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空のシルクロード紀行(6)ホータンへ


天山上空を飛び越えて、いざタクラマカン砂漠へ

天山山脈上空を乗り越えて、これよりタクラマカン砂漠へ向かう

延々とつづくタクラマカン砂漠、ここを昔の人たちは歩いたのか?

延々とつづくタクラマカン砂漠、ここを古来多くの人物が往来したのか…感無量

ホータン空港へ無事着陸。周りは茫々たる砂漠が広がっている。

ホータン空港へ無事着陸。周囲には何もない。広がるのは茫々たる砂漠のみ。

■年の瀬のあわただしいフライト

 2003/12/30(火)は、前日よりカミさんに「大掃除をするから手伝ってね」としっかり念を押されてしまっていた。すでに29日より職場は完全封鎖で立ち入ることもできない。逃れる口実はまったく見つからない。では、せめて年内に念願だった「タクラマカン砂漠」の横断飛行をしておこうか、と予定に入れておいた。パートで疲れて寝ているカミさんが起き出すのは8:30頃なので、起きたらすぐに飛び出すつもりでいた。何せ、狭い我が家は、わたしたちの寝ている和室がそのままパソコン置き場にもなっている。まさか、カミさんの寝ているときに、飛行機の爆音を出すわけにもいくまい。よって、起きて、洗面所あたりで身支度をしている時間が安心して飛べる時間帯になる。掃除の好きなカミさんのことゆえ、きょうはかなりの作業が要求されるだろうから、覚悟はしておいた。

 案の定、8:30頃にはカミさんが起きた(わたしはいつも通り4:00過ぎには起きた)。習慣に従って、わたしが布団の片づけをして、パソコンとラック周辺のホコリをきれいに取り、屋外へ。そして、パソコンの電源を入れた。これは、日課になっている。パソコンはていねいに扱ってやらないと拗ねることがよくあるからだ。FS2004を立ち上げると、並行して記録用の紙の挟まったクリップボードと世界地図を準備した。これもいつもの態勢である。まず、飛行機を前回の着陸地点であったウルムチ(烏魯木斉)のDiwopu空港へ移動させて、滑走路につけた。今回の飛行で使う機体は飛行時間・飛行高度・滑走路の距離などを考えて、ビジネスジェット機のBeechcraft社のBeechjet 400Aが一番適していると判断した。わたしの大好きな機体でもある。離陸時にちょっと問題も抱えた機体であるが、どう対処すればいいのかもわかっているから問題ない。

 フライトプランもできて、いよいよ出発。8:50離陸開始。滑走路を離れるとぐんぐん高度を上げてゆく。ウルムチ自体が2100ftほどの高度のあるところなので、4000ftくらいまで上昇してから自動操縦に切り替える。まずは雪でおおわれた「天山山脈」を越えねばならない。相当に高い山脈なので、飛行機の上昇が間に合うか心配したが、無事クリアする。雪の天山山脈はとてもうつくしい。このレポートを書きながらも、スナップを見ていて、ほれぼれしてしまう。この山脈を実際に越えてみたいという希望はまだ捨てていない。必ず行くと決めている。この天山山脈を越えると、そこにシルクロードの1つの道、「天山南路」が通っている。ウルムチは天山北路と呼ばれる行路に位置している。天山山脈を飛び越えると、その山すそから一気に砂漠へと変わる。これが、あの「タクラマカン砂漠」である。くわしく知りたい方は長澤和俊氏の書かれた『シルクロード』講談社学術文庫\1350を読んでくだされ。読まれると歴史あるこの地がさらに身近に感じられることだろう。わたしも今目の前にその本をおいてこれを書いている。ジェット機だと40分ほどで横断できるこの広大な砂漠も徒歩とラクダでそれをするとなったら、その苦労は想像を絶する。古よりこの地を闊歩していた隊商たちのすごさが少しだけわかる。FSの世界でも、砂漠は砂漠として本当に延々とつづく。ほぼ中央部にくると、360度見渡しても砂漠が広がっているだけだ。

