人は空を仰ぐ。

空は何も言わない。空は何も映さない。

まさしく空は『うつろ』であり『くう』であり『かがみ』である。

故に、人はそれを見て、美や思想の投影を行い、幻想に浸る。

だが、そこは無数の信号や粒子、電子が飛び交う、情報を融かした液体なのだ。

窒息せんばかりの圧倒的情報量をもってしても、なお貪欲に情報を新陳代謝し続けるメディウム。

夢や幻想といった陳腐な現実も全てその内に浸し、蠢き続ける渦中。

故に、空を仰ぐ全ての人々は泳者である。

子宮の中に満たされた羊水の中に浮かぶ胎児の如く、

不可視の臍の緒から伝達された刺激を享受しながら、外界へと這い出る日を数えながら

出口を探して漂い続けるビットとして。

空に記されたコードの一遍として。