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高校データ


■公立高校はダメなのか?

 わたしのホームページの掲示板で、「神奈川県の公立高校はすでにダメだ」と何度も繰り返して発言されている方がいる。ハンドルネームをお使いなので(こういう匿名性がネット上での不要な軋轢を生んでいるのかもしれないが)、どなたなのかはわからない。どの発言もおなじ方だと推測している。公立高校の凋落は大都市部では、どこでもおこっているようにおもうが、これは公立高校のOB・OGの方にとってはおもしろいわけはない。わたし自身も神奈川の県立高校で教鞭をとっており、ある一面からの見方に不本意をかんじることもある。しかし、当然のことながら、批判を受けて当然のこともあり、一概に否定する気にもなれない。わたしとしては、私的な感情論をふりまわすのではなく、種々のデータを示して、判断は読まれた方の解釈にまかせるのが一番と判断して、それらのデータをお示ししたい。いうまでもなく、こういう社会統計的なデータには、それ自身相当なフィルターがかかっていることはご承知のこととおもうので、とくに詳しくは述べない(自然科学でもデータの扱いはじつにむずかしいことは同然)。

(1)学校の数(2004/10/13調べ)

   小学校 24343校
   中学校 11322校
   高 校 5779校

(2)高等学校の公私別内訳

   国公立 4461校
   私 立 1318校

(3)高校のうち主要な高校とみなされている数(これは、大いなる主観あり)

 ★「サンデー毎日」2005.4.24号 総数1380校(大学進学を念頭においた)

 国公立 951校 国公立の割合951/1380=68.9% 国公立内比率951/4461=21.3%
 私 立 429校 私立の割合 429/1380=31.1% 私立内比率429/1318=32.5%

 ★「週刊朝日」2005.4.15号 総数1000校(大学進学を念頭においた)

 国公立 663校 国公立の割合663/1000=66.3% 国公立内比率663/4461=14.9%
 私 立 337校 私立の割合 337/1000=33.7% 私立内比率337/1318=25.6%

(4)私立中高一貫校数 685校

 ★これらの学校については、まだくわしく調べてはいない。が、「週刊ダイヤモンド」2005.4.9号に「本当の学力とはなに?」というアンケートをだして、250校から回答を得たものをのせてあり、興味深い。これらの特集のサブタイトルは「息子・娘を入れたい学校」とある。

(5)高校の学力の実態(ここでは、スポーツなどにはふれない。学校だから)

 これを全国レベルで調べるのはむずかしい。しかし、かなりこれに近い分布を示すものがある。それは、全国区で学力に自信のあるものが受験する「東京大学」である。理系の人間なら当然知っているはずだが、国公立の医学部は東大クラスであり、そこを受験する生徒をのぞいてデータを示すのはかなり偏っていることをあらかじめことわっておく。それと、国公立の高校では個人情報保護の観点から東大合格者を公表していない学校がかなりあることも承知ねがいたい。東京大学をえらんだのには、それ以外に意味はない。ようするに化石でいう示準化石みたいなもので、「示準大学」というわけである。現役合格者が多いのも考慮した。

 ★2005年度東京大学合格者数 3102名

  国公立高校からの合格者数 1453名
  私立高校からの合格者数  1649名

  東京大学合格者に占める国公立高校の出身者比率 1453/3102=46.8%
  東京大学合格者に占める私立高校の出身者比率  1649/3102=53.2%

  国公立高校1校当たりの合格者数 0.33名
  私立高校1校当たりの合格者数  1.25名

 ★神奈川県での実態

 じつは、これがむずかしい。ある私立高校では、その半数近くも東京から通っているということなどふつうにある。地元という意識はないから、どのようにカウントしたらいいのか、わからない。ここは、ひとまず高校が神奈川にあるということで、それを目安にしたい。

  神奈川県公立高校の数 152校
  神奈川県私立高校の数 74校

  神奈川県公立高校からの東京大学合格者数 34名+α(未公表の分多し)
  神奈川県私立高校からの東京大学合格者数 204名(私立は宣伝で隠さない)

 以上である。

(6)ちなみに大竹の母校(福島県立会津高校)は

 2005年度308名の卒業生のうち、ほぼ1/3にあたる104名ほどが国公立大学へ進学している。福島の辺境で、地元にはようやくできた会津大学があるが、生徒の目はやはり中央や仙台方面に向いている。地方からの大学進学は経済的にもきびしい。それでも、親はできることなら大学までは…という典型的な地方都市である。私立よりも国公立で多少なりとも親への経済的負担を減らしたいという傾向がつよい。わたしの時代は、完全な男子校で、ほぼ同級生の半数近くが国公立に進学したとおもう。ことしは、東京大学へは1名しか合格者を送れなかったが、例年はもう少しいる。わたしの頃は、もっといた。ここにも、できるかぎり余り遠くへはという傾向がでている。でも、後輩たちはよく頑張ってくれているとうれしくおもっている。

