感動という感情


感情も対人関係学の対象となります。よく言われていることとしては、「笑い」は、緊張状態の急激な緩和とされています。無駄な緊張をしており、緊張の原因となったことが、実は存在しないということで、感覚をリセットする時に、自然発生的な笑いという現象が出るのでしょう。

 対人関係学的に興味を抱く感情は、「感動」です。どのような場合に、感動が生じるのでしょうか。もちろん、感情は人それぞれということが出発点にはあります。だから、その人の感情をすべて読み解くというより、どういう場合に、そういう感情が起きやすいかということになると思います。そう言った意味で、感動ということを考えてみます。

 ここでいう感動とは、心温まる感動です。

 例えば、一つの類型としては、家族だったり、恋人同士だったりが、色々な事情で離れ離れになったり、仲が壊されそうになったりする、しかし、当事者の必死の努力によって、再び人間関係を維持していくというものが多くないでしょうか。こう言ってしまうと身も蓋もないので、ピンと来ないかもしれません。

 また、誰かが、何かを成し遂げようとして成し遂げる。その際に、人間関係によって、支えられたり、励まされたりする。みんなで喜びを感じる。その姿に感動するということがあるでしょう。楽天イーグルスが、平成25年に初優勝しました。日本シリーズの最終回に田中投手が登場し、登場曲である「あとひとつ」を球場で大合唱したシーンは、もしかすると優勝以上に感動したかもしれません。期せずして起きたウエーブも感動的でした。

 また、仲間の誰かのために、命をかけて助けるという話も感動をします。それが、家族であればなおさらです。

 対人関係が生まれる瞬間も感動がありますね。プロポーズが成功したり、仲間が増えたり、赤ん坊が生まれたりと感動すると思います。

 個体として人間が生きようとすること、仲間と共に生きようとすること、対人関係的には同じです。壊れかけた仲間というのは、生きる意欲が失われます。それを作り直すということは、小さな、死の受け入れから、生きる意欲へと転ずることで、一種の再生ということになります。ここに感動が生まれる要素があるように思うのです。他者の生きる意欲の再生に、共鳴力を持って感動できる力がある。人間は、群れを作るように生まれてきているのではないか、人と人とが協力して助け合って、命を支えるようにできているのではないかと、つい対人関係学的には考えてしまうところなのですが。


平成26年1月17日


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