が後頭部からはい上がる。  足の先がジンジンして、 思惟が昂揚、鋭気が体中に行き渡る。

”メデューサの蛇”のように支柱に絡みつき巻き付く。  強靱なしなやかなたくましさを感じる。  未だφ6ほどの幹は、ごつごつした起伏があり表面はすべすべした剥がれやすい外皮に覆われ、中程でいくつかの枝に分かれ、想うがままのうねりで上昇する。  支柱で奔放な発展の 思惟に何らかの影響を及ぼすことは到底できず、上昇の意志をひたすら支えるのみである。  掌で緑の葉をそっと触るとと、たちまち強い匂いが立ち上る。  脳髄を直撃する、官能の深淵・喚起がザワザワと興る。  インドシナ半島の奥深い森林の中に突如開けた草原に建つ宮殿や石積み、通り抜ける乾いた風を、きっと想ってしまう。  ローズマリーには、欅風に放射状に枝を真っ直ぐに伸ばす種もある。  眺めて楽しいのは、”メデューサの蛇”。  奔放、強靱、うねり、深くて渋く、求心する 思惟と倦まず発散する寛大。  すばらしいぃのだぁ〜*。  小ぶりの蜜柑、ひび割れたように見えてしまう疵があると、更に美味しそうに感じさせてくれるところが、またまた心憎い。  皮が隙間無くしっかりくっついて おり、剥くのに時間がかかる。  とても濃くておいしい。  リピュアを電磁波炉で暖めてみたら、さらにサッパリした、おいしさでありました。  湯豆腐をもろみ味噌で頂く、淡白とこくが合奏しあっておいしい。  これは、鮟鱇鍋でも、発揮されたのだった。

boursin(ブルサン)のフレッシュチーズガーリック&ハーブ味をクロワッサンで愉しむ。  前の日に買っておいたパンをオーブントースターで、軽く焙って食す。  いいにおいが漂い始めると、眠っていたスイッチが入る。  ダージリンを炒れる。  小ぶりの蜜柑、 やや扁平の皮が薄くぴっちりへばりついており、プリ!プリ!した房のやつ、あるいは皮がしっかり、ずんぐりのはとりわけ頼もしい。  口の中で房が破れ崩壊し迸る清冽、濃厚を愉しむ。  表皮に遺る 白っぽい古傷に励まされる。  寒風に晒され、たっぷりの陽を浴びたであろう光景が浮かぶ。  ハリネズミの道/青木奈緒/講談社文庫を広げてみる、惹きつける文体 ・おっ!と想わせそうな文節・語句を探すが見あたらない。  探しても同じであろうと想われてくる、例によって右手の書棚、一時保管・現行本置き場に戻す。  少しばかり寝かせて時間を稼ぎ、新しい個性との遭遇に見合う気分が巡るまで待つことにする。  そのまま、たくさんの日々が過ぎたとしても構わない。  藤原正彦/ 若き数学者のアメリカ/ 新潮文庫、〃/心は孤独な数学者/ 〃/〃を広げる。  文体は言動と同じくしないことを思い知る、すごすご遠ざける。  再び拡げることがあるかどうか、解らない誰にも。  先日、DiskUnionで耳にし、即座に入手したRob Burger / Lost Photographsを聴く。  リード(アコーディオン)の悲しい音色がゆったり繰り出され、淡いくすんだ紫が広がる。

『ピッ!、ピッ!、……』、『バサ、バサ、……』 燦たるキラキラ眩しい朝陽を浴び、生き物の乱舞・跳躍する気配。  真っ新の精気を撒き散らし、激しく 羽ばたきあからさまに 生を謳歌している。  バチバチと放電しオゾンを生成しまき散らすような錯覚。  そっとカーテンを引いて見るが、既に跳び去っていて姿がない。  力強く、鋭く空を切り裂き、上昇し急速に遠ざかる仄かに暖かきもの。  揺るぎない、妥協のない真っ直ぐな眼光。  前に日に忘れずに求めておいたクロワッサンを 電磁波で焙り、ブルーマウンテンを挽き濾紙に空け、沸騰を浴びせ滲出させる。  静謐の励ましの香を吸い、ゆっくりスプーンをかき回す。  鼻腔が開き、ゆったりとした雨上がりの安堵が起こる。  キラキラと昂揚が這い上がり、 思惟がめりめりと起きあがり、 血が行き渡り、ザワザワと末端の触覚が目覚める。  ねばりのある熱いクロワッサンをちぎり、件の”フレッシュチーズガーリック&ハーブ味”を平スプーンで擦り付ける。  精妙な深淵や、南方の遮ることのない羽ばたきや喝采が開花する。  ねっとりしたものが雄弁に発表する ようだ。  たちまち気化し粘膜に吸収され、祝福される。  白いボタンが綺麗に犇めき並んだ板の脇に、たっぷりのマグカップ置き、天空を仰ぐ。  背がしっとりした吸い込まれる緑の羽毛に覆われた、丸っこいものが動いている。  肌理の細かい、濡れたように見えてしまう体は惚れ惚れするほどの気迫があり、いつまでも倦むことがない。  止まり木にしっかり定位し、尖った黒いものを足下に突き刺している。  ちょっと仰ぎ気味に喉を震わせる、素早く首を回し瞬きする。  一時も敵を忘れない 、無類の隙の無い構え。  番で訪れるものもいる。  ひとしきり摂取を続けると、枝を移り嘴を左右交互に枝に擦り付ける。  その後、潔く飛び立つのだが、きっと体を丸くして暫くじっと思索に 耽ることにしておる番もいる。  午睡を貪っているようにさえ見え、可笑しい。  真っ暗な闇に残された、空中伽藍に転がった輪切りにした蜜柑は すっかり果汁が干からびてしまっている。  眠る前にきっと新しくする。  漁などに出かけない日は、昼間も新しくすることが多い。  水辺で乾いた北風に晒されると、親指と人差し指の摘み部にきっとできるアカギレが痛い。  瞬間接着材(エキバン)で固めると、嘘のように解決。  菠薐草を茹でる、特に赤い根っこの部分が旨い。   炒り胡麻を小さなすり鉢で当たる、これはそのまま食卓へ。  繊切りのキャベツを冷水で暫く晒し、マヨネーズで合えチョッピリもろみ味噌を加える。  死海の塩と胡椒で灼いた肉と交互に頂く。  BOB DYLAN/ Blood On The Tracks ハモンドオルガンの響きはたちまち僕らを蹂躙する。  心地よい揺らぎ、甘美な和声は脳髄を直撃する、官能と寂寥、安堵に包まれる。  南風が吹き荒れ、心乱れる。  白い道や黒い森、屹立する電力線柱、たなびく煙、そよぐ木立。  一切が、乾き、ヒリヒリと悲鳴を吐き出す。  どこへ、向かうのか。  何かに向かうことが、できるのか。  戻ることと、何も変わらないのでは、ないのか。  夢を見ては、いけない、漠然とした希望は持ってはいけない。  鋭い洞察力、英知に裏打ちされた、英断で降りかかる火の粉を、その前に素早く振り払うのだ。

