渦巻偽典
骰子
またの名を『賽』として知られる、乱数発生装置が骰子である。 立方体の六面骰子が一般的だが、四面、八面、十面、十二面、二十面、百面のものと、多様な形状の骰子が存在し、用途に応じて使い分けされている。
最も有名な使用目的は、遊戯・賭博等だろうか。 だが、骰子の本義は、運命決定装置として使われる事である。
不確定な量子の振る舞いにより、無限に平行・分岐する未分化の過去-現在-未来を、暫定的に決定する為の、有益な装置として造られたのが骰子だ。 骰子は無限と言う、無に等しい抽象概念を、四〜百、或いは偶数と奇数と言った、可算有限の選択肢に変換し、複雑怪奇な不可算現実世界を、簡単に解釈する究極の演算装置なのである。
人生はルールの無い遊戯であり、世界は果てし無い遊戯盤に等しい。
骰子無しに、運命を決められる程、我々は成熟していない。
故に今日も我々は無意識の裡に、骰子を振り、命数を決める。 それはこの世界を創造維持する神もまた、同じである。
2005.06.29
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