野生個体のリクガメに寄生虫が認められることは珍しいことではなく、特に驚くようなことではありませんが、輸入経路や管理状態によっては養殖個体が寄生虫を宿していても不思議ではありません。

 寄生生物の中で、原生生物を含む動物に分類されるのが寄生虫ですが、通常は全く異常が認められなくても、リクガメが状態を落とした際に、病気を引き起こしたり害を及ぼすものも存在します。

 この寄生虫を大別すると、宿主となる体表に生息する「外部寄生虫」と、体内で生息する「内部寄生虫」に分類され、多くの時期を宿主の体内や体表で過ごします。

 また一定期間だけ宿主の体内や体表で過ごし、後に自由生活で過ごすものや、宿主の体内でしか生存できないものと、生存中の宿主からも死体からも栄養を摂取する寄生虫もいます。

 寄生虫は成長過程で異なる宿主を必要としたり、寄生生活を同じ宿主で過ごすものにも分類され、異なる宿主を必要とする寄生虫は、幼虫が寄生する宿主を「中間宿主」と呼び、成虫が寄生するものは「終宿主」と呼ばれています。
寄生虫とは何か
寄生虫とは、他の生物に宿ってのみ生存し、この宿主を離れてしまうと、生存できないものを指す。リクガメに最も多く見られるのは線虫類で、常虫生物とも言えるかも知れない。
寄生虫に栄養物を横取りされることで、成長障害が起きたり、悪質なのが皮下組織をはじめ、臓器を破傷する類もいる。駆虫に関しては、飼育者の考え方に左右されるが、飼育下の個体は駆虫した方が無難である。
寄生虫の害は種類によって異なるが、消火不良や神経症状を伴うことがある。虫の出す毒素によって中毒を起こすこともあり、飼育下の個体が体調を落とした際に、問題となる場合が多い。
寄生虫を放置しておくと、飼育下のリクガメの場合、発育不全などに因って、成長速度が極端に緩慢になる場合がある。人間に寄生する種類とは異なるが、やはり駆虫した方が賢明であろう。
寄生虫の種類
 寄生虫には、単体細胞からなる原生生物である原虫、多細胞動物で脚がなく、蠕動運動が特徴的な蠕虫、また昆虫やダニなどの節足動物などが存在します。

 原虫は2分裂を主体とする、無性生殖で増殖するアメーバ類、鞭毛虫類、繊毛虫類、無性生殖の他、有性生殖でも増殖する胞子虫類がいますが、原虫の多くは自由生活をしていて、全体で約3万5000種の中で約1万種が寄生性と考えられています。

@.回虫:カイチュウ
 回虫とは、線形動物門の回虫目に属する寄生虫の総称であり、一般に腸内に寄生することが多いのですが、胆管など他の器官に侵入することもあり、大きなものは数十センチで体色は主に白く、両端が尖っていて、雌の後端は直線状ですが、雄は曲線状になっています。

A.蟯虫:ギョウチュウ
 腸内に寄生する回虫目の線形動物で、体長は一般に数ミリ程度で、体色は白くて体は細長く、先端は尖っています。基本的に摂食時に付着した食物が原因で感染しますが、複数頭で管理した場合は、排泄された糞から二次感染することが多いのが特徴です。

B.線虫:センチュウ
 線形動物門に属する無脊椎動物の総称で、土壌中だけでなく淡水にも海水にも生息し、個体数も多ければ動植物に寄生する種も多く、直接的ないし間接的に人間に被害を及ぼす種もいます。

 体は細長い円筒状なのが特徴で、体壁と内部器官との間隙に擬体腔という空隙があり、体壁は弾力性に富んだクチクラを分泌し、体長は数ミリ程度の微小なものから、クジラの胎盤や腎臓に寄生するものは数メートルに達します。

 多くの線虫は雌雄異体ですが、雄性先熟の雌雄同体や、雌だけで単為生殖を行なう場合もあり、幼虫から成虫になる際に変態はなく、幼虫の外観と成虫に大きな変化はありません。