鰤だいこんを作る。  かつら剥きダイコンを程良い厚みに輪切りにする。  昆布を敷き、信頼を置くアゴの粉末パックを投げ込む。  にんじんを四つ割り、玉葱を2つ割りに。  鰤の切り身を入れ、砂糖、醤油、清酒を適量、落とし蓋をして時間まで加熱。  三つ葉を散らして出来上がり、暫く冷蔵庫に置き仕上げる。   大きな鍋を取りだし、菠薐草を茹でる。  ぬるぬる感のある煮汁を、一気に棄てる、朦々たる湯気で前が見えなくなる。  なんだかとっても多くの成分を含み、栄養がありそう。  畑に蒔くのは、どうだろう!?と想う。  カマスを焙る、これは冷蔵庫で一晩置くと、ホクホクした逸品に変わる。   焦げ目で安易に判断すると、焼き過ぎるので油断ならぬ。  骨はとても硬いので面倒でもゆっくりと丁寧に外す。  昆布をアルミの深鍋に投げ込んで置いた、元の大きさに復活し伸びやかにたゆたい、緑に変わっていた。   いつものことながら、生命力の根源を覗いたような、不思議な魅惑を覚える。  件のアゴの粉末パックをふた袋投げ込む。  高潔清浄の 匂いが立ち上る。  晴朗カラカラの寒風に晒されたカラリとした、痩身を想う。  灰白色に仄かな青の背、黒の線状が走る。  冬の後半のためであろうか、上半身の緑が痩身の大根を輪切りかつら剥き、短冊に揃える。   青森下北半島からの長旅の蜆、そっと煮沸に入れる、一瞬の断末魔の果て、青白い体液が ゆったり広がっていく。  アルミ板とぶつかる音のなんと、風情のないこと。  ワケギを切り揃えザクザクと投入。  深みのある爛熟の味噌を 溶く。  とろりとした、喉越しの海洋深層水豆腐を、掌で賽の目に断ち、ゆっくりと投下。  きっといい匂いが部屋に広がる。  納豆をかき回し、抗力を感じたところで、熱い飯に乗っける。  透明の短冊大根をハフハフ、とろとろの納豆の祝福を受ける。  生焼き肉の影が薄れてしまった 、濃密が敗北、淡白に見えてしまうるものが賞賛を。  ヒリヒリとした濃い赤のセイロン。  落陽の薄赤と空色の浸食をずっと見ながら、寒風を切り歩きまわった日は、ダージリンの寛大・解放・淡麗は躊躇した。  鋭利な明快の昂揚を摂取 したつもりでも、心は晴れぬ、跳躍できぬ。

井上ひさしほか/井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室/新潮文庫を読む。  ザクザクと切り込んでくる読み応え、一言半句に感動する。  『うとうと』と、『うつらうつら』の違いが、お勧めの辞書とともに明快に述べられている。  『うとうと』は、半分心地よい眠りに入っている、『うつらうつら』は、なかなか寝付けない。  更に、『文化』は売り買いできない、『文明』は売り買いできる 、など胸が空く想い。  『…… ……。』までが、文であり、その前に文節があり、文が集まり文章に。  次のくだりで圧倒され息を飲む、『記憶の海のこと、長期記憶には、おびただしい数の過去の体験、……、数千の重要基本語彙。  これらの構成要素が一定の定理によって統合されており、いわば長期記憶はひとつの巨大なシステムである。  中味はそうやたら変更されることなく、海のように大きく、そして静かに波うっている。』  主語を削ってリズムを出す、『夫を殺したい。』 など。  日本語には性別があり、英語などにはなく、台詞には『彼が言った』などと付ける。  ”おもう”は大和ことばだから、ひらがなで。  日本語の音節は104個、中国語は400個、英語は3000〜80000?。  『湯を沸かす。』 などの、”を”は出来上がったものを指す決まり。  象は鼻が長い。  の”は”は、既に明らかになったものに付ける、そして”が”は未知・不定のものに付ける。  日本人は無意識に使い分 けているが、外人はこの勉強から入る。  文章が活き活きして面白いのは、予想もつかない展開や、もともと自分の中にあったものが、長期記憶の中からヒュッと飛び出すこと。  意識を研ぎ澄まし、観念的・理屈でなく具体的に、使おうとする言葉の出生を訪ねる。  なにやら元気が出せそうな気がしてくる、魅力いっぱいの本である。

『はっ…*、……!。』、虚を衝かれる。  急いで、軒下の深山萩と笹、窓辺に置いたローズマリー、ラベンダーに水をあげる。  なんとかきちんと絶やすことなく、上手く水をあげたからか、萎れることなくいてくれた。  伸び上がる枝から放射状に付いた棒状の葉は旺盛が溢れ、下部の枯れたあたりはすばらしい。  膨らみの頂に眠ったような静謐を湛えた、深い青紫を開くラベンダー。   小さな白い花を散らし、メデューサの狂乱で枝を延ばす、甘くて狂おしい香りのローズマリー。  闇に覆われた海に突堤があり、ひたひたと潮がうち寄せている。  バイシュクルに跨りその上を滑空している、少しジャンプして右に曲がろうとして体を倒し重心移動にかかるが、曲がりきれず崖から跳び出し天空を飛翔している。  夥しい数の鮮烈な白と目映い紺青の山嶺が眼下に広がり、その非の打ち所のないパノラマの広大、遠大の俯瞰の見事さに感心する。  見たことのない光景、思わず声をあげそうなる。  落下の予感と恐怖が脳裏を掠めた途端、夢だと言い聞かせる自分がいて、我にかえり目が覚めた。  暫くはあまりにきれいなパノラマを甦らせることに懸命になる。 みるみる間に色褪せ、どんどん遠くにいってまうのだ。  空に浮かぶ、ひたひたと潮がうち寄せている路は、思い当たる光景であり、鮮やかなパノラマの広大は新しい発見・遭遇であり興味が尽きない。  日替わりのメニューは たいてい、予め知ることは少なく、出会いの歓びが付いてくる。  ラジオで次々にかかる音楽と同じく、新しい発見・展開が愉しめる。  これらの音楽はほとんど好みと合うことががなく、 聞き流すように摂取する、そして常に新しい衝突が連なる。  自分の音楽ソースコレクションでこの歓びを得るには、ちょっと手の込んだ事をやる。  壁一面6段の棚の前に佇み選んだCDや 、別室のLPから編集した テープやディスクを作成し、完成すると棚晒しに。  忘れた頃にこれを取り出し、とっておきの気分が過ぎる、横殴りの朝日が木々を通りすぎる休日や、ガラス越し忍び込む雨音と静謐の薄明かりで、本(フィッシュ・オンなど)を広げ、うとうとしながら聞く時である。   このとき、ひとりで西日本・関東甲信越を旅して歩いた、5月と夏、正月休み、ずいぶん前のことが、つい最近のように、次ぎ次ぎに脳裏に過ぎり魅惑の時間を過ごす。  それは、ラベルであったり、西アフリカの5/6拍の、前のめりアンサンブルだったり。

