Invention


 時折りしも華やかなる24世紀初頭の、23XX年4月15日。毎朝きっかり午前3時に配信される(この時間設定は400年以上に及ぶ慣習の為らしい)日経Eには、Flashで、こんな見出しが踊っていた。

 人類史上最大の快挙! 安全なるエネルギーの生成、遂に成功!!

 以下次の記事が扇情的に浮かび上がる。

 中堅電気メーカー(株)EMCは、新製品『ENERGY CHANGER』を発表。
 この製品は27×48×32(cm)に収まる物体であれば、余すことなく全て、原子エネルギーとして安全に変換可能。200年来の、慢性エネルギー不足にピリオドを打つべく、大々的な販売展開を行う予定。

 自局資本のTVもしくは、各種CYBERメディアによる発表が当たり前の昨今、各Eメール新聞での宣伝のみとしたのは混乱を防ぐ為か、或いは限定された情報による突然の発表という形で、よりセンセーショナルさを打ち出したかったのかは解らない。
 だが、この記事の発表から僅か7時間後、EMC直営店及び、EMCのビットカスタマーズによって世界は革命された。
 街では冗談とも本気ともつかない話を受け入れるか否かの判断もつかぬまま、一人暮し用冷蔵庫に付属された冷凍庫程しかないパッケージが山積みにされ、街頭、マトリクスを含めたあらゆる宣伝媒体においてプロモーションされた新製品は1ルビジウム秒の間に初期ロット一億台を完売させた。
 更に、3時間後。日本では東京電力を含む電力会社の株が一斉に大暴落。波及効果は全世界規模で発生、天文学的数字と言われる損益が電子銀行に忌々しいログとして刻まれた。また、EMCビットカスタマーズ、アクセス数の急激な増加によりサーバーダウン。6時間に渡る空白を生み、後に『火の七日間』と呼ばれる混沌と恐慌の幕開けとなった。


2000.07.022004.08.21