 ちなみに、会津高校では進学のためにそれほど特別なことをしているかというと、そんなことはない。補習とか講習会はあるが、それは強制ではない。よく、進学校では、特別なことをしているとおもいちがいしているひとがいるが、もともと勉強ができる生徒がきているのである。そんなことをしなくてもやるときは自分で勝手にやっているのが現実である。それと進学校の教員は、他の高校の教員より実力があるとおもっている錯覚もおおい。私学でも実情はほぼおなじである(わたしの身近にも神奈川県の私学の雄で教えていたひとはそれなりにいる…実情はほぼ公立に似ている)。知らないひとは、なんでも幻想をいだきがちであるが、そんな特別なことをしているのは、少しでも進学実績をあげようと必死になっている私学の中堅校くらいだろう。できのいい生徒を集めて有名大学へ進学させるのは、おもっているよりかんたんだ。もともとできのいい生徒は私学でも公立でもいいのである。ようは、その限られた人数を私学がとるか、公立がとるか、であって、昔はそれが公立だっただけ。いまは、経済的にも少ない子どもにあわせて私学へというだけのことである。地方では、まだ公立志向はつよい。神奈川は東京圏にちかいため、どうしても混在型になり、それで問題もおおいのであろう。神奈川をわたしは好きである。現在教えている生徒たちもとても気持ちよくいっしょに授業ができる。この生徒たちを、入学したときよりも、さらに一層の実力をつけて卒業・進学できるように精一杯の仕事をするのが、わたしの天職だとおもっている。

(7)全国にはすばらしい学校はいくつでもある

 マスコミなどでさわがれなくても、すばらしい学校は全国にたくさんある。校舎はボロいが、生徒と教員がいっしょになって、気持ちのいい雰囲気をつくりだしている学校は多いことだろう。自分のでた学校を卑下しているようでは、その後輩たちはいたたまれない。教員集団がいいとかわるいとか、教員にその学校の雰囲気作りを押し付けたり、教員の無能ぶりを糾弾したりしても、そんなことは何の役にも立たない。学校に何かしてもらおうと当てにすることが、返って学校をわるくするようにおもう。教員がかわれば生徒もかわるだろう。おなじことで、生徒がかわれば教員もかわるのだ。他人のせいにばかりしているところで、なにも変わらない。

 どんな学校でもいろんな教員がいる。そして生徒も。評論家のように、学校の教員の有能・無能を論じていたければ、そうしておられればいい。わたしたちのように現場で生徒を目の前にして、その日その日の授業をできるかぎり生徒の血肉になるようにと仕事しているものには、そういう浮ついてた議論はほとんど意味をもたない。「波動現象」のこの「位相」のことをどうわかりやすくおしえるか、等々、じつに現実的なはなしなのである。こういうことの積み重ねが「ふつうの学校」でのふつうのことだとおもうのだが。

(8)最後に

 わたしは、神奈川県で最底辺といわれた高校でも仕事をしてきた。もちろんいろいろなレベルの学校でもはたらいてきたので、生徒の実態はそれなりにわかるつもりでいる。「進学校出身の教員には自分たちの気持ちなどわからない」などというひともいるが、そんなことは当たり前である。べつに進学校でなくても、教員が生徒ひとりひとりの気持ちがすべてわかるなど、神様じゃあるまいし、ありえない。それは、どのレベルの高校でもおなじだ。いままでのわたしの”狭い”経験でも、わからないひとにはなにを話してもわからない、というのが実感である。いえばいうほどわからないのだ。ひとのはなしを素直に聞くという習慣のないひとに、くどくはなせば、返って「バカにしているのか!」とどなられる。ひとの世はまこと住みにくい。でも、そこに生活しなければ、そうすべき場所はない。

 ひとだけでなく、環境はおもった以上にせまい。その自分にあたえられた環境のなかで自分の力を、生きがいをいかにみつけて、それに打ち込むか。それが大切だとおもう。そこに、他人の評価のはいるすきはない。自分の評価は自分ですればいい。そうすれば、自分の価値は自分が一番よくわかっているはずだ。わからない人は他人に評価してもらうしかない。そういうひとにわたしはなってほしくないとおもっている。自分を冷静にながめ、自分の力を過大視もせず、卑下もせず、わらって「わたしの力はこれくらいなんですよ」といえれば、それは立派なひととしかいいようがない。

 以上である。

 2005/04/25(月) 15:35

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