湯谷温泉板敷川

わいろにされた鶉

豊後守正秋(阿部忠秋)は鶉好きであり、たくさんの鶉を飼っていた。
或る時、麹町の鶉を買い求めようとしたが、法外な値段だったため買う事はなかった。
豊後守が、麹町の鶉を欲しがっているという話を聞いた人が鶉を買い取り、豊後守に贈った。
その後、鶉を贈った人が旗本衆が大勢集まる席にて、贈った鶉の事を話始めてしまった。
豊後守はこのような事では鶉を好きにはなれないと思い、飼っている全ての鶉を客人の目の前で全て野に放してしまった。
その後、豊後守に賄賂(わいろ)を贈る人はいなくなった。
※補足
阿部忠秋・・・江戸時代前期の下野壬生藩・武蔵忍藩主。徳川家光・家綱の2代にわたって老中を務めた。

わいろ