歌詞対訳講座

 

こちらでは、よくうたわれる曲の歌詞について解説します。
なお、対訳は、断りがない限り、筆者が訳したものです。

1.アヴェ・マリア (Ave Maria)
2.アヴェ・マリス・ステラ(Ave Maris Stella)
3.スターバト・マーテル(Stabat mater dolorosa)

 


  

1.アヴェ・マリア

 おそらく、みなさんが最もよく知っている聖歌がこれでしょう。
 中でもいちばん有名なのが、バッハとグノーによるもの。バッハの「ピアノ平均律第1番」を伴奏に、グノーがメロディをのせたもの。次に有名なのはシューベルト作曲のものでしょうか。ほかにもたくさんの作曲家が「アヴェ・マリア」という曲を書いています。
 「アヴェ・マリア」は、聖母マリアにささげる祈りです。
 「受胎告知」と名づけられた絵を見たことのある方もいらっしゃるでしょう。マリアがイエスを身ごもったとき、大天使ガブリエルがマリアを訪ね、「おめでとう、マリア。恩寵に満ちた方。主はあなたとともにおられる……」と祝福の言葉を述べます。その場面を描いた絵です。たいてい、マリアは聖書を読んでおり、そこにガブリエルが純潔を示す白い百合の花を持って訪ねて来る構図です。
 この「おめでとう、マリア」の部分が、「アヴェ・マリア」の訳になります。
 Aveは、aveo(健康である、幸福である)という自動詞の命令形。
 誰かに会ったときや別れるときに、「やあ」「おめでとう」「さよなら」等の意味に使います。
 歌詞対訳などでは、「おめでとうマリア」、「めでたしマリア」、「おおマリア」など、いろいろな訳し方があるようです。

 でも。
 これは筆者の勝手な私見ですが。
 「健康であれ」「幸福であれ」「めでたい」……
 等々の意味から考えると、いちばんニュアンスの近い日本語は、

「ばんざい!マリア」

 ではないかと思われます。

 また、アヴェ・マリアと言うと、この言葉ではじまる祈りの文句全体を指すこともあります。その際は、Ave Mariaは「アヴェ・マリアの祈り」と訳されます。
 アヴェ・マリアの祈りは、こんなのです。

 

Ave Maria アヴェ・マリア
Ave Maria, gratia plena;
アヴェ マリア グラツィア プレナ
Dominus tecum;
ドミヌス テク
benedicta tu in mulieribus,
ベネディクタ トゥ イン ムリエリブス
et benedictus fructus ventris tui, Jesus.
ベネディクトゥス フルクトゥス ヴェントゥリス トゥイ イエズス

Sancta Maria, Mater Dei,
サンクタ マリア マーテル デイ
ora pro nobis peccatribus,
オラ プロ ノビス ペカトリブス
nunc, et in hora mortis nostrae. Amen.
ヌンク エ イン オーラ モルティス ノストレ アーメン

おめでとう、マリア、恩寵に満ちた方、

主はあなたとともにおられる、

女性のうちで祝福された方、

そしてあなたのお腹の子、イエスも祝福されている。

聖なるマリア、神の御母、

罪人なる我らのために祈りたまえ、

今も、我らの死の時も。アーメン。


発音はあくまでも目安です。発音のページを参考に、カタカナぽくなりすぎないようにご注意ください。

ラテン語は格変化が多いので、Domineが文中でDominus,Dominumになるなど、語尾が多少変わりますが、あまり深く考えなくてもだいたいの意味はわかります。(慣れてきたらちょっとずつ覚えましょ)

Dominus ……主
tecum ……te(you)+cum(with)で「あなたとともに」となる
benedictus ……祝福する
fructus ……果実。英語のfruitの語源ですね。ここではお腹の中の子供の意
nobis ……英語のusにあたる。よく出てくるので覚えましょう。nostraeもnobisが変化した形です
nunc ……now
et ……and
hora ……hour。ギリシャ語のホーラという時間の女神が語源になってます
amen ……「心から」「本当に」という意味。心の底からこう思っています、というような意味で祈りの最後につけます。

 


 

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