朝は、雨にけぶる木々、笹などの外景を眺め 、トマトジュースをゆっくり飲み干す。  クロワッサンをオーブントースターで焙り、ブルーマウンテンを挽き、濾紙でゆっくりマグカップに炒れる。  Boursinのガーリックナチュラルチーズを 、千切ったクロワッサンに乗っけてかぶりつく。  ねっとりした歯応え、美味しい、しみじみしあわせ!。  おいしい味噌 (ヤマキワ<元祖秋田味噌> - 天然醸造一年六ッ月)に出会ったので、みそ汁を作るのが楽しい。  深い褐色を帯び生気に溢れ、活発である。  袋詰めを深タッパーに移し て使う。  缶から程良い寸法に切った、白い粉を吹いた昆布を2枚取り出し、水をはった鍋に。  すっかり戻った頃合いに、削り節を目の細かい金網籠にたっぷり詰めて浸し、炎燃で加熱。  沸騰したあたりに火を止め、金網籠を取り出す。  大きめのタマネギを剥き、ザクザクと断ち投入。  しばらく煮てから火を止め、味噌を溶く。  室戸の深層水豆腐を掌で賽の目に切り、入れることもある。  茗荷を刻みシラスに混ぜる。  小さな円筒に入った納豆をよく食べる、少ない量がとてもよい。  圧倒的なねばねばの個性が、一切の事柄に与える影響が少なく、構えないでやっつけられる。  鶏魚の開き・一夜干しを焙る。   白くて柔らかいしこしこ、淡泊な味わい。  程良いサイズのガラス瓶の、カメヤの梅ぼしふりかけは毎日いただいている。  葛きりがおいしい、独特の喉ごしを楽しむ。  トマトのへたにナイフを刺し刳り貫き、皮を剥き八等分、 岩塩を少し。  これはご飯と一緒に。

休みの朝は、いつもとまた違った気持ちが生まれ、あれもこれもやりたくなる、それを御する楽しみがある 。  起き抜けの頭、まだ活動が活発でない、充分でないが、順番・優先度を瞬時に決める。  釣りに出掛ける時は、この心配がない。  玄関に置いたバッグと竿をもって出撃する、ミニストップに寄り、おにぎりと缶入りお茶などを入手。  日頃は、最初の部分しか聴くことの無い、目 覚ましの"♪"(スラヴ舞曲 - ドヴォルザーク)をたっぷり聴く。  ゆっくりした気持ちで朝食を頂こうと思うが、これがままならない。  CDを選び、HTMLコンテンツをあれこれ考え、コーヒーにするかそれとも緑茶、紅茶、ウーロン茶、?。  Malavoi/ She She/ 8418432の軽快、解放、情熱を聴く。  よく熟した無花果の実(花)を縦に割り、グレープフルーツ用のギザギザスプーンで運ぶ。  仄かに甘い独特のピンクの花弁を味わい、遠い日の様々な光景が駆けめぐる幸せな時間を過ごす。  牛乳を電磁波炉で熱し、クロワッサンをオーブントースターで灼く。  Boursinのガーリックナチュラルチーズをしっかり。  トマトジュース、スポーツ飲料などを準備。  最後はダージリンをゆっくり吸い、アルカロイドに酩酊する。  沈静・解放のひとときは短い。  昼は、灰干しサンマの開きを焙り、 パチンッ!と割けた銀と碧にライムをチュッ!と。  ホクホクした魚らしからぬ主題の展開、奥深い味わいにいつも感心。  二十日大根の赤と白、辛みを愉しむ。  ナスの漬け物の白と青に見とれる。  鰹削り節、昆布でしっかり出汁をとり、(例)の味噌、タマネギのシンプルなみそ汁はとても満足のいく味。  葛キリに無花果を入れてみる。  グレープフルーツ用のスプーンで掬ってたっぷりと。  黒蜜が深紅のやさしい甘さ、いい香りに変わる。  南方の光彩が透明に開花する。  縦にナイフで分割し、皮をはずしきっとすばらしい天麩羅が。 

アイスクリーム、冷水に浸した飲料水、ホットドッグが売られている。  コロッセウム状の半円に並ぶ石づくりの観覧席、プラタナスの木漏れ陽に遭遇すると汗が滲む。  前の方は学校にあるような 、無垢の木の長椅子が連なる。  確か地面に固定されていなかったようにも想う。  高く積み上げられた、大きな黒いラウドスピーカー。  鉄パイプがむき出しの足組、太いケーブルが客席の中央を這うっている。  ネオクラシックのゆっくりした想いサウンド、弦の軋む熱情、時間を弾劾する大小の鼓、喝采をあげるシンバル。  楽興が弾かれ、連打され、拡散、浸透、吸収される。  石の椅子はヒンヤリとして気持ちがよく、くすぐったい。  ピンと張った艶めかしいよく透るアルト、華奢な体に纏った巻きスカート、小さな胸の尖塔が際だつ薄い綿のシャツ、両腕を大きくゆっくり振り回し、詩を発表する。  頭の大きなリボンが誇れるのは、君だけ。  木々の彼方の太陽は、すっかり山の端に隠れ、リボンが照明に照らされる。  梢から涼しい風と寂寥が降りてきて、あたりを這い回る。  ソーダの入ったジュースは好きでない。   こうするとうまくいくと教えられ、三角おにぎりにパリパリの海苔を巻き付けて頬張る。  リードの優しい調べが夕闇に響く。  その後のことは、よく覚えていない。  夏の西日の光彩と、樹立した鉄パイプから投げられる光輝が入れ替わる頃、蝉の洪水は途絶え 、疲れた発表がいつまでも続く。

天が高い、流れる風はからりとした清潔があり、優しく感謝に満ちている。  忘れ物を取りに引き返そうとする、白い千切れ雲も寂しげである。  あちこちで甘くて狂おしい、遠慮がちな毅然とした香りに包まれる。  どこから流れてくるものか、正体が流れる筋や方向は捉えがたく、いよいよ感心が嵩まる。  謎を抱えたまま、歩みを進めていくうちに、不意に対面が叶う。  これは、唐突の衝撃を欠いては、台無しである。  でないと、もう一年またねばならぬ。  きっと、艶やかなしゃくれた葉っぱが集まった枝にくっついた、濃い山吹色がこぼれるように陽を浴びているのが見つかる。  しかし、衝撃には演者が隠れており、あまりに接近すると、ふっと 匂いが消える。  そうではなくても流れの縞の縁に会い、疎遠になり不安に駆られる。  こぼれるような花を手に取ると、不思議と香りは遠ざかってしまう。  胸のポケットに入れて持ち歩いても、皆目あかんのですわ。  銀であれ金であれ、すべからず木犀は、猫や女である。   呼んでも来ないし、後からついて来ることもない。  支配者、不羈の王としてやってきて、マイペースを貫く。  僕らを先導し、どんどんあられもない所に導く。  長いカウンターに脚がやっと届く高い丸椅子、音楽と少しの喧噪。   肘を付き夕食。  長い間、こんな経験から遠ざかっていた。  いつもは、しばし窓を放ち外気を入れ、うがいを済ませ顔を洗い、足を洗い植木に水をやる。  米を研ぎ、白神山地の水で炊飯をしかける。  材料の調達に出る、甘鯛の一夜干し を見つけた時は、喜んで籠に。  スダチも忘れずにきっと。  背は黒く焼けるが、腹はこんがりパリパリ。  少しピンクがかった柔らかく、しっかりした白身は小骨を丹念に除けたり、避けて頂く。  とても魚くさい 、自己の主張を旨味に掛けて逝ったとも想えてくる。  青と銀、ピンクのプリプリの身は檜の年輪のようだ。  ゴマ鯖の切り身に死海の塩、"塩の海"をパラパラ、きれいに焼く。  炉からパチン!、シュー!、プツプツ!、プチプチ!、快活、栄衰、終焉の発表。  これはしばらく保存、ホクホク感に期待。  無花果も不思議な魅力的な味。  軸に沿って縦に4つ切り、ナイフで円熟を切り取る。  リンゴがとてもおいしい。  深紅の球体は溌剌、円熟、豊穣があふれており、甘い、清々しいにおいが流れ出す。  ゆっくり時間をかけて噛む、口いっぱいに甘い清冽が拡散、満ちわたる。