C.吸虫:キュウチュウ
 扁形動物の吸虫綱に属する総称で全てが寄生性で、住血吸虫のように円柱状の体形のものもいますが、大抵は扁平で細長く、消化管や特殊化した感覚器官があり、自由生活で過ごす時期が多く、同じ扁形動物の条虫綱より、自由生活型のプラナリアなど渦虫綱に近いと考えられています。

 口は腹面にあり大抵の種で前方に位置し、筋肉質の吸盤で宿主に吸着する働きをし、吸虫の中でも、外部寄生虫に相当する単生類の場合には、吸盤に鉤を持っています。

 大抵の吸虫類は、雄と雌の生殖器官を持ち合わせた雌雄同体で、卵から孵化した幼虫が終宿主に寄生して成虫になる単生類と、孵化した幼虫が中間宿主の中で発育増殖し、終宿主で成虫になる二生類があります。

 単生類は、一般に皮膚などの体表面に寄生して、血液や皮膚の一部を餌としますが、二生類は体の内部である消化管などの臓器や、血管に寄生して器官に害を及ぼす種もいます。

D.鞭毛虫:ベンモウチュウと繊毛虫:センモウチュウ
 鞭状の文字通り長い鞭毛が数本ある原虫で、消化器や血液に寄生する種もあり、繊毛虫は体表に数多くの短い毛を持つ原虫で、自由生活性が多いものの、陸性動物の病気としては軽症で、草食動物の胃の中に寄生し、消化を助長する共生関係と考えられる種もいます。

E.条虫:ジョウチュウ
 俗にサナダムシとも呼ばれる条虫類は、動物の腸管である小腸などに寄生して、腸内で消化された栄養分を体表から吸収して成長し、幼虫の発育には中間宿主が必要で、幼虫期に増殖し、成虫は数メートルに達する種もいます。
リクガメの駆虫について
 蟯虫や吸虫、また鞭虫などの寄生虫を、宿主である動物体から除去する駆虫薬は、寄生虫の神経筋接合部や、呼吸器系を攻撃したり、代謝を妨げたりして、宿主の免疫系の攻撃を受け易くして、寄生虫を殺虫したり麻痺させます。

 一般に筋肉に寄生する寄生虫より、消化管の寄生虫の方が駆虫し易く、寄生虫の種を拡大検査で識別し、虫種に合わせてフェンベンダゾールやメトロニダゾールなどを、個体の体重から換算して処方し、主に経口投与します。

 ただし虫卵には効果を発揮しないので、通常は孵化した幼虫を含めて完全に駆虫するため、2週間位の間隔で、合計で3回ほど経口投与すると効果的で、このような処置で大抵は安全かつ完全に駆虫することができます。

 駆虫に関しては飼育者の考え方もあり、必ずしも駆虫しなくてはならないというものではありませんが、飼育下という限られた環境と、個体の状態が思わしくない場合を想定すると、寄生虫は確実に駆虫した方が賢明でしょう。
リクガメ飼育の情報サイト-THE TORTOISE
the_tortoise096001.jpg
 
健康な状態とは
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
リクガメの飼育法は、まだ確立されてなく、爬虫類の診療ができる動物病院は、限られているのが現状です。病気になってからでは手遅れの場合もあり、早期の発見と治療が重要です。
鼻腔からの分泌物
腫瘍の医学的な定義
甲羅の変形
骨軟化症の原因
下痢‐水様性の便
飼育下のストレス
アレルギー性疾患
薬理作用の基礎知識
上皮細胞の剥離
 
 
 
 
 
 
 
血中カルシウム濃度
雌個体の解剖図例
便秘‐便通過遅延
リクガメの眼疾患
リクガメの脱水症
リクガメの寄生虫
熱中症と応急処置
 
 
 
 
 
 
爬虫類の食欲不振
中毒症状と嘔吐
リクガメの尿路結石
異物の誤飲と腸閉塞
放射線医学X線
腎機能障害
 
インフォメーション