渦巻偽典
天気予報
天気とは大変気紛れなものである。
これを予報しなければならないのだから、人々はどれ程の苦労を強いられるか知れない。
何しろ天は明日など、一息で消し去ってしまう力を持っているのだ。正確に予報しなければ、天下のあらゆる生命事物の危機を招きかねない。
そこで、考え出されたのが架空法である。
天に梯子を架け、天の機嫌を推し量るという方法だ。
非常に原始的な手段であったが、大変正確に天気を知る事が出来、多くの災厄を避けられたとされている。
しかし、天に梯子を架ける事は大きな危険を伴う。
気象条件に因っては、命を落としかねない。
その為、今では一部の観測場所を除き、この方法は廃止されている。
現在の天気予報は架空法に代わり、問答法を採用している。
天に質問を行い、その回答を元に天の気=天の精神状態を分析するのだ。
人間に対する心理試験を、天にも適用すると言う試みだ。幸い、天の気も人間の心理に似た所が多いので、この手法は今の所、巧くいっている。但し、人間と同じかそれ以上に気紛れな天は、質問の途中で雲行きを怪しくする事がある為、その点は充分留意せねばならない。
もう一つ注意すべき点がある。
問答法は言葉を用いた分析法なので、綾が生じてしまうのだ。
その為、千年に一度、天は重積した綾を代謝するのに、天下を裁くと言われている。だが、その審判が如何なるものかについては、一切の記録が残っておらず、残念ながら今に至るも不明である。
2001.06.02
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