朝陽が地平を這ってやってくる頃、『バサッ!、…*』、『ピッ…*、ピッ…*』、生き物の息づかい、気配に支配される がそのまま睡ってしまう。  『ピーッ!、…*』鋭いしなやかな発声がガラス越しに 入る。  たいていは、番が乱舞、驚喜、躊躇を見せてくれる。  美味しく雑穀や蜜柑をついばんでいると、きっと後方から相方が体を押しつけて退かされてまう。  決まった時刻に彼らはやってくる、まず椋鳥が重量機の飛来着艦、ついで雀のおしゃべり達が、最後に鴬が枝づたいに渡ってくる。  生の命じるまま、 仲間の戦ぎにそそのかされたか、いそいそ・颯爽と、突然に飛来する。  そっと近づきカーテンの隙間越し、濡れたような乾いた光沢、滑らかな光彩を眺める。  乾いた眼孔は貼り紙のようである。  夜陰が這い上がり、物陰から闇が様子を伺い 、魑魅魍魎が息づき始める頃、猛禽、小鳥はねぐらに退く。  入れ替わりに寂寥が北風で運ばれてくる。  真空パックの天津甘栗は、お腹を痛くする。  きっと、炒りたて 、近いものを求め る。  陽が西に傾き、ピーチ色に色付く頃、一日の充足があたりに満ちる頃、優しい憂愁が天空から降りてくる頃、きっと出掛ける。  ビュ〜*・ビュ〜*、優しい風を切り、耳元で『ボォ…*・ボォ…*』渦流音を聴き、ズンズン推進する。  西方の街に侵攻する、騒々しい所に上り・地底に降下、歩きまわり音楽盤を探索する。  Emma Shapplin  は、棚には見あたらなかった。  汚濁の空気に包まれた喧噪から速やかに脱出する。  高台への南斜面の坂道に差しかかり、無彩色の山の端に 熾火の燃焼が没するありさま、暫し観察する。  世界の一日の平安と行い充足・些かの悔い、明日への希望、いやがおうにも想わせてくれる。  暗灰色の牙城が崩れながら西方に引き寄せられ、茜に浸食される。   観慈悲に炎上する宮殿が瓦解、霧散、蒸発し、色を失っていくありさまは、いつ見ても感心する。  充実と安堵、成就の歓喜が這い上がり満たされる。  無彩色の編み笠の背後の光彩が奪われ、 やがて一気に、世界に冷気が降りて来る。  急いで逃げるように、何かに追い立てられる想いを懐き帰還する。

ほうれん草は茹でたてが一番、炊きたてのご飯も、ホク!ホク!どんどん進む、止めどがない。  太陽光線をたっぷり・しっかり浴び、夜の冷気をかい潜ったであろう、緑深き しっかりした葉。  厚みのある頼もしい草を見つけるときは、嬉しい。  そしてそれだけで、制作の気持ちを駆り立ててくれる。  一束を過火力で一気に沸騰、冷水を 浴びせ、ぎゅっと絞り、猫のような赤き茎、枝、葉に切り分け皿に並べる。  皮むき胡麻を小さなフライパンで煎り、小さなすり鉢であたり、濃密な香を吸い ながらそのまま食卓へ。  ねっとりした、香ばしい匂い。  納豆、シラス、ネギ、鰺の干物、梭子魚の一夜干し、ひじきの炊き合わせ、トマトなどを毎日勉強・万能机で食す。  たまにパスタをいただくと、新しい出会いを感じ少し感動する 、そしてこれは一時のものであり普遍的でない・非日常であろうと。  高台で青い山嶺を眺めつつ風に吹かれ、山仕事のあとでゆっくり頂きたい、エスプレッソはきっと忘れないでなっ、(^ ^)。   市場に出掛け、開花に並べられた白きお造りを見つけ籠に。  ねっとり仄かに甘い半透明、魚の香は稀薄、感じられない。  どんどん運ぶ、いっこうに無くならない一輪は厚く、偉大であった。  魚 はちょっと!・(−.”−;)と申す御方にこそ、きっと食してみて欲しいなっ!、といつも想う。  竹麦魚(ホウボウ)さんは、惚けたようでもあり 、いつ見ても感心する、明晰な思考、敏捷な機動をもっていることは間違いない。  大きな鰭の派手に感じる鮮やか庵縁取り、おっとり鷹揚な大陸的な懐広さは外観であり、 とても分かり易い。  濃い黄の瓜が並ぶ、真桑瓜。  まったりした奥深い静謐な味を楽しむことができる。  盛夏の前に姿を消してしまう。  風のない キラキラした充足の遅い午後、ふらり!、バイシュクルで散歩に出る。  麦畑にさしかかる十字路で、馬のような歩きの犬に出会う。  ひもを持つ子は、ゆっくりと西へ向かっていた。  まっすぐ前方を捉え、深い思索に落ちてもいた。  ゆったりと弛んだひもは形であったが、実態を失っていた。  めいめいが、思索と解放を噛みしめているように見えた。   道の脇を並んで歩くお姿は、ほぼ同じ背丈に感じられた。  舞台の光景にしては、あまりにも自然で無理が無い。  歌が聞こえてきたと想ったが。  麦が少しのびてきた、茎は少し膨らんでいる。  精米を空中遊び場に置く。  雀が夜明けに歓声をあげていたが、獲物はきっとなかったはず。  ウバメガシの新しい枝はすっかり成就したようだ。  しっかり、存分に丈を張っている。  あっという間に15cmほど、広げた親指と人差し指の渡しぐらい伸びる。  放射状に8〜12枚の 、艶やかなピカピカの葉を広げる。  太い枝にも直に葉を付ける。  先端は風車のようであり、突進の衝動を秘めている。  艶やかな葉は、真っ新で透けて眩しい。  きらきら輝く潤んだ明るい表情が零れる。  楠のような 、いい匂いはなく、南風に翻弄され元気である。  葦で編んだ筒状の炭俵の底で、蜷局を巻いていたのと同じ木である。

