Favorites Books_Special!

次に紹介する書籍は、個人的に思い入れの在る作品である。
この作品の魅力の布教なくして、生涯を閉じる事は赦されぬ。
拙文が、未読の民を異界の入口に誘う一助となる事を切に願う。

「光」 全4巻(月刊Comic ZERO-SUM

凛野ミキ 一迅社 ZERO-SUM COMICS

初読後の感想を一言で言うなら不快に尽きる。
兎に角、読む者を落ち着かせない。気持ち悪い。
だが、再び手に取りたくなる。先を読みたくなる。運命を見届けたくなる。
それが「冥界落語」・「クラブクライム」の作者、鬼才凛野ミキの放つ異形――「光」である。

作品の概要はこんな感じだ。
印度占星術をモチーフとする、惑星の力を持つ7人の少年少女と、彼等を守護する力であると同時に生贄となる運命を背負った星座の力を持つ少年少女達が、時の止まった空間で、「神」になるべく、生死を賭けた過酷な闘いを行う。

こう書くと、普通のファンタジー物かサバイバル物の様に思える。
所が「光」は違う。「光」と言う名を付けられながら、「光」=希望の射さない漫画である。
生死と言う、人間の最も重要で、最も根源的な本能を、星の運命の元、剥き出しにされる事で、日常に潜む非日常は顕現し、正気と言う名の狂気が牙を剥き、理性と言う蓋をしていた全ての醜い感情が噴出する。
正に『秘めたい思いは、曝される。』(1巻・帯より)のである。

徹底した不快・残酷描写――無残絵、遠慮会釈無く人間のエゴを浮き彫りにするネーム、無底の負を描く物語。
現代日本を舞台に正義、友情、愛と言う王道を歩みながら、容赦無く繰り返される精神のネガティブ・キャンペーン。
そこから止め処無く湧き上がる、人間と言う愚かな存在への、どうしようも無い愛おしさ。
絶望も、希望も、始まりも、終わりも、問いも、答えも見えない――最初から用意されていない儘、歪む運命に翻弄されるキャラクタの生き様を通し、「光」は全てを白日の下に曝していく

生きる為に他者を殺し、他者を生かす為に己を殺す。
生きる為に生きる。
誰もが忘れていた生――生命の有様をこんなにもひたむきに、エンターテイメントの枠を以て描いた作品を、私は他に知らない。

漫画界に燦然と輝く、この強烈で尊い「光」に、是非眼を眩ませて戴きたい。

 

漫画家:凛野ミキ先生 公式サイト RawMeal
出版社:一迅社 公式サイト
掲載誌:月刊Comic ZERO-SUM 公式サイト


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