渦巻偽典 蓄音機 築音機は、音を造り出す装置として、歴々の音楽家をはじめ、唖の人々の意思疎通手段としても、精確無比で有益な機械であった為、多くの人々に愛好された。 築音機によって造り出された音は、単なる音声の役割だけでなく「音波」といった、高密度の音素の連なりから生み出される、エネルギー体をも創造することが可能であったので、建造物の解体や、危険物の破砕に使用された。 また、製造した音を自由に送信することが簡便であったが故に、所謂公的情報局ではない海賊放送や、街頭音楽士なども数多く排出することとなった。 街頭音楽士の中には、光楽士と組んで、音波と光波によるプリズム奏法を編み出した者がおり、二つの波の干渉によって描かれたプラズマ波が夜空に浮かぶのを一目見ようと、街中の人々が詰めかけ、遂には街中の機関が全て停止してしまったことがあるという。(ムジークの夜事件) 今では、築音機に諸々の機構を備えた、多機能築音機の出現により、誰でも簡単に、より華美で高出力の演奏を再現できるようになった。その為、残念なことに築音機は兵器としても使用されている。その戦場は天使の鳴らす喇叭のように甘美で、荘厳な生死の劇場となっているそうだ。 2001.06.02 |