 飛行をつづけること1時間ほど経った頃、前方に山々が見えてくる。崑崙山脈である。7000m級の高山が連なっている。今回のフライトは、この手前にあるホータン(和田…中国語ではフータンに近い)までだ。天山北路・南路を「西域北道」というと、このホータンはタクラマカン砂漠をはさんで南にあるため、「西域南道」といわれる場所に位置している。空港が近づいてきたので、着陸の準備に入る。ギア・フラップを出して、滑走路を正面に見すえる。空港の周囲には当然ながら何もない。崑崙山脈を右手に見ながら、西側から滑走路に進入する。滑走路は短いから、緊張する。着地、すぐに逆噴射。ブレーキングを小刻みに行い、滑走路3分の2くらいのところで停止。無事着陸。10:13になっていた。余韻を味わう間もなく、すぐにFSを終了して、そのままパソコンの電源を落とした。これから年末の大掃除のはじまりだから。階下からカミさんの呼ぶ声が聞こえる。パイロットも地上ではけっこうダサい。

■飛行機のエンジン音と音楽

 飛行機の、とくにジェット機のエンジン音は常人には騒音以外の何ものでもないだろう。わたし自身、小・中・高とつづけていた水泳部で耳の病気を何度もしているため、大きな音には滅法弱い。自宅にいても、近くの道をトラックでも通ると、不安な気持ちになってしまう。ところが、こんなわたしでも不思議なことに飛行機の音だけは、まったく平気である。というより、病的なくらい好きである。プロペラ機のエンジンの音も好きだし、ジェット機のそれもまた好きである。わたしの自宅上空を飛ぶ飛行機(民間機、それと厚木飛行場からの米海軍戦闘機など。最近F/A-18Fも飛ぶようになった!)の音は、いつもほれぼれしながら聞いている。寝るときに聞いているCD版「ジェットストリーム(全10巻)」の冒頭で流れるジェット機のエンジン音とそれにつづく美しい音楽は、いつもわたしを大空高く舞い上げてくれる。この40分のCDを最後まで聞いたことはない。根が「理科バカ」なのか、あの人工的なエンジンの音が何ともいえない快感をもたらしてくれる。クラシック音楽にも相当に凝ったが、あのエンジン音はわたしには音楽のような気がしてならない。FSで飛行機を飛ばしているときは、当然カセットで(パソコンでも同時に聞けるが、メモリ上の問題からやらない)、飛んでいる地域をイメージできるような音楽を流しながら飛ぶと気分が盛り上がる。今回は、常識的に喜多郎の「シルクロード」である。もう何度聞いたか忘れてしまったが、今回はこれなしでは飛べない。あの細かい砂が舞うような曲想が、シルクロードの道々を髣髴(ほうふつ)とさせる。

 ジェット戦闘機を飛ばすときは、なんといっても映画「トップガン」で流れたあの音楽だ。戦闘機のアクロバティックな飛行には、あのビートの利いた曲(とかいいながらじつは曲名はしらない…この辺がオジンである)がじつにあう。あの曲以外はどうもおもいつかない。南洋の島々を飛ぶときは、ハワイアンなどもいい。まったく個人的な趣味ながら、零戦などで南洋の空を飛ぶときは、右翼みたいではずかしいが、やはり軍歌である(このCDもそれなりにもっている)。それぞれの飛行機のエンジン音と雰囲気を盛り上げる音楽が、このわたしの狭い和室で融けあう。ラジカセのスピーカーと合わせて合計7個のスピーカーで異常な空間を作り出す。これがじつに気持ちがいい。パソコンはそこでは、完全な操縦席でしかない。

 残念ながらわたしの好きなクラシック音楽(とくに、バッハとモーツァルトが好きだ)で、飛行機と合う音楽は、ほとんど見出せていない。飛行機は昨年(2003年12月17日)で満100歳。時代が完全にずれているので、リズムが合わないのかもしれない。もし、どなたか、飛行機を飛ばすときにぴったりの曲があれば教えていただけるとうれしい。最近(ではないか)、ますますものぐさになってしまい、自分で探すのもおっくうになってしまっており、情けない。もっと高尚な文化的な香りのする作品でも知っていればいいのだが、あまりに特化してしまった「理科バカ」のわたしにはそういう文化的な雰囲気はどうにも似合わない。まあ、これからでも遅くはないのだろうから、せいぜい精進したいとはおもうが、はたしてどこまでゆくことやら…。まあ、あとしばらくは「シルクロード」一本槍でゆくつもりだ。これを書いていたら、突然、頭の中で「おいでイスタンブール…」などという曲が鳴り出した。これって、だれが歌っていたのかな?おもい出せない。まだ、旅はつづく。

 2004/01/18 (日) 17:39:09

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