朝は、スラヴ舞曲 - ドボルザークとともに開く。  憂愁と跳躍、寂寥が入れ替わり出現する。  いつでも、田園や荒野、草原、森が脳裏をかすめてくれる、きっと遠い日に観た光景に似ている。  清冽、なんだか懐かしいメロディー にある自然さ、生命の躍動感が、100万光年の彼方、第七銀河のキャンプからのスムーズな帰還には、必要なんだ。  雨音や木々のそよぎの趣が一番、しかしそのものではいけない。  河面を打ち続け、すっかり飲み込まれ 溶け込み、一体となり流れる、大粒の雨音が無上。  豆乳飲料 - ”麦芽コーヒー”を試してみた。  カラメルが鼻につくが、もう少しやってみよう。  CDの買い出しに出ようとして、玄関を出たとこで、たちまち雷と 鉢合わせ、諦める。  あたりが急に暗くなり、不穏な風が旋回し始める気配、そわそわ・ワク!〜*、ワク!〜*、してくる。  壮大な演目の起承転結を身近に、いつもの自然現象で楽しめることは、実に楽しみ〜*。  遠くの方で、『ドロ〜*ドロ〜*、ゴロ〜*ゴロ〜*』、建物の壁面が白黄に輝き、黒い雲が 低くたれ込み風を呼び、はためく幟や頭に俄被り物で急ぐ人影。  ボトボト、パラパラ、ザザー、 シャー、とたん屋根、コンクリート地面、柔らかいのや堅い土の露出、笹藪、里芋の葉、水田稲、とりどりの音が楽しめる。  巣くっていた澱がたちまち流され、爽快な風が起こる。  断罪の夕立はいつでも好きである。  大気の激しい上昇摩擦 による帯電、放電が提供する騒ぎはとても心満たされる。  大地が裂け、天空が割れるほどの大叱咤、怒りの情念が天上を覆い尽くす。  大音響は、全く五月蠅く感じない。  身体を貫き、駆けめぐるものは歓喜と随喜。  見事な起承転結の幕間劇である。   存分にプログラムを遂行、あっけなく行ってしまう。  祭りの後の断ちがたい寂寥をちょっぴり曳きずる。  砂にまみれた熱き肢体を降水に晒し、なにやら歌う。  映画のシーンではもの足りぬ、何時かきっと!。  アート・ペッパーを取り出し聴きながら、本を広げ午睡。  よどみや屈曲のない、しなやかな躍動するリードは甘い。  よどみなく繰り出され、次々に変遷を行う即興に感心。  正面から対峙して立ち向かう類ではなく、精神を解き放ちあれやこれや想いを巡らす時の、聞き流すべきもの。  企てや陰謀、覇気の衝動・躍動のためには上の珠玉がある。  

パック に貼られたパリッとした、清々しい白い割烹着風の、背丈のある人物の笑顔は端正で、寡黙に見える。  はばたきの一瞬に捕らわれたか、何かに目が眩み凝固したか!?、目が赤く背は青く腹は銀を放つ。  天日干しの鰺の開き(天日干し - 五十嵐水産)は、とても旨い。  透明の膜を切り裂き、背側からきれいに切り開かれ、仄かに赤みの差した冷ややかを取り出し炉に。  背から2枚に断ち、燦々たる太陽光を浴びせ浜風に晒した一品は、新たなる変化の最中であり、好ましい 匂いを流す。  仕上げの猶予は集中が必要。  何か考え事や油断をしているときっと失敗する。  満足の焼き上がりは歓びである。  皿に載っけてしばらく放置し、ホクホク感を期待する。  ライムを切り、上方からチュッ!。  鰺そのものが引き立ち、しっかりした歯ごたえが堪えられない、あっという間に消える。  この、もうちょっとのサイズがよい 、飽きさせない。  若狭名産、○海”小鯛ささ漬”を、清水でよく洗い、酸を流す。  半分に断ち、茗荷の薄切りと絡める。  九州産高菜使用 - ”高菜漬け”の仄かな苦み、酸っぱい香り。  赤のグレデーションが白に変わる、小指ほどの大根はピリリとした清冽がある。  ”プチ大根”は、絵に描いたようなかわいい奴だ。  炊きたての、ご飯が喝采を上げ甘く感じる、どんどん すすむ。  ”北海道かぼちゃの焼きプリン” - 西友、の絶妙の甘さ加減、素直さ、野趣は、またすばらしい!。  一日数杯の紅茶 ・ダージリンは、とても楽しみ。  黄、濃い茶、薄い茶、紫、橙、焦げ茶、暗褐色、さまざまな色合いが混ざっている乾燥葉を、スプーンに山盛り2杯、急須に。  幽かな 匂いの浮遊を確かめる。  どっしりしたシンプルなマグカップの遙か上から滴下する。  一筋の滝は成就し、存分に果てたようだ。  泡立ち、たっぷり空気が溶け込んだようだ。  夕焼け色で 暫し蒸らし具合を測る。  砂糖やミルク、レモン を入れなくなってからだいぶ経つ、ストレートが極上。  別の飲み物としての、ミルクティーは滑らかな喉ごし、そそり立つコクはとても旨い。  ダージリンの淡麗、深淵、広大のためには、マカデミアンナッツやカルシウムせん、ハーベスト - セサミをちょっぴり。  Venezuela Bitterは、カロリーが詰まっているから少々(≠適量)とすべし。   思惟は澄明に澄み渡り、意欲満々にして充足感が行き渡り、気持ちにゆとりと寛大が生成される。  あぁ〜*、ΘΘΠΠ〜になる。

丘陵を乗り越え南斜面を駆け上がりやってくる、 引き締まった西からの風。  背を屈め気味に、たくさん並んだボタンをあちこち押さえ、そしてうかぬ顔で思惟の暴走を堪えているている人物を唆し、荒野願望を駆り立て激しく誘う。  とても高い天空の碧が一切を 吸い上げ・解き放ち・鉄累を下すようでもあり、不安な解放感を起こさせる。  密やかな・ひめやかな熱を帯びた、無人世界に出かけたんだ。  渺々・ビョウ…*・ビョウ…*、大気の流れ摩擦を感じ、懐かしいヨロコビの気分!。  グィー…*ン、大きな弧を描く陸橋を一気に降下、ひどく歩きにくいゴツゴツの河原に向かう。  水と空気と石の密かな呼吸に満たされた眩しい広大。   白いゴツゴツを靴底に感じ、どんどん侵攻する。  剥き出しの圧倒的な無機質・荒涼とした無彩色に近い地殻の表衣、枯れかけた草木の永続性、作為が皆無の夥しい生態。  堂々として力に満ちた、微妙な優雅さの漂う風の絶えない平原に感心 、とても満足!。  奥深く巣くった屈曲や燻る憾みが、流れ出ていく。  燦たる落日の中に長い影を曳いていた建造物は見えず。  無彩色に侵された西方の山嶺の喝采を背に浴びて帰還する。  殺戮の罪を背負って、黒い木立を目指してひた走る。  枯れ草を踏み還る時はきっと後ろに籠があり、絶命した魚が笹の下で身をよじらせているんだ。  ドアを押し暗闇に薬草の気配を吸う。  ローズマリーは遠い日々に引き寄せる。  沈静、静謐、暗紫のエーテルは気まぐれにはためき、たなびく。  ジョルジュ・サンドとフレデリックが、屋敷の奥深く逃走する。  平底浅鍋に水を張り、白くアミノ酸が凝固した昆布を投入。  一時間ほど経って見ると、生気を帯びた暗褐色が伸び伸びとくつろいでいる。  トゲトゲの水菜をざくざく、 緑を帯びた暗褐色にそろりと降ろす。  透明な淡いピンクのポークの薄切りをその上に。  倶利伽藍豆腐 - 大山豆腐を掌で大きな賽の目に断ち、そろりと乗せる。  沸騰の音で火勢を下げる。  茗荷を芯に沿って断ち、トントンと薄切り。  ライムも準備。  ホクホクした高原で遊んだポーク、眼を瞠る賽の目 はするりとした喉越し、淡麗でさらりとして洒脱。  どんどん進む青野菜。  米国モートン岩塩&スパイスガーリック風味、イタリアンハーブソルトが体の芯をジンジンさせる。  頭上から落滴のダージリンの香りを吸い、落陽の透明を讃える。  甘栗が時期を迎えた。  長い間探していたCDを、ようやく入手した。  しばらく棚に投げだし、憾みの視線を送っていたんだ。  (^ ^)の手を煩わしたりしたことは、幾度と想いだす。  ちょっぴり感慨と連想が走る。  革が擦れる官能と、叩きつけ噴出するユニゾン、律動の多色洪水。  物憂い懈怠・憂愁に低弦が饒舌に付きまとい、 思惟が広大な地平に伸びる。  弾ける弦、5拍律、作為と肉声が混沌として風が起こり宮殿が出現する。  物憂げな憂いを帯び、自然な思わせぶりの発声、カラカラと弾けたり縦横に溌剌が零れる。  全編がボイスの魅力に覆われていて、気分が大変よろしい。  疾走のポリリズム、逃走を追いかける想い。

