リクガメ飼育の情報サイト-THE TORTOISE
 リクガメを飼育していて、鱗(うろこ)が剥げ落ちていたり、また四肢や頚部の皮膚が捲れていたり、剥がれ落ちているのを見つけたりすると、突然の出来事に驚いてしまうかも知れません。

 これまでに皮膚が剥けたり、剥げ落ちる経験がなければ、病気ではないかと飼育者としては心配してしまうものですが、動物は成長過程において、古くなった外皮を脱ぎ捨てるものです。

 脊椎動物の中でも、爬虫類や両生類が表皮を更新することを脱皮と称しますが、これは鳥類に見られる換羽も同様の現象であり、動物界では特に珍しいものではありません。
 リクガメが属する爬虫類は、脊椎動物門の爬虫綱に属する動物の総称であり、世界各地の温帯地方や熱帯地方に生息分布し、何れも周囲の温度に応じて体温が変化する変温動物です。

 脊椎動物の場合、脱皮には脱皮ホルモンと呼ばれるホルモンが関与していて、実質的には甲状腺ホルモンが支配的に作用しています。

 昆虫類では、若いうちは前胸腺のホルモンが、アラタ体のホルモンと協働して、幼虫の脱皮を引き起こし、一定の時期が来るとアラタ体は退化し、前胸腺が単独で働き、蛹や成虫へと脱皮します。

 このように、動物や植物など、生物の体表を覆う膜をクチクラと称しますが、動物では上皮細胞と呼ばれるように外側に分泌され、比較的に硬質の膜層構造で形成されています。

 動物では節足動物のクチクラが発達していますが、爬虫類の鱗や鳥類の羽毛、また哺乳類の毛も、表面はクチクラ層と考えられています。

 従って、爬虫類であるリクガメの皮膚は、表皮の一部である鱗で覆われていますが、換言すると、体表面は表皮細胞が分泌した、硬質のクチクラ層で覆われていることになります。

 因みに私たちは、皮膚外層が垢(あか)として剥げ落ちているので、当然のことながら脱皮という現象は示しませんが、表皮の更新は繰り返し行なわれています。
脱皮とは表皮が更新されることを指す
脊椎動物の脱皮は甲状腺ホルモンが関与
 リクガメの軟部組織に相当する頚部、四肢の付け根付近は、成長過程において上皮細胞の剥離が認められる部位であり、時には鱗そのものが剥がれる場合もあります。

 こうした原因をビタミンA不足と関連づける場合がありますが、ビタミンAは動物界にのみ存在する物質とはいえ、草食動物であるリクガメが、ビタミンA不足を引き起こすとは考え難いものです。

 その理由は明確で、草食性リクガメの主食は植物であり、植物中にはカロテンが豊富に含まれており、草食動物の体内で酸化されて、ビタミンAに変化し栄養素として機能を果たすからです。

 これらはカロチンとも称され、カロチノイド色素の一種ですが、イエローやオレンジ色の植物や、グリーンやイエローの俗に言う濃い緑黄色野菜に含まれています。

 実質的には油脂に溶け易い性質で、およそ100種類ほどが知られていますが、栄養学的にはビタミンAの前駆物質と考えられ、プロビタミンAとも呼ばれています。

 このような理由から、常識では考えられないような劣悪な環境でない限り、草食性リクガメがビタミンA不足を引き起こすことはなく、むしろビタミンAの過剰投与を懸念したいものです。

 理論的には、ビタミンAが酸化されるとレチネンという物質が生成され、オプシンというタンパク質と結合し、ロドプシンと呼ばれる物質が形成されます。

 このようにビタミンAが欠乏したり、あるいはレチネンの補給が不足すると、角膜が乾燥したり、角膜軟化症を引き起こす場合もあり、上皮細胞の異常や粘膜の抵抗力が減少し皮膚が乾燥します。

 しかし、ビタミンAの過剰投与の影響によっても、皮膚が剥離したりする症状が認められるので、ビタミンDやビタミンAという物質の投与は、医療行為に相当するものと考えたいものです。
皮膚の剥離は正常な状態でも起こる
 しかし、リクガメは爬虫類に属するものの、あまりの可愛さから、蛇と同様の爬虫類という認識が低い場合が多く、蛇の抜け殻は見聞きしたことはあっても、リクガメは別物と思われるようです。

 例えば、昆虫類や甲殻類などの無脊椎動物の多くは、クチクラで構成されている外部骨格が発達しているので、成長過程で脱皮を行なうことで大きくなったり変態します。

 また昆虫類の場合、幼虫期や蛹の時期にも脱皮をしますし、成虫になっても脱皮を続けたりするので、リクガメだと意外に思うかも知れませんが、表皮を更新しても不思議ではありません。

 甲殻類などは、一定期間を経て脱皮を行なうものですが、古い殻の下には新しい殻が形成されていて、軟らかい殻のために体が大きくなり、殻が硬質化すると新たに脱皮をします。
リクガメの軟部組織に相当する頚部、四肢の付け根付近は、成長過程において上皮細胞の剥離が認められる部位であり、時には、鱗そのものが剥がれる場合もある。
軟部組織の剥離の原因をビタミンA不足と関連づける場合もあるが、ビタミンAは動物界にのみ存在する物質とはいえ、草食動物であるリクガメが、ビタミンA不足を引き起こすとは考え難いものである。
動物や植物など、生物の体表を覆う膜をクチクラと称し、動物では上皮細胞と呼ばれるように、外側に分泌され、比較的に硬質の膜層構造で形成されている。
脊椎動物の中でも、爬虫類や両生類が、表皮を更新することを脱皮と呼び、これは鳥類に見られる換羽も同様の現象であり、動物界では特に珍しいものではない。
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