Y.S.T第1回公演
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NYにいるとき俳優座の若尾さんから連絡があり、「春は何をしてる?一緒に芝居をしない?」とお誘いがあった。
「ヴェニスの商人で君の役はもちろんポーシャです。」とのこと。
とてもありがたいお話だったが、日本には一時帰国、すぐにNYに戻るつもりでいた私は後ろ髪を引かれながら一度お断りをした。
しかし若尾さんはひたすら待っていてくれた。私が最終的に返事をするまで…
実は私にとって新作の舞台は「新・乾いて候」が最後。その後はNY滞在ということもあり、再演の舞台だけを引き受けていた。
でも役者にとっていつでも新しい作品に出られるというのは本当にありがたいこと。
私は悩みに悩んだ末、NYに帰る日をずらしてもこの作品に出演することにした。
もちろん決断の理由にはメンバーもあった。主催の哲平さんは「十二夜」のときに気心の知れたメンバー。
この仲間で芝居を創るのは、復帰第一弾としてこれほど嬉しいことは無い。
後日、他の役者に河内さん、美央くんの名前が。本当に私にとってはファミリーのようなメンバーになっていた。
初めて顔を合わすのは相手役の林君だけ。準劇団員の林くんは劇団員に混じり、バッサーニオという大役にキャスティング。
稽古が始まった。哲平ワールド炸裂の中、哲平さんは私たちが伸び伸び出来るように、自由にいられるように気を配ってくれた。全ての役者の魅力が出るようにと気遣いをしてくれた。
稽古に行くのがこんなに楽しかったのは久しぶり。
難しいことを考えず、稽古場にいる時間を純粋に楽しむ…これは研究生以来の事かも知れない。
役者として舞台に立つようになってから、常に私は稽古場では多大なるプレッシャー、緊張感の中で戦ってきた。それはとても大切なこと。でもワクワクしながら稽古場に行くまっさらな気持ち、それを久しぶりに感じさせてくれた仲間たちだった。
河内さんはみんなをまとめ、時には和ませてくれる役目。優しく細かい気配りにさすが先輩と感謝感謝。
芝居だけではなく、音楽・制作とフル回転。演出面でも河内さんの遊び心が満載だった。さすがっ!
美央くんは無邪気に振舞いながらも、大胆に芝居を楽しみ、場の空気を明るくしてくれた。一緒に出来てよかった!
彼の演技にみんな弾みもつき、芝居も締まった。忙しそうだったので体調が心配だったが…。
林くんは誰よりも早く稽古場に来て、真摯にそしてまっすぐに芝居に向かう。その姿勢はとても美しいものだった。
私は彼とのシーンでは何も考えず、相手にゆだねることが出来た。相手役で本当に楽しかった、ありがとう。
そして哲平さん、みんなを笑わせ、和ませ、引き締め…役者としてだけではなく一人何役をこなしていただろう…
とにかく今回の芝居は哲平さんの人柄にみんなが信じてついていった。

本番も私たちが想像した以上にお客さんたちが笑い喜び…
難しい緻密な芝居は大好きだけど、観ている方が何も考えずに楽しめる作品、それも本当に必要だな、と改めて思った。
実際は、杮落とし公演ということで、はっきりいっていろいろな問題も多かった。
思い返せば大変なことも多かったこの舞台。よく本番の幕が開いたものだと思う(笑)

しかし、打ち上げの席で美央くんが「いや~、楽しかった!」と言ったことに全て集約されていると思う。
私も一言
「楽しかったね!また一緒に面白いことやりたいね!」
2005.4/22記
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キャスト
MC 若尾哲平
アントーニオ 河内浩
バッサーニオ 林 宏和
グラシアーノ 田中美央
シャイロック 若尾哲平
ポーシャ 田野聖子
ネリッサ 若尾哲平
スタッフ
演出 若尾哲平 音楽 河内浩・若尾哲平
舞台監督 野島信三 照明 東京舞台照明
協力 伊瀬尚子 太田亜希 牧田亜紀
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公演記録
2006/4/14~4/16
東京芸術センター 天空劇場