月日が流れ大気が倦まずそして激しく奔走、雨がゆっくりと地を這い、お湿りをもたらし、地からざわざわ生気が立ち上がる。  部屋にたれ込め、思惟にふける日々の繰り返しに倦む人物も、荒野願望が頭をもたげる。  Wilson を履き気持ちのいい、カッチリしっかりした圧を享受、歓びの散歩に出掛ける。  淡く・ピーチ色の西方の空、キラ!キラ!した光輝を浴びて走り出す。  構内の芝生、樹木が吐き出す 真っ新の吐息、青匂い風を 吹いながら西方に向かう。  白い太陽風が、乾いた高層の天空を滑空する。  昼下がりにきっと西に進む一筋の白い物は、果てしない気ままの碧に無し。  大きく盛り上がった橋の欄干に足を架け、風に吹かれ眺める野はずんずん、ぐんぐん青に浸食されておった。  川縁のたくさんの葦がそよぎ、畦道に小さな花弁が開き、羽虫のユニゾンがあたりに溢れかえるのも、もうすぐ、…*。  草面を 撫で、河原の灌木の梢をかすめ、巡航する西風に心奪われる。  きっと風か水、鳥の運送による種子が、永い月日を超えて孤高の大樹に到達したに違いない。  河原を眺めいちいちの事柄、ぽつんと孤高の樹木など、いろいろ思いを巡らすのは、喜びである。  一面の 開花のレンゲの下を這う溝で、チョロ〜*、チョロ〜*、甘露の囁きがキラキラ光る。  一面に生の蜂起の気配、構え。  タイコウチや、ゲンゴロウタガメシマドジョウ、蛙、オケラミミズが もぞもぞ駆け回る、発表する。  月に照らされた草をかき分け、鷹揚に物憂げに大きく伸びをする、饗宴の夜。  メリメリ、ザワザワ、日増しに木の芽は旺盛であり、ブナに覆われた雑木の斜面に厳しい陽光が燦々と降下。  背黒鰯(千葉県産)の 天日干し、筍、そら豆、イチジク、マクワウリの黄(キンショーメロン)に再会、美味しく食す。  イチジクは縦に4つに断ち、まな板に皮を押しつけ、石井スポーツで買った OPINEL 1 2 ナイフで皮を残して切り取る。  これを小皿に盛 り、いそいそ口に運ぶ。  ほうれん草はそろそろ旬が遠ざかりつつあり、葉っぱもんが少なくなるな。  背黒さんをきれいに美味しく焙る。  銀と深青、黒が美しい。  青竹串で目から顎を貫かれ、堅く口を結ぶ、4体が藁で結わえられている。  この藁を外す、見えない煙に刺されぬように。  口を開いたうるめよりも、繊細 とても柔らかい寛大である。  ライムをチュッ…*。  背がパチン!…*、と弾けすばらしい焼け色を見せる、少ない腑がほろ苦く嬉しい。  頭としっぽを並べる。  いい 匂いにそわそわする= (・。.・)= は、いない。  CHATEAU TOURS DE BAYARD 2000/ MONTAGNE SAINT EMILION AOC。  見晴らしのいい高台の風に吹かれ、ロイヤルブルーの天空を架けるかけ声を聴いたんだ。

10時前に覚醒、タイマー仕掛けの”♪”は覚えがない、鳴らないことはないはずなんだ?。  朝は、スラヴ舞曲 - ドボルザークとともに、開くのだが。  ぐっすり眠ったとは思わないのは、きっと先ほどまで夢の中を奔走していたから?。  100万光年の彼方、第七銀河のキャンプでの奔走、はなはだ長い 夢を見た日は、体の芯が重いような気がする。  人工音で、冥界から引き戻され気分は、はれ晴れせず。  どんよりと無彩色の天空、 重い体を起こし、何も考えずにキッチンに立ち紅茶を煎れる。  黒い紙箱の封を切る。  TWININGS PRINCE OF WALES TEAを、茶の煎茶用の急須にスプーンに山盛り2杯。  待ちきれず早めにマグカップに滴下。  ダージリンとは異なる、嫌な薬のような忌みなエッセンスが 舌の上で広がる。  好きになるのには時間がかかりそう、もしかしたら嫌いのまま。  森永アロエヨーグルト、牛乳を冷蔵庫から取り出す。  かしわ堂カルシウムせんは、いつでも美味しい、飽きることがない。  サクサクと絶妙の歯ざわり、小魚粉末を配合とのことだが、そのことは舌では感じられず、美味しさでいっぱい。  お昼を作る。  ほうれん草を2束、深鍋で茹でる。  小松菜のおすましを作る。  背黒イワシの天日干しを焙る。  昨夜、白い粉(アミノ酸)の 付いた黒い四角を2枚投入しておいた浅ナベに、アゴ(トビウオの干物)の粉末パックを2個投入着火。  長ネギを一本、 斜に切り投入、砂糖ちょっぴり。  沸騰したほうれん草を、長い竹箸でひっくり返す。  これは、いつでも気が抜けない、絶妙の歯ごたえを成功させなければつまらない。  網かごに開け、もうもうの蒸気を浴びる。  勢いよく水ですすぎながら、茎からそろえる。  両掌で押さえ、水を切る、きれいに断ちほどよく水気を絞る。  小さなフライパンで胡麻を炒る。  色が変わり、油が侵出粘りが出てきたところで、小さなすり鉢で擂る。  これは、このまま卓へ。  冷蔵庫はしばらく、香ばしい濃厚な喝采に満ちる。 

