リクガメ飼育の情報サイト-THE TORTOISE
 くる病は主にビタミンDの欠乏に因って発症する疾患で、医学的には発育期に相当する幼体時に起こった場合をくる病と称し、成体になって発症した場合は骨軟化症と考えています。

 くる病の症状は骨質の変化が主体で、骨や甲羅に沈着すべき石灰質が不足して、骨や甲羅が軟化して骨格変形を引き起こすので、リクガメの幼体の場合は腹甲が軟化するのが特徴です。

 骨軟化症は、骨や甲羅の形成に必要なカルシウム塩の沈着が妨げられて、骨質中に類骨組織が過剰に存在する状態です。

 その原因は、内分泌障害やビタミンD不足、あるいはカルシウムの吸収障害や排泄障害と多様ですが、成体のリクガメに認められる骨軟化症は、骨質全体のミネラル沈着不足が主因で発症する場合が多く、軟エックス線であるレントゲン写真を撮影すると、陰影が薄くなるのが特徴です。
 リクガメの甲羅は、真皮が分泌した骨である皮骨や、表皮の角質形成物である角鱗に覆われたもので、この皮骨と角鱗が発達して骨質板と角質板となり、これらが融合した非常に強固なものです。

 くる病に代表されるように、骨質からカルシウム塩が脱出して、骨本来の硬度を失った状態である骨軟化症の原因は、従来は主にビタミンD不足や、活性化不全を指摘されていましたが、長期的に考察すると、給餌内容の質的欠陥も見逃せない一因となります。

 市販野菜類の中には、酸性度が高く、リン酸分を多く含み、一方では、カルシウム分が非常に不足し、タンパク質のアミノ酸構成にも欠陥がある等、質的に様々な欠点を有している場合があります。

 飼料中に含有されているリンやカルシウム分の比率は、一般的に、リンが1に対して、カルシウムは3〜5程度が望ましいといわれています。

 このような均衡が崩れて、何れか一方が多ければ、必然的にカルシウムの吸収効率は悪化し、質的欠陥を補わない、とカルシウムの出納は、当然ながら排泄過剰を示すことになります。

 通常、成長したリクガメのカルシウム出納は平衡状態なので、吸収された分と同量のカルシウムが排泄され、吸収されたカルシウムは、その貯蔵場所である骨や甲羅に蓄積されます。

 しかし、日常的に必要とされるカルシウム分は、骨や甲羅から脱出して使用され、腸壁から排泄されています。

 吸収効率が悪化すれば、相対的に骨や甲羅からのカルシウム脱出が多くなり、この状態が継続されれば、骨や甲羅のカルシウム含量が減少して、骨や甲羅は軟化してしまいます。

 カルシウムの吸収効率は、そのカルシウムの化合形態によっても異なり、一般に腸内容が酸性に傾けば、吸収作用は良好となる傾向があります。

 これは飼料の消化によって、遊離したリン酸が、カルシウムとリン酸カルシウムを生成し、この化合物は、中性ないしアルカリ性では、水に溶け難く、酸性では溶け易いからです。

 リン酸は、無機リン酸の形態でのみ吸収され、カルシウムの吸収を左右する因子が、リン酸の吸収にも影響します。

 このように、リンを多く含む飼料を長期間に及んで与えると、リン酸の排泄量は増加し、血清の無機リンは、上昇傾向を示すことになります。

 血清中の無機リンとカルシウムの間には、その量が逆相関の関係にあるので、血清中の無機リンが増加すれば、カルシウムは減少することになります。

 しかし、リン酸塩は、体液の酸と塩基平衡の調整と密接な関係があるので、給餌している飼料の酸性度が高い為に、酸性血症であるアシドーシスを引き起こすことになります。

 従って、リン酸の排泄量はさらに増加し、この影響からカルシウムのような塩基性物質の排泄量もリン酸につれて増加するので、カルシウムの脱出となる原因となっています。

 このようなアシドーシス状態の場合、糖同化機能が低下するので、酵素系の活力低下や、不活性化が招来してしまいます。

 骨や甲羅の造成と密接な関係にある、リン酸分解酵素のフォスファターゼが活力低下するので、結果的に、骨や甲羅の造成機能も低下することになります。
 
 



 
幼体の腹甲に顕著な軟化症
骨質からカルシウム塩が溶出する異常軟化の原因
くる病は、骨質の変化が主体で、骨や甲羅に沈着すべき石灰質が不足して、骨や甲羅が軟化して骨格変形を引き起こす。
甲羅は皮骨や角鱗に覆われたもので、皮骨と角鱗が発達して骨質板と角質板となり、これらが融合した強固なものである。
骨軟化症は、骨や甲羅の形成に必要なカルシウム塩の沈着が妨げられ、骨質中に類骨組織が過剰に存在する。
骨軟化症の原因は、従来は主にビタミンD不足や、活性化不全を指摘されていたが、長期的に考察すると、給餌内容の質的欠陥も、見逃せない重要な一因となっている。
 甲羅や骨は、非常に頑丈なものに見えますが、実際には破骨細胞や骨芽細胞によって、常に溶出と形成を繰り返しており、これが骨代謝と言われている作用です。

 甲羅や骨の役割と言えば、外見的には防御や体を支えたり、目に見えない部分では、内臓を保護したりしますが、カルシウムを蓄えるという重要な役割もしています。

 カルシウムという成分は、何も甲羅や骨の成分だけではないので、血液中のカルシウム濃度というものは、常に最適な状態で保たれている必要があります。

 従って、甲羅や骨は、カルシウム濃度を維持するために、溶出と再生を常に繰り返しており、この調節を行うために、幾つかのホルモンやビタミンが関与しています。

 甲羅や骨を溶出して、カルシウムを血液中に流す作用があるのは、副甲状腺と呼ばれているホルモンで、血液中からカルシウム分を沈着させる役割をするのがカルシトニンです。

 リクガメ飼育では、腸管におけるカルシウム吸収を促進する、活性型ビタミンDは着目されている傾向がありますが、腎臓機能が正常に働いていなければ、腸からのカルシウム吸収は激減します。

 このような場合、生体機能は、血中濃度を維持しようとしますから、副甲状腺ホルモンが活発になり、甲羅や骨を溶出して、懸命にカルシウムを血中に送り出そうとします。

 甲羅や骨というものは、視覚的には防御や運動機能というものを連想しますが、生体機能の優先順位から言えば、血中濃度を維持することが先決になります。
ホルモンやビタミンが関与する骨代謝
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