複雑性PTSD

 

PTSDは、アメリカの精神学会の診断基準であるDSM―Ⅳにおいて取り入れられた。「実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事により強い恐怖、無力感または旋律の反応を起こす」病態をいう。

実際に死ぬまたは重傷を負うような出来事ではなく、DV等の継続的な虐待による同様の症状が出現するが、上記の定義に当てはまらないので、被害者が正当な治療を受けられないことも出てきている。このため、複雑性PTSDとして、新たな診断名が提起された。

対人関係学では、精神医学、あるいは心理療法の領域まで踏み込みはしない。治療をするわけではないからである。その範囲のスタンスということを、ご理解いただきたい。その上での話だが、PTSDと複雑性PTSDは、全く区別する必要がないというアプローチになる。

対人関係学では、PTSDとは、およそ人間の生が否定される場面に遭遇した場合、人間はその共感力、共鳴力によって、自己の死に対する強い予期不安を抱く。特に、その他人の生の否定が、人間によって引き起こされた場合は、さらには、自分が引き起こした場合は、あらゆる対人関係における信頼の基礎がなくなり、対人関係上の安心を獲得することができなくなると把握する。また、生に対するモチベーションが著しく低下する危険がある。

継続的虐待も、自分自身の尊重の否定そのものであり、群れからの放擲から確実な死への予期不安を生ぜしめいることである。生に対するモチベーションも低下する。要するに、両者は、端的に、死への予期不安に対して、危険がさり、安全な状態になった、自分の充実した生をおくることができるという生に対するモチベーションが上げられない状態、常に自分の死を警戒していなければならない状態ということで、違いは見られないということになる。


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