アクアクララ

 武司は渇いていた
 「み、みずを〜。」
 「どうしたの?  みみずはここにはいないけど…。」
 「(ぼけはいらないぞ…) 水下さい…。」
 「あ、水なら、そこのウォーターサーバー使っていいのよ。」
 「あ、有難うございます…。」
  
 とある会社の倉庫横の事務室兼休憩室、片隅に冷たい水が飲めるようにしてある
 ウォーターサーバーの水を紙コップに受ける武司、コップに溜まったと思いきや一気に…
 「ごくごくごく、うまぁ〜い、ごくこくごく、はぁ〜、生き返った〜。」
 「ずいぶん乾いてたという事は真面目に働いてたのね。」
 事務の恵美はちょっと不思議そうに武司に話かける。
 「当たり前ですよ、俺のポリシーは、手抜きなしですからね。」
 「うちは今日初めてなんでしょ?」
 「はい、日雇い派遣なんで。」
 「派遣さんも色んな人が来るわね〜。」
 「そうなんですか?」
 「適当に時間が過ぎれば良いって感じの人とか、あなたみたいに真面目な人とか。」
 「あ、そうですか…、給料は同じなんですけどね。」
 「色んなとこで働いたの?」
 「はい、ぼくらも色々なんですが、我々にとってのお客様である会社も色々なんですよ。」
 「それは、そうでしょうね。」
 「ここみたいにウォーターサーバーとか自由に使わせてくれるとこは有難いです。」
 「汗かく仕事だからね、うちは。」
 「こういうのがないと、ペットボトルのお茶とか水とか、つい買っちゃうんですよ。」
 「結構高くつくでしょ。」
 「ええ、しかも飲んだ後のペットボトルはゴミで…。」
 「溜まるとじゃまなのよね。」
 「全くです、金は溜まんないすけどね。」
 「それもあってうちは「アクアクララ」なのよ。」
 「そう言えばこの大きなボトル、最近よく目にします。」
 「でしょ、私は家でも使ってるのよ。」
 「えっ? 業務用っていうか、オフィス向けだけだと思ってましたよ。」
 「家庭でも結構便利なのよ。」
 「へえ〜、そうなんですか…、おっと、そろそろ休憩時間終わりなんで。」
 「あら、そうね、がんばってきてね。」
 「はい。」
  

 

 
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