Steps
内部は中央に法外な高さの螺旋階段があり、二重構造をしているその階段を薄く包む様に異常な高さの書棚が据え付けられていた。書棚には異様な迄に古びた巻物状の書物(スクロール)が、整然と丁寧に配列されている。
少年は、試しにスクロールの一本を広げてみた。
書物は四つの文字によって、解読不能な暗号により漫然と綴られている。
少年は、興味を失った様に書物を冷たく元へ戻すと、螺旋階段に歩みを入れた。
頂上部は霞みがかかっており、二本の階段が複雑に絡み合っている事もあって、視神経と三半規管に多少の混乱と動揺を与えたが、少年は意を決したように一定の感覚で力強くステップを刻む。
少年が着実に高みへと迫るにつれて、少年の身体は変容を遂げていった!
足を 腕を 首を 胴を失い
欠損箇所は次第に丸みを帯び、少年が頂上で遥かなる天蓋の恵みの享受を許可された時には、一個の球体と成り果てていた。
塔の頭頂部から下界を見下ろすと、得体の知れない形状をした様々な生物が互いに流血しながら凄まじい速度で繁殖を繰り返して行くのが、網膜に灼き付いた。
絶望を胸に階段を降りようとした少年は、不意に足を滑らせ、安っぽいサスペンス映画のワン・シーンであるかの如く、見事な自由落下をした。
1999.10.15