2000年7月7日金曜日 読売新聞 夕刊より
Q:六曜はだれが決めているのですか。たまに順序が狂うのはどうして?
A:旧暦に基づいたルールで、暦業者がやります。旧暦の月の変わり目に順番が飛ぶ。
カレンダーの日付のわきに、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口と小さく書いてあるのが六曜。六輝ともいいます。
七月七日は大安で、赤口、先勝・・・・・・・と、六日ごとに同じ六曜がめぐってきます。規則正しいようですが、時に奇妙
な並び方が登場します。例えば今月の二十七日は先勝ですが、四日後の三十一日に、もう次の先勝が来てしまい
ます。
「暦の会」(事務局・東京都品川区)の世話人、吉成勇さん(59)に尋ねると、
「それは今の暦を見ているからです。旧暦は毎月、決まった六曜から始まるんですよ」と、あっさりナゾ解きをしてくれました。
つまり、一月は先勝、二月は友引、三月先負・・・・・・という具合に六曜の順に毎月の一日が決まってお
り、七月からまた先勝と繰り返すのです。
今月二十七日は旧暦の六月二十六日。このため、旧暦の七月一日に当たる三十一日も先勝になります。年によって
は、二日続けて大安や仏滅などという珍現象も見られますが、その理由は、ここにあったのです。
六曜の起源は中国とされています。三国志の時代の名将、諸葛孔明が作ったという説もありますが、はっきりしません。
日本では江戸時代後半から民間で使われ始め、明治六年(一八七三)に太陽暦が採用されてから普及し、今では結婚
などの祝い事や、葬式の日取りを決める時などに、何かと気になる存在です。
「暦の会」会長で文化女子大教授の岡田芳郎さん(70)は、「昔は色々な迷信があり、いい日か悪い日かを決めるのに
七通りも八通りもあって、吉凶が互いに矛盾することもありました。六曜は一番簡単なルールで、だれが見ても分かる。
太陽暦になって、旧暦の月の変わり目に順番が飛ぶようになったのも、ちょっと神秘的で魅力だったのでしょう。旧暦の
ままだったら、四月一日生まれの人はいつも誕生日が仏滅になってしまいます」と話します。
迷信に基づく民間伝承のたぐいであったせいか、六曜の読み方も様々。先勝は「せんしょう」「せんかち」「さきかち」、友引
は「ともびき」「ゆういん」、先負は「せんまけ」「せんぷ」「さきまけ」、赤口は「しゃっく」「じゃっく」「しゃくこう」という具合。
大安にも「だいあん」という読み方があるそうです。ちなみに仏滅は「ぶつめつ」だけのようです。六曜は、ルールさえのみ
込めばだれでも作れます。カレンダーや暦を作る会社は、暦の詳しい学者などに計算や監修を依頼しており、岡田さんも
監修者の一人なのだそうです。
暦を作る都内の会社に聞くと、「うちでは毎年二月一日付の官報を見てから翌年の暦を作り始めます」という答えが返っ
てきました。官報の束をめくると国立天文台が作成した翌年の「暦要項」が載っています。国民の祝日などに続いて「朔弦
望」という項目があり、新月、半月、満月の日付が出ています。太陰暦は月の満ち欠けによって決まるので、国立天文台
が発表したデータをもとに翌年の旧暦を確定してから、制作に着手する業者もいるのです。
岡田さんは、「何ら根拠のない迷信で、使わなくなる方がいいと思う」と、六曜にとらわれることに懐疑的。でも、「日本の
ように何事も円満に済ませようとする社会では、ある程度役に立っているのかも知れません。無理に使う必要もないが、
とがめ立てする必要もないんじゃないでしょうか」と話しています。
六曜の意味付け(「広辞苑」による)
先勝:午前は吉、午後は凶、急いで吉という
友引:朝晩は吉、昼は凶とする。友を引くとして、この日葬式を営むことを忌む俗信がある
先負:この日平静を守って吉、午前は凶、午後は吉という。陰陽道で公事または急用に忌むという日
仏滅:俗に万事に凶である悪日とする
大安:吉日で万事進んでよしという。今日では、多く結婚式などに用いられる
赤口:大凶の日。正午のみ吉という