不安定な陽気、たれ込めた雲間から、すかさず白い光輝の照射。  蒼白な燦光、目指す方向の定まらない気まぐれな風に煽られる。  光沢のある石が敷き詰められたばかりの、歩道がまぶしい。  新しい幾何模様、テクスチュアーの上を進む。  純潔無比の倨傲な大岩壁を切り取った錯覚。  明るい店内に入り、少し窮屈な椅子に落ち着く。  濃いめのつゆ、ネギとおろし生姜で、しこしこの縮れざるうどんをいただく。  生姜の放つきっぱりした爽快、寝過ごした朝に、清浄の風が流れる。  『塩で……。』  綺麗に切ったレモンを掴み、清冽な香りの果汁を滴下。  ホントにかわいい若鮎は、苦みに奥深い 喚起力が感じ入られ嬉しい。  琵琶湖産 天然稚鮎の天盛うどん - 稚鮎2尾、えび、なす、いんげん、レモンカットつき 680円  新芽生姜も楽しみ。  ミスド゙ に寄りメープルマフィン などをゲット、アメリカン を飲みたかったが、いい席がなくあきらめ。  森閑とした午後の空白の一瞬、トウモロコシ畑を突っ切り、街道脇のサンマルクで、 ガーリック・チーズ・蜜の焦げた香ばしい、ピリピリが嬉しいパンをゲット。  新じゃがをほどよい厚みに輪切り、電磁波炉で激しい分子運動を強制。  新しい香り、初夏の麦風、 青匂い特有のえぐみがやさしい。  まじないほどのイスラエル岩塩をパラリ。  ゴラン高原の荒涼、熱っぽい暗鬱の昇華を摂取。  ダージリンを飲みながら、ほくほくした歓迎を受ける。  倦むことがない、一口ごとに新しい風があり、発表があり、キラキラした生体の反射が起こる。  少しずつ、体と精神、分泌、循環が目覚め、生き生きしてくる。  無言の祝歌が澎湃とわきあがる。  しっかりした一日がはじまる 気が起こる。  食事の楽しみは、めざましい材料を発見し、あれこれ考えつつ作ること、デザート、お茶を飲むことに尽きる。  主菜は必須であり、務めであり主題である、主体であり生の根元である。  しかし、消費であり、摂取であり、還元、エネルギー補給である。  惰性ですらある。 

見開いた深紅の眼孔、尖ったくちばし、小魚を捕獲したどう猛な歯。  透明の円錐が見事に並らぶ、いつ見ても鋭利さに感心する。  ニンフや羽虫に似せて作る、フライのフックはこうでなければいけない。  よく研がれた楔は、よく見える方向からは、触れた途端に唇などに刺さると確信する。  マスタッドのこれは脆い、堅くて折れるのではなく、水底の石や岩にぶつかり負けて曲がる。  がまかつの鉤は、見たところくい込むかもしれないが、刺さらないと想う。  爪にそっと立ててみると、たちまちさりげなく、しかりと着地点に静止する。  試しに指で行うと、血が滲むが痛点がない。  渓流の宝石、パーマークを指してこう呼ぶが、きっとこの円錐を打ち込みたいと欲す。  スエーデンの楔では、申し訳ない。  まっすぐに推進する、閃光のしなやかな運動には、曲がったものはそぐわぬ。  梭子魚の一夜干しの胴を断ち、2分する。  力を込め、堅い骨に挑む。  チタン合金の刃には鋼の潔さがなく、前進の意欲もない。  薄い網目模様の蒼い背は焦げず、腹の銀に気まぐれに、黒豆の焼け目が付く。  皮の方に反り返り、内側は蜂蜜色に変化を遂げ 、堅い被服で覆われる。  色合いや匂いのみで、焼き上がりを測ることは困難である。  かわいいどう猛は、精悍になり憂愁を湛えて、炉から這い出る。  さらなる干物の進化をとげ、いっそう”サカナ”臭さは濃厚に、好ましく純度を深める。  生物は見事に、食物に成就した。  存分の個を香ばしい気化で明晰にする。  人物は、安堵と得心を得た。  黒潮の帯が迂回する、室戸沖の深層水の木綿豆腐を食す。  鍋を這う昆布の復活を見届け、アゴ(トビウオの干物の粉砕パック)を2つ投入、沸騰 を見ととげ 、これを取り出す。  分葱、タマネギをいつものように切り入れる。  砂糖、胡椒をいつものように。  ジャガイモの皮を剥き、輪切り、室戸を掌で賽の目に。  醤油をドボッ…*、卵を投下。  火力を停止、暗褐色の帯を引き上げた。  新ジャガは歯ごたえと、青匂いえぐみ攻撃を堪能。  木綿のしっかりした歯ごたえ、人物を黙らせる絶妙の優雅さ、軽やかさが実に嬉しい。  絹だときっと、 滑らかな繊細さにひそむ、したたかなしつこさが残る。  木綿はきっぱりした洗いざらしと同じ、飄々として潔い。  同じ材でもこれまで変わるものだと、手仕事にいつも感心。  なぜ同じ値段なんだろう。  よくない事の始まり、進行中であろうか。  手遅れに相違なく、とんと我関せず。

オクラはアフリカ原産、発音は英語のものに由来と知る。  オクラのレシピ を調べてみたんだ。  パンを求めて外へ、バイシュクルでトウモロコシやカボチャ畑の中を進む。  白い雲に寂寥があり、憂愁がある。  夏の終わりを、万象の末端、片鱗に微かにであり、明確な思惟をもって感じる。  頬を撫でる風が乾いている。  光に優しさがある。  虫の合唱が次第に大きくなり、頂点に達するあたりにさしかかる。  しばらく止まりたい衝動 。  この嬉しい騒音は魅力に満ちている。  個は澄んだ力強い、気稟ある羽音であるが、地平で他と混じり合い溶け合う総体。  不躾、無節操に感じる夥しい連呼、連打、連奏である。  予兆と言うものがなくいきなり殺到してくる。  これには、音楽、作り物は太刀打ちできない。  前後がなく絶頂だけなのだ。  断続、高低、抑揚、句読点なしにそのまま鳴り続ける。  これの終焉を見とどけるには、夜明けまで窓辺で過ご し、盗人や釣り人が袋を担いで足早に過ぎる影を目の当たりにしなければならない。  夜露に泣いた夏草を踏みしめて、朝ぼらけの道をゆかなければならぬ。  たとえば、オーケストラの演奏前のチューニングの不協和音とも、懐の広さ深さだけでも違いは歴然である。  さらにその持続力、一貫性をとってもはなはだ項垂れるばかりである。  Sun Raが一番、近いとも想う。  自在な発想、変幻自在、難解とも想える普遍性に満ちた自然音響、どちらも宇宙、地平、森羅万象に波動を発する。  明晰を極めた混沌の渦動、秩序ある無秩序。  感度の狭い、乏しい人物には同じ事の繰り返しにも想えるが、岸辺を倦まず洗う潮騒とは異なる。  いずれもそそり立ち、魂から肉体へ、内から外へ、個から複数の個へ、連帯から大自然システムへ情念が放射される。  歴然とした、必然と思惟を実態として備える。  豊饒、エモーションを浴びる。  光彩をうしないつつ後退、山端に浮かぶ雲は 高く、秋風にとばされ霧散する。  青い空に積乱雲がそびえ、酷熱の日光が漲る、白暑の虚無は、すっかり跡形もなく無彩色となった。  宮殿の炎上するような、積乱雲の燦爛たる夕焼けを記憶の中に仕舞う。  ダージリンの精妙な半透明が、第七銀河への航路を開いてくれる。  フライフィシングの情報を集めてみた。

