Last Brave


 陽の光すら射さない暗澹たる大地。
 重く垂れ込めた雲の下、唯一の末裔たる少年が一人。
 かつて、『やがて勇者になる者』と冠された若き気功闘士は、次なる世で待つと言われている仲間を求めて、今日も流れている。
 彼が守り通せなかった屍を踏み越えて、少年は歩き続け、戦い続けた。
 苛立ちを抑えるように、永遠に明けない夜の中、己が肉体の朽ちる迄もがく。
 しかし、暗黒神カーリスたる光母神マリアの問いは解けない。

 

人が人たることを望むなら

 光と闇は対となり、互いに求め合い、譲り合わなければならない。

 人たることを望むなら

 この謎解きを理解せねばならない。

 『闇』が消え、『光』が残っても

 それは真の解決にはならない。その逆もまた然り・・・。

 

 永い永い年月を経て、彼は『世界の果て』に辿り着いた。
 其処には、仄明るく灯る夜光花が一輪、気高く咲いていた。
 少年は、恐る恐るその花弁に手を伸ばす。
 指を這わせると、彼の生命に応えるように一層輝きを増す。
 瞳に映る唯一の燈は、何かを訴えるようにゆらめいた。
 突如、少年は湯に浸かったが如く、己の身体の緊張が解けていくのを自覚した。 
 強烈な睡魔に促され、少年は花の側にて身体を横たえ、程なくして睡眠に就いた。
 少年は、安らかに微笑みながら深く息をする。
 健やかな呼気と共に、広がっていく背の翼。
 遙か上空には、3つの球状の『光魂』。

 

 次に瞼が持ち上げられた時、少年は最早少年ではなかった。 


2000.11.182002.01.12