李下に冠

                 瓜田に履を納れず、李下に冠を整さず

   この世を賢く生きていくには、人から疑いの目で見られるような挙動は自ら慎まねばならない。

例えば……

   瓜畑の傍では履物をはき替えてはならない。{瓜泥棒に間違われる。「瓜田に履を納れず」}

   李(スモモ)の木の下では、手を上にあげて冠(かんむり)をかぶり直してはならない。{スモモ泥棒に間違われる。「李下に冠を整さず」}

   兄嫁と弟がお互いに物の受け渡しをしてはならない。{あらぬ間柄を怪しまれる}

   年寄りと若者が肩を並べて事に処してはならない。{礼儀知らずと軽蔑される}

   {楽府古辞}より

ついでに、今の世では……

   大きなかばんを手にさげてスーパーや書店に行ってはならない。{万引きに間違われる}

   満員電車に乗るときは両手に荷物を持つべし。{痴漢に間違われないため}

   寒いからといって、帽子をかぶりマスクをして郵便局へは行かない。{強盗に間違われる}

   孫娘と二人きりでは散歩しない。{誘拐犯と間違われる}

げに、いつの世も、生きにくいものではある。
     

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