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49<Alaska州(Juneau)→Hawaii州(Honolulu)>
ついにゴール!


(総飛行時間:45時間38分)


Juneau空港で離陸を待つJAL Boeing 767-200

Juneau空港で離陸を待つJAL Boeing 767-200。夏でも寒さが伝わってくる。

延々とつづく太平洋上をひたすらホノルル向けて飛ぶ。先は長い。

見渡す限り海、海、海の太平洋上をひたすらホノルルめざし飛びつづける。

長い旅路を終えてホノルル空港に着陸したJAL Boeing 767-200

長い旅路を終えて、ホノルル空港に無事着陸したJAL Boeing 767-200。お疲れさまでした。

■飛行機をどれにするか?

 アラスカ州からハワイ州のホノルル空港まで飛行するにはFSNavigatorのフライトプランでは最適コース(VOAやNDBなどの標識を最大に利用して)でも時間にして7時間ほど、距離で3100NM(5700kmほど)あります。ということは、Juneau Intl空港の8435ftという滑走路から離陸ができて、しかも航続距離が6000km以上ある飛行機を選ばなければ飛べないということです。となると、いままで利用してきたビジネスジェット機は航続距離の問題で使えなくなってしまいました。ジェット旅客機でも、私のFS2000の中に入れてあるものを調べてみたら、航続距離が6000kmを越えるものは数機しかありませんでした。そこで、飛行の前夜にその数機を使ってJuneau空港で離陸の実験をしてみました。結果は残念ながらいずれも滑走路が短すぎて離陸速度に達せず、離陸不可能とわかりました。燃料を減らすこともかんがえましたが、そうすると航続距離に影響が出てしまうため、これまた問題があるとおもえました。万事休す。

 そこで、トワイライトエクスプレス社から出ているFS2000用の機体ソフト「日本の翼」で調べてみたところ、まだインストールしていなかった機体でJAL Boeing 767-200という機体が航続距離6200kmで機体の長さからみてひょっとするとこの滑走路からでも離陸できるのではと直感的におもえました。すぐにインストールして実際に離陸できるか試してみることにしました。エンジン全開!徐々に加速してゆくが果たして飛べるか…。滑走路の端が見えてきました。170、180、190、もう滑走路一杯です。200kts、操縦桿を引くと機体がスーッと浮き上がりました。嬉しかった!「これで明日の飛行は可能だ」と確信しました。周辺を回って着陸してようやく気持ちが落ち着きました。最後はJALの飛行機で飛びたい!と以前からかんがえていただけに嬉しさも格別でした。これで、明日の飛行を待つだけになりました。

■フライト当日(いよいよゴールに向けて)

 2001/08/12(日)の朝はいつになく早く目が覚めてしまいました。きょうは、アラスカ州Juneauからハワイ州ホノルルまで長〜いフライトがあるのです。そして、1年以上もかけて飛びつづけてきた「アメリカ50州ー州都の旅」の最後を飾るフライトでもあるのです。およそ7時間は飛ぶことになるため、どこかでミスがあれば再度やり直しは相当にきついことになります。何としても1回で決めたい。そのために、万一Naviなどに異常が見られたら、すぐに手動で操縦できるよう、1日完全に集中できるよう家族にも協力をお願いしました。

 朝早い6:40、いよいよJuneau Intl空港を離陸です。昨夜の予備飛行があるとはいえ、不安は残ります。エンジン全開。ゆっくりと滑走をはじめます。グングン加速して滑走路の端で無事離陸 (^^)v。昨日の経験から、離陸の方向を海側にとっておいたのが正解でした。機体が安定したところで、自動操縦に切り替えました。飛行機はこれから一旦海岸線沿いを南下して、昨日飛んできたコースを戻るようにして、バンクーバー島の近くまで飛び、そこから太平洋上に向きを変え、ハワイまでの長い洋上の飛行に移るフライトプランにしました。何にもない海の上は近いようでいて飛行機にとっては危険な場所なので、できる限り大地に近いところをなぞるようにして飛ぶのです。

