渦巻偽典

つむじ風


 つむじ風は獣を始め、毛の生えるもの全てに備わっている『つむじ』から発生する、微弱な風の事を指す。
 それは常に心地好いそよ風として、街や山野を戦いでいるが、一度つむじが曲がると、大きな颱風と化し、大災害を引き起こす事もある。『キャスリーン颱風』や『ジェーン颱風』と言った、人名付きの颱風はつむじ曲がりの人による人災として知られている。

 如何に温厚な人でも、つむじの曲がらぬ者はいない。
 外出時には帽子を被るのが、紳士淑女のエチケットである。

 地域に因っては帽子の代わりにターバンを被る処もあるが、如何せん巻かれた布の層から隙間風が漏れる事がある。こうした文化・慣習の差異がバタフライ効果として作用し、複雑な海流や気流を生んでいる。
 偏西風は正にその好例と言えよう。
 斯様な気象の誘発を快く思わない者もいる様だが、多様な文化の違いがあってこそ、豊かな自然も生活も育まれるのではないだろうか。

 ちなみに、つむじ風は一部の高齢の男性とは縁が無い。
 禿頭に近付くにつれ、つむじは縮退・散逸し、自然消滅するからである。
 鬘を着用し、禿頭である事を隠蔽する者もあるが、それを見破るには、試しに彼の機嫌を損ねてみると良い。
 本物ならばつむじが曲がる筈である。


2001.06.02

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