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神奈川県の公立高校入試制度に物申す(3)


2・1・3 合格発表までの期間の仕事の煩雑さ

次年度の入試の準備が始まるのは、その年の入試が終わって新入生が学校に慣れてきたかなという5月頃に始まる。といっても、職員全員が動き始めるわけではなくて、「入試選抜委員会」(この名称は各高校で異なる場合がある)なる委員会が設置され、前年度の反省の結果を受けて新しく発足する新年度の委員会のメンバーが動き始めるのがその時期である。問題点を洗い出し、それを検討する会議が入ってくる。これが、およそ半年間続くことになる。

本格的に活動が始まるのは、11月頃になる。入試データの送受信の練習のためパソコン通信(神奈川ではKネットというプロバイダを用いている)を利用して、データが正確に送受信できるかを何度もチェックするのだ。すでに述べた「複数志願制」のため、受験者のデータが高校間を行き来するためである。

ふつう公立の学校には「情報処理」専門の職員などいないから、その任に当たるのはたまたま好きでパソコンなどを使っていて、職場でも「あの人はパソコンに詳しい」などと他の職員から思われているような人が仕方なく(積極的に?)なるのである。そういう職員がいる学校はまだいい方で、そうでなければ管理職などから無理矢理頼まれてやることになるのであろう。空き時間ごとに通信用のパソコンに張り付いているのを見ていると、大部分の職員が「私にはあんな仕事は嫌だ」と思うのも無理からぬことである。学校でほとんど自分のパソコンの電源を入れっぱなしの私でもあの仕事はちょっとやりたくないなーと正直なところ思ってしまう。データの入力・プリントアウト・点検と何度となくあり、それが3月まで続くと思うと嫌になってしまう。こういう仕事はほとんど固定された「パソコンの出来る」人になってしまうのが常である。

2・1・4 入試データの送信上のミスと問題点

今回の入試制度はパソコン通信やInternetなどのインフラ(基盤)の整備が前提になっている。ところが、その流れを見ると、制度が先走ってから「それじゃ入試データの送受信はどうするの?」とあとから付け焼き刃的にパソコン利用が決まってきたように、私には受け取れる。突然、学校に「通信線用」というボロイ「パソコン」が1台ずつ各学校に配置されたのを見ても、それは自然にわかる。通信のためのパソコンの設定のほとんど学校任せで、一応形だけは業者(この入選システムを頼まれた)のシステムエンジニアが来るのだが、これが素人の私が見てもとても頼りにならない。公立高校全体を見たら、果たしてパソコンの設定すらどうしたのか心配になるほどである。私の勤務校でも、設定に苦労しており、私も何度か余計なお手伝いをしてしまった。これらの仕事は、授業をやりながらするのだから、不安を覚えるのは私だけではないだろう。

それまで「スタンドアロン(自分のパソコン内だけで使う)」でパソコンを利用していても、通信となるとネットワークに接続することになるわけで、新しい知識や技術が要求されるのはやったことのある人なら誰でもその苦労はわかるはず。慣れる間もなく「本場」は刻々とせまってくる。担当の教員の目が血走って来るのがわかる。こういう状態で、本番を迎えることになるのである。

送信上のミスは入力された入試データが表計算ソフトの「ファイル形式」で送ることからも起こりうる。データの入力ミスは何度かのチェックをするので、ミスは少ないと推測できるが、送信するときは「FTP(Internetでのファイル転送プロコトル。パソコン通信ならXmodemやB-Plusなど)」を用いて県教委のサーバーコンピュータに入試データファイル転送することになる。不慣れな(これは考えれば当たり前で、教員で慣れた人がいれば、それは珍しい)職員が操作ミスをしたりすることは、ごくふつうにあるだろう。しかも、マニュアル通りにやってもうまく行かないことはけっこうある。それで、わざわざデータをFDに入れて県教委に人が運んで行くなんて、笑ってしまうことも現実に出てくる。それが1校や2校なら、まあ何とか処理することもできるが、多数の高校でそうなったら、考えるだけで恐ろしいことになってしまう。

しかも、この制度では第1希望校で不合格になった受験生のデータは第2希望の高校へまた転送しなければならないのである。いつデータの遺漏がおこるか、心配すれば本当に切りがなくなってしまう。この制度がこういう「綱渡り」的な状態の上に成り立っていることを危惧しているのは、決して私だけではないだろう。

1998/06/14

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