金木犀か銀木犀の発露、 匂いの源泉をなんとか見つけ、どれほどもものか確かめたい、そんな衝動が頭をもたげ、どっかり居座る。  きっと単純に、匂いを頼りにしてはならないと、真っ先に思う。   末端に本質を侵出・発表しており、本体に近づくに従いますます存在・気配を稀薄にしておるに違いないから。  それは、本質に迫りかけると。さり気なく遠ざかって行き、無視すると足音を忍ばせて近寄って来る。  まるで、女かΘΘΠΠ〜に違いなかろう!。  漂い つつ風に流され、路地を縫って進む、あるいは屏に沿って漂う。  濃密な、生き物の官能を直撃する狂おしいものであるが、簡単に遭遇できない。  萌え立つ秘めやかな生への覚醒である。  よしんば、金色の粉雪を散らした雨上がりの路面を歩いても、その片鱗を吸うことができるばかりで、その香に包まれ圧倒されることはない。  幸せは、不意にきっぱり訪れる。  一言半句を探り、散文を繰って散策をしている時、秋雨煙る石畳を上っている時などである。   いずれも、何かしら思惟は現実を離れ、羽ばたいている思惟の飛躍の最中。  人生混沌の秘密に肉薄、”理性もまた奔走する一種の情熱である”果たしてそうか!?、などと想いを蒸らせているとき。  もしくは 気持ちのよりどころ・自由を満喫している刹那である場合が多い。  どこからか、目に見えぬ縞模様のように流れてくる。  塀や垣根、碁盤目の道を縫って、あるいはそれらの上を飛翔しやってくる。  全身を貫き軽やかに過ぎる。  満ち足りた充足の余韻が 、実にうれしいことのように想う時である。  艶やかなしっかりした葉陰に、枝にくっつき泡立つように、零れるように 密やかに密生している。  『花にも精子がある。』  きっと、こんな言葉を想い出す。  バーミヤンで豚肩ロースの特製貝柱ソース、海老春巻き、台湾鳥骨鶏「ウコッケイ」のスープ を食す。  竹編みのような、籐いすに感心。  主菜は仕上がりが毎回異なり、妙に楽しみでもある。  ソースがほとんど無かったり、シャキシャキのタマネギが見あたらなかったり。   夕闇がずいぶん早く浸食する頃になり、秋景色を求めて出掛けた散歩の帰りは真っ暗。  澄み切った空に浮かぶ白い雲と、銀色の半月を追いかけて帰還。  小ぶりの赤い柿(≠富裕、次郎、平田)の皮を剥き皿に盛る。  渋?だろうか、黒っぽい細かい粒がとても多い。  熟した果汁が浸み出ている、種の周りはスルリとしたモンに覆われた状態で避ける。

 

しかし、雨の日の釣り師は、おもちゃを取り上げられた子供と同じである。

手 と心を何処においていいか分からず途方にくれ、目は虚ろになる……。  こんな閉ざされた日は、"秘蔵"の“へのへのもへの(anik.gif)”の“よっぱ姉”さんの“弾ける笑顔”とダルマの弟子の楽興を大切に取りだして、いろいろ……、ふりかえりながら、『鬼嫁ヨッパのシックなくらし』を連続一気読み(≠黄泉)をするんじゃ〜……!!。  どうだぁ!。  『ひゃほほーい!!図書館からLINUX入門キットというのを……(8/26)、マックを経験したから次はNTだあ!なんちて、、。(8/17)、結局今日の教えは体力みなぎる物になってしまったあ!!(6/30)、……ぎゃはは!!どんなメールもいつかは返送されるのら、……(5/28)、……でも、私は熱だして寝込んじゃってる時も元気です!(5/23)、……もっともっと訳わかんない事書きたいんで、……(5/12)』 ……など。

当時は、未だ“格闘バレエ通信講座”を受講する遙か前。  アクセルとブレーキを常に懐に忍ばせ、定めた目的に一心に直進する。  鋭い目つきの侵略者を恥じない、有り余る時間を持つ頃であった。  動物の衝動のぶつかり合いである釣りの感動のみを信奉しその探求に耽る。  “穏やかになることを学ぶ”気持ちが起こるはずもなかった。  “…からだと心のコントロール…”を忘れていた…!。  10時間近く立ち続けたじんじんする足を引きずり、パチパチ弾ける野生を充電して棲み家に帰還。  静謐の暗闇に“パッ!”と広がる明かりに投げ捨てた、汗くさい後部に鍔のある薄土色のキャップ。  見覚えのあるフライが撫でつけられたまま、すっかり乾いて刺さっているのを発見することもある。  陽が傾く灰色の光が侵食するまで没頭する。  人影がなくなった渚を伝って、ふたつの点となって引き揚げる、バキバキする嬉しい疲れが足から這い上がる。  唇はかさかさ、頭のなかは『ゴォ…』と風が吹き荒れた後のように、華麗な黄昏がゆっくり錘のように降りていく。  その夜、空中の河を丸木船で“タプ!、タプ!”たゆたい航海する黄泉の国で汗をかく。  何年も前のことだが、気まぐれな南風がさざ波を起こし、風に乗ってフライを遠くまで運び、見えなくなりそうなインジケーターに眼を凝らして拠点を集中的に攻略。  夢のようなヒットをしたことや、灰色の大きな箱を左から回り込み、白い石の平原の中にパッと突然出現する眩しいキラキラの海は、いっこうに色褪せない。  時として松林の向こうにその“白い野外劇場”が出現することがあり。  そんな朝はほくほくと、しあわせである。  “ねこつん”は、ムロアジの皮と骨を『バリバリ』音を起て、『ムガオ、ムガオ、……』云いながらすっかり食べた。  よろしい!。

∨∂∇∠∀ΓΠΨζ!ッ。ウーン……!。  活字が“メリメリ”と音をたてて起きあがり、文字の影から“ヒョッコリ”楚々とした笑顔を覗かせる”ヨッパ姉”文体(≠文化体育委員)は、不安と希望の僕らの背筋をピンと伸ばし澄明な恣意を呼び起こす。  とらえどころのない清冽な爽快感でもって、心を捉えて離さない魅力に覆われているだす。  ……やはり、いいなぁ!!。(註:STRAVINSKYが棺を覆う直前にBEETHOVENの後期の弦楽四重奏曲の譜面を見ながら、『……うむ、完璧だぁ!、いいなぁ!……。』、と感慨の声を上げたといふ伝聞は、なにかの折りにふっと時々思い出すことがあり、そのたびにちょいとうれしくなる。)  『VOICES OF SILENCE/ THE BEAUTY, PEACE & MYSTERY OF VOICES/ 74321 23609 2』 明るい陽の差し込む森の囁きや翠風のいたずら、東に“ずんずん流れる”ちぎれ雲の気まぐれ、波打つ怒りの草原の悲痛な合唱、冬の午後の長い影法師のたくらみがきっと暴走しようと待ちかまえているんだ。   『KOLBE-ILLENBERG-DAUNER/ KID-SECOND STEP/ MOOD 33.601/ JAZZ』長引く余韻はひたひた押し寄せる怒濤のようであるが、鋼の一撃は悲痛からの解放であり、はなはだ素朴な明るい励ましである。  『CANO ESTREMERA / PUNTO Y APARTE / COMBO RCSCD-211/ SALSA』に耳をそばだてて、“グングン加速する、引っ張る心地よい力”(=魚?!)を感じながらだよん♪!。

 

 

 

 

 

 

 

御愛読ありがとう。  

1 に続く。


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  fin.