 離陸後23分で35000ftに達し、速度470kts(時速870km)で水平飛行に入りました。しばらくは、昨日飛んできたところをもどるコースなので、夏のアラスカの景色を楽しみました。このあと、席を立って朝食をすませてきました。もうすぐ飛び立って2時間ほど経つという8:30にアメリカ本土を離れ、右旋回をしながら一路ハワイをめざして洋上の飛行に移りました。もうこれからは、海、海、海、…とつづくだけです。Naviは信頼しているFSNavigatorですから安心ですが、それでも万が一ということはかんがえられます。15分おき位にようすをチェックします。飛行の状態とNaviのマップでどの位置まで進んでいるかなどです。マップ上では距離がありすぎて、1時間経ってもほんの少ししか移動していないのです。上のスナップの真中はそのときのものです。この光景が延々とつづくのです。予定では13:00頃にならないと飛行機は降下をはじめないので、それまではこの水平飛行のまま飛びつづけることになります。それにしても長いです。本を読んだり、コーヒーを飲んだり、トイレに行ったりといろいろしましたが、それでも景色は変わりません。周囲には空と雲と海しか見えないのです。チェックがあるため、長い休息を取るわけにも行かず、何となく落ち着かない時間でした。

 13:05飛行機が降下をはじめました。といっても前方をみてもまだハワイは見えてはいません。ホノルル空港はオアフ島の南側に位置していますから、北から飛んで来ている私の飛行機はオアフ島の東を右旋回してからホノルル空港へ着陸することになります。13:15頃にハワイ島がまず見えてきて、そのあとめざすオアフ島が見えてきました。近づくに従い、島の山々がニョキニョキと現れてきて、「Naviの通りで大丈夫かな?」と不安がおこりました。というのも、Naviにはそれほど細かい標高のデータが入っているわけではないため、以前香港の啓徳空港にNaviで着陸をしようとしたら山に激突した経験があるからです。「いつでも手動に入れる準備はしておこう」と注意したのが、結果的に正解でした。

 高度が下がり、飛行機が右旋回をはじめると、もうホノルル空港まではすぐです。フライトプランでは右旋回でオアフ島の南に回りこんだあと、少し北上してそこから今度は左旋回しながらホノルル空港へ侵入して行くことになっていました。その通りに飛行機は飛んでいます。しかし、その段階で「やけに高度が低いな?」と気づきました。飛行機が山肌すれすれに飛んでいるからです。それより、前方に飛行機の高度より高い山肌が見えるのです。このまま行けば、そのまま激突です。Naviではまだ直進します。「こりゃ、まずい!」と判断して、すぐに自動操縦を解除して、操縦桿をグーと引いてスロットルを上げ、その山肌を間一髪で乗り越えました。そこで、左旋回をすると滑走路が見えてきたのですが、今の上昇で滑走路に進入するには角度がありすぎました。一応、着陸を試みましたが、無理と判断。ギア・フラップを出したままスロットルを全開にして着陸のやり直し態勢に。一旦、空港を通過してそのまま直進。高度は2000ftに保ちました。10NMほど進んだところで左旋回しながら滑走路に機首を向けていきます。滑走路が見えたら、正面に捉え、再度着陸行動へ。今度こそ、失敗は許されません。緊張は高まり、目は滑走路を見据えます。手に油汗が出ているのに気づき、半ズボンで拭きながら深呼吸をする。滑走路が近づいてきて、機首を少しあげた姿勢で着地。すぐに逆噴射。ブレーキングで徐々に減速。13:40無事着陸成功!何と7時間ちょうどのフライトでした。最後にちょっとしたトラブルがあったものの見事乗り切り、総飛行時間45時間38分で「アメリカ50州ー州都の旅」の最後のフライトを終えました。このときは、嬉しさより「疲れたなー」というのが正直な感想でした。「やっと終わった」という安堵感もありました。とにかく、長い飛行でした。(ーー;)

