カトリック講座

 

教会音楽の演奏には、キリスト教(特にカトリック)に関するお勉強が欠かせません。
が、専門書などを読んだって、いきなり小難しい用語が出てきて
さっぱりわからん、という方も多いはず。
こちらでは、そんなムズカしいお話について、できるだけ
簡単に解説しようと思います。

1.使徒・聖人名対照表
2.7つの秘蹟(sacrament)

 


1.使徒・聖人名対照表

 ヨーロッパ人の名前には、キリストの弟子や聖人にちなむものが多く、また、もとは同じ名前なんだけど国によって綴りや読み方が違う、というものがたくさんあります。
 で、この「もとは同じ名前」というのが、欧州史などに詳しい人にも意外と知られていないらしいので、ここで解説しようと思いたったわけでございます。え? 「ここは音楽のページじゃないのか、どこが音楽と関係あるんだ」ですって? いえ、関係ございます。
 教会音楽の歌詞は聖書の語句からとったものが多いため、使徒や天使の名前が出てくる歌があります。有名なものとしてはパレストリーナというルネサンス期の作曲家がつくった「汝はペテロである(Tu es Petro)」。ちなみにこれはペテロというのが「石」を意味する言葉であるため、イエスが「あなたは石(礎石)である、あなたの上に教会を建てなさい。地獄の門もこれにはかなわぬ、そこであなたに天国の鍵を授けよう」と語ったとされております。そのためヴァチカン市国の紋章は2本の鍵を組み合わせた図柄となっております。
 また、音楽家の中には国を越えて活躍した人も多くいます。たとえば「ハレルヤ・コーラス」でおなじみ「メサイア」の作曲者ヘンデルは、ドイツで生まれイギリスで活躍したので、彼を「ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル」と呼ぶことも「ジョージ・フレデリック・ヘンデル」と呼ぶことも、間違いではないのです。 


※12使徒について

 一般的に「12使徒」というと、以下の12名の弟子をさします。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」に描かれた弟子たちと一致します。

ペテロというあだ名のシモン(通称ペテロ)
ゼベタイの子ヤコブ(通称大ヤコブ)
ヨハネ
アンデレ
ピリポ
ヤコブ(通称小ヤコブ)
トマス
マタイ
シモン
バルトロマイ
タダイ
イスカリオテのユダ

 最後のユダはイエスを裏切った人物であるため、あとで12使徒からはずされ、かわりにマティアという人が加えられたそうです。そのほかにも聖書の中でバルナバという人が12使徒にかぞえられている箇所があるそうです。

 

対照表(聖書の主な登場人物)
原語(カナ) 英語 ドイツ語 フランス語 イタリア語
ペテロ Peter
(ピーター)
Peter
(ペーター)
Pierre
(ピエール)
Pietro
(ピエトロ)
ヤコブ James
(ジェームズ)
Jacobus
(ヤコブス)
Jacques
(ジャック)
Giacomo
(ジャコモ)
ヨハネ John
(ジョン)
Johann
(ヨハン)
Jean
(ジャン)
Giovanni
(ジョヴァンニ)
アンデレ Andrew
(アンドリュー)
Andreas
(アンドレアス)
Andre
(アンドレ)
Andrea
(アンドレア)
ピリポ Philipp
(フィリップ)
Philipp
(フィーリプ)
Philippe
(フィリップ)
Fillippo
(フィリッポ)
トマス Thomas
(トーマス)
Thomas
(トマス)
Thomas
(トマ)
Tommaso
(トマーゾ)
マタイ Matthew
(マシュー)
Matthaus
(マテーウス)
Matthieu
(マテュー)
Matteo
(マッテオ)
シモン Simon
(サイモン)
Simon
(ジーモン)
Simon? Simone
(シモーネ)
バルトロマイ Bartholomew
(バーソロミュー)
Bartholomaus
(バルトロメウス)
Barthelemy
(バルテルミ)
Bartolomeo
(バルトロメオ)
タダイ Thaddaeus
(タディアス)
Thaddaus
(タデウス)
Thaddee
(タデー)
Taddeo
(タッデオ)
ユダ Judas
(ジュダ)
Juda
(ユダ)
Judas
(ジュダ)
Giuda
(ジュダ)
イエス Jesus
(ジーザス)
Jesus
(イエズス)
Jesus
(ジェジュ)
Jesu
(イエズ)
マリア Mary
(メアリー)
Maria
(マリア)
Marie
(マリー)
Maria
(マリア)
ヨセフ Joseph
(ジョセフ)
Josef (Joseph)
(ヨーゼフ)
Joseph
(ジョゼフ)
Giuseppe
(ジュゼッペ)
パウロ Paul
(ポール)
Paul
(パウル)
Paul
(ポール)
Paolo
(パオロ)
ルカ Luke
(ルーク)
Lukas
(ルーカス)
Luc
(リュック)
Luca
(ルカ)
マルコ Mark
(マーク)
Markus
(マルクス)
Marc
(マルク)
Marco
(マルコ)

