リクガメ飼育の情報サイト-THE TORTOISE
 ペットを飼育していて一番辛いのは、やはり死を迎えることでしょう。人生のある時期を共に過ごせば、どのような生物であっても家族だからです。

 その死因が病気や事故といった不幸なものではなく、老衰などで天寿を全うしたのであれば幸せかも知れません。しかし、飼育者の知識不足から死を早まらせたとしたら、これほど不幸なことはありません。これは私が飼育で失敗した事実を赤裸々に記したものです。 

 左上の写真は、94年に我が家に迎えたホシガメの幼体です。ピンポン球を半分にした大きさで、ホシガメ特有の放射状模様も数本しかありません。この子は「流星」と命名したのですが、4年後に本当の流れ星となって命を落としてしまいました。

 当時は飼育に関する情報も乏しく、現在のようにインターネットも普及していなかったので、情報収集には苦労しました。しかも、現在では理解に苦しむような紹介もされていたのです。例えば、甲羅が盛り上がったホシガメは価値が高いとか、九官鳥の餌を与えると良いなどと解説されていた時期もあったのです。

 無知な私は「毒」にしかならない九官鳥の餌を与えました。フルーティーな匂いなので、餌食いは葉野菜と異なり抜群でした。しかし、半年から一年くらいで異変は生じ始め、不自然に甲羅が盛り上がり始めてしまいました。

 爬虫類を診察できる獣医師に診断してもらったことを機会に、餌の摂取内容を改めました。高タンパク質を摂取すると、血液中の尿素量が危険な状態まで増加してしまい、腎臓に負担を与えると腎不全を引き起こす恐れがあるのです。

 我々人間も偏った食生活で肉ばかり食べていると「痛風」が発症するように、リクガメも濃縮された尿酸沈殿物が四肢の関節に進入して痛風を起こしてしまいます。

 タンパク質が豊富な餌には脂肪分も多く含有され、結果的に脂肪分によってカルシウムを吸収する能力を低下させてしまいます。草食動物であるリクガメに「動物性タンパク質」は不要で、いずれ肝臓や腎臓障害を招きます。

 またカルシウムとリンのバランスが崩れると、代謝性骨疾患(Metabolic Bone Disease)を発症する危険性があります。いわゆる「くる病」は生後1〜2年の乳幼児にも見られるように、日光照射量が不足すると骨格の変形を起こし、脊柱の湾曲化が目立つものです。

 このように不適切な食餌や環境は、骨に沈着すべき石灰が不足して骨が軟化し、その結果骨格変形を起こすことになるのです。しかも、本来ゆっくり成長するリクガメを急成長させるわけですから、骨格と内臓の成長がアンバランスになり、何かしらの障害を招くのも当然です。

 最終的に「流星」の死因となったのは「便秘」でした。食餌の内容は大幅に改善して、甲羅の異常な盛り上がりはある程度抑えましたが、やはり内臓の負担は大きかったようです。

 レントゲン写真の見解からは「結石」などの異物は発見されなかったのですが、相当量の便が詰まっていることを告げられました。私には、その時点で「便秘=死」という図式が想像できず、獣医師の薦める「開腹手術」ではなく、「下剤投与」を選択しました。

 この選択が最大の失敗だったのですが、可愛さあまり「たかが便秘で甲羅を切るなんて」という気持ちが強かったのも事実です。リクガメに限らず爬虫類は自分が弱った姿を見せないので、この数日後に眠るように息を引き取りました。

 今から考えれば、獣医師の判断どおり「開腹手術」に踏み切ればよかったのですが、まさか便秘が生死に関わるとは想像の域ではありませんでした。

 やはり、生後数ヶ月で我が家に来たものの、飼育者の知識不足から不適切な食べ物を与えたことが最大の原因であり、悲しいやら、悔しいやら、申し訳ないやら、複雑な思いです。

 「流星」が本当の星になった二日後が新居への引越しでした。家族のため、そしてリクガメのために南側に庭のある家を購入したのです。新居の庭で日光浴をさせてあげられなかったのが、本当に残念でなりません。「流星」のお墓は、リビングから見渡せる庭の一角に作りました。



 

 

 

  
俗に言うピンポン玉サイズのインドホシガメは、言葉では上手く表現できないほど可愛いが、大きく育て上げるのは難しい。
1994年当時に比べれば、現在の輸入状況は格段に向上しているので、状態の良い個体が入手可能である。
4年の年月を経てピンポン玉サイズから手のひらサイズに成長したインドホシガメ。
当時は飼育情報が乏しく、現在では考えられない事々が推奨されていた。九官鳥の餌は代表的な誤報で、甲羅がピラミッドのように盛り上がってしまった。
素晴らしい出会いと早すぎた別れ
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飼育個体の紹介
 
1994年から飼育を始めた、マルギナータのプリマを紹介しています。現在では甲長も30センチをこえましたが、リクガメ飼育を始めた当時は、試行錯誤を繰り返す日々が続き、リクガメ飼育は前途多難な時代でした。
 
 
 
 
 
 
94年当時のプリマ
プリマの飼育環境
プリマの1日
現在のプリマ
追悼と悔恨-流星
8年間の追憶-姫子
 
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