■「アメリカ50州ー州都の旅」を終えて

 8/12(日)に飛行を終えて、どうしても気になっていたのは、ホノルル空港に着陸するときNaviの通りだと山に激突すると判断して、すぐに手動に切り替えた点でした。「本当に私の判断は正しかったのか?」と気になっていました。そこで、近くのマウイ島から同じ飛行機で飛び立ってほぼ同じルートで飛んでみました。そうしたら、何と飛行機はその山肌に突き刺さってしまったのです。激突です。やはり、あのときの自分の判断はまちがっていなかったのだと確信した途端、日々の訓練飛行がムダでなかったことを実感しました。そして、これまで1年以上もかけて飛んできたいろいろなフライトが自然におもい出されて、一人でしんみりしてしまいました。何のために飛んだのか?今もって明確なことは自分でもわかりません。浅井信雄氏の書かれた『アメリカ50州を読む地図』新潮文庫がキッカケだったことはまちがいないのですが、いつのまにか一つの日課のようになってしまい、多少の義務感で飛んでいたときもあったようにおもいます。最後のほうは本当にのめり込んで飛んでいました。

 この「州都の旅」で得たものは、残念ながら今のところ何も浮かんできません。「アメリカはデカイ!」という印象だけです。もう、「アメリカは…」と口にする私は消えてしまいました。実際には行ったこともないアメリカ。もし、行ったとしてもほんの一部を見て来て「イヤー、アメリカは…」と口にしそうな気がします。実際に現地に行けば当然のことながら、本物の土地・人・風景などに接することができるでしょう。「でも、それで何がわかる?」と聞かれれば、日本国内をくまなく旅行している私が日本のことがわかっているかというと自信がないのと同様に、かの地のことがわかるとはとても自信がありません。なぜなら、「旅は夢のようなもの」だと私はかんがえているからです。夢なら現実だろうがバーチャルだろうが同じ事です。

 FS2000の奥は深くて、まだその一部を飛んだだけです。これからも飛びつづけることでしょうが、こういう形の飛行をするのは、もうやらないかもしれません。人に報告するために飛ぶのではなく、自分が飛びたいときに飛びたい場所を気ままに飛ぶのが一番でしょう。この「旅日記」を書くために、今年の夏山の山行記を中断したままになっています。山は山を、FSは飛行機をそれぞれ楽しんでいるときがもっともいいのです。

 時間をおけば、感想も出てくるでしょうが、「アメリカ50州ー州都の旅」をしたことは全く後悔していません。自分で決めたことを自分のペースできちんとできたこと、それで十分です。楽しみはこれからでしょうね、きっと。

■最後に

 この「旅」に使った多くのソフトに感謝しています。「FS2000」これは言うにおよばず。「FSNavigator」「cbc」「Paint Shop Pro v.7」「IBMホームページビルダーv.6」「Paster」、その他flightsim.comからダウンロードさせていただいた多くの機体、「日本の翼」に収録されている機体などにもお世話になりました。それと、昭文社「世界地図13 アメリカ合衆国」野村正七編は大変重宝しました。今まで地図をこれほど読み込んだことはありませんでした(山の地図を除いて)。今は本棚の隅に静かに収めてあります。

 それと、これはぜひ述べておかねばいけませんが、このページを読んでいただいて、励ましや飛行のアイディアなどをメールしてくださった何名かの方々、「もうやめようかな…」と迷った時期に本当に励みになりました。お礼申し上げます。

 そして、これこそ最後になりますが、家族サービスもせずにひたすら飛びまわっていた私を冷たくも無視だけはしないで付き合ってくれた家族に感謝して終わりとします。

 長い間、読んでいただき、ありがとうございました。m(__)m

 2001/08/17 (金) 9:53:33

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