 

対照表(主な聖人・聖女)
英語 ドイツ語 フランス語 イタリア語 守護対象・備考
Agatha
(アガサ)
Agathe
(アガーテ)
Agathe
(アガート)
Agata
(アガタ)
火事や乳房の病気の守護
Agnes
(アグネス)
Agnes
(アグネス)
Agnes
(アニェス)
Agnese
(アニェーゼ)
貞潔の聖女、火刑でも死なず首を切られて殉教。少女の守護
Anthony
(アンソニー)
Anton
(アントーン)
Antoine
(アントワーヌ)
Antonio
(アントニオ)
疫病(特にペスト)や牧人の守護。アントニウスとも
Catherine
(キャサリン)
Katharina
(カタリーナ)
Catherine
(カトリーヌ)
Caterina
(カテリーナ)
学者などの守護。ロシア語ではエカテリーナ
Cecilia
(セシリア)
Cacilia
(チェチーリア)
Cecile
(セシール)
Cecilia
(チェチリア)
オルガンの発明者といわれ音楽家の守護
George
(ジョージ)
Georg
(ゲオルク)
Georges
(ジョルジュ)
Giorgio
(ジョルジオ)
イギリスや兵士の守護。悪竜を倒す絵でよく表される
Laurence
(ローレンス)
Lorenz
(ローレンツ)
Laurent
(ローラン)
Lorenzo
(ロレンツォ)
貧者、料理人の守護
Leonard
(レナード)
Leonard
(レオナルト)
Leonard
(レオナール)
Leonardo
(レオナルド)
妊婦・捕虜の守護。ちなみに「獅子のような」という意味
Louis
(ルイス)
Ludwig
(ルートヴィヒ)
Louis
(ルイ)
Luigi
(ルイージ)
医者・理髪師などの守護。聖王ルイ9世が病人を接吻で癒したとされる
Margaret
(マーガレット)
Margherita
(マルゲリータ)
Marguerite
(マルグリット)
Margharita
(マルガリータ)
妊婦の守護
Martin
(マーティン)
Martin
(マルティーン)
Martin
(マルタン)
Martino
(マルティーノ)
革職人や兵士、フランク王国の守護
Michael
(マイケル)
Michael
(ミヒャエル)
Michel
(ミシェル)
Michele
(ミケーレ)
いわずとしれた大天使
Nicholas
(ニコラス)
Nikolaus
(ニコラウス)
Nicolas
(ニコラ)
Nicola
(ニコラ)
サンタ・クロース(セイント・ニコラス)のもとになった人
Richard
(リチャード)
Richard
(リヒャルト)
Richard
(リシャール)
Ricardo
(リカルド)
2月7日がこの人の祝日となってますが……失念
Theresa
(テリーザ)
Theresia
(テレジア)
Therese
(テレーズ)
Teresa
(テレーザ)
19世紀のカルメル会修道女。病人や飛行士、宣教師の守護
Valentine
(ヴァレンタイン)
  Valentin
(ヴァランタン)
Valentino
(ヴァレンティーノ)
妻帯が禁止されていたローマ兵をひそかに結婚させたため結婚の守護聖人に

 

※追記 2005.4.24

※おことわり

 


 

Schola Musicaへ   HOME   「7つの秘蹟」へ